JP7109999B2 - 座屈拘束ブレース - Google Patents

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Description

本発明は、座屈拘束ブレースに関する。
従来より、建物の架構(柱・梁架構、屋根架構等)を形成するブレースとして、座屈防止措置が講じられた座屈拘束ブレースが適用されている。座屈拘束ブレースとしては、鋼製の芯材の周囲を鋼板のみで補剛した形態、鋼製の芯材の周囲をRC(Reinforced Concrete 鉄筋コンクリート)で補剛した形態、鋼製の芯材の周囲を鋼材とモルタルで被覆した形態など、多様な補剛形態が存在する。
ところで、昨今、木造建築物(木造住宅、木造の倉庫、木造の競技場など)の耐火性能や耐震性能の向上が図られている。木造住宅は本来的に、間取りやデザインの自由度の高さ、自然物の木材による癒し効果、木材の有する調湿効果、住宅などの建物用途によっては鉄骨造やRC造に比べて建設費用が一般に安価であるといった利点を備えているが、上記する耐火性や耐震性の向上が木造住宅をはじめとする木造建築物の注目度を高めている一つの要因である。このような木造住宅の架構内に上記する従来の座屈拘束ブレースを組み込む場合、木製の柱や梁と、金属製もしくはコンクリート製の補剛材を有する座屈拘束ブレースとが混在することになり、不釣合いな外観となることが否めない。
そこで、座屈拘束ブレースの全体を木製もしくは紙製のパネル等で覆うことにより、金属製もしくはコンクリート製の補剛材を外部から視認できないようにする方策が考えられるが、この方策には多大な作業手間を要することから建設費の増加が懸念される。また、従来の座屈拘束ブレースは、金属やコンクリート、モルタル等が多用されていることから、重量が重くなる傾向にあり、木造住宅を構成する軽量な木製の梁や柱の中に重量のある座屈拘束ブレースを取り付けることは構造的にも不釣合いである。
そこで、木造住宅をはじめとする木造建築物の架構内に組み込んで使用するのに適した座屈拘束ブレースが提案されている。具体的には、芯材と、芯材の両面に沿って配置した一対の拘束材とを有する座屈拘束ブレースであり、芯材を鋼材にて形成し、一対の拘束材を木材にて形成し、この拘束材に集成材を適用し、集成材は芯材と平行にラミナが積層されたものとした座屈拘束ブレースである(例えば、特許文献1参照)。
特許第4901491号公報
鋼製の芯材が木製の拘束材にて包囲された座屈拘束ブレースに対して、例えば地震時に架構が変形して芯材に軸力が作用し、芯材が座屈し始めると、芯材を包囲する木製の拘束材の特に端部が外側に押されて開くように変形し得る。このように拘束材が外側に開いてしまうと、芯材を座屈防止可能に拘束することができなくなり、芯材が座屈に至り得る。特許文献1には、このような拘束材の端部の開き防止についての言及がないため、拘束材の端部の開きを抑制できるか否かが明確でない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、木造建築物の架構内に組み込んで使用するのに好適であり、芯材が座屈しようとした際に拘束板が外側に開くことを抑制できる座屈拘束ブレースを提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による座屈拘束ブレースの一態様は、
鋼製でプレート状の芯材と、
前記芯材の広幅の両面に配設されている木製で一対の拘束板と、前記芯材の狭幅の両面に配設され、前記一対の拘束板に接続されている木製で一対の側板と、により形成される木製拘束材と、を備え、
前記一対の拘束板はそれぞれ、軸方向の両端部に第一ボルト孔を有し、前記芯材は該第一ボルト孔に対応する位置に第二ボルト孔を有しており、
前記第一ボルト孔と前記第二ボルト孔を、前記拘束板の端部開き防止用の連結ボルトが貫通して、前記一対の拘束板を連結していることを特徴とする。
本態様によれば、芯材が一対の拘束板の両端部において、拘束板の端部開き防止用の連結ボルトにて相互に連結されていることにより、拘束板の端部の開きが抑制され、芯材の座屈を防止することが可能になり、変形性能の高い座屈拘束ブレースとなる。ここで、一対の拘束板同士は一対の側板にて接続されて、4つの面材による閉合構造を有する木製拘束材が形成される。鋼製の芯材が木製拘束材にて包囲されていることにより、木造建築物の架構に適用した場合でも、架構構成部材と不釣合いな外観を与える恐れはない。
木製拘束材を形成する拘束板及び側板と芯材とは縁切りされており、拘束板及び側板と芯材との間には、隙間が存在していてもよい。木製拘束材と芯材が縁切りされていることにより、芯材に作用する軸力やせん断力等が木製拘束材に作用することが抑制される。また、拘束板及び側板と芯材との間には、グリース等のアンボンド材が配設されてもよい。このアンボンド材により、芯材が伸縮等する際の芯材と木製拘束材との動摩擦力を低減することができる。
このように、連結ボルトは一対の拘束板の開きを防止する作用を有する部材であり、一対の拘束板は一対の側板にて接続される。また、木製の拘束材と側板は、無垢材により形成されてもよいし、ラミナが積層された集成材により形成されてもよい。
また、木製拘束材が、一対の拘束板に対して一対の側板が接続される構成を有していることから、木製拘束材の加工が容易となる。例えば、特許文献1に記載の座屈拘束ブレースは、集成材を加工して断面L型の2つの拘束材を製作し、これらを相互に逆さまにして、芯材を挟んだ状態で接続する加工を要する。これに対して、本態様の座屈拘束ブレースは、一対の拘束板に対して一対の側板を接続して木製拘束材を製作し、例えばこの木製拘束材の有する中空に芯材を挿通することにより座屈拘束ブレースを製作することができる(芯材の端部がフランジを具備せず、ウエブのみの場合はこのような製作が可能)。そのため、座屈拘束ブレースの製作がより一層容易になる。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様は、前記側板が、前記拘束板に対して固定金具にて固定されていることを特徴とする。
本態様によれば、拘束板に対して側板を固定金具にて固定することから、木製拘束材の製作が一層容易になる。例えば接着剤にて拘束板と側板を固定する場合と比べて、接着剤硬化までの時間を不要にできることから製作時間が短くてよい。ここで、固定金具としては、ビスや釘などが挙げられる。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様において、前記第二ボルト孔は芯材の長手方向に延出する長孔であることを特徴とする。
本態様によれば、芯材に開設されている第二ボルト孔が該芯材の長手方向に延出する長孔であることにより、例えば地震時に架構が変形し、この架構の変形に応じて芯材が伸縮した際に、長孔を貫通する拘束板を連結する連結ボルトが芯材の伸縮に影響を受けることが無くなる。そのため、芯材の伸縮に起因して連結ボルトが移動し、連結ボルトの移動に起因して当該連結ボルトに接続されている木製拘束材に軸力が作用することが解消されることにより、この軸力による木製拘束材の破損の恐れが無くなる。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様において、前記第一ボルト孔は前記連結ボルトのボルト径よりも大径であることを特徴とする。
本態様によれば、地震時に架構が変形し、この変形に起因して芯材が軸方向に変形しながら、さらに軸方向に直交する方向にも変位する際に、このような芯材の変位が連結ボルトを介して一対の拘束板に作用することを解消することができる。このように、芯材の軸方向への伸縮変形による影響は既述するように芯材に開設された第二ボルト孔を長孔(ルーズ孔)とすることにより解消でき、芯材の軸方向に直交する方向への変位による影響は、拘束板に開設された第一ボルト孔を連結ボルトのボルト径よりも大径とすることにより解消できる。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様において、前記芯材はプレート状のウエブを有し、
前記芯材の軸方向の両端部においてそれぞれ、該ウエブに直交する2つのフランジを有し、
前記ウエブを挟む前記一対の拘束板を連結する前記連結ボルトが、前記2つのフランジの間に配設されていることを特徴とする。
本態様によれば、芯材が、その端部において、中央のウエブと、その両側の2つのフランジを有していることにより、架構の隅角部にあるガセットプレート等に剛結合される座屈拘束ブレースの芯材の端部の、例えば構面外への剛性を高めることができる。本態様の座屈拘束ブレースでは、中央の一般部が平鋼材等からなるウエブであり、両端部がこのウエブの両側にフランジが取り付けられたH形の鋼材となる。そのため、芯材の端部が接続される架構の隅角部に取り付けているガセットプレートも、芯材の端部と同様のH形となる。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様は、前記フランジと前記一対の拘束板の間に隙間を有することを特徴とする。
本態様によれば、芯材の端部の一対のフランジとこれら一対のフランジ間にある拘束板(の端部の側面)との間に隙間があることにより、地震時に架構が変形し、この変形に起因して芯材のフランジから拘束板に対して曲げモーメント等の外力が付与されることを解消することができる。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様は、以下の式(A)を満たすように、前記木製拘束材と前記芯材の仕様が設定されていることを特徴とする。
Figure 0007109999000001
本態様によれば、木製拘束材に特有のめり込み耐力と補剛力との関係に基づき、木製拘束材と芯材の各仕様を適切に設定することができる。ここで、「仕様」とは、芯材の幅や板厚、芯材の降伏耐力、木製拘束材の設計用軸力(に堪え得る木製拘束材の断面寸法や断面剛性、ヤング係数(材質)等)が挙げられる。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様は、前記側板を前記拘束板に前記固定金具にて固定するピッチが以下の式(B)を満たすように設定されることを特徴とする。
Figure 0007109999000002
本態様によれば、拘束板と側板の接続部に作用するせん断力以上のせん断耐力を有するようにして、固定金具のピッチ(もしくは固定金具の本数)を適切に設定することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の座屈拘束ブレースによれば、木造建築物の架構内に組み込んで使用するのに好適であり、芯材が座屈しようとした際に拘束板が外側に開くことを抑制することができる。
実施形態に係る座屈拘束ブレースを形成する芯材の一例の斜視図である。 図1のII方向の矢視図であって連結ボルトを形成するボルトを共に示した図である。 実施形態に係る座屈拘束ブレースを形成する木製拘束材の一例の斜視図である。 図3のIV方向の矢視図であって連結ボルトを形成するボルトを共に示した図である。 実施形態に係る座屈拘束ブレースの一例の斜視図である。 図5のVI-VI矢視図である。 図5のVII-VII矢視図である。 実施形態に係る座屈拘束ブレースが木造建物の架構に組み込まれた状態を示す図である。 座屈拘束ブレースの全体座屈曲線を示す図である。
以下、実施形態に係る座屈拘束ブレースについて添付の図面を参照しながら説明する。
[実施形態に係る座屈拘束ブレース]
<芯材>
はじめに、図1及び図2を用いて、実施形態に係る座屈拘束ブレースを形成する芯材の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る座屈拘束ブレースを形成する芯材の一例の斜視図であり、図2は、図1のII方向の矢視図であって連結ボルトを形成するボルトを共に示した図である。
芯材10は、細長の平鋼板にて形成され、中央の一般部11と、両端の端部12が連続しており、一般部11の幅に対して端部の幅は相対的に広幅であり、一般部11から端部12にかけて徐々に幅が広がる形状を有する。
一般部11から端部12に亘り、芯材10の全体は平鋼板からなるウエブであり、端部12においては、その両側にウエブに直交する一対のフランジ14が溶接にて接続されて断面形状がH形を呈している。
芯材10は、SN材(建築構造用圧延鋼材)や、LYP材(極低降伏点鋼材)等の降伏点の低い鋼材にて形成されているのが好ましく、芯材10の降伏による地震エネルギー吸収性が良好になる。
図2に示すように、端部12には、芯材10の軸方向Lである長手方向に延出する長孔13(第二ボルト孔の一例)が開設されている。長孔13の幅は、図2に二点鎖線で示すボルト31の径φ1と同程度の幅に設定される。また、長孔13の長さt1は、座屈拘束ブレースが架構に組み込まれ、地震時の水平力を受けて芯材31が軸方向に伸縮する際に、ボルト31がこの芯材10の伸縮に干渉しない長さに設定される。
芯材10は、端部12(ウエブ)の両側にフランジ14を有することにより、座屈拘束ブレースが架構に組み込まれ、例えば地震時の水平力を受けた際に、芯材10に作用し得る面外の曲げモーメント等に対する剛性を高めることができる。
<木製拘束材>
次に、図3及び図4を用いて、実施形態に係る座屈拘束ブレースを形成する木製拘束材の一例について説明する。ここで、図3は、実施形態に係る座屈拘束ブレースを形成する木製拘束材の一例の斜視図であり、図4は、図3のIV方向の矢視図であって連結ボルトを形成するボルトを共に示した図である。
木製拘束材20は、一対の拘束板21と、一対の拘束板21を繋ぐ一対の側板23とを有し、一対の拘束板21の間の隙間に芯材10が配設されるようになっている。拘束板21に対して、側板23は、所定のピッチt2でビスや釘等の固定金具24にて固定される。尚、このピッチt2の設定方法は、以下で詳説する。このように、一対の拘束板21に一対の側板23を固定金具24にて固定することにより、4つの面材による閉合構造を有する木製拘束材20を容易に製作することができる。
拘束板21と側板23は、無垢材、又は、ラミナが積層された集成材を含む木質材料のいずれにより形成されてもよい。以下で詳説するように、座屈拘束ブレースの全体座屈を防止できるように、木製拘束材20の断面積や断面剛性、ヤング係数等が設定される。そして、このヤング係数は木材の材質により決定される。木材の材質としては、アカマツやカラマツ、モミ、エゾマツ等が挙げられる。
図3に示すように、拘束板21は側板23の端部から張り出しており、この拘束板21の張り出している領域に第一ボルト孔22が開設されている。芯材10の周囲に木製拘束材20を取り付けた際に、芯材10の有する第二ボルト孔13と拘束板21の有する第一ボルト孔22が位置合わせされ、中央の第二ボルト孔13と上下の2つの第一ボルト孔22にボルト31が挿通される(図2及び図4参照)。
図4に示すように、拘束板21に開設される第一ボルト孔22は、挿通されるボルト31の径φ1よりも大径のφ2を有する。拘束板21に開設される第一ボルト孔22がボルト31よりも大径に設定されていることにより、座屈拘束ブレースが組み込まれた架構が地震時に変形し、この変形に起因して芯材10が軸方向Lに変形しながら、さらに軸方向Lに直交する方向にも変位する際に、このような芯材10の変位がボルト31を介して一対の拘束板21に作用することを解消できる。
尚、図示例の木製拘束材は、拘束板に対して側板をビス等の固定金具で固定する形態であるが、拘束板と側板が接着剤等で固定されてもよい。
<座屈拘束ブレース>
次に、図5乃至図7を参照して、これまでに説明した芯材10と木製拘束材20にて形成される、実施形態に係る座屈拘束ブレースの一例について説明する。ここで、図5は、実施形態に係る座屈拘束ブレースの一例の斜視図であり、図6は、図5のVI-VI矢視図であり、図7は、図5のVII-VII矢視図である。
座屈拘束ブレース50は、芯材10の一般部11を包囲するように木製拘束材20が配設され、拘束板21の端部が芯材10の端部の2つのフランジ14の間まで延びている。芯材10の広幅の両面に一対の拘束板21が配設され、芯材10の狭幅の両面に一対の側板23が配設される。そして、位置合わせされた中央の第二ボルト孔13と上下の2つの第一ボルト孔22に対して、ボルト31が挿通され、ナット32にて締付けられることにより、ボルト31とナット32により形成される連結ボルト30によって一対の拘束板21の端部の開き防止措置が図られる。すなわち、一対の拘束板21と一対の側板23の4つの面材による閉合構造は、複数の固定金具24により形成され、連結ボルト30はあくまでも一対の拘束板21の端部開き防止手段となる。尚、拘束板21の第一ボルト孔22の表面に座金33が配設され、座金33を介してボルト31がナット32にて締付けられている。
座屈拘束ブレース50を形成する一対の拘束板21が端部開き防止用の連結ボルト30にて連結されることにより、芯材10が座屈し始めて拘束板21の端部が外側に押されて開くような変形が抑制される。そのため、座屈拘束ブレース50の全体座屈が抑制され、座屈拘束ブレース50の圧縮耐力が向上することにより、座屈拘束ブレース50が組み込まれた架構とこの架構を含む木造建築物に対して優れた耐震補強効果を付与できる。
また、図7に示すように、芯材10の端部のフランジ14と、2つのフランジ14間に配設されている一対の拘束板21との間には所定幅t3の隙間15が設けられている。このように、フランジ14と拘束板21の間に隙間15が介在することにより、座屈拘束ブレース50が組み込まれた架構が地震時に変形し、この変形に起因して芯材10のフランジ14から拘束板21に対して曲げモーメント等の外力が付与されることを解消できる。
このように、座屈拘束ブレース50は、芯材10が軸方向に長孔14を有し、拘束板21がボルト31よりも大径の第一ボルト孔22を有し、さらに、芯材10のフランジ14と拘束板21の間に隙間15を有する。これらの構成により、地震時に架構が変形した際に、連結ボルト30を介して芯材10から木製拘束材20に対して軸力や曲げモーメントといった外力が作用し、この外力によって木製拘束材20が破損することが解消される。すなわち、一対の拘束板21同士を端部の開き防止用の連結ボルト30にて連結したために、連結ボルト30から木製拘束材20に外力が入力されることに起因して木製拘束材20が破損する恐れを、上記する種々の構成にて解消することができる。
尚、図6及び図7は、木製拘束材20と芯材10の一般部11との間に隙間がない態様で示しているが、木製拘束材20と芯材10は相互に縁切りされている。また、木製拘束材20と芯材10の間に多少の隙間が存在していてもよい。さらに、木製拘束材20と芯材10の間の隙間の有無に関わらず、木製拘束材20と芯材10の界面にグリース等のアンボンド材が配設されてもよい。
また、図示例の座屈拘束ブレースを構成する芯材は、その端部に2つのフランジを有する形態であるが、フランジを具備しない芯材を備えた座屈拘束ブレースであってもよい。この場合、芯材が取り付けられるガセットプレートはH形鋼材でない一般の鋼製プレートからなるガセットプレートが適用される。
<架構への座屈拘束ブレースの適用例>
次に、図8を参照して、架構への座屈拘束ブレースの適用例について説明する。図8は、実施形態に係る座屈拘束ブレースが木造建物の架構に組み込まれた状態を示す図である。尚、図示例の座屈拘束ブレースは、木造建物の架構以外にも、S造(S:Steel)建物の架構、RC造建物の架構、SRC造(SRC:Steel Reinforced Concrete)建物の架構に組み込まれてもよい。
図8に示す架構Sは、木造建築物を構成する木製の柱Cと梁Bにて形成されている。対角線位置にある2つの隅角部には、H形のガセットプレートGが取付けられている。このH形のガセットプレートGの両フランジに対して座屈拘束ブレース50の芯材10の両フランジを当接させ、双方のウエブの両面に添接板Pを配設し、複数のボルトFで固定することにより、架構Sに対して座屈拘束ブレース50が剛に取り付けられる。
この架構Sに対して、地震時に水平力Qが作用すると、架構Sは図示する矩形枠状の状態から平行四辺形の状態に変形される。そして、架構Sがこのように変形することにより、ガセットプレートGに直接接続されている芯材10に軸力が作用し、芯材10は軸方向に伸長する(δ1)。さらに、芯材10は、軸方向に直交する方向にも変位し得る(δ2)。
上記するように、座屈拘束ブレース50は、芯材10が軸方向に長孔14を有し、拘束板21がボルト31よりも大径の第一ボルト孔22を有していることにより、このように芯材10が変形や変位した場合であっても、連結ボルト30を介して芯材10から木製拘束材20に対して軸力等の外力が付与されることが解消される。さらに、芯材10のフランジ14と拘束板21の間に隙間15が存在することにより、拘束板21の端部にフランジ14から曲げモーメント等の外力が付与されることが解消される。そのため、木製拘束材20は自身が座屈等することなく当初の形状を保持することができ、芯材10の座屈拘束機能を発揮することが可能になる。
<全体座屈の検討>
次に、座屈拘束ブレースの全体座屈を防止するための設計方法について説明する。
座屈拘束ブレースの設計においては、以下の式(1)を満足して座屈拘束ブレースの全体座屈が生じないように設計する。
Figure 0007109999000003
ここで、拘束板の中央に作用する曲げモーメントは、以下の式(2)で示すことができる。
Figure 0007109999000004
木製拘束材の全体座屈を防止する条件は、以下の式(3)を満足することとなる。
Figure 0007109999000005
式(3)を座屈拘束ブレースの全体座屈曲線として図9に示す。図9において、全体座屈曲線の上側は安全域であり、下側は危険域であり、安全域に入るように木製拘束材の設計用軸力、オイラー荷重、芯材の一般部の長さ、及び木製拘束材の降伏曲げ耐力が設定される。
尚、上記する木製拘束材の降伏曲げ耐力と作用する曲げモーメントとの関係を照査することの他にも、短期の木製拘束材の許容曲げ耐力が芯材降伏時に作用する曲げモーメントよりも大きくなることも合せて照査するのがよい(数式は省略)。
<木製拘束材のめり込み破壊の検討>
次に、木製拘束材のめり込み破壊の検討方法について説明する。芯材が木製拘束材に対してめり込むことにより、木製拘束材が破壊することを防止するには、以下の式(4)を満足することを検証する。
Figure 0007109999000006
尚、上記する拘束板のめり込み耐力と作用する補剛力との関係を照査することの他にも、短期の拘束板の許容めり込み耐力が芯材降伏時に作用する補剛力よりも大きくなることも合せて照査するのがよい(数式は省略)。
<拘束板に側板を接続する固定金具のピッチの検討>
次に、拘束板に側板を接続する固定金具のピッチの設定方法について説明する。まず、拘束板と側板の接合部のせん断破壊を防止するには、以下の式(5)を満足することを検証する。
Figure 0007109999000007
上式(5)を満たすべく、固定金具のピッチを以下の式(6)により設定することができる。
Figure 0007109999000008
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:芯材、11:一般部(ウエブ)、12:端部(ウエブ)、13:第二ボルト孔(長孔)、14:フランジ、15:隙間、20:木製拘束材、21:拘束板、22:第一ボルト孔、23:側板、24:固定金具(ビス)、30:連結ボルト、31:ボルト、32:ナット、33:座金、50:座屈拘束ブレース、S:架構、C:柱、B:梁、G:ガセットプレート、P:添接版、F:ボルト

Claims (7)

  1. 鋼製でプレート状の芯材と、
    前記芯材の広幅の両面に配設されている木製で一対の拘束板と、前記芯材の狭幅の両面に配設され、前記一対の拘束板に接続されている木製で一対の側板と、により形成される木製拘束材と、を備え、
    前記一対の拘束板はそれぞれ、軸方向の両端部に第一ボルト孔を有し、前記芯材は該第一ボルト孔に対応する位置に第二ボルト孔を有しており、
    前記第一ボルト孔と前記第二ボルト孔を、前記拘束板の端部開き防止用の連結ボルトが貫通して、前記一対の拘束板を連結しており、
    前記第二ボルト孔は芯材の長手方向に延出する長孔であることを特徴とする、座屈拘束ブレース。
  2. 鋼製でプレート状の芯材と、
    前記芯材の広幅の両面に配設されている木製で一対の拘束板と、前記芯材の狭幅の両面に配設され、前記一対の拘束板に接続されている木製で一対の側板と、により形成される木製拘束材と、を備え、
    前記一対の拘束板はそれぞれ、軸方向の両端部に第一ボルト孔を有し、前記芯材は該第一ボルト孔に対応する位置に第二ボルト孔を有しており、
    前記第一ボルト孔と前記第二ボルト孔を、前記拘束板の端部開き防止用の連結ボルトが貫通して、前記一対の拘束板を連結しており、
    前記第一ボルト孔は前記連結ボルトのボルト径よりも大径であって、地震時に前記芯材から前記拘束板に外力が作用することを防止する、外力作用防止用のボルト孔であることを特徴とする、座屈拘束ブレース。
  3. 前記側板が、前記拘束板に対して固定金具にて固定されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の座屈拘束ブレース。
  4. 前記芯材はプレート状のウエブを有し、
    前記芯材の軸方向の両端部においてそれぞれ、該ウエブに直交する2つのフランジを有し、
    前記ウエブを挟む前記一対の拘束板を連結する前記連結ボルトが、前記2つのフランジの間に配設されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の座屈拘束ブレース。
  5. 前記フランジと前記一対の拘束板の間に隙間を有することを特徴とする、請求項に記載の座屈拘束ブレース。
  6. 以下の式(A)を満たすように、前記木製拘束材と前記芯材の仕様が設定されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の座屈拘束ブレース。
    Figure 0007109999000009
  7. 前記側板を前記拘束板に前記固定金具にて固定するピッチが以下の式(B)を満たすように設定されることを特徴とする、請求項3、請求項3に従属する請求項4乃至6のいずれか一項に記載の座屈拘束ブレース。
    Figure 0007109999000010
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