JP7108430B2 - 拭き上げ用水性ワックス組成物 - Google Patents
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(1)下記(A)及び(B)を含有し、かつ(B)成分の含有量が固形分換算で、(A)成分の固形分に対して0.01~1.0質量%であり、かつ(C)を含まないことを特徴とする拭き上げ用水性ワックス組成物。
(A)乳化されたもしくは自己乳化型の水性ワックス
(B)カルボキシル基の量が0.5~3.0mmol/g、かつ平均繊維径が3~10nmである酸化セルロースナノファイバー
(C)樹脂エマルジョン
(2)(A)成分が、乳化されたもしくは自己乳化型の、シリコーンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、及びマイクロクリスタリンワックスからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、(1)に記載の拭き上げ用水性ワックス組成物。
(3)(A)成分の含有量が固形分換算で、水性ワックス組成物全体の0.5~20質量%であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の拭き上げ用水性ワックス組成物。
本発明に用いる水性ワックスは、水に不溶性のワックス成分を水中に均一に分散させたものであり、界面活性剤を用いてワックス成分を水中に乳化分散したものであっても良いし、界面活性剤を用いずに自己乳化型のワックス成分を水中に乳化分散したものであっても良い。
酸化セルロースナノファイバーは、セルロース原料を酸化して得られた酸化セルロースを解繊処理することにより得られる微細繊維であり、微細繊維の平均繊維長と平均繊維径は、酸化処理、解繊処理により調整することができる。
本発明に用いる酸化セルロースナノファイバーの平均繊維長は、特に限定されないが、好ましくは100nm~1μm、より好ましくは100nm~400nmである。また、本発明に用いる酸化セルロースナノファイバーの平均繊維径は3nm~10nm、好ましくは3nm~8nmである。
酸化セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、通常50以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
酸化セルロースナノファイバーの原料であるセルロース原料の由来は、特に限定されないが、例えば、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等が挙げられる。本発明で用いるセルロース原料は、これらのいずれかであってもよいし2種類以上の組み合わせであってもよいが、好ましくは植物又は微生物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)であり、より好ましくは植物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)である。
酸化によりセルロース原料を変性して得られる酸化セルロース又はセルロースナノファイバーの絶乾質量に対するカルボキシル基の量は、0.5mmol/g以上、好ましくは0.8mmol/g以上、より好ましくは1.0mmol/g以上である。上限は、3.0mmol/g以下、好ましくは2.5mmol/g以下、より好ましくは2.0mmol/g以下である。すなわち、本発明に用いる酸化セルロースナノファイバーは、カルボキシル基の量が0.5mmol/g~3.0mmol/gであり、0.8mmol/g~2.5mmol/gが好ましく、1.0mmol/g~2.0mmol/gがより好ましい。
N-オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01mmol以上が好ましく、0.02mmol以上がより好ましい。上限は、10mmol以下が好ましく、1mmol以下がより好ましく、0.5mmol以下が更に好ましい。従って、N-オキシル化合物の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.01~10mmolが好ましく、0.01~1mmolがより好ましく、0.02~0.5mmolがさらに好ましい。
カルボキシル基量の測定方法の一例を以下に説明する。酸化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定する。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出することができる:
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース又は酸化セルロースナノファイバー〕=a〔mL〕×0.05/酸化セルロース又は酸化セルロースナノファイバーの質量〔g〕
酸化セルロース原料の解繊は、セルロース原料に変性処理を施す前に行ってもよいし、後に行ってもよい。また、解繊は、一度に行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊の時期はいつでもよい。
解繊に用いる装置は特に限定されないが、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に強力なせん断力を印加できることが好ましい。装置が印加できる圧力は、50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。これらの圧力を印加することができる湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーを用いることにより、解繊を効率的に行うことができる
解繊(好ましくは高圧ホモジナイザーでの解繊)、又は必要に応じて解繊前に行う分散処理に先立ち、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて行えばよい。
本発明の拭き上げ用水性ワックス組成物は、(C)成分を含まない。ここで、(C)成分は、天然樹脂や合成樹脂の水性エマルジョンおよび水性ラテックスである。
本発明の拭き上げ用水性ワックス組成物の製造方法は、特に限定されず、水性ワックスおよび酸化セルロースナノファイバーを水中に分散させることができれば、どのような方法であってもよい。例えば、水性ワックスを水と混合し、そこへ酸化セルロースナノファイバーの水分散液を混合する方法が挙げられる。
カルボキシル化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/カルボキシル化セルロース質量〔g〕。
(酸化セルロースナノファイバーの製造)
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水で洗浄することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。これを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回処理して、酸化セルロースナノファイバー水分散液を得た。平均繊維径は3nm、アスペクト比は250であった。
ビーカーに水を100g計量し、マイクロクリスタリンワックスのエマルジョン(濃度40%、製品名:EMUSTAR-0001、日本精蝋株式会社製)を1g、アミノ変性シリコーンオイルエマルジョン(濃度23%、製品名:KP 2601、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を1g、ジメチルシリコーンオイルエマルジョン(濃度33%、製品名:KM-9736、信越化学工業株式会社製)を1g、撹拌しながらそれぞれ投入した。その後、シリコーンレジンオイルエマルジョン(濃度40%、製品名:R 2701、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を5g投入した。最後に、上記で得られた酸化セルロースナノファイバー1%水分散液を2.96g(固形分換算で、0.0296g)投入し撹拌して、水性ワックス組成物(合計110.96g)を得た。なお、この水性ワックス組成物において、ワックス成分の合計含有量は、固形分換算で2.96gであった。
酸化セルロースナノファイバー1%水分散液の量を1g(固形分換算で、0.01g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水性ワックス組成物(合計109g)を得た。
酸化セルロースナノファイバー1%水分散液の量を0.1g(固形分換算で、0.001g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水性ワックス組成物(合計108.1g)を得た。
酸化セルロースナノファイバー1%水分散液の量を0.01g(固形分換算で、0.0001g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水性ワックス組成物(合計108.01g)を得た。
酸化セルロースナノファイバー1%水分散液の量を20g(固形分換算で、0.2g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水性ワックス組成物(合計128g)を得た。
トヨタマークXのロイヤルブラック車のボンネットパーツに対して、各実施例および比較例の水性ワックス組成物を5g/m2で塗装面にスプレーして、直後にマイクロファイバークロスで拭き取りを行い、拭き上げ作業時の抵抗及び拭き上げ作業後の仕上がりを感覚と目視にて下記基準で評価を行った。
◎:拭き上げ作業時に抵抗がほとんど感じられず、仕上がりが非常に綺麗なものであった。
○:拭き上げ作業時の抵抗は小さく、仕上がりが綺麗なものであった。
△:拭き上げ作業時にやや抵抗を感じた。また、仕上がりは、若干ムラがあった。
×:拭き上げ作業時に抵抗が大きく感じられた。また、仕上がりは、ムラが多く見られた。
上記の拭き上げ性を評価した後のボンネットパーツに対して、仕上がり面の光沢を目視にて下記基準で評価を行った。
◎:仕上がり面には、非常に高い光沢があった。
○:仕上がり面には、高い光沢があった。
△:仕上がり面には、やや光沢があった。
×:仕上がり面には、光沢が見られなかった。
上記の拭き上げ性を評価した後のボンネットパーツに対して、拭き取り斑発生の有無を目視にて観察し、下記基準で評価を行った。
◎:拭き取り斑の発生は、確認されなかった。
○:注意してみると、一部に拭き取り斑の発生が確認された。
△:拭き取り斑が、全体に若干確認された。
×:拭き取り斑が、全体に多く発生した。
トヨタマークXのロイヤルブラック車のボンネットパーツに対して、各実施例および比較例の水性ワックス組成物を5g/m2で塗装面にスプレーして、直後にマイクロファイバークロスで拭き取りを行い、拭き取り後24時間室内養生を行い、その後、屋外暴露し、3カ月後に水洗を行った。ボンネットパーツ表面の光沢について、拭き取り直後と屋外暴露後を目視にて比較し、光沢持続性を下記基準で評価を行った。
◎:3カ月暴露前後で、光沢はほとんど変化がなかった。撥水性の低下も見られなかった。
○:3カ月暴露前後で、光沢は若干変化があったが、よく見ないとわからないレベルであった。撥水性の低下は若干みられた。
△:3カ月暴露前後で、光沢は変化があり、一見してわかるレベルであった。撥水性の低下がみられた。
×:3カ月暴露前後で、光沢の変化が大きいものであった。撥水性は大きく低下していた。
Claims (3)
- 下記(A)及び(B)を含有し、かつ(B)成分の含有量が固形分換算で、(A)成分の固形分に対して0.01~1.0質量%であり、かつ(C)を含まないことを特徴とする拭き上げ用水性ワックス組成物。
(A)水に不溶性のワックス成分を、界面活性剤を用いて水中に均一に乳化分散したもの、または、水に不溶性であって自己乳化型のワックス成分を、界面活性剤を用いずに水中に均一に乳化分散したもの、である水性ワックス
(B)カルボキシル基の量が0.5~3.0mmol/g、かつ平均繊維径が3~10nmである酸化セルロースナノファイバー
(C)酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、ポリエステル系樹脂エマルジョン、エポキシ系樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール系樹脂エマルジョン、ブタジエンラテックス、クロロプレンラテックス、イソプレンラテックス、及び共重合樹脂ラテックスからなる群から選択される少なくとも1種以上である樹脂エマルジョン - (A)成分のワックス成分が、シリコーンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、及びマイクロクリスタリンワックスからなる群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の拭き上げ用水性ワックス組成物。
- (A)成分の含有量が固形分換算で、水性ワックス組成物全体の0.5~20質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の拭き上げ用水性ワックス組成物。
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