JP7107225B2 - ベンズアルデヒドの製造方法 - Google Patents
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Description
[1]
ベンズアルデヒドの製造方法であって、
下記工程(A):
(A)4つの酵素:アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ、およびベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼを有する少なくとも1つの微生物を利用することにより、ベンズアルデヒドを製造する工程
を含み、
前記少なくとも1つの微生物が、単独で前記4つの酵素を有する単一の微生物であるか、全体として前記4つの酵素を有する複数の微生物の組み合わせである、方法。
[2]
前記工程(A)が、下記(a)~(c)からなる群より選択される手段により実施される、前記方法:
(a)前記少なくとも1つの微生物を培養すること;
(b)前記少なくとも1つの微生物の菌体を利用すること;または
(c)前記複数の微生物の一部を培養することと、前記複数の微生物の残部の菌体を利用することとの組み合わせ。
[3]
ベンズアルデヒドが、炭素源またはL-フェニルアラニンから製造される、前記方法。[4]
前記工程(A)が、下記工程(B)または(C):
(B)前記少なくとも1つの微生物を利用して炭素源からベンズアルデヒドを製造する工程;
(C)前記少なくとも1つの微生物を利用してL-フェニルアラニンをベンズアルデヒドに変換する工程
により実施され、
前記工程(B)で利用される前記少なくとも1つの微生物が、L-フェニルアラニン生産能を有する、前記方法。
[5]
前記工程(A)が、下記工程(B1)、(C1)、または(C2):
(B1)炭素源を含有する培地で前記少なくとも1つの微生物を培養し、ベンズアルデヒドを該培地中に生成蓄積する工程;
(C1)L-フェニルアラニンを含有する培地で前記少なくとも1つの微生物を培養し、ベンズアルデヒドを該培地中に生成蓄積する工程;
(C2)前記少なくとも1つの微生物の菌体を反応液中でL-フェニルアラニンと共存させ、ベンズアルデヒドを該反応液中に生成蓄積する工程
により実施され、
前記工程(B1)で利用される前記少なくとも1つの微生物が、L-フェニルアラニン生産能を有する、前記方法。
[6]
前記工程(A)が、下記工程(D1)および(D2):
(D1)下記工程(D1a)または(D1b):
(D1a)炭素源からフェニルピルビン酸、(S)-マンデル酸、またはベンゾイル蟻酸を生成する工程;
(D1b)L-フェニルアラニンをフェニルピルビン酸、(S)-マンデル酸、またはベンゾイル蟻酸に変換する工程;
(D2)前記工程(D1)で生成したフェニルピルビン酸、(S)-マンデル酸、またはベンゾイル蟻酸をベンズアルデヒドに変換する工程
を含み、
前記工程(D1a)が、前記4つの酵素から選択される前記工程(D1)に対応する酵素とL-フェニルアラニン生産能とを有する少なくとも1つの微生物を利用して実施され、
前記工程(D1b)が、前記4つの酵素から選択される前記工程(D1)に対応する酵素を有する少なくとも1つの微生物を利用して実施され、
前記工程(D2)が、前記4つの酵素から選択される該工程(D2)に対応する酵素を有する少なくとも1つの微生物を利用して実施される、前記方法。
[7]
前記工程(D1a)が、該工程(D1a)で利用される前記少なくとも1つの微生物を培養することにより実施され、
前記工程(D1b)および(D2)が、該工程(D1b)および(D2)でそれぞれ利用される微生物の菌体を利用することにより、または、該微生物を培養することにより実施される、前記方法。
[8]
前記工程(A)が、下記工程(E1)および(E2):
(E1)下記工程(E1a)または(E1b):
(E1a)アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、および(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼとL-フェニルアラニン生産能とを有する少なくとも1つの微生物を利用することにより、炭素源からベンゾイル蟻酸を生成する工程;
(E1b)アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、および(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼを有する少なくとも1つの微生物を利用することにより、L-フェニルアラニンをベンゾイル蟻酸に変換する工程;
(E2)ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼを有する微生物を利用することにより、前記工程(E1)で生成したベンゾイル蟻酸をベンズアルデヒドに変換する工程
を含む、前記方法。
[9]
前記工程(E1a)が、該工程(E1a)で利用される前記少なくとも1つの微生物を培養することにより実施され、
前記工程(E1b)および(E2)が、該工程(E1b)および(E2)でそれぞれ利用される微生物の菌体を利用することにより、または、該微生物を培養することにより実施される、前記方法。
[10]
前記工程(A)が、下記工程(F1)および(F2):
(F1)下記工程(Fa)または(Fb):
(Fa)炭素源を含有する培地で少なくとも1つの微生物を培養し、ベンゾイル蟻酸を該培地中に生成蓄積する工程であって、該少なくとも1つの微生物が、アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、および(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼとL-フェニルアラニン生産能とを有する工程;
(Fb)L-フェニルアラニンを含有する培地で少なくとも1つの微生物を培養し、ベンゾイル蟻酸を該培地中に生成蓄積する工程、または少なくとも1つの微生物の菌体をL-フェニルアラニンと反応液中で共存させ、ベンゾイル蟻酸を該反応液中に生成蓄積する工程であって、該少なくとも1つの微生物が、アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、および(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼを有する工程;
(F2)前記工程(F1)で生成したベンゾイル蟻酸を含有する培地で微生物を培養し、ベンズアルデヒドを該培地中に生成蓄積する工程、または微生物の菌体を前記工程(F1
)で生成したベンゾイル蟻酸と反応液中で共存させ、ベンズアルデヒドを該反応液中に生成蓄積する工程であって、該微生物が、ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼを有する工程
を含む、前記方法。
[11]
前記工程(A)が、下記工程(G1)~(G4):
(G1)下記工程(G1a)または(G1b):
(G1a)アミノ酸デアミナーゼを有する微生物を利用することにより、炭素源からフェニルピルビン酸を生成する工程;
(G1b)アミノ酸デアミナーゼを有する微生物を利用することにより、L-フェニルアラニンをフェニルピルビン酸に変換する工程;
(G2)4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼを有する微生物を利用することにより、前記工程(G1)で生成したフェニルピルビン酸を(S)-マンデル酸に変換する工程;
(G3)(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼを有する微生物を利用することにより、前記工程(G2)で生成した(S)-マンデル酸をベンゾイル蟻酸に変換する工程;
(G4)ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼを有する微生物を利用することにより、前記工程(G3)で生成したベンゾイル蟻酸をベンズアルデヒドに変換する工程
を含む、前記方法。
[12]
前記工程(G1a)が、該工程(G1a)で利用される前記微生物を培養することにより実施され、
前記工程(G1b)および(G2)~(G4)が、該工程(G1b)および(G2)~(G4)でそれぞれ利用される微生物の菌体を利用することにより、または、該微生物を培養することにより実施される、前記方法。
[13]
前記菌体が、前記微生物の培養物、該培養物から回収された菌体、それらの処理物、またはそれらの組み合わせである、前記方法。
[14]
前記アミノ酸デアミナーゼが、下記(a)、(b)、または(c)に記載のタンパク質である、前記方法:
(a)配列番号12に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号12に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含み、且つ、アミノ酸デアミナーゼ活性を有するタンパク質;
(c)配列番号12に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、アミノ酸デアミナーゼ活性を有するタンパク質。
[15]
前記4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼが、下記(a)、(b)、(c)、または(d)に記載のタンパク質である、前記方法:
(a)配列番号14、16、18、20、22、33、37、41、43、または45に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号14、16、18、20、22、33、37、41、43、または45に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含み、且つ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ活性を有するタンパク質;
(c)配列番号14、16、18、20、22、33、37、41、43、または45に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ活性を有するタンパク質;
(d)上記(a)、(b)、または(c)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において特定の変異を有するアミノ酸配列を含み、該特定の変異が、T2、M3、G5、Y18、A27、D35、E46、E180、A187、E191、V194、A199、D201、Q206、I217、D220、T222、G255、F319、G327
、I336、K337、V343、およびQ347からなる群より選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基における変異である、タンパク質;
ただし、前記4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼが配列番号35および39のアミノ酸配列からなるタンパク質である場合は除く。
[16]
前記特定の変異が、T2N、M3I、G5R、Y18F、A27V、D35G、E46Q、E180K、A187V、E191K、V194G、A199(S、V)、D201N、Q206R、I217(L、V)、D220(A、N)、T222S、G255D、F319Y、G327(D、S)、I336V、K337Q、V343M、およびQ347Lからなる群より選択される1つまたはそれ以上の変異に相当する変異である、前記方法。
[17]
前記特定の変異が、M3I/A199S/G255D、Y18F/D220N、A27V/E191K、D35G/E46Q/T222S/I336V、E180K/I217V/D220N、A187V/I217V、A199V/I217V/K337Q、D201N/I217V、I217V/F319Y
、およびD220A/Q347Lのいずれかに相当する変異である、前記方法。
[18]
前記(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼが、下記(a)、(b)、または(c)に記載のタンパク質である、前記方法:
(a)配列番号28に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号28に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含み、且つ、(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質;
(c)配列番号28に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
[19]
前記ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼが、下記(a)、(b)、または(c)に記載のタンパク質である、前記方法:
(a)配列番号30に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号30に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含み、且つ、ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質;
(c)配列番号30に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質。
[20]
前記微生物が、細菌または酵母である、前記方法。
[21]
前記微生物が、腸内細菌科に属する細菌またはコリネ型細菌である、前記方法。
[22]
前記微生物が、エシェリヒア属細菌である、前記方法。
[23]
前記微生物が、エシェリヒア・コリである、前記方法。
[24]
さらに、ベンズアルデヒドを回収する工程を含む、前記方法。
<1-1>4つのベンズアルデヒド生成酵素を有する微生物
本発明の微生物は、4つのベンズアルデヒド生成酵素(AAD、HMAS、SMDH、およびBFDC)を有する微生物である。
もよく、そうでなくてもよい。例えば、複数の微生物は、同一の属、種、または株に由来する微生物であってもよく、そうでなくてもよい。
源からベンズアルデヒドを生産できてもよい。例えば、本発明の微生物は、発酵によりベンズアルデヒドを生産する工程によって炭素源からベンズアルデヒドを生産できてもよく、発酵によりベンズアルデヒドの中間体を生産するサブステップとそれに続く該中間体をベンズアルデヒドに変換するサブステップの組み合わせによって炭素源からベンズアルデヒドを生産できてもよい。
2460-2488. Table 1. In F. D. Neidhardt (ed.), Escherichia coli and Salmonella Cellular and Molecular Biology/Second Edition, American Society for Microbiology Press, Washington, D.C.)に記載されたものが挙げられる。エシェリヒア属細菌としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)が挙げられる。エシェリヒア・コリとしては、例えば、W3110株(ATCC 27325)やMG1655株(ATCC 47076)等のエシェリヒア・コリK-12株;エシェリヒア・コリK5株(ATCC 23506);BL21(DE3)株等のエシェリヒア・コリB株;およびそれらの派生株が挙げられる。エンテロバクター属細菌としては、例えば、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)やエンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)が挙げられる。パントエア属細菌としては、例えば、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)、パントエア・スチューアルティ(Pantoea stewartii)、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)が挙げられる。エルビニア属細菌としては、例えば、エルビニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)、エルビニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)が挙げられる。クレブシエラ属細菌としては、例えば、クレブシエラ・プランティコーラ(Klebsiella planticola)が挙げられる。
コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム(Corynebacterium acetoacidophilum)
コリネバクテリウム・アセトグルタミカム(Corynebacterium acetoglutamicum)
コリネバクテリウム・アルカノリティカム(Corynebacterium alkanolyticum)
コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)
コリネバクテリウム・クレナタム(Corynebacterium crenatum)
コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)
コリネバクテリウム・リリウム(Corynebacterium lilium)
コリネバクテリウム・メラセコーラ(Corynebacterium melassecola)
コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(コリネバクテリウム・エフィシエンス)(Corynebacterium thermoaminogenes (Corynebacterium efficiens))
コリネバクテリウム・ハーキュリス(Corynebacterium herculis)
ブレビバクテリウム・ディバリカタム(コリネバクテリウム・グルタミカム)(Brevibacterium divaricatum (Corynebacterium glutamicum))
ブレビバクテリウム・フラバム(コリネバクテリウム・グルタミカム)(Brevibacterium
flavum (Corynebacterium glutamicum))
ブレビバクテリウム・イマリオフィラム(Brevibacterium immariophilum)
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(コリネバクテリウム・グルタミカム)(Brevibacterium lactofermentum (Corynebacterium glutamicum))
ブレビバクテリウム・ロゼウム(Brevibacterium roseum)
ブレビバクテリウム・サッカロリティカム(Brevibacterium saccharolyticum)
ブレビバクテリウム・チオゲニタリス(Brevibacterium thiogenitalis)
コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(コリネバクテリウム・スタティオニス)(Corynebacterium ammoniagenes (Corynebacterium stationis))
ブレビバクテリウム・アルバム(Brevibacterium album)
ブレビバクテリウム・セリナム(Brevibacterium cerinum)
ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム(Microbacterium ammoniaphilum)
Corynebacterium acetoacidophilum ATCC 13870
Corynebacterium acetoglutamicum ATCC 15806
Corynebacterium alkanolyticum ATCC 21511
Corynebacterium callunae ATCC 15991
Corynebacterium crenatum AS1.542
Corynebacterium glutamicum ATCC 13020, ATCC 13032, ATCC 13060, ATCC 13869, FERM BP-734
Corynebacterium lilium ATCC 15990
Corynebacterium melassecola ATCC 17965
Corynebacterium efficiens (Corynebacterium thermoaminogenes) AJ12340 (FERM BP-1539)
Corynebacterium herculis ATCC 13868
Brevibacterium divaricatum (Corynebacterium glutamicum) ATCC 14020
Brevibacterium flavum (Corynebacterium glutamicum) ATCC 13826, ATCC 14067, AJ12418 (FERM BP-2205)
Brevibacterium immariophilum ATCC 14068
Brevibacterium lactofermentum (Corynebacterium glutamicum) ATCC 13869
Brevibacterium roseum ATCC 13825
Brevibacterium saccharolyticum ATCC 14066
Brevibacterium thiogenitalis ATCC 19240
Corynebacterium ammoniagenes (Corynebacterium stationis) ATCC 6871, ATCC 6872
Brevibacterium album ATCC 15111
Brevibacterium cerinum ATCC 15112
Microbacterium ammoniaphilum ATCC 15354
polymorpha)等のハンゼヌラ属、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等のシゾサッカロミセス属等の属に属する酵母が挙げられる。
idase)」と呼ばれる場合もある。AADとしては、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)等のProvidencia属細菌のAAD(WO2009/028338)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)等のProteus属細菌のAAD(Massad G et al., Proteus mirabilis amino acid deaminase: cloning, nucleotide sequence, and characterization of aad. J Bacteriol. 1995 Oct;177(20):5878-83.)、その他各種生物のAADが挙げられる。Providencia rettgeriとしては、Providencia rettgeri AJ2770株(FERM BP-941)やIFO13501株が挙げられる。Providencia rettgeri AJ2770株(FERM BP-941)のAAD遺伝子の塩基配列を配列番号11に、同遺伝子がコードするAADのアミノ酸配列を配列番号12に、それぞれ示す。なお、配列番号11に示すAAD遺伝子は、実施例で用いたもので、改変型である。Providencia rettgeri AJ2770株(FERM BP-941)の野生型AAD遺伝子の塩基配列を配列番号31に示す。同野生型AAD遺伝子がコードするAADのアミノ酸配列は、前記改変型AAD遺伝子がコードするAADのアミノ酸配列と同一(すなわち配列番号12)である。本発明の微生物は、1種のAADを有していてもよく、2種またはそれ以上のAADを有していてもよい。
-ヒドロキシフェニルピルビン酸等のα-ケト酸を酸化的脱炭酸する反応を触媒する酵素
(EC 1.13.11.46)として知られている。本発明において用いられるHMASは、少なくとも
フェニルピルビン酸を基質とする。本発明において用いられるHMASは、フェニルピルビン酸を基質とする限り、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸等の他のα-ケト酸を基質としてもよく、しなくてもよい。すなわち、本発明において、「HMAS」とは、フェニルピルビン酸を酸化的脱炭酸して(S)-マンデル酸を生成する反応、すなわちフェニルピルビン酸と酸素から(S)-マンデル酸と二酸化炭素を生成する反応、を触媒する活性を有するタンパク質をいう。また、本発明において、同活性を「HMAS活性」ともいう。HMASをコードする遺伝子を「HMAS遺伝子」ともいう。HMASとしては、アミコラトプシス・オリエンタリス(Amycolatopsis orientalis)やアミコラトプシス・バリヒミシナ(Amycolatopsis balhimycina)等のAmycolatopsis属細菌のHMAS、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・トヨセンシス(Streptomyces toyocaensis)、ストレプトマイセス・リモサス(Streptomyces rimosus)等のStreptomyces属細菌
のHMAS、ロドコッカス・ロドニー(Rhodococcus rhodnii)等のRhodococcus属細菌のHMAS、アクチノプラネス・テイコマイセティカス(Actinoplanes teichomyceticus)、アクチノプラネス・レクチリネタス(Actinoplanes rectilineatus)、アクチノプラネス・サブトロピカス(Actinoplanes subtropicus)等のActinoplanes属細菌のHMAS、キブデロスポランジウム・アリダム(Kibdelosporangium aridum)等のKibdelosporangium属細菌のHMAS、ノノムレア・コキセンシス(Nonomuraea coxensis)等のNonomuraea属細菌のHMAS、ヘルペトシフォン・オーランティアクス(Herpetosiphon aurantiacus)等のHerpetosiphon属細菌のHMAS、その他各種生物のHMASが挙げられる。Amycolatopsis orientalis、Streptomyces coelicolor、Streptomyces toyocaensis、Rhodococcus rhodnii、Actinoplanes teichomyceticus、Amycolatopsis balhimycina、Kibdelosporangium aridum、Nonomuraea coxensis、Actinoplanes rectilineatus、Actinoplanes subtropicus、Streptomyces rimosus、Herpetosiphon aurantiacusのHMAS遺伝子の塩基配列(E. coliでの発現用にコドン使用頻度を至適化したもの)を配列番号13、15、17、19、21、32、34、36、38、40、42、44に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号14、16、18、20、22、33、35、37、39、41、43、45に、それぞれ示す。本発明の微生物は、1種のHMASを有していてもよく、2種またはそれ以上のHMASを有していてもよい。一態様において、HMASからは、配列番号35および39のアミノ酸配列を有するHMASが除外されてもよい。また、別の態様において、HMASからは、配列番号14、16、35、および39のアミノ酸配列を有するHMASが除外されてもよい。同様に、HMAS遺伝子からは、配列番号35および39のアミノ酸配列を有するHMASをコードするHMAS遺伝子または配列番号14、16、35、および39のアミノ酸配列を有するHMASをコードするHMAS遺伝子が除外されてもよい。
al., Immobilization of (S)-mandelate dehydrogenase and its catalytic performance on stereoselective transformation of mandelic acid. Journal of the Taiwan Institute of Chemical Engineers Volume 45, Issue 3, May 2014, Pages 744-748.)。
列番号14、16、18、20、22、33、35、37、39、41、43、または45に示すアミノ酸配列、SMDHについて配列番号28に示すアミノ酸配列、BFDCについて配列番号30に示すアミノ酸配列)において、1若しくは数個の位置での1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするものであってもよい。例えば、コードされるタンパク質は、そのN末端および/またはC末端が、延長または短縮されていてもよい。なお上記「1又は数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、具体的には
、例えば、1~50個、1~40個、1~30個、好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個を意味する。
アミノ酸残基であってもよい。改変後のアミノ酸残基として、具体的には、K(Lys)、R(Arg)、H(His)、A(Ala)、V(Val)、L(Leu)、I(Ile)、G(Gly)、S(Ser)、T(Thr)、P(Pro)、F(Phe)、W(Trp)、Y(Tyr)、C(Cys)、M(Met)、D(Asp)、E(Glu)、N(Asn)、Q(Gln)の内、改変前のアミノ酸残基以外のものが挙げられる。改変後のアミノ酸残基としては、ベンズアルデヒドの生産に有効なものを選択してよい。
基」とみなされる。
154, 367 (1987))が挙げられる。
dehydroquinate dehydratase等のいくつかのL-フェニルアラニン生合成酵素をコードする遺伝子の発現は、tyrR遺伝子にコードされるチロシンリプレッサーtyrRによって抑制され得る。よって、L-フェニルアラニン生合成酵素の活性は、例えば、チロシンリプレッサーtyrRの活性を低下させることにより、増大させることができる。また、いくつかのL-フェニルアラニン生合成酵素は、L-フェニルアラニン等の芳香族アミノ酸によるフィードバック阻害を受け得る。例えば、二機能性コリスミ酸ムターゼ-プレフェン酸デヒドラターゼは、L-フェニルアラニンによるフィードバック阻害を受け得る。よって、L-フェニルアラニン生合成酵素の活性は、例えば、そのようなフィードバック阻害が解除された変異型L-フェニルアラニン生合成酵素をコードする遺伝子を用いることにより、増大させることができる。
する微生物の育種に使用される遺伝子は、元の機能(すなわち、酵素活性等)が維持されている限り、タンパク質の公知のアミノ酸配列において、1若しくは数個の位置での1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。遺伝子およびタンパク質の保存的バリアントについては、上述したベンズアルデヒド生成酵素遺伝子およびベンズアルデヒド生成酵素の保存的バリアントに関する記載を準用できる。
以下に、タンパク質の活性を増大させる手法(遺伝子を導入する手法も含む)について説明する。
現が上昇する」とは、具体的には、同遺伝子の細胞当たりの発現量が非改変株と比較して増大することを意味してよい。「遺伝子の発現が上昇する」とは、より具体的には、遺伝子の転写量(mRNA量)が増大すること、および/または、遺伝子の翻訳量(タンパク質の量)が増大することを意味してよい。なお、「遺伝子の発現が上昇する」ことを、「遺伝子の発現が増強される」ともいう。遺伝子の発現は、例えば、非改変株の、1.2倍以上、1.5倍以上、2倍以上、または3倍以上に上昇してよい。また、「遺伝子の発現が上昇する」ことには、もともと標的の遺伝子が発現している菌株において同遺伝子の発現量を上昇させることだけでなく、もともと標的の遺伝子が発現していない菌株において、同遺伝子を発現させることも包含される。すなわち、「遺伝子の発現が上昇する」とは、例えば、標的の遺伝子を保持しない菌株に同遺伝子を導入し、同遺伝子を発現させることを意味してもよい。
、pTrc99A(ファルマシア社)、pPROK系ベクター(クロンテック社)、pKK233‐2(クロンテック社)、pET系ベクター(ノバジェン社)、pQE系ベクター(キアゲン社)、pCold TF DNA(タカラバイオ社)、pACYC系ベクター、広宿主域ベクターRSF1010が挙げられる。コリネ型細菌で自律複製可能なベクターとして、具体的には、例えば、pHM1519(Agric. Biol. Chem., 48, 2901-2903(1984));pAM330(Agric. Biol. Chem., 48, 2901-2903(1984));これらを改良した薬剤耐性遺伝子を有するプラスミド;pCRY30(特開平3-210184);pCRY21、pCRY2KE、pCRY2KX、pCRY31、pCRY3KE、およびpCRY3KX(特開平2-72876、米国特許5,185,262号);pCRY2およびpCRY3(特開平1-191686);pAJ655、pAJ611、およびpAJ1844(特開昭58-192900);pCG1(特開昭57-134500);pCG2(特開昭58-35197);pCG4およびpCG11(特開昭57-183799);pVK7(特開平10-215883);pVK9(WO2007/046389);pVS7(WO2013/069634);pVC7(特開平9-070291)が挙げられる。
知の手法により行うことができる。例えば、部位特異的変異法により、DNAの目的部位に目的の変異を導入することができる。すなわち、例えば、部位特異的変異法により、コードされるタンパク質が特定の部位においてアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むように、遺伝子のコード領域を改変することができる。部位特異的変異法としては、PCRを用いる方法(Higuchi, R., 61, in PCR technology, Erlich, H. A. Eds., Stockton press (1989);Carter, P., Meth. in Enzymol., 154, 382 (1987))や、ファージを用いる方法(Kramer, W. and Frits, H. J., Meth. in Enzymol., 154, 350 (1987);Kunkel, T. A. et al., Meth. in Enzymol., 154, 367 (1987))が挙げられる。あるいは、遺伝子のバリアントを全合成してもよい。
53, 674-679(2000))、コリネ型細菌内で酢酸、エタノール、ピルビン酸等で誘導できるpta、aceA、aceB、adh、amyEプロモーター、コリネ型細菌内で発現量が多い強力なプロモーターであるcspB、SOD、tuf(EF-Tu)プロモーター(Journal of Biotechnology 104 (2003) 311-323, Appl Environ Microbiol. 2005 Dec;71(12):8587-96.)、lacプロモーター、tacプロモーター、trcプロモーターが挙げられる。また、より強力なプロモーターとしては、各種レポーター遺伝子を用いることにより、在来のプロモーターの高活性型のものを取得してもよい。例えば、プロモーター領域内の-35、-10領域をコンセンサス配列に近づけることにより、プロモーターの活性を高めることができる(国際公開第00/18935号)。高活性型プロモーターとしては、各種tac様プロモーター(Katashkina JI et al. Ru
ssian Federation Patent application 2006134574)が挙げられる。プロモーターの強度の評価法および強力なプロモーターの例は、Goldsteinらの論文(Prokaryotic promoters
in biotechnology. Biotechnol. Annu. Rev., 1, 105-128 (1995))等に記載されている。
1988, 73, 227-235)。さらに、RBSと開始コドンとの間のスペーサー領域、特に開始コドンのすぐ上流の配列(5’-UTR)における数個のヌクレオチドの置換、あるいは挿入、あるいは欠失がmRNAの安定性および翻訳効率に非常に影響を及ぼすことが知られており、これらを改変することによっても遺伝子の翻訳効率を向上させることができる。
ダム変異を誘発してもよい。比活性の増強は、単独で用いてもよく、上記のような遺伝子の発現を増強する手法と任意に組み合わせて用いてもよい。
al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual/Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor (USA), 2001)。mRNAの量は、例えば、非改変株の、1.2倍以上、1.5倍以上、2倍以上、または3倍以上に上昇してよい。
以下に、タンパク質の活性を低下させる手法について説明する。
、各微生物種の基準株(type strain)が挙げられる。また、非改変株として、具体的には、微生物の説明において例示した菌株も挙げられる。すなわち、一態様において、タンパク質の活性は、基準株(すなわち本発明の微生物が属する種の基準株)と比較して低下してよい。また、別の態様において、タンパク質の活性は、C. glutamicum ATCC 13869株と比較して低下してもよい。また、別の態様において、タンパク質の活性は、C. glutamicum ATCC 13032株と比較して低下してもよい。また、別の態様において、タンパク質の活性は、E. coli K-12 MG1655株と比較して低下してもよい。なお、「タンパク質の活性が低下する」ことには、同タンパク質の活性が完全に消失している場合も包含される。「タンパク質の活性が低下する」とは、より具体的には、非改変株と比較して、同タンパク質の細胞当たりの分子数が低下していること、および/または、同タンパク質の分子当たりの機能が低下していることを意味してよい。すなわち、「タンパク質の活性が低下する」という場合の「活性」とは、タンパク質の触媒活性に限られず、タンパク質をコードする遺伝子の転写量(mRNA量)または翻訳量(タンパク質の量)を意味してもよい。なお、「タンパク質の細胞当たりの分子数が低下している」ことには、同タンパク質が全く存在していない場合も包含される。また、「タンパク質の分子当たりの機能が低下している」ことには、同タンパク質の分子当たりの機能が完全に消失している場合も包含される。タンパク質の活性の低下の程度は、タンパク質の活性が非改変株と比較して低下していれば特に制限されない。タンパク質の活性は、例えば、非改変株の、50%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または0%に低下してよい。
な遺伝子の破壊により、遺伝子の発現自体が低下し得る。
本発明の方法は、本発明の微生物を利用したベンズアルデヒドの製造方法である。言い換えると、本発明の方法は、具体的には、本発明の微生物を利用してベンズアルデヒドを製造する工程を含む、ベンズアルデヒドの製造方法である。同工程を「製造工程」ともいう。
養することにより、本発明の微生物の菌体を用いることにより、またはそれらの組み合わせにより実施されてよい。組み合わせは、具体的には、本発明の微生物を構成する複数の微生物の一部を培養することと、該複数の微生物の残部の菌体を用いることとの組み合わせであってよい。ベンズアルデヒドは、例えば、炭素源またはL-フェニルアラニンから製造することができる。
ベンズアルデヒドは、例えば、L-フェニルアラニン生産能を有する本発明の微生物の発酵により製造することができる。すなわち、本発明の方法の一態様は、L-フェニルアラニン生産能を有する本発明の微生物の発酵によりベンズアルデヒドを製造する方法であってよい。この態様を、「発酵法」ともいう。また、L-フェニルアラニン生産能を有する本発明の微生物の発酵によりベンズアルデヒドを製造する工程を、「発酵工程」ともいう。
されない。炭素源として、具体的には、例えば、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、廃糖蜜、澱粉の加水分解物、バイオマスの加水分解物等の糖類、酢酸、クエン酸、コハク酸、グルコン酸等の有機酸類、エタノール、グリセロール、粗グリセロール等のアルコール類、脂肪酸類が挙げられる。なお、炭素源としては、植物由来原料を好ましく用いることができる。植物としては、例えば、トウモロコシ、米、小麦、大豆、サトウキビ、ビート、綿が挙げられる。植物由来原料としては、例えば、根、茎、幹、枝、葉、花、種子等の器官、それらを含む植物体、それら植物器官の分解産物が挙げられる。植物由来原料の利用形態は特に制限されず、例えば、未加工品、絞り汁、粉砕物、精製物等のいずれの形態でも利用できる。また、キシロース等の5炭糖、グルコース等の6炭糖、またはそれらの混合物は、例えば、植物バイオマスから取得して利用できる。具体的には、これらの糖類は、植物バイオマスを、水蒸気処理、濃酸加水分解、希酸加水分解、セルラーゼ等の酵素による加水分解、アルカリ処理等の処理に供することにより取得できる。なお、ヘミセルロースは一般的にセルロースよりも加水分解されやすいため、植物バイオマス中のヘミセルロースを予め加水分解して5炭糖を遊離させ、次いで、セルロースを加水分解して6炭糖を生成させてもよい。また、キシロースは、例えば、本発明の微生物にグルコース等の6炭糖からキシロースへの変換経路を保有させて、6炭糖からの変換により供給してもよい。炭素源としては、1種の炭素源を用いてもよく、2種またはそれ以上の炭素源を組み合わせて用いてもよい。
地中の炭素源が消費されるまで、あるいは本発明の微生物の活性がなくなるまで、継続してもよい。
ベンズアルデヒドは、例えば、本発明の微生物を利用した生物変換により製造することもできる。すなわち、本発明の方法の別の態様は、本発明の微生物を利用した生物変換によりベンズアルデヒドを製造する方法であってよい。この態様を、「生物変換法」ともいう。また、本発明の微生物を利用した生物変換によりベンズアルデヒドを製造する工程を、「生物変換工程」ともいう。
ウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。塩としては、1種の塩を用いてもよく、2種またはそれ以上の塩を組み合わせて用いてもよい。
にあっては、L-フェニルアラニンからベンズアルデヒドへの変換が成立する態様で、該複数の微生物から選択される少なくとも1つの微生物の菌体を反応液中でL-フェニルアラニンと共存またはL-フェニルアラニンに作用させることを意味し、該複数の微生物の全ての菌体を反応液中でL-フェニルアラニンと共存またはL-フェニルアラニンに作用させることは要しない。すなわち、「本発明の微生物の菌体を反応液中でL-フェニルアラニンと共存またはL-フェニルアラニンに作用させる」とは、本発明の微生物が複数の微生物の組み合わせである場合にあっては、例えば、少なくとも、AADを有する微生物の菌体を反応液中でL-フェニルアラニンと共存またはL-フェニルアラニンに作用させることを意味してよい。すなわち、例えば、AADを有する微生物の菌体を反応液中でL-フェニルアラニンと共存またはL-フェニルアラニンに作用させることによりL-フェニルアラニンが全て後述するような中間体に変換された後で、他の微生物の菌体を反応液に供給してもよい。
フェニルアラニンを含有する反応液を通液することにより、変換反応を実施できる。反応液としては、水や水性緩衝液等の水性媒体(水性溶媒)が挙げられる。
(すなわち培養液)または反応液が得られる。ベンズアルデヒドが生成したことの確認やベンズアルデヒドの回収は、いずれも、上述した発酵法と同様に実施することができる。すなわち、生物変換法は、さらに、回収工程(例えば、培地(または培養液)または反応液からベンズアルデヒドを回収する工程)を含んでいてよい。回収されるベンズアルデヒドは、ベンズアルデヒド以外に、例えば、微生物菌体、培地成分、反応液成分、水分、及び微生物の代謝副産物等の他の成分を含んでいてもよい。回収されたベンズアルデヒドの純度は、例えば、30%(w/w)以上、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、80%(w/w)以上、90%(w/w)以上、または95%(w/w)以上であってよい。
製造工程(例えば、発酵工程や生物変換工程)は、特に制限されないが、中間体の生成を経て実施されてもよい。中間体としては、AAD、HMAS、およびSMDHが触媒する反応の産物である、フェニルピルビン酸、(S)-マンデル酸、およびベンゾイル蟻酸が挙げられる。なお、フェニルピルビン酸、(S)-マンデル酸、およびベンゾイル蟻酸という配列において、フェニルピルビン酸側を「上流」、ベンゾイル蟻酸側を「下流」ともいう。すなわち、製造工程は、1つまたはそれ以上の中間体の生成を伴う複数の工程を含んでいてもよい。このような製造工程に含まれる複数の工程のそれぞれを「サブステップ」ともいう。製造工程は、例えば、2つ、3つ、または4つのサブステップを含んでいてよい。製造工程のサブステップとしては、発酵サブステップや生物変換サブステップが挙げられる。発酵サブステップとしては、炭素源から中間体を生産するサブステップが挙げられる。生物変換サブステップとしては、L-フェニルアラニンを中間体に変換する工程、中間体をその下流の別の中間体に変換する工程、中間体をベンズアルデヒドに変換する工程が挙げられる。製造工程のサブステップの組み合わせは、ベンズアルデヒドを製造できる限り、特に制限されない。
よい。
つのベンズアルデヒド生成酵素を有する微生物)についての説明を準用することができる。すなわち、例えば、AAD、HMAS、およびSMDHを有する微生物は、AAD、HMAS、およびSMDHを単独で有する単一の微生物であってもよく、AAD、HMAS、およびSMDHを全体として有する複数の微生物の組み合わせであってもよい。
(1)下記工程(1a)または(1b):
(1a)炭素源を含有する培地で少なくとも1つの微生物を培養し、ベンゾイル蟻酸を該培地中に生成蓄積する工程であって、該少なくとも1つの微生物が、アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、および(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼとL-フェニルアラニン生産能とを有する工程;
(1b)L-フェニルアラニンを含有する培地で少なくとも1つの微生物を培養し、ベンゾイル蟻酸を該培地中に生成蓄積する工程、または少なくとも1つの微生物の菌体をL-フェニルアラニンと反応液中で共存させ、ベンゾイル蟻酸を該反応液中に生成蓄積する工程であって、該少なくとも1つの微生物が、アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、および(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼを有する工程;
(2)前記工程(1)で生成したベンゾイル蟻酸を含有する培地で微生物を培養し、ベンズアルデヒドを該培地中に生成蓄積する工程、または微生物の菌体を前記工程(1)で生成したベンゾイル蟻酸と反応液中で共存させ、ベンズアルデヒドを該反応液中に生成蓄積する工程であって、該微生物が、ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼを有する工程。
い。例えば、サブステップAの開始時にサブステップAとサブステップBに対応するベンズアルデヒド生成酵素を有する微生物と、サブステップAの基質とを反応系(反応液や培地)に共存させることで、サブステップAとサブステップBを同時に開始することができる。あるいは、例えば、サブステップBに対応するベンズアルデヒド生成酵素を有する微生物が反応系に存在していない条件下でサブステップAを開始し、サブステップAの進行中または完了後にサブステップBに対応するベンズアルデヒド生成酵素を有する微生物を反応系に存在させることで、サブステップBを開始することができる。また、サブステップAの産物は、使用前に回収されてもよく、されなくてもよい。すなわち、例えば、サブステップAの産物を回収し、回収した該産物を用いてサブステップBを実施してもよい。サブステップAの産物は、そのまま、あるいは適宜、濃縮、希釈、乾燥、溶解、分画、抽出、精製等の処理に供してから、サブステップBに用いてもよい。これらサブステップAとサブステップBに関する記載は、いずれの連続するサブステップの組み合わせにも適用できる。
(1)Providencia rettgeri AJ2770由来アミノ酸デアミナーゼ発現プラスミドpSFN-AADの構築
E. coli pTB2株(国際公開第2009/028338号、実施例2)からProvidencia rettgeri AJ2770由来アミノ酸デアミナーゼ遺伝子を保有するプラスミドを抽出した。同プラスミドを鋳型にして、アミノ酸デアミナーゼ遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、NdeI-aad-5R6R8L-F(5’-GGGAATTCCATATGAAAATCTCGcGtcGtAAGCTgTTATTAGGGGTTGGT-3’;配列番号1)およびaad-HindIII-R(5’-CCCAAGCTTTTAGCTAAAACGGGAAAGTTTATA-3’;配列番号2)を用いた。PCRは、KOD-plus-ver.2(東洋紡)を用いて以下の条件で行った。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
55℃, 10sec
68℃, 90sec
1 cycle 68℃, 90sec
4℃
アミノ酸デアミナーゼ発現プラスミドpSFN-AADが導入されたE. coli JM109をLB-amp(100 mg/L)プレート(すなわち、アンピシリン100 mg/Lを含有するLBプレート)上で25℃、一晩培養した。得られた菌体を坂口フラスコ内のTB-amp(100 mg/L)(すなわち、アンピシリン100 mg/Lを含有するTB培地)100 mLに植菌し、25℃で16時間振とう培養を行った。得られた培養液をAAD培養液とした。
(1)4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ発現プラスミドの構築
4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(HMAS)の発現プラスミドpET22-hmaS Ao、pET22-hmaS Sc、pET22-hmaS Rr、pET22-hmaS St、pET22-hmaS At、pET22-hmaS Ab、pET22-hmaS
Ka、pET22-hmaS Nc、pET22-hmaS Ar、pET22-hmaS As、pET22-hmaS Sr、およびpET22-hmaS Haを以下の手順で構築した。また、比較のため、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(4-hydroxyphenylpyruvate dioxygenase;HPPD)の発現プラスミドpET22-HPPD SaおよびpET22-HPPD Ppを以下の手順で構築した。HPPDは、HMASと同じα-ケト酸ジオキシゲナーゼの1種であり、HMASと同じ基質に作用するが、HMASとは異なる産物を生成する。
Amycolatopsis orientalis由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:WP_037311069)の遺伝子合成をライフテクノロジーズ社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドを鋳型にして、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、NdeI-hmaS Ao-F(5’-ggaattccatATGCAGAACTTTGAAATCGA-3’;配列番号3)およびhmaS Ao-XhoI-R(5’-accgctcgagTCAACGACCGGCAACTTCGC-3’;配列番号4)を用いた。PCRは、KOD-plus-ver.2(東洋紡)を用いて以下の条件で行った。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
60℃, 10sec
68℃, 60sec
1 cycle 68℃, 60sec
4℃
Streptomyces coelicolor由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:WP_011028841)の遺伝子合成をライフテクノロジーズ社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドを鋳型にして、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、AseI-hmaS Sc-F(5’-ggaattcattaATGCTGCCTCCGTTTCCGT-3’;配列番号5)およびhmaS Sc-XhoI-R(5’-accgctcgagTCAACGACGTGCCGGACCCA-3’;配列番号6)を用いた。PCRは、KOD-plus-ver.2(東洋紡)を用いて以下の条件で行った。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
60℃, 10sec
68℃, 60sec
1 cycle 68℃, 60sec
4℃
T22b(Novagen)とライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Scと命名した。pET22-hmaS Scが保有するHMAS遺伝子の塩基配列を配列番号15に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号16に、それぞれ示す。
Rhodococcus rhodnii由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:WP_037255771)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1100 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Rrと命名した。pET22-hmaS Rrが保有するHMAS遺伝子の塩基配列を配列番号19に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号20に、それぞれ示す。
Streptomyces toyocaensis由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:AAM80551)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1100 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Stと命名した。pET22-hmaS Stが保有するHMAS遺伝子の塩基配列を配列番号17に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号18に、それぞれ示す。
Actinoplanes teichomyceticus由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:CAG15040)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1100 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Atと命名した。pET22-hmaS Atが保有するHMAS遺伝子の塩基配列を配列番号21に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号22に、それぞれ示す。
Amycolatopsis balhimycina由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:CAC48371)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1100 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Abと命名した。pET22-hmaS Abが保有するHMAS
遺伝子の塩基配列を配列番号32に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号33に、それぞれ示す。
Kibdelosporangium aridum由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:WP_051895522)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1000 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Kaと命名した。pET22-hmaS Kaが保有するHMAS遺伝子の塩基配列を配列番号34に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号35に、それぞれ示す。
Nonomuraea coxensis由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:WP_026214630)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1100 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Ncと命名した。pET22-hmaS Ncが保有するHMAS遺伝子の塩基配列を配列番号36に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号37に、それぞれ示す。
Actinoplanes rectilineatus由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:WP_045739980)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1000 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Arと命名した。pET22-hmaS Arが保有するHMAS遺伝子の塩基配列を配列番号38に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号39に、それぞれ示す。
Actinoplanes subtropicus由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:WP_030437841)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1100 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Asと命名した。pET22-hmaS Asが保有するHMAS遺伝子の塩基配列を配列番号40に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号41に、それぞれ示す。
Streptomyces rimosus由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:WP_050515337)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1100 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Srと命名した。pET22-hmaS Srが保有するHMAS遺伝子の塩基配列を配列番号42に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号43に、それぞれ示す。
Herpetosiphon aurantiacus由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(GenBankアクセッション番号:ABX04531)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1100 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-hmaS Haと命名した。pET22-hmaS Haが保有するHMAS遺伝子の塩基配列を配列番号44に、同遺伝子がコードするHMASのアミノ酸配列を配列番号45に、それぞれ示す。
Streptomyces avermitilis由来4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(GenBankアクセッション番号:WP_010986553)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1100 bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-HPPD Saと命名した。pET22-HPPD Saが保有するHPPD遺伝子の塩基配列を配列番号23に、同遺伝子がコードするHPPDのアミノ酸配列を配列番号24に、それぞれ示す。
Pseudomonas putida由来4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(GenBankアクセッション番号:WP_046820065)の遺伝子合成をユーロフィンジェノミクス社に依頼し、当該遺伝子を含むDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドをNdeI、XhoIで制限酵素処理し得た約1100
bpのDNA断片と、同様にNdeI、XhoIで処理したpET22b(Novagen)とをライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpET22-HPPD Ppと命名した。pET22-HPPD Ppが保有するHPPD遺伝子の塩基配列を配列番号25に、同遺伝子がコードするHPPDのアミノ酸配列を配列番号26に、それぞれ示す。
Amycolatopsis orientalis由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ発現プラスミドpET22-hmaS AoをE. coli BL21(DE3)に導入し、アンピシリン耐性株から当該プラスミドを有する形質転換体を得た。この株をLB-amp(100 mg/L)プレート上で30℃、一晩培養した。得られた菌体を坂口フラスコ内のアンピシリン100mg/Lを含有するOvernight Express Instant TB Medium(Novagen)100 mLに植菌し、30℃で16時間振とう培養を行った。得られた培養液をHMAS Ao培養液とした。同様にして、HMAS Sc培養液、HMAS Rr培養液、HMAS St培養液、HMAS At培養液、HMAS Ab培養液、HMAS Ka培養液、HMAS Nc培養液、HMAS Ar培養液、HMAS As培養液、HMAS Sr培養液、HMAS Ha培養液、HPPD Sa培養液、HPPD Pp培養液を得た。
(1)Pseudomonas putida由来(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ発現プラスミドの構築
Pseudomonas putida由来(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ(GenBankアクセッション番号:BAM38408)とPseudomonas putida由来ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼ(GenBankアクセッション番号:BAM38407)の遺伝子合成をライフテクノロジーズ社に依頼し、当該遺伝子2つが連結したDNA断片が挿入されたプラスミドを得た。コドン使用頻度はE. coliでの発現用に至適化された。このプラスミドを鋳型にして、(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、NdeI-mdlB-F(5’-ggaattccatATGAGCCGCAACCTGTTTAA-3’;配列番号7)およびmdlB-XhoI-R(5’-accgctcgagTCATGCATGGGTGCCTTTAC-3’;配列番号8)を用いた。PCRは、KOD-plus-ver.2(東洋紡)を用いて以下の条件で行った。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
60℃, 10sec
68℃, 60sec
1 cycle 68℃, 60sec
4℃
Pseudomonas putida由来(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ発現プラスミドpET22-mdlBをE. coli BL21(DE3)に導入し、アンピシリン耐性株から当該プラスミドを有する形質転換体を得た。この株をLB-amp(100 mg/L)プレート上で30℃、一晩培養した。得られた菌体を坂口フラスコ内のアンピシリン100 mg/Lを含有するOvernight Express Instant TB
Medium(Novagen)100 mLに植菌し、37℃で16時間振とう培養を行った。得られた培養液をMdlB培養液とした。
(1)Pseudomonas putida由来ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼ発現プラスミドの構築
実施例3に記載の、Pseudomonas putida由来(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ(GenBankアクセッション番号:BAM38408)とPseudomonas putida由来ベンゾイル蟻酸デカル
ボキシラーゼ(GenBankアクセッション番号:BAM38407)が導入されたプラスミドを鋳型にして、ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼ遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、AseI-mdlC-F(5’-ggaattcattaATGGCAAGCGTTCATGGCA-3’;配列番号9)およびmdlC-XhoI-R(5’-accgctcgagTCATTTAACCGGACTAACGG-3’;配列番号10)を用いた。PCRは、KOD-plus-ver.2(東洋紡)を用いて以下の条件で行った。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
60℃, 10sec
68℃, 60sec
1 cycle 68℃, 60sec
4℃
Pseudomonas putida由来ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼ発現プラスミドpET22-mdlCをE. coli BL21(DE3)に導入し、アンピシリン耐性株から当該プラスミドを有する形質転換体を得た。この株をLB-amp(100 mg/L)プレート上で30℃、一晩培養した。得られた菌体を坂口フラスコ内のアンピシリン100 mg/Lを含有するOvernight Express Instant TB Medium(Novagen)100 mLに植菌し、37℃で16時間振とう培養を行った。得られた培養液をMdlC培養液とした。
実施例1~4で得られた培養液を用いて、後述する手順により、L-フェニルアラニン(L-Phe)からのベンズアルデヒド合成を行った。ベンズアルデヒドの定量は、HPLC分析により行った。分析条件は以下に示す通り。
移動相A:10 mM KH2PO4、10 mM K2HPO4
移動相B:アセトニトリル
流速:1.0 ml/min
カラム温度:40℃
検出:UV 210 nm
カラム:CAPCELL PAK MGII、4.6×150 mm、3μm(資生堂)
グラジエント:0-2 min(B:2%)、2-16 min(B:2-50%)、16.1-20 min(B:2%)
L-Phe 50 mM、硫酸鉄0.01 mM、クエン酸三ナトリウム10 mM、アスコルビン酸ナトリウム30 mM、チアミンピロりん酸クロリド10 mM、硫酸マグネシウム1 mM、リン酸カリウム緩衝液100 mM(pH7.0)、AAD濃縮液0.02 mL、HMAS濃縮液またはHPPD濃縮液0.1 mL、MdlB濃縮液0.04 mL、MdlC濃縮液0.02 mLを含有する反応液1 mLを試験管に入れ、15℃で20時間振
とうを行った。0.01 mLの反応液を1 mLの反応停止液(1%りん酸、50%エタノール)と混合し、遠心上清をHPLC分析に供した。結果を表1に示す。
L-Phe 50 mM、硫酸鉄0.01 mM、クエン酸三ナトリウム10 mM、アスコルビン酸ナトリウム30 mM、チアミンピロりん酸クロリド10 mM、硫酸マグネシウム1 mM、リン酸カリウム緩衝液100 mM(pH7.0)、AAD濃縮液0.02 mL、HMAS濃縮液またはHPPD濃縮液0.1 mL、MdlB濃縮液0.02 mLを含有する反応液1 mLを試験管に入れ、15℃で20時間振とうを行った。反応液を遠心し、上清0.49 mLとMdlC濃縮液0.01 mLとを混合して試験管に入れ、15℃で4時間振とうを行った。0.1 mLの反応液を1 mLの反応停止液(1%りん酸、50%エタノール)と混合し、遠心上清をHPLC分析に供した。結果を表2に示す。
(1)AAD遺伝子を含むDNA断片の調製
第1段階として、実施例1に記載のProvidencia rettgeri AJ2770由来アミノ酸デアミナーゼ発現プラスミドpSFN-AADを鋳型にして、SD配列およびAAD遺伝子の上流部分を含むDNA断片Aと、AAD遺伝子の下流部分を含むDNA断片Bを、それぞれPCR増幅した。プライマーは、EcoRI-SD-aad-F(5’-ACCGgaattctaaggaggaatgcatATGAA-3’;配列番号46)およびaad-delEcoRI-R(5’-CTCTTTAAATACTGGaAATTCTTTTCTCAG-3’;配列番号49)をDNA断片Aの増幅に、aad-delEcoRI-F(5’-CTGAGAAAAGAATTtCCAGTATTTAAAGAG-3’;配列番号48)およびaad-SacI-R(5’-ACCGgagctcTTAGCTAAAACGGGAAAGTT-3’;配列番号47)をDNA断片Bの増幅に用いた。第2段階として、DNA断片AおよびBを鋳型にして、SD配列およびAAD遺伝子の全長を含むDNA断片CをPCR増幅した。プライマーは、EcoRI-SD-aad-F(配列番号46)およびaad-SacI-R(配列番号47)をDNA断片Cの増幅に用いた。PCRは、各DNA断片の増幅について、KOD-plus-ver.2(東洋紡)を用いて以下の条件で行った。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
60℃, 10sec
68℃, 90sec
1 cycle 68℃, 90sec
4℃
実施例1に記載のProvidencia rettgeri AJ2770由来アミノ酸デアミナーゼ発現プラスミドpSFN-AADを鋳型にして、phoCプロモーター配列を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、PphoC up-F(5’-AAGCGGCAGGGTCGGAACAGGAGAG-3’;配列番号50)およびPphoC
NdeI-R(5’-CATATGcattcctccttacggtgttatatg-3’;配列番号51)を用いた。また、実施例2(1-5)に記載のActinoplanes teichomyceticus由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ発現プラスミドpET22-hmaS Atを鋳型にして、HMAS At遺伝子を含むDNA断片
をPCR増幅した。プライマーは、PphoC-NdeI-hmaS At-F(5’-ccgtaaggaggaatgCATATGACCATGACGGGCCACTTTC-3’;配列番号52)およびT7 terminator(5’-GCTAGTTATTGCTCAGCGG-3’;配列番号53)を用いた。得られた2つのDNA断片を鋳型にして、連結したphoCプロモーターおよびHMAS At遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、SacI-PphoC-F(5’-accgGAGCTCattttttcaatgtgatttta-3’;配列番号54)およびT7 terminator(配列番号53)を用いた。PCRは、KOD-plus-ver.2(東洋紡)を用いて以下の条件で行った。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
60℃, 10sec
68℃, 60sec
1 cycle 68℃, 60sec
4℃
phoCプロモーター配列を含むDNA断片を(2)と同様にしてPCR増幅した。また、実施例3に記載のPseudomonas putida由来(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ発現プラスミドpET22-mdlBを鋳型にして、mdlB遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、PphoC-NdeI-mdlB-F(5’-ccgtaaggaggaatgCATATGAGCCGCAACCTGTTTAACG-3’;配列番号55)およびmdlB-BamHI-R(5’-ACCGggatccTCATGCATGGGTGCCTTTAC-3’;配列番号56)を用いた。得られた2つのDNA断片を鋳型にして、連結したphoCプロモーターおよびmdlB遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、XhoI-PphoC-F(5’-accgCTCGAGattttttcaatgtgatttta-3’;配列番号57)およびmdlB-BamHI-R(配列番号56)を用いた。PCRは、KOD-plus-ver.2(東洋紡)を用いて以下の条件で行った。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
60℃, 10sec
68℃, 60sec
1 cycle 68℃, 60sec
4℃
上記で得られたAAD遺伝子、HMAS At遺伝子、およびmdlB遺伝子を含むDNA断片を、EcoRIおよびBamHIで処理したpHSG298(タカラバイオ)とライゲーションした。このライゲーション溶液でE. coli JM109を形質転換し、カナマイシン耐性株からAAD遺伝子、HMAS At遺伝子、およびmdlB(SMDH)遺伝子の全てを搭載したプラスミドを抽出し、このプラスミドをpHSG-AHBと命名した。
実施例6で構築したAAD、HMAS At、およびMdlB(SMDH)の共発現プラスミドpHSG-AHBを、E. coliのL-フェニルアラニン生産株AJ12741(特開平5-344881)に導入し、同プラスミドを有する形質転換株をカナマイシンおよびアンピシリンに耐性な株として得た。得られた株をpHSG-AHB/AJ12741株と命名した。同様にしてAAD、HMAS At、およびMdlB(SMDH)
を発現しない対照ベクターpHSG298をAJ12741株に導入し、得られた形質転換株をpHSG/AJ12741と命名した。構築した株を用いて、後述する手順に従ってグルコースからのベンズアルデヒド合成を行った。ベンズアルデヒドの定量は、HPLC分析により行った。分析条件は実施例5に記載した通りである。
ベンズアルデヒド生産を向上させるため、Actinoplanes teichomyceticus由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ(HMAS At)に種々の変異を導入した。
実施例2(1-5)に記載のActinoplanes teichomyceticus由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼをコードする遺伝子が挿入されたプラスミドを鋳型にして、HMAS At遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、T7 promoter(5’-TAATACGACTCACTATAGGG-3’;配列番号58)およびhmaS At-XhoHis-R(5’-accgctcgagACGGCCATCCGCGGCAGCCT-3’;配列番号59)を用いた。PCRは、KOD-plus-ver.2(東洋紡)を用いて以下の条件で行った。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
60℃, 10sec
68℃, 60sec
1 cycle 68℃, 60sec
4℃
pET22-hmaS At-Hisを鋳型にして、HMAS At-Hisへ表3に示す変異をそれぞれ導入した。変異導入は、PrimeSTAR Max(タカラバイオ)と表3に示すプライマーを用いて以下の条件で行った。
30 cycles 98℃, 10sec
60℃, 15sec
72℃, 40sec
1 cycle 4℃
実施例8(2)で得た変異型HMAS At-Hisの発現プラスミドをそれぞれE. coli BL21(DE3)に導入し、同プラスミドを有する形質転換株をアンピシリン耐性株として得た。形質転換株をLB-amp(100 mg/L)プレート上で30℃、一晩培養した。得られた菌体を試験管内のアンピシリン100 mg/Lを含有するOvernight Express Instant TB Medium(Novagen)10 mLに植菌し、30℃で16時間振とう培養を行った。培養液から菌体を遠心により取得し、2 mLのxTractor Buffer(タカラバイオ)で懸濁し、室温で20分間静置して菌体を破砕した。破砕液を遠心して菌体残渣を除き、上清を可溶性画分として以下に用いた。可溶性画分を、予めバッファー(Tris-HCl(pH 8.0) 20 mM、NaCl 300 mM、Imidazole 10 mM)で平衡化したHis-tag融合タンパク質精製カラムHisTALON Superflow Cartridges(タカラバイオ、CV=1 mL)に供し、タンパク質をカラムに吸着させた。カラムに吸着しなかったタンパク質を同じバッファーで洗い流した。溶出バッファー(Tris-HCl(pH 8.0) 20 mM、NaCl
300 mM、Imidazole 150 mM)を流速1.5 mL/minでカラムに流すことにより、カラムに吸着したタンパク質を溶出した。溶出画分を集めて、アミコンウルトラ-15 30k(ミリポア)を用いて濃縮した。濃縮液をTris-HCl(pH7.6) 20 mMで希釈し、変異型HMAS At-Hisの精製酵素として以下に用いた。
実施例1に記載のProvidencia rettgeri AJ2770由来アミノ酸デアミナーゼ発現プラスミドpSFN-AADを鋳型にして、phoCプロモーター配列を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、PphoC up-F(配列番号50)およびPphoC NdeI-R(配列番号51)を用いた。また、実施例8(1)に記載のActinoplanes teichomyceticus由来4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ発現プラスミドpET22-hmaS At-Hisを鋳型にして、HMAS At-His遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、PphoC-NdeI-hmaS At-F(配列番号52)およびHis6 SacI-R(5’-ACCGgagctcagtggtggtggtggtggtg-3’;配列番号64)を用いた。得られた2つのDNA断片を鋳型にして、連結したphoCプロモーターおよびHMAS At-His遺伝子を含むDNA断片をPCR増幅した。プライマーは、EcoRI-PphoC-F(5’-gaaccgGAATTCattttttcaatgtgatttta-3’;配列番号65)およびHis6 SacI-R(配列番号64)を用いた。PCRは、KOD-plus-ver.2(東洋紡)を用いて以下の条件で行った。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
60℃, 10sec
68℃, 60sec
1 cycle 68℃, 60sec
4℃
JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株から目的のプラスミドを抽出し、このプラスミドをpPC-hmaS At-Hisと命名した。
1 cycle 94℃, 2min
25 cycles 98℃, 10sec
60℃, 10sec
68℃, 60sec
1 cycle 68℃, 60sec
4℃
pPC-hmaS At-His(SDatc)を鋳型にして、HMAS At-Hisへ変異を導入した。変異導入は、GeneMorph II Random Mutagenesis kit(アジレント・テクノロジー)を用いて以下の条件で行った。プライマーは、M13 Primer M4(5’-GTTTTCCCAGTCACGAC-3’;配列番号67)およびM13 Primer RV(5’-CAGGAAACAGCTATGAC-3’;配列番号68)を用いた。
1 cycle 95℃, 2min
30 cycles 95℃, 30sec
60℃, 30sec
72℃, 60sec
1 cycle 72℃, 10min
4℃
No. 10~13の変異型HMAS At-His発現プラスミドを有する形質転換株をLB-amp(100 mg/L)プレート上で30℃、一晩培養した。得られた菌体を試験管内のTB-amp(100 mg/L)に植菌し、37℃で16時間振とう培養を行った。菌体の処理と酵素の精製は実施例8(3)と同様に行い、変異型HMAS At-Hisの精製酵素を得た。同様に、pPC-hmaS At-His(SDatc) を有する形質転換株を培養し、野生型(WT)HMAS At-Hisを精製し、野生型HMAS At-Hisの精製酵素を得た。
精製した変異型および野生型HMAS At-Hisを用いて、以下の手順によりL-フェニルアラニン(L-Phe)から2段階でのベンズアルデヒド合成を行った。ベンズアルデヒドの定量は、HPLC分析により行った。分析条件は実施例5と同一である。
I217V変異を有する変異型HMAS At-HisをコードするpPC-hmaS At-His I217V (SDatc)を鋳型にして、さらに変異を導入した。変異の導入およびライブラリーの構築は実施例8(5)と同様に行った。プラスミドライブラリーでE. coli JM109を形質転換し、変異型HMAS At-His発現プラスミドを有する形質転換株を得た。各形質転換株からプラスミドを抽出し、変異型HMAS At遺伝子の塩基配列を決定した。得られた変異体は、表6に示す変異を有していた。
No. 3~12および14~21の変異型HMAS At-Hisの発現プラスミドを有する形質転換株をLB-amp(100 mg/L)プレート上で30℃、一晩培養した。得られた菌体を試験管内のTB-amp(100 mg/L)10 mLに植菌し、37℃で16時間振とう培養を行った。得られた培養液を遠心により濃縮し、5倍濃縮液を得た。同様に、pPC-hmaS At-His(SDatc) を有する形質転換株を培養し、野生型(WT)HMAS At-Hisの培養液の5倍濃縮液を調製した。これら濃縮液をHMAS
At-His濃縮液として以下の反応に用いた。
HMAS At-His濃縮液を用いて、以下の手順によりL-フェニルアラニン(L-Phe)から2段階でのベンズアルデヒド合成を行った。ベンズアルデヒドの定量は、HPLC分析により行った。分析条件は実施例5と同一である。
配列番号1~10:プライマー
配列番号11:Providencia rettgeri AJ2770の改変型AAD遺伝子の塩基配列
配列番号12:Providencia rettgeri AJ2770のAADのアミノ酸配列
配列番号13:Amycolatopsis orientalisのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号14:Amycolatopsis orientalisのHMASのアミノ酸配列
配列番号15:Streptomyces coelicolorのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号16:Streptomyces coelicolorのHMASのアミノ酸配列
配列番号17:Streptomyces toyocaensisのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号18:Streptomyces toyocaensisのHMASのアミノ酸配列
配列番号19:Rhodococcus rhodniiのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号20:Rhodococcus rhodniiのHMASのアミノ酸配列
配列番号21:Actinoplanes teichomyceticusのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号22:Actinoplanes teichomyceticusのHMASのアミノ酸配列
配列番号23:Streptomyces avermitilisのHPPD遺伝子の塩基配列
配列番号24:Streptomyces avermitilisのHPPDのアミノ酸配列
配列番号25:Pseudomonas putidaのHPPD遺伝子の塩基配列
配列番号26:Pseudomonas putidaのHPPDのアミノ酸配列
配列番号27:Pseudomonas putidaのSMDH遺伝子の塩基配列
配列番号28:Pseudomonas putidaのSMDHのアミノ酸配列
配列番号29:Pseudomonas putidaのBFDC遺伝子の塩基配列
配列番号30:Pseudomonas putidaのBFDCのアミノ酸配列
配列番号31:Providencia rettgeri AJ2770の野生型AAD遺伝子の塩基配列
配列番号32:Amycolatopsis balhimycinaのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号33:Amycolatopsis balhimycinaのHMASのアミノ酸配列
配列番号34:Kibdelosporangium aridumのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号35:Kibdelosporangium aridumのHMASのアミノ酸配列
配列番号36:Nonomuraea coxensisのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号37:Nonomuraea coxensisのHMASのアミノ酸配列
配列番号38:Actinoplanes rectilineatusのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号39:Actinoplanes rectilineatusのHMASのアミノ酸配列
配列番号40:Actinoplanes subtropicusのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号41:Actinoplanes subtropicusのHMASのアミノ酸配列
配列番号42:Streptomyces rimosusのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号43:Streptomyces rimosusのHMASのアミノ酸配列
配列番号44:Herpetosiphon aurantiacusのHMAS遺伝子の塩基配列
配列番号45:Herpetosiphon aurantiacusのHMASのアミノ酸配列
配列番号46~68:プライマー
Claims (29)
- ベンズアルデヒドの製造方法であって、
下記工程(A):
(A)4つの酵素:アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ、およびベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼを有する少なくとも1つの微生物を利用することにより、ベンズアルデヒドを製造する工程
を含み、
前記少なくとも1つの微生物が、単独で前記4つの酵素を有する単一の微生物であるか、全体として前記4つの酵素を有する複数の微生物の組み合わせであり、
前記4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼが、下記(a)、(b)、(c)、または(d)に記載のタンパク質である、方法:
(a)配列番号14、16、18、20、22、33、37、41、または43に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号14、16、18、20、22、33、37、41、または43に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含み、且つ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ活性を有するタンパク質;
(c)配列番号14、16、18、20、22、33、37、41、または43に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ活性を有するタンパク質;
(d)下記(a1)、(b1)、または(c1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において特定の変異を有するアミノ酸配列を含み、該特定の変異が、T2、M3、G5、Y18、A27、D35、E46、E180、A187、E191、V194、A199、D201、Q206、I217、D220、T222、G255、F319、G327、I336、K337、V343、およびQ347からなる群より選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基における変異である、タンパク質:
(a1)配列番号22に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b1)配列番号22に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含み、且つ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ活性を有するタンパク質;
(c1)配列番号22に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ活性を有するタンパク質;
ただし、前記4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼが配列番号35および39のアミノ酸配列からなるタンパク質である場合は除く。 - 前記工程(A)が、下記(a)~(c)からなる群より選択される手段により実施される、請求項1に記載の方法:
(a)前記少なくとも1つの微生物を培養すること;
(b)前記少なくとも1つの微生物の菌体を利用すること;または
(c)前記複数の微生物の一部を培養することと、前記複数の微生物の残部の菌体を利用することとの組み合わせ。 - ベンズアルデヒドが、炭素源またはL-フェニルアラニンから製造される、請求項1または2に記載の方法。
- 前記工程(A)が、下記工程(B)または(C):
(B)前記少なくとも1つの微生物を利用して炭素源からベンズアルデヒドを製造する工程;
(C)前記少なくとも1つの微生物を利用してL-フェニルアラニンをベンズアルデヒドに変換する工程
により実施され、
前記工程(B)で利用される前記少なくとも1つの微生物が、L-フェニルアラニン生産能を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。 - 前記工程(A)が、下記工程(B1)、(C1)、または(C2):
(B1)炭素源を含有する培地で前記少なくとも1つの微生物を培養し、ベンズアルデヒドを該培地中に生成蓄積する工程;
(C1)L-フェニルアラニンを含有する培地で前記少なくとも1つの微生物を培養し、ベンズアルデヒドを該培地中に生成蓄積する工程;
(C2)前記少なくとも1つの微生物の菌体を反応液中でL-フェニルアラニンと共存させ、ベンズアルデヒドを該反応液中に生成蓄積する工程
により実施され、
前記工程(B1)で利用される前記少なくとも1つの微生物が、L-フェニルアラニン生産能を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。 - 前記工程(A)が、下記工程(D1)および(D2):
(D1)下記工程(D1a)または(D1b):
(D1a)炭素源からフェニルピルビン酸、(S)-マンデル酸、またはベンゾイル蟻酸を生成する工程;
(D1b)L-フェニルアラニンをフェニルピルビン酸、(S)-マンデル酸、またはベンゾイル蟻酸に変換する工程;
(D2)前記工程(D1)で生成したフェニルピルビン酸、(S)-マンデル酸、またはベンゾイル蟻酸をベンズアルデヒドに変換する工程
を含み、
前記工程(D1a)が、前記4つの酵素から選択される前記工程(D1)に対応する酵素とL-フェニルアラニン生産能とを有する少なくとも1つの微生物を利用して実施され、
前記工程(D1b)が、前記4つの酵素から選択される前記工程(D1)に対応する酵素を有する少なくとも1つの微生物を利用して実施され、
前記工程(D2)が、前記4つの酵素から選択される該工程(D2)に対応する酵素を有する少なくとも1つの微生物を利用して実施される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。 - 前記工程(D1a)が、該工程(D1a)で利用される前記少なくとも1つの微生物を培養することにより実施され、
前記工程(D1b)および(D2)が、該工程(D1b)および(D2)でそれぞれ利用される微生物の菌体を利用することにより、または、該微生物を培養することにより実施される、請求項6に記載の方法。 - 前記工程(A)が、下記工程(E1)および(E2):
(E1)下記工程(E1a)または(E1b):
(E1a)アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、および(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼとL-フェニルアラニン生産能とを有する少なくとも1つの微生物を利用することにより、炭素源からベンゾイル蟻酸を生成する工程;
(E1b)アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、および(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼを有する少なくとも1つの微生物を利用することにより、L-フェニルアラニンをベンゾイル蟻酸に変換する工程;
(E2)ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼを有する微生物を利用することにより、前記工程(E1)で生成したベンゾイル蟻酸をベンズアルデヒドに変換する工程
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。 - 前記工程(E1a)が、該工程(E1a)で利用される前記少なくとも1つの微生物を培養することにより実施され、
前記工程(E1b)および(E2)が、該工程(E1b)および(E2)でそれぞれ利用される微生物の菌体を利用することにより、または、該微生物を培養することにより実施される、請求項8に記載の方法。 - 前記工程(A)が、下記工程(F1)および(F2):
(F1)下記工程(Fa)または(Fb):
(Fa)炭素源を含有する培地で少なくとも1つの微生物を培養し、ベンゾイル蟻酸を該培地中に生成蓄積する工程であって、該少なくとも1つの微生物が、アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、および(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼとL-フェニルアラニン生産能とを有する工程;
(Fb)L-フェニルアラニンを含有する培地で少なくとも1つの微生物を培養し、ベンゾイル蟻酸を該培地中に生成蓄積する工程、または少なくとも1つの微生物の菌体をL-フェニルアラニンと反応液中で共存させ、ベンゾイル蟻酸を該反応液中に生成蓄積する工程であって、該少なくとも1つの微生物が、アミノ酸デアミナーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ、および(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼを有する工程;
(F2)前記工程(F1)で生成したベンゾイル蟻酸を含有する培地で微生物を培養し、ベンズアルデヒドを該培地中に生成蓄積する工程、または微生物の菌体を前記工程(F1)で生成したベンゾイル蟻酸と反応液中で共存させ、ベンズアルデヒドを該反応液中に生成蓄積する工程であって、該微生物が、ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼを有する工程
を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。 - 前記工程(A)が、下記工程(G1)~(G4):
(G1)下記工程(G1a)または(G1b):
(G1a)アミノ酸デアミナーゼを有する微生物を利用することにより、炭素源からフェニルピルビン酸を生成する工程;
(G1b)アミノ酸デアミナーゼを有する微生物を利用することにより、L-フェニルアラニンをフェニルピルビン酸に変換する工程;
(G2)4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼを有する微生物を利用することにより、前記工程(G1)で生成したフェニルピルビン酸を(S)-マンデル酸に変換する工程;
(G3)(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼを有する微生物を利用することにより、前記工程(G2)で生成した(S)-マンデル酸をベンゾイル蟻酸に変換する工程;
(G4)ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼを有する微生物を利用することにより、前記工程(G3)で生成したベンゾイル蟻酸をベンズアルデヒドに変換する工程
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。 - 前記工程(G1a)が、該工程(G1a)で利用される前記微生物を培養することにより実施され、
前記工程(G1b)および(G2)~(G4)が、該工程(G1b)および(G2)~(G4)でそれぞれ利用される微生物の菌体を利用することにより、または、該微生物を培養することにより実施される、請求項11に記載の方法。 - 前記菌体が、前記微生物の培養物、該培養物から回収された菌体、それらの処理物、またはそれらの組み合わせである、請求項2~12のいずれか1項に記載の方法。
- 前記アミノ酸デアミナーゼが、下記(a)、(b)、または(c)に記載のタンパク質である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法:
(a)配列番号12に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号12に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含み、且つ、アミノ酸デアミナーゼ活性を有するタンパク質;
(c)配列番号12に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、アミノ酸デアミナーゼ活性を有するタンパク質。 - 前記特定の変異が、T2N、M3I、G5R、Y18F、A27V、D35G、E46Q、E180K、A187V、E191K、V194G、A199(S、V)、D201N、Q206R、I217(L、V)、D220(A、N)、T222S、G255D、F319Y、G327(D、S)、I336V、K337Q、V343M、およびQ347Lからなる群より選択される1つまたはそれ以上の変異に相当する変異である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
- 前記特定の変異が、M3I/A199S/G255D、Y18F/D220N、A27V/E191K、D35G/E46Q/T222S/I336V、E180K/I217V/D220N、A187V/I217V、A199V/I217V/K337Q、D201N/I217V、I217V/F319Y、およびD220A/Q347Lのいずれかに相当する変異である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
- 前記(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼが、下記(a)、(b)、または(c)に記載のタンパク質である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法:
(a)配列番号28に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号28に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含み、且つ、(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質;
(c)配列番号28に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、(S)-マンデル酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。 - 前記ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼが、下記(a)、(b)、または(c)に記載のタンパク質である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法:
(a)配列番号30に示すアミノ酸配列を含むタンパク質;
(b)配列番号30に示すアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、および/または付加を含むアミノ酸配列を含み、且つ、ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質;
(c)配列番号30に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配
列を含み、且つ、ベンゾイル蟻酸デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質。 - 前記微生物が、細菌または酵母である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
- 前記微生物が、腸内細菌科に属する細菌またはコリネ型細菌である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
- 前記微生物が、エシェリヒア属細菌である、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
- 前記微生物が、エシェリヒア・コリである、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、ベンズアルデヒドを回収する工程を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
- 変異型4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼであって、
配列番号22に示すアミノ酸配列からなる野生型4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼと比較して4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ活性が増大しており、
配列番号22に示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
配列番号22に示すアミノ酸配列に相当する位置において、T2N、V194G、A199(S、V)、I217(L、V)、D220(A、N)、G327(D、S)、I336V、M3I/A199S/G255D、Y18F/D220N、A27V/E191K、D35G/E46Q/T222S/I336V、E180K/I217V/D220N、A187V/I217V、A199V/I217V/K337Q、D201N/I217V、I217V/F319Y、またはD220A/Q347Lの変異を有する、変異型4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ。 - 配列番号22に示すアミノ酸配列に相当する位置において、T2N、V194G、217(L、V)、G327(D、S)、I336V、M3I/A199S/G255D、Y18F/D220N、A27V/E191K、D35G/E46Q/T222S/I336V、E180K/I217V/D220N、A187V/I217V、A199V/I217V/K337Q、D201N/I217V、I217V/F319Y、またはD220A/Q347Lの変異を有する、請求項24に記載の変異型4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼ。
- 請求項24または25に記載の変異型4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼをコードする遺伝子。
- 請求項26に記載の遺伝子を有する微生物。
- 請求項24または25に記載の変異型4-ヒドロキシマンデル酸シンターゼを有する微生物。
- ベンズアルデヒドの製造のための請求項28に記載の微生物の使用。
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