(1)概要
以下の実施形態において説明する図1~図10は、模式的な図であり、図1~図10中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態に係る監視システムM10は、コンセント1を監視するシステムである。ここでは一例として、監視システムM10の構成要素は全て、コンセント1に集約されている。言い換えると、コンセント1は、図1に示すように、監視システムM10を備えている。
監視システムM10は、第1取得部M1(ここでは温度検出部5を含む)と、第2取得部M2(ここでは電流検出部6を含む)と、を備えている。第1取得部M1は、コンセント1における導体Z1の温度に関する第1情報を取得する。第2取得部M2は、導体Z1に流れる電流の電流値に関する第2情報を取得する。監視システムM10は、少なくとも第1情報及び第2情報に基づく、コンセント1の状態情報を監視する。監視システムM10は、開閉部M4を、更に備えることが好ましい。
本実施形態に係るコンセント1は、監視システムM10(第1取得部M1、第2取得部M2及び開閉部M4)に加えて、導体Z1と、筐体4(図3参照)と、を備えている。導体Z1は、給電線92(図5B参照)が接続される端子部材2、及びプラグ91が接続される接続部材3を含む。開閉部M4は、端子部材2から接続部材3までの間に電気的に接続されて、状態情報において異常状態にあることを示す場合、導通状態から遮断状態に切り替わる。遮断状態から導通状態への開閉部M4の切替えは、ユーザが手動で行ってもよいし、例えば、コンセント1の外部からの復旧信号を受信する、又は所定時間が経過する等の復旧条件を満たした場合に、コンセント1が自動で行ってもよい。筐体4は、監視システムM10及び導体Z1を、収容又は保持する。
本実施形態に係るコンセント1は、例えば、電気機器のプラグ91(図5A参照)が接続されて電気機器への電力供給を行う配線器具、つまりアウトレット(Outlet)である。コンセント1は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校若しくは介護施設等の非住宅施設等に設置される。コンセント1は、例えば、施設(建物)の壁面、天井面及び床面等の造営面100(図2A参照)に設置される。
温度検出部5(第1取得部M1)は、導体Z1の温度を、検出温度T1(図1参照)として検出する。温度検出部5は、一例として、接続部材3の温度を検出する。電流検出部6(第2取得部M2)は、導体Z1に流れる電流の電流値を、電流値A1(図1参照)として検出する。電流検出部6は、例えば、ロゴスキーコイル方式の電流センサを有しているが、電流センサの種類は、特に限定されない。電流検出部6は、CT(Current Transformer)方式の電流センサ、及びゼロフラックス方式(ホール素子検出型、フラックスゲート検出型等)の電流センサのいずれかを有してもよい。あるいは電流検出部6は、端子部材2から接続部材3までの間における電気回路に直列接続されるシャント抵抗器を有し、シャント抵抗器における電圧降下に基づいて電流値を検出してもよい。
ところで、特許文献1のようにコンセントの異常を判定する要素として測定温度だけでは、コンセントの状態を精度よく判定できるとまでは言えない可能性がある。一方、監視システムM10は、導体Z1に流れる電流の電流値A1に関する第2情報を取得する第2取得部M2を備え、少なくとも第1情報(温度)及び第2情報に基づく、コンセント1の状態情報を監視する。そのため、特許文献1のように第1情報(温度)のみの場合に比べて、コンセント1の状態をより精度よく判定(分析)することができる。したがって、状態検出に関する信頼性の向上を図ることができる。
(2)詳細
次に、本実施形態に係る監視システムM10を備えるコンセント1について、より詳細に説明する。
(2.1)全体構成
まず、監視システムM10及びコンセント1の全体構成について、図1~図6を参照して説明する。監視システムM10は、図1に示すように、温度検出部5、電流検出部6及び開閉部M4に加えて、制御部7を更に備えている。コンセント1は、図1に示すように、監視システムM10、導体Z1及び筐体4(図3参照)に加えて、操作部材81、表示部82、ブザー83及びスイッチ84を更に備えている。
図2A及び図2Bは、コンセント1が造営面100に取り付けられた状態の斜視図である。本実施形態では、コンセント1は、日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠に取り付けられる埋込形配線器具である。具体的には、コンセント1は、取付枠を介して造営面100に取り付けられる。ここで、取付枠は、埋込ボックスを介して又は直接的に、造営面100に固定される。つまり、取付枠が造営面100に固定されることにより、コンセント1が取付枠を介して造営面100に取り付けられる。取付枠には化粧プレート101が取り付けられ、図2A及び図2Bに示すように、化粧プレート101の内側からコンセント1が露出する形になる。ここで、取付枠は、コンセント1の筐体4と別体であってもよいし、筐体4と一体であってもよい。本実施形態では、コンセント1が屋内用である場合、つまり造営面100が建物(施設)の内壁面である場合について説明するが、この例に限らず、コンセント1は屋外用であってもよい。
以下では、造営面100である建物の内壁面にコンセント1が取り付けられた状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、コンセント1を正面から見て下方(鉛直方向)を「下方」として説明する。また、上下方向と直交し、かつ造営面100に平行な方向を「左右方向」とし、コンセント1を正面から見て右方を「右方」、左方を「左方」として説明する。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり造営面100に直交する方向を「前後方向」とし、造営面100の裏側(壁裏側)を「後方」として説明する。ただし、これらの方向はコンセント1の使用方向を限定する趣旨ではない。例えば、コンセント1が壁面ではなく床面に取り付けられる場合には、「前後方向」は水平面に対して垂直な方向となり、「上下方向」及び「左右方向」は水平面に平行な方向となる。また、コンセント1が壁面に取り付けられる場合でも、「上下方向」が水平面に平行な方向となる向き(つまり横向き)で、コンセント1が壁面に取り付けられることにより、「左右方向」は水平面に垂直な方向となる。
また、本実施形態では、コンセント1として、2個のプラグ91を同時に接続可能な2個口タイプのコンセントを例示する。すなわち、コンセント1は、2個のプラグ91に対応するように、2個の接続口11を有している。2個の接続口11は、各々が1つのプラグ91を接続可能に構成されており、筐体4の前面において上下方向(鉛直方向)に沿って並んで配置されている。2個の接続口11のうち、一方(下方)の接続口11は、交流100V用の2極接地極付きコンセントであって、他方(上方)の接続口11は、交流100V用の接地極無しの2極コンセントである。
本実施形態では、2極のプラグ91に対応するように、コンセント1は、互いに異極性となる一対の端子部材2を備えている。つまり、一対の端子部材2のうち一方の端子部材2にはL極(HOT)側の給電線92が接続され、他方の端子部材2にはN極(COLD)側の給電線92が接続される。同様に、コンセント1は、各接続口11につき互いに異極性となる一対の接続部材3を備えており、計二対(4個)の接続部材3を備えている。ここで、互いに同極性である2個の接続部材3は、リード板30(図3参照)にて連結されている。さらに、互いに同極性である接続部材3と端子部材2とは、開閉部M4を介して電気的に接続されている。
コンセント1は、筐体4と、筐体4に収容又は保持される端子部材2及び接続部材3等の内部部品と、を備えている。筐体4は、図3に示すように、外ボディ41と、外カバー42と、内カバー43と、内ブロック44と、端子ブロック45と、を有している。これら外ボディ41、外カバー42、内カバー43、内ブロック44及び端子ブロック45が組み合わされることにより、筐体4が構成されている。筐体4は、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。
外ボディ41は、前面が開口された箱状に形成されている。外ボディ41の開口面(前面)は、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも長い長方形状である。内ブロック44は、接続部材3を保持した状態で、他の内部部品(端子部材2及び開閉部M4等)と共に外ボディ41に収容される。外ボディ41の前面には内カバー43が取り付けられる。これにより、外ボディ41と内カバー43との間には、内ブロック44に保持された状態の接続部材3を含む内部部品が収容されることになる。外カバー42は、内カバー43の前面に取り付けられる。これにより、内ブロック44と外カバー42との間に接続部材3が収容される。ここで、内カバー43のうち、内ブロック44に対応する部位には、前後方向に貫通する開口窓431が形成されている。そのため、接続部材3を保持した内ブロック44の前面は外カバー42で覆われることになり、外カバー42を外した状態では、内ブロック44の前面は開口窓431を通して前方に露出する。端子ブロック45は、端子部材2を保持した状態で、他の内部部品と共に外ボディ41に収容される。
つまり、内ブロック44及び外カバー42は、接続部材3を保持する保持部材を構成する。端子ブロック45は、端子部材2を保持する保持部材を構成する。言い換えれば、コンセント1は、端子部材2及び接続部材3の少なくとも一方を保持する保持部材を更に備えている。
外カバー42は、更に、複数の部材(例えば3つの部材)に分割可能に構成されているが、一体(一部材)であってもよい。ここで、外カバー42のうち内ブロック44を覆う部位、及び内ブロック44は、例えば、ユリア樹脂製である。
外カバー42のうち内ブロック44を覆う部位には、上述した2個の接続口11が形成されている。2個の接続口11のうち一方(上方)の接続口11は、プラグ91の一対の栓刃911(図5A参照)が差し込まれる一対の挿入孔111を有している。2個の接続口11のうち他方(下方)の接続口11は、一対の挿入孔111に加えて、接地極付きプラグの接地ピンが差し込まれる接地挿入孔112、及びアース蓋113を有している。筐体4の内部において、各挿入孔111に対応する位置には接続部材3が配置され、接地挿入孔112に対応する位置には第1接地部材114が配置され、アース蓋113に対応する位置には第2接地部材115が配置される。第1接地部材114は、接地極付きプラグの接地ピンが接続されるばね部材である。第2接地部材115は、電気機器の接地線が接続されるねじ式端子である。接地線は、アース蓋113が開いた状態で第2接地部材115への着脱が可能になる。
また、外ボディ41と内カバー43との間の空間であって内ブロック44の左方には、開閉部M4及び基板85が収容されている。基板85は、開閉部M4の上方に配置されている。基板85には、表示部82を構成する第1表示灯821及び第2表示灯822、並びにスイッチ84が実装されている。一例として、第1表示灯821及び第2表示灯822は、互いに発光色の異なるLED(Light Emitting Diode)であって、スイッチ84は、押ボタンスイッチである。このように、開閉部M4、表示部82及びスイッチ84は、筐体4(外ボディ41及び内カバー43)内に収容されている。ただし、表示部82の光が筐体4の前方から視認可能となり、かつ筐体4の前方からスイッチ84の押操作が可能となるように、内カバー43には透光部432及びカンチレバー433が形成されている。つまり、表示部82の光は透光部432を通して筐体4の前方から視認可能であって、スイッチ84はカンチレバー433を介して筐体4の前方から押操作可能である。図2A及び図2Bでは、便宜上、筐体4の前面における表示部82(第1表示灯821及び第2表示灯822)及びスイッチ84に対応する各位置に、表示部82及びスイッチ84の符号を付している。
また、外ボディ41と内カバー43との間の空間であって内ブロック44の左下方には、図4Aに示すように、センサ基板86が収容されている。センサ基板86は、ロゴスキーコイル方式の電流センサ(不図示)を有した電流検出部6等が実装されているプリント配線基板であり、開閉部M4の下方に配置されている。なお、筐体4内におけるセンサ基板86の位置は、特に限定されない。プリント配線基板は、厚み方向に貫通した貫通孔を有していて、電流センサは、当該貫通孔を囲むように配置されている。つまり、電流センサは、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、貫通孔内を通過する電流に応じた出力を生じる、基板実装型のロゴスキーコイルである。
監視システムM10の制御部7は、筐体4に収容されており、例えば、内ブロック44の後方に配置された制御基板に実装されている。ブザー83についても同様に、筐体4に収容されており、例えば、制御基板に実装されている。制御部7は、開閉部M4、表示部82、ブザー83、スイッチ84、温度検出部5及び電流検出部6に電気的に接続されている。制御部7は、少なくとも開閉部M4、表示部82及びブザー83の制御を行う。
制御部7は、例えば、マイクロコントローラを主構成として備えている。マイクロコントローラは、マイクロコントローラのメモリに記録されているプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することにより、制御部7としての機能を実現する。プログラムは、予め上記メモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、マイクロコントローラを、制御部7として機能させるためのプログラムである。
また制御部7は、図1に示すように、通知部M3としての機能、及び判定部73としての機能を有している。
通知部M3は、状態情報においてコンセント1が特定状態にあることを示す場合、その旨を通知する。特定状態は、例えば、異常又は警告である。通知部M3は、報知部71、及び状態提示部72を有している。ここで言うコンセント1の「状態情報」は、少なくとも第1情報(検出温度T1)及び第2情報(電流値A1)に基づく情報である。本実施形態では「状態情報」は、第1情報及び第2情報に加えて、更に(後述する)第3情報に基づく情報である。
判定部73は、温度検出部5から取得する検出温度T1、及び電流検出部6から取得する電流値A1に基づいて、コンセント1の状態が、正常、異常、及び警告のいずれに該当するかを判定するように構成されている(第1判定処理)。制御部7は、判定部73の判定結果に基づき、少なくとも正常、異常、及び警告のいずれかを示す状態情報を生成する。言い換えると、状態情報は、コンセント1が少なくとも3つの状態のいずれかであることを示す情報であり、ここでは3つの状態とは、一例として、正常、異常、及び警告の3つである。
ここで図6のグラフについて説明する。図6は、判定部73における判定処理をより理解し易くするためのグラフであり、横軸は電流値[A]を示し、縦軸は温度[℃]を示す。図6において、第1領域R1及び第2領域R2が正常状態の領域であり、第3領域R3、第4領域R4及び第5領域R5が異常状態の領域であり、第6領域R6が警告状態の領域である。
判定部73は、検出温度T1が第1温度閾値(所定の温度閾値)Th1以下であるという「第1条件」を満たす場合、電流値A1の大きさに関わらずコンセント1が正常状態にあると判定する。図6で言えば、検出温度T1及び電流値A1が、第1領域R1及び第2領域R2内にあれば、正常状態と判定される。第1条件を満たせば、正常状態を示す状態情報が生成される。
一方、判定部73は、第2条件を満たす場合、コンセント1が異常状態にあると判定する。言い換えると、状態情報は、第2条件を満たす場合、コンセント1が異常状態にあることを示す。「第2条件」とは、検出温度T1が第1温度閾値(所定の温度閾値)Th1よりも高く、かつ電流値A1が所定の電流閾値A10よりも小さいことである。図6で言えば、検出温度T1及び電流値A1が、第3領域R3及び第4領域R4内にあれば、異常状態と判定される。第2条件を満たせば、異常状態を示す状態情報が生成される。電流閾値A10は、例えば、10アンペアである。
また判定部73は、第3条件を満たす場合も、コンセント1が異常状態にあると判定する。「第3条件」とは、検出温度T1が第2温度閾値Th2(ただしTh2>Th1)よりも高く、かつ電流値A1が電流閾値A10以上であることである。図6で言えば、検出温度T1及び電流値A1が第5領域R5内にあれば、異常状態と判定される。そして、第3条件を満たせば、異常状態を示す状態情報が生成される。
更に本実施形態では、判定部73は、第4条件を満たす場合、コンセント1が警告状態にあると判定する。「第4条件」とは、検出温度T1が第1温度閾値Th1よりも高く第2温度閾値Th2以下で、かつ、電流値A1が電流閾値A10以上であることである。図6で言えば、検出温度T1及び電流値A1が、第6領域R6内にあれば、警告状態と判定される。そして、第4条件を満たせば、警告状態を示す状態情報が生成される。
第4領域R4及び第5領域R5の上側の上限(温度の上限)に関する設定の有無は、特に限定されない。また第2領域R2、第5領域R5及び第6領域R6の右側の上限(電流値の上限)に関する設定の有無は、特に限定されない。
ここで、判定部73は、更に、警告状態に関して、注意状態か危険状態かを分類する。具体的には、判定部73は、検出温度T1及び電流値A1が第6領域R6内にあるとき、第3情報に基づく判定を行う(第2判定処理)。第3情報は、コンセント1が特定状態(ここでは警告状態)となる発生頻度、及び警告状態が持続する発生期間のうち少なくとも一方に関する情報である。ここでは第3情報は、一例として、発生頻度に関する情報であることを想定する。
判定部73は、警告状態にあると判定すると、温度検出部5及び電流検出部6からそれぞれ受信している検出温度T1及び電流値A1の変動に着目する。検出温度T1及び電流値A1は、コンセント1の状況に応じて時間的に変化し得る。
判定部73は、例えば、検出温度T1及び電流値A1を数秒間隔で取得し、所定の期間内において検出温度T1及び電流値A1が第6領域R6内にあるという結果の回数(発生頻度)が、規定回数(規定頻度)以下であれば、注意情報を示す状態情報を生成する。一方、判定部73は、所定の期間内において検出温度T1及び電流値A1が第6領域R6内にあるという結果の回数が、規定回数(規定頻度)を超えていれば、危険情報を示す状態情報を生成する。所定の期間は、例えば数分等の期間である。
あるいは判定部73は、検出温度T1及び電流値A1を監視し、所定の期間内において検出温度T1及び電流値A1が第6領域R6の外から内に入る回数を、発生頻度として計測してもよい。「第6領域R6の外」とは、例えば、第6領域R6の下にある、正常を示す第2領域R2である。検出温度T1の上昇又は下降に起因して、第2領域R2から第6領域R6へ入ったり第6領域R6から第2領域R2へ出たりを繰り返す可能性がある。判定部73は、計測した発生頻度が規定頻度以下であれば、注意情報を示す状態情報を生成してもよい。一方、判定部73は、計測した発生頻度が規定頻度を超えていれば、危険情報を示す状態情報を生成してもよい。
制御部7は、判定部73にてコンセント1が異常状態にあると判定すると、すなわち状態情報が異常状態を示す場合、端子部材2から接続部材3までの間における電路の遮断を実行する。すなわち、制御部7は、駆動信号を開閉部M4に出力して、開閉部M4を導通状態から遮断状態に切り替えるように制御する。また通知部M3の報知部71は、判定結果(異常状態)に関する報知を行う。すなわち、報知部71は、ブザー83及び表示部82を通じて、異常な温度上昇を検出したことをユーザに報知する。
本実施形態では、一例として、報知部71での報知は、ブザー83からの異常警告音の出力、及び表示部82での「異常」表示により実現される。つまり、制御部7は、ブザー83及び表示部82を制御することにより報知部71での報知を実現する。通知部M3の状態提示部72は、開閉部M4が導通状態にあるか遮断状態にあるかを提示する。本実施形態では一例として、状態提示部72での提示は、ブザー83からの異常警告音の出力、及び表示部82での「異常」表示により実現される。つまり、制御部7は、ブザー83及び表示部82を制御することにより状態提示部72での提示を実現する。
一方、制御部7は、判定部73にてコンセント1が警告状態にあると判定すると、すなわち状態情報が注意情報又は危険情報を示す場合、電路の遮断を実行しない。言い換えると、制御部7は、開閉部M4に対する駆動信号の出力を行わない。
ただし、報知部71は、状態情報が注意情報を示す場合、報知(異常警告音とは別の第1注意音の出力、及び、表示部82での「注意」表示)を行う。また報知部71は、状態情報が危険情報を示す場合、報知(異常警告音や第1注意音とは別の第2注意音の出力、及び、表示部82での「危険」表示)を行う。要するに、制御部7は、状態情報が注意情報又は危険情報を示す場合、直ちに電路の遮断を行うべき状況ではないとして、通知部M3より、ユーザにコンセント1の状態を確認するように注意喚起を行う。
スイッチ84は、ブザー83の音出力を停止させる際に操作される。つまり、ブザー83が異常警告音や第1注意音、第2注意音を出力している状態でスイッチ84が押操作されると、ブザー83を停止させるように、制御部7がブザー83を制御する。また、スイッチ84は、テストスイッチとしても兼用されており、開閉部M4を強制的に導通状態から遮断状態に切り替える場合にも使用される。
監視システムM10の開閉部M4は、端子部材2と接続部材3との間に電気的に接続されている。開閉部M4は、導通状態及び遮断状態の2つの状態が切り替わる装置である。すなわち、開閉部M4が導通状態にあれば、端子部材2と接続部材3との間は開閉部M4を介して導通し、開閉部M4が遮断状態にあれば、端子部材2と接続部材3との間は開閉部M4にて電気的に遮断(絶縁)される。つまり、開閉部M4が遮断状態に切り替わることで、端子部材2及び接続部材3間における電路が遮断される。本実施形態では、上述したように、コンセント1は互いに異極性となる一対の端子部材2を備えており、開閉部M4は、一対の端子部材2の両方に対して電気的に接続されている。そのため、開閉部M4が遮断状態にあれば、二対(4個)の接続部材3は、全て端子部材2から電気的に切り離されることになる。
具体的には、開閉部M4は、互いに異極性となる一対の接点装置と、電磁釈放装置と、を有している。一対の接点装置の各々は、固定接点及び可動接点を有している。可動接点は、固定接点に接触する閉位置と、固定接点から離れた開位置との間で移動する。固定接点には端子部材2が電気的に接続され、可動接点には接続部材3が電気的に接続される。より詳細には、可動接点は可動接触子に設けられており、可動接触子が編組線にてリード板30に接続されることにより、可動接点と接続部材3とが電気的に接続される。
このような構成の開閉部M4は、定常時には、可動接点が閉位置に位置することで、端子部材2と接続部材3との間を導通させる導通状態にある。一方、開閉部M4は、制御部7からの駆動信号を受けると、電磁釈放装置を作動させて可動接触子を駆動し、可動接点を開位置に移動させることで、端子部材2と接続部材3との間を電気的に遮断する遮断状態に切り替わる。このように、開閉部M4は、制御部7からの駆動信号により、導通状態から遮断状態に切り替わる。
開閉部M4には、操作部材81が機械的に結合されている。操作部材81は、回転軸を中心に回転可能なレバー式ハンドルである。ここで、筐体4の前方から操作部材81の操作が可能となるように、内カバー43及び外カバー42にはそれぞれ第1操作孔434及び第2操作孔421が形成されている。つまり、操作部材81は、第1操作孔434及び第2操作孔421を通して筐体4の前方に露出し、筐体4の前方から操作可能となる。
操作部材81は、開閉部M4に連動して回転し、オン位置(図2A参照)、オフ位置(図2B参照)との間で移動する。オン位置は開閉部M4の導通状態に対応する位置であって、オフ位置は開閉部M4の遮断状態に対応する位置である。つまり、開閉部M4が導通状態にあれば、図2Aに示すように、操作部材81がオン位置に位置する。操作部材81がオン位置にあるとき、操作部材81の前面は筐体4の前面と略面一になる。一方、開閉部M4が導通状態から遮断状態に切り替わると、操作部材81が回転して操作部材81の先端部が前方(手前側)に移動し、図2Bに示すように、操作部材81がオフ位置に移動する。操作部材81がオフ位置にあるとき、操作部材81は筐体4の前面から前方に突出する。
このように、操作部材81と開閉部M4とは連動しているので、開閉部M4が制御部7からの駆動信号を受けて開閉部M4が導通状態から遮断状態に切り替わると、操作部材81はオン位置からオフ位置に移動する。反対に、操作部材81がオフ位置からオン位置に移動すると、開閉部M4が遮断状態から導通状態に切り替わる。そのため、オフ位置にある操作部材81をユーザが操作してオン位置に移動させることで、遮断状態にある開閉部M4を導通状態に切り替えることができる。以下では、操作部材81をオフ位置からオン位置に移動させる操作を、「復旧操作」という。
また、本実施形態では、開閉部M4は、制御部7からの駆動信号を受けた場合のみならず、操作部材81をオン位置からオフ位置に移動させた場合にも、導通状態から遮断状態に切り替わる。そのため、開閉部M4の導通状態と遮断状態とは、操作部材81の操作によりユーザが手動で切り替えることが可能である。言い換えれば、開閉部M4は、操作部材81の操作に応じてオンオフするスイッチ装置として機能する。
次に、接続部材3及び端子部材2の構成について、図4A~図5Bを参照して説明する。
二対(4個)の接続部材3は、図4A及び図5Aに示すように、内ブロック44に保持されている。ここで、二対の接続部材3は、外カバー42に形成された二対の挿入孔111にそれぞれ対応する位置、具体的には、正面視において内ブロック44の四隅に配置されている。さらに、上述したように、互いに同極性である2個の接続部材3、つまり上下方向に並ぶ2個の接続部材3は、リード板30にて連結されている。互いに異極性となる一対のリード板30の各々は、左右方向よりも上下方向に長い帯板状に形成されている。ここでは、互いに同極性である2個の接続部材3及びリード板30は、1枚の金属板から一体に形成されている。図4A及び図5Aでは、接続部材3及びリード板30を構成する金属板に網掛(ドットハッチング)を付している。
各接続部材3は、プラグ91の接続時に、プラグ91の栓刃911が差し込まれる刃受部材である。各接続部材3は、導電性及び弾性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。各接続部材3は、左右方向において互いに対向する一対の刃受片31を有している。各接続部材3は、一対の刃受片31の間に栓刃911を挟んだ状態で、栓刃911と電気的に接続され、かつ栓刃911を機械的に保持する。
一対の端子部材2は、図4B及び図5Bに示すように、端子ブロック45に保持されている。ここで、一対の端子部材2は、端子ブロック45の後面に形成された一対の端子孔121にそれぞれ対応する位置に配置されている。各端子部材2は、給電線92の心線921が差し込まれることで給電線92が接続される、差込式の速結端子である。具体的には、各端子部材2は、図5Bに示すように、端子板21及び鎖錠ばね22を有している。端子板21は、導電性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。鎖錠ばね22は、弾性を有する金属、例えば、ステンレス等からなる。各端子部材2は、筐体4の後面に開口した端子孔121に給電線92が挿入されると、端子板21と鎖錠ばね22との間に給電線92の心線を挟んだ状態で、給電線92と電気的に接続され、かつ給電線92を機械的に保持する。
さらに、端子ブロック45には、アース線を接続するための接地端子116(図4B参照)が保持されている。接地端子116は、端子部材2と同様の差込式の速結端子であって、端子ブロック45の後面に形成された接地端子孔122に対応する位置に配置されている。接地端子116は、筐体4内において、第1接地部材114及び第2接地部材115に電気的に接続されている。
監視システムM10の温度検出部5(第1取得部M1)は、例えば、導体Z1における接続部材3の温度を、検出温度T1として検出する。温度検出部5は、筐体4内に収容されている。温度検出部5は、温度センサ(センサ素子)50を有している(図5A参照)。温度センサ50は、接続部材3に熱的に結合されている。温度センサ50は、例えば、サーミスタ、熱電対、又はサーモパイル等で実現される。
温度センサ50は、図5Aに示すように、2個の接続部材3を互いに連結しているリード板30の裏側において、リード板30と熱的に結合された状態で配置されている。温度センサ50とリード板30との間の熱的な結合は、例えば、リード板30に対して温度センサ50をクリップ等で直接的に固定することで実現される。ここで、温度センサ50は、互いに異極性となる一対のリード板30に対応するように一対設けられている。つまり、温度検出部5は、一対の温度センサ50を有している。各温度センサ50は、対応するリード板30を介して、接続部材3の温度(検出温度T1)を検出する。
温度検出部5は、温度センサ50で検出された検出温度T1に応じた検出信号(第1検出信号)を制御部7に出力する。第1検出信号は、特定の符号によって温度に応じた情報を伝える信号(電気信号)であればよく、例えば、温度に応じて、抵抗値、電圧値又は電流値等の電気量が変化する信号である。温度検出部5は、温度センサ50の出力を処理して第1検出信号を出力する処理回路を、更に有してもよい。
なお、ここでは上述の通り、温度検出部5の各温度センサ50は、対応するリード板30と熱的に結合された状態で配置されて、温度検出部5は、リード板30(検出点)を介して、接続部材3の温度を、検出温度T1として検出する。しかし、検出温度T1の検出点は、リード板30に限定されない。例えば、温度検出部5は、接続部材3及びリード板30における保持部材(内ブロック44及び外カバー42)との接触部位に近い検出点の温度を、接続部材3の温度として検出してもよい。また検出点と温度センサ50との間に、隙間(空間)が介在してもよい。
また、温度検出部5は、温度センサ50の代わりに、又は温度センサ50に加えて、導体Z1における端子部材2と熱的に結合された状態で配置される温度センサ51(図5B参照)を有してもよい。温度センサ51は、図5Bに示すように、センサ基板511に実装されている。端子板21と温度センサ51との間に、伝熱性及び電気絶縁性を有する伝熱シート512を介在させることで実現される。
要するに、検出温度T1の検出点の数は、複数でもよいし、またその位置も、導体Z1に対応する温度であれば、限定されない。
監視システムM10の電流検出部6(第2取得部M2)は、導体Z1に流れる電流の電流値を、電流値A1(図1参照)として検出する。電流検出部6は、コンセント1内に配置されている。言い換えると、電流検出部6は、筐体4内に収容されている。そのため、監視システムM10が、コンセント1の外部から第2情報(電流値)を取得する必要がないため、例えば、外部と通信する機能を省略することができる。
ここでは、電流検出部6は、上述の通り、ロゴスキーコイル方式の電流センサ(不図示)を有している。電流センサは、基板実装型のロゴスキーコイルであり、センサ基板86に設けられた貫通孔を囲むように、センサ基板86に実装されている。当該貫通孔には、端子部材2から接続部材3までを繋ぐ電路の一部(導電部材等)が挿通されている。ここでは一例として、一対の端子部材2のうちN極側の給電線92が接続される端子部材2から対応する接続部材3までを繋ぐ電路の一部が挿通されていて、N極側の電流が検出される。
電流検出部6は、電流センサで検出された電流の電流値A1に応じた検出信号(第2検出信号)を制御部7に出力する。第2検出信号は、特定の符号によって電流値A1に応じた情報を伝える信号(電気信号)であればよく、例えば、電流値A1に応じて、抵抗値、電圧値又は電流値等の電気量が変化する信号である。電流検出部6は、電流センサの出力を処理して第2検出信号を出力する処理回路を、更に有してもよい。
(2.2)発熱現象
接続部材3を保持する保持部材(内ブロック44及び外カバー42)には、接続部材3からの熱が伝わることがあり、保持部材の特性が熱による影響を受けて、保持部材の特性が変化(変質、変色及び変形を含む)することがある。第1温度閾値(所定の温度閾値)Th1及び第2温度閾値Th2は、温度上昇が生じた後であってもコンセント1を再使用可能とするため、保持部材の特性が許容範囲を超えないように、設定されている。そして、監視システムM10は、事前に開閉部M4を遮断状態とすることで、更なる温度上昇を抑制し、コンセント1の再使用に備えることができる。
ところで、このような温度上昇(発熱現象)の例として、ジュール熱による発熱現象と、亜酸化銅が増殖することによる発熱現象とが考えられる。
ジュール熱による発熱現象とは、通電時に接触抵抗が増加することによってプラグ91の栓刃911とコンセント1の接続部材3との接触面で温度が上昇することである。接触抵抗の増加の原因としては、過電流に起因する発熱又はプラグ91が繰り返し抜き差しされることによって引き起こる接続部材3の変形、接触面への異物の混入、コンセント1の施工時における給電線92の挿入不足等が挙げられる。このような異常な温度上昇は、例えば10アンペア以上の比較的大容量の通電において発生し得るもので、長時間にわたって漸増するものであり、持続性を有する。
亜酸化銅による発熱現象とは、銅部材(例えば接続部材3)と栓刃911との間で微接触状態(緩みや接触不良)が生じた時に、接触部位における電流の断続又は過熱等により銅が酸化して赤熱し、周囲の銅を溶かしながら亜酸化銅が増殖する現象である。亜酸化銅が増殖している部分は、1~3アンペア程度の通電でも、短時間で異常な高温に達する可能性がある。また亜酸化銅は、発熱後に消失するため、事後に異常温度の発生原因が亜酸化銅によるものであることを特定することが難しい可能性がある。
要するに、ジュール熱による異常状態と、亜酸化銅による異常状態とでは、異常の種類が異なると言える。そして、特許文献1に記載のように、コンセントにおける異常を判定する要素として測定温度だけでは、コンセントの状態を精度よく判定できるとまでは言えない可能性がある。
そこで本実施形態の監視システムM10は、上述の通り、導体Z1に流れる電流の電流値A1に関する第2情報を取得する第2取得部M2を備え、少なくとも第1情報及び第2情報に基づく、コンセント1の状態情報を監視する。そのため、特許文献1のように測定温度のみの場合に比べて、コンセント1の状態を精度よく判定できる。したがって、状態検出に関する信頼性の向上を図ることができる。
特に、図6で言えば、第3領域R3及び第4領域R4における「異常」は、電流値A1が所定の電流閾値A10(例えば10アンペア)よりも小さい場合の異常である。したがって、検出温度T1及び電流値A1が、第3領域R3及び第4領域R4内にあれば、亜酸化銅による発熱である可能性が高いと推定できる。
一方、第5領域R5における「異常」は、電流値A1が所定の電流閾値A10以上である場合の異常である。したがって、検出温度T1及び電流値A1が、第5領域R5内にあれば、(亜酸化銅の可能性もあるものの)ジュール熱による発熱である可能性が高いと推定できる。更に、ジュール熱による発熱の場合、検出温度T1は、長時間にわたって漸増するため、直ちに異常とまでは言えない状況もある。そこで、監視システムM10は、正常及び異常(2値)以外に、警告(第6領域R6)という判定状態を持つことで、温度上昇の原因についてより詳細に判定(分析)できる。また、例えば「警告」を経由してから「異常」と判定された場合、ジュール熱による発熱である可能性が高いと推定できる。また、電気機器への電力供給が直ちに遮断されてしまう可能性を抑制し、ユーザにとってコンセント1の利便性が損なわれる可能性を低減できる。
また、監視システムM10は、通知部M3を備えることで、コンセント1が特定状態(異常状態や警告状態)にあることを、外部に通知することができる。
また、監視システムM10は、少なくとも第1情報及び第2情報に基づく状態情報においてコンセント1が異常状態にあることを示す場合、開閉部M4を、導通状態から遮断状態に切り替える。そのため、例えば、第1情報(温度)のみに基づく状態情報においてコンセント1が異常状態にあることを示す場合に遮断状態に切り替わる場合に比べて、異常とまでは言えない状態であっても遮断されてしまう可能性を低減できる。言い換えると、ユーザにとってコンセント1の利便性が損なわれる可能性を低減できる。
また本実施形態では、状態情報は、第1情報(温度)及び第2情報(電流値)に加えて、更に第3情報(発生頻度)に基づく情報であるため、温度上昇の原因について更に詳細に判定(分析)することができ、状態検出に関する信頼性の更なる向上を図ることができる。
(2.3)動作
以下、監視システムM10を備えるコンセント1の動作の一例について、図7及び図8のフローチャートを参照して説明する。図7及び図8のフローチャートは一例に過ぎず、処理の順番が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
図7において、まず、制御部7が、温度検出部5から第1検出信号を受信することにより、検出温度T1を取得し、また電流検出部6から第2検出信号を受信することにより、電流値A1を取得する(S1)。制御部7は、取得した検出温度T1及び電流値A1のデータを、自身のメモリ内に履歴として記憶してもよい。
そして、制御部7は、取得した検出温度T1及び電流値A1のデータに基づいて、第1条件、第2条件、第3条件及び第4条件のうち、どの条件を満たすか判定する。
制御部7は、まず第1条件(T1≦Th1)が成立するか否か判定を行う(S2)。制御部7は、第1条件が成立すると判定すると(S2:Yes)、「正常」と判定して、表示部82での「正常」表示(S3)を実行し、処理S1に戻る。なお、このときブザー83が異常警告音、第1注意音、及び第2注意音のいずれかを出力中であれば、制御部7は、その出力を停止する。
制御部7は、第1条件が不成立であると判定すると(S2:No)、第2条件(T1>Th1、かつA1<A10)が成立するか否か判定を行う(S4)。制御部7は、第2条件が成立すると判定すると(S4:Yes)、コンセント1が「異常」状態にあると判定する(S5)。そして、制御部7は、開閉部M4に駆動信号を出力し、開閉部M4を導通状態から遮断状態に切り替える(S6)。その後、制御部7は、ブザー83からの異常警告音の出力(S7)、及び表示部82での「異常」表示を行う(S8)。
制御部7は、第2条件が不成立であると判定すると(S4:No)、第3条件(T1>Th2、かつA1≧A10)が成立するか否か判定を行う(S13)。制御部7は、第3条件が成立すると判定すると(S13:Yes)、コンセント1が「異常」状態にあると判定し(S5)、開閉部M4を遮断状態に切り替えて(S6)、異常警告音の出力(S7)及び「異常」表示を行う(S8)。
なお、異常警告音の出力状態で、スイッチ84が押操作される、つまりブザー83の停止ボタンが押されると(S9:Yes)、制御部7は、ブザー83の停止処理(S10)を実行し、処理S11に移行する。スイッチ84が押操作されない、つまりブザー83の停止ボタンが押されなければ(S9:No)、制御部7は、ブザー83の停止処理(S10)をスキップして、処理S11に移行する。
そして、操作部材81の復旧操作が行われると(S11:Yes)、開閉部M4が遮断状態から導通状態へ切り替わり(S12)、処理S1に戻る。そして、コンセント1は再使用可能な状態となる。処理S11においても、復旧操作が行われなければ(S11:No)、制御部7は、処理S9に移行する。
制御部7は、第3条件が不成立であると判定すると(S13:No)、第4条件(Th1<T1≦Th2、かつA1≧A10)が成立するか否か判定を行う(S20)(図8参照)。図8において、制御部7は、第4条件が成立すると判定すると(S20:Yes)、コンセント1が「警告」状態にあると判定し(S21)、続いて、発生頻度の判定を行う(S22)。なお、制御部7は、第4条件が不成立であると判定すると(S20:No)、処理S1に戻る。
制御部7は、発生頻度が規定頻度以下であれば(S22:Yes)、「注意」状態にあると判定し(S23)、ブザー83からの第1注意音の出力(S24)、及び表示部82での「注意」表示を行う(S25)。ただし、制御部7は、「注意」状態では、開閉部M4の遮断状態への切り替えを実行しない。その後、第1注意音の出力状態で、ブザー83の停止ボタンが押されると(S26:Yes)、制御部7は、ブザー83の停止処理(S27)を実行し、処理S1に移行する。ブザー83の停止ボタンが押されなければ(S26:No)、制御部7は、第1注意音の出力を継続しつつ、処理S20に戻る。
一方、制御部7は、発生頻度が規定頻度を超えていれば(S22:No)、「危険」状態にあると判定し(S28)、ブザー83からの第2注意音の出力(S29)、及び表示部82での「危険」表示を行う(S30)。その後、第2注意音の出力状態で、ブザー83の停止ボタンが押されると(S26:Yes)、制御部7は、ブザー83の停止処理(S27)を実行し、処理S1に移行する。つまりブザー83の停止ボタンが押されなければ(S26:No)、制御部7は、第2注意音の出力を継続しつつ、処理S20に戻る。
このように本実施形態の監視システムM10は、正常及び異常(2値)以外に、警告という判定状態を持ち、警告と判定すると、更に注意か危険かの詳細な判定を実行する。したがって、状態検出に関する信頼性の向上を図ることができる。また、監視システムM10は、通知部M3を備えることで、コンセント1が、異常状態や、注意状態、危険状態にあることを、外部に通知することができる。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係る制御部7と同様の機能は、監視システムM10の制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。なお、以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
本開示における監視システムM10は、例えば、制御部7等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部7としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
また、監視システムM10における複数の機能が、1つの筐体4に集約されていることは監視システムM10に必須の構成ではなく、監視システムM10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、制御部7等、監視システムM10の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、上記実施形態のように、監視システムM10の全ての機能が、1つの筐体4に集約されていてもよい。
(3.1)変形例1
以下、本変形例(変形例1)について、図9Aを参照しながら説明する。
基本例では、監視システムM10の全ての機能が、1つの筐体4に集約されている。特に、基本例では、電流検出部6がコンセント1内に配置されている。本変形例では、電流検出部6がコンセント1の外にある点で基本例と異なる。また本変形例では、第2取得部M2が通信部M5を含む点で基本例と異なる。
通信部M5は、無線(又は有線でもよい)により、外部の機器U1と通信可能に構成された通信インタフェースである。つまり、第2取得部M2(通信部M5)は、機器U1から第2情報を取得するように構成されている。機器U1は、コンセント1にとっての外部の機器である。機器U1は、分電盤150内における複数の電流検出部6(図6では1つのみ)と信号ケーブルL1を介して電気的に接続されて、主幹回路や複数の分岐回路に流れる電流を計測する計測ユニットを想定する。なお、計測ユニットに相当する機器が分電盤150内に設置されていれば、機器U1は、分電盤150内の機器であってもよい。また機器U1は、計測ユニット以外に、いわゆるHEMS(Home Energy Management System)コントローラ(又はBEMS(Building Energy Management System)コントローラ)等であってもよい。また機器U1は、据置きタイプのユニットでもよいし、携帯可能なユニットでもよい。
電流検出部6は、分電盤150内に設置されて、複数の分岐回路の電流をそれぞれ検出する複数の電流検出部6のうちの1つに相当する。機器U1は、自身のメモリ内に、コンセント1を識別可能な固有の識別情報と、当該コンセント1に接続されている給電線92に相当する分岐回路の回路番号と対応付けたデータを記憶している。
機器U1は、コンセント1の通信部M5へ、コンセント1が接続されている分岐回路に対応する電流検出部6で検出された電流の電流値A1(第2情報)を、定期的に送信する。なお、機器U1は、コンセント1の通信部M5からの要求を受けてから、第2情報を送信してもよい。
このように本変形例の構成においては、コンセント1側に電流値を検出する電流検出部が設けられていないため、コンセント1の構成の簡素化を図ることができ、コンセント1の製造コストの増加を抑制できる。
ただし、基本例のように、監視システムM10の全ての機能が、1つのコンセント1内に集約されている構成の方が、電流検出の機能を、コンセント1単位で持たせることができる。また、例えば分電盤150内の電流検出部6で(つまり、コンセント1よりも上流側で)電流値A1を検出する場合に比べて、構成の簡素化を図ることができる。特に、機器U1の側で、コンセント1の識別情報と分岐回路の回路番号との対応付けを行う等、種々の煩雑な設定が不要である。
(3.2)変形例2
以下、本変形例(変形例2)について、図9Bを参照しながら説明する。
基本例の監視システムM10では、開閉部M4は、コンセント1内に配置されている。しかし、開閉部M4は、コンセント1内ではなくコンセント1外に設置されてもよい。言い換えると、開閉部M4は、給電源110(図9B参照)からコンセント1の接続部材3までの間に電気的に接続されていれば、コンセント1外でもよい。給電源110は、例えば、商用電源のような交流電源であり、分電盤150内における主幹回路に電気的に接続される。
本変形例の監視システムM10では、開閉部M4は、例えば、分電盤150内に配置されて、複数の分岐回路に電気的に接続されている複数の分岐ブレーカの1つである。この場合、分岐ブレーカは、制御機器U2から受信する制御信号に応じて接点の開閉が可能(遠隔制御可能)なリモコンブレーカであることが望ましいが、特に限定されない。
本変形例の監視システムM10では、基本例と同様に、電流検出部6がコンセント1内に配置されている。また本変形例の監視システムM10は、無線(又は有線でもよい)により、制御機器U2と通信可能な通信部M6を備える。制御機器U2は、変形例1の機器U1に相当してもよい。また制御機器U2は、分電盤150内に配置されてもよい。
本変形例では、制御部7は、コンセント1が「異常」状態と判定すると、通信部M6より、制御機器U2に、異常状態を示す状態情報に関する電気信号を送信する。制御機器U2は、自身のメモリ内に、コンセント1の識別情報と、当該コンセント1に接続されている給電線92に相当する分岐回路の回路番号(リモコンブレーカの識別番号)と対応付けたデータを記憶している。制御機器U2は、コンセント1から上記電気信号を受信すると、該当する開閉部M4に制御信号を送信し、回路の遮断を実行する。
このように本変形例の構成においては、コンセント1側に開閉部M4が設けられていないため、コンセント1の構成の簡素化を図ることができ、コンセント1の製造コストの増加を抑制できる。なお、制御機器U2は省略されてもよく、監視システムM10の通信部M6は、開閉部M4と直接通信可能であり、制御部7で生成された制御信号を開閉部M4に送信してもよい。
(3.3)変形例3
基本例では、監視システムM10における、正常、異常、警告(注意、危険)に関する判定処理は、コンセント1内で行われる。しかし、判定処理は、コンセント1内で行うのではなく、コンセント1外で行われてもよい。
本変形例の監視システムM10では、基本例と同様に電流検出部6がコンセント1内に配置される。また本変形例の監視システムM10は、HEMSコントローラ(又はBEMSコントローラ等)と通信可能な通信部(不図示)を備える。そして、基本例の監視システムM10における判定部73の判定機能は、HEMSコントローラに設けられている。
監視システムM10の通信部は、第1情報及び第2情報を、HEMSコントローラへ送信し、HEMSコントローラ側で、正常、異常、警告(注意、危険)に関する判定処理を行う。そして、HEMSコントローラは、その判定結果を、コンセント1の通信部へ返信する。この場合、コンセント1の制御部7は、受信した判定結果に基づいて、通知部M3に、正常、異常、警告(注意、危険)に関する外部への通知を実行させる。
このように本変形例の構成においては、コンセント1側に判定処理の機能が設けられていないため、コンセント1の構成の簡素化を図ることができ、コンセント1の製造コストの増加を抑制できる。なお、本変形例は、上記の変形例2とも組み合わせることで、更に、コンセント1の構成の簡素化を図ることができ、コンセント1の製造コストの増加を抑制できる。
(3.4)変形例4
以下、本変形例(変形例4)について、図10を参照しながら説明する。
基本例では、監視システムM10の全ての機能は、コンセント1が製造された段階で、コンセント1内に組み込まれている。しかし、監視システムM10の機能の一部又は全部が、コンセント1に対して後付けで(機械的に)取り付けられることで、コンセント1に対して監視システムM10の機能が追加できてもよい。
本変形例では、一例として、電流検出部6が、コンセント1内に設けられていない。そして、電流検出部6は、コンセント1に対して後付けで固定可能な固定部M21を有した電流検出アダプタAD1として構成される。固定部M21は、例えば、コンセント1の接続口11に抜き差し可能な栓刃(導体部)である。また電流検出アダプタAD1は、その正面に、電気機器のプラグ91の栓刃911が接続可能な接続口(不図示)を有している。電流検出アダプタAD1は、固定部M21をコンセント1に差し込むことで、筐体4に機械的に接続され、かつ導体Z1に電気的に接続される。
電流検出アダプタAD1は、固定部M21を通じて、導体Z1に流れる電流の電流値A1、言い換えると、自身の接続口に接続されている電気機器に向かう電流の電流値A1を検出する。
電流検出アダプタAD1は、電流値A1に関する第2情報をコンセント1に送信してもよい。この場合、監視システムM10は、コンセント1内において、電流検出アダプタAD1と通信可能な通信部(不図示)を備える。通信部は、無線により電流検出アダプタAD1から第2情報を受信してもよい。電流検出アダプタAD1が電力線通信(PLC:Power Line Telecommunication)を実現するPLCアダプタの機能を有していれば、通信部は、接続口11に接続中の固定部(栓刃)M21から直接第2情報を受信してもよい。
また、変形例3のように判定部73の判定機能は、HEMSコントローラ(又はBEMSコントローラ等)に設けられている場合、電流検出アダプタAD1は、電流値A1に関する第2情報をHEMSコントローラに送信してもよい。電流検出アダプタAD1は、無線により、第2情報をHEMSコントローラに送信してもよいし、電流検出アダプタAD1がPLCアダプタとしての機能を有していれば、電力線を介して第2情報をHEMSコントローラに送信してもよい。
このように本変形例の構成においては、電流検出部6における機能を、コンセント1の設置環境又は要望等に応じて、後付けで簡単にコンセント1へ追加できる。
(3.5)その他の変形例
基本例では、第3情報が、発生頻度に関する情報である。しかし、第3情報は、発生期間に関する情報でもよい。その場合、判定部73は、例えば、検出温度T1及び電流値A1が第6領域R6内にある発生期間を、制御部7のタイマを用いて計測してもよい。判定部73は、発生期間が規定期間以下であれば注意状態と判定し、発生期間が規定期間を超えていれば危険状態と判定してもよい。なお、発生頻度及び発生期間の組み合せにより判定を行い、注意状態か危険状態かの分類が行われてもよい。
また監視システムM10は、警告状態についてだけでなく、正常状態、異常状態についても、頻度や期間を考慮して判定してもよい。
基本例では、警告状態を、注意状態か危険状態かに分類しているが、この分類は必須ではない。要するに、状態情報は、正常、異常、注意、及び危険の4段階ではなく、正常、異常、及び警告の3段階でもよいし、あるいは5段階以上でもよい。
また監視システムM10は、種々の電気機器を管理するHEMSコントローラ(又はBEMSコントローラ等)から、コンセント1に接続中の電気機器に関する機器情報(第4情報:機器の種類や定格量等)を通信により取得してもよい。監視システムM10は、その第4情報を、コンセント1の状態を判定する要素に加えてもよい。コンセント1に接続中の電気機器が、例えば、ルータ等のように消費電力が比較的小さい機器にも関わらず、検出された電流値A1が10アンペアを超えていれば、何かしらの異常が発生していると判定して、外部に通知してもよい。
基本例では、第2情報は、実際に計測された電流値A1(実測値)に関する情報である。しかし、第2情報は、実測値ではなく、推定値でもよい。監視システムM10が、HEMSコントローラ(又はBEMSコントローラ等)からコンセント1に接続中の電気機器に関する機器情報を受信するように構成されていれば、その機器情報に含まれる電気機器の定格量(最大電流値)等を、電流値A1として推定してもよい。
あるいは、第2情報は、演算等により間接的に得られた電流値A1に関する情報であってもよい。例えば、電流値A1は、分電盤150の主幹回路に流れる電流の電流値から、他の分岐回路に流れる電流の電流値を差し引くことで、間接的に得られてもよい。
基本例では、監視システムM10は、検出温度T1が第1温度閾値Th1以下であれば、電流値A1の大きさに関わらず、全て正常状態と判定しているが、更に、電流値A1についても、ある閾値を超えれば、異常と判定してもよい。
基本例では、通知部M3は、コンセント1が異常状態や警告(注意、危険)状態にあることを、ブザー83及び表示部82を通じて、ユーザに通知する。しかし、通知部M3は、更に、ユーザが携帯するスマートフォン等の情報端末に、コンセント1の状態情報を送信して、ユーザに通知してもよい。この場合、変形例2の通信部M6が、情報端末と通信可能に構成されてもよい。一方、情報端末には、通信部M6と通信可能とする専用のアプリケーションソフトがインストールされる。また通知部M3は、コンセント1が設置されている家屋や施設の外部にある、監視サーバ装置等に通知してもよい。
基本例では、監視システムM10は、異常な発熱の原因がジュール熱(経年劣化等)か亜酸化銅かについての推定結果を外部に通知していない。しかし、監視システムM10は、制御部7にて異常な発熱の原因を推定し、その推定結果を外部に通知してもよい。
基本例では、監視システムM10は、コンセント1が異常状態にあると判定すると、遮断と通知の両方を実行する。しかし、監視システムM10は、遮断と通知のうち一方だけを実行してもよい。
基本例では、コンセント1は、施設(建物)の壁面、天井面及び床面等の造営面100に設置されるコンセントである。しかし、コンセント1は、テーブルタップであってもよい。
また、コンセント1は、接地極付きに限らず、接地極無しであってもよいし、例えば、交流200V用又は直流用のコンセント(Outlet)であってもよい。さらに、コンセント1は、Aタイプのコンセントに限らず、例えば、Bタイプ又はCタイプのように、ピン形状の栓刃を有するプラグを接続可能なコンセントであってもよい。コンセント1は、2個口タイプに限らず、例えば、1個口タイプ又は3個口タイプであってもよい。さらに、コンセント1は、例えば、人感センサ、タイマ又はスイッチ等を更に備えていてもよい。また、端子部材2は、速結端子でなくてもよく、例えば、ねじ式端子であってもよい。また、コンセント1は、取付枠を用いて後部が造営面100内に埋め込まれた状態で設置される構成(埋込設置型)に限らず、全体が露出した状態で造営面100に設置される構成(露出設置型)であってもよい。
また、コンセント1は、プラグ91の抜け止めとなるロック機構を有していてもよい。ロック機構は、例えば、プラグ91を回転させることによってプラグ91の栓刃911の抜け止めを行う。コンセント1は、扉付きであってもよい。
また、上記実施形態では、電磁釈放装置が作動して開閉部M4が導通状態から遮断状態に切り替わると、開閉部M4に連動して操作部材81もオフ位置に移動するが、この構成に限らない。例えば、開閉部M4が導通状態から遮断状態に切り替わる際、操作部材81については、オン位置のままであってもよい。この場合、復旧操作は、操作部材81をオン位置からオフ位置に一旦移動させた後、操作部材81をオフ位置からオン位置に移動させることで実現される。
また、開閉部M4は、例えば、メカニカルリレー又は半導体スイッチ等で実現されてもよい。
本開示にて、検出温度T1と、第1温度閾値Th1又は第2温度閾値Th2との2値の比較において、「大きい(超えている)」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合の両方を含む「以上」と同義であってもよい。同様に、電流値A1と電流閾値A10との2値の比較、及び、発生頻度と規定頻度との2値の比較についても、「大きい(超えている)」は、「以上」と同義であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、閾値等の設定次第で任意に変更できるので、「大きい(超えている)」か「以上」かに技術上の差異はない。同様に、「以下」においても「未満(小さい)」と同義であってもよい。
(4)利点
以上説明したように、第1の態様に係る監視システム(M10)は、コンセント(1)を監視する。監視システム(M10)は、第1取得部(M1)と、第2取得部(M2)と、を備える。第1取得部(M1)は、コンセント(1)における導体(Z1)の温度に関する第1情報を取得する。第2取得部(M2)は、導体(Z1)に流れる電流の電流値に関する第2情報を取得する。監視システム(M10)は、少なくとも第1情報及び第2情報に基づく、コンセント(1)の状態情報を監視する。第1の態様によれば、コンセント(1)の状態情報が、少なくとも第1情報(温度)及び第2情報(電流値)に基づくため、第1情報(温度)のみの場合に比べて、コンセント(1)の状態を精度よく判定(分析)できる。したがって、状態検出に関する信頼性の向上を図ることができる。
第2の態様に係る監視システム(M10)は、第1の態様において、通知部(M3)を、更に備えることが好ましい。通知部(M3)は、状態情報においてコンセント(1)が特定状態にあることを示す場合、その旨を通知することが好ましい。第2の態様によれば、コンセント(1)が特定状態にあることを、外部に通知することができる。
第3の態様に係る監視システム(M10)に関して、第1又は第2の態様において、導体(Z1)は、プラグ(91)が接続される接続部材(3)を含むことが好ましい。監視システム(M10)は、開閉部(M4)を更に備えることが好ましい。開閉部(M4)は、給電源(110)から接続部材(3)までの間に電気的に接続されることが好ましい。開閉部(M4)は、状態情報においてコンセント(1)が異常状態にあることを示す場合、導通状態から遮断状態に切り替わることが好ましい。第3の態様によれば、例えば、第1情報(温度)のみに基づく状態情報においてコンセント(1)が異常状態にあることを示す場合に遮断状態に切り替わる場合に比べて、異常とまでは言えない状態であっても遮断されてしまう可能性を低減できる。言い換えると、ユーザにとってコンセント(1)の利便性が損なわれる可能性を低減できる。
第4の態様に係る監視システム(M10)に関して、第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおいて、状態情報は、第1情報及び第2情報に加えて、更に第3情報に基づく情報であることが好ましい。第3情報は、コンセント(1)が特定状態となる発生頻度、及び特定状態が持続する発生期間のうち少なくとも一方に関することが好ましい。第4の態様によれば、コンセント(1)の状態を更に精度よく判定(分析)でき、状態検出に関する信頼性の更なる向上を図ることができる。
第5の態様に係る監視システム(M10)は、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおいて、第2取得部(M2)は、通信部(M5)を含むことが好ましい。通信部(M5)は、外部の機器(U1)と通信可能に構成されることが好ましい。通信部(M5)は、機器(U1)から第2情報を取得することが好ましい。第5の態様によれば、構成の簡素化を図ることができ、製造コストの増加を抑制できる。
第6の態様に係る監視システム(M10)に関して、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおいて、第2取得部(M2)は、電流を検出する電流検出部(6)を含むことが好ましい。第6の態様によれば、監視システム(M10)が外部から第2情報を取得する必要がないため、例えば、外部と通信する機能を省略することができる。
第7の態様に係る監視システム(M10)に関して、第6の態様において、電流検出部(6)は、コンセント(1)内に配置されることが好ましい。第7の態様によれば、電流検出の機能を、コンセント(1)単位で持たせることができる。また、例えば分電盤内の電流センサで(つまり、コンセント(1)よりも上流側で)電流値を検出する場合に比べて、構成の簡素化を図ることができる。
第8の態様に係る監視システム(M10)に関して、第6の態様において、電流検出部(6)は、コンセント(1)に対して後付けで固定可能な固定部(M21)を有することが好ましい。第8の態様によれば、電流検出部(6)の機能を、コンセント(1)の設置環境又は要望等に応じて、後付けで簡単にコンセント(1)へ追加できる。
第9の態様に係る監視システム(M10)に関して、第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおいて、状態情報は、コンセント(1)が少なくとも3つの状態のいずれかであることを示すことが好ましい。少なくとも3つの状態とは、正常、異常、及び警告を含むことが好ましい。第9の態様によれば、2値(正常と異常)のみの場合に比べて、より細かい判定(分析)を行うことができる。また、2値(正常と異常)のみの場合に比べて、状態検出に関する対処(通知及び遮断等)に幅を持たせることができる。
第10の態様に係る監視システム(M10)に関して、第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおいて、次の条件を満たす場合、状態情報は、コンセント(1)が異常状態にあることを示すことが好ましい。条件とは、温度が所定の温度閾値よりも高く、かつ電流値が所定の電流閾値よりも小さいことである。第10の態様によれば、状態検出に関する信頼性の更なる向上を図ることができる。
第11の態様に係るコンセント(1)は、第1の態様~第10の態様のいずれか1つにおける監視システム(M10)と、導体(Z1)と、開閉部(M4)と、筐体(4)と、を備える。導体(Z1)は、給電線(92)が接続される端子部材(2)、及びプラグ(91)が接続される接続部材(3)を含む。開閉部(M4)は、端子部材(2)から接続部材(3)までの間に電気的に接続されて、状態情報において異常状態にあることを示す場合、導通状態から遮断状態に切り替わる。筐体(4)は、監視システム(M10)、導体(Z1)及び開閉部(M4)を、収容又は保持する。第1取得部(M1)は、温度を検出する温度検出部(5)を含む。第2取得部(M2)は、電流を検出する電流検出部(6)を含む。第11の態様によれば、状態検出に関する信頼性の向上を図ることができる監視システム(M10)を備えたコンセント(1)を提供できる。
第2~10の態様に係る構成については、監視システム(M10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。