JP7107337B2 - 電気炉による溶鉄の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気炉において冷鉄源を溶解して溶鉄を製造する方法に関するものである。
電気炉では、スクラップなどの冷鉄源をアーク熱で溶解して溶鉄が製造されるが、アーク熱を生成するために電力を多量に消費する。従来、電気炉での電力消費を抑えるために、溶解する前の冷鉄源を化石燃料などを用いたバーナーで予熱する方法、溶解中に発生する高温の排ガスで冷鉄源を予熱する方法、補助熱源としてコークスを吹き込む方法、などの方法が採られている。
例えば、特許文献1には、溶解室内において助燃バーナーと呼ばれるバーナーで冷鉄源を加熱(予熱)し、冷鉄源の加熱溶解を促進させる技術が示されている。
また、特許文献2には、溶解中に発生する高温の排ガスで冷鉄源を予熱する方法として、溶解室の上部に冷鉄源の予熱室を連結し、溶解室で発生した高温の排ガスを、冷鉄源が充填された予熱室を通過させることにより冷鉄源を予熱し、この予熱された冷鉄源が溶解室に供給されるようにした方法が示されている。また、この特許文献2の方法では、溶解室内にコークスを吹き込み、補助熱源として利用することも行われている。
特開昭63-93816号公報 特開平10-292990号公報
特許文献1の方法は、溶解室内のコールドスポットなどに存在する冷鉄源の加熱には有効であるが、冷鉄源全体の予熱方法としては十分とは言えず、電気炉での電力消費の抑制について大きな効果は期待できない。また、助燃バーナーを設置するには、バーナー用の燃料や酸素の配管などを設置するための設備費がかかるため、助燃バーナーによる冷鉄源の予熱効果が十分に得られるような設備構成とするには、多大な設備費が必要になる。
一方、特許文献2に記載のような炉排ガスで冷鉄源を予熱する方法は、エネルギー源として排ガスを利用する点で有利であるが、電力原単位を大幅に低減するには、これだけでは不十分である。また、同文献に記載されたコークスの吹き込みを併用する方法も同様である。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、電気炉において冷鉄源を溶解して溶鉄を製造する方法において、特別な設備を用いることなく、従来法に較べて低い電力原単位で溶鉄を製造することができる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決することができる方法について検討を重ねた結果、予熱室において炉排ガス(電気炉の溶解室で発生した高温の排ガス)により冷鉄源を予熱する方法において、予熱室内で廃油スプレーノズルから廃油を散布することにより冷鉄源に廃油を付着させ、この廃油が付着した冷鉄源を予熱室で予熱することにより、廃油が持つ発熱量を利用して冷鉄源や溶鉄に熱を付加することができ、これにより電力原単位を効果的に低減できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]冷鉄源をアーク加熱によって溶解する溶解室(1)と、この溶解室(1)に供給する冷鉄源を予熱するための予熱室(2)を備えた電気炉において、溶解室(1)で発生した排ガスを、冷鉄源が供給された予熱室(2)を通過させることにより冷鉄源を予熱し、この予熱された冷鉄源を溶解室(1)に供給し、溶解室(1)で溶解して溶鉄を得る方法であって、
予熱室(2)内で廃油スプレーノズル(3)から廃油を散布することにより、冷鉄源に廃油を付着させ、この廃油が付着した冷鉄源を予熱室(2)で予熱することを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、冷鉄源が予熱室(2)内に充填された状態で予熱され、予熱された冷鉄源が溶解室(1)に順次供給されるようにしたことを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[3]上記[2]の製造方法において、溶解室(1)のアーク加熱部から離れた位置の上部に、溶解室(1)と連通するように予熱室(2)が設けられ、この予熱室(2)の上部に冷鉄源装入口(20)を有する電気炉において溶鉄を製造するに際し、
冷鉄源装入口(20)から予熱室(2)内に装入された冷鉄源は、予熱室(2)およびその下方の溶解室(1)の空間部分(1a)に充填され、この空間部分(1a)の冷鉄源が順次アーク加熱部側に押し出されることを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[4]上記[3]の製造方法において、空間部分(1a)の冷鉄源が、押し出し機(3)により順次アーク加熱部側に押し出されることを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[5]上記[1]の製造方法において、冷鉄源が予熱室(2)内において移送手段(18)で移送されながら予熱され、予熱された冷鉄源が移送手段(18)から溶解室(1)に順次供給されるようにしたことを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[6]上記[1]~[5]のいずれかの製造方法において、予熱室(2)に装入された冷鉄源1トンあたり2Mcal以上50Mcal以下の発熱量の廃油を廃油スプレーノズル(3)から散布することを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[7]上記[1]~[6]のいずれかの製造方法において、廃油スプレーノズル(3)から散布する廃油は、油分とともに水分を含む廃油であることを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[8]上記[7]の製造方法において、廃油スプレーノズル(3)から散布する廃油が、金属材の圧延工程における使用済み潤滑剤または該使用済み潤滑剤から水分の一部を分離除去したものであることを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[9]上記[1]~[8]のいずれかの製造方法において、予熱室(2)から排気される際の排ガスの温度を400℃以上とすることを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[10]冷鉄源をアーク加熱によって溶解する溶解室(1)と、この溶解室(1)に供給する冷鉄源を予熱するための予熱室(2)を備え、溶解室(1)で発生した排ガスを、冷鉄源が供給された予熱室(2)を通過させることにより冷鉄源を予熱し、この予熱された冷鉄源を溶解室(1)に供給し、溶解室(1)で溶解して溶鉄を得る電気炉であって、
予熱室(2)内で廃油を散布するための廃油スプレーノズル(3)を有することを特徴とする電気炉。
[11]冷鉄源をアーク加熱によって溶解する溶解室(1)と、この溶解室(1)に供給する冷鉄源を予熱するための予熱室(2)を備えた電気炉において、溶解室(1)で発生した排ガスを、冷鉄源が供給された予熱室(2)を通過させることにより冷鉄源を予熱し、この予熱された冷鉄源を溶解室(1)に供給し、溶解室(1)で溶解して溶鉄を得る際に、
予熱室(2)内で廃油スプレーノズル(3)から廃油を散布することにより、冷鉄源に廃油を付着させ、この廃油が付着した冷鉄源を予熱室(2)で予熱することを特徴とする廃油の処理方法。
[12]上記[11]の処理方法において、廃油スプレーノズル(3)から散布する廃油は、油分とともに水分を含む廃油であることを特徴とする廃油の処理方法。
[13]上記[12]の処理方法において、廃油スプレーノズル(3)から散布する廃油が、金属材の圧延工程における使用済み潤滑剤または該使用済み潤滑剤から水分の一部を分離除去したものであることを特徴とする廃油の処理方法。
本発明によれば、予熱室において炉排ガス(電気炉の溶解室で発生した高温の排ガス)により冷鉄源を予熱する方法において、予熱室内で廃油スプレーノズルから廃油を散布することにより冷鉄源に廃油を付着させ、この廃油が付着した冷鉄源を予熱室で予熱することにより、廃油が持つ発熱量を利用して冷鉄源や溶鉄に熱を付加することができるため、特別な設備を用いることなく、従来法に較べて低い電力原単位で低コストに溶鉄を製造することができる。
また、この方法によれば、水分を多く含む廃油もそのまま用いることができるため、廃油を特別な処理を加えることなく利材化することができ、廃油を処理・処分する負担を軽減することができる。
本発明の一実施形態を電気炉を縦断面した状態で模式的に示す説明図 本発明で使用する廃油スプレーノズルの一例を模式的に示す説明図 本発明の他の実施形態を電気炉を縦断面した状態で模式的に示す説明図
本発明が基本とする溶鉄の製造方法は、冷鉄源をアーク加熱によって溶解する溶解室1と、この溶解室1に供給する冷鉄源を予熱するための予熱室2を備えた電気炉において、溶解室1で発生した排ガスを、冷鉄源が供給された予熱室2を通過させることにより冷鉄源を予熱し、この予熱された冷鉄源を溶解室1に供給し、溶解室1で溶解して溶鉄を得る方法である。従来、このような溶鉄製造プロセスとしては、予熱室の設置形態や構造、予熱室内での冷鉄源の予熱形態、或いは予熱室から溶解室に冷鉄源を移動させる方式などが異なる様々なタイプのものが知られているが、本発明法では、そのような溶鉄製造プロセスにおいて、予熱室2内で廃油スプレーノズル3から廃油を散布することにより冷鉄源に廃油を付着させ、この廃油が付着した冷鉄源を予熱室2で予熱するものである。
電気炉の溶解室1で発生した後、予熱室2に導かれる排ガスの温度は、通常、400~1000℃程度であり、冷鉄源に付着した廃油が、予熱室2内で排ガスの熱によって加熱されることにより、通常、(i)予熱室2内で廃油の一部または全部が燃焼して冷鉄源の予熱源となる、(ii)予熱室2で燃焼しなかった廃油は溶解室1で補助熱源となる、と考えられ、また、仮に上記(i)が生じなくても上記(ii)が必ず生じるため、冷鉄源に付着した廃油により冷鉄源および/または溶鉄に熱を付加することができ、このため冷鉄源を溶解させるための電力原単位を低減することができる。
本発明において溶解する冷鉄源としては、通常、製鉄所から発生する自所屑、市中から発生するスクラップ、溶銑を固めた銑鉄などがあるが、これらに限定されない。製鉄所から発生する自所屑としては、例えば、連続鋳造や造塊法で鋳造される鋳片の非定常部(鋳込み開始の部分や鋳込み終了時に発生する部分)、鋼帯などの鋼材の圧延で生じるクロップなどがあり、また、市中から発生するスクラップとしては、建設鋼材(H型鋼など)、自動車の鋼材、缶類などのようなリサイクル材があるが、これらに限定されない。また、溶銑を固めた銑鉄とは、高炉などの溶鉱炉において、鉄鉱石およびコークスなどを原料として得られた溶銑を出銑し、固めたものである。
本発明において、予熱室2内で廃油スプレーノズル3から散布して冷鉄源に付着させる廃油(新品ではない油分)の種類や性状などに特別な制限はなく、電気炉(予熱室2および/または溶解室1)内で熱源となり得る油分を含むものであれば、油分以外の成分(水分など)を多量に含むものであってもよい。廃油が多量の水分を含む場合でも、その水分は予熱室2で蒸発するため問題はない(水蒸気爆発などの恐れもない)。また、廃油が固形分(鉄分、その他の無機成分)を含むものであっても、ノズル詰りなどを生じることなく散布することができる場合には、使用することができる。散布された廃油中の固形分は最終的に溶解され、溶鉄または溶融スラグの一部となるため問題はない。
廃油には様々な形態のものがあるが、多くは、油分以外の成分(水分など)が多量に含まれているもの、油分が使用環境下で変質してしまい、当初の機能が発揮できなくなったもの、などであり、多くの場合、これらの廃油は産廃処理または埋立処分されてきた。本発明は、そのような廃油でも問題なく使用することができ、このため廃油の処理・処分の負担を軽減できる利点もある。
例えば、鉄鋼製造プロセスの圧延工程では、被圧延材(鋼帯など)と圧延ロールの潤滑のために油分を含む潤滑剤を大量に使用している。この潤滑剤は循環させて再利用しているが、圧延時の加工発熱による変質が進んだり、発生する鉄分が酸化したスケールが混入してくると、当初の機能を発揮できなくなる。このため一定期間使用された潤滑剤(使用済み潤滑剤)は回収され、新しい潤滑剤と交換される。この使用済み潤滑剤は、水分が大部分を占め、油分は数%程度である。本発明では、このような油分の少ない使用済み潤滑剤をそのまま使用し、廃油として冷鉄源に混合してもよいし、水分の一部を油水分離剤などを用いて分離除去し、油分の割合を高めた(例えば数十mass%程度)上で使用してもよい。このように油分の割合を高めた方が電力原単位を低減する上では有利である。
また、例えば、大型機械のエンジンなどに使用されている潤滑剤は、水分をほとんど含まない高発熱量のものであり、その使用済みの潤滑剤は、不純物を取り除いた後に、重油代替の燃料として使用されることがあり、再生重油と呼ばれる。本発明では、このような高発熱量の使用済み潤滑剤を使用し、廃油として冷鉄源に散布してもよい。ただし、この場合には、再生重油などのような高発熱量の廃油のコストと、電力のコストを比較衡量して使用するのが望ましい。
また、以上挙げたような潤滑剤以外にも、種々の用途から生じる廃油が存在し、本発明ではこれらの廃油を使用することができる。
本発明において、予熱室2内で廃油を散布する廃油スプレーノズル3を設置する位置や設置形態などに特に制限はないが、通常、予熱室2に装入された直後の冷鉄源に廃油を散布することから、予熱室2の冷鉄源装入部の近傍位置(例えば、予熱室2の上部壁面など)に1つ以上の廃油スプレーノズル3を配置し、この廃油スプレーノズル3から冷鉄源に廃油を散布するのが好ましい。
また、廃油スプレーノズル3の種類も特に制限はないが、粘度が高い廃油を均一に散布できること、ノズル詰まりが生じにくいことなどの点から、廃油を気体で押し出して霧状に噴射(噴霧)する2流体スプレーノズルが特に好ましい。この2流体スプレーノズルを用いる場合、気体には空気を用いるのが一般的であるが、必要に応じて、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを用いてもよい。また、気体の供給量が増えるとポンプの動力が増大し、その分運転コストが高くなるが、廃油は粘度が高いため気体を十分に供給する必要があり、体積比で気体量を廃油量の10倍以上とすることが望ましい。
本発明では、単純に廃油を冷鉄源に添加するのではなく、予熱室2内で廃油スプレーノズル3から冷鉄源に対して廃油を散布(噴霧)するため、廃油を冷鉄源に均一に付着させることができ、このため、(i)予熱室2内での廃油(油分)の燃焼熱を冷鉄源全体に均一に付加する(着熱させる)ことができる、(ii)廃油が水分を含む場合(特に多量に含む場合)に、予熱室2内での水分の蒸発を促進させることができる、という効果が得られる。
冷鉄源に対する廃油の散布量(添加量)は、廃油の油分によって冷鉄源や溶鉄に付加する熱に応じて適宜決めればよいが、通常、予熱室2に装入された冷鉄源1トンあたり2Mcal以上50Mcal以下の発熱量の廃油を冷鉄源に散布することが好ましい。冷鉄源に散布する廃油の冷鉄源1トンあたりの発熱量が2Mcal未満では、冷鉄源や溶鉄に熱を十分に付加することができないおそれがあり、一方、50Mcalを超えると、廃油に含まれる水分量も多くなるため水分の蒸発に熱量が使われ、本来の目的である冷鉄源や溶鉄の加熱に熱が行き渡らないおそれがある。
したがって、このような条件を満足するように、使用する廃油の単位発熱量に応じて、廃油の散布(添加)量を決めることが好ましい。
例えば、廃油として再生重油を用いる場合において、この再生重油の発熱量が約10000kcal/kgであり、冷鉄源1トンあたりの必要発熱量が10Mcalであるとすると、冷鉄源1トンあたり1kgの再生重油が必要となる。
また、廃油として、製鉄所の圧延工程での使用済み潤滑油から水分の一部と固形分を分離除去したもの(水分含有量は55mass%程度)を用いる場合において、この廃油の発熱量が約4000kcal/kgであり、冷鉄源1トンあたりの必要発熱量が10Mcalであるとすると、冷鉄源1トンあたり2.5kgの廃油が必要となる。
また、上述したように本発明では、水分を多く含む廃油をそのまま用いることができるため、廃油を特別な処理を加えることなく利材化することができる。このため本発明法は、従来ではコストをかけて処理・処分(例えば、産廃処理や埋立処分)していた廃油を低コストで処理・処分できる方法であるといえる。そして、このような観点からは、本発明で使用する廃油は、油分とともに水分を含む廃油であることが好ましく、特に、鋼板などの金属材の圧延工程における使用済み潤滑剤などのような廃油をそのまま使用し、或いはその使用済み潤滑剤に比較的簡易な処理を加えて水分の一部を分離除去したもの(必要に応じて、固液分離により固形分が分離除去される)などを使用することが好ましい。そのような廃油としては、例えば、油分を5~98mass%程度、好ましくは15~70mass%程度含有し、残部が水および不可避不純物(固形分など)からなる廃油を挙げることができる。
溶解室1で発生し、予熱室2に導入される排ガスの温度は400~1000℃程度であるが、本発明では、排ガスが予熱室2から排気される際の排ガス温度を400℃以上とすることが好ましい。予熱室2から排気される際の排ガスの温度が400℃未満の場合には、廃油(油分)の供給量が不足し、或いは廃油(油分)の燃焼が不十分である可能性がある。また、電気炉から排出される排ガスは、ダイオキシン対策のために炉外でバーナーにより再加熱する必要があるが、予熱室2から排気される際の排ガス温度が400℃未満では、ガス加熱に要するバーナーの燃料費が高くなる。
予熱室2から排気される際の排ガス温度は、例えば、予熱室2内への冷鉄源の供給速度、冷鉄源への廃油の散布量、廃油の水分量、炉外への排ガスの吸引速度などを調整することにより管理することができる。このため、予熱室2の排気口などに温度計を設けて排ガス温度を測定し、この排ガス温度に基づき、予熱室2内への冷鉄源の供給速度、冷鉄源への廃油の散布量、廃油の水分量、炉外への排ガスの吸引速度などのうちの1つ以上を調整して、排ガス温度を管理するのが好ましい。
さきに述べたように、溶解室1で発生した排ガスを予熱室2に流すことで冷鉄源を予熱する方式の溶鉄製造方法(製造プロセス)には様々なタイプのものがあるが、例えば、予熱室2内での冷鉄源の予熱形態に関して、以下のような異なるタイプのものがある。
(ア)冷鉄源が予熱室2内に充填された状態(通常、高さ方向に充填された状態)で予熱され、予熱された冷鉄源が溶解室1に順次供給されるようにした溶鉄製造方法であり、例えば、上方から予熱室2内に投入された冷鉄源が予熱室2内で高さ方向に充填され、この充填された冷鉄源が予熱室2内を順次降下しつつ予熱室2内を通過する排ガスで予熱され、しかる後、予熱室2の下側から溶解室1に順次装入される。
(イ)冷鉄源が予熱室2内において移送手段18で移送されながら予熱され、予熱された冷鉄源が移送手段18から溶解室1に順次供給されるようにした溶鉄製造方法であり、例えば、冷鉄源が横型の予熱室2内で移送手段18(ベルトコンベアなど)により移送されつつ、予熱室2内を通過する排ガスで予熱され、しかる後、移送手段18の終端から溶解室1に順次装入される。
図1は、本発明の一実施形態を電気炉を縦断面した状態で模式的に示す説明図である。この実施形態は、上記(ア)のタイプの溶鉄製造方法に関するものである。
電気炉は、冷鉄源をアーク加熱によって溶解する溶解室1と、この溶解室1に供給する冷鉄源を予熱するための予熱室2を備えている。
溶解室1の上部は、開閉可能な水冷構造の炉蓋4で覆われている。溶解室1のほぼ中央部には、炉蓋4を貫通して上方から複数本の電極5が挿入され、これら電極5間でアークを飛ばすことにより冷鉄源を溶解するアーク加熱部Aが構成される。通常、電極5は黒鉛などで構成され、上下移動可能である。
溶解室1のアーク加熱部Aから離れた位置の上部には、溶解室1と連通するようにしてシャフト状の予熱室2が設けられ、この予熱室2の上部には開閉可能な冷鉄源装入口20が設けられている。また、予熱室2の上側部には排気口21が設けられ、この排気口21に排気ダクト17が接続されている。この排気ダクト17は吸引ブロワ(図示せず)に接続され、この吸引ブロワによる吸引により、溶解室1で発生した高温の排ガスは予熱室2に流れ、この予熱室2を通過した後、排気ダクト17から排気される。なお、排気ダクト17の途中には集塵機(図示せず)が設けられている。
予熱室2の上方には、走行台車16に吊り下げられた底開き型の供給用バケット13が移動でき、この供給用バケット13から、冷鉄源装入口20を通じて予熱室2内に冷鉄源xが装入される。
予熱室2の上部壁面には、冷鉄源装入口20を通じて予熱室2内に装入された冷鉄源xに廃油を散布するための廃油スプレーノズル3が設けられている。
この廃油スプレーノズル3の設置数は任意であり、例えば、予熱室上部の周方向で間隔をおいて複数設置してもよい。
廃油スプレーノズル3の設置位置(高さ)は、冷鉄源xの装入面の最大高さ位置(設備上または/および操業上の要因で決まる装入面の最大高さ位置)よりも高い位置とすることが好ましい。廃油スプレーノズル3の設置位置が冷鉄源xの装入面の最大高さ位置よりも低いと、スプレーノズルから噴霧した廃油が予熱室2の中心部分まで届かないおそれがあり、また、廃油の散布が局所的に偏り、廃油(油分)の燃焼熱を冷鉄源全体に均一に付加することや、廃油に含まれる水分を十分に蒸発させることが阻害されるおそれがある。このため、本実施形態の廃油スプレーノズル3は、冷鉄源xの装入面の最大高さ位置よりも高い位置であって、排気口21の位置よりも低い位置(排気口21の直下位置)に設置されている。
さきに述べたように、廃油スプレーノズル3は廃油を気体で押し出して霧状に噴射(噴霧)する2流体スプレーノズルが特に好ましい。この2流体スプレーノズルの気体には通常空気を用いるが、必要に応じて窒素やアルゴンなどの不活性ガスを用いてもよい。また、廃油は粘度が高いため、気体供給量は廃油量の10倍以上(体積比)とすることが望ましい。
図2は、この2流体スプレーノズルからなる廃油スプレーノズル3の一例を模式的に示している。この廃油スプレーノズル3は、管状のノズル本体30に混合コネクタ31を介して気体供給管32が接続されるとともに、混合コネクタ31の側部に廃油供給管33が接続され、気体供給管30から供給されて混合コネクタ31を高速で通過する気体に対して廃油供給管33から廃油が供給され、この気液混合物がノズル本体30の先端のノズルチップ34から霧状に噴射(噴霧)される。
溶解室1には、予熱室2の下方の空間部分1aに面して、この空間部分1aに充填された冷鉄源xを電極5によるアーク加熱部A側に押し出すための押し出し機6(プッシャー)が設けられている。この押し出し機6は、溶解室1の側壁を貫通してアーク加熱部A(本実施形態では炉中心方向)方向進退可能に設けられ、駆動装置(図示せず)により駆動し、その先端で空間部分1a内の冷鉄源xをアーク加熱部A側に押し出す。
なお、例えば、特許文献2に示される電気炉のように、押し出し機6を設けることなく、予熱室2および空間部分1aに充填された冷鉄源xの自重により空間部分1a内の冷鉄源xが自然にアーク加熱部A側に押し出されるようにしてもよい。
溶解室1には、炉蓋4を貫通して上方から酸素吹き込みランス7と炭材吹き込みランス8が挿入されている。
炭材吹き込みランス8からは、空気や窒素などを搬送用ガスとして、コークス、チャー、石炭、木炭、黒鉛などの1種以上からなる炭材が溶融スラグsに吹き込まれる。また、酸素吹き込みランス7からは酸素が供給(噴射)され、この酸素により溶融スラグが押しのけられて、溶鉄mに酸素が吹き込まれる。
なお、酸素吹き込みランス7からは、純酸素ではなく、酸素含有ガス(例えば、純酸素と空気の混合ガス)を吹き込んでもよい。
溶解室1において、予熱室2を設けた側と反対側の炉底には出湯口11が、また、その上方の側壁には出滓口12が、それぞれ設けられている。これら出湯口11と出滓口12は、内部に充填される詰め砂やマッド剤と、これを外側で押さえる出湯用扉14、出滓用扉15により閉塞されている。
出湯口11のほぼ真上の位置には、上方から炉蓋4を貫通して溶解室1に挿入される助燃バーナー9が設けられている。この助燃バーナー9は、重油、灯油、微粉炭、プロパンガス、天然ガスなどの化石燃料を支燃ガス(酸素、空気または酸素富化空気)より溶解室1内で燃焼させるものである。例えば、溶鉄mを出湯する際に、未溶解の冷鉄源が残っている場合があり、そのような場合に、この助燃バーナー9により冷鉄源の溶解を助けることができる。
電気炉1の内壁は耐火物で構成され、また、溶解室1の炉壁10は水冷構造となっている。
本実施形態の電気炉の操業(溶鉄の製造)では、溶解室1において複数の電極5によりアーク加熱部Aが構成され、これを主たる熱源として冷鉄源xが溶解する。また、炭材吹き込みランス8から炭材が溶融スラグsに吹き込まれ、補助熱源として使用される。一方、酸素吹き込みランス7から酸素が溶鉄mに吹き込まれ、その酸素により溶鉄が所定の炭素量まで脱炭される。また、未溶解の冷鉄源xを溶解させるために、適宜必要に応じて助燃バーナー9が使用される。
溶鉄の原料である冷鉄源xの電気炉への装入は、供給用バケット13を用いて行われる。冷鉄源xはスクラップ置き場に種類別に仮置きされており、そのなかから、製造すべき溶鉄の鋼種に応じて所定の種類と質量割合の冷鉄源xが配合され、供給用バケット13に入れられる。この冷鉄源xを入れた供給用バケット13を走行台車16で予熱室2の真上に移動させ、この供給用バケット13から、開放された冷鉄源装入口20を通じて冷鉄源xを予熱室2内に装入する。冷鉄源装入口20から装入された冷鉄源xは、図1に示されるように、予熱室2およびその下方の溶解室1の空間部分1aに充填された状態となる。
冷鉄源装入口20から予熱室2内に装入された冷鉄源xに対して、廃油スプレーノズル3から廃油を散布する。予熱室2内には冷鉄源装入口20から一定時間毎(例えば3分毎)に一定量(例えば10トン)の冷鉄源xが装入されるので、通常、この冷鉄源xの装入毎に、装入直後の冷鉄源xに対して廃油スプレーノズル3から所定量の廃油が散布される。一方、冷鉄源xの装入のタイミングに関わりなく、廃油スプレーノズル3から連続的または間欠的に廃油を散布してもよい。要は、予熱室2に装入された冷鉄源xに廃油が均一に付着するように、廃油スプレーノズル3から所定量の廃油を散布すればよい。
なお、電気炉(予熱室2)に装入される冷鉄源xには、固体の有機物質(例えばプラスチック、ゴム、バイオマスなど)が混入していてもよい。
上記のような溶解室1で冷鉄源xを溶解する際に発生した高温の排ガスは、上述したような排ガスの吸引により予熱室2内に流入し、予熱室2内を上昇した後、排気口21から排気される。本実施形態の場合、予熱室2に流れる排ガスの温度は、600~1000℃程度であり、冷鉄源xに付着した廃油は、予熱室2内で排ガスの熱によって加熱されることにより、一部または全部が燃焼して冷鉄源xの予熱源となり、予熱室2で燃焼しなかった廃油は溶解室1で補助熱源となる。これにより冷鉄源xおよび/または溶鉄mに廃油の燃焼熱を付加することができ、冷鉄源xを溶解するための電力原単位を低減することができる。
また、冷鉄源xは予熱室2内に一定時間留まるので、冷鉄源xに付着した廃油が多量の水分を含む場合でも、その水分は予熱室2内でほとんど蒸発し、実質的に溶解室1に持ち込まれることはない。また、廃油に固形分(鉄分、その他の無機成分)が含まれる場合でも、その固形分は最終的に溶解され、溶鉄mまたは溶融スラグsの一部となる。
溶解室1内のアーク加熱部Aにおける冷鉄源xの溶解の進行に応じて、溶解室1の空間部分1aに充填されている冷鉄源xを、押し出し機6により順次アーク加熱部A側に押し出す。これに伴い予熱室2内に充填されている冷鉄源xが順次降下するので、それに応じて供給用バケット13により予熱室2内に冷鉄源xを装入し、これを繰り返し行う。そして、この装入された冷鉄源xには、上記のようにして廃油スプレーノズル3から廃油が散布される。冷鉄源xの溶解が進行して溶解室1内に所定量(1チャージ分)の溶鉄が溜まったら、冷鉄源xが予熱室2と溶解室1の空間部分1aに充填された状態を保ったまま、出湯口11から溶鉄mを出湯し、出滓口12から溶融スラグsを出滓する。
なお、電気炉の操業開始時には、溶解室1内に冷鉄源を均一に装入するために、炉蓋4を開けた状態で、予熱室2とは反対側の溶解室2の空間内に冷鉄源や炭材を装入してもよいし、この冷鉄源の装入の際に、溶銑を溶解室1に装入してもよい。この溶銑は供給用取鍋(図示せず)や溶解室1に通じる溶銑樋(図示せず)により溶解室1に装入することができる。
図3は、本発明の他の実施形態を電気炉を縦断面した状態で模式的に示す説明図である。この実施形態は、上述した(イ)のタイプの溶鉄製造方法に関するものである。
本実施形態で使用する電気炉は、溶解室1の構造や機能などは図1の実施形態と同様であるが、横型(水平式)の予熱室2が溶解室1の側部に設けられ、溶解室1と連通している。
予熱室2は、その一端側が溶解室1に連通するとともに、他端側に排気口21が設けられ、この排気口21に排気ダクト17が接続されている。図1の実施形態と同様、排気ダクト17は吸引ブロワ(図示せず)に接続され、この吸引ブロワによる吸引により、溶解室1で発生した高温の排ガスは予熱室2に流れ、この予熱室2を通過した後、排気ダクト17から排気される。また、排気ダクト17の途中には集塵機(図示せず)が設けられている。
予熱室2内には、その長手方向に沿ってベルトコンベアなどの移送手段18(移送装置)が配置され、予熱室2内に供給された冷鉄源xは、この移送手段18で移送されながら、予熱室2を流れる排ガスにより予熱される。
本実施形態の移送手段18は、予熱室2の外側まで延設され、予熱室2の外側で冷鉄源xが移送手段18上に装入され、予熱室2内に移送されるようにしてある。なお、冷鉄源xが予熱室2内に進入する予熱室入口22には、予熱室2内の排ガスが外部に漏出しないようにするため、通常、エアカーテンやシールダンパーなどによりガスシール(図示せず)がなされる。
移送手段18としては、例えば、ベルトコンベアなどのコンベア装置、ウォーキングビーム、ウォーキングハースなどを用いることができる。
なお、予熱室2は底部を含めて炉壁で囲まれた空間であるが、図3(模式図)では、便宜上、予熱室2の底部の図示を省略してある。
予熱室2の天井部には、移送手段18により予熱室2内を移送中の冷鉄源xに廃油を散布するための廃油スプレーノズル3が設けられている。この廃油スプレーノズル3の設置位置に特に制限はないが、移送方向においてなるべく上流側の位置(予熱室入口22に近い位置)が好ましい。また、廃油スプレーノズル3の設置数も任意であり、例えば、予熱室2の長手方向および/または幅方向で間隔をおいて複数設置してもよい。
廃油スプレーノズル3の詳細や好ましい条件などについては、図1の実施形態において述べたとおりである。
予熱室2の外側に位置する移送手段18の始端側の上方には、走行台車16に吊り下げられた底開き型の供給用バケット13が移動でき、この供給用バケット13から、移送手段18上に冷鉄源xが装入される。
その他の構成は図1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態では、移送手段18が予熱室2の外側に延設され、予熱室2の外側で冷鉄源xが移送手段18上に装入され、予熱室2内に移送されるようにしてあるが、移送手段18を予熱室2内にのみ設けるとともに、予熱室2に冷鉄源装入口を設け、この冷鉄源装入口から予熱室2内の移送手段18上に冷鉄源xを装入するようにしてもよい。この場合には、冷鉄源装入口から予熱室2内の排ガスが漏出しないようにするため、通常、冷鉄源装入口にはエアカーテンやシールダンパーなどによりガスシールがなされる。
本実施形態において、溶解室1で発生した高温の排ガスは、上述したような排ガスの吸引により予熱室2内に流入し、予熱室2内を通過した後、排気口21から排気される。供給用バケット13から移送手段18上に装入された冷鉄源xは、移送手段18で移送されて予熱室2内に進入した後、上記のようにして廃油スプレーノズル3から廃油が散布されるとともに、予熱室2内を移送されながら予熱室2内を流れる排ガスで予熱される。廃油スプレーノズル3からの廃油の散布は、連続的でも間欠的でもよいが、要は、移送中の冷鉄源xに廃油が均一に付着するように、廃油スプレーノズル3から所定量の廃油を散布すればよい。
そして、このように予熱室2内で予熱された冷鉄源xは、そのまま移送手段17の終端から溶解室1(アーク加熱部A側方の空間部分1a)内に投入される。
以上述べた以外の本実施形態の操業方法・条件や作用効果(冷鉄源xに混合された廃油による作用効果など)は、図1の実施形態と同様である。
電気炉のタイプとしては直流式と交流式があり、本実施形態の電気炉は交流式であるため、上述したような電極5を有している。これに対して電気炉が直流式の場合は、炉底と上部のそれぞれで電極が存在し、その電極間でアークを飛ばして冷鉄源を溶解させる。本発明は、このような直流式の電気炉による溶鉄の製造にも適用できる。
また、本発明は、溶解室1で発生した排ガスを予熱室2に導いて冷鉄源xを予熱する方法であれば、使用する電気炉のタイプに制限はなく、種々のタイプの電気炉を用いた溶鉄の製造方法に適用することができる。
また、上述した(ア)のタイプの溶鉄製造方法として、例えば、溶解室が押し出し機を有しない電気炉を用いた溶鉄の製造方法(特許文献2参照)などにも適用できる。また、上述した(イ)のタイプの溶鉄製造方法として、例えば、予熱室2がロータリキルン(傾斜した円筒炉体)で構成され、予熱室2自体が移送手段18(移送機構)を兼ねる電気炉を用いた溶鉄の製造方法などにも適用できる。
図1に示すような溶解室1と予熱室2を備えた電気炉設備において、冷鉄源xを溶解して溶鉄を製造した。この電気炉設備の設備諸元を以下に示す。
溶解室の溶鉄容量:130トン
電力:交流50Hz
トランス容量:75MVA
電極数:3
また、予熱室2の上部壁面に設置した廃油スプレーノズル3は、図2に示すような2流体スプレーノズルであり、このスプレーノズル用の気体としては空気を用いた。
冷鉄源xとしては、さきに挙げたような、製鉄所から発生する自所屑、市中から発生するスクラップ、溶銑を固めた銑鉄を適宜配合したものを用いた。
予熱室2の上部の冷鉄源装入口20から、供給用バケット13により1回あたり約10トンの冷鉄源xを予熱室2に投入した。溶解室1の溶鉄容量が130トンであることから、供給用バケット13による予熱室2への冷鉄源xの装入を所定の間隔で13回繰り返すことにより、溶解室1の溶鉄容量である130トンの溶鉄を製造した。予熱室2の排気口21に熱電対を配置し、排ガス温度を測定した。
発明例では、供給用バケット13によって冷鉄源xが予熱室2内に装入される毎に、装入された直後の冷鉄源xに対して、図1示すように予熱室2の上部壁面に設置した廃油スプレーノズル3から廃油を散布した。廃油スプレーノズル3には、配管を通じてコンプレッサーで廃油および空気を供給した。
冷鉄源xに散布する廃油としては、以下のものを用いた。
廃油A:製鉄所の圧延工程における使用済み潤滑油から固液分離により固形分を分離除去するとともに、油水分離剤を用いて水分の一部を分離除去したもの(総発熱量6430kcal/kg)
廃油B:廃油Aと同じ工程で得られたものであるが、圧延油の変更テストを行った時に得られた廃油(総発熱量4830kcal/kg)
廃油C:大型機械のエンジンの使用済み潤滑油から不純物を除去した再生重油(総発熱量9770kcal/kg)
発明例および比較例での溶鉄の製造条件と電力原単位などを表1に示す。
比較例は、冷鉄源xに廃油を散布しなかった製造例であるが、それ以外は発明例と同様の製造条件とした。
発明例1では、冷鉄源xに散布する廃油として廃油A(総発熱量6430kcal/kg)を用い、冷鉄源xに対して、冷鉄源1トンあたり4.2Mcalの発熱量の廃油を散布した。廃油の供給(散布)速度は2L/分、冷鉄源1トンあたりの廃油の供給量は0.77L/トンであり、廃油スプレーノズル3に対する空気の供給量は廃油の30倍の60L/分とした。この発明例1の電力原単位は343kWh/tとなり、比較例に対して電力原単位が3kWh/t低減した。また、予熱室からの排気時の排ガス温度は443℃であった。
発明例2では、冷鉄源xに散布する廃油として廃油A(総発熱量6430kcal/kg)を用い、冷鉄源xに対して、冷鉄源1トンあたり8.3Mcalの発熱量の廃油を散布した。廃油の供給(散布)速度は4L/分、冷鉄源1トンあたりの廃油の供給量は1.54L/トンであり、廃油スプレーノズル3に対する空気の供給量は廃油の25倍の100L/分とした。この発明例2の電力原単位は339kWh/tとなり、比較例に対して電力原単位が7kWh/t低減した。また、予熱室からの排気時の排ガス温度は562℃であった。
発明例3では、冷鉄源xに散布する廃油として廃油A(総発熱量6430kcal/kg)を用い、冷鉄源xに対して、冷鉄源1トンあたり18.7Mcalの発熱量の廃油を散布した。廃油の供給(散布)速度は9L/分、冷鉄源1トンあたりの廃油の供給量は3.46L/トンであり、廃油スプレーノズル3に対する空気の供給量は廃油の20倍の180L/分とした。この発明例3の電力原単位は334kWh/tとなり、比較例に対して電力原単位が12kWh/t低減した。また、予熱室からの排気時の排ガス温度は687℃であった。
発明例4では、冷鉄源xに散布する廃油として廃油A(総発熱量6430kcal/kg)を用い、冷鉄源xに対して、冷鉄源1トンあたり27.0Mcalの発熱量の廃油を散布した。廃油の供給(散布)速度は13L/分、冷鉄源1トンあたりの廃油の供給量は5.00L/トンであり、廃油スプレーノズル3に対する空気の供給量は廃油の20倍の260L/分とした。この発明例4の電力原単位は342kWh/tとなり、比較例に対して電力原単位が4kWh/t低減した。また、予熱室からの排気時の排ガス温度は411℃であった。
発明例5では、冷鉄源xに散布する廃油として廃油B(総発熱量4830kcal/kg)を用い、冷鉄源xに対して、冷鉄源1トンあたり14.0Mcalの発熱量の廃油を散布した。廃油の供給(散布)速度は9L/分、冷鉄源1トンあたりの廃油の供給量は3.46L/トンであり、廃油中のスラッジが多いため、廃油スプレーノズル3に対する空気の供給量は廃油の約22倍の200L/分とした。この発明例5の電力原単位は336kWh/tとなり、比較例に対して電力原単位が10kWh/t低減した。また、予熱室からの排気時の排ガス温度は621℃であった。
発明例6では、冷鉄源xに散布する廃油として廃油C(総発熱量9770kcal/kg)を用い、冷鉄源xに対して、冷鉄源1トンあたり28.4Mcalの発熱量の廃油を散布した。廃油の供給(散布)速度は9L/分、冷鉄源1トンあたりの廃油の供給量は3.46L/トンであり、廃油中のスラッジが少ないため、廃油スプレーノズル3に対する空気の供給量は廃油の18倍の160L/分とした。この発明例6の電力原単位は340kWh/tとなり、比較例に対して電力原単位が6kWh/t低減した。また、予熱室からの排気時の排ガス温度は553℃であった。
Figure 0007107337000001
1 溶解室
1a 空間部分
2 予熱室
3 廃油スプレーノズル
4 炉蓋
5 電極
6 押し出し機
7 酸素吹き込みランス
8 炭材吹き込みランス
9 助燃バーナー
10 炉壁
11 出湯口
12 出滓口
13 供給用バケット
14 出湯用扉
15 出滓用扉
16 走行台車
17 排気ダクト
18 移送手段
20 冷鉄源装入口
21 排気口
22 予熱室入口
30 ノズル本体
31 混合コネクタ
32 気体供給管
33 廃油供給管
34 ノズルチップ
x 冷鉄源
m 溶鉄
s 溶融スラグ
A アーク加熱部

Claims (13)

  1. 冷鉄源をアーク加熱によって溶解する溶解室(1)と、この溶解室(1)に供給する冷鉄源を予熱するための予熱室(2)を備えた電気炉において、溶解室(1)で発生した排ガスを、冷鉄源が供給された予熱室(2)を通過させることにより冷鉄源を予熱し、この予熱された冷鉄源を溶解室(1)に供給し、溶解室(1)で溶解して溶鉄を得る方法であって、
    予熱室(2)内で廃油スプレーノズル(3)から廃油を散布することにより、冷鉄源に廃油を付着させ、この廃油が付着した冷鉄源を予熱室(2)で予熱することを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
  2. 冷鉄源が予熱室(2)内に充填された状態で予熱され、予熱された冷鉄源が溶解室(1)に順次供給されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  3. 溶解室(1)のアーク加熱部から離れた位置の上部に、溶解室(1)と連通するように予熱室(2)が設けられ、この予熱室(2)の上部に冷鉄源装入口(20)を有する電気炉において溶鉄を製造するに際し、
    冷鉄源装入口(20)から予熱室(2)内に装入された冷鉄源は、予熱室(2)およびその下方の溶解室(1)の空間部分(1a)に充填され、この空間部分(1a)の冷鉄源が順次アーク加熱部側に押し出されることを特徴とする請求項2に記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  4. 空間部分(1a)の冷鉄源が、押し出し機(3)により順次アーク加熱部側に押し出されることを特徴とする請求項3に記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  5. 冷鉄源が予熱室(2)内において移送手段(18)で移送されながら予熱され、予熱された冷鉄源が移送手段(18)から溶解室(1)に順次供給されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  6. 予熱室(2)に装入された冷鉄源1トンあたり2Mcal以上50Mcal以下の発熱量の廃油を廃油スプレーノズル(3)から散布することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  7. 廃油スプレーノズル(3)から散布する廃油は、油分とともに水分を含む廃油であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  8. 廃油スプレーノズル(3)から散布する廃油が、金属材の圧延工程における使用済み潤滑剤または該使用済み潤滑剤から水分の一部を分離除去したものであることを特徴とする請求項7に記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  9. 予熱室(2)から排気される際の排ガスの温度を400℃以上とすることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  10. 冷鉄源をアーク加熱によって溶解する溶解室(1)と、この溶解室(1)に供給する冷鉄源を予熱するための予熱室(2)を備え、溶解室(1)で発生した排ガスを、冷鉄源が供給された予熱室(2)を通過させることにより冷鉄源を予熱し、この予熱された冷鉄源を溶解室(1)に供給し、溶解室(1)で溶解して溶鉄を得る電気炉であって、
    予熱室(2)内で廃油を散布するための廃油スプレーノズル(3)を有することを特徴とする電気炉。
  11. 冷鉄源をアーク加熱によって溶解する溶解室(1)と、この溶解室(1)に供給する冷鉄源を予熱するための予熱室(2)を備えた電気炉において、溶解室(1)で発生した排ガスを、冷鉄源が供給された予熱室(2)を通過させることにより冷鉄源を予熱し、この予熱された冷鉄源を溶解室(1)に供給し、溶解室(1)で溶解して溶鉄を得る際に、
    予熱室(2)内で廃油スプレーノズル(3)から廃油を散布することにより、冷鉄源に廃油を付着させ、この廃油が付着した冷鉄源を予熱室(2)で予熱することを特徴とする廃油の処理方法。
  12. 廃油スプレーノズル(3)から散布する廃油は、油分とともに水分を含む廃油であることを特徴とする請求項11に記載の廃油の処理方法。
  13. 廃油スプレーノズル(3)から散布する廃油が、金属材の圧延工程における使用済み潤滑剤または該使用済み潤滑剤から水分の一部を分離除去したものであることを特徴とする請求項12に記載の廃油の処理方法。
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