まず、本実施例に係る遊技システムの概念について説明する。図1は、本実施例に係る遊技システムの概念の説明図である。図1に示す遊技システムは、遊技店Aと遊技店Bとを含む複数の遊技店を有する。それぞれの遊技店には、少なくとも1つ遊技店員用端末装置40と、複数の遊技機20が設置されており、遊技機20の上方には呼出表示装置30が設けられている。また、遊技機20及び呼出表示装置30は、遊技機20に併設された遠隔操作実行装置10に接続されている。
遊技店員用端末装置40は、遊技店において遊技店員が所在する事務所に設置される。遊技店員は、遊技店員用端末装置40を適宜確認することで、遊技店の状況の把握を行うことができる。また、遊技店員は、遊技店員用端末装置40を使用し、後述する管理装置60にアクセスすることもできる。
遊技機20は、装置内部に封入された遊技玉を遊技盤面に発射して遊技を行う装置である。遊技盤面には、構成物として多数の障害釘、演出用の液晶パネル、流下してくる遊技玉の転動方向を振り分ける振分け部材等が配置されている。遊技盤面に発射された遊技玉は、障害釘の間を流下し、入賞口や始動口に入賞するか、入賞せずに遊技盤面のアウト口から遊技盤面外に排出される。そして、遊技盤面から排出された遊技玉は、遊技機20の内部で搬送され、再び発射に用いられる。
また、入賞口に入賞した場合には、所定個数の遊技玉を賞出玉として付与し、始動口に入賞した場合には入賞に応じて乱数を取得することにより所定の抽選を行う。当該抽選が大当りとなれば、所定の可動部材等の作動により、入賞口や始動口への遊技玉の通過確率を向上する等、遊技上有利となる作動が行われる。この抽選の結果は、図示しない図柄表示装置及び液晶パネルにおける表示(例えば、大当りの場合は7、7、7の3つの揃い数字を表示するなど)により報知される。なお、始動口と入賞口を兼ねた領域を設けることもできる。
また、遊技機20は、遠隔操作実行装置10から所定の信号を入力されることで、遊技玉の発射の開始/停止や、発射強度の調整を行うことができるようになっている。
さらに、遊技機20は、遊技機20の遊技制御を行う主制御基板の制御素子の識別ID(あるいは基盤の識別ID)を、遠隔操作実行装置10を通して外部に出力可能になっている。この出力は、一定時間間隔ごとあるいは電源ON時等に行われる。そして、遠隔操作実行装置10を通して出力された識別IDは、第三者が管理する外部の遊技台流通管理センタ(図示せず)に通知されて収集され、当該識別IDにより遊技機の流通(所在)が管理されるようになっている。このような処理により、遊技店から取引行為によって譲渡された遊技機が不法な目的(例えば、法令に違反するような目的の営業に利用する等)に利用されることを防止している。また、遊技台流通管理センタでは、所定の信号を遠隔操作実行装置10に送信することで、特定の遊技機が稼働状態(電源がON状態にあるか、遊技がされているか等)に関する情報送信を要求することができるようになっている。このような処理により、第三者として遊技機の稼働状態を監視することができる。
なお、遊技玉を遊技媒体として用い、遊技玉を遊技盤面に打ち込んで遊技を行うパチンコ遊技機に限らず、遊技媒体としてメダルを用いる回胴式遊技機、いわゆるスロットマシンも設置することができる。
スロットマシンによる遊技では、遊技媒体であるメダルのベット操作により有効ラインを設定し、スタート操作により3個のリール(回胴)を回転させるとともに、乱数を取得して抽選を行い、各リールに対応するストップボタンが順次操作された場合に抽選に応じたリール制御を行ってリールを停止させ、停止したリールの図柄が有効ライン上で所定の組み合わせである役を構成した場合に賞メダルを付与するゲームを繰り返す。
なお、役には賞メダルを付与する小役の他、メダルの消費を行うことなく次のゲームを開始可能とする再遊技役や、次回以降のゲームで小役の成立確率を上昇させるボーナスなどがある。さらに、リールの停止順序に応じて役の成立可否を制御するとともに、停止順序の報知により遊技客に有利な状態を提供するアシストタイムを設けるスロットマシンであってもよい。
なお、スロットマシンの場合には、遠隔操作実行装置10から所定の信号を入力されることで、スタート操作、各リールに対応するストップボタンの操作が行われたことを認識できるようになっている。
呼出表示装置30は、ランプの点灯などによって、遊技店員の呼出を行う装置である。遠隔操作実行装置10は、呼出表示装置30及び遊技機20の制御を行う装置である。
各遊技店の遊技店員用端末装置40及び遠隔操作実行装置10は、所定のネットワークを介して管理装置60に接続されている。また、遊技客が使用する遊技客端末装置50も所定のネットワークを介して管理装置60に接続されている。
遊技客は、遊技客端末装置50を用いて管理装置60にアクセスし、任意の遊技店の遊技機20を選択して遠隔で遊技を行うことができる。ここで、管理装置60は、遊技の終了条件を設定可能である。終了条件としては、「持玉」、「時間」、「大当り回数」等を用いることができる。
持玉を終了条件とする場合には、遊技客は遊技の開始時に所定数の遊技媒体数を持玉として購入する。持玉は、遊技玉を発射する度に減算され、賞出玉により加算される。そして、「持玉ゼロ」となったときに遊技が終了する。また、遊技客は自身の操作により遊技を終了することもでき、終了時の持玉を遊技の結果の評価値、すなわちスコアとすることができる。かかる終了条件を用いれば、従来の遊技店と同様の遊技を提供することになる。なお、遊技の途中で持玉の追加購入も可能である。
時間を終了条件とする場合には、遊技客は遊技の開始時に遊技時間を購入し、購入した遊技時間の間、持玉等の制限を受けずに遊技玉を発射可能となる。そして、遊技開始からの経過時間が購入した遊技時間に達したときに遊技が終了する。この場合には、例えば時間内に獲得した持玉、賞出玉、抽選の回数、大当りの回数等をスコアとすることができる。なお、遊技の途中で時間の追加購入も可能である。同様に、大当り回数を終了条件とする場合には、遊技客は所定の大当り回数を達成するまで遊技を行うことができる。この場合には、例えば所定の大当り回数を達成するまでに要した時間などをスコアとすることができる。
図1では、遊技客が遊技客端末装置50を用いて管理装置60にアクセスし、遊技店Aの遊技機20を選択し、遊技時間を購入することで遊技時間を設定して(S1)、遊技を開始している(S2)。
その後、遊技客は遊技客端末装置50に対して操作を行い、操作内容を示す操作データが管理装置60を介して遠隔操作実行装置10に送信される。遠隔操作実行装置10は、受信した操作データに基づいて遊技機20の動作を制御し、例えば、遊技客端末装置50にて発射強度の変更操作が行われた操作データがあった場合には、遊技機20に信号入力を行うことにより発射強度の変更処理を行う。また、遊技結果を示す結果データを管理装置60経由で遊技客端末装置50に送信する。
管理装置60は、遊技時間を遊技客ごとに管理している(S3)。そして、遊技制御を行いながら遊技の終了条件が成立したか否かを判定し、終了条件が成立した場合に遊技制御を終了する。
遊技制御の終了前に遠隔操作実行装置10が遊技機20による遊技の異常を検知し(S4)、遊技客が店員の呼出操作を行うと(S5)、遊技店員用端末装置40により遊技店員の呼出が行われる(S6)。遊技店員は、呼出に示された遊技機20の設置場所に赴き、遊技機20の状態を確認し、異常の解除や復旧操作を行う(S7)。
そして、遠隔操作実行装置10が異常の解消を検知すると(S8)、管理装置60は、異常が発生していた時間に対応する遊技時間の補償を行う(S9)。この遊技時間の補償は、例えば、遊技店員の呼出操作を受け付けてから異常が解消するまでの時間を遊技時間に加算することで行うことができる。
このように、遊技機20を遠隔操作する場合に、遊技客に遊技を提供する遊技時間を遊技客ごとに管理し、遊技における異常の発生を検知したならば異常に対応する遊技時間の補償を行うことで、遊技の管理を効率化し、遊技店の負担を軽減しつつ遊技客の不利益となる事態に対応することができる。
次に、遊技機20の遠隔操作の詳細について説明する。図2は、遊技機20の遠隔操作の詳細についての説明図である。既に説明したように、遊技機20の上方には呼出表示装置30が設けられ、遊技機20及び呼出表示装置30は、遊技機20に併設された遠隔操作実行装置10に接続されている。さらに、遊技機20の近傍には、遊技盤面を撮像するカメラ70が設けられており、カメラ70は撮像した盤面データを管理装置60に送信可能である。
ここで、遠隔操作実行装置10と管理装置60とを接続するネットワークは、カメラ70と管理装置60とを接続するネットワークと異なる。カメラ70から管理装置60に送信される盤面データは動画データであり、通信負荷が大きいため、遠隔操作実行装置10が使用するネットワークと分けることで、遠隔操作実行装置10による遊技機20の操作に遅延が生じることを回避しているのである。
同様に、遊技店員用端末装置40が管理装置60との通信に用いるネットワークも、遠隔操作実行装置10やカメラ70が用いるネットワークとは異ならせている。
遊技機20の遠隔操作を行う場合には、遠隔操作実行装置10は、管理装置60経由で遊技客端末装置50から操作データを受信し、受信した操作データに応じた遊技制御を行う。具体的には、操作データには、遊技機20のハンドル操作や、その他のボタン等の操作内容が示される。また、遠隔操作実行装置10は、遊技機20による遊技結果を取得して結果データを生成し、管理装置60経由で遊技客端末装置50に送信する。結果データには、遊技盤面に打ち込んだ遊技玉の数を示す打込玉数、入賞により得られた賞出玉数、抽選の開始を示すスタート、抽選結果、確変などの遊技機20の状態などが含まれる。さらに、カメラ70からは、遊技機20の盤面を撮像した盤面データがリアルタイムで送信される。
なお、遊技機20がスロットマシンであれば、操作データにはベット操作、スタート操作、ストップボタン操作が含まれ、結果データにはベットに用いたメダル数、賞メダルにより得られた賞メダル数、役の成立結果、ボーナスやアシストタイムの発生状況などが含まれる。そして、カメラ70からは少なくとも3つのリールを含んで撮像したデータがリアルタイムで送信されることになる。
また、管理装置60は遊技店員用端末装置40と、遠隔操作実行装置10に呼出通知を行うことができる。遊技店員用端末装置40は、管理装置60からの呼出通知を受けたならば、呼出通知に示された内容を表示制御することで、遊技店員に対する報知を実行する。遠隔操作実行装置10は、管理装置60からの呼出通知を受けたならば、自装置に接続された呼出表示装置30を点灯制御する。
次に、遠隔操作実行装置10の構成について説明する。図3は、遠隔操作実行装置10の構成を示す構成図である。図3に示すように、遠隔操作実行装置10は、通信部11、呼出表示装置接続部12、遊技機接続部13、記憶部14及び制御部15を有する。
通信部11は、所定のネットワークを介して管理装置60とデータ通信を行うためのインタフェースである。呼出表示装置接続部12は、自装置に接続された呼出表示装置30とデータ通信を行うためのインタフェースである。遊技機接続部13は、自装置に接続された遊技機20とデータ通信を行うためのインタフェースである。
記憶部14は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部14は、自装置データ14a及び遊技状態データ14bを記憶する。
制御部15は、遠隔操作実行装置10の全体を制御する制御部であり、開始処理部15a、遊技処理部15b、異常検知部15c、終了処理部15d及び呼出処理部15eを有する。
開始処理部15aは、管理装置60からの遊技開始指示に基づいて、遊技機20による遊技を開始する処理部である。開始処理部15aは、遊技開始時に遊技を終了する条件を設定し、遊技開始時刻とともに遊技状態データ14bに登録する。例えば、遊技客が2時間の遊技時間を購入して遊技を開始した場合には、遊技開始時刻から2時間経過が遊技終了条件となる。
遊技処理部15bは、開始処理部15aにより遊技が開始されてから終了処理部15dにより遊技終了を指示されるまで、遊技機20による遊技を制御する処理部である。具体的には、管理装置60経由で受信した操作データに応じて遊技機20の遊技制御を行う。例えば、操作データにハンドル操作が示されていたならば、遊技処理部15bは、ハンドル操作の内容を示す信号を遊技機20に出力する。同様に、操作データにボタン操作が示されていたならば、遊技機20のボタンの操作内容を示す信号を出力する。
遊技機20は、遊技処理部15bからハンドル操作の内容を示す信号を受信し、ハンドル操作が実際に行われた場合に対応するよう遊技玉に付勢をおこなって遊技盤面に投出する機能を有している。同様に、遊技機20は、ボタン操作の内容を受けて、ボタン操作が実際に行われた場合に対応する動作を実行する機能を有している。
なお、遊技客が遊技時間を購入して遊技を開始した場合には、遊技終了まで遊技玉やメダルを無制限に使用することができる。
また、遊技処理部15bは、遊技機20による遊技結果を取得して遊技状態データ14bに登録するとともに、結果データを生成して管理装置60経由で遊技客端末装置50に送信する。
さらに、遊技処理部15bは、操作データによらず自動で遊技を行うことが可能である。例えば、終了条件が成立する前に遊技客端末装置50との通信が途絶した場合には、終了条件の成立まで自動で遊技を行う。この自動遊技中の遊技の履歴は、動画などによって保存しておき、遊技客が後から視聴可能とすることが望ましい。
異常検知部15cは、自装置や遊技機20に発生した異常を検知し、管理装置60に対して異常の内容を通知する処理部である。管理装置60は、遠隔操作実行装置10から異常の通知を受けた場合に、遊技店員用端末装置40及び遊技客端末装置50を報知先として呼出通知を行うことができる。
具体的には、異常検知部15cは、遊技盤面における遊技玉の詰まりや、遊技玉の投出方向の異常などを検知することができる。これらの異常の検知については後述する。
また、異常検知部15cは、異常が解消したと判定した場合には、管理装置60に対して異常の解消を通知する。具体的には、異常検知部15cは、遊技店員から復旧が完了した旨を示す操作を受け付けた場合に、異常の解消を管理装置60に通知する。また、遊技機20から取得したデータや盤面を撮像した画像などから異常が解消したか否かを判定し、解消したと判定した場合に管理装置60に通知することも可能である。
終了処理部15dは、遊技状態データ14bに示された遊技の終了条件が成立した場合に、遊技処理部15bに遊技終了を通知する処理を行う。なお、遊技の終了条件は、遊技開始後に変更可能である。例えば、遊技客が開始時に遊技時間を2時間分購入し、遊技を開始してから1時間分を追加購入したならば、遊技終了条件は1時間分延長して更新されることになる。また、後述するように、異常に基づく補償により遊技時間が加算されることもある。
呼出処理部15eは、管理装置60から呼出通知を受信した場合に、呼出表示装置30の点灯制御を行う処理部である。また、異常検知部15cにより異常が検知された場合にも呼出表示装置30の点灯制御を行うこととしてもよい。
次に、遠隔操作実行装置10の記憶部14に記憶されるデータの一例について説明する。図4は、遠隔操作実行装置10の記憶部14に記憶されるデータの一例を説明するための説明図である。
図4(a)に示す自装置データ14aは、遠隔操作実行装置10が遊技店ID「P0001」の遊技店に設置されており、自装置のIDが「002」(すなわち2番台)であり、自装置に接続された遊技機20の機種が「EV07」であり、遊技店内における設置場所が「島1-2」である状態を示している。
図4(b)に示す遊技状態データ14bは、遊技開始時刻が「10:55」であり、終了条件が「2時間経過」であり、遊技機20の状態が「確変中」であり、持玉が「1000」であり、打込玉数が「2000」であり、賞出玉数が「3000」であり、抽選のスタート回数が「63」であり、抽選の結果が大当りとなった大当り回数が「2」であり、確変となった回数が「5」回である状態を示している。
なお、遠隔操作実行装置10に接続された遊技機20がパチンコ遊技機である場合を示したが、遊技機20がメダルを用いる回胴式遊技機(スロットマシン)である場合には、持玉、打込玉数、賞出玉数、スタート回数、大当り回数、確変回数に替えて、持メダル、消費メダル数、賞出メダル数、ボーナス回数、アシストタイム回数などを記憶することになる。
次に、管理装置60の構成について説明する。図5は、管理装置60の構成を示す構成図である。図5に示すように、管理装置60は、通信部61、記憶部62及び制御部63を有する。
通信部61は、それぞれ所定のネットワークを介して遊技客端末装置50、遊技店員用端末装置40、遠隔操作実行装置10及びカメラ70とデータ通信を行うためのインタフェースである。
記憶部62は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部62は、遊技店管理データ62a及び遊技客管理データ62bを記憶する。
制御部63は、管理装置60の全体を制御する制御部であり、遊技管理部63a、遊技時間補償部63b及び報知制御部63cを有する。
遊技管理部63aは、遊技客による遊技を管理する処理を行う。具体的には、遊技客端末装置50からのアクセスを受けた場合に、遊技客ID及びパスワードにより遊技客の認証を行い、認証に成功した場合に遊技店管理データ62aを参照して選択可能な遊技店の一覧を遊技客端末装置50に送信する。
その後、遊技店の選択を受け付けたならば、遊技管理部63aは、選択された遊技店において空き状態となっている遊技機20を機種などの情報とともに遊技客端末装置50に送信する。
空き状態となっている遊技機20から遊技機20の選択を受け付けたならば、遊技管理部63aは、対応するカメラ70が撮像した盤面データを遊技客端末装置50に送信する。
その後、終了条件の設定が行われると、遊技管理部63aは、対応する遠隔操作実行装置10に遊技開始指示と終了条件を送信し、遊技処理を開始する。
遊技処理中には、遊技管理部63aは、遊技客端末装置50から操作データを受信して遠隔操作実行装置10に送信し、遠隔操作実行装置10から結果データを受信して遊技客端末装置50に送信する。また、対応するカメラ70が撮像した盤面データをリアルタイムで遊技客端末装置50に送信し、結果データに基づいて遊技客管理データ62bを適宜更新する。
遊技が終了したならば、遊技管理部63aは、予め定められた設定に従ってスコアを算定し、遊技客管理データ62bに遊技の実績として登録する。スコアは、遊技の結果に対応する値であれば任意に設定可能である。一例として、大当り回数を「大当りポイント」として累積加算し、スコアとして用いればよい。このスコアは、他の遊技客との比較や順位付けなどに用いることができる。また、スコアを用いて景品の抽選に応募することができるようにしてもよい。
遊技時間補償部63bは、遊技における異常が発生した場合に異常に対応する遊技時間の補償を行う処理部である。遊技時間の補償は、例えば、呼出操作を受け付けてから異常が解消するまでの時間を遊技時間に加算することで行うことができる。この他、異常を検知してから解消するまでの時間を遊技時間に加算してもよい。さらに、遊技時間への加算に限らず、他の方法で遊技時間の補償を行うことも可能である。遊技時間の補償に係るバリエーションについては後述する。
報知制御部63cは、遊技客や遊技店員に対する報知を制御する処理部である。具体的には、遠隔操作実行装置10から異常の通知を受けたならば、通知された異常を遊技客端末装置50や遊技店員用端末装置40に報知する。また、遊技客端末装置50から呼出操作を受け付けたならば、遊技店員用端末装置40を報知先として呼出通知を行う。そして、遠隔操作実行装置10から異常の解消を通知されたならば、異常の解消を遊技客端末装置50に報知する。さらに、遊技時間補償部63bにより遊技時間の補償が行われたならば、遊技客端末装置50に報知する。
次に、管理装置60の記憶部62に記憶されるデータの一例について説明する。図6は、管理装置60の記憶部62に記憶されるデータの一例を説明するための説明図である。
図6(a)に示す遊技店管理データ62aは、遊技店ID「P0001」の遊技店に設置された各遊技機20の状態を示している。具体的には、装置ID「001」の遠隔操作実行装置10に遊技機種「EV07」の遊技機20が接続され、設置場所は「島1-1」、使用状況は「空き」となっている。また、装置ID「002」の遠隔操作実行装置10に遊技機種「EV07」の遊技機20が接続され、設置場所は「島1-2」、使用状況は「遊技中」となっている。なお、遊技店管理データ62aは、複数の遊技店についてそれぞれ同様のデータを有する。
図6(b)に示す遊技客管理データ62bは、遊技客について基本データと遊技データを関連付けて保持している。基本データには、遊技客ID、パスワード、氏名、持玉、スコアとして使用される大当りポイントなどが含まれる。なお、他のスコアを用いる場合には、使用するスコアを適宜基本データに追加すればよい。これらの基本データは、遊技が終了した後も持ち越される。遊技データは、使用中遊技機、開始時刻、終了条件、遊技機20の状態、持玉、打込み回数、賞出玉数、スタート回数、大当り回数、確変回数などが含まれる。この遊技データは、1回の遊技に対応し、遊技終了時にクリアされる。
具体的には、遊技客管理データ62bは、遊技客ID「U0055」の遊技客について、パスワード「xxxx」、氏名「D E」、持玉「1000」、大当りポイント「98」、使用中遊技機「P0001-002」、遊技開始時刻「10:55」、終了条件「2時間経過」、遊技機20の状態「確変中」、持玉が「1000」、打込玉数「2000」、賞出玉数「3000」、スタート回数「63」、大当り回数「2」、確変回数「5」回を対応付けている。
なお、図6では図示を省略したが、スロットマシンによる遊技について、持メダル数、消費メダル数、賞出メダル数、ボーナス回数、アシストタイム回数などを基本データや遊技データに含めることも可能である。
次に、遊技システムによる遊技に係る処理手順について説明する。図7は、遊技システムによる遊技に係る処理手順を示すフローチャートである。まず、管理装置60の遊技管理部63aは、遊技客端末装置50からのアクセスを受け、遊技客ID及びパスワードによる遊技客の認証、すなわちログイン処理を行う(ステップS101)。この認証に成功したならば、遊技管理部63aは、遊技店管理データ62aを参照して選択可能な遊技店の一覧を遊技客端末装置50に送信し、遊技店の選択を受け付ける(ステップS102)。
遊技店の選択を受け付けたならば、遊技管理部63aは、選択された遊技店において空き状態となっている遊技機20を機種などの情報とともに遊技客端末装置50に送信して表示させる空き遊技機出力処理を行う(ステップS103)。
その後、遊技管理部63aは、空き状態となっている遊技機20から遊技機20の選択を受け付け(ステップS104)、対応するカメラ70が撮像した盤面データを遊技客端末装置50に送信して遊技機画像の表示を行わせる(ステップS105)。
そして、遊技客端末装置50から遊技時間の購入などの開始操作を受付けたならば(ステップS106)、遊技管理部63aは、対応する遠隔操作実行装置10に遊技開始指示と終了条件を送信し、遊技処理を開始する(ステップS107)。
遊技処理中には、遊技管理部63aは、遊技客端末装置50から操作データを受信して遠隔操作実行装置10に送信し、遠隔操作実行装置10から結果データを受信して遊技客端末装置50に送信する。また、対応するカメラ70が撮像した盤面データをリアルタイムで遊技客端末装置50に送信し、結果データに基づいて遊技客管理データ62bを適宜更新する。
その後、遠隔操作実行装置10において遊技の終了条件が成立したか否かの判定が行われ(ステップS108)、終了条件が成立していなければ(ステップS108;No)、ステップS107に移行して遊技処理を継続する。
終了条件が成立したならば(ステップS108;Yes)、遊技管理部63aは、スコアを算出し、遊技客管理データ62bに遊技の実績として登録する(ステップS109)。その後、遊技客端末装置50が応募操作を受付けたならば、蓄積されたスコアを用いて景品の抽選に応募する応募処理を行い(ステップS110)、処理を終了する。
次に、遊技客端末装置50における操作画面について説明する。図8は、遊技客端末装置50における操作画面の説明図である。図8に示すように、遊技客端末装置50が管理装置60にログインすると、遊技客端末装置50は、選択可能な遊技店の一覧を示す遊技店選択画面を表示する。
図8に示した遊技店選択画面では、遊技店A、遊技店B及び遊技店Cについての説明用のメッセージを表示している。具体的には、遊技店Aについては「豊富なラインアップ!実ホールでは打てない機種も多数ご用意しています!」が表示され、遊技店Bについては「萌え系専用ホールです!余所には負けないラインアップ!」が表示され、遊技店Cについては「完全無制限!時間ある限りPLAY可能です」が表示されている。
また、遊技店A、遊技店B及び遊技店Cの表示は、遊技店を選択する操作ボタンとしての機能を有している。さらに、図8に示した遊技店選択画面では、機種検索用の入力領域を設けている。この入力領域に機種を入力して検索すれば、入力された機種の遊技機を複数の遊技店から抽出することができる。ここで、遊技店A、遊技店B及び遊技店Cは、必ずしも現実として物理的に一つの店舗である必要はない。例えば、数カ所の保管スペースに1~数台ずつ保管されている遊技台を管理装置60における設定にて仮想的に設置店「遊技店A」と設定することにより、一つの仮想店舗「遊技店A」に設置されているように表示することができる。そして、この場合、管理装置60では、保管スペースごとあるいは遊技台ごとに報知先情報を設定記憶することができるようになっている。報知先情報としては、保管スペースを管理する遊技店員用端末装置を特定可能な情報(例えば、IPアドレス、メールアドレス等)を記憶することが可能である。このような構成とすることにより、保管スペースごとに保管されている台数が少ない場合であっても、遊技客に対して十分な数の遊技機を選択肢として提示することができる。また、各保管スペースに設置される遊技機の所有者は同一であってもよいし、異なっていてもよいし、複数の所有者の共有であってもよい。
遊技店を選択する操作が行われると、遊技客端末装置50は、図8に示した遊技機選択画面(遊技店選択済)を表示する。この遊技機選択画面(遊技店選択済)では、選択された遊技店における遊技機の配置を示し、いずれかの遊技機が選択されたならば選択された遊技機の詳細を表示する。図8では、選択された遊技機について対応するカメラが撮像した遊技盤面、機種「EV07」、大当り確率「1/350」、確変突入確率「70%」、空き状態であるか否かなどを表示するとともに、遊技を開始するための「PLAY」ボタンを表示している。
一方、機種検索の操作が行われると、遊技客端末装置50は、図8に示した遊技機選択画面(機種検索済)を表示する。この遊技機選択画面(機種検索済)では、対象となる機種の遊技機が一覧表示される。図8では、機種「EV07」を指定した検索の結果を示しており、遊技店Aの2番台、遊技店Bの35番台、遊技店Bの36番台が一覧表示されている。また、遊技店Aの2番台と遊技店Bの35番台は空き状態であり、遊技店Bの36番台は他の遊技客によって使用されていることが示されている。さらに、遊技店選択画面(機種検索済)では、空き状態の遊技機をチェックボックスにより選択し、「PLAY」ボタンを操作することで遊技を開始することができる。
遊技機選択画面(遊技店選択済)又は遊技機選択画面(機種検索済)で「PLAY」ボタンが操作されたならば、遊技処理が開始され、遊技客端末装置50は、遊技処理中画面によって遊技機の盤面をリアルタイムで表示することになる。そして、遊技処理中画面において「呼出」ボタンが押されると、遊技店員の呼出が行われる。なお、図8に示した遊技処理中画面では、遊技機の盤面とともに、当日のスタート回数「333」、大当り回数「123」、確変回数「18」を表示し、さらに遊技機の操作のためのボタン及びキー、遊技機20のハンドルに対応して遊技玉の発射強度を調節するボリュームボタン、呼出操作を受け付ける「呼出」ボタンを表示している。
次に、異常検知時の処理手順について説明する。図9は、異常検知時の処理手順を示すフローチャートである。まず、遠隔操作実行装置10の異常検知部15cが自装置や遊技機20に発生した異常を検知する(ステップS201)。その後、管理装置60が遊技客端末装置50から店員呼出操作を受け付け(ステップS202)、遊技店員用端末装置40による遊技店員の呼出を実行する(ステップS203)。
ステップS203の後、遠隔操作実行装置10の異常検知部15cは、異常が解消したか否かを判定する(ステップS204)。異常が解消したか否かの判定は、遊技店員から復旧が完了した旨を示す操作を受け付けたか否かによって行うことができる。また、遊技機20から取得したデータや盤面を撮像した画像などから異常が解消したか否かを判定してもよい。
異常検知部15cは、異常が解消していなければ(ステップS204;No)、異常が解消したか否かの判定を繰り返す。そして、異常が解消したならば(ステップS204;Yes)、異常検知部15cが異常の解消を管理装置60に通知し、管理装置60の遊技時間補償部63bは、異常に対応する遊技時間の補償を行って(ステップS205)、処理を終了する。
次に、異常に対応する遊技時間の補償の具体例について説明する。図10は、異常に対応する遊技時間の補償の具体例についての説明図である。補償の対象となる異常は、図10(a)に示した盤面詰まりや投出異常のように、遊技客の不利益となる異常である。盤面詰まりは、遊技盤面で遊技玉が詰まる異常であり、障害釘などの構成物が遊技玉を係止することで発生する。投出異常は、ハンドル操作量と遊技玉の投出方向との対応関係における異常である。
盤面詰まりは、ハンドル操作量とアウト信号を参照することで検知可能である。すなわち、ハンドル操作量が遊技玉の投出を示しているが、遊技玉が遊技盤面から排出されたことを示すアウト信号が途切れて一定時間が経過した場合には、盤面詰まりが発生していると判定することができる。また、カメラ70が撮像した盤面データを画像処理して、盤面詰まりを検知することも可能である。なお、これらの検知方法は、異常の発生の判定に限らず、異常の解消の判定にも用いることができる。
投出異常は、ハンドルの操作量と入賞信号とを参照することで検知可能である。入賞信号は入賞口ごとに出力されるため、ハンドルの操作量により示される投出方向と入賞した入賞口の位置とが整合しなければ、投出異常が発生していると判定することができる。また、カメラ70が撮像した盤面データを画像処理して投出方向を識別し、ハンドルの操作量により示される投出方向と比較してもよい。なお、これらの検知方法は、異常の発生の判定に限らず、異常の解消の判定にも用いることができる。
図10(b)は、補償の対象とする時間の範囲である補償対象時間を示している。補償対象時間の開始時点としては、異常を検知した時点や店員の呼出操作を受け付けた時点を用いることができる。また、補償対象範囲の終了時点としては、異常が解消した時点を用いることができる。
図10(c)は、補償の方法のバリエーションを示している。補償の方法としては、すでに説明したように、補償対象時間の遊技時間への加算を用いることができる。また、補償対象時間の開始時に遊技時間の計時(カウント)を一時停止し、補償対象時間の終了時点で遊技時間の計時(カウント)を再開してもよい。また、スコアとして用いる値(ポイントや持玉など)に補償対象時間に相当する値を加算して補償分をスコアに反映してもよい。さらに、次回以降の遊技において優遇措置を行ってもよい。次回以降の遊技における優遇措置としては、遊技時間の加算、予約の優先設定など任意の措置を用いることができる。
上述してきたように、遊技機20を遠隔操作する場合に、遊技客に遊技を提供する遊技時間を遊技客ごとに管理し、遊技における異常の発生を検知したならば異常に対応する遊技時間の補償を行うことで、遊技の管理を効率化し、遊技店の負担を軽減しつつ遊技客の不利益となる事態に対応することができる。
具体的には、遊技機の遊技盤面に生じた遊技玉の詰りや、遊技玉の投出方向に係る異常を検知し、補償を行うことが可能である。これらの異常は、ハンドルの操作量(遊技盤面に対する遊技玉の供給状態を示す情報)、遊技盤面からの遊技玉の排出状態を示すアウト信号、遊技盤面を撮像した盤面データなどを用いて検知を行えばよい。
なお、上述の実施例では、遊技玉を遊技媒体として使用する場合を中心に説明を行なったが、スロットマシン用のメダルを用いる場合にも適用可能である。
また、上述の実施例では、遠隔操作実行装置10が遊技を制御するための信号を遊技機20に出力し、遊技機20が遠隔操作実行装置10から受けた信号に基づいて実際に操作を受け付けた場合と同様の動作を行なう構成を例示したが、遊技機20に対する操作を物理的に実行する操作ユニットを遊技機20に付設し、遠隔操作実行装置10が操作ユニットに制御信号を出力する構成としてもよい。
また、図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。