JP2023042166A - 座屈拘束ブレース - Google Patents

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智裕 薮田
Tomohiro Yabuta
文久 吉田
Fumihisa Yoshida
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Abstract

【課題】木造建築物等の架構内に組み込んで使用するのに好適であり、製作性に優れた座屈拘束ブレースを提供すること。【解決手段】座屈拘束ブレース100は、鋼製でプレート状の芯材10と、木製で一対の拘束板21により形成され、それぞれの拘束板21の対応位置には、芯材10が収容される第1凹部26が設けられている、木製拘束材20とを有し、一対の拘束板21の当接面25に対して直交方向に広がる二つの第1凹部26に芯材10が収容されている。【選択図】図3

Description

本発明は、座屈拘束ブレースに関する。
従来より、建物の架構(柱・梁架構、屋根架構等)を形成するブレースとして、座屈防止措置が講じられた座屈拘束ブレースが適用されている。座屈拘束ブレースとしては、鋼製の芯材の周囲を鋼板のみで補剛した形態、鋼製の芯材の周囲をRC(Reinforced Concrete:鉄筋コンクリート)で補剛した形態、鋼製の芯材の周囲を鋼材とモルタルで被覆した形態など、多様な補剛形態が存在する。
ところで、昨今、木造建築物(木造住宅、木造の倉庫、木造の競技場など)の耐火性能や耐震性能の向上が図られている。木造住宅は本来的に、間取りやデザインの自由度の高さ、自然物の木材による癒し効果、木材の有する調湿効果、住宅などの建物用途によっては鉄骨造やRC造に比べて建設費用が一般に安価であるといった利点を備えているが、上記する耐火性や耐震性の向上が木造住宅をはじめとする木造建築物の注目度を高めている一つの要因である。このような木造住宅の架構内に上記する従来の座屈拘束ブレースを組み込む場合、木製の柱や梁と、金属製もしくはコンクリート製の補剛材を有する座屈拘束ブレースとが混在することになり、不釣合いな外観となることが否めない。
そこで、座屈拘束ブレースの全体を木製もしくは紙製のパネル等で覆うことにより、金属製もしくはコンクリート製の補剛材を外部から視認できないようにする方策が考えられるが、この方策には多大な作業手間を要することから建設費の増加が懸念される。また、従来の座屈拘束ブレースは、金属やコンクリート、モルタル等が多用されていることから、重量が重くなる傾向にあり、木造住宅を構成する軽量な木製の梁や柱の中に重量のある座屈拘束ブレースを取り付けることは構造的にも不釣合いである。
ここで、特許文献1には、木造住宅をはじめとする木造建築物の架構内に組み込んで使用するのに適した座屈拘束ブレースが提案されている。具体的には、芯材と、芯材の両面に沿って配置した一対の拘束材とを有する座屈拘束ブレースであり、芯材を鋼材にて形成し、一対の拘束材を木材にて形成し、この拘束材に集成材を適用し、集成材は芯材と平行にラミナが積層されたものとした座屈拘束ブレースである。
特許第4901491号公報
特許文献1に記載の座屈拘束ブレースは、集成材を加工して断面L型の二つの木製拘束材を製作し、これらを相互に逆さまにして、芯材を挟んだ状態で接続する製作を要することから、座屈拘束ブレースの製作が容易でない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、木造建築物等の架構内に組み込んで使用するのに好適であり、製作性に優れた座屈拘束ブレースを提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による座屈拘束ブレースの一態様は、
鋼製でプレート状の芯材と、
木製で一対の拘束板により形成され、それぞれの該拘束板の対応位置には、前記芯材が収容される第1凹部が設けられている、木製拘束材と、を有し、
前記一対の拘束板の当接面に対して直交方向に広がる二つの前記第1凹部に前記芯材が収容されていることを特徴とする。
本態様によれば、一対の拘束板の当接面に対して直交方向に広がる二つの第1凹部に芯材が収容されていることにより、木製拘束材がシンプルな構成の構成部材によって製作され、かつ構成部材の部品点数が可及的に少ないことから製作性が良好になる。また、一対の拘束材同士が接続されて、四つの壁面による閉合構造を有する木製拘束材が形成され、鋼製の芯材が木製拘束材にて包囲されていることにより、本態様の座屈拘束ブレースを木造建築物の架構に適用した場合においても、架構構成部材と不釣合いな外観を与える恐れはない。ここで、拘束板は、無垢材により形成されてもよいし、ラミナが積層された集成材により形成されてもよい。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様において、
前記拘束板は、複数のラミナが前記当接面に直交する方向に積層され、相互に接着されることにより形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、拘束板が、複数のラミナが当接面に直交する方向に積層されて相互に接着されている集成材であることにより、例えば芯材の強軸方向とラミナの積層方向が直交する。従って、芯材の強軸方向に曲げが作用した際に、ラミナの接着面は中立軸に可及的に近い位置にあることから、強軸方向の曲げに対する木製拘束材の耐力が向上する。また、芯材の弱軸方向とラミナの積層方向が平行になることから、芯材の弱軸方向に曲げが作用した際に、各層のラミナは弱軸方向の曲げに対抗でき、特に最外縁のラミナは中立軸からの距離が最も長いことから、弱軸方向の曲げに対して最も強く対抗できる。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様は、
前記当接面において、接着剤を介して前記一対の拘束板が接続されていることを特徴とする。
本態様によれば、接着剤を介して一対の拘束板が接続されていることにより、木製拘束材の製作性がより一層向上する。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様は、
被打ち込み材もしくは被ねじ込み材からなり、前記木製拘束材の割裂を防止する割裂防止手段が一方の前記拘束板の側方から他方の前記拘束板にかけて埋設されていることを特徴とする。
本態様によれば、拘束板同士の接着剤による接続に加えて、被打ち込み材もしくは被ねじ込み材からなる割裂防止手段が一方の拘束板の側方から他方の拘束板にかけて埋設されていること(打ち込みやねじ込みによる埋設)により、拘束板の割裂を効果的に防止することができ、さらには、大地震等の際に拘束板が当接面(接着界面)において分離されることを抑制するフェールセーフとして機能する。例えば、木製拘束材の長手方向に亘って、割裂防止手段を千鳥状に埋設するのが好ましい。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様において、
前記第1凹部にはアンボンド材が収容されており、該第1凹部と、該第1凹部よりも断面寸法の小さな前記芯材との間の隙間が該アンボンド材にて閉塞されていることを特徴とする。
本態様によれば、第1凹部と、ここに収容されている芯材との間の隙間がアンボンド材にて閉塞されていることにより、芯材の高次の座屈変形によって芯材から拘束板の第1凹部の壁面に局所的に押圧力等が作用した際に、変形性能のあるアンボンド材にて押圧力等が吸収されることから、この局所的な押圧力等に起因して拘束板が破損することを抑制できる。
ここで、アンボンド材は、ブチルゴム等の変形性能を有する弾性材が適用されてもよいが、第1凹部と芯材の間の狭い隙間を十分に閉塞する観点から、潤滑剤と合成樹脂の混合材からなるアンボンド材が適用されるのが好ましい。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様において、
前記芯材は、二つの広幅面と二つの狭幅面を備えたプレート状を呈し、その長手方向の中央側において該広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有しており、
前記狭幅部には、前記芯材の中で最も塑性化し易い塑性化領域が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、芯材がその長手方向の中央側において広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有していることにより、中央側の狭幅部を塑性化し易い塑性化領域とすることができ、この塑性化領域を中央側の狭幅部に限定させることができる。
芯材における広幅部と狭幅部の境界領域は、芯材の平面積及び断面積が変化する変化領域であることから、この変化領域における狭幅部側の領域には、塑性化し易い塑性化領域が形成され、芯材に作用する付加曲げモーメントをこの変化領域にて吸収することができる。付加曲げモーメント(あるいは、単に、付加曲げ)とは、例えば大地震時に架構と座屈拘束ブレースが大きく変形した際に、この変形に起因して木製拘束材に作用し得る曲げモーメントのことである。このように、本態様においては、芯材に作用する付加曲げモーメントを、芯材の広幅部と狭幅部の境界領域における狭幅部側の領域にて効果的に吸収することができる。
尚、芯材が、端部に向かって多段状に幅が大きくなる2以上の広幅部を有していてもよい。例えば二段の広幅部を有している形態では、狭幅部側の広幅面(相対的に幅の狭い広幅部)と狭幅部との境界領域の狭幅部側の領域において、塑性化領域が形成される。
また、本発明による座屈拘束ブレースの他の態様において、
前記芯材の長手方向の端部の広幅面には、該広幅面に直交する補強リブが接合されて断面十字状を呈しており、
前記拘束板の端部のうち、前記補強リブに対応する位置には該補強リブに干渉しない第2凹部が設けられており、
前記当接面において、対応する二つの前記第2凹部の中に前記補強リブの一部が収容されていることを特徴とする。
本態様によれば、芯材の長手方向の端部において、芯材の広幅面に直交する補強リブが接合されることにより断面十字状を呈していることから、芯材の広幅面が建物の構面に平行に配設されるようにして座屈拘束ブレースがガセットプレートに取り付けられる場合、芯材が構面に平行な広幅面に直交する補強リブを有することにより、芯材の端部において構面外方向の剛性を高めることができる。このように断面十字状の芯材が取り付けられる構面のガセットプレートにおいては、ガセットプレートに対してフィンスチフナが取り付けられ、座屈拘束ブレースの芯材とガセットプレート、補強リブとフィンスチフナがそれぞれスプライスプレートを介してハイテンションボルト等により接合される。
さらに、拘束板の端部のうち、補強リブに対応する位置において補強リブに干渉しない第2凹部が設けられていることにより、補強リブから拘束板の端部が押圧されて破損することを防止できる。ここで、補強リブと第2凹部との間には隙間が設けられており、この隙間は、構面の変形に応じて芯材が伸縮した際に、この芯材の伸縮を隙間が吸収できる長さに設定されているのが望ましい。この隙間の設定は設計者の裁量に委ねられ、設定された層間変形角に基づいて芯材の伸縮量が算定され、例えば隙間が芯材の伸縮量以上に設定される。尚、ここでの「隙間」は、第2凹部の長手方向の端部と補強リブの間の隙間の他、第2凹部の側面と補強リブの間の隙間が含まれる。
以上の説明から理解できるように、本発明の座屈拘束ブレースによれば、木造建築物等の架構内に組み込んで使用するのに好適であり、製作性に優れた座屈拘束ブレースを提供できる。
実施形態に係る座屈拘束ブレースを形成する芯材の一例の斜視図である。 実施形態に係る座屈拘束ブレースを形成する木製拘束材の一例の分解斜視図である。 実施形態に係る座屈拘束ブレースの一例の斜視図である。 図3のIV-IV方向矢視図であって、座屈拘束ブレースの端部の一例の横断面図である。 図3のV-V方向矢視図であって、座屈拘束ブレースの中央部の一例の横断面図である。 図3のV-V方向矢視図であって、座屈拘束ブレースの中央部の他の例の横断面図である。 実施形態に係る座屈拘束ブレースの他の例の斜視図である。 実施形態に係る座屈拘束ブレースが木造建物等の架構に組み込まれた状態を示す図である。 大地震時における架構の変形態様と、架構の変形に起因する座屈拘束ブレース接合部における付加曲げモーメントを説明する図である。 座屈拘束ブレースの全体座屈曲線を示す図である。
以下、実施形態に係る座屈拘束ブレースについて添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係る座屈拘束ブレース]
はじめに、図1乃至図6を参照して、実施形態に係る座屈拘束ブレースの一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る座屈拘束ブレースを形成する芯材の一例の斜視図であり、図2は、実施形態に係る座屈拘束ブレースを形成する木製拘束材の一例の分解斜視図である。また、図3は、実施形態に係る座屈拘束ブレースの一例の斜視図であり、図4は、図3のIV-IV方向矢視図であって、座屈拘束ブレースの端部の一例の横断面図であり、図5A,5Bはいずれも、図3のV-V方向矢視図であって、座屈拘束ブレースの中央部の一例の横断面図である。
図1に示すように、芯材10は、細長でプレート状の平鋼により形成されており、その長手方向の中央側において広幅面11aの幅が相対的に狭い狭幅部13を有し、その長手方向の端部側において広幅面11aの幅が相対的に広い二段の広幅部12A,12B(広幅部12Aの幅よりも端部にある広幅部12Bの幅が広い)を有している。また、芯材10の長手方向の端部の広幅面11aには、広幅面11aに直交する補強リブ14が溶接にて接合されて断面十字状を呈している。
芯材10がその長手方向の中央側に狭幅部13を有し、長手方向の端部側に広幅部12を有することにより、中央側の狭幅部13を塑性化し易い領域(塑性化領域A)とすることができ、さらに、塑性化領域Aを中央側の狭幅部13に限定させることができる。
芯材10において、広幅部12Aと狭幅部13の境界領域のうち、狭幅部13側の領域では、芯材10の平面積及び断面積が変化してともに小さくなる変化領域であることから、塑性化し易い塑性化領域Aが形成される。また、図示例では、特に広幅部12に補強リブ14が取り付けられ、広幅部12の剛性がより一層高くなっていることによっても、この狭幅部13側の境界領域において塑性化領域Aが形成され易くなる。芯材10に作用する付加曲げモーメントは、この塑性化領域Aにおいて効果的に吸収される。
また、広幅部12と補強リブ14にはそれぞれ、以下で説明するように、構面に設けられているガセットプレートやガセットプレートに取り付けられているフィンスチフナ(図7参照)にスプライスプレートを介してボルト接合されるためのボルト孔12a、14aが開設されている。芯材10の広幅面11aが建物の構面に平行に配設されるようにして座屈拘束ブレース100がガセットプレートに取り付けられる場合、芯材10が構面に平行な広幅面11aに直交する補強リブ14を有することにより、芯材10の端部において構面外方向の剛性を高めることができる。
芯材10は、SN材(建築構造用圧延鋼材)や、LYP材(極低降伏点鋼材)等の降伏点の低い鋼材にて形成されているのが好ましく、芯材10の降伏による地震エネルギー吸収性が良好になる。
図2に示すように、木製拘束材20は、一対の拘束板21により形成され、それぞれの拘束板の当接面25における対応位置(高さ方向の中央位置)には、芯材10が収容される第1凹部26が設けられている。第1凹部26は、当接面25に対して直交方向に広がっている。そして、双方の第1凹部26に芯材10が収容され、双方の当接面25が当接されて相互に接続されることにより、芯材10を内部に挟持した状態で木製拘束材20が形成される。
また、拘束板21の両端部には、第1凹部26と直交する第2凹部27が設けられている。木製拘束材20の内部に芯材10が挟持された状態において、芯材10の端部にある補強リブ14の一部が第2凹部27に収容されることにより、補強リブ14と拘束板21の端部との干渉が防止されるようになっている。
拘束板21は、複数のラミナ22が当接面25に直交する方向に積層され、相互に接着されることにより形成されている集成材である。以下で詳説するように、座屈拘束ブレースの全体座屈を防止できるように、木製拘束材20の断面積や断面剛性、ヤング係数等が設定される。そして、このヤング係数は木材の材質により決定される。木材の材質としては、ヒノキやアカマツ、カラマツ、モミ、エゾマツ等が挙げられる。
図3に示すように、一対の拘束板21の当接面25を接着剤30にて接着することにより木製拘束材20が形成され、芯材10と木製拘束材20とを備えた座屈拘束ブレース100が形成される。ここで、接着剤30には、ウレタン系接着剤とエポキシ系接着剤等がある。
図4に示すように、木製拘束材20の端部においては、第1凹部26及び第2凹部27と、それらの内部に収容されている広幅部12及び補強リブ14との間には、所定の隙間Gが設けられている。
このように、第1凹部26及び第2凹部27と、広幅部12及び補強リブ14との間に隙間Gがあることにより、地震時に架構に組み込まれた座屈拘束ブレース100が変形した際に、広幅部12や補強リブ14が第1凹部26や第2凹部27に当接し、それらの壁面が押圧されることに起因して拘束板21が破損することを防止できる。
一方、木製拘束材20の中央部においては、図5Aと図5Bの二種の断面形態がある。図5Aに示す形態は、第1凹部26に対して、芯材10の狭幅部13の広幅面11aと狭幅面11bが隙間なく収容される形態である。
それに対して、図5Bに示す形態は、狭幅部13の広幅面11a及び狭幅面11bと第1凹部26との間に隙間があるものの、この隙間をアンボンド材40が閉塞している形態である。
ここで、アンボンド材40は、ブチルゴム等の変形性能を有する弾性材が適用されてもよいが、第1凹部26と芯材10の間の狭い隙間を十分に閉塞する観点から、潤滑剤と合成樹脂の混合材からなるアンボンド材が適用されるのが好ましい。
潤滑剤には、固体潤滑剤と液体潤滑剤があり、固体潤滑剤には、二硫化モリブデン(MoS2)やグラファイト(黒鉛)、フッ素樹脂(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)などが挙げられる。一方、液体潤滑剤には、潤滑油が挙げられる。また、合成樹脂(塗料)には、エポキシ樹脂やシリコン樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、塩化ゴム樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、フタル酸樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
このように、第1凹部26とここに収容されている芯材10との間の隙間がアンボンド材40にて閉塞されていることにより、芯材10の高次の座屈変形によって芯材10から拘束板21の第1凹部26の壁面に局所的に押圧力等が作用した際に、変形性能のあるアンボンド材40にて押圧力等が吸収されることから、この局所的な押圧力等に起因して拘束板21が破損することを抑制できる。
座屈拘束ブレース100によれば、一対の拘束板21の当接面25に対して直交方向に広がる二つの第1凹部26に芯材10が収容されていること、及び、当接面25同士が接着剤30にて接着されることにより製作されることから、シンプルな構成の構成部材とシンプルな接続方法により製作性が良好になる。
また、一対の拘束板21同士が接続されて閉合構造を有する木製拘束材20が形成され、鋼製の芯材10が木製拘束材20にて包囲されることから、座屈拘束ブレース100を木造建築物の架構に適用した場合でも、架構構成部材と不釣合いな外観を与える恐れはない。
また、拘束板21が、複数のラミナ22が当接面25に直交する方向に積層されて相互に接着されている集成材であることにより、芯材10の強軸方向とラミナ22の積層方向が直交する。従って、芯材10の強軸方向に曲げが作用した際に、ラミナ22の接着面は中立軸に可及的に近い位置にあることから、強軸方向の曲げに対する木製拘束材20の耐力が向上する。
また、芯材10の弱軸方向とラミナ22の積層方向が平行になることから、芯材10の弱軸方向に曲げが作用した際に、各層のラミナ22は弱軸方向の曲げに対抗でき、特に最外縁のラミナ22aは中立軸からの距離が最も長いことから、弱軸方向の曲げに対して最も強く対抗できる。
また、図6には、座屈拘束ブレースの変形例を示している。図示する座屈拘束ブレース100Aは、被打ち込み材や被ねじ込み材からなる割裂防止手段50が、一方の拘束板21の側方から他方の拘束板21にかけて埋設されている点において座屈拘束ブレース100と相違する。
被打ち込み材には釘や木ダボ等があり、被ねじ込み材には木ネジやビス等がある。
図示例では、双方の拘束板21の側方の上下において、割裂防止手段50が千鳥配置されるように設けられている。
このように、拘束板21同士の接着剤30による接続に加えて、割裂防止手段50が一方の拘束板21の側方から他方の拘束板21に亘って埋設されていることにより、拘束板21の割裂を効果的に防止することができ、さらには、大地震等の際に拘束板21が当接面25において分離されることを抑制するフェールセーフとして機能する。
[座屈拘束ブレースが組み込まれた架構]
次に、図7及び図8を参照して、実施形態の座屈拘束ブレースが組み込まれた建物の架構の一例について説明する。ここで、図7は、実施形態に係る座屈拘束ブレースが木造建物等の架構に組み込まれた状態を示す図である。また、図8は、大地震時における架構の変形態様と、架構の変形に起因する座屈拘束ブレース接合部における付加曲げモーメントを説明する図である。尚、図示例の座屈拘束ブレースは、木造建物の架構以外にも、S造(S:Steel)建物の架構、RC造建物の架構、SRC造(SRC : Steel Reinforced Concrete)建物の架構に組み込まれてもよい。
図7に示す架構Sは、木造建築物等を構成する木製の柱Cと梁Bにより形成されている。対角線位置にある二つの隅角部には、平鋼により形成されるガセットプレートGPが取付けられている。ガセットプレートGPの表面には、該表面に直交するようにフィンスチフナFSが溶接にて接合されている。柱Cの柱芯L1と梁Bの梁芯L2の交点Oに対して、フィンスチフナFSの芯L3が交差するようにしてフィンスチフナFSがガセットプレートGPに接合される。そして、座屈拘束ブレース100も、対角位置にある双方の交点Oを通る線状に配設される。
ガセットプレートGPと芯材10の広幅部12は、スプライスプレートSPを介してハイテンションボルトにより接合され、フィンスチフナFSと補強リブ14は、スプライスプレートSPを介してハイテンションボルトにより接合される。
図8に示すように、大地震時において構面が変形することにより、座屈拘束ブレース接合部においては、接合部を剛と見なした場合に、以下の式(1)に示す付加曲げモーメントが作用し得る。
Figure 2023042166000002
座屈拘束ブレース100によれば、芯材10の広幅部12の側面と木製拘束材20の第1凹部26の間に隙間Gが設けられていることにより、座屈拘束ブレース100が取り付けられている構面が大きく変形した場合に、この隙間Gにて芯材10の変形を吸収し、付加曲げモーメントが木製拘束材20に作用することを解消できる。また、補強リブ14と木製拘束材20の第2凹部27の間にも隙間Gが設けられていることにより、構面の変形に応じて芯材10が伸縮した際に、この芯材10の伸縮を隙間Gが吸収することができ、伸縮する芯材10が第2凹部27の壁面に接触し、さらに押圧して木製拘束材20を破損させることを解消できる。
[全体座屈の検討]
次に、座屈拘束ブレースの全体座屈を防止するための設計方法について説明する。
座屈拘束ブレースの設計においては、以下の式(2)を満足して座屈拘束ブレースの全体座屈が生じないように設計する。
Figure 2023042166000003
ここで、拘束板の中央に作用する曲げモーメントは、以下の式(3)で示すことができる。
Figure 2023042166000004
木製拘束材の全体座屈を防止する条件は、以下の式(4)を満足することとなる。
Figure 2023042166000005
式(4)を座屈拘束ブレースの全体座屈曲線として図9に示す。図9において、全体座屈曲線の上側は安全域であり、下側は危険域であり、安全域に入るように木製拘束材の設計用軸力、オイラー荷重、芯材の一般部の長さ、及び木製拘束材の降伏曲げ耐力が設定される。尚、図9に示す座屈拘束ブレースの全体座屈曲線は、芯材の弱軸方向の全体座屈、強軸方向の全体座屈の双方に妥当する。
上記する木製拘束材の降伏曲げ耐力と作用する曲げモーメントとの関係を照査することの他にも、短期の木製拘束材の許容曲げ耐力が芯材降伏時に作用する曲げモーメントよりも大きくなることも合せて照査するのがよい(数式は省略)。
<木製拘束材のめり込み破壊の検討>
次に、木製拘束材のめり込み破壊の検討方法について説明する。芯材が木製拘束材に対してめり込むことにより、木製拘束材が破壊することを防止するには、以下の式(5)を
満足することを検証する。
Figure 2023042166000006
ここで、上記する拘束板のめり込み耐力と作用する補剛力との関係を照査することの他にも、短期の拘束板の許容めり込み耐力が芯材降伏時に作用する補剛力よりも大きくなることも合せて照査するのがよい(数式は省略)。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:芯材
11a:広幅面
11b:狭幅面
12,12A,12B:広幅部
12a:ボルト孔
13:狭幅部
14:補強リブ
14a:ボルト孔
20:木製拘束材
21:拘束板(集成材)
22:ラミナ
22a:最外縁のラミナ
25:当接面
26:第1凹部
27:第2凹部
30:接着剤
40:アンボンド材
50:割裂防止手段
100,100A:座屈拘束ブレース
A:塑性化領域
S:架構(構面)
C:柱
B:梁
GP:ガセットプレート
FS:フィンスチフナ
SP:スプライスプレート

Claims (7)

  1. 鋼製でプレート状の芯材と、
    木製で一対の拘束板により形成され、それぞれの該拘束板の対応位置には、前記芯材が収容される第1凹部が設けられている、木製拘束材と、を有し、
    前記一対の拘束板の当接面に対して直交方向に広がる二つの前記第1凹部に前記芯材が収容されていることを特徴とする、座屈拘束ブレース。
  2. 前記拘束板は、複数のラミナが前記当接面に直交する方向に積層され、相互に接着されることにより形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
  3. 前記当接面において、接着剤を介して前記一対の拘束板が接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の座屈拘束ブレース。
  4. 被打ち込み材もしくは被ねじ込み材からなり、前記木製拘束材の割裂を防止する割裂防止手段が一方の前記拘束板の側方から他方の前記拘束板にかけて埋設されていることを特徴とする、請求項3に記載の座屈拘束ブレース。
  5. 前記第1凹部にはアンボンド材が収容されており、該第1凹部と、該第1凹部よりも断面寸法の小さな前記芯材との間の隙間が該アンボンド材にて閉塞されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の座屈拘束ブレース。
  6. 前記芯材は、二つの広幅面と二つの狭幅面を備えたプレート状を呈し、その長手方向の中央側において該広幅面の幅が相対的に狭い狭幅部を有し、その長手方向の端部側において前記広幅面の幅が相対的に広い広幅部を有しており、
    前記狭幅部には、前記芯材の中で最も塑性化し易い塑性化領域が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の座屈拘束ブレース。
  7. 前記芯材の長手方向の端部の広幅面には、該広幅面に直交する補強リブが接合されて断面十字状を呈しており、
    前記拘束板の端部のうち、前記補強リブに対応する位置には該補強リブに干渉しない第2凹部が設けられており、
    前記当接面において、対応する二つの前記第2凹部の中に前記補強リブの一部が収容されていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の座屈拘束ブレース。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7492625B1 (ja) 2023-03-31 2024-05-29 日鉄エンジニアリング株式会社 座屈拘束ブレース及び充填材の強度設計方法

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