JP7110877B2 - ワークの両面研磨装置および両面研磨方法 - Google Patents

ワークの両面研磨装置および両面研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、ワークの両面研磨装置および両面研磨方法に関する。
研磨に供するワークの典型例であるシリコンウェーハなどの半導体ウェーハの製造において、より高精度なウェーハの平坦度品質や表面粗さ品質を得るために、表裏面を同時に研磨する両面研磨工程が一般的に採用されている。半導体ウェーハに要求される形状(主に全面及び外周の平坦度)は、その用途等によって様々であり、それぞれの要求に応じて、ウェーハの研磨量(取代量)の目標を決定し、その研磨量を正確に制御することが必要である。
特に近年、半導体素子の微細化と、半導体ウェーハの大口径化により、露光時における半導体ウェーハの平坦度要求が厳しくなってきているという背景から、ウェーハの研磨量を適切に制御する手法が強く希求されている。
例えば、特許文献1には、ワークの研磨の進行に伴い、ワークの厚みが、ワークを保持するキャリアプレートの厚みと等しくなったときの、定盤を駆動するモータの駆動電流の変化(具体的には電流値の変曲点)を検出して、研磨を終える研磨方法が記載されている。この研磨方法は、モータの駆動電流、すなわち定盤のトルクの変化に基づいて研磨の終了を検知する方法である。
しかし、特許文献1に記載の研磨方法では、ワークがキャリアプレートよりも厚い段階では、定盤に設けられた研磨パッドがキャリアプレートに接触せず、ワークがキャリアプレートと等しい厚みになって初めて研磨パッドがキャリアプレートに接触するような、限定的な装置構成でしか電流値の変曲点を検出できない。
また、変曲点を検出できる場合でも、変曲点を検知できるのは電流値が最小になった後、すなわちワークがキャリアプレートと等しい厚みに到達した後であるため、変曲点検知後に研磨を終えたのではワークの研磨過多を防ぐことはできず、ワークの研磨終了の正確性に劣る。また、この研磨方法では、研磨終了前に研磨の進行度合いを把握することはできない。このように、特許文献1に記載の研磨方法では研磨量を高精度に制御することはできない。
そこで、特許文献2には、両面研磨の際に、キャリアプレートの駆動機構、上定盤または下定盤のトルクの中に、上定盤および下定盤の中心とワークの中心との距離の周期的な変化(すなわち、キャリアプレートの回転)に同期して周期的に変化するトルク成分があることに着目し(特許文献2の図2参照)、上記トルク成分の振幅に基づいてワークの研磨量を制御する両面研磨装置について記載されている。
図1は、特許文献2に記載された両面研磨装置を示している。この図に示した両面研磨装置100は、両面研磨に供するワーク20を保持する1つ以上の保持孔40が形成されたキャリアプレート30と、キャリアプレート30を挟み込む一対の上定盤50aおよび下定盤50bとを備える。モータ90a、90bは、上定盤50a、50bをそれぞれ回転させる。
なお、図1では、簡略化のために、インターナルギア80のモータ90cのみが図示されており、サンギア70のモータは図示されていない。キャリアプレート30の保持孔40は、キャリアプレート30の中心に対して偏心しており、サンギア70とインターナルギア80とによって、回転可能に構成されている。また、上下定盤50a、50bの対向面には、それぞれ研磨パッド60a、60bが貼付されている。
また、両面研磨装置100は、上定盤50aおよび下定盤50bならびに駆動機構(すなわち、サンギア70および/またはインターナルギア80)のトルクを測定する測定部110と、ワーク20の両面研磨を制御する制御部120とを更に備えている。
上述のように、特許文献2に記載された両面研磨装置100において、測定部110によって測定されたトルクには、キャリアプレート30の回転に同期して周期的に変化するトルク成分が存在する。図2は、測定部110によって測定された、周期的に変化する回転定盤のトルク成分の振幅を示しており、ワーク20の厚みがキャリアプレート30の厚みに近づくにつれて小さくなり、ワーク20の厚みがキャリアプレート30の厚みと一致した段階でゼロとなる。なお、図2には300秒以降の振幅が示されているが、これはトルク成分の振幅の解析を300秒から開始したためであり、両面研磨自体はゼロ秒から開始している。
そこで、特許文献2に記載された両面研磨装置100においては、制御部120は、上記キャリアプレート30の周期的に変化するトルク成分の振幅に基づいて両面研磨を終了させるようにワーク20の研磨量を制御する。これにより、平坦度が高く、所望の形状を有するワーク20が得られるとされている。
特開2004-363181号公報 特許第5924409号公報
しかしながら、本発明者らが特許文献2に記載された装置100を用いてワーク20としてのシリコンウェーハの両面研磨を行ったところ、シリコンウェーハの厚みがキャリアプレート30の厚みと一致する時点を検出できない場合があることが判明した。
通常、ワーク20の厚みがキャリアプレート30の厚みと一致した時点から、所定の時間、追加の両面研磨を行うことにより、ワーク20の形状を所望とする形状に作り込むことが行われる。従って、ワーク20の厚みがキャリアプレート30の厚みと一致した時点を検出できなければ、ワーク20の形状が所望とする形状となった時点で両面研磨を終了することができない。
そこで、本発明の目的は、所望とする形状でワークの両面研磨を終了させることができるワークの両面研磨装置および両面研磨方法を提供することにある。
上記課題を解決する本発明は以下の通りである。
[1]研磨に供するワークを保持する1つ以上の保持孔が形成されたキャリアプレートと、該キャリアプレートを挟み込む一対の上定盤および下定盤と、前記キャリアプレートを回転させる駆動機構と、前記上定盤および下定盤をそれぞれ回転させる一対のモータとを備えるワークの研磨装置において、
前記駆動機構、前記上定盤および下定盤のトルクのうち、少なくとも1つのトルクを測定する測定部と、
前記ワークの両面研磨を制御する制御部とを更に備え、
前記制御部は、前記測定部によって測定された、前記少なくとも1つのトルクにおける、前記キャリアプレートの回転に伴って周期的に変化するトルク成分の振幅の両面研磨中の時間に対する積分値に基づいて、前記ワークの研磨量を制御することを特徴とするワークの両面研磨装置。
[2]前記制御部は、前記ワークの両面研磨開始時の前記キャリアプレートの厚みから、前記ワークの形状が所定の形状となる前記ワークの研磨量を決定し、前記トルク成分の振幅の両面研磨開始時からの積分値が決定した前記研磨量に対応する値となった時点を基準として前記ワークの両面研磨を終了する、前記[1]に記載のワークの両面研磨装置。
[3]前記ワークの両面研磨開始時の前記キャリアプレートの厚みは、前記キャリアプレートのライフから推定されたものである、前記[2]に記載のワークの両面研磨装置。
[4]前記測定部は、前記駆動機構、前記上定盤および下定盤のトルクのうちの複数のトルクを測定し、前記制御部は、前記測定部によって測定された複数のトルクに基づいてワークの研磨量を制御する、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載のワークの両面研磨装置。
[5]研磨に供するワークを保持する1つ以上の保持孔が形成されたキャリアプレートにワークを保持して上定盤と下定盤とで挟み込み、駆動機構により前記キャリアプレートを回転させるとともに一対のモータにより前記上下定盤を回転させることにより、前記キャリアプレートと前記上下定盤とを相対回転させて、ワークの両面を同時に研磨するワークの両面研磨方法において、
前記駆動機構、前記上定盤および下定盤のトルクのうち、少なくとも1つのトルクを測定し、測定した前記少なくとも1つのトルクにおける、前記キャリアプレートの回転に伴って周期的に変化するトルク成分の振幅の両面研磨開始時からの積分値に基づいて、前記ワークの研磨量を制御することを特徴とするワークの両面研磨方法。
[6]前記ワークの両面研磨開始時の前記キャリアプレートの厚みから、前記ワークの形状が所望の形状となる前記ワークの研磨量を決定し、前記トルク成分の振幅の両面研磨開始時からの積分値が決定した前記研磨量に対応する値となった時点で前記ワークの両面研磨を終了する、前記[5]に記載のワークの両面研磨方法。
[7]前記ワークの両面研磨開始時の前記キャリアプレートの厚みは、前記キャリアプレートのライフから推定されたものである、前記[6]に記載のワークの両面研磨方法。
[8]前記駆動機構、前記上定盤および下定盤のトルクのうちの複数のトルクを測定し、測定された複数のトルクに基づいてワークの研磨量を制御する、前記[5]~[7]のいずれか一項に記載のワークの両面研磨方法。
本発明によれば、所望とする形状でワークの両面研磨を終了させることができる。
特許文献2に記載された両面研磨装置を示す図である。 両面研磨の初期におけるトルクの振幅を示す図である。 ワークの両面研磨の進行状況を説明する模式図である。 キャリアプレートの回転に伴って周期的に変化するトルク成分の振幅の両面研磨開始時からの積分値と、ワークの研磨量との関係の一例を示す図である。 本発明による両面研磨装置の一例を示す図である。 本発明による両面研磨方法のフローチャートの一例である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明によるワークの両面研磨装置は、研磨に供するワークを保持する1つ以上の保持孔が形成されたキャリアプレートと、該キャリアプレートを挟み込む一対の上定盤および下定盤と、キャリアプレートを回転させる駆動機構と、上定盤および下定盤をそれぞれ回転させる一対のモータとを備え、駆動機構、上定盤および下定盤のトルクのうち、少なくとも1つのトルクを測定する測定部と、ワークの両面研磨を制御する制御部とを更に備える。ここで、上記制御部は、上記測定部によって測定された、少なくとも1つのトルクにおける、キャリアプレートの回転に伴って周期的に変化するトルク成分の振幅の両面研磨中の時間に対する積分値に基づいて、ワークの研磨量を制御することを特徴とする。
上述のように、図1に示した特許文献2に記載された両面研磨装置100においては、キャリアプレート30の駆動機構(サンギア70および/またはインターナルギア80)、上定盤50aまたは下定盤50bのトルクにおける周期的に変化するトルク成分の振幅に基づいて、ワーク20の両面研磨の研磨量の制御を行っている。
図3は、ワーク20の両面研磨の進行状況を説明する模式図を示している。図3(a)に示すように、両面研磨の開始時においては、ワーク20の厚みはキャリアプレート30の厚みよりも大きいが、両面研磨が進行するにつれてワーク20の表裏面が研磨され、ワーク20の厚みが徐々に小さくなる。なお、ワーク20の両面研磨によって、キャリアプレート20の厚みもある程度小さくなる。
両面研磨が更に進行すると、図3(b)に示すように、ワーク20の厚みがキャリアプレート30の厚みと略同一になる。通常、図3(b)に示した時点から、所定の時間、追加の両面研磨を行い、図3(c)に示すようにワーク20の形状を所望とする形状に作り込む。
特許文献2によれば、上記図3(b)の段階で、上記トルク成分の振幅はゼロに近い値となるため、トルク成分の振幅をモニタリングすることによって、ワーク20の厚みがキャリアプレート30の厚みと略同一になる時点を検出することができるとしている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、ワーク20の厚みがキャリアプレート30の厚みと略同一になる時点を検出できない場合があることが判明したのである。
具体的には、トルク成分振幅をモニタリングしながらワーク20の両面研磨を行ったところ、両面研磨の進行とともにトルク成分の振幅は徐々に小さくなるものの、ワーク20の厚みがキャリアプレート30の厚みと略同一になったとは判定できないような大きな値に収束したり、振幅がある程度小さくなった後に増加したりする場合があることが分かった。
上記トルク成分の振幅が十分に小さくならかった原因は必ずしも明らかではないが、キャリアプレート30を多数バッチの両面研磨に使用すると、キャリアプレート30の表面も研磨パッドPによって研磨され、その表面形状が平坦ではなくなる。具体的には、キャリアプレート30の厚みは外周部の方が小さくなる。その結果、図3(d)に示すように、シリコンウェーハの端面部分の厚みがキャリアプレート30の保持孔40付近の厚みと一致した状態になった時点においても、シリコンウェーハの表面が平坦ではないために研磨される状態となり、トルクがゼロにならなかったものと考えられる。
こうした結果を受けて、本発明者らは、トルク成分の振幅に基づいてワーク20の研磨量の制御を行うのは困難と考え、他の方法によってワーク20の形状が所望の形状となった段階で両面研磨を終了させる方法について鋭意検討した。その過程で、本発明者らは、上記トルク成分の振幅の両面研磨中の時間に対する積分値と、ワーク20の研磨量との間に相関があることを見出した。
図4は、キャリアプレート30の回転に伴って周期的に変化するトルク成分の振幅の両面研磨開始時からの積分値とワーク20の研磨量との関係の一例を示している。なお、図4に示した研磨量は、両面研磨前後のそれぞれについてワーク20の厚みを静電容量式の平坦度測定器を用いて測定し、ワーク20の中心部分の厚みの測定値の両面研磨前後の差分から算出した値である。
図4に示すように、トルク成分の振幅の両面研磨開始時からの積分値は、ワーク20の研磨量に比例することが分かる。従って、両面研磨中にトルク成分の振幅の両面研磨開始時からの積分値をモニタリングすることにより、ワーク20の研磨量を把握することができる。
なお、図4に示したトルク成分の振幅の積分値は両面研磨開始時からの積分値であるが、トルク成分の振幅の積分は、研磨開始時から開始しなくてもよい。例えば、両面研磨の初期段階において、上下定盤50a、50bの回転が加速し、ワーク20の表面の自然酸化膜が除去される。こうした両面研磨の初期段階においては、トルク成分の振幅の信号が安定して得られない可能性がある。そこで、トルク成分の振幅の積分は、両面研磨の初期段階を経過した後に開始してもよい。
上述のように、ワーク20の形状の所望の形状への作り込みは、ワーク20の厚みとキャリアプレート30の厚みとが同一となる時点から、更に両面研磨を所定時間だけ継続することにより行っている。ワーク20の厚みとキャリアプレート30の厚みとが同一となる時点を検出するためには、両面研磨開始時のキャリアプレート30の厚み情報が必要である。
両面研磨開始時のキャリアプレート30の厚みは、実測することができるし、実測しなくても、キャリアプレート30のライフは管理されているため、キャリアプレート30の製造時からの総研磨量から、キャリアプレート30の厚みを十分な精度で推定することができる。
このように、ワーク20の両面研磨開始時のキャリアプレート30の厚みを実測または推定することができ、ワーク20の厚みとキャリアプレート30の厚みとが同一となる時点を把握することができることから、ワーク20の形状が所望の形状となるワーク20の研磨量を決定することができる。そして、トルク成分の振幅の両面研磨中の時間に対する積分値が、上述のように決定した研磨量に対応する値となった時点でワーク20の両面研磨を終了することにより、所望の形状を有するワーク20を得ることができる。
なお、上記ワーク20の形状が所望の形状となる研磨量に代えて、例えば、図3(b)に示したようなワーク20の厚みとキャリアプレート30の厚みとが同一となる研磨量としてもよい。この場合、トルク成分の振幅の積分値が決定した研磨量に対応する値となった時点から、更に所定時間だけ両面研磨を行うことによって、ワーク20の形状を所望の形状にすることができる。
このように、本発明者らは、トルク成分の振幅の積分値に基づいてワーク20の研磨量を把握し、所望とする形状となった段階でワーク20の両面研磨を終了させることができることを見出し、本発明を完成させたのである。
図5は、本発明による両面研磨装置の一例を示している。なお、図5において、図1に示した両面研磨装置100の構成と同じ構成には同じ符号が付されている。図1に示した特許文献2に記載された両面研磨装置100と、図5に示した本発明による両面研磨装置200との相違点は、制御部120、220の構成である。
具体的には、特許文献2に記載された両面研磨装置100においては、制御部120は、キャリアプレート30の駆動機構(サンギア70および/またはインターナルギア80)、上定盤50aまたは下定盤50bのトルクにおける周期的に変化するトルク成分の振幅に基づいて決定された時点で両面研磨を終了させるように構成されている。
これに対して、本発明による両面研磨装置200においては、測定部110によって測定された、少なくとも1つのトルクにおける、キャリアプレート30の回転に伴って周期的に変化するトルク成分の振幅の両面研磨開始時からの積分値に基づいて、ワーク20の研磨量を制御するように構成されている。これにより、所望とする形状となった時点でワーク20の両面研磨を終了させることができる。
測定部110により得られる上定盤50aや下定盤50b、駆動機構のトルクの実測値の中には、キャリアプレート30の回転に伴う周期的に変化するトルク成分のほかに、両面研磨装置200を動作させるための作動電流やノイズなどの背景負荷も含まれている。こうしたトルクの実測値から、以下のように周期的に変化するトルク成分を抽出することができる。
すなわち、検出したトルク信号を、その検出時のキャリアプレート30の回転角度によって整理した後に、その振動波形を算出することにより、上記トルク成分を抽出することができる。その際、振動波形の算出は、例えば最小二乗法等による三角関数への近似法を用いたり、例えばキャリアプレート30の回転角度ごとの平均化、FFT(Fast Fourier Transform)等による周波数解析等の手法を用いたりすることができる。
更に、本発明では、駆動機構70、80、上定盤50aおよび下定盤50bのうちの複数のトルクを測定し、測定された複数のトルクに基づいてワーク20の研磨量を制御してもよい。例えば、上定盤50aのトルク測定値から得られるトルク成分の振幅と、下定盤50bのトルク測定値から得られる振幅との平均値を用いて測定誤差を低減することにより、ワーク20の研磨量の制御をより高精度に行うことができる。これに加えて、駆動機構のトルク成分を用いてワーク20の研磨量を制御してもよい。
また、上記トルク成分の両面研磨開始時からの積分値は、積分を行う際の時間刻みを小さく設定して、リアルタイムに求めるようにしてもよいし、積分値の変動が小さい場合には、適切な時間間隔を設定して求めるようにしてもよい。
ワーク20としては、半導体ウェーハを用いることができ、例えばシリコンウェーハである。また、ワーク20の直径や導電型等は特に限定されず、必要に応じて適切に設定されたものと用いることができる。
ワーク20の形状は、例えばGBIR(Global Backside Ideal Range)などの表面形状を特徴付ける量で規定することができ、例えば、GBIRの値が所望の値となるような研磨量を設定して、ワーク20の両面研磨を行うことができる。
(両面研磨方法)
次に、本発明によるワークの両面研磨方法について説明する。本発明によるワークの両面研磨方法は、キャリアプレートの保持孔にワークを保持して上定盤と下定盤とで挟み込み、駆動機構によりキャリアプレートを回転させるとともに一対のモータにより上下定盤を回転させることにより、キャリアプレートと上下定盤とを相対回転させて、ワークの両面を同時に研磨する。そして、駆動機構、上定盤および下定盤のトルクのうち、少なくとも1つのトルクを測定し、測定した上記少なくとも1つのトルクにおける、キャリアプレートの回転に伴って周期的に変化するトルク成分の振幅の両面研磨中の時間に対する積分値に基づいて、ワークの研磨量を制御することを特徴とする。これにより、所望とする形状でワークの両面研磨を終了させることができる。
以下、具体的な工程について説明する。図6は、本発明による両面研磨方法のフローチャートの一例を示している。まず、両面研磨開始時のワーク20の厚みおよびキャリアプレート30の厚みから、ワーク20の研磨量を決定する(ステップS1)。上記研磨量は、ワーク20の所望の形状に対応する研磨量としてもよいし、ワーク20の厚みとキャリアプレート30の厚みが同一となる研磨量としてもよい。ワーク20の両面研磨開始時のキャリアプレート30の厚みは、実測できることや、キャリアプレート30のライフから推定できることは既述の通りである。
次に、上記決定した研磨量に対応する、トルク成分の振幅の積分値を決定する(ステップS2)。決定した積分値は、トルク成分振幅の積分値をモニタリングする際の閾値となる。上記ステップS1において決定した研磨量がワーク20の厚みとキャリアプレート30の厚みとが同一となる研磨量の場合には、ワーク20の形状を所望の形状とするための追加の研磨時間も決定する。
続いて、ワーク20の両面研磨を開始し(ステップS3)、両面研磨開始時、または所定の時間が経過した後から、駆動機構、上定盤50aおよび下定盤50bのトルクのうち、少なくとも1つのトルクを測定する(ステップS4)。このトルクの測定は所定の時間間隔毎に行うことができる。また、上記トルクの測定を駆動機構、上定盤50aおよび下定盤50bのうちの複数のトルクを測定し、測定された複数のトルクに基づいてワークの研磨量を制御することにより、測定精度を向上できることも既述の通りである。
続いて、測定されたトルクから、キャリアプレートの回転に伴って周期的に変化するトルク成分の振幅を抽出し、その両面研磨中の時間に対する積分値を算出する(ステップS5)。
そして、算出された積分値が、ステップS2において決定した積分値(閾値)以上であるか否かを判定する(ステップS6)。算出された積分値が決定した積分値を下回る場合には、両面研磨を継続する。一方、算出された積分値が決定した積分値(閾値)以上であり、上記決定した積分値がワーク20の形状が所望の形状となる研磨量に対応する積分値である場合には、両面研磨を終了する。また、算出された積分値が決定した積分値(閾値)以上であり、上記決定した積分値がワーク20の厚みとキャリアプレート30の厚みとが同一となる研磨量に対応する積分値である場合には、ステップS2において決定した追加の研磨時間だけ両面研磨を継続した後、両面研磨を終了する。
こうして、所望とする形状でワーク20の両面研磨を終了させることができる。
本発明によれば、所望とする形状でワークの両面研磨を終了させることができるため、半導体ウェーハ製造業において有用である。
20 ワーク
30 キャリアプレート
40 保持孔
50a 上定盤
50b 下定盤
60a,60b 研磨パッド
70 サンギア
80 インターナルギア
90a,90b,90c モータ
110 測定部
120,220 制御部
100,200 両面研磨装置

Claims (8)

  1. 研磨に供するワークを保持する1つ以上の保持孔が形成されたキャリアプレートと、該キャリアプレートを挟み込む一対の上定盤および下定盤と、前記キャリアプレートを回転させる駆動機構と、前記上定盤および下定盤をそれぞれ回転させる一対のモータとを備えるワークの研磨装置において、
    前記駆動機構、前記上定盤および下定盤のトルクのうち、少なくとも1つのトルクを測定する測定部と、
    前記ワークの両面研磨を制御する制御部とを更に備え、
    前記制御部は、前記測定部によって測定された前記少なくとも1つのトルクから、前記キャリアプレートの回転に伴って周期的に変化するトルク成分の振幅を抽出し、抽出した前記トルク成分の振幅の両面研磨中の時間に対する積分値に基づいて、前記ワークの研磨量を制御することを特徴とするワークの両面研磨装置。
  2. 前記制御部は、前記ワークの両面研磨開始時の前記ワークの厚みおよび前記キャリアプレートの厚みから、前記ワークの形状が所定の形状となる前記ワークの研磨量を決定し、前記トルク成分の振幅の両面研磨開始時からの積分値が決定した前記研磨量に対応する値となった時点を基準として前記ワークの両面研磨を終了する、請求項1に記載のワークの両面研磨装置。
  3. 前記ワークの両面研磨開始時の前記キャリアプレートの厚みは、前記キャリアプレートのライフから推定されたものである、請求項2に記載のワークの両面研磨装置。
  4. 前記測定部は、前記駆動機構、前記上定盤および下定盤のトルクのうちの複数のトルクを測定し、前記制御部は、前記測定部によって測定された前記複数のトルクに基づいて、前記ワークの研磨量を制御する、請求項1~3のいずれか一項に記載のワークの両面研磨装置。
  5. 研磨に供するワークを保持する1つ以上の保持孔が形成されたキャリアプレートにワークを保持して一対の上定盤および下定盤で挟み込み、駆動機構により前記キャリアプレートを回転させるとともに一対のモータにより前記上定盤および下定盤を回転させることにより、前記キャリアプレートと前記上定盤および下定盤とを相対回転させて、ワークの両面を同時に研磨するワークの両面研磨方法において、
    前記駆動機構、前記上定盤および下定盤のトルクのうち、少なくとも1つのトルクを測定し、測定された前記少なくとも1つのトルクから、前記キャリアプレートの回転に伴って周期的に変化するトルク成分の振幅を抽出し、抽出した前記トルク成分の振幅の両面研磨時間に対する積分値に基づいて、前記ワークの研磨量を制御することを特徴とするワークの両面研磨方法。
  6. 前記ワークの両面研磨開始時の前記ワークの厚みおよび前記キャリアプレートの厚みから、前記ワークの形状が所の形状となる前記ワークの研磨量を決定し、前記トルク成分の振幅の両面研磨開始時からの積分値が決定した前記研磨量に対応する値となった時点を基準として、前記ワークの両面研磨を終了する、請求項5に記載のワークの両面研磨方法。
  7. 前記ワークの両面研磨開始時の前記キャリアプレートの厚みは、前記キャリアプレートのライフから推定されたものである、請求項6に記載のワークの両面研磨方法。
  8. 前記駆動機構、前記上定盤および下定盤のトルクのうちの複数のトルクを測定し、測定された前記複数のトルクに基づいて、前記ワークの研磨量を制御する、請求項5~7のいずれか一項に記載のワークの両面研磨方法。
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