JP7106224B2 - 発泡用ウィジェット - Google Patents

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Description

本発明は、主に飲料用容器内に飲料と共に封入して飲料を効率的に発泡させる、発泡用ウィジェットに関するものである。
従来、主に飲料用容器内に飲料と共に封入し、容器の開栓時に飲料を発泡させるための発泡用ウィジェットとして、例えば特許文献1に記載されるように、ガスの収容空間を形成するチャンバと、チャンバに形成された吸気孔と、吸気孔を通じた外部からのガスの導入を許容すると共にガスの排出を阻止する吸気弁と、チャンバにおける吸気孔の下方に形成された噴出孔と、を備えることをものが知られている。
このような発泡用ウィジェットによれば、飲料用容器を開栓したときにチャンバ内のガスを噴出して飲料を発泡させることができる。
特開2019- 26343号公報
ところで、特許文献1に記載される発泡用ウィジェットでは、上側チャンバ内に収容された弁体が下方から抜け出さないように、中央筒部の内面に抜け止め部を設けることが考えられる。しかし、抜け止め部は、弁体を径方向外側から囲むように保持することになるため、抜け止め部に弁体が貼り付いたり引っ掛かったりして作動不良が発生する場合が想定されるため、改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑み開発されたもので、吸気弁の作動不良を低減した発泡用ウィジェットを提供することを目的とする。
本発明の発泡用ウィジェットは、
上側チャンバと、該上側チャンバの下部に装着される下側チャンバとを有し、ガスの収容空間を形成するチャンバと、
該上側チャンバに設けられ、前記収容空間内にガスを供給する吸気流路と、
該吸気流路を通じた外部からのガスの導入を許容すると共にガスの排出を阻止する吸気弁と、
前記下側チャンバに設けられ、前記収容空間内のガスを外部に噴出する噴出流路と、
前記上側チャンバから前記収容空間内を下方に垂下する吸気側筒部と、
該吸気側筒部の径方向内側に設けられ、前記下側チャンバから前記収容空間内を上方へと延びる突出部と
を備え、
前記吸気弁は、前記吸気側筒部の内側を上下に移動可能な移動弁体と、前記吸気側筒部の上部に形成され、前記チャンバ内の正圧により該移動弁体が着座する弁座とを有し、
前記移動弁体は、前記突出部の上部に当接することで下方への移動を制限されており、
前記吸気側筒部の内面には、前記移動弁体が前記突出部の上部に当接した状態において、前記移動弁体から下方に離間して配置され前記吸気側筒部からの前記移動弁体の抜け出しを抑制する抜け止め部が設けられていることを特徴とする。
本発明の発泡用ウィジェットは、上記構成において、前記突出部は、内部に前記噴出流路が形成された噴出側筒部であることが好ましい。
本発明の発泡用ウィジェットは、上記構成において、前記噴出側筒部の上部には、周方向の少なくとも1箇所において前記移動弁体と前記噴出側筒部との間に隙間を形成する切り欠き部が設けられていることが好ましい。
本発明の発泡用ウィジェットは、上記構成において、前記抜け止め部は、前記吸気側筒部の内面において径方向内側に突出する抜け止めリブであることが好ましい。
本発明の発泡用ウィジェットは、上記構成において、前記噴出流路の流路面積は、前記吸気流路の流路面積よりも小さいことが好ましい。
本発明の発泡用ウィジェットは、上記構成において、前記下側チャンバから上方へ延びると共に前記噴出側筒部の径方向外側に設けられた補助筒部を更に備えることが好ましい。
本発明によれば、吸気弁の作動不良を低減した発泡用ウィジェットを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る発泡用ウィジェットの正面半断面図である。 本発明の一実施形態に係る発泡用ウィジェットの平面図である。 図1における、抜け止め部部分の拡大図である。 本発明の一実施形態に係る発泡用ウィジェットの正面断面図であって、(a)は飲料が発泡用ウィジェット内に侵入していない状態を示す図であり、(b)は飲料が噴出孔から発泡用ウィジェット内に侵入している状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る発泡用ウィジェットによって、飲料用容器内の飲料を発泡させる手順を示すフローチャートである。
以下、図1~図5を参照して、本発明の一実施形態に係る発泡用ウィジェット100について詳細に例示説明する。
なお、本明細書において上下方向とは、図1の上下方向を基準とし、容器の中心軸線Oに沿って吸気孔16aが配置される側を上方、噴出孔24aが配置される側を下方とする。また、径方向外側とは、図1における発泡用ウィジェット100の中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って外側に向かう方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を意味するものとする。
図1に示すように、本実施形態に係る発泡用ウィジェット100は、外部からガスを吸気する吸気流路16bを設けた上側チャンバ10と、上側チャンバ10の下部に装着されガスを噴出させる噴出流路24bを設けた下側チャンバ20と、吸気弁2を形成する球状弁体30(移動弁体)とを備えている。なお、上側チャンバ10と下側チャンバ20とにより、ガスを収容する収容空間Sを形成するチャンバ1が構成されている。
上側チャンバ10は、図1に示すように、上側チャンバ10の上部を形成し略球弧形状を有する薄肉の外殻部12を有しており、その上端部には、下方に向けて垂下する円筒状の吸気側筒部14が一体形成されている。
吸気側筒部14は、中央高さより上方寄りにおいて下方に向かって縮径する段部14aを有しており、段部14aにおける内周面には、径方向内側に向かって上方に傾斜する弁座16が設けられている。すなわち、弁座16は、上方に向かって縮径する円錐台の側面形状を有している。また、弁座16の内側空間は、外部(飲料用容器)から吸気孔16a(図1及び図2参照)を通じて収容空間S内にガスを供給可能な吸気流路16bの一部を構成している。
弁座16は、球状弁体30が下方から着座することにより収容空間Sから外部へのガスの漏出を阻止する役割を果たす。すなわち、球状弁体30と弁座16により、一方向弁である吸気弁2を構成している。吸気弁2は、外部から吸気流路16bを通じた収容空間S内へのガスの供給を許容すると共に、吸気流路16bを通じた収容空間S内から外部へのガスの漏出を阻止している。なお、吸気弁2は、内外に圧力差が生じていない初期状態においては、球状弁体30が自重で弁座16から離れ、後述する下側チャンバ20の噴出側筒部24(突出部)の上部に当接することで開放されている。
吸気側筒部14の内側空間には、下側チャンバ20の噴出側筒部24の一部が下方より進入し配置されている。噴出側筒部24の上部には、周方向に間欠的に切り欠き部24cが形成されており、これによって球状弁体30が噴出側筒部24の上部に貼り付いたり引っ掛かることを抑制している。吸気孔16aから取り込まれたガスは、吸気流路16b内における球状弁体30と吸気側筒部14との隙間空間を通じて収容空間S内に取り込まれる。
図3に示すように、吸気側筒部14の内面には、径方向内側に突出する抜け止めリブ14b(抜け止め部)が設けられている。抜け止めリブ14bは、周方向に間欠的に設けられた複数のリブであり、球状弁体30が噴出側筒部24の上部に当接した状態において、球状弁体30から下方に離間して配置されている。従って、球状弁体30は、吸気側筒部14内の移動範囲の下端において噴出側筒部24の上部に当接し、抜け止めリブ14bに接触することがない。従って、球状弁体30が抜け止めリブ14bに貼り付いたり引っ掛かったりすることに起因する吸気弁2の作動不良を低減することができる。
なお、本実施形態では、噴出側筒部24の上部の外径が下部に対して縮径されており、噴出側筒部24の上部の外径が、抜け止めリブ14bの内周端同士の距離(内径)よりも小さくなるように構成されている。これによって、噴出側筒部24の上部が抜け止めリブ14bに当接しないようにされている。
ここで、球状弁体30の移動範囲の下端を抜け止めリブ14bではなく噴出側筒部24の上部により制限した方が、球状弁体30の貼り付きや引っ掛かりを抑制し易い理由について説明する。
仮に球状弁体30が抜け止めリブ14bに当接した場合には、球状弁体30が径方向外側から抜け止めリブ14bにより囲まれることになるため、球状弁体30と抜け止めリブ14bとの当接は「嵌合」の状態に近く、球状弁体30と抜け止めリブ14bとの接触面積も大きくなり易い。従って、球状弁体30が抜け止めリブ14bに当接した場合には貼り付き等が起こり易いものと考えられる。
他方、球状弁体30が噴出側筒部24の上部に当接した場合には、抜け止めリブ14bよりも直径が小さい噴出側筒部24の上部が下方から球状弁体30に当接するため、球状弁体30と噴出側筒部24の上部との当接は下方からの「突き上げ」の状態に近いものと考えられる。また、本実施形態では、噴出側筒部24の上部の当接部における周方向の少なくとも1箇所に切り欠き部24cを設けたので、球状弁体30と噴出側筒部24の上部との接触面積を減らすことができるほか、噴出側筒部24内の圧力が吸気側筒部14内の圧力に対して負圧となった場合でも当該負圧に起因して球状弁体30が噴出側筒部24の上部に貼り付くことを抑制できる。従って、球状弁体30が噴出側筒部24の上部に当接した場合には貼り付き等が起こり難いものと考えられる。
抜け止めリブ14bの向かい合う内周端同士の距離(内径)は、球状弁体30の直径よりも短く構成されている。これによって、上側チャンバ10に下側チャンバ20が未だ装着されていない状態において、吸気流路16b内に球状弁体30をセットした場合でも、球状弁体30は、容易に抜け止めリブ14bを通過して下方に抜け出すことができない。従って、抜け止めリブ14bは、球状弁体30が吸気側筒部14から下方に抜け出すのを抑制する抜け止め部として機能する。
図1の左右方向における外殻部12の外端部には、下方に延びる筒状形状の周壁18が設けられており、周壁18の下端部には更に下方に延びる嵌合部13が形成されている。図1に示すように、嵌合部13は、外殻部12及び周壁18よりも厚肉に形成されており、嵌合部13の外面が下側チャンバ20の嵌合壁26に嵌合することによって、上側チャンバ10に下側チャンバ20が装着されている。また、嵌合部13の上端部における径方向外側には、フランジ13aを介して外周壁13cが形成されている。外周壁13cの上部には、周方向に間欠的に嵌合孔13b(図1及び図2参照)が形成されている。各嵌合孔13bは、後述する下側チャンバ20の爪部26aを外周壁13cの上端部にアンダーカット係合させるために形成されている。嵌合壁26の内面に嵌合部13を嵌合させ、爪部26aが外周壁13cの上端部にアンダーカット係合することで、下側チャンバ20が上側チャンバ10に装着され、固定されている。このとき、嵌合壁26の上端部がフランジ13aに当接することで嵌合壁26の上方への変位を規制している。
下側チャンバ20は、図1に示すように、径方向外側に向けて上方に傾斜する略球弧形状を有する外殻部22を有しており、その中央部には、上方に延びる略円柱状の噴出側筒部24が一体形成されている。噴出側筒部24の内周面は、ガスの噴出流路24bを形成しており、噴出側筒部24の下部には、収容空間S内のガスを外部に噴出させる噴出孔24aが形成されている。
ここで、噴出流路24bの流路面積は、収容空間S内のガスが外部へ流れる流路の断面積のうち、最小となる噴出孔24a部分の断面積を指すものとする。図1の例では、噴出孔24aの断面積は上下方向位置に依存せず一定であり、当該断面積が噴出流路24bの流路面積となる。
一方、吸気流路16bの流路面積は、吸気流路16bの断面積のうち、最小となる部分の断面積を指すものとする。図1の例では、吸気流路16bの流路面積は、弁座16の上方に形成された吸気筒部16dの内側空間(吸気孔16aを含む)から、球状弁体30が噴出側筒部24の上部に当接した状態における球状弁体30と吸気側筒部14との隙間空間までの流路における最小断面積となる。
本実施形態では、噴出孔24a側に弁を設けず、噴出流路24bの流路面積が、吸気流路16bの流路面積よりも小さくなるように構成されている。これによって、飲料用容器の開栓時に収容空間S内のガスが弁の開放により一気に噴出してしまうことがない。よって、噴出流路24bの流路面積に対応した、泡の発生に適した流量でガスを噴出させることができる。
図1の左右方向における、外殻部22の端部には、上方へと延びる嵌合壁26が形成されている。嵌合壁26の上端部には、図1に示すように、上側チャンバ10の外周壁13cの上端部にアンダーカット係合させるための爪部26aが形成されている。下側チャンバ20の嵌合壁26の内面に上側チャンバ10の嵌合部13を嵌合させ、爪部26aを外周壁13cの上端部にアンダーカット係合させることで上側チャンバ10と下側チャンバ20とを固定することができる。なお、上側チャンバ10への下側チャンバ20の装着は上述のアンダーカット係合によるものの他、ねじ係合や接着によるものとしてもよい。また、上側チャンバ10と下側チャンバ20とが一体形成されるように構成してもよい。
本実施形態では、噴出側筒部24の径方向外側に、補助筒部28,29が同心状に形成されている。このように、補助筒部28,29を設けることで、後述するように、輸送時の揺れ等により噴出側筒部24の外側に飲料が溢れてしまった場合でも、収容空間S内への飲料の侵入をこの補助筒部28,29よりも径方向内側の領域に制限することができる。従って、収容空間S全体に飲料が入り込むのを抑制し、飲料用容器の開栓時により多くのガスを噴出させることができる。
本実施形態では、図1に示すように、下側チャンバ20の各部位が上側チャンバ10と比較して厚肉に形成されており、下側チャンバ20の質量が上側チャンバ10の質量より大きい。このように下側チャンバ20の質量が上側チャンバ10の質量より大きくなるように構成することで、発泡用ウィジェット100の重心位置が下側チャンバ20寄りにシフトする。これによって、発泡用ウィジェット100を飲料中に浮かべると、下側チャンバ20が下方に位置し、噴出孔24aが飲料の液面より下方に位置することになる。従って、後述するように、飲料用容器を開栓すると、常に収容空間S内のガスが噴出孔24aを通じて飲料中に噴射される。従って、飲料を確実に発泡化することができる。
なお、本実施形態では、上側チャンバ10よりも下側チャンバ20を厚肉に形成することにより、下側チャンバ20の質量が上側チャンバ10よりも大きくなるように構成したが、この態様には限定されない。例えば、下側チャンバ20に比重が大きな材料を用いることによって、下側チャンバ20の質量が上側チャンバ10の質量より大きくなるように構成してもよい。
本実施形態において、飲料用容器内に充填される飲料としては、ビールや炭酸飲料などの泡立つ飲料が好適であるが、これに限定されるものではなく、他の様々な液体飲料を充填することができる。
上側チャンバ10及び下側チャンバ20の材質としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ナイロン等の合成樹脂を用いることができるが、これらの材質に限定されるものではない。
次に、本実施形態に係る発泡用ウィジェット100により、より多くのガスを飲料中に噴出することができる理由について図4(a),(b)を用いて説明する。
図4(a),(b)は、本実施形態に係る発泡用ウィジェット100の正面断面図である。発泡用ウィジェット100を飲料に浮かべた直後は、図4(a)に示すように、収容空間S内には飲料用容器内のガスが充填され、飲料が収容空間S内に入り込んでいない。しかし、発泡用ウィジェット100を飲料に浮かべると、発泡用ウィジェット100の質量と、発泡用ウィジェット100のうち飲料の液面よりも下方にある部分の体積に相当する飲料の質量とがつり合うように、発泡用ウィジェット100の一部が飲料に浸る。発泡用ウィジェット100に作用する飲料からの浮力は、発泡用ウィジェット100が排除した飲料の重量に等しいからである。このため、チャンバ1の下部に形成された噴出孔24aを通じて飲料が徐々に収容空間S内に侵入する。このとき、収容空間S内のガスは、吸気流路16bを通じて外部(飲料用容器内)に放出され、発泡用ウィジェット100内に入り込んだ飲料の液面高さが発泡用ウィジェット100の外側における飲料の液面高さに一致するようになる。本実施形態では、図4(b)に示すように噴出孔24a及び噴出流路24bの径方向外側に噴出側筒部24を形成するようにしたので、収容空間S内に入り込んだ飲料は、噴出側筒部24の径方向内側の空間にのみ入り込むことになる。従って、発泡用ウィジェット100内に入り込む飲料の液面高さが発泡用ウィジェット100の外側における飲料の液面高さに一致した状態において、収容空間S内に入り込む飲料の体積を抑制することができるので、より多くのガスを飲料中に噴出することができる。従って、飲料用容器内の飲料を効率よく発泡することができる。
なお、噴出側筒部24の高さは、図4(b)に示すように発泡用ウィジェット100内に入り込む飲料の液面高さが発泡用ウィジェット100の外側における飲料の液面高さに一致したときに、噴出側筒部24の上部から飲料が溢れ出さないように設定することが好ましい。すなわち、発泡用ウィジェット100の質量と、発泡用ウィジェット100のうち飲料の液面よりも下方にある部分の体積に相当する飲料の質量とがつり合うように、発泡用ウィジェット100の一部が飲料に浸ったとき、噴出側筒部24の上部における切り欠き部24cの下端部の高さが飲料の液面高さよりも高くなるように構成することが好ましい。発泡用ウィジェット100が用いられる飲料としては、ビールや炭酸飲料の他、様々な飲料等が想定されるが、例えばそれらの飲料のうち最も比重が小さな飲料に対して上述の条件を満たすように噴出側筒部24の上部の高さを設定することができる。飲料の比重が大きくなれば、飲料に浸る発泡用ウィジェット100の領域が少なくなるため、必要とされる噴出側筒部24の高さが低くなる。従って、最も噴出側筒部24の高さが必要とされる比重が小さな飲料に対して、噴出側筒部24の上部の高さを設定すればよい。また、飲料として水を想定して、上述の条件を満たすように噴出側筒部24の上部の高さを設定してもよい。
次に、本実施形態に係る発泡用ウィジェット100によって、飲料用容器内の飲料を発泡させる手順について図5を用いて説明する。
まず、図示しない飲料用容器内に飲料を充填する際に、本実施形態の発泡用ウィジェット100を、飲料と共に飲料用容器内に投入する(図5のステップS101)。発泡用ウィジェット100は、図1に示すように薄肉の合成樹脂材料で形成されることで軽量化されており、飲料用容器内に投入直後の収容空間S内には空気が充填されている。従って、発泡用ウィジェット100は十分な浮力を得て飲料の表面に浮いた状態となる。なお、下側チャンバ20は上側チャンバ10よりも質量が大きいため、発泡用ウィジェット100は、飲料の表面で、下側チャンバ20が下方に位置する姿勢を維持することができる。ここで、飲料が炭酸飲料である場合、飲料と共に二酸化炭素ガス、又は二酸化炭素ガスと液体窒素が添加される。飲料が炭酸飲料では無い場合、例えば液体窒素が添加される。飲料用容器内に飲料、発泡用ウィジェット100及びガスが投入されると、蓋体が装着される(ステップS102)。
飲料用容器を蓋体により封止すると、飲料用容器内のガスにより容器内の圧力が上昇する(ステップS103)。この飲料用容器内の圧力の上昇によって、発泡用ウィジェット100の収容空間S内の圧力より外部(飲料用容器内)の圧力の方が高くなるため、飲料用容器内のガスが、上側チャンバ10の上端部から吸気流路16bを経由して収容空間S内に導入される(ステップS104)。このとき、液体である飲料が噴出流路24bを通じて収容空間Sに入る経路も存在するが、本実施形態では、噴出流路24bの流路面積は吸気流路16bの流路面積よりも小さくなるように構成されている。また、噴出孔24a及び噴出流路24bの径方向外側には噴出側筒部24が形成されているので、飲料は収容空間S内に侵入したとしても噴出側筒部24の径方向内側の限定された空間内にのみ導入される。従って、噴出孔24a及び噴出流路24bから収容空間S内に入る飲料は少量に限定され、収容空間Sの大部分は、飲料容器内のガスが充填される。この収容空間S内にガスが充填される過程では、発泡用ウィジェット100の収容空間S内の圧力は飲料用容器内の圧力を越えることはない。そして、収容空間S内の圧力と飲料用容器内の圧力は平衡状態へと収束する(ステップS105)。
次に、飲料用容器は、消費者により開栓される(ステップS106)。これによって、飲料用容器内の圧力は一気に大気圧に開放される。このとき、収容空間S内の圧力は飲料用容器内の圧力よりも高くなる。すなわち、チャンバ1の収容空間Sに正圧が発生している状態となる。収容空間S内の正圧によって球状弁体30は上方に向けて押圧され、弁座16に着座するため、吸気弁2は閉塞し、吸気流路16bが閉塞される(ステップS107)と共に、収容空間S内の正圧がかかったガスは、噴出孔24aから飲料内に所定の流量で噴出される(ステップS108)。なお、ここでいう所定の流量は、必ずしも一定の流量の意味ではなく、噴出流路24bの流路面積により定まる、泡の形成に適した流量である。
ガスが飲料内に噴出されると、飲料が攪拌され、飲料内に溶解していたガスも気化して、多数の微細な泡が形成される(ステップS109)。これらの泡は飲料用容器のヘッドスペースに向けて上昇し、飲料の上部に泡の層を形成する(ステップS110)。
以上述べたように、本実施形態は、上側チャンバ10と、上側チャンバ10の下部に装着される下側チャンバ20とを有し、ガスの収容空間Sを形成するチャンバ1と、上側チャンバ10に設けられ、収容空間S内にガスを供給する吸気流路16bと、吸気流路16bを通じた外部からのガスの導入を許容すると共にガスの排出を阻止する吸気弁2と、下側チャンバ20に設けられ、収容空間S内のガスを外部に噴出する噴出流路24bと、上側チャンバ10から収容空間S内を下方に垂下する吸気側筒部14と、吸気側筒部14の径方向内側に設けられ、下側チャンバ20から収容空間S内を上方へと延びる突出部とを備え、吸気弁2は、吸気側筒部14の内側を上下に移動可能な移動弁体(球状弁体30)と、吸気側筒部14の上部に形成され、チャンバ1内の正圧により移動弁体が着座する弁座16とを有し、移動弁体は、突出部の上部に当接することで下方への移動を制限されており、吸気側筒部14の内面には、移動弁体が突出部の上部に当接した状態において、移動弁体から下方に離間して配置され吸気側筒部14からの移動弁体の抜け出しを抑制する抜け止め部が設けられているように構成した。このような構成の採用によって、移動弁体は、移動範囲の下端において、吸気側筒部14の内面に設けられた抜け止め部ではなく吸気側筒部14の径方向内側に設けられ下側チャンバ20から上方へと延びる突出部に当接するので、移動弁体が移動範囲の下端において他部材に貼り付いたり引っ掛かることを抑制して吸気弁2の作動不良を低減することができる。また、上側チャンバ10に下側チャンバ20が未だ装着されていない状態においては、抜け止め部により移動弁体が吸気側筒部14から抜け出すのを抑制することができる。
また、本実施形態では、突出部は、内部に噴出流路24bが形成された噴出側筒部24であるように構成した。このような構成の採用によって、発泡用ウィジェット100を飲料に浮かべたときに噴出孔24aを通じて収容空間S内に侵入する飲料を噴出側筒部24の径方向内側の空間にのみに限定してより多くのガスを収容空間S内に充填させることができるため、飲料用容器の開栓時により多くのガスを飲料中に噴出させつつ、移動弁体の貼り付き及び引っ掛かりを抑制することができる。
また、本実施形態では、噴出側筒部24の上部には、周方向の少なくとも1箇所において移動弁体と噴出側筒部24との間に隙間を形成する切り欠き部24cが設けられるように構成した。このような構成の採用によって、移動弁体と噴出側筒部24の上部との接触面積を減らすことができるほか、噴出側筒部24内の圧力が吸気側筒部14内の圧力に対して負圧となった場合でも、当該負圧に起因して移動弁体が噴出側筒部24の上部に貼り付くことを抑制することができる。従って、移動弁体が噴出側筒部24の上部に当接したときの貼り付きや引っ掛かりを更に抑制することができる。
また、本実施形態では、抜け止め部は、吸気側筒部14の内面において径方向内側に突出する抜け止めリブ14bであるように構成した。このような構成の採用によって、抜け止め部を吸気側筒部14と一体形成することができるほか、移動弁体を無理抜きにより吸気流路16b内にセットすることができるので、発泡用ウィジェット100の組み立て工程を簡素化することができる。
また、本実施形態では、噴出流路24bの流路面積は、吸気流路16bの流路面積よりも小さくなるように構成した。このような構成の採用によって、飲料用容器の開栓時に収容空間S内のガスが一気に噴出してしまうことがない。よって、噴出流路24bの流路面積に対応した、泡の発生に適した流量でガスを噴出させることができる。
また、本実施形態では、下側チャンバ20から上方へ延びると共に噴出側筒部24の径方向外側に設けられた補助筒部28,29を更に備えるように構成した。このような構成の採用によって、輸送時の揺れ等により噴出側筒部24の径方向外側に飲料が漏れてしまった場合でも、収容空間S内への飲料の侵入をこの補助筒部28,29よりも径方向内側の領域に制限することができる。従って、収容空間S全体に飲料が入り込むのを抑制してより多くのガスを収容空間S内に収容して噴出させることができる。すなわち、飲料用容器内の飲料を効率よく発泡することができる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
例えば、本実施形態では、吸気弁2を球状弁体30と弁座16によって構成したが、この態様には限定されない。移動弁体は、球形以外の他の形状を有していてもよい。また、移動弁体は、例えば三点弁等のように弾性部材により弾性支持された構成を有していてもよい。
また、本実施形態では、突出部を噴出側筒部24として構成したが、この態様には限定されない。突出部は、下側チャンバ20から上方へ延びる筒状部材以外の他の部材であってもよく、この場合噴出孔24a及び噴出流路24bは必ずしも突出部の内部に設けられていなくてもよい。
また、本実施形態では、噴出側筒部24の上部における周方向の少なくとも1箇所において切り欠き部24cを設けるように構成したが、この態様には限定されない。切り欠き部24cに代えて、例えば噴出側筒部24の上部における周方向の一部から上方に突出する凸部を備えていてもよく、噴出側筒部24の上部と移動弁体とが当接したときの接触面積を低減し、及び/又は噴出側筒部24の上部と移動弁体との間に隙間を生じさせることができればよい。また、切り欠き部24cや上記凸部は設けなくてもよい。
また、本実施形態では、噴出流路24bの流路面積が吸気流路16bの流路面積よりも小さくなるように構成したが、この態様には限定されず、噴出流路24bの流路面積が吸気流路16bの流路面積と同じであってもよいし、吸気流路16bの流路面積より大きくてもよい。
また、本実施形態では、噴出側筒部24の径方向外側に補助筒部28,29を設けるように構成したが、この態様には限定されず、補助筒部28,29は1又は3箇所以上に設けてもよいし、設けていなくてもよい。
また、本実施形態では、吸気側筒部14と噴出側筒部24とを同心状に形成したが、この態様には限定されず、両者が同心状に配置されていなくてもよい。
また、本実施形態では、チャンバ1が略球形状を有するように構成したが、この態様には限定されない。チャンバ1は、例えば下側チャンバ20の外殻部22が、上側チャンバ10の外殻部12よりも平坦な形状となるようにして、発泡用ウィジェット100の浮き姿勢をより安定化するように構成してもよい。
1 チャンバ
2 吸気弁
10 上側チャンバ
12 外殻部
13 嵌合部
13a フランジ
13b 嵌合孔
13c 外周壁
14 吸気側筒部
14a 段部
14b 抜け止めリブ(抜け止め部)
16 弁座
16a 吸気孔
16b 吸気流路
16d 吸気筒部
18 周壁
20 下側チャンバ
22 外殻部
24 噴出側筒部(突出部)
24a 噴出孔
24b 噴出流路
24c 切り欠き部
26 嵌合壁
26a 爪部
28 補助筒部
29 補助筒部
30 球状弁体(移動弁体)
100 発泡用ウィジェット
O 軸線
S 収容空間

Claims (6)

  1. 上側チャンバと、該上側チャンバの下部に装着される下側チャンバとを有し、ガスの収容空間を形成するチャンバと、
    該上側チャンバに設けられ、前記収容空間内にガスを供給する吸気流路と、
    該吸気流路を通じた外部からのガスの導入を許容すると共にガスの排出を阻止する吸気弁と、
    前記下側チャンバに設けられ、前記収容空間内のガスを外部に噴出する噴出流路と、
    前記上側チャンバから前記収容空間内を下方に垂下する吸気側筒部と、
    該吸気側筒部の径方向内側に設けられ、前記下側チャンバから前記収容空間内を上方へと延びる突出部と
    を備え、
    前記吸気弁は、前記吸気側筒部の内側を上下に移動可能な移動弁体と、前記吸気側筒部の上部に形成され、前記チャンバ内の正圧により該移動弁体が着座する弁座とを有し、
    前記移動弁体は、前記突出部の上部に当接することで下方への移動を制限されており、
    前記吸気側筒部の内面には、前記移動弁体が前記突出部の上部に当接した状態において、前記移動弁体から下方に離間して配置され前記吸気側筒部からの前記移動弁体の抜け出しを抑制する抜け止め部が設けられていることを特徴とする発泡用ウィジェット。
  2. 前記突出部は、内部に前記噴出流路が形成された噴出側筒部である、請求項1に記載の発泡用ウィジェット。
  3. 前記噴出側筒部の上部には、周方向の少なくとも1箇所において前記移動弁体と前記噴出側筒部との間に隙間を形成する切り欠き部が設けられている、請求項2に記載の発泡用ウィジェット。
  4. 前記抜け止め部は、前記吸気側筒部の内面において径方向内側に突出する抜け止めリブである、請求項1から3のいずれか一項に記載の発泡用ウィジェット。
  5. 前記噴出流路の流路面積は、前記吸気流路の流路面積よりも小さい、請求項1から4のいずれか一項に記載の発泡用ウィジェット。
  6. 前記下側チャンバから上方へ延びると共に前記噴出側筒部の径方向外側に設けられた補助筒部を更に備える、請求項2又は3に記載の発泡用ウィジェット。
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