以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下では、集合施設用インターホンシステムが、各施設が住戸であるマンション等の集合住宅で用いられる集合住宅用インターホンシステムである場合について説明する。しかし、本開示の集合施設用インターホンシステムは、それ以外の如何なる集合施設で用いられてもよく、例えば、各施設が客室となるホテル等の宿泊施設で用いられてもよく、各施設がオフィス(事務所)となるオフィスビルで用いられてもよい。
図1は、本開示の一実施形態に係る集合住宅システム1の概略構成図である。集合住宅システム1は、マンション等の集合住宅で用いられる。集合住宅システム1は、集合施設用インターホンシステム(以下、単にインターホンシステムという)10、及び火災感知システム70を備える。
インターホンシステム10は、共用部システム20、玄関システム30、室内システム40、通報システム55、及び制御装置60を有する。共用部システム20は、ロビーインターホン装置21を備え、ロビーインターホン装置21は、ロビーインターホン本体22と、非接触キー制御装置23を含む。インターホンシステム10は、共用部に設けられる複数の共用部端末を有するが、ロビーインターホン装置21は、複数の共用部端末のうちの1つを構成する。ロビーインターホン装置21は、集合住宅の内部と外部を区切る共用ゲート24よりも外部側に設けられて全ての住戸で共有される。ロビーインターホン本体22は、音声を入出力するマイクロホン(図示せず)及びスピーカ(図示せず)と、来訪者を撮像するカメラ(図示せず)を備える。また、ロビーインターホン本体22は、操作部を備え、操作部は、住戸番号を入力するための入力部と、呼出釦を含む。人が入力部で住戸番号を選択した後に呼出釦を操作すると、選択した住戸内のインターホン親機(以下、単に親機という)41等が内蔵スピーカを用いて呼出音を出力する。
ロビーインターホン本体22の周辺には、非接触キー検知部25が設けられる。非接触キー検知部25も、共用ゲート24よりも外部側に設けられる。非接触キー検知部25は、例えば、IC(integrated circuit)カードリーダまたはICタグリーダで構成される。非接触キーが、非接触キー検知部25にかざされると、非接触キー検知部25は、非接触キー内に埋め込まれたICチップの識別コードを読み込む。識別コードは、使用者を特定可能な情報を含む。非接触キー制御装置23は、上記ICタグリーダを介して読み込まれた識別コードと、情報記憶部に格納された解錠を許可する識別コードを照合する。非接触キー制御装置23は、照合した識別コードの結果が一致すれば、共用ゲート24の扉を開閉するドア開閉機構に解除を表す信号を出力し、共用ゲート24の扉を開く。
共用部システム20は、制御装置60、及び玄関システム30を経由した伝送線(信号線)Lで室内システム40に接続される。なお、図1では、伝送線Lや、後述の伝送線(信号線)L1~L6が、一本の配線で示されているが、伝送線L,L1~L6は、複数の配線で構成されてもよい。伝送線L,L1~L6の夫々を構成する1以上の配線には、音声情報を含む音声信号を伝送させる配線が含まれる。制御装置60は、集合住宅の共有機器等を統括制御するために設けられ、通報システム55の通報機56へ所定の通報先に通報信号を送信させる制御や、図示しないエレベータの昇降制御等を行う。所定の通報先には、例えば、消防署、管理会社、及び警備会社が含まれる。また、制御装置60は、管理人室の管理事務室親機(以下、管親機という)65にも接続される。管親機65は、複数の共用部端末のうちの1つを構成する。管親機65は、制御装置60を介してインターホンシステム10の各機器に信号を出力でき、インターホンシステム10の各機器は、制御装置60を介して管親機65へ信号を出力できる。制御装置60は、ロビーインターホン装置21と通信する親機41等を選択し、管親機65と通信する親機41等も選択する。
伝送線Lは、共用部システム20のロビーインターホン装置21から制御装置60を介して玄関システム30の分岐器31に接続される伝送線L1と、分岐器31と室内システム40の親機41を接続する伝送線L2を含む。ロビーインターホン本体22のカメラ(図示せず)で撮像された映像信号や音声信号は、伝送線L1と伝送線L2を介して親機41に入力される。
玄関システム30の分岐器31は、制御装置60からのびる伝送線Lを分岐して各住戸の玄関システム30に接続するために設けられる。各住戸の親機41は、適切な設定を行うことで分岐器31を介して所望の住戸の親機41と信号の送受信を実行可能になる。玄関システムの30のインターホン子機(以下、単に子機という)32は、集合住宅の各住戸の玄関先に配置される。子機32は、音声を入出力するマイクロホン(図示せず)及びスピーカ(図示せず)と、来訪者を撮像するカメラ(図示せず)を含む。子機32のカメラ(図示せず)で撮像された映像信号や音声信号は、伝送線L3を介して親機41に送信される。子機32は、呼出釦(図示せず)を有する。子機32の呼出釦が操作されると、呼出音が、親機41及び副親機42,43の各スピーカから出力される。
親機41は、室内システム40に含まれる。親機41は、音声を入出力するマイクロホン(図示せず)及びスピーカ(図示せず)と、モニタ装置(図示せず)を有する。また、室内システム40は、必要に応じて副親機(モニタ付副親機42及び通話副親機43)を含む。モニタ付副親機42は、音声を入出力するマイクロホン(図示せず)及びスピーカ(図示せず)と、モニタ装置(図示せず)とを有する。親機41、モニタ付副親機42、及び通話副親機43の夫々は、情報端末を構成する。モニタ付副親機42は、伝送線L4を介して親機41に接続され、親機41と音声情報や映像情報をやり取り可能になっている。また、通話副親機43は、音声を入出力するマイクロホン(図示せず)及びスピーカ(図示せず)を有する。通話副親機43は、伝送線L5を介してモニタ付副親機42に接続される。通話副親機43は、伝送線L4及び伝送線L5を介して親機41と音声情報をやり取り可能になっている。親機41は、ロビーインターホン装置21や子機32と、副親機42,43との間の通信を中継する機能を有し、人は、副親機42,43を用いて、ロビーインターホン本体22や子機32を使用する人との間で通話できる。
親機41は、モニタ付副親機42、携帯機器アダプタ45と、無線LANルーター46を介して携帯機器47、例えば、携帯電話やタブレット等と信号のやり取りを可能になっていてもよい。携帯機器アダプタ45は、例えば、親機41又は副親機42,43間の通信で用いられる通信規格の信号と、携帯機器で用いられる通信規格の信号の変換を行う。このインターホンシステム10では、人は、ロビーインターホン装置21又は子機32からの呼び出しに携帯機器47で応答可能となっている。なお、親機41から出てくるLAN配線は、モニタ付副親機42があってもなくても、モニタ付副親機42とメディア変換用の携帯機器アダプタ45を介さずに無線LANルーター46に直接接続されてもよい。また、親機41のLAN配線用の接続端子(図示せず)には、メディア変換用の機器を一切介さずにインターネットに有線又は無線を介して直接繋がるLAN配線の一端部が接続されてもよい。
火災感知システム70は、共用部の火災を感知するために設けられ、複数の火災感知器(以下、単に感知器という)71と、受信機72を含む。各感知器71は、共用部に設けられ、伝送線のみを介して感知器71に接続されるか、又は他の1以上の感知器71と伝送線を介して受信機72に接続される。感知器71は、煙感知式の感知器でもよいが、熱感知式の感知器であると好ましい。熱感知式の感知器は、例えば、所定時間における空気の膨張率を検出し、膨張率が所定以上の膨張率であると判定すると、膨張率に相関がある温度変化が所定温度以上であると判断して発報(火災を検知)する。又は、熱感知式の感知器は、所定の温度以上になると、バイメタルが裏返る構造を有してもよく、バイメタルが裏返ることで作動して発報してもよい。
受信機72は、感知器71からの信号を受信する。受信機72は、例えば、警戒区域の数に一致する数の表示窓を有し、特定の感知器71からその発報を表す信号を受信すると、その感知器が含まれる警戒区域の表示窓のランプが点灯する。又は、受信機72は、液晶パネル等で構成される表示部を有し、特定の感知器71からその発報を表す信号を受信すると、表示部に文字情報で発報した感知器71の設置場所を表示する。
受信機72は、ベル等で構成される主音響装置を内蔵する。図示しないが、集合施設には、ベル等で構成される外部音響装置が、例えば、各階や所定距離毎(例えば、半径25m毎)に設置され、外部音響装置は、受信機72から制御信号を受信する。受信機72は、感知器71からその発報を表す信号を受信すると、例えば、主音響装置を鳴動させると共に、1以上の外部音響装置に鳴動の実行を表す鳴動信号を送信し、鳴動信号を受けた外部音響装置が鳴動する。このようにして、建物内で避難が必要な人に火災発生を知らせて避難を促す。
音響装置の機種や仕組みは、集合住宅の大きさや構造によって異なり、鳴動(警報音の発報)のさせ方も集合住宅毎に異なる。例えば、いずれかの感知器が発報した場合、全館一斉に全ての音響装置を鳴動させてもよいし、大規模なマンションでは、発報した感知器の設置階とその直上階に設置された外部音響装置のみで警報音を発報させてもよい。
次に、インターホンシステム10と、火災感知システム70の連動動作について説明する。詳しくは、インターホンシステム10では、いずれかの感知器71が発報した場合、1以上の住戸で、親機41、副親機(モニタ付副親機42及び通話副親機43)、及び携帯機器47に火災情報を報知する音声を出力させることができる。また、発報した感知器71の場所に関連づけて特定の住戸のみで、親機41、副親機(モニタ付副親機42、通話副親機43、及び携帯機器47)に火災情報を報知する音声を出力させることもできる。以下に、これらの動作を可能にする構成、及び設定について説明する。
図1に示すように、インターホンシステム10では、管親機65が伝送線L6を介して受信機72に接続される。詳しくは、管親機65は、一端部が受信機72に接続された伝送線L6の他端部が接続された接続端子を有し、この接続端子を介して受信機72から情報を取得できるようになっている。管親機65が接続端子を介して受信機72から獲得する情報には、感知器71の発報に関する発報関連情報が含まれ、発報関連情報には、発報した感知器71の場所に関する発報場所情報が含まれる。
管親機65は、更に、操作部、記憶部、及び制御部を備え、操作部は、複数の操作釦や、タッチパネル等で構成され、操作部には、設定部が含まれる。設定部は、人は、設定部を用いて、報知を行う住戸の親機41を設定でき、例えば、いずれかの感知器71が発報すると、全ての住戸の親機41が音声で火災報知を行うように設定できる。又は、人は、設定部を用いて、発報した感知器71の位置に関連付けて1以上の特定の住戸の親機41が音声で火災報知を行うように設定できる。そして、例えば、人は、設定部を用いて、発報した感知器71が設置されている階の全ての住戸の親機41と、その直上階の全ての住戸の親機41のみに、火災が発生していると思われる発報した感知器71の位置を含む火災報知を実行させることができる。又は、人は、設定部を用いて、発報した感知器71が設置されている階の全ての住戸の親機41と、その階よりも上の全ての階の全ての住戸の親機41のみに、火災が発生していると思われる発報した感知器71の位置を含む火災報知を実行させることができる。
耐火性に優れる近年の集合住宅では、共用部のある地点で火災が起きたとしても、火災の影響をその地点の周辺のみで収めることができることが多い。この設定によれば、火災の影響が及ばない住戸の親機41に火災報知をさせないことができる。よって、その住戸の住人に無用な迷惑をかけないようにできる。
又は、設定部は、複数の親機41に時間差で火災報知をさせる設定ができてもよい。例えば、ある階の感知器71が発報した場合、感知器71が発報してから第1所定時間以内に発報した感知器71の設置階の全ての住戸の親機41に火災を報知させてもよい。また、感知器71が発報してから第2所定時間(>第1所定時間)以内に、発報した感知器71が設置されている設置階よりも1階下の階と該設置階よりも1階上の階の全ての住戸の親機41に火災を報知させてもよい。また、感知器71が発報してから第3所定時間(>第2所定時間)以内に、上記設置階よりも2階下の階と該設置階よりも2階上の階の全ての住戸の親機41に火災を報知させてもよい。すなわち、設定部は、集合住宅が含む複数の親機41が異なる時間で火災報知を行う2以上の親機41を含むように設定できてもよく、この設定は、発報した感知器71の位置に関連付けて実行できてもよい。また、設定部は、親機41において火災報知を行う時間を設定できてもよい。又は、設定部は、管親機65において火災報知を行う時間を設定できてもよく、管親機65での火災報知が終了すると同時に、親機41での火災報知が終了するように設定できてもよい。
管親機65の制御部は、例えば、マイクロコンピュータによって好適に構成されるCPU(Central Processing Unit)を含み、CPUは、管親機65の記憶部に予め記憶されたプログラム等を読み出して実行する。記憶部は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)等で構成される。RAMは、読み出したプログラムや処理データを一時的に記憶し、ROMは、制御プロラムや所定の閾値等を予め記憶する。設定部によって設定された感知器71の火災報知の動作設定は、記憶部に記憶される。
管親機65の制御部は、受信機72から上記接続端子を介して発報した感知器71の位置情報を受ける。制御部は、その位置情報と、記憶部に記憶された感知器71の設定情報に基づいて、火災報知を実行させる1以上の親機41の情報を含む報知信号を、制御装置60を介して少なくとも該1以上の親機41に出力する。この報知信号には、火災感知システム70の受信機72からの情報に基づく情報であって報知される報知情報も含まれる。報知情報は、具体例を挙げると、3階の共用部北側廊下周辺で火災が発生したことを意味する情報等で構成される。管親機65の制御部は、受信機72から情報を取得する取得部と、報知情報を含む報知信号を発信する報知信号発信部を兼用する。
管親機65の操作部は、更に報知取消操作部を含んでもよい。感知器は、故障等により誤報で発報信号を管親機65に出力することがある。また、管親機65は、親機41と同様に、音声を入出力するマイクロホン(図示せず)及びスピーカ(図示せず)と、モニタ装置(図示せず)を有する。感知器71が、誤報で発報信号を管親機65に出力すると、管親機65が火災報知を実行する。発報信号は、感知器71の発報に関する発報関連情報を含み、火災報知は、発報関連情報に基づく発報報知情報を報知する。発報報知情報には、例えば、発報した感知器71の位置情報が含まれる。管親機65が報知取消操作部を有するので、管理人等は、火災報知が感知器71の誤報によるものだと判断すると、報知取消操作部を用いて、親機41に報知させないことを表す報知禁止信号を、報知信号発信部を構成する制御部に入力できる。その結果、親機41への報知情報を含む報知信号の発信を取り消しできる。
換言すると、インターホンシステム10では、管親機65の制御部が、共用部に設けられた感知器71の発報に関する発報関連情報を取得した場合に、管親機65がその発報関連情報に基づく発報報知情報を報知してもよい。そして、親機41に報知させないことを表す報知禁止信号が、上記発報報知情報が報知されてから所定時間内に管親機65に入力されない場合に、1以上の親機41が、上記発報関連情報に関係する発報関係情報を報知してもよい。更には、管親機65の操作部は、報知停止操作部を含んでもよく、人が報知停止操作部を操作することで、火災報知を行っている親機41の当該火災報知を停止できてもよい。また、この場合において、報知停止操作部が、報知取消操作部と一致してもよく、報知取消操作部が、報知停止操作部を兼用してもよい。
次に、インターホンシステム10で可能な典型的な制御について説明する。図2は、火災感知システム70からの情報に基づいて複数の親機41に報知情報を報知させるインターホンシステム10の制御の処理手続の一例を示すフローチャートである。
図2を参照して、管親機65が、受信機72からの信号を受信可能な状態で、かつ以下に説明する処理手順を実行可能な設定が設定部を用いて入力されると、フローがスタートする。すると、ステップS1で管親機65の制御部が、少なくとも1つの感知器71が発報したことを表す発報信号を、受信機72から受けたか否かを判定する。ステップS1で制御部が否定判定すると、ステップS1が繰り返される。他方、ステップS1で、制御部が肯定判定すると、ステップS2に移行して、制御部が、管親機65に火災報知を実行させ、ステップS3に移行する。
ステップS3では、制御部が、報知取消操作部が操作されたか否かを判定する。ステップS3で肯定判定されると、ステップS4に移行して、管親機65による火災報知を停止し、制御がリターンとなって初めに戻る。他方、ステップS3で否定判定されると、ステップS5に移行して、制御部が、受信機72から発報信号を受けてから第1所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS5で否定判定されると、ステップS3が繰り返される。他方、ステップS5で肯定判定されると、ステップS6に移行して、制御部が、発報した感知器71の設置階の全ての住戸の親機と、その直上階の全ての住戸の親機による火災報知を実行させることを表す第1報知信号を、制御装置60を介して全ての親機41に出力する。
各親機41は、第1報知信号に含まれる1以上のアドレスに自己のアドレスが含まれている場合、音声を出力することで火災報知を行う。音声には、発報した感知器71の場所と、火災が発生したことを意味する文言が含まれる。音声は、例えば、「3階の共用部北側廊下周辺で火災が発生しました。安全を確認の上、避難してください。」といった文言で構成され、その音声が、例えば、警報等からなる効果音と交互に出力される。
ステップS6に続くステップS7では、制御部が、報知停止操作部が操作されたか否かを判定する。報知停止操作部の操作は、火事が終息したか、又は火事が終息見込みであることを意味する。ステップS7で肯定判定されると、ステップS14に移行して、管親機65による火災報知の停止、及び火災報知を行っている親機41の火災報知の停止を実行し、その後、制御がリターンとなって初めに戻る。他方、ステップS7で否定判定されると、ステップS8に移行して、制御部が、発報信号を受信してから第2所定時間(>第1所定時間)が経過したか否かを判定する。ステップS8で否定判定されると、ステップS7が再度実行される。他方、ステップS8で肯定判定されると、ステップS9に移行して、制御部が、発報した感知器71の設置階の全ての住戸の親機41と、それよりも上にある全ての階の全ての住戸の親機41による火災報知を実行させることを表す第2報知信号を、制御装置60を介して全ての親機41に出力する。
各親機41は、第2報知信号に含まれる1以上のアドレスに自己のアドレスが含まれている場合、音声を出力することで火災報知を行う。音声には、発報した感知器71の場所と、火災が発生したことを意味する文言が含まれる。音声としては、例えば、ステップS6で説明した音声と同一の音声を採用でき、その音声は、例えば、警報等からなる効果音と交互に出力される。ステップS9に至るまで、報知停止操作部が操作されていないことから、例えば、火事が短時間で終息しない状況にあると考えられる。ステップS9で、発報した感知器71の設置階、及びそれよりも1階上の階の住人に次いで危険性が高いと考えられる、発報した感知器71の設置階よりも2階以上高い階の住人に、親機41を介して火災報知を行うことで、高層階の住人の安全に万全を期している。
ステップS9後のステップS10では、制御部が、報知停止操作部が操作されたか否かを判定する。ステップS10で肯定判定されると、ステップS14に移行して、管親機65による火災報知の停止、及び火災報知を行っている親機41の火災報知の停止を実行し、その後、制御がリターンとなって初めに戻る。他方、ステップS10で否定判定されると、ステップS11に移行して、制御部が、発報信号を受信してから第3所定時間(>第2所定時間)が経過したか否かを判定する。ステップS11で否定判定されると、ステップS10が再度実行される。
他方、ステップS11で肯定判定されると、ステップS12に移行して、全ての住戸の親機41に火災報知を実行させることを表す第3報知信号を、制御装置60を介して全ての親機41に出力する。第3報知信号には、全ての親機41のアドレス情報が含まれる。また、音声には、発報した感知器71の場所と、火災が発生したことを意味する文言が含まれる。音声としては、例えば、ステップS6で説明した音声と同一の音声を採用でき、その音声は、例えば、警報等からなる効果音と交互に出力される。ステップS12に至るまで、報知停止操作部が操作されていないことから、火事がより長期化する状況にあると考えられる。ステップS12で、全ての住戸の住人に親機41を介して火災報知を行うことで、集合住宅の全ての住人の安全に万全を期すことができる。
ステップS12後のステップS13では、制御部が、報知停止操作部が操作されたか否かを判定する。ステップS13で否定判定されると、ステップS12が再度実行される。他方、ステップS13で肯定判定されると、ステップS14に移行して、管親機65による火災報知の停止、及び火災報知を行っている親機41の火災報知の停止を実行し、その後、制御がリターンとなって初めに戻る。
以上説明したように、インターホンシステム10は、集合住宅の各住戸に設けられた親機41と、集合住宅の共用部に設けられた管親機65との間の通話を制御するインターホンシステムである。集合住宅は、集合施設の一例であり、住戸は、施設の一例であり、管親機65は、共用部端末の一例である。また、インターホンシステム10は、管親機65に設けられ、共用部の火災を感知する火災感知システム70の受信機72から情報を取得する取得部を備える。上記実施例では、取得部は、管親機65の制御部で構成される。
したがって、インターホンシステム10が、火災感知システム70の受信機72から情報を取得する取得部を備えるので、火災感知システム70の感知器71が感知した火災発生情報等の情報を、取得部を介して各住戸の親機41に伝達でき、当該情報を各住戸の親機41で報知できる。よって、火災感知システムが、インターホンシステムと独立に共用部に設置される場合と比較して、火災感知システム70が取得した火災発生情報等の情報を、各段に迅速かつ確実に各住戸の住人に報知でき、集合住宅の住人の安全に万全を期すことができる。
また、取得部が、火災感知システム70の受信機72から取得した情報は、共用部に設けられた感知器71の発報に関する発報関連情報を含んでもよい。
上記構成によれば、各住戸の住人が、親機41を介して感知器71の発報に関する発報関連情報を取得でき、その発報関連情報に基づいて行動できるようになる。
また、上記発報関連情報は、発報した火災感知器の場所に関する発報場所情報を含んでもよい。
上記構成によれば、各住戸の住人が、親機41を介して発報した感知器71の場所に関する発報場所情報を取得できる。よって、住人が、火災が発生していると考えられる発報した感知器71の周辺箇所を回避するように避難できるようになり、住人の安全な避難を促進できる。
また、上記取得部は、上記実施例のように共用部端末としての管親機65に設けられてもよい。又は、図3、すなわち、変形例の集合住宅システム101の概略構成図に示すように、インターホンシステム110は、共用部端末としての管親機165と、管親機165と情報端末(各住戸の親機等で構成)との間の通話を制御する制御装置160を備えてもよい。そして、火災感知システム170の受信機172は、共用部端末としての管親機165でなくて制御装置160に接続されてもよく、取得部は、制御装置に設けられてもよい。又は、取得部は、共用部端末としての管親機と、制御装置の両方に設けられてもよい。
上記構成において、取得部が、管理人が操作する管親機65に設けられる場合、火災感知システムからの情報を管理人に迅速に報知できる。また、取得部が、インターホンシステム110の統括制御を行う制御装置160に設けられる場合、火災感知システム170からの情報に基づく信号を円滑に管親機165と各住戸190の親機に送信できる。
また、インターホンシステム10は、火災感知システム70の受信機72から取得した情報に基づく情報であって報知される報知情報を含む報知信号を発信する報知信号発信部を備えてもよい。また、報知信号発信部は、本実施例のように共用部端末としての管親機65の制御部に含まれてもよい。又は、報知信号発信部は、制御装置に含まれてもよく、インターホンシステムにおいて制御装置に信号線又は無線を介して繋がる如何なる機器に設けられてもよい。
上記構成によれば、報知情報を含む報知信号を各住戸の親機41に送信でき、各住戸の住人が報知情報を知ることができる。
また、インターホンシステム10は、上記報知情報を出力する親機41を設定する設定部を備えてもよい。また、設定部は、本実施例のように共用部端末としての管親機65に設けられてもよい。又は、設定部は、インターホンシステムにおいて制御装置に信号線ま又は無線を介して繋がる如何なる機器に設けられてもよい。
上記構成によれば、例えば、報知情報を出力する親機41を発報した感知器71の場所に関連づけて設定できる。したがって、発報した感知器71から遠くて危険の心配がない住戸の親機41が報知情報を出力しないようにできる。よって、火災と関係が薄い住人に不必要な情報を報知せずに済み、当該住人に迷惑が及ぶことを防止できる。
また、取得部が共用部に設けられた感知器71の発報に関する発報関連情報を取得した場合に、管親機65がその発報関連情報に基づく発報報知情報を報知してもよい。そして、親機41に報知させないことを表す報知禁止信号が、発報報知情報が報知されてから所定時間内に管親機65に入力されない場合に、少なくとも一つの親機41が、上記発報関連情報に関係する発報関係情報を報知してもよい。
上記構成によれば、管親機65が発報報知情報を報知したとき、管理人等が所定時間内に管親機65に報知禁止信号を入力することで、全ての親機41が発報関係情報を報知しないようにできる。よって、いずれかの感知器71が故障等で誤って発報した場合に、親機41が報知した誤報で集合住宅の住人に迷惑をかけることを防止できる。
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、取得部、報知信号発信部、及び設定部が、共用部端末に設けられ、それらが設けられる共用部端末が、管親機65である場合について説明した。しかし、取得部、報知信号発信部、及び設定部の少なくとも1つは、共用部端末に設けられてもよく、その少なくとも1つが設けられる共用部端末は、ロビーインターホン装置でもよい。
また、火災感知システム70の受信機72からの情報が、共用部に設けられた感知器71の発報に関する発報関連情報を含み、その発報関連情報が、発報した感知器71の場所に関する発報場所情報を含む場合について説明した。しかし、火災感知システムの受信機からの情報は、発報場所情報を含まない発報関連情報を有してもよく、例えば、いずれかの感知器が発報したことを表す発報関連情報のみを有してもよい。
また、火災感知システム70の受信機72からの情報が、共用部に設けられた感知器71の発報に関する発報関連情報を含む場合について説明した。しかし、火災感知システムの受信機からの情報は、発報関連情報を含まなくてもよく、例えば、受信機からの情報は、各感知器に関して定期的に実行される動作試験に関する情報であってもよい。
また、取得部が、共用部端末と、制御装置とのうちの少なくとも一方に設けられる場合について説明した。しかし、取得部は、共用部端末と制御装置のいずれにも設けられなくてもよく、共用部端末に接続可能な制御装置以外の機器に設けられてもよく、例えば、各住戸の親機41に設けられてもよい。
また、インターホンシステム10が、受信機72からの情報に基づく情報であって報知される報知情報を含む報知信号を発信する報知信号発信部を備える場合について説明した。しかし、インターホンシステムは、報知信号発信部を有さなくてもよく、例えば、受信機からの情報が、取得部を有する機器のみで報知されてもよく、取得部を有する管親機のみで報知されてもよい。
また、インターホンシステム10が、報知情報を出力する親機41を設定する設定部を備える場合について説明した。しかし、インターホンシステムは、報知情報を出力する親機を設定できなくてもよく、例えば、いずれかの感知器が発報したときはいつでも、全ての親機が、報知情報を出力する構成でもよい。
また、情報端末に報知させないことを表す報知禁止信号を、管親機65に入力できる場合について説明した。しかし、親機に報知させないことを表す報知禁止信号が入力可能となっている機器は、管親機以外の共用部端末であってもよい。又は、親機等の情報端末に報知させないことを表す報知禁止信号を、インターホンシステムに含まれる全ての機器に入力できなくてもよい。
また、集合施設の各施設に設けられて、火災感知システムの受信機からの情報に基づく情報を報知させる情報端末に、適宜、副親機を追加できることは、言うまでもない。また、集合施設の各施設に設けられるわけではないが、火災感知システムの受信機からの情報に基づく情報を報知させる情報端末に、インターホンシステムに含まれない情報端末が含まれてもよい。例えば、親機や副親機からの信号を、無線を介して受けたスマートホン等の携帯電話やタブレットに送信することで、火災感知システムの受信機からの情報に基づく情報をインターホンシステムに含まれない情報端末に報知させてもよい。
また、火災感知システムは、住人等が火災の発生を見つけたときに押圧等の操作を行う1以上の発信機を集合施設の所定箇所に有してもよく、受信機が、発信機からそれが操作されたことを表す信号を受けてもよい。そして、取得部が、発信機からの情報に基づく情報を、受信機を介して取得できる構成でもよく、取得部が取得した情報に基づく報知情報を、親機等の情報端末に報知させてもよい。
また、取得部が、共用部端末、又は共用部端末に信号線で接続可能な機器に設けられる場合について説明した。しかし、取得部は、共用部端末、又は共用部端末に無線で接続可能な機器に設けられてもよい。また、上記説明した実施形態及び変形例において説明した全ての機器間の接続において、信号線を介して接続されている機器は、信号線でなくて無線を介して接続されてもよい。また、インターホンシステム10が、親機41等の情報端末と、管親機65等の共用部端末との間の通話を制御する制御装置60を備える場合について説明した。しかし、インターホンシステムは、共用部端末と、情報端末を有する一方、共用部端末と通信する相手を選択する制御装置を有さなくてもよい。
また、受信機から取得部への情報の伝達は、通信で行ってもよいのは当然のこと、トランジスタ等で構成されるスイッチ部や電磁リレーを用いた接点出力のみを用いて実行してもよい。
更には、次の条件を満たす火災情報伝達方法を用いてもよい。詳しくは、その火災情報伝達方法は、集合施設用インターホンシステムにおける取得部に、共用部の火災を感知する火災感知システムの受信機が受信した受信情報に基づく送信情報を含む信号を、受信機から送信するステップを含む。また、集合施設用インターホンシステムは、集合施設の各施設に設けられた情報端末と、集合施設の共用部に設けられた共用部端末との間の通話を制御する集合施設用インターホンシステムである。また、取得部は、共用部端末、又は共用部端末に接続可能な機器に設けられる。
また、次の条件を満たす火災情報伝達プログラムを用いてもよい。その火災情報伝達プログラムは、集合施設用インターホンシステムにおける取得部に、共用部の火災を感知する火災感知システムの受信機が受信した受信情報に基づく送信情報を含む信号を、受信機から送信する信号送信処理をコンピュータに実行させる。また、集合施設用インターホンシステムは、集合施設の各施設に設けられた情報端末と、集合施設の共用部に設けられた共用部端末との間の通話を制御する集合施設用インターホンシステムである。また、取得部は、共用部端末、又は共用部端末に接続可能な機器に設けられる。
以上の説明から明らかなように、これらの火災情報伝達方法や火災情報伝達プログラムを用いれば、火災感知システムが獲得した情報を集合施設用インターホンシステムの各施設へ円滑に伝達できる。そして、例えば、火災感知システムがインターホンシステムと独立に共用部に設置される場合と比較して、火災感知システムが取得した火災発生情報等の情報を、各段に迅速かつ確実に施設内の人に報知でき、その施設内の人の安全に万全を期すことができる。