JP7107050B2 - 高炉操業方法 - Google Patents
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Description
炉内のスラグレベルの変動幅が大きい場合には、炉内のスラグレベルが送風羽口のレベルに到達していなくても、送風圧力が大きく変動するため、やはり安定した操業状態の維持が困難になる。
特許文献1に記載の方法は、炉床の熱バランスが崩れて安定した操業状態が維持できなくなった場合に、一時的に複数の出銑孔から同時出銑する方法である。そのため、安定した操業状態を維持する方法として用いることができなかった。
また、複数の出銑孔から同時に出銑する方法は、単独出銑と比べて溶銑樋への負荷が大きいこと、および出銑孔毎に作業員が必要になるため、作業性やコストの点で不利である。
しかしながら、特許文献2に記載の方法は、作業性やコストを考慮していないため、これらを考慮できる方法が望まれていた。
本発明では、出銑比が2.6t/d/m3以上の条件において、各出銑孔の1回の出銑におけるラップ時間と出銑時間の比を、0.15以上とするため、高出銑比においても、炉内のスラグレベルや送風圧を安定させることができ、安定した操業状態が維持できる。ラップ時間と出銑時間の比を0.25以下とするため、同時出銑の時間が長くなり過ぎて作業性やコストが悪化するのを防止できる。
本発明によれば、各出銑孔の1回の出銑におけるラップ時間と出銑時間の比が、0.15以上、0.25以下の条件において、実操業上の必要十分な出銑時間とラップ時間を設定するので、安定した操業をしつつ、生産性を向上させられる。
本発明によれば、各出銑孔の1回の出銑におけるラップ時間と出銑時間の比が、0.15以上、0.25以下の条件において、実操業上の必要十分な単独出銑時間を設定するので、安定した操業をしつつ、生産性を向上させられる。
本発明によれば、出銑開始時刻を前回の平均出銑速度に達した後の時刻とするため、同時出銑時にも、高炉全体の出銑速度が、単独出銑時と同程度となり、安定した操業をしつつ、生産性を向上させられる。
まず、本発明を創出するに至った経緯について、説明する。
特許文献2に記載のように、炉内のスラグレベルを安定化させるための手段として、ラップ時間を調整することは公知である。
以上が、本発明を創出するに至った経緯の説明である。
<対象高炉>
本実施形態に係る高炉操業方法の適用対象となる高炉は、出銑比が2.6t/d/m3以上の操業ができ、かつ複数の出銑孔から同時に出銑できる設備があれば、特に容積や構造等の条件は限定されない。
本実施形態に係る高炉操業方法は、出銑比が2.6t/d/m3以上の操業である。出銑比が2.6t/d/m3未満の場合、ラップ時間や出銑時間を本実施形態に係る操業条件としてもしなくても、操業状態の変動に大きく影響しないためである。出銑比が2.8t/d/m3以上の場合、ラップ時間や出銑時間を本実施形態に係る操業条件としても、操業状態の変動の抑制が困難な可能性があるためである。
本実施形態に係る高炉操業方法は、複数の出銑孔から、出銑開始時刻をずらして出銑を開始し、同時に出銑する時間であるラップ時間と、1つの出銑孔のみから出銑する単独出銑時間を生じるように出銑する。
図1のTH1~TH4は、4つの出銑孔に対応する番号である。図1では、TH4は溶銑樋の整備、補修のために一時的に不使用としているため、TH1~TH3の3つの出銑孔から出銑する。
所定の速度とは、当該出銑孔(S3から出銑を開始する出銑孔TH2)での前回の出銑の際の出銑速度の平均(前回平均出銑速度)である。TH2から出銑を開始する時刻t1は、現在出銑中の出銑孔TH1での(今回出銑速度)が、前述した前回平均出銑速度に到達した後の時刻である。例えば、図1および図2のTH1の2回目の出銑開始時刻t5は、出銑孔TH3での今回の出銑(時刻t3から)が、出銑孔TH1での前回の出銑(図1では時刻t0~t2の出銑)における平均出銑速度に達した時刻である。これは、出銑開始時刻を前回の平均出銑速度に達した後の時刻とするため、図2に示す、全出銑孔の合計出銑量が、単独出銑時と同程度となり、安定した操業をしつつ、生産性を向上させられるためである。
TH2から出銑開始後、TH2からの前回平均出銑速度に今回出銑速度が到達すると(図3のS6)、その時刻t3でTH3から出銑を開始する(図3のS7)。
TH3から出銑開始後、ラップ時間TLが経過すると(図3のS8)、その時刻t4でTH2からの出銑を終了する(図3のS9)。
TH1から出銑開始後、ラップ時間TLが経過すると(図3のS12)、その時刻t6でTH3からの出銑を終了する(図3のS13)。
その後はS2に戻って各ステップを繰り返す。
ラップ時間T L と出銑時間T o の比が0.15未満であると、同時出銑時間が短すぎて、ラップ操業による操業の安定化の効果が得られない恐れがある。
ラップ時間TLと出銑時間T o の比が0.25超であると、同時出銑時間が長くなり過ぎてパラレル出銑に近くなり、樋への負担や作業性の悪化を招く恐れがある。
そのため、高出銑比においても、炉内のスラグレベルや送風圧を安定させることができ、安定した操業状態が維持できる。
出銑比、ラップ時間と出銑時間の比を変更した操業を行い、操業の安定性を評価した。具体的な手順は以下の通りである。
この高炉に対し、出銑比、ラップ時間、出銑時間を変更した操業を行い、操業が安定するか否かを検討した。操業が安定するか否かの指標としては、炉内の圧力損失、および日内最大貯銑滓を測定した。圧力損失は高炉本体に設置された圧力計の値とそれぞれの圧力計間の距離から求めた。日内最大貯銑滓は、炉内での銑滓の計算生成速度と出銑滓の実績との差分からで求めた。
Claims (4)
- 複数の出銑孔から、出銑開始時刻をずらして出銑を開始し、複数の前記出銑孔で同時に出銑するラップ時間と、1つの前記出銑孔のみから出銑する単独出銑時間とを生じるように出銑する、高炉操業方法において、
出銑比を2.6t/d/m3以上、2.8t/d/m3以下、
各出銑孔の出銑における1回の前記ラップ時間と前記出銑時間との比が、0.15以上、0.25以下であることを特徴とする、高炉操業方法。 - 各出銑孔からの1回の前記出銑時間を150分以上、180分以下とし、
前記ラップ時間を25分以上、40分以下とすることを特徴とする、請求項1に記載の高炉操業方法。 - 前記単独出銑時間を80分以上、120分以下とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の高炉操業方法。
- 前記出銑開始時刻は、現在出銑中の今回出銑速度が、出銑を開始する出銑孔の前回出銑での前回平均出銑速度に到達した後の時刻であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の高炉操業方法。
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