JP2015206107A - 高炉状態解析装置、高炉状態解析方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 炉下部における溶銑・溶融スラグの流速の分布を各時間ステップにおいて導出し、導出した流速の分布に基づいて、溶銑・溶融スラグを移動し、移動後のスラグレベルを導出する。この際、ラップ時間TBと、出銑作業を行う出銑口1TH〜3THの順序とに基づいて各出銑口1TH〜3THを開口するタイミングを判定し、出銑口を開口するタイミングになると初期出銑口径D0で当該出銑口が開口する状態にする。また、スラグレベルが出銑口の高さ位置に達した場合、当該出銑口が閉塞する状態にする。このようにして1日の操業におけるスラグレベルの変動を導出する。
【選択図】 図2
Description
しかしながら、このような方法では、秤量のタイミングのずれや、秤量誤差等により、正確な管理が困難であった。
これに対して、近年の高炉の大型化に伴う出銑量の増加に伴い、複数の出銑口から同時に出銑するラップ出銑の形態がとられることがある。炉内での溶銑および溶融スラグの生成速度が早くなってきており、出銑滓(高炉の出銑口から流出する溶銑と溶融スラグの混合物)を定量的に且つ正確に管理するシステムが望まれる。
(高炉の操業の概要)
図1は、高炉の炉下部の概略構成の一例を示す図である。図1は、高炉の軸に沿って切った断面を示す。
高炉では、炉頂部から、原料である鉄鉱石とコークスを層状に装入すると共に、炉下部の送風羽口110から約1200[℃]の高温の熱風を吹き込み、高温還元反応によって溶銑を製造する。溶銑と副生成物である溶融スラグは炉内を滴下し(図1に示す白抜きの矢印線を参照)、炉底に溜まって湯溜まりを形成する。尚、銑鉄の比重はスラグの比重よりも大きいことから、湯溜まりにおいては、溶銑の上に溶融スラグが位置する。
表1に、同時に使用する出銑口の最大数が1つである場合の高炉の操業方法の一例を示す。また、表2に、同時に使用する出銑口の最大数が2つである場合の高炉の操業方法の一例を示す。尚、表1および表2は、高炉の操業方法の概念を説明するためのものであり、大凡の表記としている。例えば、溶銑と溶融スラグは、実際には分離した相として炉内に存在するが、表1および表2では、両者が混合した相であるとした場合について表記する。
図3は、タッチ出銑、ラップ出銑、およびパラレル出銑の一例を説明する図である。図3に示すように、4つの出銑口がある場合、通常、そのうちの1つは出銑樋の補修のために使用されない。したがって、3つの出銑口が使用される。そこで、本実施形態では、図2に示す3つの出銑口1TH、2TH、3THをこの順で開口・閉塞して出銑作業を行う場合を例に挙げて示す。尚、図3において、黒塗りの横長の矩形で示す間、出銑(溶銑と溶融スラグとの混合液体の排出)が行われることを示す。
「不能」とは、単位時間当たりに生成される銑滓(溶銑・溶融スラグ)の量が、単位時間当たりに排出される銑滓(溶銑・溶融スラグ)の量を上回るために、銑滓相の表面の高さ位置が常に上昇することを表す。この場合、同時に使用する出銑口の数が1つでは、生成した銑滓を排出できないので、同時に使用する出銑口の数を2つにする必要がある(表1の「不能」の欄の「2本出銑へ」を参照)。
前述したように、本発明者等は、非特許文献1に記載の高炉炉下部数学モデルを開発した。しかし、非特許文献1に記載の高炉炉下部数学モデルは、1つの出銑口により出銑する形態に限定したものであり、複数の出銑口を同時に使用する出銑形態に対応できない。すなわち、非特許文献1には、或る1つの出銑口を開口した場合の炉下部の溶銑・溶融スラグの状態を解析することが記載されている。しかしながら、2つの出銑口を開口することや、2つの出銑口を開口した場合の炉下部の溶銑・溶融スラグの状態を解析することや、炉下部の溶銑・溶融スラグの状態に基づいて出銑方法を決定することについては記載されていない。
図3に示すように、同時に使用する出銑口の数が2つ以上である場合には、ラップ時間を考慮する必要がある。そこで、本実施形態では、出銑口の開口径の初期値である初期出銑口径に加えて、ラップ時間を調整して、スラグレベル推定モデルによる計算を行うことにより、最大スラグレベルとスラグレベルの変動幅が、操業上要求される所定の条件を満たす場合の出銑方法を導出する。
また、最大スラグレベルとは、出銑パターンの一周期よりも長い所定の期間において、炉下部に溜まっている溶融スラグの表面(溶融スラグと気体との界面)の高さ位置が最も高くなる位置をいう。
スラグレベルの変動幅とは、出銑パターンの一周期よりも長い所定の期間において、炉下部に溜まっている溶融スラグの表面(溶融スラグと気体との界面)の高さ位置が最も高くなる位置と、炉下部に溜まっている溶融スラグの表面(溶融スラグと気体との界面)の高さ位置が最も低くなる位置との差をいう。
出銑パターンとは、出銑に利用される出銑口1TH〜3THに対する出銑順の繰り返しパターンをいい、本実施形態の例では、出銑口1TH→出銑口2TH→出銑口3TH→出銑口1TH→出銑口2TH→・・・のパターンをいう。また、出銑パターンの一周期とは、かかる出銑パターンの繰り返し周期をいう(図3に示す期間Tpを参照)。
本実施形態のスラグレベル推定モデルについて説明する。尚、非特許文献1に記載されている内容については、その詳細な説明を省略する。また、ここでは説明を簡単にするために、温度に関わる部分の説明を省略する。ただし、各時間ステップにおいて、炉下部の溶銑・溶融スラグの温度分布を求め、温度に依存する変数(粘度等)を、当該温度分布に基づいて計算してもよい。
生成項S(流体と充填層との相互作用力)は、例えば、以下の(5)式で表すことができる。
(I)溶銑・溶融スラグの生成速度
炉下部に溜まっている溶融スラグの表面(溶融スラグと気体との界面)における溶銑・溶融スラグの滴下速度(すなわち、溶銑・溶融スラグの生成速度)を境界条件として設定する。溶銑・溶融スラグの生成速度は、溶銑と溶融スラグとで個別に設定される。
例えば、炉頂から旋回シュートを介して単位時間に炉内に装入される原料(焼結鉱、ペレット、塊鉱石等の鉄源を含む原料)の体積の、炉の半径方向の分布に基づいて、溶銑・溶融スラグの生成速度を設定することができる。溶銑・溶融スラグの生成速度は、例えば、非特許文献2等に記載されている公知の高炉数学モデルにより求めることができる。尚、溶銑・溶融スラグの生成速度に、炉の半径方向の分布を持たせず、溶銑・溶融スラグの生成速度の平均値を設定してもよい。尚、以下の説明では、溶銑・溶融スラグの生成速度を必要に応じて銑滓生成速度と称する。
溶銑・溶融スラグの排出速度v(m3/s)を境界条件として設定する。溶銑・溶融スラグの排出速度vは、溶銑と溶融スラグのトータルの排出速度である。本実施形態では、出銑口を、直径D(m)、出銑口深度L(m)、表面粗さe(m)の円管であると仮定し、以下の(6)式により、溶銑・溶融スラグの排出速度vを設定する。
本実施形態では、出銑口深度Lと表面粗さeを一定であるとする。
その他、炉内の気体の圧力は、送風圧力により定められ、炉外の圧力は、大気圧であるものとする。
本実施形態では、ラップ時間TBと初期出銑口径D0とを指定して、炉下部の各位置(各計算セル)における流体の速度ベクトル(ur,uθ,uz)と圧力pとを、各時間ステップにおいて計算する。
すなわち、現在、出銑している出銑口の出銑開始時刻からの経過時間と、指定されたラップ時間TBとの和が、前回の当該出銑口の出銑時間と一致すると、次の出銑口を開口する。例えば、図3(c)において、現在、出銑している出銑口が出銑口1THであり、その出銑開始時刻がt0であるとする。この場合、出銑開始時刻t0からの経過時間とラップ時間TBとの和が、前回の出銑口1THの出銑時間TA1になる時刻tsに、出銑口2THの開口を開始する。尚、図3(c)では、出銑口1THの前回の出銑時間と今回の出銑時間とが共にTAである場合を例に挙げて示す。
VOF法とは、或る流体iの体積存在率fi(−)を用いて表現した移流方程式を解いた結果に基づいて界面を移動させ、界面の形状を、或る流体とそれ以外の流体の境界線(または境界面)として間接的に追跡する方法である。体積存在率fiは0から1までの間の値をとる。
例えば、或る計算セルにおいて、溶銑の体積存在率f1が0.3であるとする。この場合、当該計算セルの最下部から、当該計算セルの高さの30(%)の高さの領域まで溶銑が存在し、残りの領域に溶融スラグが存在することになる。すなわち、当該計算セルに溶銑と溶融スラグの界面が存在することになる。
尚、本実施形態では、非特許文献1と同様に、(9)式を計算する際には、ドナー・アクセプター法を用いて離散化する。
また、前述したように、本実施形態では、流体の速度ベクトル(ur,uθ,uz)を、溶銑と溶融スラグとで区別されないもの(1つの流体の速度ベクトル)とする。すなわち、同一の計算セルにおいて、溶銑の速度ベクトルと溶融スラグの速度ベクトルとを個別に計算しない。
具体的には、溶融スラグと気体との界面の位置が、開口している出銑口の高さ位置であるか否かを判定する。この判定の結果、溶融スラグと気体との界面の位置が、開口している出銑口の高さ位置であると、当該出銑口を閉塞する。出銑口を閉塞する場合には、当該出銑口における溶銑・溶融スラグの排出速度vとして0(ゼロ)が設定される。
そして、それぞれの出銑口における溶銑・溶融スラグの排出速度vを境界条件として導出された各計算セルにおける流体の速度ベクトル(ur,uθ,uz)に基づいて、溶銑・溶融スラグの体積存在率fiを導出する。この溶銑・溶融スラグの体積存在率fiは、出銑口の位置(隣り合う出銑口における、出銑口の中心と炉の軸とを結ぶ直線のなす角度)により影響を受ける。
本実施形態のスラグレベル推定モデルにより計算される炉下部の溶銑と溶融スラグの状態の概要の一例を説明する。
図4は、タッチ出銑の場合の炉下部の溶銑と溶融スラグの状態の一例を示す図である。図4は、本実施形態のスラグレベル推定モデルによる計算の結果から得られたものである。
溶銑の粘度は、溶融スラグの粘度に対し、ほぼ100倍小さいので、粘度の小さな溶銑が優先して出銑口1THから排出される。その結果、図4に示す位置Dは、位置Cより低い。すなわち、溶銑と溶融スラグとの界面の高さは、出銑口1THから遠くなるほど、低くなる。一方、位置Aは、位置Bより大きく高い位置にある。すなわち、溶融スラグと気体との界面の高さ(スラグレベル)は、出銑口1THから遠くなるほど、高くなる。そして、出銑末期には、溶融スラグと気体との界面の高さ(スラグレベル)は出銑口1THに向かって大きく傾斜し、この傾斜によって、出銑終了時に炉内に残留する溶融スラグの量が決まる。
本実施形態のスラグレベル推定モデルの計算の結果から、本発明者らは、以下の知見を得た。
まず、炉下部の溶銑と溶融スラグの流動・排出の挙動には、複数の出銑口からの出銑滓速度と、出銑口の位置関係とが複雑に影響するという知見を得た。また、炉下部の溶銑との溶融スラグ体積存在率fiは、それぞれの出銑口からの出銑滓速度、コークスの粒径、溶融スラグの粘度等に依存し、出銑滓速度の増加およびコークスの粒径の低下に伴い、溶融スラグと気体との界面の高さ(スラグレベル)の傾きは大きくなるという知見を得た。
図6(A)に示すように、タッチ出銑の場合、出銑初期の出銑滓速度v1は小さく、出銑滓速度v1は、銑滓生成速度Pよりも下回る。このため、溶銑・溶融スラグは炉内に貯留する(出銑時間T1における出銑滓速度v1と銑滓生成速度Pを参照)。
その後、時間の経過に従い、出銑口の直径は徐々に拡大する。この出銑口の直径の拡大に伴い、出銑滓速度も上昇し、時刻TCで、出銑滓速度v1と銑滓生成速度Pはバランスし、スラグレベルは、最大スラグレベルM1になる。時刻TCを過ぎると出銑滓速度v1は銑滓生成速度Pを上回るので、スラグレベルは、減少に転ずる。その後、スラグレベルは徐々に低下し、スラグレベルが出銑口の高さ位置に到達した時点で、ガスが噴き出し、当該出銑口からの出銑が終了となる。
図6(B)に示すように、ラップ出銑では、出銑口1THからの出銑の末期と、出銑口2THからの出銑の初期とを一部ラップさせることにより、見かけ上、出銑初期の出銑滓速度をタッチ出銑の場合よりも向上させることができる。出銑初期の出銑滓速度V1を向上させることにより、出銑初期の出銑滓速度V1と銑滓生成速度Pとの差を、タッチ出銑の場合よりも小さくすることができ、炉内に貯留する溶銑・溶融スラグの量を少なくすることができる(図6(A)および図6(B)の出銑時間T1における出銑滓速度v1と銑滓生成速度Pとの差を参照)。尚、図6(B)において、n回目、m回目、k回目は、それぞれ、出銑口1TH、2TH、3THごとに個別に数えた場合の出銑回数を示す。また、Vs1、Vs2、Vs3は、それぞれ、出銑口1TH、2TH、3THにおける出銑初期の出銑滓速度を示し、Vf1、Vf2、Vf3は、それぞれ、出銑口1TH、2TH、3THにおける出銑末期の出銑滓速度を示す。これらの符号の意味は、図6(C)でも同じである。
出銑滓速度の変化を低減することにより、出銑終了時に炉内に残る溶銑・溶融スラグの量が低下すると共に、出銑初期と末期の出銑滓速度の差が低下するため、最大スラグレベルの低下と、スラグレベルの変動幅の低減とが可能となる。
しかしながら、一般に、最大スラグレベルおよびスラグレベルの変動幅は、出銑回数の増加に伴い低下する。このため、炉前作業頻度、溶銑コスト、最大スラグレベルおよびスラグレベルの変動幅の全てを考慮した上で、初期出銑口径D0およびラップ時間TBを決定する必要がある。
尚、1日あたりの出銑回数を低減するために、ラップ出銑時およびパラレル出銑時の初期出銑口直径を、タッチ出銑時の出銑滓速度の経時変化に基づき、タッチ出銑時よりも小さな値に設定するのが好ましい。
以上のような観点で、本実施形態の高炉状態解析装置700を構成するに至った。
図7は、高炉状態解析装置700の機能的な構成の一例を示す図である。高炉状態解析装置700のハードウェアの構成は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを用いることにより実現される。また、専用のハードウェアを構築して高炉状態解析装置700を構成してもよい。
図8〜図11のフローチャートを参照しながら、高炉状態解析装置700の処理の一例を説明する。図8〜図11のフローチャートは、例えば、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
本実施形態では、計算条件設定部701は、高炉状態解析装置700のユーザインターフェースの操作等に基づいて、以下の情報を計算条件として入力して設定する。
・溶融スラグの1日当たりの生成量
・溶銑の単位時間当たりの生成量の半径方向の分布(炉内の半径方向の各位置における溶銑の単位時間当たりの生成量)
・溶融スラグの単位時間当たりの生成量の半径方向の分布(炉内の半径方向の各位置における溶融スラグの単位時間当たりの生成量)
・空隙率ε
・コークスの粒径dp
・溶銑・溶融スラグの密度、粘度
・送風圧力
・出銑口深度L
・出銑口の表面粗さe
・出銑口1TH、2TH、3THの位置
・出銑口1TH、2TH、3THの開口順
・1日当たりの出銑回数の指定の有無
・1日当たりの出銑回数の指定がある場合の指定回数
・最大スラグレベルの上限値の指定の有無
・最大スラグレベルの上限値の指定がある場合の当該上限値
・スラグレベルの変動幅の上限値の指定の有無
・スラグレベルの変動幅の上限値の指定がある場合の当該上限値
・初期出銑口径D0の上限値の指定の有無
・初期出銑口径D0の上限値の指定がある場合の当該上限値
ステップS803の結果、炉下部の状態が収束していない場合には、ステップS804に進む。ステップS804に進むと、出銑方法変更部704は、ラップ時間TBまたは初期出銑口径D0を変更する出銑方法変更処理を行う。そして、ステップS802に戻り、変更後のラップ時間TBまたは初期出銑口径D0を用いて、炉下部状態解析処理を再び行う。ステップS804の処理の詳細については、図11を参照しながら、後述する。
そして、図8のフローチャートによる処理を終了する。
ステップS901において、炉下部状態解析部702は、出銑口を開口する条件を満足したか否かを判定する。前述したように、本実施形態では、現在、出銑している出銑口の出銑開始時刻t0からの経過時間と、指定されたラップ時間TBとの和が、前回の当該出銑口の出銑時間TA1になる時刻tsになると、次の出銑口を開口する(図3(c)を参照)。
一方、出銑口を開口する条件を満足した場合には、ステップS902に進む。ステップS902に進むと、炉下部状態解析部702は、ステップS901で開口する条件を満足した出銑口を開口する処理を行う。ステップS902の具体例を説明すると、炉下部状態解析部702は、開口する条件を満足した出銑口に対して初期出銑口径D0を与える。そして、ステップS903に進む。
次に、ステップS905において、炉下部状態解析部702は、ステップS904で導出された溶銑の体積存在率f1・溶融スラグの体積存在率f2と基づいて、次の時間ステップにおけるスラグレベル(溶融スラグと気体との界面の位置)を導出する。尚、このステップS905において、炉下部状態解析部702は、次の時間ステップにおける溶融スラグと溶銑との界面の位置も導出する。
この判定の結果、現在のスラグレベルが、開口している出銑口の高さ位置に到達していない場合には、ステップS908を省略して後述するステップS909に進む。
ステップS909の具体例を説明すると、炉下部状態解析部702は、溶銑・溶融スラグの排出速度vと、出銑口の直径Dと、溶銑・スラグの比重と、開口している出銑口に最も近い計算セルにおける溶銑と溶融スラグの存在割合とに基づいて当該時間ステップにおける出銑量を導出する。そして、炉下部状態解析部702は、当該導出した当該時間ステップにおける出銑量を、当該時間ステップまでに出銑された出銑量に加えることにより、総出銑量を導出し、総出銑量が、計算条件に含まれる1日当たりの溶銑・溶融スラグの生成量以上になった場合に、1日分の計算が終了したと判定する。
一方、1日分の計算が終了した場合には、ステップS911に進む。ステップS911に進むと、炉下部状態解析部702は、1日当たりの出銑回数を導出する。ステップS911の具体例を説明すると、炉下部状態解析部702は、ステップS902で出銑口を開口した回数を出銑回数として導出する。
そして、図9のフローチャートによる処理を終了する。
ステップS1001において、収束判定部703は、図8のステップS801で設定された計算条件において、最大スラグレベルの上限値が指定されているか否かを判定する。この判定の結果、最大スラグレベルの上限値が指定されていない場合には、後述するステップS1005に進む。
一方、最大スラグレベルの上限値が指定されている場合には、ステップS1002に進む。ステップS1002に進むと、収束判定部703は、図9のステップS911で導出された最大スラグレベルが、最大スラグレベルの上限値以下であるか否かを判定する。この判定の結果、最大スラグレベルが、最大スラグレベルの上限値以下でない場合、収束判定部703は、炉下部の状態が収束していないと判定する。そして、図10のフローチャートによる処理を終了する。
この判定の結果、スラグレベルの変動幅の上限値が指定されていない場合には、後述するステップS1006に進む。
一方、スラグレベルの変動幅の上限値が指定されている場合には、ステップS1004に進む。ステップS1004に進むと、収束判定部703は、図9のステップS911で導出されたスラグレベルの変動幅が、スラグレベルの変動幅の上限値以下であるか否かを判定する。
一方、スラグレベルの変動幅が、スラグレベルの変動幅の上限値以下である場合、収束判定部703は、炉下部の状態が収束していると判定する。そして、図10のフローチャートによる処理を終了する。
この判定の結果、最大スラグレベルが最小値である場合には、前述したステップS1003に進む。
一方、最大スラグレベルが最小値でない場合、収束判定部703は、炉下部の状態が収束していないと判定する。そして、図10のフローチャートによる処理を終了する。
この判定の結果、スラグレベルの変動幅が最小値である場合、収束判定部703は、炉下部の状態が収束していると判定する。そして、図10のフローチャートによる処理を終了する。
一方、スラグレベルの変動幅が最小値でない場合、収束判定部703は、炉下部の状態が収束していないと判定する。そして、図10のフローチャートによる処理を終了する。
ステップS1101において、出銑方法変更部704は、図8のステップS801で設定された計算条件において、1日当たりの出銑回数が指定されており、且つ、図9のステップS911で導出された1日当たりの出銑回数が指定回数を上回るか否かを判定する。
一方、1日当たりの出銑回数が指定されており、且つ、1日当たりの出銑回数が、1日当たりの出銑回数の指定値を上回る場合には、ステップS1102に進む。
前述したように、ステップS1101において、1日当たりの出銑回数が指定されていない場合、または、1日当たりの出銑回数が指定回数を上回らないと判定された場合には、ステップS1106に進む。
ステップS1107に進むと、出銑方法変更部704は、前回のステップS804(図11のフローチャート)の処理で、初期出銑口径D0を変更したか否かを判定する。この判定の結果、前回のステップS804の処理で、初期出銑口径D0を変更していない場合には、後述するステップS1110に進む。
前述したように、ステップS1107において、前回のステップS804の処理で、初期出銑口径D0を変更していないと判定された場合と、ステップS1108において、現在のラップ時間TBが、1つの出銑口における1回当たりの出銑時間の0.5倍を下回らないと判定された場合には、ステップS1110に進む。
この判定の結果、初期出銑口径D0の上限値が指定されていない場合、または、現在の初期出銑口径D0が、初期出銑口径D0の上限値を下回らない場合には、図11のフローチャートによる処理を終了する。
一方、初期出銑口径D0の上限値を下回る場合には、ステップS1111に進む。ステップS1111に進むと、出銑方法変更部704は、初期出銑口径D0を1(mm)拡大する。そして、図11のフローチャートによる処理を終了する。
一方、スラグレベルの変動幅の上限値が指定されていない場合、または、スラグレベルの変動幅が、スラグレベルの変動幅の上限値を上回る場合には、前述したステップS1107に進む。
次に、実施例を説明する。
[実施例1]
内容積が5775(m3)の高炉に、コークス比が300(kg/t)、微粉炭比が180(kg/t)、還元材比が480(kg/t)、スラグ比が313(kg/t)の条件で原料が装入され、且つ、図2に示す位置関係にある出銑口1TH〜3THからこの順でパラレル出銑を行うものとした場合であって、1日当たりの出銑量(t/d)、炉下部のコークスの粒径(mm)、炉下部の空隙率(%)を変更した場合の、最大スラグレベルおよびスラグレベルの変動幅を、前述した本実施形態のスラグレベル推定モデルを用いて計算した。この際、初期出銑口径D0を60(mm)として前述した(8)式で出銑口直径Dを計算した。また、出銑口深度Lを4(m)とし、出銑口の表面粗さeを1(mm)とした。
その結果を、表3に示す。出銑口基準の最大スラグレベル(出銑口の高さ位置を基準とした最大スラグレベル)は、0.77(m)〜1.46(m)であり、出銑口基準の羽口レベル(出銑口の高さ位置を基準とした送風羽口の高さ位置)である5.3mに対し十分に小さいものであり、安定した高炉操業が可能となることが分かる。
内容積が5775(m3)の高炉において、コークス比が300(kg/t)、微粉炭比が(180kg/t)、還元材比が480(kg/t)、スラグ比が313(kg/t)の条件で原料が装入され、且つ、図2に示す位置関係にある出銑口1TH〜3THからこの順でパラレル出銑を行うものとした場合であって、炉下部のコークスの粒径を30(mm)、炉下部の空隙率を30(%)、1日当たりの出銑回数の指定回数を12(回)および10(回)とした場合の、最大スラグレベルおよびスラグレベルの変動幅を、前述した本実施形態のスラグレベル推定モデルを用いて計算した。この際、出銑口基準の最大スラグレベルの上限値を1.7(m)とした。また、初期出銑口径D0を60(mm)として前述した(8)式で出銑口直径Dを計算した。また、出銑口深度Lを4(m)とし、出銑口の表面粗さeを1(mm)とした。
前述したように従来は、炉内で生成される溶銑・溶融スラグの量を、高炉に装入される鉄鉱石の量から算出し、出銑口から排出される溶銑の量を、受銑容器(トーピードカー)の秤量により測定し、出銑口から排出される溶融スラグの量を、水砕のコンベアの秤量により測定していた。しかしながら、秤量のタイミングのずれや、秤量誤差等により正確な管理が困難であった。
また、非特許文献1に記載の技術では、同時に出銑することが可能な出銑口の数が1つである場合の炉下部の状態を計算することはできるが、複数の出銑口から同時に出銑することが可能な出銑形態で出銑を行う場合の炉下部の状態の計算はできない。
[変形例1]
本実施形態では、高炉状態解析装置700が、ラップ時間TBと初期出銑口径D0の変更を、図11に示す所定のアルゴリズムに基づいて自動的に行う場合を例に挙げて説明した(図11を参照)。しかしながら、炉下部の状態が収束したか否かの判定の結果、炉下部の状態が収束していない場合、オペレータが、高炉状態解析装置700のユーザインターフェースに対して入力操作を行うことにより、ラップ時間TBと初期出銑口径D0の少なくとも何れか一方の変更値を入力してもよい。例えば、図11のフローチャートによる手順をオペレータ自身の判断で行ってもよいが、その他の手順で変更値を定めてもよい。このことは、ラップ時間TBと初期出銑口径D0の変更を高炉状態解析装置700が自動的に行う場合も同様である。例えば、図11のステップS1101の判定を、図8のステップS802とステップS803との間で行い、1日当たりの出銑回数が指定されており、且つ、図9のステップS911で導出された1日当たりの出銑回数が指定回数を上回る場合には、図11のステップS1102に進み、そうでない場合であって、ステップS803で炉下部の状態が収束していないと判定された場合には、図11のステップS1106に進むようにしてもよい。
本実施形態では、ラップ時間TBと初期出銑口径D0の双方を変更し得る場合を例に挙げて説明した(図11を参照)。しかしながら、ラップ時間TBと初期出銑口径D0の一方を固定し、他方を変更してもよい。本変形例は、高炉状態解析装置700が変更を自動的に行う場合と、オペレータが変更値の入力を行う場合の双方に適用される。
[変形例3]
本実施形態では、最大スラグレベルの上限値およびスラグレベルの変動幅の上限値を指定し、最大スラグレベルおよびスラグレベルの変動幅が、それぞれ上限値以下であるか否かを判定する場合を例に挙げて説明した(図10のS1001〜S1004を参照)。しかしながら、最大スラグレベルの上限値およびスラグレベルの変動幅の上限値を指定せずに、最大スラグレベルおよびスラグレベルの変動幅が、それぞれ最小値である場合に、炉下部の状態が収束したと判定し、そうでない場合には、炉下部の状態が収束していないと判定してもよい。また、これとは逆に、最大スラグレベルおよびスラグレベルの変動幅が、それぞれ最小値であるか否かを判定せずに、最大スラグレベルおよびスラグレベルの変動幅が、それぞれ上限値以下であるか否かを判定してもよい。このように、スラグレベルの状態が操業上要求される所定の条件を満たすか否かを判定していれば、炉下部の状態が収束したか否かを判定する手法は、本実施形態で説明した手法に限定されない。
本実施形態では、初期出銑口径D0、出銑口深度Lおよび出銑口の表面粗さeが出銑口に関わらず同じ値である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これらの少なくとも1つを出銑口ごとに異ならせてもよい。また、初期出銑口径D0(m)を、出銑口の直径の初期値としたが、直径の代わりに半径を用いてもよい。このように、初期出銑口径は、出銑口の開口径の初期値であればよい。
[変形例5]
本実施形態では、出銑に利用する出銑口の数が3つである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、出銑に利用する出銑口の数は2つ以上であれば、幾つであってもよい。出銑に利用する出銑口の数が2つである場合、出銑形態としてパラレル出銑を含めてもよいが、出銑形態をパラレル出銑にすると、2つの出銑口を常に開口することになる。したがって、出銑に利用する出銑口の数が2つである場合には、出銑形態が、「溜め出し出銑」、「タッチ出銑」および「ラップ出銑」の何れかになるように、ラップ時間TBと初期出銑口径D0を探索するのが好ましい。また、出銑に利用する出銑口の数がN(Nは3以上の整数)である場合には、常に(N−1)の出銑口から出銑が行われる出銑形態を採用することができる。例えば、出銑に利用する出銑口の数が4つである場合には、常に3つの出銑口から出銑が行われる出銑形態を採用することができる。
本実施形態では、連続の式と運動量保存式を有限体積法により差分化する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、炉下部における溶銑・溶融スラグの流速および圧力を数値解析により計算していれば、必ずしも有限体積法を用いる必要はない。例えば、有限差分法を用いてもよい。
[変形例7]
本実施形態では、VOF法を用いて、体積存在率fiを導出し、溶融スラグと気体との界面の高さ位置と、溶融スラグと溶銑との界面の高さ位置とを導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、界面の高さ位置を移流方程式に基づき数値解析により計算していれば、必ずしも、VOF法を用いる必要はない。例えば、ALE(Arbitrary Lagrangian and Eulerian)法を用いてもよい。
本実施形態では、1日当たりの出銑回数が指定回数を上回るか否かを判定する場合を例に挙げて説明した(図11のステップS1101)。しかしながら、出銑回数を求める期間は、必ずしも1日である必要はなく、1日よりも短い期間でも長い期間でもよい。
[変形例9]
本実施形態では、3次元の解析を行う場合を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば、高炉の高さ方向と、当該高炉の高さ方向に垂直な方向とにより定まる2次元の解析を行うようにしてもよい。
[変形例10]
本実施形態では、炉下部の状態が収束したか否かを判定し、炉下部の状態が収束していない場合には、初期出銑口径D0およびラップ時間TBの何れか一方を修正する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこれらの処理を行わなくてもよい。例えば、或る初期出銑口径D0およびラップ時間TBにおける最大スラグレベルおよびスラグレベルの変動幅を確認することを目的とする場合には、これらの処理を行わなくてもよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
[請求項1、8]
設定手段は、例えば、計算条件設定部701を用いることにより実現される(図8のステップS801、および、変形例5も参照)。
開口タイミング判定手段は、例えば、炉下部状態解析部702を用いることにより実現される(図9のステップS901も参照)。
速度分布導出手段は、例えば、炉下部状態解析部702を用いることにより実現される(図9のステップS902、S903、S906、S908、スラグレベル推定モデルの説明((1)式〜(8)式)、および、変形例6も参照)。
スラグレベル導出手段は、例えば、炉下部状態解析部702を用いることにより実現される(図9のステップS905、S906、スラグレベル推定モデルの説明((9)式)、および、変形例7も参照)。
閉塞タイミング判定手段は、例えば、炉下部状態解析部702を用いることにより実現される(図9のステップS907、および、スラグレベル推定モデルの説明も参照)。
[請求項2]
収束判定手段は、例えば、収束判定部703を用いることにより実現される(図8のステップS803、スラグレベル推定モデルの説明、および、変形例3、10も参照)。
[請求項3]
最大スラグレベル導出手段およびスラグレベル変動幅導出手段は、例えば、炉下部状態解析部702を用いることにより実現される(図9のステップS911も参照)。
最大スラグレベル判定手段は、例えば、収束判定部703を用いることにより実現される(図10のステップS1002、S1005も参照)。
スラグレベル変動幅判定手段は、例えば、収束判定部703を用いることにより実現される(図10のステップS1004、S1006も参照)。
[請求項4、6、7]
出銑方法変更手段は、例えば、出銑方法変更部704を用いることにより実現される(図8のステップS804、図11、および変形例1、2も参照)。
[請求項5]
出銑回数導出手段は、例えば、炉下部状態解析部702を用いることにより実現される(図9のステップS911、および、変形例8も参照)。
前記出銑方法変更手段は、例えば、出銑方法変更部704を用いることにより実現される(図8のステップS804、図11のステップS1101〜1105、および変形例1も参照)。
Claims (10)
- 高炉が有する複数の出銑口のうち、出銑に利用される複数の出銑口に対する出銑順の繰り返しパターンと、前記出銑順で隣り合う2つの出銑口のうち先行する出銑口と後行する出銑口との双方が1回の出銑において同時期に開口している時間であるラップ時間と、前記出銑に利用される複数の出銑口における開口径の初期値である初期出銑口径と、を設定する設定手段と、
前記出銑順の繰り返しパターンと前記ラップ時間とに基づき、次に開口する前記出銑口を開口するタイミングであるか否かを判定する開口タイミング判定手段と、
前記高炉の炉下部に単位時間当たりに滴下する溶銑および溶融スラグの量と、開口している出銑口から排出される溶銑および溶融スラグの排出速度とを境界条件として用いて、前記高炉の炉下部における溶銑および溶融スラグの速度分布を数値解析により導出する速度分布導出手段と、
前記高炉の炉下部に単位時間当たりに滴下する溶銑および溶融スラグの量を境界条件として用いて、前記速度分布導出手段により導出された前記高炉の炉下部における溶銑および溶融スラグの速度分布に基づいて、前記高炉の炉下部における溶融スラグと気体との界面の高さ位置であるスラグレベルを数値解析により導出するスラグレベル導出手段と、
前記スラグレベル導出手段により導出されたスラグレベルが、開口している前記出銑口の炉内側の所定の高さ位置になると、当該出銑口を閉塞するタイミングであると判定する閉塞タイミング判定手段と、を有し、
前記速度分布導出手段は、前記開口タイミング判定手段により判定されたタイミングで、前記次に開口する出銑口が前記初期出銑口径で開口され、その後、当該出銑口が時間の経過とともに拡大されるものとし、且つ、前記閉塞タイミング判定手段により判定されたタイミングで、前記開口している出銑口が閉塞されるものとして、前記高炉の炉下部における溶銑および溶融スラグの速度分布を導出することを特徴とする高炉状態解析装置。 - 前記スラグレベル導出手段により導出された前記スラグレベルの状態が操業上要求される所定の条件を満たすか否かを判定する収束判定手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の高炉状態解析装置。
- 前記出銑順の繰り返しパターンの一周期よりも長い所定の期間において前記スラグレベル導出手段により導出された前記スラグレベルの最大値である最大スラグレベルを導出する最大スラグレベル導出手段と、
前記出銑順の繰り返しパターンの一周期よりも長い所定の期間において前記スラグレベル導出手段により導出された前記スラグレベルの最大値と最小値との差であるスラグレベルの変動幅とを導出するスラグレベル変動幅導出手段と、を更に有し、
前記収束判定手段は、
前記最大スラグレベル導出手段により導出された最大スラグレベルが、操業上要求される所定の条件を満たすか否かを判定する最大スラグレベル判定手段と、
前記スラグレベル変動幅導出手段により導出されたスラグレベルの変動幅が、操業上要求される所定の条件を満たすか否かを判定するスラグレベル変動幅判定手段と、を更に有し、
前記最大スラグレベル判定手段による判定の結果と、前記スラグレベル変動幅判定手段による判定の結果とに基づいて、前記スラグレベル導出手段により導出された前記スラグレベルの状態が操業上要求される所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の高炉状態解析装置。 - 前記収束判定手段により、前記スラグレベル導出手段により導出された前記スラグレベルの状態が操業上要求される所定の条件を満たさないと判定された場合、前記スラグレベル導出手段により導出される前記スラグレベルの状態が前記操業上要求される所定の条件を満たす方向に変更されるように、前記ラップ時間と前記初期出銑口径の少なくとも何れか一方を変更する出銑方法変更手段を更に有し、
前記開口タイミング判定手段は、前記出銑方法変更手段によりラップ時間が変更された場合には、前記出銑順の繰り返しパターンと前記変更された後のラップ時間とに基づき、次に開口する前記出銑口を開口するタイミングであるか否かを判定し、
前記速度分布導出手段は、前記出銑方法変更手段により初期出銑口径が変更された場合には、前記開口タイミング判定手段により判定されたタイミングで、前記次に開口する出銑口が、前記変更された後の初期出銑口径で開口されるものとして、前記高炉の炉下部における溶銑および溶融スラグの速度分布を導出することを特徴とする請求項2または3に記載の高炉状態解析装置。 - 前記速度分布導出手段と前記スラグレベル導出手段による数値解析の結果に基づいて、所定の期間における出銑回数を導出する出銑回数導出手段を更に有し、
前記設定手段は、前記所定の期間における出銑回数の上限値を更に設定し、
前記出銑方法変更手段は、前記出銑回数導出手段により導出された所定の期間における出銑回数が上限値を上回る場合には、前記出銑回数導出手段により導出される所定の期間における出銑回数が小さくなるように、前記ラップ時間と前記初期出銑口径の少なくとも何れか一方を変更することを特徴とする請求項4に記載の高炉状態解析装置。 - 前記出銑方法変更手段は、オペレータによる入力操作に基づいて、前記ラップ時間と前記初期出銑口径の少なくとも何れか一方の変更値を入力し、入力した変更値を設定することを特徴とする請求項4または5に記載の高炉状態解析装置。
- 前記出銑方法変更手段は、所定のアルゴリズムに基づいて、前記ラップ時間と前記初期出銑口径の少なくとも何れか一方の変更値を自動的に設定することを特徴とする請求項4または5に記載の高炉状態解析装置。
- 前記スラグレベル導出手段は、VOF(Volume Of Fluid)法を用いて前記スラグレベルを導出することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の高炉状態解析装置。
- 高炉が有する複数の出銑口のうち、出銑に利用される複数の出銑口に対する出銑順の繰り返しパターンと、前記出銑順で隣り合う2つの出銑口のうち先行する出銑口と後行する出銑口との双方が1回の出銑において同時期に開口している時間であるラップ時間と、前記出銑に利用される複数の出銑口における開口径の初期値である初期出銑口径と、を設定する設定工程と、
前記出銑順の繰り返しパターンと前記ラップ時間とに基づき、次に開口する前記出銑口を開口するタイミングであるか否かを判定する開口タイミング判定工程と、
前記高炉の炉下部に単位時間当たりに滴下する溶銑および溶融スラグの量と、開口している出銑口から排出される溶銑および溶融スラグの排出速度とを境界条件として用いて、前記高炉の炉下部における溶銑および溶融スラグの速度分布を数値解析により導出する速度分布導出工程と、
前記高炉の炉下部に単位時間当たりに滴下する溶銑および溶融スラグの量を境界条件として用いて、前記速度分布導出工程により導出された前記高炉の炉下部における溶銑および溶融スラグの速度分布に基づいて、前記高炉の炉下部における溶融スラグと気体との界面の高さ位置であるスラグレベルを数値解析により導出するスラグレベル導出工程と、
前記スラグレベル導出工程により導出されたスラグレベルが、開口している前記出銑口の炉内側の所定の高さ位置になると、当該出銑口を閉塞するタイミングであると判定する閉塞タイミング判定工程と、を有し、
前記速度分布導出工程は、前記開口タイミング判定工程により判定されたタイミングで、前記次に開口する出銑口が前記初期出銑口径で開口され、その後、当該出銑口が時間の経過とともに拡大されるものとし、且つ、前記閉塞タイミング判定工程により判定されたタイミングで、前記開口している出銑口が閉塞されるものとして、前記高炉の炉下部における溶銑および溶融スラグの速度分布を導出することを特徴とする高炉状態解析方法。 - 請求項1〜8の何れか1項に記載の高炉状態解析装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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