JP7110130B2 - 発電プラントの蒸気加減弁の制御装置および発電プラントの蒸気加減弁の制御方法 - Google Patents

発電プラントの蒸気加減弁の制御装置および発電プラントの蒸気加減弁の制御方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、発電プラントの蒸気加減弁の制御装置および発電プラントの蒸気加減弁の制御方法に関する。
従来、電力系統過渡事象の発生による発電機の脱調防止の技術、または電力系統過渡事象の発生によりタービンの回転速度が上昇した場合のバルブ制御の技術が知られている。
特開昭62-210204号公報 特開2014-159744号公報
電力系統過渡事象が発生すると、タービン回転速度の上昇または振動に基づいて、蒸気加減弁が制御されるので、この蒸気加減弁が閉まる方向に動作してしまい、蒸気タービンに流入される蒸気の圧力が急激に下がってしまう。また、電力系統過渡事象の発生中に、蒸気を復水器に流出させるバイパス弁が開放されることもある。そのため、電力系統過渡事象の復旧後に有効電力の出力を維持することができないという課題がある。
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、電力系統過渡事象の復旧後に有効電力の出力を維持することができる発電プラントの蒸気加減弁の制御技術を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る発電プラントの蒸気加減弁の制御装置は、電力系統過渡事象の発生を検出する過渡事象検出部と、蒸気タービンに流入される蒸気の量を調整する蒸気加減弁の開度を前記電力系統過渡事象の発生中に前記電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍に維持する開度補正部と、を備え、前記開度補正部は、閉鎖速度が開放速度よりも速い前記蒸気加減弁の前記閉鎖速度を前記電力系統過渡事象の発生中に前記開放速度に近づける補正を行う
本発明の実施形態により、電力系統過渡事象の復旧後に有効電力の出力を維持することができる発電プラントの蒸気加減弁の制御技術が提供される。
第1実施形態の発電プラントの全体システムを示す構成図。 第1実施形態の加圧水型原子力プラントの回路を示す構成図。 第1実施形態の電力系統過渡事象発生中のタイミングチャート。 第1実施形態の蒸気加減弁の制御方法を示すフローチャート。 第2実施形態の加圧水型原子力プラントの回路を示す構成図。 第2実施形態の電力系統過渡事象発生中のタイミングチャート。 第2実施形態の蒸気加減弁の制御方法を示すフローチャート。 第3実施形態の加圧水型原子力プラントの回路を示す構成図。 第3実施形態の蒸気加減弁の制御方法を示すフローチャート。 第4実施形態の沸騰水型原子力プラントの回路を示す構成図。 第4実施形態の電力系統過渡事象発生中のタイミングチャート。 第4実施形態の蒸気加減弁の制御方法を示すフローチャート。 比較例としての加圧水型原子力プラントの電力系統過渡事象発生中のタイミングチャート。 比較例としての沸騰水型原子力プラントの電力系統過渡事象発生中のタイミングチャート。
(第1実施形態)
以下、本実施形態を添付図面に基づいて説明する。まず、第1実施形態の発電プラントの蒸気加減弁の制御装置について図1から図4を用いて説明する。図1の符号1は、発電プラント1である。
まず、発電プラント1の一例として、加圧水型原子力プラントのタービン制御システムに関する系統構成を、図1を参照して説明する。なお、符号16で示すのは蒸気発生部であり、加圧水型原子炉においては原子炉容器から導かれた一次冷却材との熱交換によって蒸気を発生させる蒸気発生器である。火力発電プラントでは、蒸気発生部16の熱源をボイラまたは排熱回収ボイラに置き換えた形態となる。また、後述する沸騰水型原子力プラントでは、蒸気発生部16は原子炉圧力容器である。その他の系統構成は同一となる。
蒸気発生部16で生成された蒸気は、蒸気タービンとしての高圧タービン18に導かれる。なお、高圧タービン18から排気された蒸気が、湿分分離加熱器17を介して低圧タービン19に流入される。そして、高圧タービン18および低圧タービン19が回転され、これらの回転力により発電機20にて発電を行う。
蒸気発生部16にて生成された蒸気は、高圧タービン18に入力される。この蒸気が有する熱エネルギーが運動エネルギーに変換され、発電機20が駆動される。高圧タービン18の入力側には、タービン18に流入される蒸気の量を調整する蒸気加減弁13が設けられる。この蒸気加減弁13により、高圧タービン18に入力される蒸気の流入量の制御が行われる。なお、図1では、蒸気加減弁13を2つにより構成しているが、蒸気加減弁13の数量は特に限定されない。
湿分分離加熱器17は、高圧タービン18から排気される蒸気の湿分を除去し、かつ加熱して、低圧タービン19に入力させる機器である。なお、湿分分離加熱器17は、湿分を分離するだけの機器、または蒸気を加熱するだけの機器であっても良い。
低圧タービン19は、湿分分離加熱器17から出力される蒸気が入力される。この蒸気が有する熱エネルギーが運動エネルギーに変換され、発電機20が駆動される。また、低圧タービン19は、低圧タービン排気を出力する。低圧タービン19の入力側には、インタセプト弁14が設けられる。インタセプト弁14は、湿分分離加熱器17から排気される蒸気の流量を調整するものである。インタセプト弁14により低圧タービン19に入力される蒸気の流入量の制御が行われる。なお、図1では、インタセプト弁14を2つにより構成しているが、インタセプト弁14の数量は特に限定されない。
発電機20は、高圧タービン18および低圧タービン19にて生成されるタービンの運動エネルギーを、電気エネルギーに変換する。
低圧タービン19から出力された低圧タービン排気は、復水器21で復水されて、復水ポンプ22および給水ポンプ23を介して、蒸気発生部16に戻される。
また、発電プラント1は、蒸気発生部16にて発生した蒸気量が、タービンに流入する蒸気量よりも多くなった際には、蒸気量の余剰分を復水器21に直接流入させるためのバイパス弁15を備える。バイパス弁15は、蒸気発生部16から復水器21に入力される余剰蒸気量を制御する。なお、図1では、バイパス弁15を1つにより構成しているが、バイパス弁15の数量は特に限定されない。
発電プラント1の蒸気加減弁13の制御装置10は、通常制御回路11と、高速バルブ制御回路12とを備える。通常制御回路11と高速バルブ制御回路12の詳細については、後述するが、以下に概要を示す。
制御装置10は、発電プラント1の中央制御室2に設置される中央制御装置3に接続されている。この中央制御装置3は、発電プラント1の運転員が操作可能な操作部4と、発電プラント1の運転、監視、管理に関する情報を表示する表示部5とを備える。なお、図1では、理解を助けるために、中央制御装置3と制御装置10とを別体として図示しているが、これらの装置が一体であっても良い。
発電プラント1には、高圧タービン18および低圧タービン19の回転速度を検出するタービン回転速度検出器25が設けられる。このタービン回転速度検出器25が検出したタービンの回転速度が、通常制御回路11に入力される。このタービン回転速度が、回転速度設定器29(図2)にて設定された所定の値となるように蒸気加減弁13、およびインタセプト弁14の開度が調整される。そして、それぞれの弁に流入される蒸気量の制御が行われる。
これにより、通常制御回路11は、通常運転時または起動停止時におけるタービン回転速度の制御を実施している。
一方、高速バルブ制御回路12は、電力系統過渡事象が発生した際に、通常制御回路11による制御に優先して、インタセプト弁14の開閉制御を実施する。なお、電力系統過渡事象とは、例えば発電プラント1から延びる多数の送電線のうち、一部の送電線が切れて地絡するような事故のことである。ごく短い時間だけ電圧が大きく低下する事象から、比較的小さい電圧低下が長い時間にわたって起こる事象までを指すこともあるが、ここでいう電力系統過渡事象は、発生から復旧までの期間が1秒以下のものを示す。
以下の説明において、電力系統過渡事象の発生時とは、通常事象から電力系統過渡事象に切り替わる時点を示す。また、電力系統過渡事象の発生中とは、電力系統過渡事象が生じている期間を示す。また、電力系統過渡事象の復旧時とは、電力系統過渡事象から通常事象に切り替わる時点を示す。なお、電力系統過渡事象の発生時には、電力系統過渡事象の発生直前の期間が含まれていても良い。
図2は、第1実施形態の加圧水型原子力プラント1Aにおける通常制御回路11の具体的な構成例を示している。なお、図1と同様の構成については同一の符号を付している。
タービン回転速度検出器25は、タービンの回転速度を検出する。タービン回転速度検出器25は、検出信号を偏差演算器30に出力する。そして、偏差演算器30は、入力された検出信号と、回転速度設定器29に予め設定された速度信号とを減算して乗算器31に出力する。乗算器31は、この減算された信号に対しゲイン(速度調定率の逆数)を乗じることにより速度制御信号99を求める。なお、乗算器31の代わりに、タービン起動制御中のみPI制御を行うようにしても良い。
そして、加算器33は、この速度制御信号99と、負荷設定器32で設定された負荷設定値とを加算して、速度負荷制御信号100を算出する。速度負荷制御信号100は、蒸気加減弁開度指令信号101としてサーボ弁35に出力される。サーボ弁35によって、制御油の供給量を変化させることで、蒸気加減弁13の弁開度の調整を行う。
また、加算器33から算出された速度負荷制御信号100は、乗算器36に出力される。乗算器36は、速度負荷制御信号100に対しゲインを乗じることにより、インタセプト弁開度指令信号102を求める。インタセプト弁開度指令信号102は、サーボ弁37に出力され、サーボ弁37によって、制御油の供給量を変化させることで、インタセプト弁14の弁開度の調整を行う。
バイパス弁15は、蒸気発生部16または原子炉の圧力上昇を緩和させることを目的に設置されている。バイパス弁15は、タービン負荷の急減少またはプラントトリップ時などの過渡事象発生時に開制御が行われる。
通常時においては、バイパス弁15の開閉制御誤動作による蒸気発生部16への負荷増加の外乱を防止するため、バイパス弁開許可信号104によりバイパス弁15の開制御にインターロックを設けている。
バイパス弁開許可信号104の出力オフ時は、切替器45によって、信号発生器44のゼロ出力が優先され、バイパス弁は全閉となる。タービン負荷検出器28にて検知されたタービン負荷の急変をタービン負荷急変検出回路46が判定した場合は、バイパス弁開許可信号104が出力される。
タービン負荷急変の検出方法としては、第一段蒸気圧力の変動または発電機電流の変動に着目する手法(例えば、対象のパラメータの単位時間あたりの変化量を用いたしきい値判定)が考えられる。バイパス弁開許可信号104の出力時は、切替器45にて、プロセス検出器41とプロセス設定器42に設定された設定値に基づき、偏差演算器43にて算出されたバイパス弁制御対象プロセスの偏差信号により、バイパス弁15の開度を制御する。
バイパス弁15の制御の対象となるプロセス値としては、例えば、一次冷却系温度または二次側蒸気圧力などが考えられる。
ここで、加圧水型原子力プラントの定格運転時における制御動作について、図2を用いて説明する。
定格運転時は、速度負荷制御信号100に基づき、蒸気加減弁13およびインタセプト弁14の開度調整によりタービン回転速度制御を行う。つまり、タービン18,19の回転速度に関連して変化される速度制御値に基づく制御を行う。
定格運転時では、バイパス弁開許可信号104の出力がオフ状態となるため、バイパス弁制御回路の切替器45は、ゼロを出力し、バイパス弁15は全閉状態となる。一方、タービン負荷急変時には、バイパス弁開許可信号104が出力され、バイパス弁制御の対象のプロセス値に基づき、バイパス弁15の開度制御が開始される。
このようにして、通常制御回路11は、蒸気加減弁13、インタセプト弁14の開度を調整して、タービン回転速度の制御を実施する。
次に、タービン高速バルブ制御に関し、高速バルブ制御回路12について説明する。電力系統に接続されている発電プラント1において、定常状態では、高圧タービン18および低圧タービン19からの機械入力と一致されるように、発電機20から有効電力が出力されている。
しかし、電力系統に系統電圧急減などの発電機20が出力できる有効電力が急減する過渡事象が発生する場合がある。この過渡事象が発生しても1秒以内に復旧されるものの、過渡事象時には、電力系統に送り出せる有効電力に対し、タービン機械入力が上回ることになる。そのため、タービン回転速度が上昇され、一定限界以上になると発電機20が脱調する可能性がある。
これに対し、電力系統脆弱化防止ため、脱調させずに運転継続することを電力系統側から要求されている。また、電力系統過渡事象の復旧後には、電力系統から要求される系統電圧も復旧されることから、発電機20から出力される有効電力を、電力系統の要求値まで早期回復する必要がある。
電力系統過渡事象時における発電機20の脱調防止と早期有効電力復元を行う方法として、タービン高速バルブ制御が知られている。高速バルブ制御回路12において、電力系統過渡事象検出部48が電力系統過渡事象を検出する。この検出に基づいて、電力系統過渡事象検出信号106が出力されると、低圧タービン19に蒸気を流入させるインタセプト弁14を急速に全閉にする。そして、一時的に低圧タービン19への蒸気流入を遮断することにより、タービン回転速度の上昇を抑制する。さらに、電力系統過渡事象の復旧後には、インタセプト弁14を急速に全開して、早期に有効電力の回復を行う。なお、インタセプト弁14を急速に開くタイミングは過渡事象リセットとあわせなくても良い。例えば、インタセプト弁14の開度が0%になったらすぐに開くことでも良い。
図2に示すように、高速バルブ制御回路12において、電力系統過渡事象検出部48は、電力系統過渡事象を検出し、電力系統過渡事象検出信号106を出力する。
電力系統過渡事象検出信号106の出力に応じて蒸気加減弁開度補正指令信号107が出力される。そして、蒸気加減弁13の開度補正制御を開始する。この蒸気加減弁13の開度を電力系統過渡事象の発生時の開度(所定の開度)の近傍に補正する。
蒸気加減弁13の開度補正制御により、従来技術の課題である、電力系統過渡事象直後のタービン速度の振動に応じた速度制御によって、蒸気加減弁13の開度が閉傾向となる事象を防止することができる。閉傾向となる事象とは、より具体的には、電力系統過渡事象発生後に、弁を開く指令信号と閉じる指令信号の両方が交互に送信されているにも関わらず、バルブの開閉速度の差に起因して、必要以上にバルブの開度が低い状態が続くことを意味している。
その結果、従来技術では、タービンに流入する蒸気量が低下していたのに対し、蒸気加減弁13の所定開度における蒸気量をタービンに供給することができる。そのため、電力系統過渡事象の復旧後に要求される有効電力復帰への早急な対応が可能となる。また、蒸気加減弁13が閉傾向となることによる蒸気圧力上昇などの蒸気発生側への悪影響を回避することができる。
蒸気加減弁13の開度補正制御では、例えば、以下の方法によって蒸気加減弁13の開度を所定の開度に補正する。
次に、第1実施形態における蒸気加減弁13の開度補正制御の具体的な例として、蒸気加減弁開度指令信号101の入力を電力系統過渡事象発生時の値に保持する方法を説明する。
図2に示すように、第1実施形態では、蒸気加減弁13の開度補正制御中に、電力系統過渡事象の発生時の蒸気加減弁開度指令信号101を保持するための開度補正部110が設けられる。
この開度補正部110は、速度負荷制御信号100と蒸気加減弁開度指令信号101とを切り替え可能な切替器51と、電力系統過渡事象発生前の通常時において、蒸気加減弁13の開度を示す情報である蒸気加減弁開度指令信号101を保持する信号保持器52とを備える。
切替器51は、電力系統過渡事象の発生中に蒸気加減弁13の開度を信号保持器52に保持された電力系統過渡事象の発生時の開度に切り替えるための部品である。信号保持器52は、蒸気加減弁開度指令信号101に含まれる値を記憶するメモリである。
このようにすれば、電力系統過渡事象の発生時の開度を示す情報が信号保持器52に保持されるので、この信号保持器52に保持された情報に基づいて、電力系統過渡事象の発生中に蒸気加減弁13の開度を電力系統過渡事象の発生時の開度に維持することができる。
切替器51は、蒸気加減弁開度補正指令信号107がオフ中の場合は、通常通り速度負荷制御信号100を出力する。一方、蒸気加減弁開度補正指令信号107がオン中の場合は、信号保持器52により保持された電力系統過渡事象の発生時の値を蒸気加減弁開度指令信号101として出力する。
また、蒸気加減弁開度補正制御リセット回路60で蒸気加減弁開度補正制御のリセットを判定した場合は、蒸気加減弁開度補正制御リセット回路60から蒸気加減弁開度補正指令リセット信号108を出力し、蒸気加減弁開度補正指令信号107の出力をオフにする。
蒸気加減弁開度補正制御のリセットは、図2に示すように、蒸気加減弁開度補正制御リセット回路60にて行う。蒸気加減弁開度補正制御をタービン回転速度の振動が整定するまで継続する場合には、蒸気加減弁開度補正指令信号107のリセット条件の一例として、電力系統過渡事象検出信号106がオフとなり、タービン速度の整定を判定して蒸気加減弁開度補正指令リセット信号108を出力する方法が考えられる。タービン速度整定の検出方法としては、例えばタービン速度の過渡事象による減衰振動のピーク値をしきい値判定する、ピーク値が観測されなくなったかを判定する、単位時間あたりの振動の絶対値の偏差をしきい値判定する、等が考えられる。
タービン回転速度の振動中に蒸気加減弁開度補正制御から通常制御に切り替わると、蒸気加減弁13が閉傾向となる可能性がある。しかし、タービン回転速度の振動整定後に蒸気加減弁開度補正制御をリセットすることで、蒸気加減弁13が閉傾向となる事象を回避し、有効電力復帰時に利用可能な蒸気量の減少を回避できる。
つまり、電力系統過渡事象の復旧および蒸気タービン18,19の回転速度の整定の両方が満たされた場合に、開度補正部110による蒸気加減弁13の開度の維持を終了する。このようにすれば、電力系統過渡事象の復旧および蒸気タービン18,19の回転速度の整定の両方が満たされた場合に、通常の制御に戻すことができる。
また、第1実施形態の効果を図3に示すタイミングチャートを用いて説明する。図3(A)は、電力系統過渡事象検出信号106を示すタイミングチャートである。図3(B)は、蒸気加減弁開度補正指令信号107を示すタイミングチャートである。図3(C)は、タービン回転速度を示すタイミングチャートである。図3(D)は、速度負荷制御信号100を示すタイミングチャートである。図3(E)は、蒸気加減弁開度指令信号101を示すタイミングチャートである。図3(F)は、蒸気加減弁13の開度を示すタイミングチャートである。図3(G)は、インタセプト弁14の開度を示すタイミングチャートである。図3(H)は、バイパス弁開許可信号104を示すタイミングチャートである。図3(I)は、バイパス弁15の開度を示すタイミングチャートである。図3(J)は、蒸気発生部16の圧力を示すタイミングチャートである。なお、図3において、T1は、電力系統過渡事象の発生時を示す。T2は、電力系統過渡事象の復旧時を示す。T3は、蒸気加減弁開度補正指令のリセット時を示す。
電力系統過渡事象が発生した際に、インタセプト弁14は、急閉される(図3(G))。電力系統過渡事象の発生によりタービン回転速度は一旦上昇するが、インタセプト弁14の急閉により低圧タービンへ蒸気が供給されないために下降に転じる。そして、インタセプト弁14は閉じられるが、電力系統過渡事象が復帰して負荷が戻っているため、定格出力に収束するように振動する(図3(C))。なお、インタセプト弁14の閉鎖によって湿分分離加熱器17の圧力が一時的に上昇する。
一方、蒸気加減弁開度補正指令信号107が出力されることにより、電力系統過渡事象の発生時に蒸気加減弁13が閉傾向となる原因であるタービン回転速度の振動(図3(C))に応じた速度負荷制御信号100(図3(D))が、蒸気加減弁開度指令信号101の入力から除外される。そのため、蒸気加減弁開度指令信号101では、電力系統過渡事象の発生時の値が維持される(図3(E))。
これにより、蒸気加減弁13の開度も電力系統過渡事象の発生時の開度(所定の開度)が維持される(図3(F))。
第1実施形態では、電力系統過渡事象の発生中において、タービン回転速度の振動に影響されることなく、蒸気加減弁開度が電力系統過渡事象の発生時の値を維持される。そのため、電力系統過渡事象の復帰時の蒸気量の減少を回避することができる。
また、蒸気発生部16の圧力も電力系統過渡事象の発生時の値に維持される(図3(J))。そのため、蒸気圧力の変動による系統への外乱も最大限に抑制することができる。また、蒸気加減弁開度補正指令信号107のリセットされることに伴って、蒸気加減弁開度指令信号101は、速度負荷制御信号100による通常制御を再開する。
なお、図3で示す例では、蒸気加減弁開度補正指令のリセット後もタービン回転速度の振動が続いているので、速度負荷制御信号100による通常制御に移行した後に蒸気加減弁13が多少の開閉動作を繰り返す。
次に、比較例として、開度補正制御を行わずに電力系統過渡事象中に蒸気加減弁13の開度調整およびバイパス弁15を動作させる場合ついて図13に示すタイミングチャートを用いて説明する。図13は、比較例としての加圧水型原子力プラント1Aにおいて、電力系統過渡事象が発生した場合の蒸気加減弁13とバイパス弁15とインタセプト弁14の開度動作を示すタイミングチャートを示している。
図13(A)は、電力系統過渡事象検出信号106を示すタイミングチャートである。図13(B)は、タービン回転速度を示すタイミングチャートである。図13(C)は、速度負荷制御信号100および蒸気加減弁開度指令信号101を示すタイミングチャートである。図13(D)は、蒸気加減弁13の開度を示すタイミングチャートである。図13(E)は、インタセプト弁14の開度を示すタイミングチャートである。図13(F)は、バイパス弁開許可信号104を示すタイミングチャートである。図13(G)は、バイパス弁15の開度を示すタイミングチャートである。図13(H)は、蒸気発生部16の圧力を示すタイミングチャートである。なお、図13において、T1は、電力系統過渡事象の発生時を示す。T2は、電力系統過渡事象の復旧時を示す。
電力系統過渡事象の発生時(T1)には、高速バルブ制御回路12が動作し、インタセプト弁14を急閉させる(図13(E))。このとき、一時的に低圧タービン19へ流入される蒸気の量が大幅に低減される。
一方、蒸気加減弁13は、一般に、通常制御と同様の蒸気加減弁開度指令信号101に基づく開度制御が継続される。タービン高速バルブ制御直後は、タービン回転速度の振動(図13(B))により、タービン回転速度と、回転速度設定器29におけるタービン速度設定値に偏差が発生する。そのため、タービン回転速度に応じた速度負荷制御信号100および蒸気加減弁開度指令信号101(図13(C))に基づき、蒸気加減弁13の開度制御が行われる。
しかしながら、蒸気加減弁13を保護動作として急閉させるための機械設計上、弁の閉動作速度が開動作速度より速くなっている。つまり、蒸気加減弁13は、その閉鎖速度が開放速度よりも速くなっている。そのため、蒸気加減弁13の開度は、閉傾向となる(図13(D))。
さらに、電力系統過渡事象発生により、タービン負荷が急変することから、バイパス弁開許可信号104が出力され、バイパス弁15が開動作され(図13(F)および図13(G))、高圧タービン18に流入される前の蒸気が復水器21に流出する。ここで、安全設計上、バイパス弁15は急速に開動作されるようになっており、蒸気流量への影響は、蒸気加減弁13閉動作による流量低下よりもバイパス弁15の開動作による流量増加の方が大きい。このため、蒸気発生部16からの蒸気流出量は増加し、蒸気発生部16の圧力が低下する(図13(H))。これにより過渡事象の復旧時(T2)において、高圧タービン18に流入する蒸気の量が減少されている。そのため、電力系統過渡事象の復旧後に有効電力の出力を維持することができない。
これに対して、本実施形態によれば、図3(J)に示すように蒸気発生部16の圧力が維持されているため、電力系統過渡事象の復旧直後も有効電力の出力を維持できる。
本実施形態の制御装置は、プロセッサおよびメモリなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の発電プラント1の蒸気加減弁13の制御方法は、プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
次に、制御装置10が実行する処理について図4のフローチャートを用いて説明する。この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。この処理が繰り返されることで、制御装置10で発電プラント1の蒸気加減弁13の制御方法が実行される。なお、制御装置10が他のメイン処理を実行中に、この処理を割り込ませて実行しても良い。
まず、ステップS11において、制御装置10は、開度補正部110が、蒸気加減弁13の開度を電力系統過渡事象の発生時の開度に維持中であるか否かを判定する。ここで、開度補正部110が、蒸気加減弁13の開度を電力系統過渡事象の発生時の開度に維持中である場合(ステップS11がYES)は、後述のステップS15に進む。一方、開度補正部110が、蒸気加減弁13の開度を電力系統過渡事象の発生時の開度に維持中でない場合(ステップS11がNO)は、ステップS12に進む。
ステップS12において、制御装置10は、電力系統過渡事象検出部48により電力系統過渡事象が検出されたか否かを判定する。ここで、電力系統過渡事象が検出された場合(ステップS12がYES)は、後述のステップS16に進む。一方、電力系統過渡事象が検出されない場合(ステップS12がNO)は、ステップS13に進む。
ステップS13において、制御装置10は、蒸気加減弁開度指令信号101により蒸気加減弁13の開度を調整する。
次のステップS14において、信号保持器52は、蒸気加減弁開度指令信号101を保持する。そして、処理を終了する。
ステップS15において、制御装置10は、リセット条件が成立したか否かを判定する。なお、リセット条件は、電力過渡事象が復旧されるとともに、タービン速度が整定されることである。ここで、リセット条件が成立した場合(ステップS15がYES)は、後述のステップS17に進む。一方、リセット条件が成立しない場合(ステップS15がNO)は、ステップS16に進む。
ステップS16において、制御装置10は、開度補正部110により、蒸気加減弁13の開度を電力系統過渡事象の発生時の開度に維持させる。そして、処理を終了する。
ステップS17において、制御装置10は、蒸気加減弁開度指令信号101により蒸気加減弁13の開度を調整する。そして、処理を終了する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の発電プラント1の蒸気加減弁13の制御装置10について図5から図7を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
図6(A)は、電力系統過渡事象検出信号106を示すタイミングチャートである。図6(B)は、蒸気加減弁開度補正指令信号107を示すタイミングチャートである。図6(C)は、タービン回転速度を示すタイミングチャートである。図6(D)は、速度負荷制御信号100および蒸気加減弁開度指令信号101を示すタイミングチャートである。図6(E)は、蒸気加減弁13の開度を示すタイミングチャートである。図6(F)は、インタセプト弁14の開度を示すタイミングチャートである。図6(G)は、バイパス弁開許可信号104を示すタイミングチャートである。図6(H)は、バイパス弁15の開度を示すタイミングチャートである。図6(I)は、蒸気発生部16の圧力を示すタイミングチャートである。なお、図6において、T1は、電力系統過渡事象の発生時を示す。T2は、電力系統過渡事象の復旧時を示す。T3は、蒸気加減弁開度補正指令のリセット時を示す。
第2実施形態では、蒸気加減弁開度補正制御中に蒸気加減弁13の開閉速度を一致させる。このようにすることで、蒸気加減弁13が閉傾向となる原因である開閉速度の差を是正するものである。
蒸気加減弁13は、通常時において、その閉鎖速度が開放速度よりも速くなっている。この蒸気加減弁13の開閉速度を一致させる方法として、開度補正部111を用いて、蒸気加減弁開度指令信号101に対してゲインを乗算する方法、または、蒸気加減弁13を駆動するサーボ弁35の出力を補正する方法が考えられる。
第2実施形態の開度補正部111は、閉鎖速度が開放速度よりも速い蒸気加減弁13の閉鎖速度を電力系統過渡事象の発生中に開放速度に近づける補正を行う。つまり、蒸気加減弁13の閉鎖速度を遅くする補正を行う。このようにすれば、電力系統過渡事象の発生中に閉まる方向に動作する蒸気加減弁13の開度を電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍に維持することができる。
このとき、蒸気加減弁13は、タービン回転速度の振動(図6(C))に応じた蒸気加減弁開度指令信号101(図6(D))に基づき、速度制御が実施される。しかし、前述の開度補正部111を用いて、蒸気加減弁13の開閉速度を同じすることで、蒸気加減弁13は、所定の開度付近で制御が行われる(図6(E))。従って、速度制御を維持した状態で、蒸気加減弁13の開度を、所定の開度近傍に補正することが可能となる。
第2実施形態では、タービン回転速度の振動に対する速度制御を行うため、蒸気加減弁13の開度は、所定の開度近傍の制御となる。そのため、従来技術より有効電力復帰時に用いる蒸気量の減少を回避可能である。
次に、制御装置10が実行する処理について図7のフローチャートを用いて説明する。この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。この処理が繰り返されることで、制御装置10で発電プラント1の蒸気加減弁13の制御方法が実行される。なお、制御装置10が他のメイン処理を実行中に、この処理を割り込ませて実行しても良い。
まず、ステップS21において、制御装置10は、開度補正部111が、蒸気加減弁13の閉鎖速度の補正中であるか否かを判定する。ここで、開度補正部111が、蒸気加減弁13の閉鎖速度の補正中である場合(ステップS21がYES)は、後述のステップS24に進む。一方、開度補正部111が、蒸気加減弁13の閉鎖速度の補正中でない場合(ステップS21がNO)は、ステップS22に進む。
ステップS22において、制御装置10は、電力系統過渡事象検出部48により電力系統過渡事象が検出されたか否かを判定する。ここで、電力系統過渡事象が検出された場合(ステップS22がYES)は、後述のステップS25に進む。一方、電力系統過渡事象が検出されない場合(ステップS22がNO)は、ステップS23に進む。
ステップS23において、制御装置10は、蒸気加減弁開度指令信号101により蒸気加減弁13の開度を調整する。そして、処理を終了する。
ステップS24において、制御装置10は、リセット条件が成立したか否かを判定する。なお、リセット条件は、電力過渡事象が復旧されるとともに、タービン速度が整定されることである。ここで、リセット条件が成立した場合(ステップS24がYES)は、前述のステップS23に進む。一方、リセット条件が成立しない場合(ステップS24がNO)は、ステップS25に進む。
ステップS25において、制御装置10は、開度補正部11により蒸気加減弁13の閉鎖速度の補正を行う。そして、前述のステップS23に進む
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の発電プラント1の蒸気加減弁13の制御装置10について図8から図9を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。適宜、前述の図3を参照する。
図2および図5に示した構成では、蒸気加減弁開度補正指令信号107の出力中にバイパス弁15が開く可能性がある。これに対して、図8に示す構成では、蒸気加減弁開度補正指令信号107の出力中には、バイパス弁開許可信号104を強制的にオフ制御する。つまり、バイパス弁開許可信号104を無効化する。
第3実施形態では、タービン18,19に流入される前の蒸気を復水器21にバイパスするときに開放されるバイパス弁15を制御する信号を電力系統過渡事象の発生中に無効にするバイパス弁全閉制御回路113が設けられている。
このようにすることで、電力系統過渡事象の発生時においても、バイパス弁15は、全閉状態が維持される(図3(H)および図3(I))。そのため、復水器21への蒸気流出が防がれるようになる。そして、蒸気発生部16の圧力は、電力系統過渡事象の発生時の値に維持される(図3(J))。つまり、電力系統過渡事象の発生中にバイパス弁の閉鎖状態を維持することができるので、タービン18,19に流入される蒸気の量が低下されないようにできる。このことから、電力系統過渡事象の復旧後の有効電力回復時に利用可能な蒸気量の減少を回避することができる。
さらに、図8に示すように、バイパス弁開許可信号104を強制的にオフすることにより、復水器21への蒸気流出を防止することができる。また、蒸気発生部16の圧力上昇などの悪影響を回避する必要がある場合は、バイパス弁15を全閉状態のまま、蒸気加減弁13の開度制御により、蒸気発生部16の圧力制御を行うこともできる。
蒸気発生部16の圧力制御方法の一例として、蒸気加減弁開度指令信号101に、圧力制御用設定器53に設定した所定の値を加算器54によって加算することにより、蒸気加減弁13に開バイアスを設ける方法が考えられる。第3実施形態における圧力制御は、圧力制御用設定器53と加算器54とにより制御調整回路が構成される。この制御調整回路が、第3実施形態における開度補正部の一部となっている。なお、所定の値は、圧力検出器24にて検出した圧力信号であっても良いし、バイパス弁開相当の一定開度に基づく値であっても良い。
これにより、電力系統過渡事象の復旧後の有効電力復帰時に用いる蒸気量の減少を回避しつつ、蒸気を発生する機器側の過度な圧力上昇など、系統に悪影響を及ぼす外乱を抑制することが可能となる。
第3実施形態では、高圧タービン18に流入される前の蒸気を復水器21にバイパスするときに開放されるバイパス弁15が閉鎖された状態が電力系統過渡事象の発生中に維持され、このバイパス弁15の閉鎖が維持された状態で、蒸気発生部16の圧力に基づいて蒸気加減弁13を制御する制御値を調整する制御調整回路が設けられる。このようにすれば、電力系統過渡事象の発生中に高圧タービン18よりも、蒸気発生部16を優先して健全性を保つようにすることができる。
蒸気加減弁開度補正制御のリセットは、図8に示すように、蒸気加減弁開度補正制御リセット回路60にて行う。蒸気加減弁開度補正制御をタービン回転速度の振動が整定するまで継続する場合には、蒸気加減弁開度補正指令信号107のリセット条件の一例として、電力系統過渡事象検出信号106がオフとなり、タービン速度整定検出器55にて、タービン速度の整定が判定されたときに蒸気加減弁開度補正指令リセット信号108を出力する方法が考えられる。タービン速度整定検出器55による整定の検出方法としては、例えばタービン速度の過渡事象による減衰振動のピーク値をしきい値判定する、ピーク値が観測されなくなったかを判定する、単位時間あたりの振動の絶対値の偏差をしきい値判定する、等が考えられる。
タービン回転速度の振動中に蒸気加減弁開度補正制御から通常制御に切り替わると、蒸気加減弁13が閉傾向となる可能性がある。しかし、タービン回転速度の振動整定後に蒸気加減弁開度補正制御をリセットすることで、蒸気加減弁13が閉傾向となる事象を回避し、有効電力復帰時に利用可能な蒸気量の減少を回避できる。
また、蒸気加減弁開度補正制御およびバイパス弁開許可信号104の強制オフは、運転員による手動操作スイッチ56の操作によって、手動でオンまたはオフの切替えを行うこともできる。これにより、蒸気加減弁開度補正制御およびバイパス弁全閉維持制御の要否を運転員が判断した上で、プラントを運転可能となる。なお、手動操作スイッチ56は、中央制御装置3の操作部4に設けられている。
さらに、蒸気加減弁開度補正指令信号107の出力中は、運転監視画面57に、蒸気加減弁開度補正制御およびバイパス弁開許可信号104の強制オフ機能が有効となっていることを表示することもできる。これにより、蒸気加減弁開度補正制御およびバイパス弁全閉維持制御が動作した場合に運転員への迅速な周知が可能となり、運転監視性の向上に寄与できる。なお、運転監視画面57は、中央制御装置3の表示部5に設けられている。
この表示部5は、蒸気加減弁13の開度が電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍に維持されているときに、その旨を発電プラント1の運転員に知らせるものである。このようにすれば、発電プラント1の運転員が、蒸気加減弁13の開度が維持されていることを知ることができる。
次に、本実施形態において制御装置10がバイパス弁開許可信号104信号に関連して実行する処理について図9のフローチャートを用いて説明する。この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。この処理が繰り返されることで、制御装置10で発電プラント1の蒸気加減弁13の制御方法が実行される。なお、制御装置10が他のメイン処理を実行中に、この処理を割り込ませて実行しても良い。
まず、ステップS31において、制御装置10は、バイパス弁全閉制御回路113によりバイパス弁開許可信号104が無効とされているか否かを判定する。ここで、バイパス弁開許可信号104が無効とされている場合(ステップS31がYES)は、後述のステップS34に進む。一方、バイパス弁開許可信号104が無効とされていない場合(ステップS31がNO)は、ステップS32に進む。
ステップS32において、制御装置10は、電力系統過渡事象検出部48により電力系統過渡事象が検出されたか否かを判定する。ここで、電力系統過渡事象が検出された場合(ステップS32がYES)は、後述のステップS35に進む。一方、電力系統過渡事象が検出されない場合(ステップS32がNO)は、ステップS33に進む。
ステップS33において、制御装置10は、バイパス弁開許可信号104を有効にする。そして、処理を終了する。
ステップS34において、制御装置10は、リセット条件が成立したか否かを判定する。なお、リセット条件は、電力過渡事象が復旧されるとともに、タービン速度が整定されることである。ここで、リセット条件が成立した場合(ステップS34がYES)は、処理を終了する。一方、リセット条件が成立しない場合(ステップS34がNO)は、ステップS35に進む。
ステップS35において、制御装置10は、バイパス弁全閉制御回路113によりバイパス弁開許可信号104を無効にする。そして、処理を終了する。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の発電プラント1の蒸気加減弁13の制御装置10について図10から図12を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。第4実施形態では、沸騰水型原子力プラント1Bにおける実施形態を以下に説明する。
図10は、沸騰水型原子力プラント1Bにおける通常制御回路11の具体的な構成を示している。なお、図1および図2と同様の構成については同一の符号を付しており、後述の事項を除き機能に代わりは無いものとする。
沸騰水型原子力プラント1Bにおける定格運転の際は、通常制御回路11として、タービン回転速度制御に優先して、原子炉圧力一定制御を行う。タービン回転速度が定格速度近傍の場合は、原子炉圧力制御によって原子炉圧力が一定となるように蒸気加減弁13の開度制御を行う。つまり、原子炉の圧力に関連して変化される圧力制御値に基づく制御を行う。
タービン回転速度が回転速度設定器29より大幅に大きくなった場合は、蒸気加減弁13の制御方式を原子炉圧力制御からタービン回転速度制御に切替え、弁開度を閉方向に制御する。このとき、バイパス弁15の開度を開方向に制御することで、高圧タービン18および復水器21に流入する蒸気量を調整し、原子炉圧力を一定値に制御する。具体的な動作は以下の通りとなる。
圧力検出器24は、蒸気発生部16内の圧力を検出して、検出信号を偏差演算器27に出力する。そして、偏差演算器27は、入力された検出信号と圧力設定器26に予め設定された圧力設定値とを減算し、圧力偏差信号を乗算器38に出力する。乗算器38では、圧力偏差信号にゲイン(圧力調定率の逆数)を乗算することにより、全蒸気流量指令信号105を算出する。
この全蒸気流量指令信号105は、蒸気発生部16の圧力を一定に保つために必要な、原子炉から出力される蒸気流量を示す。低値選択器34は、全蒸気流量指令信号105と、速度負荷制御信号100が表す速度によってタービンが回転制御されたときの蒸気量から最も低値の信号を選択し、蒸気加減弁開度指令信号101として出力する。つまり、蒸気加減弁13が高圧タービン18の回転速度に基づく速度制御値と蒸気発生部16の圧力に基づく圧力制御値とのうちのいずれか低い方の値に基づいて制御されている。
また、偏差演算器39にて全蒸気流量指令信号105と蒸気加減弁開度指令信号101の偏差に基づいて、バイパス弁流量指令信号103が算出される。バイパス弁流量指令信号103は、サーボ弁40に出力される。このサーボ弁40によって、制御油の供給量を変化させることで、バイパス弁15の弁開度の調整が行われる。
次に、沸騰水型原子力プラント1Bにおける定格運転時の制御動作を説明する。定格運転時は、一般的に圧力制御が優先されるよう、負荷設定器32の値が実際の負荷よりも大きい所定値に設定される。そして、低値選択器34において、全蒸気流量指令信号105が選択されるようにして、蒸気加減弁13の開度調整により原子炉圧力制御を行う。
このとき、全蒸気流量指令信号105と蒸気加減弁開度指令信号101が一致することにより、偏差演算器39の出力であるバイパス弁流量指令信号103がゼロになる。そのため、バイパス弁15が全閉状態となる。しかし、タービン回転速度が過度に上昇されて、低値選択器34において、加算器33から出力される速度負荷制御信号100が選択されると、蒸気加減弁13の開度が絞られて、タービン回転速度制御に移行する。つまり、速度制御値に基づく制御を行う。
このとき、蒸気加減弁13にて絞られた分は、全蒸気流量指令信号105と蒸気加減弁開度指令信号101の差分として偏差演算器39から出力される。そして、バイパス弁15が開方向に制御される。つまり、蒸気加減弁13を絞った分の余剰蒸気は、原子炉圧力を一定に保つため、バイパス弁15を介して復水器21に流入される。このようにして、バイパス弁15により原子炉圧力制御が行われる。つまり、圧力制御値に基づく制御が行われる。
第4実施形態では、前述の実施形態と同様に、蒸気加減弁開度補正指令信号107の出力に応じて、蒸気加減弁開度補正制御を実施する。
第4実施形態では、電力系統過渡事象の発生中にタービン回転速度が大幅に上昇した場合の蒸気加減弁13の制御方法として、タービン回転速度制御への切替えを行わず、原子炉圧力制御による制御を継続する。そして、蒸気加減弁13の開度を電力系統過渡事象の発生時の開度(所定の開度)近傍に補正する。
このようにすることで、電力系統過渡事象の発生時におけるタービン回転速度上昇に伴う、蒸気加減弁13の閉制御と、バイパス弁15の開制御を回避することができる。そして、前述の実施形態と同じの効果を得るものであり、後述の事項を除き、機能に変わりは無いものとする。
第4実施形態では、タービン回転速度が大幅に上昇した場合においても、蒸気加減弁開度指令信号101として選択していた入力値を補正するための開度補正部112が設けられる。この開度補正部112は、切替器58と、信号設定器59とを備える。第4実施形態では、信号設定器59が、電力系統過渡事象の発生中に速度制御値を高くするバイアス回路となっている。
切替器58は、蒸気加減弁開度補正指令信号107のオフ中は、負荷設定器32で設定された値を加算器33に出力する。蒸気加減弁開度補正指令信号107のオン中は、信号設定器59で設定された所定の設定値を加算器33に出力する。
信号設定器59に設定する設定値の一例として、発生しうる回転速度の最大値とする方法が挙げられる。
図11(A)は、電力系統過渡事象検出信号106を示すタイミングチャートである。図11(B)は、蒸気加減弁開度補正指令信号107を示すタイミングチャートである。図11(C)は、タービン回転速度を示すタイミングチャートである。図11(D)は、負荷設定の切替器58の出力を示すタイミングチャートである。図11(E)は、速度負荷制御信号100を示すタイミングチャートである。図11(F)は、全蒸気流量指令信号105を示すタイミングチャートである。図11(G)は、蒸気加減弁開度指令信号101を示すタイミングチャートである。図11(H)は、蒸気加減弁13の開度を示すタイミングチャートである。図11(I)は、インタセプト弁14の開度を示すタイミングチャートである。図11(J)は、バイパス弁15の開度を示すタイミングチャートである。図11(K)は、蒸気発生部16の圧力を示すタイミングチャートである。なお、図11において、T1は、電力系統過渡事象の発生時を示す。T2は、電力系統過渡事象の復旧時を示す。T3は、蒸気加減弁開度補正指令のリセット時を示す。
電力系統過渡事象の発生時に切替器58から所定の設定値が出力されることで(図11(D))、速度負荷制御信号100は、常に、全蒸気流量指令信号105より大きい値となる(図11(E)および図11(F))。
蒸気加減弁開度指令信号101は、速度負荷制御信号100と全蒸気流量指令信号105のうちの低い方の値を示す信号である。そのため、電力系統過渡事象の発生時においても、通常制御時と同様に、全蒸気流量指令信号105が選択される(図11(G))。そして、原子炉圧力制御が継続される。従って、電力系統過渡事象の発生時においても蒸気加減弁13の開度が所定の開度近傍が維持される(図11(H))。
また、蒸気加減弁開度補正制御中の蒸気加減弁開度指令信号101として、全蒸気流量指令信号105が選択されることにより、バイパス弁流量指令信号103はゼロとなる。このことから、電力系統過渡事象の発生時においても、バイパス弁15は、全閉状態が維持される(図11(J))。そして、復水器21への蒸気流出が防がれるため、原子炉圧力は、電力系統過渡事象の発生時の値を維持可能となる(図11(K))。
次に、比較例として、開度補正制御を行わずに電力系統過渡事象中に蒸気加減弁13の開度調整およびバイパス弁15を動作させる場合ついて図14に示すタイミングチャートを用いて説明する。図14は、比較例としての沸騰水型原子力プラント1Bにおいて、電力系統過渡事象が発生した場合のタイミングチャートを示している。
図14(A)は、電力系統過渡事象検出信号106を示すタイミングチャートである。図14(B)は、タービン回転速度を示すタイミングチャートである。図14(C)は、速度負荷制御信号100を示すタイミングチャートである。図14(D)は、全蒸気流量指令信号105を示すタイミングチャートである。図14(E)は、蒸気加減弁開度指令信号101を示すタイミングチャートである。図14(F)は、蒸気加減弁13の開度を示すタイミングチャートである。図14(G)は、インタセプト弁14の開度を示すタイミングチャートである。図14(H)は、バイパス弁15の開度を示すタイミングチャートである。図14(I)は、蒸気発生部16の圧力を示すタイミングチャートである。なお、図14において、T1は、電力系統過渡事象の発生時を示す。T2は、電力系統過渡事象の復旧時を示す。
沸騰水型原子力プラント1Bにおける蒸気加減弁開度指令信号101(図14(E))は、速度負荷制御信号100(図14(C))と全蒸気流量指令信号105(図14(D))とのうちの低値を選択した値となる。
電力系統過渡事象の発生時(T1)からタービン高速バルブ制御の開始直後には、タービン回転速度の上昇および振動に応じて(図14(B))、速度負荷制御信号100が振動される(図14(C))。
タービン回転速度が大幅に上昇した場合において、速度負荷制御信号100(図14(C))が全蒸気流量指令信号105(図14(D))より小さい値となる。そのため、蒸気加減弁開度指令信号101として速度負荷制御信号100が選択され(図14(E))、蒸気加減弁13が閉制御される(図14(F))。
この蒸気加減弁13の閉制御に応じて、バイパス弁15が原子炉圧力に基づく制御により開制御される(図14(H))。そして、高圧タービン18に流入される前の蒸気が復水器21に流出され、蒸気発生部16および原子炉の圧力が低下される(図14(I))。そのため、過渡事象の復旧時(T2)において、高圧タービン18に流入される蒸気の量が減少される。この減少した蒸気量では、電力系統過渡事象の復旧後に有効電力の出力を維持することができない。
第4実施形態では、電力系統過渡事象の発生時におけるタービン回転速度の上昇時においても、蒸気加減弁13にて原子炉圧力制御が継続され、蒸気加減弁13およびバイパス弁15の双方の開度を、電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍で制御することにより、有効電力復帰時に用いる蒸気量の減少を回避するとともに、蒸気圧力上昇などの系統への外乱も抑制することができる。さらに、原子炉圧力制御も継続できることから、原子炉圧力の安定的、かつ高精度な制御を実現可能となる。
第4実施形態では、タービン高速バルブ制御中においても、原子炉圧力制御を優先し、蒸気加減弁13は所定の開度を、バイパス弁15は全閉を維持することで、復水器21への蒸気流出を防止する。なお、原子炉圧力容器に悪影響を及ぼす場合は、バイパス弁15を全閉状態のまま、蒸気加減弁13の開度を調整し、原子炉圧力容器の圧力制御を行う。これにより、電力系統過渡事象の復旧後の有効電力復帰時に用いる蒸気量を確保し、蒸気発生部側の圧力変動など、系統に悪影響を及ぼす外乱の抑制が可能となる。
このようにすれば、電力系統過渡事象の発生中にタービン回転速度が上昇した場合においても、タービン18,19の回転速度に基づく速度制御値よりも、蒸気発生部16の圧力に基づく圧力制御値を優先して蒸気加減弁13の制御に用いられるようになる。そのため、蒸気発生部16の圧力を適切に保つことができる。なお、タービン18に流入される前の蒸気を復水器21にバイパスするときに開放されるバイパス弁15の閉鎖状態を維持することができる。
次に、制御装置10が実行する処理について図12のフローチャートを用いて説明する。この処理は、一定時間毎に繰り返される処理である。この処理が繰り返されることで、制御装置10で発電プラント1の蒸気加減弁13の制御方法が実行される。なお、制御装置10が他のメイン処理を実行中に、この処理を割り込ませて実行しても良い。
まず、ステップS41において、制御装置10は、開度補正部112により速度制御値を高くする補正が実行中であるか否かを判定する。ここで、開度補正部112により速度制御値を高くする補正が実行中である場合(ステップS41がYES)は、後述のステップS44に進む。一方、開度補正部112により速度制御値を高くする補正が実行中でない場合(ステップS41がNO)は、ステップS42に進む。
ステップS42において、制御装置10は、電力系統過渡事象検出部48により電力系統過渡事象が検出されたか否かを判定する。ここで、電力系統過渡事象が検出された場合(ステップS42がYES)は、後述のステップS45に進む。一方、電力系統過渡事象が検出されない場合(ステップS42がNO)は、ステップS43に進む。
ステップS43において、制御装置10は、蒸気加減弁開度指令信号101により蒸気加減弁13の開度を調整する。そして、処理を終了する。
ステップS44において、制御装置10は、リセット条件が成立したか否かを判定する。なお、リセット条件は、電力過渡事象が復旧されるとともに、タービン速度が整定されることである。ここで、リセット条件が成立した場合(ステップS44がYES)は、前述のステップS43に進む。一方、リセット条件が成立しない場合(ステップS44がNO)は、ステップS45に進む。
ステップS45において、制御装置10は、開度補正部112により速度制御値を高くする補正を行う。そして、前述のステップS43に進む。
本実施形態に係る発電プラントの蒸気加減弁の制御装置を第1実施形態から第4実施形態に基づいて説明したが、いずれか1の実施形態において適用された構成を他の実施形態に適用しても良いし、各実施形態において適用された構成を組み合わせても良い。
例えば、第3実施形態のバイパス弁15を制御する信号を電力系統過渡事象の発生中に無効にするバイパス弁全閉制御回路113の構成を、第1、第2実施形態に適用しても良い。また、第3実施形態の運転監視画面57と手動操作スイッチ56の構成を、第1、第2、または第4実施形態に適用しても良い。
なお、本実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
本実施形態の制御装置は、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスまたはキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。この制御装置は、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
なお、本実施形態の制御装置で実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
また、この制御装置で実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、この制御装置は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
なお、制御装置10は、発生した電力系統過渡事象が1秒以下で復旧するか否かを判定する復旧判定部を備えても良い。そして、電力系統過渡事象が1秒以下で復旧しない場合には、開度補正部110,111,112による蒸気加減弁13の開度の補正を行わないようにしても良い。また、電力系統過渡事象が1秒以下で復旧しない場合には、バイパス弁15を開放しても良いし、発電プラント1の発電を停止しても良い。また、1秒以下か否かを判定、すなわち1秒を判定のしきい値とするものとして説明したが、1秒よりも短い所定の時間を判定のしきい値として設定しても良い。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、電力系統過渡事象の発生中に電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍に維持する開度補正部を備えることにより、電力系統過渡事象の復旧後に有効電力の出力を維持することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…発電プラント、1A…加圧水型原子力プラント、1B…沸騰水型原子力プラント、2…中央制御室、3…中央制御装置、4…操作部、5…表示部、10…制御装置、11…通常制御回路、12…高速バルブ制御回路、13…蒸気加減弁、14…インタセプト弁、15…バイパス弁、16…蒸気発生部、17…湿分分離加熱器、18…高圧タービン、19…低圧タービン、20…発電機、21…復水器、22…復水ポンプ、23…給水ポンプ、24…圧力検出器、25…タービン回転速度検出器、26…圧力設定器、27…偏差演算器、28…タービン負荷検出器、29…回転速度設定器、30…偏差演算器、31…乗算器、32…負荷設定器、33…加算器、34…低値選択器、35…サーボ弁、36…乗算器、37…サーボ弁、38…乗算器、39…偏差演算器、40…サーボ弁、41…プロセス検出器、42…プロセス設定器、43…偏差演算器、44…信号発生器、45…切替器、46…タービン負荷急変検出回路、48…電力系統過渡事象検出部、51…切替器、52…信号保持器、53…圧力制御用設定器、54…加算器、55…タービン速度整定検出器、56…手動操作スイッチ、57…運転監視画面、58…切替器、59…信号設定器、60…蒸気加減弁開度補正制御リセット回路、99…速度制御信号、100…速度負荷制御信号、101…蒸気加減弁開度指令信号、102…インタセプト弁開度指令信号、103…バイパス弁流量指令信号、104…バイパス弁開許可信号、105…全蒸気流量指令信号、106…電力系統過渡事象検出信号、107…蒸気加減弁開度補正指令信号、108…蒸気加減弁開度補正指令リセット信号、110,111,112…開度補正部、113…バイパス弁全閉制御回路。

Claims (10)

  1. 電力系統過渡事象の発生を検出する過渡事象検出部と、
    蒸気タービンに流入される蒸気の量を調整する蒸気加減弁の開度を前記電力系統過渡事象の発生中に前記電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍に維持する開度補正部と、
    を備え、
    前記開度補正部は、閉鎖速度が開放速度よりも速い前記蒸気加減弁の前記閉鎖速度を前記電力系統過渡事象の発生中に前記開放速度に近づける補正を行う、
    発電プラントの蒸気加減弁の制御装置。
  2. 電力系統過渡事象の発生を検出する過渡事象検出部と、
    蒸気タービンに流入される蒸気の量を調整する蒸気加減弁の開度を前記電力系統過渡事象の発生中に前記電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍に維持する開度補正部と、
    を備え、
    前記蒸気加減弁が前記蒸気タービンの回転速度に基づく速度制御値と蒸気発生部の圧力に基づく圧力制御値とのうちのいずれか低い方の値に基づいて制御されており、
    前記開度補正部は、前記電力系統過渡事象の発生中に前記速度制御値を高くするバイアス回路を備える、
    発電プラントの蒸気加減弁の制御装置。
  3. 前記蒸気タービンに流入される前の蒸気を復水器にバイパスするときに開放されるバイパス弁を制御する信号を前記電力系統過渡事象の発生中に無効にするバイパス弁全閉制御回路を備える、
    請求項1または請求項に記載の発電プラントの蒸気加減弁の制御装置。
  4. 前記蒸気タービンに流入される前の蒸気を復水器にバイパスするときに開放されるバイパス弁が閉鎖された状態が前記電力系統過渡事象の発生中に維持され、
    前記開度補正部は、前記バイパス弁の閉鎖が維持された状態で、蒸気発生部の圧力に基づいて前記蒸気加減弁を制御する制御値を調整する、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の発電プラントの蒸気加減弁の制御装置。
  5. 前記電力系統過渡事象の復旧および前記蒸気タービンの回転速度の整定の両方が満たされた場合に前記開度補正部による前記蒸気加減弁の開度の維持を終了する、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の発電プラントの蒸気加減弁の制御装置。
  6. 前記発電プラントの運転員が操作可能な操作部を備え、
    前記操作部が操作されることに基づいて、前記蒸気加減弁の開度を前記電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍に維持する制御のオンまたはオフの切り替えが行われる、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の発電プラントの蒸気加減弁の制御装置。
  7. 前記開度補正部により前記蒸気加減弁の開度が前記電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍に維持されているときに、その旨を前記発電プラントの運転員に知らせる表示部を備える、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の発電プラントの蒸気加減弁の制御装置。
  8. 前記発電プラントは、
    前記蒸気を発生させる蒸気発生部と、
    前記蒸気発生部で発生した蒸気が流入される前記蒸気タービンとしての高圧タービンと、
    前記蒸気発生部から前記高圧タービンに流入される蒸気の量を調整する前記蒸気加減弁と、
    前記高圧タービンから排気され、前記高圧タービンに流入される蒸気よりも低圧な蒸気が流入される低圧タービンと、
    前記高圧タービンと前記低圧タービンの回転力により発電を行う発電機と、
    前記低圧タービンから排気される蒸気を復水する復水器と、
    前記高圧タービンに流入される前の蒸気を前記復水器にバイパスするときに開放されるバイパス弁と、
    少なくとも前記蒸気加減弁を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    通常運転時に前記蒸気加減弁を制御する通常制御回路と、
    前記開度補正部が設けられ、発生から復旧までの期間が1秒以下である前記電力系統過渡事象の発生中に前記蒸気加減弁を制御する高速バルブ制御回路と、
    を備える、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の発電プラントの蒸気加減弁の制御装置。
  9. 電力系統過渡事象の発生を検出するステップと、
    蒸気タービンに流入される蒸気の量を調整する蒸気加減弁の開度を前記電力系統過渡事象の発生中に前記電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍に維持するステップと、
    を含
    閉鎖速度が開放速度よりも速い前記蒸気加減弁の前記閉鎖速度を前記電力系統過渡事象の発生中に前記開放速度に近づける補正を行う、
    発電プラントの蒸気加減弁の制御方法。
  10. 電力系統過渡事象の発生を検出するステップと、
    蒸気タービンに流入される蒸気の量を調整する蒸気加減弁の開度を前記電力系統過渡事象の発生中に前記電力系統過渡事象の発生時の開度の近傍に維持するステップと、
    を含み、
    前記蒸気加減弁が前記蒸気タービンの回転速度に基づく速度制御値と蒸気発生部の圧力に基づく圧力制御値とのうちのいずれか低い方の値に基づいて制御されており、
    前記電力系統過渡事象の発生中に前記速度制御値を高くする、
    発電プラントの蒸気加減弁の制御方法。
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