JP2009174661A - 等速自在継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】外輪にシールプレートやブーツアダプタを圧入により外嵌した際に、シールプレートやブーツアダプタから受ける力で、外輪の開口端面内径の凹部に嵌合させたシール部材が外輪の内周側に弾性変形して、外輪のトラック溝に弾性変形による余肉部分が入り込むのを防止することができる等速自在継手を提供する。
【解決手段】外輪2の反ブーツ側開口端面内径に環状の凹部22を形成し、この凹部22に環状のシール部材24を嵌合し、シール部材24の内側面29は、凹部22の底面23に密着させ、外側面30は、外輪2の反ブーツ側開口端部に圧入により外嵌するシールプレート21の対向面28に密着させる。シール部材24の底面29は、凹部23の軸方向幅を軸中心から外径側に向けて漸増させたテーパ形状とすることにより、外輪2のシールプレート側開口端面と非平行にする。
【選択図】図1
【解決手段】外輪2の反ブーツ側開口端面内径に環状の凹部22を形成し、この凹部22に環状のシール部材24を嵌合し、シール部材24の内側面29は、凹部22の底面23に密着させ、外側面30は、外輪2の反ブーツ側開口端部に圧入により外嵌するシールプレート21の対向面28に密着させる。シール部材24の底面29は、凹部23の軸方向幅を軸中心から外径側に向けて漸増させたテーパ形状とすることにより、外輪2のシールプレート側開口端面と非平行にする。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車や各種産業機械に用いられ、回転トルクを伝達する等速自在継手に関するものである。
等速自在継手は固定型等速自在継手と摺動型等速自在継手とに大別される。固定型等速自在継手は角度変位のみを許容し、ドライブシャフトの車輪側等に使用される。一方、摺動型等速自在継手は角度変位および軸方向変位を許容し、ドライブシャフトのディファレンシャル側等に使用される。
図8に従来の等速自在継手として、摺動型等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)を例示する。なお、クロスグルーブ型等速自在継手は、4WD車(4輪駆動車)やFR(エンジンが車体の前部に配置された後輪駆動車)などのプロペラシャフトに使用される。この理由は、プロペラシャフトで、トランスミッション(変速装置)とディファレンシャル(作動歯車装置)との間に使用する等速自在継手は、トランスミッションとディファレンシャルとの間の相対位置変化に対応できるものを使用する必要があるためである。
この等速自在継手101は、一端に開口部を有する外輪102と、その外輪102の内部に配された内部部品106とで主要部が構成されている。この内部部品106は、内輪103と、ボール104と、ケージ105とから成る。
外輪102は、内周面に直線状のトラック溝107が複数形成されており、内輪103は、外周面に直線状のトラック溝108が複数形成されている。また、内輪103の中心には軸孔111が形成され、この軸孔111には軸部材であるスタブシャフト110が挿入されてスプライン嵌合されている。なお、このスタブシャフト110は、先端部で止め輪112により抜け止めされている。
図9に外輪102と内輪103に形成したトラック溝(107、108)の部分正面図を示す。この図9に示すように、外輪102のトラック溝107と内輪103のトラック溝108は、軸線Lに対して互いに逆方向に交叉角αだけ傾斜させて形成されている。外輪102のトラック溝107と内輪103のトラック溝108との交叉部には前記ボール104が組み込まれており、このボール104は、図8に示すようにケージ105のポケット109で保持されている。
外輪102の開口部は密封装置で覆われている。この密封装置は、ブーツ113と金属製のブーツアダプタ117とから成る。ブーツ113は、大径端部114と、小径端部115と、大径端部114と小径端部115とをつなぐ中間部116とを有する断面U字型の形状を成す。小径端部115はスタブシャフト110の外周面に取り付けられ、この取り付け部分はブーツバンド120を加締めて固定されている。
ブーツアダプタ117は円筒形で、一端部118は外輪102のブーツ側開口端部に外嵌されている。また、他端部119はブーツ113の大径端部114に加締めて固定されている。
外輪102の反ブーツ側開口部はシールプレート121で覆われている。このシールプレート121は、ブーツアダプタ117と共に、外輪102に形成されたボルト孔126に捩じ込まれたボルト125で、外輪102の反ブーツ側開口端部に外嵌されている。
外輪102の反ブーツ側開口端面内径に凹部122が形成され、この凹部122に環状のシール部材124が嵌合されている。さらにシール部材124は、シールプレート121で外輪102の反ブーツ側開口端面と対向する内側面(以下シールプレートの対向面とする)127と凹部122の底部123に密着されている(特許文献1参照)。
特開平03−223523号公報
さて、図8に示す特許文献1に記載の等速自在継手101は、凹部122にシール部材124を嵌合し、その後、シールプレート121を外輪102の反ブーツ側開口端部に圧入により外嵌することで、シール部材124を、凹部122の底面123とシールプレート124の対向面127に密着させる。
この際、シール部材124は、シールプレート121から受ける圧入力で外輪102の内周側へ弾性変形して外輪102のトラック溝107に弾性変形による余肉部分が入り込み、等速自在継手101の作動時にボールと接触して、等速自在継手101の作動性に悪影響を与える可能性があった。
また、図示は省略するが、外輪102のブーツ側開口端面内径にも凹部を形成してシール部材を介在させ、ブーツアダプタ117を外輪102のブーツ側開口端部に圧入により外嵌して、シール部材を凹部の底面とブーツアダプタ117で外輪102のブーツ側開口端面と対向する内側面(以下ブーツアダプタの対向面とする)に密着させる場合がある。
この際も、シール部材は、ブーツアダプタ117から受ける圧入力で外輪102の内周側へ弾性変形して外輪102のトラック溝107に弾性変形による余肉部分が入り込み、等速自在継手101の作動時にボールと接触して、等速自在継手101の作動性に悪影響を与える可能性があった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、外輪にシールプレートやブーツアダプタを圧入により外嵌した際に、シールプレートやブーツアダプタから受ける圧入力で、外輪の開口端面内径の凹部に介在させたシール部材が外輪の内周側に弾性変形して、外輪のトラック溝に弾性変形による余肉部分が入り込むのを防止することができる等速自在継手を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明の等速自在継手は、開口部を有する外側継手部材と、その内側に配されてトルク伝達時に前記外側継手部材に対して相対動作する内側継手部材とを備え、前記外側継手部材の開口端面内径に凹部を形成し、その凹部にシール部材を嵌合し、前記外側継手部材の開口端面に、シールプレート或いはブーツアダプタの少なくとも一方を被着させた等速自在継手であって、前記凹部の底面、前記シール部材の側面、前記シールプレートで前記外側継手部材の開口端面との対向面、或は、前記ブーツアダプタで前記外側継手部材の開口端面との対向面のうちいずれかを、前記外側継手部材の開口端面と非平行にしたことを特徴とする。
ここで、「前記凹部の底面、前記シール部材の側面、前記シールプレートで前記外側継手部材の開口端面との対向面、或は、前記ブーツアダプタで前記外側継手部材の開口端面との対向面のうちいずれか」とは、「シールプレート側の凹部の底面、シールプレート側のシール部材の側面、シールプレートの前記外側継手部材の開口端面との対向面」のうちいずれか一つ、又は、「ブーツアダプタ側の凹部の底面、ブーツアダプタ側のシール部材の側面、ブーツアダプタの外側継手部材の開口端面との対向面」のうちいずれか一つを選択することを意味する。また、「外側継手部材の開口端面」とは、外側継手部材の開口端部にシールプレートを取り付ける場合は、外側継手部材のシールプレート側開口端面を意味し、外側継手部材の開口端部にブーツアダプタを取り付ける場合は、外側継手部材のブーツアダプタ側開口端面を意味する。
このように、凹部の底面、或いは、シール部材の内側面を外側継手部材の開口端面と非平行にすると、凹部にシール部材を嵌合した際、凹部の底面にシール部材の内側面が接触して、凹部の底面とシール部材の内側面との間に隙間が形成される。また、シールプレート(若しくはブーツアダプタ)の対向面、或いは、シール部材の外側面のうちいずれかを外側継手部材の開口端面と非平行にすると、シールプレート(若しくはブーツアダプタ)を外側継手部部材の開口端部に圧入により外嵌した際、シール部材の外側面にシールプレート(若しくはブーツアダプタ)の対向面が当接して、シールプレート(若しくはブーツアダプタ)の対向面とシール部材の外側面との間に隙間が形成される。
これらの隙間は、シールプレート(若しくはブーツアダプタ)を外側継手部材の開口端部に圧入により外嵌してシール部材に密着させた際にシールプレート(若しくはブーツアダプタ)から圧入力を受けて弾性変形するシール部材の余肉部分の逃げ部として機能する。このため、シール部材が外側継手部材の内周側に弾性変形して外側継手部材のトラック溝へ入り込むのを防止することができる。
この本発明を実現させる具体的な手段としては、例えば、凹部の底面、或いは、シール部材の内側面のうちいずれかをテーパ形状とする方法や、シールプレート(若しくはブーツアダプタ)の対向面、或いは、シール部材の外側面のうちいずれかをテーパ形状とする方法がある。
このように、凹部の底面、シール部材の側面、シールプレート(若しくはブーツアダプタ)の対向面のうちいずれかをテーパ形状とする場合、部材の加工が容易になるため、等速自在継手を作製する際の作業効率が向上する。
本発明は、凹部の底面、シール部材の側面、シールプレート(若しくはブーツアダプタ)の外側継手部材の開口端面との対向面のうちいずれかを、外側継手部材の開口端面と非平行にする。そのため、シールプレート(或いはブーツアダプタ)を外側継手部材の開口端部に圧入により外嵌する際、シール部材の内側面と凹部の底面との間に生じる隙間、或いは、シールプレート(或いはブーツアダプタ)の対向面とシール部材の外側面との間に生じる隙間に、シールプレート(或いはブーツアダプタ)から力を受けて弾性変形したシール部材の余肉部分が前記隙間に収容される。この結果、シール部材が外側継手部材の内周側に弾性変形してその余肉部分が外側継手部材のトラック溝に入り込み、等速自在継手のトルク伝達時にボールと接触して、等速自在継手の作動性に悪影響を与えてしまうのを防止することができる。
以下に本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。なお、図5〜図7に示す第2〜第4の実施の形態については、図1〜図4に示す第1の実施形態と同じ部位、機能を有する部品については同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
図1に本発明の第1の実施形態を示す。この等速自在継手1は、一端に開口部を有する外側継手部材である外輪2と、その外輪2の内部に配された内部部品6とで主要部が構成されている。この内部部品6は、内側継手部材である内輪3と、ボール4と、ケージ5とから成る。
外輪2は、内周面に直線状のトラック溝7が複数形成されており、内輪3は、外周面に直線状のトラック溝8が複数形成されている。また、内輪3の中心には軸孔11が形成され、この軸孔11には軸部材であるスタブシャフト10が挿入されてスプライン嵌合されている。なお、このスタブシャフト10は、先端部で止め輪12により抜け止めされている。
図2に外輪2と内輪3に形成したトラック溝(7、8)の部分正面図を示す。この図2に示すように、外輪2のトラック溝7と内輪3のトラック溝8は、軸線Lに対して互いに逆方向に交叉角αだけ傾斜させて形成されている。外輪2のトラック溝7と内輪3のトラック溝8との交叉部にはボール4が組み込まれており、このボール4は、図1に示すようにケージ5のポケット9で保持されている。
外輪2の開口部は密封装置で覆われている。この密封装置は、ブーツ13と金属製のブーツアダプタ17とから成る。ブーツ13は、大径端部14と、小径端部15と、大径端部14と小径端部15とをつなぐ中間部16とを有する断面U字型の形状を成す。小径端部15はスタブシャフト12の外周面に取り付けられ、この取り付け部分はブーツバンド20を加締めて固定されている。
ブーツアダプタ17は円筒形で、一端部18は外輪2のブーツアダプタ側(以下ブーツ側とする)開口端面に被着させた状態で外輪2のブーツ側開口端部に外嵌されている。また、他端部19はブーツ13の大径端部14に加締めて固定されている。
外輪2の反ブーツアダプタ側(以下反ブーツ側とする)開口部はシールプレート21で覆われている。このシールプレート21は、ブーツアダプタ17と共に、外輪2に形成されたボルト孔26に捩じ込まれたボルト25で、外輪2の反ブーツ側開口端面に被着させた状態で反ブーツ側開口端部に外嵌されている。
外輪2の反ブーツ側開口端面内径に凹部22が形成され、この凹部22に環状のシール部材24が嵌合されている。さらにシール部材24は、図中O部分の拡大図である図3(C)に示すように、シールプレート21で外輪2の反ブーツ側開口端面と対向する対向面28と凹部22の底部23に密着されている。
さて、本実施形態では、図3(C)に示すように、凹部22の底面23は、凹部23の軸方向幅を軸中心から外径側に向けて漸増させるテーパ形状とすることにより、外輪2の反ブーツ側開口端面と非平行にする。
この場合、外輪2の反ブーツ側開口端部にシールプレート21を取り付ける工程において、図3(A)に示すように、シール部材24を図中白抜き矢印で示す方向に凹部22へ嵌合して、図3(B)に示すように、シール部材24の内側面29を凹部22の底面23に当接させると、シール部材24の内側面29と凹部22の底面23との間に隙間27が形成される。
この状態から、図3(B)に示すように、シールプレート21を図中白抜き矢印で示す方向に外輪2の反ブーツ側開口端部へ圧入するが、この際、シール部材24の外側面30にシールプレート21の対向面28が当接する。そのため、シール部材24は、シールプレート21から圧入力を受けて、図中短矢印で示す方向、つまり、隙間27の方向へ弾性変形し、弾性変形による余肉部分が図3(C)に示すように隙間27に収容される。
このように、本実施形態では、シールプレート21を外輪2の反ブーツ側開口端部に圧入により外嵌しても、シール部材24は、シールプレート21から受ける圧入力で外輪2の内周側へ弾性変形して、これによる余肉部分が外輪2のトラック溝7に入り込むことがないため、等速自在継手1の作動時にボール4と接触して、等速自在継手1の作動性に悪影響を与えてしまうのを防止することができる。
なお、本実施形態のように、凹部22の底面23を、凹部23の軸方向幅を軸中心から外径側に向けて漸増するテーパ形状とする場合、シールプレート21を外輪2の反ブーツ側開口端部へ圧入により外嵌した際、シール部材24は、外輪2の内周側とは径方向逆側へ弾性変形する。そのため、シール部材24が弾性変形して、これによる余肉部分が外輪2のトラック溝7に入り込むのを確実に防止することができる。
さらに、本実施形態では、凹部22の底面23をテーパ形状とするため、凹部22の底面23の加工が容易になり、等速自在継手1の作製する際の作業効率が向上する。なお、図4に図1に示す外輪2のシールプレート側の断面図を示し、この図4では、図を見やすくするために、シール部材24のみにハッチングを施し、ボルト25の図示を省略した。
図5に本発明の第2の実施形態を示す。本実施形態では、外輪2の反ブーツ側開口端面内径に環状の凹部32を形成し、この凹部32の底面33は、外輪2の反ブーツ側開口端面と平行にする。
本実施形態では、シールプレート21を外輪2の反ブーツ側開口端部に圧入により外嵌する工程において、図5(A)に示すように、シール部材34を図中白抜き矢印で示す方向へ凹部32に嵌合して、図5(B)に示すように、シール部材34の内側面35を凹部32の底面33に当接させる。
この際、このシール部34の内側面35は、シール部材34の軸方向幅を軸中心から外径側に向けて漸増させるテーパ形状とすることで、外輪2の反ブーツ側開口端面と非平行にするため、図5(B)に示すように、凹部32の底面33とシール部材34の内側面35との間に隙間37が形成される。
図5(B)の状態から、シールプレート21を図中白抜き矢印の方向に外輪2の反ブーツ側開口端部へ圧入するが、この際、シールプレート21の対向面28がシール部材34の外側面36に当接し、これにより、シール部材34はシールプレート21から圧入力を受けて、図中短矢印で示す方向、つまり、隙間37の方向に弾性変形し、これによる余肉部分が図5(C)に示すように隙間37に収容される。
このように、本実施形態では、外輪2の反ブーツ側開口端部にシールプレート21を圧入により嵌合した際、シール部材24は外輪2の内周側へ弾性変形するが、この弾性変形したシール部材24は隙間37に収容されるため、弾性変形したシール部材24の余肉部分は外輪2のトラック溝7に入り込むことがない。この時の作用および効果については、図1に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
図6に本発明の第3の実施形態を示す。本実施形態では、外輪2の反ブーツ側開口端面内径に環状の凹部42を形成し、この凹部42の底面43は、外輪2の反ブーツ側開口端面と平行な形状とする。
外輪2の反ブーツ側開口端部にシールプレート41を圧入により外嵌する工程において、図6(A)に示すように、シール部材44を、図中白抜き矢印で示すように環状の凹部42に嵌合して、図6(B)に示すように、シール部材44の内側面45を凹部42の底面43に当接させる。このシール部44の内側面45および外側面46は、外輪2のシールプレート側開口端面と平行な形状とする。この後、図6(B)に示すように、外輪2の反ブーツ側開口端部にシールプレート41を図中白抜きの方向に圧入する。このシールプレート41の対向面48は、反外輪側へ傾斜させたテーパ形状とすることにより、外輪2の反ブーツ側開口端面と非平行にする。
この際、図6(C)に示すように、シールプレート41の対向面48がシール部材44の外側面46に当接するが、シールプレート41の対向面48はテーパ形状にするため、シールプレート41の対向面48とシール部材44の外側面46との間に隙間47が形成される。そのため、シールプレート41の圧入を図中白抜き矢印で示す方向に進めると、シール部材44はシールプレート41から圧入力を受けて、図中短矢印で示す方向、つまり、隙間47の方向に弾性変形して、これによる余肉部分が図6(D)に示すように隙間47に収容される。この時の作用および効果については、図1に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
図7に本発明の第4の実施形態を示す。本実施形態では、外輪2の反ブーツ側開口端面内径に環状の凹部52を形成し、この凹部52の底面53は、外輪2の反ブーツ側開口端面と平行な形状とする。シールプレート51を外輪2の反ブーツ側開口端部に圧入により外嵌する工程において、図7(A)に示すように、環状のシール部材54を、図中白抜き矢印で示す方向に凹部52に嵌合して、図7(B)に示すように、シール部材54の内側面55を凹部52の底面53に当接させる。ここで、シール部材54の内側面55と凹部52の底面53は、外輪2の反ブーツ側開口端面と平行にし、シール部材54の外側面56は、シール部材54の軸方向幅を軸中心から外径側に向けて漸増させるテーパ形状とすることで、外輪2の反ブーツ側開口端面と非平行にする。
図7(B)の状態から、シールプレート21を図中白抜き矢印で示す方向に外輪2の反ブーツ側開口端部に圧入していくと、図7(C)に示すように、シールプレート21の対向面28はシール部材54の外側面56に当接する。この際、対向面28はテーパ形状とするため、シールプレート51の内側面58とシール部材54の外側面56との間には隙間57が形成される。
この図7(C)の状態から、シールプレート51の外輪2の反ブーツ側開口端部への圧入を図中白抜き矢印で示す方向に進めると、シール部材54は、シールプレート51から圧入力を受けて、図中短矢印で示す方向、つまり、隙間57の方向に弾性変形し、これによる余肉部分が図7(D)に示すように隙間57に収容される。この時の作用および効果については、図1に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、これらはあくまで例示であり、特許請求の範囲に記載の意味および内容の範囲内で任意に実施することが可能である。
例えば、本実施形態では、シールプレートの対向面、外輪の反ブーツ側開口端面内径に形成した凹部の底面、或いは、その凹部に嵌合するシール部材の側面のいずれかをテーパ形状とすることにより、外輪の反ブーツ側開口端面と非平行にしたが、ブーツアダプタの対向面、外輪のブーツ側開口端面内径に形成した凹部の底面、或いは、その凹部に嵌合するシール部材の側面のいずれかをテーパ形状にして、外輪のブーツ側開口端面と非平行にすることも可能であり、さらにいえば、両者を組み合わせて実施することも可能である。
また、外輪は、片端のみに開口部を有する形状でも、ここで挙げた実施形態のように両端に開口部を有する形状でも良い。外輪が片端のみに開口部を有するのであれば、開口端部にブーツアダプタを外嵌する場合に本発明を適用することが可能であり、外輪が両端に開口部を有するのであれば、一方の開口端部にブーツの端部を外嵌し、他方の開口端部にシールプレートを外嵌する場合などにも、本発明を適用することが可能である。
さらに、本実施形態では、凹部の底面、シール部材の側面、或いは、シールプレート(若しくはブーツアダプタ)の対向面をテーパ形状としたが、曲面状とすることも可能である。
そして、本発明は、ここで挙げた実施形態のクロスグルーブ型等速自在継手(LJ)に限らず、周知の等速自在継手に適用が可能である。例えば、固定型等速自在継手としては、ボールフィクス型等速自在継手(BJ)やアンダーカットフリー型等速自在継手(UJ)などが挙げられ、摺動型等速自在継手としては、ダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)やトリポード型等速自在継手(TJ)などが挙げられる。
1 摺動型等速自在継手(LJ)
2 外輪(外側継手部材)
3 内輪(内側継手部材)
10 スタブシャフト(軸部材)
11 軸孔(内輪)
13 ブーツ
17 ブーツアダプタ
22、32、42、52 凹部
23、33、43、53 底面(凹部)
24、34、44、54 シール部材
29、35、45、55 内側面(シール部材)
30、36、46、56 外側面(シール部材)
21、41 シールプレート
28、48 対向面(シールプレート)
2 外輪(外側継手部材)
3 内輪(内側継手部材)
10 スタブシャフト(軸部材)
11 軸孔(内輪)
13 ブーツ
17 ブーツアダプタ
22、32、42、52 凹部
23、33、43、53 底面(凹部)
24、34、44、54 シール部材
29、35、45、55 内側面(シール部材)
30、36、46、56 外側面(シール部材)
21、41 シールプレート
28、48 対向面(シールプレート)
Claims (7)
- 開口部を有する外側継手部材と、その内側に配されてトルク伝達時に前記外側継手部材に対して相対動作する内側継手部材とを備え、前記外側継手部材の開口端面内径に凹部を形成し、その凹部にシール部材を嵌合し、前記外側継手部材の開口端面に、シールプレート或いはブーツアダプタの少なくとも一方を被着させた等速自在継手であって、
前記凹部の底面、前記シール部材の側面、前記シールプレートで前記外側継手部材の開口端面との対向面、或は、前記ブーツアダプタで前記外側継手部材の開口端面との対向面のうちいずれかを、前記外側継手部材の開口端面と非平行にしたことを特徴とする等速自在継手。 - 前記凹部の底面をテーパ形状とし、これと対向する前記シール部材の内側面を前記外側継手部材の開口端面と平行にしたことを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
- 前記凹部の底面を前記外側継手部材の開口端面と平行にし、これと対向する前記シール部材の内側面をテーパ形状としたことを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
- 前記シールプレートの対向面をテーパ形状とし、これと対向する前記シール部材の外側面を前記外側継手部材の開口端面と平行にしたことを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
- 前記シールプレートの対向面を前記外側継手部材の開口端面と平行にし、これと対向する前記シール部材の外側面をテーパ形状としたことを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
- 前記ブーツアダプタの対向面をテーパ形状とし、これと対向する前記シール部材の外側面を前記外側継手部材の開口端面と平行にしたことを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
- 前記ブーツアダプタの対向面を前記外側継手部材の開口端面と平行にし、これと対向する前記シール部材の外側面をテーパ形状としたことを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
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Cited By (2)
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JP7117446B1 (ja) * | 2021-12-23 | 2022-08-12 | 日立Astemo株式会社 | 等速ジョイント |
WO2023119678A1 (ja) * | 2021-12-23 | 2023-06-29 | 日立Astemo株式会社 | 等速ジョイント |
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