JP7113352B2 - 移動体保持装置及び制御プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、移動体保持装置に関し、とくに、自走式移動体を保持する移動体保持装置、及び移動体保持装置を制御する制御プログラムに関する。
自走式掃除機が人気を博しており、様々な機能を有する自走式掃除機が提供されている。例えば、特許文献1に記載された自走式掃除機は、掃除機本体とベースステーションとからなり、ベースステーションは、リフト装置を用いて、実質的に水平方向である掃除機の動作位置から、実質的に鉛直方向であるパーキング位置へと持ち上げる。これにより、パーキング位置において掃除機により覆われる床面積を低減させることができ、省スペース化を図ることができる。
特開2018-94390号公報
本発明者らは、このような自走式掃除機においては、ベースステーションが掃除機本体を持ち上げる際に掃除機本体が落下するのを防止するための対策を講じることにより、自走式掃除機の安全性を高める技術が必要であることを課題として認識した。
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、自走式移動体の安全性を高める技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の移動体保持装置は、自走式移動体を吊り上げて保持する移動体保持装置に自走式移動体を保持するために自走式移動体を係止する係止部と、係止部を昇降させる昇降駆動部と、移動体保持装置の設置状態を検知する設置状態検知部と、を備え、昇降駆動部は、設置状態検知部が移動体保持装置の設置状態の異常を検知した場合、係止部を停止又は降下させる。
本発明の更に別の態様は、制御プログラムである。この制御プログラムは、自走式移動体を吊り上げて保持する移動体保持装置に自走式移動体を保持するために自走式移動体を係止する係止部を昇降させる機能と、移動体保持装置の設置状態を検知する機能と、移動体保持装置の設置状態の異常が検知された場合、係止部を停止又は降下させる機能と、をコンピュータに実現させる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、自走式移動体の安全性を高める技術を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る自走式掃除機の概略構成を示す機能ブロック図である。 掃除機本体を上方から見た斜視図である。 掃除機本体を下方から見た斜視図である。 充電ステーションの斜視図である。 充電ステーションに掃除機本体が保持された状態を示す斜視図である。 充電ステーションが掃除機本体を吊り上げて格納する様子を模式的に示す図である。 充電ステーションが掃除機本体を吊り上げて格納する手順を示すフローチャートである。 充電ステーションのフックと掃除機本体の被係止部の構成例を概略的に示す断面図である。 図8に示した構成例におけるフックと被係止部との良好な係止状態を示す図である。 図8に示した構成例におけるフックと被係止部との不十分な係止状態を示す図である。 フックと被係止部の別の構成例におけるフックと被係止部との良好な係止状態を示す図である。 図11に示した構成例におけるフックと被係止部との不十分な係止状態を示す図である。 実施形態3に係る充電ステーションの概略構成を示す機能ブロック図である。 実施形態4に係る充電ステーションの概略構成を示す機能ブロック図である。 周囲センサの構造を概略的に示す図である。 掃除機本体が充電ステーションに保持されたときの周囲センサの状態を模式的に示す図である。
本発明の実施形態として、自走式移動体の安全性を高めるための技術について説明する。特許文献1に記載されたような自走式移動体の掃除機本体を保持するために、移動体保持装置がフックなどの係止部により掃除機本体を係止して吊り上げる場合には、移動体保持装置が傾いたり転倒したりするなどの要因により掃除機本体が落下してしまわないように、設置状態の異常を迅速かつ的確に検知して対処する機能を搭載しておくことが重要である。したがって、本実施形態では、移動体保持装置の設置状態を検知する設置状態検知部を設け、設置状態検知部が移動体保持装置の設置状態の異常を検知した場合、係止部を停止又は降下させる。これにより、自走式移動体の安全性を高めることができる。
以下の実施形態では、自走式移動体の一例として、自走式掃除機について説明する。まず、実施形態1として、自走式掃除機の全体構成及び動作について説明した後、実施形態2として、掃除機本体を吊り上げた状態で保持する充電ステーションの係止部と掃除機本体の被係止部との係止状態の異常を検知する技術について説明し、実施形態3として、掃除機本体の係止状態の異常が検知されたときの動作について説明し、実施形態4として、充電ステーションの設置状態の異常が検知されたときの動作について説明し、実施形態5として、自走式掃除機に設けられたセンサを保護する技術について説明する。
[実施形態1:自走式掃除機の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る自走式掃除機の概略構成を示す機能ブロック図である。図2は、掃除機本体を上方から見た斜視図である。図3は、掃除機本体を下方から見た斜視図である。図4は、充電ステーションの斜視図である。図5は、充電ステーションに掃除機本体が保持された状態を示す斜視図である。
図1に示すように、自走式掃除機1は、床面に沿って走行しつつ床面を清掃する掃除ロボットである掃除機本体2と、非清掃時に掃除機本体2を保持するための移動体保持装置として機能する充電ステーション6とを備える。後述するように、本実施形態の充電ステーション6は、掃除機本体2の一端を係止して吊り上げた状態で保持するが、本実施形態では、掃除機本体2を充電ステーション6に保持することを「収納」あるいは「格納」ともいう。
掃除機本体2は、掃除機本体2の周囲を清掃するための周囲清掃手段3と、掃除機本体2の周囲の障害物を検知するためのセンサ部4と、掃除機本体2、周囲清掃手段3、及びセンサ部4を駆動制御する制御手段としての制御部5と、掃除機本体2を操作するための本体操作部15と、自走するための左右一対の車輪を有した走行駆動部12と、床面の塵やほこりを吸い込むための吸込み部14とを備える。
センサ部4は、図2に示すボディ10の前面部102に設けられた前方センサ31と、ボディ10の上面部101から上方に設けられたカバー部13の内部に設けられた周囲センサ32と、ボディ10の前面部102に設けられた赤外線通信部33とを備える。
前方センサ31は、超音波センサや赤外線センサ等で構成され、掃除機本体2の前方の障害物を検知する。周囲センサ32は、カバー部13の内部で回転駆動されるとともに、赤外線レーザー等のレーザー光を照射して距離を測定するレーザースキャナ(LIDAR(Light Detection and Ranging、又は、Laser Imaging Detection and Ranging))であって、障害物までの距離や障害物の形状を算出するものである。なお、周囲センサ32は、カバー部13に設けられたものに限らず、ボディ10の任意の位置に設けられていればよい。赤外線通信部33は、充電ステーション6に対する距離や位置を検出するために、充電ステーション6の位置検出部53の赤外線発光部53Cとの間で赤外線等による通信を行う。
周囲清掃手段3は、掃除機本体2の前部において左右一対で設けられ、掃除機本体2から側方に突出して回動可能なブラシ21と、ブラシ21を回動駆動するモータ22と、モータ22に外部から作用する負荷を検出する負荷センサ23と、ブラシ21の回動角度を検出する角度センサ24とを備える。
制御部5は、走行駆動部12を制御する走行制御部41と、吸込み部14を制御する吸込制御部42と、センサ部4の前方センサ31、周囲センサ32、赤外線通信部33、及び周囲清掃手段3の負荷センサ23、角度センサ24からの情報を処理する検出演算部43と、周囲清掃手段3のモータ22を駆動制御してブラシ21を回動させるブラシ制御部44と、センサ部4の前方センサ31、周囲センサ32、赤外線通信部33、及び周囲清掃手段3の負荷センサ23、角度センサ24を制御するセンサ制御部45とを備える。
本体操作部15は、例えば、掃除機本体2の上面部101に設けられたタッチセンサ式のスイッチ(不図示)であって、使用者によるタッチ操作によって掃除機本体2を作動させ、作動中のタッチ操作によって掃除機本体2を停止させる。
充電ステーション6は、フック64を昇降させる昇降駆動部51と、掃除機本体2のバッテリに給電して充電するための充電部52と、充電ステーション6に帰還してきた掃除機本体2との間で通信を行う位置検出部53と、充電部52による給電を制御する充電制御部54とを備える。充電ステーション6は、部屋の中の所定位置に移動不能に設置されるとともに、コンセント等の電源に接続されている。
図2に示すように、掃除機本体2の筐体を構成するボディ10の上面部101には、上方に設けられたカバー部13と、カバー部13の内部に設けられた周囲センサ32とが設けられる。前面部102には、前方センサ31と、赤外線通信部33とが設けられる。
図3に示すように、掃除機本体2の底面部105には、シャーシ11と、自走するための左右一対の車輪121を有した走行駆動部12と、床面の塵やほこりを吸い込むための吸込み部14と、掃除機本体2の前方の床に敷かれたカーペットなどの敷物を押さえるためのカーペット押さえ部19と、シャーシ11の後部に設けられた補助輪122及びローラー部123とが設けられている。吸込み部14には、ローラーブラシ、ダクト、吸引ファン、集塵室、及び排気口が接続されており、吸い込んだ塵等を集塵室のフィルタで集塵するとともに、吸い込んだ空気を排気口から排気するようになっている。
図4に示すように、充電ステーション6は、床面に載置される基部61と、基部61から立ち上がる柱部62と、掃除機本体2を吊り上げるための係止部として機能する一対のフック64とを備える。基部61及び柱部62の内部には、昇降駆動部51、充電部52、及び充電制御部54が設けられている。
基部61の上面中央部には、掃除機本体2のボディ10の底面部105を案内するスロープ61Cが設けられている。このスロープ61Cは、前方側から後方側に向かって上り傾斜を有し、充電ステーション6に向かって接近してきた掃除機本体2の前部側が斜め上方に向かって案内されるようになっている。これにより、掃除機本体2の前部側を上向きに傾けてからフック64によって吊り上げることができるので、よりスムーズに掃除機本体2を吊り上げることができる。さらに、ローラー部123が床やスロープ61Cと接触してコロのように動くので、掃除機本体2の後部側底面端部が床上やスロープ61C上でスムーズに前方へ移動する。また、吊り上げた状態で保持された掃除機本体2を下方に降ろす際に、掃除機本体2の後部側がスロープ61Cを下るように案内することができるので、掃除機本体2をスムーズに降ろすことができる。この際も、ローラー部123が床やスロープ61Cと接触してコロのように動くので、掃除機本体2の後部側底面端部が床上やスロープ61C上でスムーズに後方へ移動する。
柱部62の前面には、位置検出部53を構成する複数の赤外線発光部53Cが設けられている。これらの赤外線発光部53Cが発光した赤外線を掃除機本体2の赤外線通信部33が受光することで、掃除機本体2は、充電ステーション6に向かって移動しつつ充電ステーション6に対する自身の左右位置や距離を検出する。掃除機本体2は、検出された位置や距離に基づいて走行駆動部12を適宜に調節しつつ移動し、充電ステーション6における所定の載置位置(ドッキング位置、吊り上げ可能位置)まで進入する。
柱部62には、フック64を上下に案内するスリット62Eが形成されている。柱部62の前面及びスリット62Eは、上方に向かうにしたがって後方に傾斜して設けられており、図5に示すように、掃除機本体2の前部側が斜め上方に向かって吊り上げられるようになっている。これにより、鉛直方向に向かって吊り上げる場合に比較して、安定的かつスムーズに掃除機本体2を吊り上げることができる。
フック64は、昇降駆動部51により駆動されて基部61から柱部62に亘って昇降可能に設けられている。すなわち、フック64は、基部61の上面よりも下方の退避位置から、掃除機本体2を係止可能な係止位置、吊り上げ途中の第1格納位置を通って、最上部の第2格納位置までの間を昇降可能に構成されている。
充電部52は、フック64に接触して給電可能な複数の給電端子を有し、吊り上げ前の係止位置、吊り上げ途中の第1格納位置、又は吊り上げ後の第2格納位置にてフック64が給電端子と導通するように構成される。このように、掃除機本体2を吊り上げるためのフック64が給電端子として機能することで、別途の給電端子を準備しなくても、吊り上げた掃除機本体2のバッテリに容易に給電し、バッテリを充電することができる。また、可動するフック64に配線を直接接続することなく、ドッキング位置、第1格納位置、又は第2格納位置においてフック64を介して掃除機本体2のバッテリに充電することができる。
掃除機本体2の底面部105の前部側には、図4に示すように、フック64により係止される一対の被係止部16が設けられている。被係止部16は、掃除機本体2のバッテリ(不図示)に電気的に接続され、掃除機本体2の充電端子として機能する。
位置検出部53は、赤外線発光部53Cに加えて、基部61に設けられたホールセンサ53Aを備える。一方、掃除機本体2の底面部の前部側には、磁石が設けられている。掃除機本体2が基部61の上に移動して、掃除機本体2がフック64によって吊り上げ可能なドッキング位置に戻ると、ホールセンサ53Aが磁石を検知し、掃除機本体2がドッキング位置に戻ったことを位置検出部53が検出する。
このように位置検出部53によって掃除機本体2がドッキング位置に戻ったことを検知するまでは、昇降駆動部51は、フック64を退避位置に下降させておき、掃除機本体2の移動中にフック64と被係止部16とが接触しないようになっている。これにより、掃除機本体2の一部とフック64とが摺接することを防止し、掃除機本体2の底面部105及びフック64の摩耗を低減させることができるとともに、掃除機本体2が充電ステーション6に不在のときにも、基部61からのフック64の突出をなくし、フック64に人の足や衣服が引っ掛かることを防止することができる。
掃除機本体2がドッキング位置に戻ったことを位置検出部53が検知したら、昇降駆動部51は、フック64を係止位置まで上昇させ、被係止部16を係止させる。掃除機本体2がドッキング位置にきたことを位置検出部53が検知してから、昇降駆動部51がフック64を係止位置まで上昇させることにより、フック64によって掃除機本体2の被係止部16を確実に係止することができ、掃除機本体2を安定して吊り上げることができる。
[自走式掃除機の動作]
次に、図6及び図7を参照して、自走式掃除機1の動作について説明する。図6は、充電ステーション6が掃除機本体2を吊り上げて格納する様子を模式的に示す。図7は、充電ステーション6が掃除機本体2を吊り上げて格納する手順を示すフローチャートである。
床面の清掃を終えた掃除機本体2は、充電ステーション6の近傍まで戻ってくると、充電ステーション6に帰還するための動作を実行する(ST1)。すなわち、前部側を充電ステーション6に向け、赤外線通信部33によって充電ステーション6の赤外線発光部53Cからの赤外線を受光し、充電ステーション6に対する距離や位置を検出しながら充電ステーション6に向けて移動する。掃除機本体2が充電ステーション6の基部61まで近づくと、ボディ10の底面部105が基部61のスロープ61Cに乗り上げて斜め上方に案内される。位置検出部53のホールセンサ53Aが磁石を検知することで、掃除機本体2がドッキング位置まで移動したことが検出されると、その旨が赤外線通信部33を介して掃除機本体2に通知され、掃除機本体2は走行駆動部12の駆動を停止する。図6(a)に示すように、掃除機本体2が充電ステーション6のドッキング位置で停止するまでは、フック64はスロープ61Cの上面よりも下方の退避位置H1に退避されている。
掃除機本体2が充電ステーション6のドッキング位置に到達することができず、ホールセンサ53Aが掃除機本体2の磁石を検知しなかった場合は(ST2のN)、掃除機本体2は、いったん後退し(ST20)、帰還動作をやり直す(ST1)。
掃除機本体2がドッキング位置まで移動したら(ST2のY)、充電ステーション6の昇降駆動部51は、フック64を退避位置から係止位置まで上昇させ、被係止部16を係止させる。このようにフック64が係止位置にあって被係止部16を係止することで、フック64及び被係止部16を介して充電部52と掃除機本体2のバッテリとが導通され、充電制御部54によって充電部52から給電することによりバッテリが充電される。このようにドッキング位置にてバッテリに充電した後、再び清掃を開始する場合には、昇降駆動部51がフック64を退避位置まで下降させてから、掃除機本体2が走行駆動部12を駆動させて充電ステーション6から離脱する。
掃除機本体2を充電ステーション6に格納する場合には、被係止部16を係止したフック64を昇降駆動部51が上昇させる。このようにフック64が上昇することで、掃除機本体2の前部側が斜め上方に吊り上げられる。この吊り上げの際、掃除機本体2の補助輪122が床面に沿って転動し、さらに補助輪122が基部61のスロープ61Cに乗り上げてスロープ61Cに沿って転動することで、掃除機本体2が円滑に案内されるようになっている。
図6(b)に示すように、昇降駆動部51は、フック64を第1格納位置H2まで上昇させて停止させる(ST3)。ここで、充電制御部54が充電部52から給電端子に給電して、フック64と掃除機本体2の被係止部16の充電端子とが導通しているかを確認することにより、被係止部16とフック64との係止状態を確認する(ST4)。第1格納位置H2においては、掃除機本体2がスロープ61C上の載置位置から若干吊り上げられた状態になっているので、被係止部16とフック64の位置が合っていれば、掃除機本体2の自重により被係止部16がフック64に押し当てられて、フック64が被係止部16に係入した状態になっている。したがって、載置位置において被係止部16とフック64との係止状態を確認する場合よりも、より精確に係止状態を確認することができる。被係止部16とフック64とが導通している場合は(ST4のY)、フック64が被係止部16を適切に係止することができていると推定されるので、充電制御部54は、充電部52からの給電を停止させ、昇降駆動部51は、図6(c)に示すように、フック64をさらに上昇させる。フック64が第2格納位置H3まで到達すると、図6(d)に示すように、掃除機本体2が前部側を斜め上方又は上方に向けた状態で充電ステーション6に格納される。
このように掃除機本体2が格納された状態において、フック64及び被係止部16を介して充電部52と掃除機本体2のバッテリとが導通され、充電制御部54によって充電部52から給電することによりバッテリが充電される。再び清掃を開始する場合には、昇降駆動部51がフック64を退避位置まで下降させてから、掃除機本体2が走行駆動部12を駆動させて充電ステーション6から離脱する。
ST4において、フック64と掃除機本体2の被係止部16の充電端子とが導通していなかった場合は(ST4のN)、フック64が被係止部16を十分に係止することができていないと推定されるので、昇降駆動部51は、フック64を退避位置H1まで下降させ、掃除機本体2をドッキング位置に戻す(ST40)。この状態から再びフック64を上昇させて被係止部16を係止し直してもよいが、フック64が被係止部16を係止できなかった要因は掃除機本体2の位置のずれである可能性が高いので、掃除機本体2は、いったん後退し(ST20)、帰還動作をやり直す(ST1)。
このように、第2格納位置よりも低い第1格納位置でいったんフック64の上昇を停止させ、フック64と被係止部16との導通により係止状態を確認してから第2格納位置まで上昇させるので、上昇途中で被係止部16がフック64から外れてしまう事態の発生を低減させることができる。
本実施形態の自走式掃除機1によれば、充電ステーション6が、掃除機本体2の前部側を吊り上げた状態で保持することにより、保持した掃除機本体2の床面に対する投影面積を小さくすることができ、保持状態にある掃除機本体2及び充電ステーション6を合わせた占有スペースを小さくすることができる。
[実施形態2:係止状態の異常検知]
つづいて、上述した自走式掃除機1において、フック64と被係止部16との係止状態を確認し、係止状態の異常を的確に検知するための技術について説明する。
実施形態1で説明したように、本実施形態の自走式掃除機1においては、掃除機本体2の被係止部16と充電ステーション6のフック64の双方が、金属などの導電性を有する材料により形成された導電部を有しており、第1格納位置H2においてフック64と被係止部16との間の導通が確認されると、係止状態が良好であると判断され、掃除機本体2が第2格納位置H3まで吊り上げられる。このとき、フック64と被係止部16との係止状態に異常がある場合にもフック64と被係止部16との間が導通しうるように構成されていると、異常を的確に検知することができない場合が生じうる。したがって、本実施形態では、フック64と被係止部16とが接触したときに、フック64が掃除機本体2を吊り上げ可能に係止した状態においてはフック64の導電部と被係止部16の導電部とが接触し、フック64が掃除機本体2を吊り上げ可能に係止していない状態においてはフック64の導電部と被係止部16の導電部とが接触しないように、フック64及び被係止部16の導電部が設けられる。これにより、フック64と被係止部16との係止状態を導通により的確に確認することができるので、自走式掃除機1の安全性を向上させることができる。
図8は、充電ステーション6のフック64と掃除機本体2の被係止部16の構成例を概略的に示す断面図である。被係止部16は、掃除機本体2の底面に設けられた凹部17と、掃除機本体2が吊り上げられた状態で充電ステーション6により保持されるときに上側となる凹部17の内面に設けられた電極18とを有する。フック64は、金属などの導電性を有する材料により形成された横棒部69の先端に、凹部17に係入する突出部65が設けられたL字状の形状を有する。突出部65も導電性を有する材料により形成されており、突出部65の上面に絶縁部66が設けられる。
図9は、図8に示した構成例におけるフック64と被係止部16との良好な係止状態を示す。昇降駆動部51がフック64を図8に示した位置から第1格納位置H2まで上昇させたとき、フック64と被係止部16との係止状態が良好である場合は、図9(a)に示すように、フック64の導電部と電極18とが接触する。したがって、フック64に給電すると、フック64と電極18との間の導通が確認される。昇降駆動部51が更にフック64を第2格納位置H3まで上昇させると、図9(b)に示すように、掃除機本体2が良好な係止状態にて充電ステーション6により吊持される。この状態においても、フック64の導電部と電極18とは接触しているので、フック64から電極18へ給電して掃除機本体2のバッテリを充電することができる。
図10は、図8に示した構成例におけるフック64と被係止部16との不十分な係止状態を示す。掃除機本体2がスロープ61Cの載置位置よりも若干手前で停止した場合は、昇降駆動部51がフック64を図8に示した位置から第1格納位置H2まで上昇させたときに、図10に示すように、突出部65が凹部17に係入しない。このとき、突出部65の上面に絶縁部66が設けられていなければ、フック64の導電部が電極18と接触するので、導通による係止状態の確認(ST4)において、良好な係止状態であると判定されてしまうことになる。そこで、本実施形態では、突出部65の上面に絶縁部66を設け、フック64と被係止部16とが係止していない状態においてはフック64の導電部と電極18とが接触しないようにしている。すなわち、図10に示したような不十分な係止状態においてはフック64と電極18との間は導通しない。これにより、導通の確認により係止状態の異常を的確に検知することができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。また、簡易な構成により係止状態の異常を検知することができるので、自走式掃除機1の製造コストを抑えることができる。
図11は、フック64と被係止部16の別の構成例におけるフック64と被係止部16との良好な係止状態を示す。図11に示した構成例において、フック64の形状は、図8~10に示した構成例と同様にL字状であるが、概ね絶縁部67により構成されており、横棒部69の上面の一部と突出部65の側面の一部に導電部68が設けられている。この構成例においても、フック64と被係止部16との係止状態が良好である場合は、図11(a)に示すように、第1格納位置H2においてフック64の導電部68と電極18とが接触する。また、図11(b)に示すように、第2格納位置H3においてもフック64の導電部68と電極18とが接触する。
図12は、図11に示した構成例におけるフック64と被係止部16との不十分な係止状態を示す。この構成例においても、図12に示したような不十分な係止状態においてはフック64の導電部68と電極18とが接触しないので、フック64と電極18との間は導通しない。これにより、導通の確認により係止状態の異常を的確に検知することができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。また、簡易な構成により係止状態の異常を検知することができるので、自走式掃除機1の製造コストを抑えることができる。
フック64の導電部と、被係止部16の電極18は、その他にも様々な態様で構成しうる。要は、フック64と被係止部16とが接触したときに、フック64が掃除機本体2を吊り上げ可能に係止した状態においてはフック64の導電部と被係止部16の電極18とが接触し、フック64が掃除機本体2を吊り上げ可能に係止していない状態においてはフック64の導電部と被係止部16の電極18とが接触しないように、フック64及び被係止部16が設けられればよい。
フック64の導電部及び被係止部16の電極18は、被係止部16がフック64により係止された状態でフック64が昇降駆動部51により上昇されて掃除機本体2が吊り上げられた状態においてフック64の導電部と被係止部16の電極18とが接触し、掃除機本体2が吊り上げられていない状態においてフック64の導電部と被係止部16の電極18とが接触しないように設けられてもよい。例えば、掃除機本体2の凹部17に、フック64の突出部65よりも内径の小さい開口を有するゴムなどの絶縁体のカバーが設けられ、掃除機本体2が吊り上げられていない状態でフック64をカバーに接触させても導電部同士が接触せず、掃除機本体2が吊り上げられると、掃除機本体2の自重によりカバーの開口に突出部65が貫入してフック64の導電部が電極18に接触するように構成されてもよい。これにより、掃除機本体2を把持しているときなどに誤って電極18に触れて感電してしまうのを防ぐことができる。
このように、本実施形態によれば、フック64の導電部と被係止部16の電極18との間の導通を確認することにより、フック64と被係止部16との係止状態を確認することができ、係止状態の異常を的確に検知することができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。
[実施形態3:係止状態の異常発生時の動作]
つづいて、上述した自走式掃除機1において、掃除機本体2とフック64との係止状態に異常が発生した場合に、異常を的確に検知してフック64を停止又は降下させる技術について説明する。
図13は、実施形態3に係る充電ステーション6の概略構成を示す機能ブロック図である。実施形態3に係る充電ステーション6は、図1に示した実施形態1に係る充電ステーション6の構成に加えて、異常検知部55を備える。また、昇降駆動部51は、モータ57、モータ制御部58、及び電流値検出部59を備える。その他の構成及び動作は、実施形態1と同様である。実施形態1と異なる特徴について主に説明する。
異常検知部55は、掃除機本体2の被係止部16と充電ステーション6のフック64との係止状態の異常を検知する。昇降駆動部51は、異常検知部55が係止状態の異常を検知した場合、フック64を停止又は降下させる。
異常検知部55が係止状態の異常を検知するための方法の第1の例は、フック64を昇降させるための駆動力を発生するモータ57に流れた電流の値を基準とする方法である。モータ57に流れる電流の値は、モータ57にかかるトルク負荷の大きさを反映するから、掃除機本体2の被係止部16の一方がフック64から外れるなどして掃除機本体2が異常な振動を始めると、モータ57に通常の吊り上げ動作中とは異なるトルク負荷がかかるので、モータ57に流れる電流の値も異常を示す。したがって、異常検知部55は、昇降駆動部51がフック64を昇降させているときに、モータ57に流れる電流の値を検出する電流値検出部59から検出された電流の値を取得し、係止状態の異常を検出するための検出条件を参照して、係止状態の異常を検出する。検出条件は、例えば、電流値、電流値の変化率、電流値の変化率の変化率、電流値の積算値、平均値、最大値、最小値などに基づく条件であってもよく、電流値が所定の閾値を超えた回数などであってもよい。この方法によれば、簡易な構成により係止状態の異常を検知することができるので、自走式掃除機1の製造コストを抑えることができる。
異常検知部55が係止状態の異常を検知するための方法の第2の例は、充電ステーション6に振動検知部を設け、振動検知部により検出された情報を基準とする方法である。振動検知部は、静電容量式、渦電流式、レーザドップラ式、圧電式、電磁式などの任意の方式の振動センサであってもよい。これらの振動センサは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)やNEMS(Nano Electro Mechanical Systems)などにより充電ステーション6に搭載されてもよい。掃除機本体2を吊り下げて格納して充電している際に、地震の発生や、人が掃除機本体2に触れたり、掃除機本体2が誤動作して運転開始したり等して、掃除機本体2および充電ステーション6に不要な振動が印加されると、掃除機本体2の充電端子と充電ステーション6の給電端子との間にチャタリングが発生し、両端子が劣化して充電効率が低下するというような、係止状態の異常が発生する可能性がある。そのため、本構成では、上記のような振動が発生した場合、異常検知部55は、振動検知部から検出された情報を取得し、その情報に基づいて係止状態の異常を検出するための検出条件を参照して、係止状態の異常を検出する。検出条件は、例えば、振動の振幅、周期、振動又は周期の変化率、平均値、最大値、最小値などに基づく条件であってもよく、振動の振幅が所定の閾値を超えたことなどであってもよい。この方法によれば、より迅速かつ的確に係止状態の異常を検知することができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。振動検知部が振動を検知すると、充電制御部54によって上記と同様な異常検出の検出条件に基づき異常を検出し、異常を検出した場合は充電部52から給電することを停止する構成としても良い。そうすることにより、振動が発生した際に掃除機本体2の充電端子と充電ステーション6の給電端子との間に発生するチャタリングを防止し、より確実に充電することができるとともに、端子の劣化を抑えることができ、充電効率を高めることができる。また、振動を検知したときに給電を停止するので、自走式移動体の安全性を向上させることができる。
異常検知部55が係止状態の異常を検知するための方法の第3の例は、充電ステーション6に加速度センサ、変位センサ、姿勢センサなどを設け、これらのセンサにより検出された情報を基準とする方法である。この場合、異常検知部55は、これらのセンサから検出された情報を取得し、これらの情報に基づいて係止状態の異常を検出するための検出条件を参照して、係止状態の異常を検出する。
異常検知部55が係止状態の異常を検知するための方法の第4の例は、掃除機本体2から取得された情報を基準とする方法である。この場合、異常検知部55は、掃除機本体2が備える前方センサ31、周囲センサ32、速度センサ、加速度センサ、姿勢センサなどにより検出された情報を、赤外線通信などを介して取得し、これらの情報に基づいて係止状態の異常を検出するための検出条件を参照して、係止状態の異常を検出する。
異常検知部55は、以上の方法のいずれか1つを使用してもよいし、2以上の方法を任意に組み合わせて使用してもよい。また、その他の任意の方法により係止状態の異常を検知してもよい。例えば、充電ステーション6の周囲に設置された撮像装置により撮像された、掃除機本体2が充電ステーション6により吊り上げられるときの画像を、無線通信などを介して取得し、取得した画像を解析することにより係止状態の異常を検出してもよい。
以上のような方法により、異常検知部55が係止状態の異常を検知した場合、昇降駆動部51は、フック64を停止又は降下させる。昇降駆動部51は、フック64をその位置で停止させてもよいし、フック64を降下させてから停止させてもよいし、フック64をいったん停止させて待機し、所定時間が経過したとき、又は、掃除機本体2の振動の振幅が所定値未満に減衰したときに、フック64を降下させてもよい。
昇降駆動部51は、フック64を退避位置H1まで降下させてから停止させてもよい。これにより、掃除機本体2がフック64から脱落していたとしても、フック64を退避位置H1に収納して、フック64の停止中に人や周囲の物などがフック64に引っかかったり当たったりする事態を低減させることができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。また、充電ステーション6が異常状態から復帰したときに、フック64が昇降して人や周囲の物などに接触する事態を低減させることができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。
昇降駆動部51は、フック64を第1格納位置H2まで降下させてから停止させてもよい。これにより、万が一、掃除機本体2がフック64から外れて落下したとしても、落下の衝撃を低減させることができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。また、フック64と被係止部16とが導通している場合には、第1格納位置H2にて掃除機本体2を充電してもよい。
異常検知部55は、昇降駆動部51がフック64を昇降させている間だけでなく、掃除機本体2が第1格納位置H2又は第2格納位置H3で保持されている間に、掃除機本体2の被係止部16と充電ステーション6のフック64との係止状態の異常を検知してもよい。この場合は、モータ47が駆動されていないので、上述した第1の例以外の方法により異常が検知されてもよい。異常検知部55により係止状態の異常が検知された場合、充電制御部54は、充電部52による充電を停止させ、昇降駆動部51は、フック64を第1格納位置H2又は退避位置H1まで降下させてから停止させる。これにより、掃除機本体2が吊り上げられて保持されている間に、人、動物、他の自走式移動体などが接触するなどして係止状態に異常が生じた場合であっても、掃除機本体2を自動的に降下させることができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。
このように、本実施形態によれば、掃除機本体2を吊り上げている間や、吊り上げた状態で保持している間に、掃除機本体2の被係止部16と充電ステーション6のフック64との係止状態に異常が発生した場合に、異常を迅速かつ的確に検知してフック64を停止又は降下させるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。
[実施形態4:設置状態の異常発生時の動作]
つづいて、上述した自走式掃除機1において、充電ステーション6の設置状態に異常が発生した場合に、異常を的確に検知してフック64を停止又は降下させる技術について説明する。
図14は、実施形態4に係る充電ステーション6の概略構成を示す機能ブロック図である。実施形態4に係る充電ステーション6は、図1に示した実施形態1に係る充電ステーション6の構成に加えて、設置状態検知部60を備える。その他の構成及び動作は、実施形態1と同様である。実施形態1と異なる特徴について主に説明する。
設置状態検知部60は、充電ステーション6の設置状態を検知する。設置状態検知部60は、充電ステーション6の接地面に設けられ、充電ステーション6の接地面の接地状態を検知する転倒スイッチであってもよい。この場合、充電ステーション6の接地面が床などから離れたときに設置状態の異常が検知される。設置状態検知部60は、充電ステーション6に内蔵された加速度センサ、変位センサ、姿勢センサ、傾斜センサなどであってもよい。設置状態検知部60は、掃除機本体2に備えられた前方センサ31、周囲センサ32、速度センサ、加速度センサ、姿勢センサなどにより検出された情報を、赤外線通信などを介して取得し、取得した情報に基づいて充電ステーション6の設置状態を検知してもよい。この場合、充電ステーション6が転倒したとき、所定の角度以上傾いたとき、所定量以上変位したときなどに設置状態の異常が検知されてもよい。
設置状態検知部60が充電ステーション6の設置状態の異常を検知した場合、昇降駆動部51は、フック64を停止又は降下させる。昇降駆動部51がフック64を昇降させているときに設置状態の異常が検知された場合、昇降駆動部51は、フック64をその位置で停止させてもよいし、フック64を降下させてから停止させてもよいし、フック64をいったん停止させて待機し、所定時間が経過したときにフック64を降下させてもよい。
掃除機本体2が第1格納位置H2又は第2格納位置H3で保持されているときに設置状態の異常が検知された場合、充電制御部54は、充電部52による充電を停止させ、昇降駆動部51は、フック64を退避位置H1まで降下させてから停止させる。これにより、掃除機本体2が吊り上げられて保持されている間に、人、動物、他の自走式移動体などが接触するなどして充電ステーション6の設置状態に異常が生じた場合であっても、掃除機本体2を自動的に降下させることができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。また、フック64の停止中に人や周囲の物などがフック64に引っかかったり当たったりする事態を低減させることができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。また、充電ステーション6が異常状態から復帰したときに、フック64が昇降して人や周囲の物などに接触する事態を低減させることができるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。
このように、本実施形態によれば、掃除機本体2を吊り上げている間や、吊り上げた状態で保持している間に、充電ステーション6の設置状態に異常が発生した場合に、異常を迅速かつ的確に検知してフック64を停止又は降下させるので、自走式掃除機1の安全性を高めることができる。
実施形態3の技術と実施形態4の技術を組み合わせて適用してもよい。すなわち、充電ステーション6は、実施形態3の異常検知部55と、実施形態4の設置状態検知部60の双方を備えてもよい。この場合、昇降駆動部51は、掃除機本体2と充電ステーション6との係止状態、及び、充電ステーション6の設置状態のうちいずれか一方の異常が検知された場合に、フック64を停止又は降下させてもよい。これにより、自走式掃除機1の安全性を更に高めることができる。
[実施形態5:センサを保護するための技術]
つづいて、上述した自走式掃除機1において、周囲センサ32を保護するための技術について説明する。
図15は、周囲センサ32の構造を概略的に示す。周囲センサ32は、レーザー光を発光する発光部34と、自走式掃除機1の周囲の物体などにより反射されたレーザー光を受光する受光部35と、発光部34及び受光部35を載置するステージ36と、ステージ36を回転自在に軸支するハウジング37と、ステージ36のハウジング37に対する回転角を検知するためのロータリエンコーダ38とを備える。
センサ制御部45は、走行制御部41により自走式掃除機1の走行が制御されるときに、周囲センサ32を制御して自走式掃除機1の周囲の状況を検知させる。センサ制御部45は、ロータリエンコーダ38により検出されたステージ36の回転角を把握しつつ、ステージ36を回転させる。検出演算部43は、発光部34からレーザー光が発光されたときに受光部35により受光されたレーザー光の強度信号を演算し、周囲の物体の形状や、周囲の物体までの距離などを算出する。また、走行中の掃除機本体2の向きとステージ36の回転角から反射点の方向を算出する。走行制御部41は、周囲センサ32により検知された周囲の状況に基づいて走行駆動部12を駆動する。ステージ36は、全ての角度範囲にわたって回転可能に設けられる。また、周囲センサ32は、図2に示すように、掃除機本体2の上面部101よりも若干高い位置に設けられる。したがって、走行制御部41は、周囲センサ32により全方位の状況を的確に把握しつつ、掃除機本体2を走行させることができる。
周囲センサ32は、発光部34、受光部35、及び反射点の位置から三角測量により反射点までの距離を測定する三角測距方式のLIDARであってもよいし、発光部34から照射されたレーザー光が反射点で反射されて受光部35により受光されるまでの時間から反射点までの距離を測定するTOF(Time Of Flight)方式のLIDARであってもよいし、その他の任意の方式のセンサであってもよい。三角測距方式のLIDARを使用する場合は、測定誤差を小さくするために、図15に示すように、発光部34と受光部35が離れた位置に設けられる。TOF方式のLIDARを使用する場合は、発光部34と受光部35が近接した位置に設けられてもよい。
センサ制御部45は、掃除機本体2が充電ステーション6に移動し、フック64により吊り上げられて所定の角度以上傾いた状態で保持されると、ステージ36の回転角が所定の継続停止禁止範囲内にあるか否かを確認し、継続停止禁止範囲内にある場合は、継続停止禁止範囲外になるようにステージ36を回転させる。本実施形態では、発光部34及び受光部35の開口からほこりや水分などが侵入して溜まらないようにするために、周囲センサ32の開口が上向きになるステージ36の回転角の範囲が継続停止禁止範囲として設定される。センサ制御部45は、掃除機本体2が充電ステーション6の載置位置に載置された状態では上記の機能を実行せず、掃除機本体2が第1格納位置又は第2格納位置まで吊り上げられて保持されたときに上記の機能を実行してもよい。または、載置位置及び第1格納位置では上記の機能を実行せず、第2格納位置まで吊り上げられて保持されたときに上記の機能を実行してもよい。または、掃除機本体2が載置位置に載置されたときに上記の機能を実行してもよい。
図16は、掃除機本体2が充電ステーション6に保持されたときの周囲センサ32の状態を模式的に示す。図5に示すように、掃除機本体2が充電ステーション6により吊り上げられた状態で保持されるとき、掃除機本体2は直角に立てられた状態で保持されるのではなく、傾いた状態で保持される。したがって、図16に示すように、カバー部13に設けられた周囲センサ32のステージ36も、傾いた状態で保持される。このとき、発光部34及び受光部35の開口が、ハウジング37の最も高い位置へ向かう方向39を中心として左右にそれぞれ角度αの継続停止禁止範囲40の方に向いている場合は、センサ制御部45は、継続停止禁止範囲40から外れるようにステージ36を回転させる。これにより、周囲センサ32の発光部34及び受光部35を適切に保護することができるので、周囲センサ32の検知精度及び耐用期間を向上させることができる。
継続停止禁止範囲は、水平方向よりも上の方向を含むように設定される。継続停止禁止範囲は、ハウジング37の最も高い位置へ向かう方向39を中心として、両側にそれぞれ、10度、30度、45度、60度、又は90度の範囲であってもよい。
センサ制御部45は、掃除機本体2が充電ステーション6により吊り上げられた状態で保持されている間のステージ36の角度の履歴を記憶装置に記憶してもよい。周囲センサ32は、通常、水平な状態で使用されることを想定して設計されるので、傾いた状態で長時間保持され続けると、自重により各構成の位置がずれることがありうる。したがって、センサ制御部45は、ステージ36が何度も同じ角度で長時間保持されることを避けるために、ステージ36の角度、保持時間、保持回数などの履歴を記憶装置に記憶しておき、掃除機本体2が充電ステーション6により保持されたときに、記憶装置に記憶された履歴を参照して、ステージ36の角度ごとの保持時間が長期的にみて平滑化されるように、掃除機本体2が今回保持される間のステージ36の角度を決定し、決定した角度にステージ36を回転させてもよい。これにより、周囲センサ32の各構成のバランスを保つことができるので、検知精度を良好に維持することができ、周囲センサ32の耐用期間を長くすることができる。センサ制御部45は、ステージ36の角度が継続停止禁止範囲40内にある状態で掃除機本体2が充電ステーション6に保持されたときにのみ、上記の方法でステージ36の角度を決定してステージ36を回転させてもよいし、ステージ36の角度が継続停止禁止範囲40内にあるか否かにかかわらず、上記の方法でステージ36の角度を決定してステージ36を回転させてもよい。いずれにしても、ステージ36の角度が継続停止禁止範囲40内にならないようにステージ36の角度が決定される。
上述した例では、ほこりや水分などが周囲センサ32の開口から侵入するのを防ぐために、掃除機本体2が傾いた状態で停止している間、開口が水平方向よりも上に向かないようにステージ36を回転させた。別の例として、掃除機本体2が水平な状態で停止しているときにも、所定の継続停止禁止範囲に開口が向いているときは、継続停止禁止範囲から外れるようにステージ36を回転させてもよい。例えば、直射日光が周囲センサ32の受光部35に長時間入射すると、受光センサや、受光センサの前段に設けられた可視光カットフィルタなどが劣化する場合がある。このように、ほこりや水分以外にも、周囲センサ32に悪影響を及ぼしうる外因が存在する。したがって、ほこり、水分、光など、周囲センサ32の発光部34又は受光部35に悪影響を及ぼしうる外因がとくに多い方向がある場合には、その方向を避けるようにステージ36を回転させてもよい。この場合、検出演算部43が、受光部35により受光された光の強度信号を解析することにより、ほこり、水分などが多く存在する方向や、強い光が受光部35に入射する方向を判定し、センサ制御部45は、開口の向きが判定された方向から外れるようにステージ36を回転させてもよい。センサ制御部45は、掃除機本体2が所定時間以上停止している場合に、周囲センサ32を一周回転させて避けるべき方向を判定し、ステージ36を停止させる角度を決定してもよいし、掃除機本体2が所定時間以上停止しているときのステージ36の角度において、受光部35により受光された信号から演算された判定のための演算値が所定の閾値未満である場合にはステージ36をそのまま停止させ、所定の閾値以上である場合にはいったんステージ36を所定量回転させ、回転後の角度で再び演算値を算出させて再度回転させる必要があるか否かを判定してもよい。掃除機本体2が充電ステーション6に傾いた状態で保持されるときにも、ほこりや水分の侵入を防ぐための上向きの継続停止禁止範囲だけでなく、床面からの反射光の入射を防ぐために下向きの所定の継続停止禁止範囲を設定するなど、複数の観点から複数の継続停止禁止範囲が設定されてもよい。
上述した例では、周囲センサ32の開口が所定の継続停止禁止範囲に向いたまま継続的に停止しないように、センサ制御部45がステージ36を回転させた。別の例として、ステージ36が自重や磁力などの作用により回転されるように構成してもよい。この場合、掃除機本体2が傾いた状態で停止したときに、センサ制御部45が、ステージ36を回転させるためのモータの駆動力をステージ36に伝達するためのクラッチ機構を外して、ステージ36が自重や磁力などの作用により自由回転できる状態にすることにより、周囲センサ32の開口が所定の継続停止禁止範囲に向かないように回転させてもよい。ステージ36は、例えば、重心位置が中央付近よりも開口の方向にずれるように構成されることにより、掃除機本体2が傾いて保持されたときに開口が下に向くようにされてもよい。また、球体が転動可能な通路などを設け、掃除機本体2が傾いて保持されたときに球体が通路を転動して重心が中央付近からずれることにより、開口が下に向くようにされてもよい。また、ステージ36とハウジング37に磁石が設けられ、掃除機本体2が傾いて保持されたときに磁力の作用により開口が下に向くようにされてもよい。この場合、通常の走行時にステージ36の回転が磁力の影響を受けないようにするために、ステージ36とハウジング37の少なくとも一方に電磁石が設けられ、ステージ36を回転させるときに電磁石に通電して磁力を発生させてもよい。
上述した技術は、LIDARを使用した周囲センサに限らず、開口が設けられた回転体を備える任意のセンサ、又は、開口が設けられた任意の回転体に適用可能である。
本実施形態の技術によれば、掃除機本体2が停止されたとき、又は、掃除機本体2が所定の角度以上傾いた状態で保持されるときに、周囲センサ32の開口が所定の継続停止禁止範囲の方向に向いている場合、開口が継続停止禁止範囲外の方向に向くようにステージ36が回転されるので、周囲センサ32の開口からほこり、水分、光などが侵入して周囲センサ32に悪影響を及ぼすのを抑えることができる。これにより、周囲センサ32の検知精度や耐用期間を向上させることができる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。これらの実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施形態の技術は、自走式掃除機以外にも、自動運転車、無人航空機、自走式ロボットなど、自走可能な各種の移動体に適用可能である。また、上記の実施形態1~5の技術のうちの2以上を任意に組み合わせて適用可能である。
本発明の第1の態様の移動体保持装置は、自走式移動体を吊り上げて保持する移動体保持装置に自走式移動体を保持するために自走式移動体を係止する係止部と、係止部を昇降させる昇降駆動部と、移動体保持装置の設置状態を検知する設置状態検知部と、を備え、昇降駆動部は、設置状態検知部が移動体保持装置の設置状態の異常を検知した場合、係止部を停止又は降下させる。この態様によると、移動体保持装置の設置状態に異常が発生した場合に、異常を的確に検知して係止部を停止又は降下させることができるので、自走式移動体の安全性を向上させることができる。
第2の態様は、第1の態様において、設置状態検知部は、移動体保持装置の接地面に設けられた転倒スイッチを含むように構成されたものである。この態様によると、簡易な構成により設置状態の異常を検知することができるので、自走式移動体の製造コストを抑えることができる。
第3の態様は、第2の態様において、係止部が導電性であり、係止部から自走式移動体の導電性の被係止部へと電力を供給する充電制御部を有し、転倒スイッチの検知結果に応じて、充電制御部は、係止部への電力供給をオンまたはオフするように構成されたものである。この態様によると、充電効率を向上させることができるとともに、自走式移動体の安全性を高めることができる。
本発明の第4の態様の制御プログラムは、自走式移動体を吊り上げて保持する移動体保持装置に自走式移動体を保持するために自走式移動体を係止する係止部を昇降させる機能と、移動体保持装置の設置状態を検知する機能と、移動体保持装置の設置状態の異常が検知された場合、係止部を停止又は降下させる機能と、をコンピュータに実現させる。この態様によると、移動体保持装置の設置状態に異常が発生した場合に、異常を的確に検知して係止部を停止又は降下させることができるので、自走式移動体の安全性を向上させることができる。
1 自走式掃除機、2 掃除機本体、3 周囲清掃手段、4 センサ部、5 制御部、6 充電ステーション、10 ボディ、11 シャーシ、12 走行駆動部、13 カバー部、14 吸込み部、15 本体操作部、16 被係止部、17 凹部、18 電極、19 カーペット押さえ部、21 ブラシ、22 モータ、23 負荷センサ、24 角度センサ、31 前方センサ、32 周囲センサ、33 赤外線通信部、34 発光部、35 受光部、36 ステージ、37 ハウジング、38 ロータリエンコーダ、40 継続停止禁止範囲、41 走行制御部、42 吸込制御部、43 検出演算部、44 ブラシ制御部、45 センサ制御部、51 昇降駆動部、52 充電部、53 位置検出部、53A ホールセンサ、53C 赤外線発光部、54 充電制御部、55 異常検知部、57 モータ、58 モータ制御部、59 電流値検出部、60 設置状態検知部、61 基部、61C スロープ、61E スロープ、61F 傾斜部、62 柱部、62E スリット、64 フック、65 突出部、66 絶縁部、67 絶縁部、68 導電部、69 横棒部、101 上面部、102 前面部、103 側面部、105 底面部、121 車輪、122 補助輪。

Claims (4)

  1. 自走式移動体を吊り上げて保持する移動体保持装置に前記自走式移動体を保持するために前記自走式移動体を係止する係止部と、
    前記係止部を昇降させる昇降駆動部と、
    前記移動体保持装置の設置状態を検知する設置状態検知部と、
    を備え、
    前記昇降駆動部は、前記設置状態検知部が前記移動体保持装置の設置状態の異常を検知した場合、前記係止部を停止又は降下させることを特徴とする移動体保持装置。
  2. 前記設置状態検知部は、前記移動体保持装置の接地面に設けられた転倒スイッチを含むことを特徴とする請求項1に記載の移動体保持装置。
  3. 前記係止部が導電性であり、
    前記係止部から前記自走式移動体の導電性の被係止部へと電力を供給する充電制御部を有し、
    前記転倒スイッチの検知結果に応じて、前記充電制御部は、前記係止部への電力供給をオンまたはオフする、請求項2に記載の移動体保持装置。
  4. 自走式移動体を吊り上げて保持する移動体保持装置に前記自走式移動体を保持するために前記自走式移動体を係止する係止部を昇降させる機能と、
    前記移動体保持装置の設置状態を検知する機能と、
    前記移動体保持装置の設置状態の異常が検知された場合、前記係止部を停止又は降下させる機能と、
    をコンピュータに実現させるための制御プログラム。
JP2018200537A 2018-10-25 2018-10-25 移動体保持装置及び制御プログラム Active JP7113352B2 (ja)

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