JP7104103B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、コネクタに関する。
自動車用ワイヤハーネス等の接続に用いられるコネクタは、導電性を有する端子と、端子を収容するための合成樹脂製のコネクタハウジングとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
上記コネクタハウジングには、端子収容室が形成されており、端子収容室内に突出するようにランス(可撓係止片)が設けられている。更にこのランスには、端子収容室に突出するようにリブが一体に形成されている。
端子は、略箆状の基板部と、基板部の前方側に形成される一対の弾性カール部と、基板部の後方側に形成される一対の導体圧着部及び一対の被覆圧着部とを備えて構成されている。
上記コネクタは、端子がコネクタハウジングの端子収容室に不適切な逆挿入向きで挿入された際、端子の基板部の先端がリブの当接面に当接し、端子の挿入が不可能となる。そこで、端子の逆挿入を阻止することができる。
特開2001-257022号公報
しかしながら、上記のコネクタでは、端子の逆挿入を防止できるものの、コネクタハウジングに端子を挿入する際の端子挿入力が大きくなってしまうという問題があった。即ち、端子を端子収容室に挿入する過程では、ランスは端子と摺動し、一時的には弾性変形するが、ランスと一体に設けられたリブによりランスを弾性変形させるための力が大きくなってしまう。そこで、端子の逆挿入を防止すると共に端子挿入力の低減が望まれている。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、端子の逆挿入を防止すると共に端子挿入力の増大を抑えることができる良好なコネクタを提供することにある。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 基板部と、前記基板部の両側に形成されて前方から後方にかけて相対向する一対の弾性カール部とを有する端子と、前記端子が後方から挿入される端子収容室を有するコネクタハウジングと、前記端子収容室における対向壁の一方の壁に設けられ、前記端子を係止して端子抜け方向の移動を規制する可撓係止片と、前記対向壁の他方の壁に設けられ、前記端子の端子挿入方向に沿って後方から前方に向かって延在されて前記基板部の幅よりも狭い溝幅を有する凹溝と、前記凹溝の前端部により前記対向壁の他方の壁に画成された当接面と、を備え、前記端子が逆挿入された際には、前記弾性カール部の先端当接部が前記当接面に当接して前記端子の挿入が阻止される、ことを特徴とするコネクタ。
上記(1)の構成のコネクタによれば、コネクタハウジングの後方から端子収容室に端子が適切な挿入向きで挿入されると、凹溝を有する対向壁の他方の壁に端子の基板部が摺接するとともに、端子の弾性カール部が可撓係止片を弾性変形させる。基板部は、凹溝の溝幅よりも広い幅を有するので、端子が凹溝に導入されて当接面に当接することはない。そして、可撓係止片を弾性変形させながら端子が完全に挿入されると、可撓係止片は復元力により元の位置に復帰するとともに端子を係止して端子抜け方向の移動を規制する。そこで、端子は、可撓係止片によって端子収容室からの抜けが阻止される。
仮に端子収容室に端子が不適切な逆挿入向きで挿入されてしまった場合、凹溝を有する対向壁の他方の壁に端子の弾性カール部が摺接するとともに、端子の基板部が可撓係止片を弾性変形させる。この時、基板部に比べて幅が狭い弾性カール部の先端当接部は、対向壁の他方の壁に設けられた凹溝に導入される。そして、端子が途中まで挿入されると、凹溝に導入された弾性カール部の先端当接部が当接面に当接するので、端子は端子収容室への挿入が阻止されて完全に挿入されることはない。そこで、端子の逆挿入を阻止することができる。
即ち、可撓係止片には、端子の逆挿入を防止するためのリブを一体に設ける必要がない。そこで、一体に設けられたリブにより、可撓係止片の剛性が高まって可撓係止片を弾性変形させるための力が大きくなってしまうことがない。
従って、本構成のコネクタによれば、端子が端子収容室に挿入される際の逆挿入を防止すると共に端子挿入力の増大を抑えることができる。
(2) 前記当接面は、逆挿入されて挿入が阻止された状態の前記端子の電線接続部が前記端子収容室の後方から露出するように、前記他方の壁に配置される、ことを特徴とする上記(1)に記載のコネクタ。
上記(2)の構成のコネクタによれば、仮に端子収容室に端子が不適切な逆挿入向きで挿入されてしまった場合、弾性カール部の先端当接部が当接面に当接して端子の挿入が阻止されると、端子の電線接続部が端子収容室の後方から露出した状態となる。そこで、端子の逆挿入を容易に検知(又は、認識)することができる。
(3) 前記当接面は、逆挿入されて挿入が阻止された状態の前記端子における前記基板部が前記可撓係止片により前記他方の壁側に弾性付勢されるように、前記他方の壁に配置される、ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のコネクタ。
上記(3)の構成のコネクタによれば、仮に端子収容室に端子が不適切な逆挿入向きで挿入されてしまった場合、弾性カール部の先端当接部が当接面に当接して端子の挿入が阻止される。この時、基板部が可撓係止片により他方の壁側に弾性付勢された弾性カール部の先端当接部は、当接面に確実に当接することができる。そこで、コネクタハウジング及び端子の寸法公差に係わらず、端子の逆挿入を確実に阻止することができる。
(4) 2本の前記凹溝が、前記一対の弾性カール部の間隔に対応して並行に延びている、ことを特徴とする上記(1)~(3)の何れか1つに記載のコネクタ。
上記(4)の構成のコネクタによれば、仮に端子収容室に端子が不適切な逆挿入向きで挿入されてしまった場合、一対の弾性カール部の各先端当接部がそれぞれの対応する当接面に当接して端子の挿入が確実に阻止される。そこで、一対の弾性カール部の各先端当接部がそれぞれ当接面に当接した端子は、逆挿入が確実に阻止される。
本発明に係るコネクタによれば、端子の逆挿入を防止すると共に端子挿入力の増大を抑えることができる良好なコネクタを提供することができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
本発明の一実施形態に係るコネクタ及び相手コネクタの嵌合状態を示す斜視図である。 (a)は図1に示したコネクタのコネクタハウジングを前側から見た斜視図、(b)は図1に示したコネクタのコネクタハウジングに端子を挿入する前の斜視図である。 図2の(b)に示した端子の平面図である。 図2の(b)に示したコネクタの正面図である。 図4に示したコネクタの可撓係止片を説明する要部拡大斜視図である。 図4におけるVI-VI断面矢視図である。 (a),(b)は、図6に示したコネクタの端子挿入手順を説明する説明図である。 (a),(b)は、図6に示したコネクタの端子挿入手順を説明する説明図である。 図6に示したコネクタの端子の逆挿入防止を説明する説明図である。 (a),(b)は、図6に示したコネクタの端子の逆挿入防止を説明する説明図である。 (a),(b)は、図6に示したコネクタの端子の逆挿入防止を説明する説明図である。 (a)は図7の(b)におけるXIIa―XIIa断面矢視図、(b)は図11におけるXIIb―XIIb断面矢視図である。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタ1及び相手コネクタ4の嵌合状態を示す斜視図である。図2の(a)は図1に示したコネクタ1のコネクタハウジング10を前側から見た斜視図、図2の(b)は図1に示したコネクタ1のコネクタハウジング10に端子31を挿入する前の斜視図である。図3は、図2の(b)に示した端子31の平面図である。図4は、図2の(b)に示したコネクタ1の正面図である。図5は、図4に示したコネクタ1のランス13を説明する要部拡大斜視図である。図6は、図4におけるVI-VI断面矢視図である。
本実施形態に係るコネクタ1は、図1及び図2に示すように、コネクタハウジング10と、コネクタハウジング10の端子収容室12に収容された端子31とにより構成される。ここで、コネクタハウジング10は、端子収容室12に雌端子である端子31が収容された雌型コネクタハウジングである。相手コネクタ4の相手コネクタハウジング40は、コネクタ嵌合部41内に雄端子(図示せず)が配設された雄型コネクタハウジングである。なお、以下の説明においては、相手コネクタハウジング40に嵌合する側(図2の(a)中、左側)をコネクタハウジング10の前方とする。
本実施形態に係るコネクタ1は、図2~図6に示すように、端子31と、端子31が後方から挿入される端子収容室12を有するコネクタハウジング10と、端子収容室12の左側壁(対向壁の一方の壁)10dに設けられ、端子31を係止して端子抜け方向の移動を規制する片持ち梁状の可撓係止片であるランス13と、端子収容室12の右側壁(対向壁の他方の壁)10cに設けられ、端子31の端子挿入方向(図6中、左方向)に沿って後方から前方に向かって延在されて基板部36の幅よりも狭い溝幅をそれぞれ有する2本の凹溝14,14と、2本の凹溝14の前端部(図6中、左端部)により端子収容室12の右側壁10cに画成された2つの当接面18,18と、を主要な構成として備える。
本実施形態に係る端子31は、図3及び図6に示すように、電気接触部となる略矩形平板状の基板部36と、基板部36の両側に形成されて前方から後方にかけて相対向する一対の弾性カール部32,32とが、端子挿入方向の先端に形成された平型端子である。弾性カール部32は、基板部36の両側に各々断面視略山形状に内側へ曲げられて形成されている。端子31は、基板部36の後方に、電線37の導体を圧着する導体圧着部33と電線37を固定する被覆圧着部34とからなる電線接続部35が連設される。
本実施形態に係るコネクタハウジング10は、端子収容室12の上壁10aに形成されたロックアーム21と、ロックアーム21の後部を間に挟むように上壁10aの後側に突出して設けられた一対の板状支持壁17,19と、ロックアーム21の後部上を横切るようにして一対の板状支持壁17,19の上端を幅方向(図4中、左右方向)に連結する連結部15と、ロックアーム21の後部に指を押し当て可能とするために連結部15の後端に切欠き形成されたロック操作スペース16と、を備える。
図1に示すように、本実施形態の相手コネクタハウジング40は合成樹脂の成形品として形成され、四形筒状のコネクタ嵌合部41を有する。このコネクタ嵌合部41内には後述のコネクタハウジング10の嵌合部11が略密接状態で挿入および嵌合される。コネクタ嵌合部41の奥壁には、雄端子のタブ端子部が開口端に向かって突設されている。
コネクタ嵌合部41の天壁には、切欠き形成されたロック部43が設けられている。このロック部43には、後述のロックアーム21のロック爪(係止突起)25が係止される。
図2及び図4,5に示すように、本実施形態のコネクタハウジング10は合成樹脂製の成形品として形成され、全体として略矩形筒状を有する。このコネクタハウジング10の前半部は、相手コネクタハウジング40におけるコネクタ嵌合部41内に挿入可能な嵌合部11となっている。この嵌合部11を含むコネクタハウジング10の内部は、前端開口部12aを介して相手コネクタハウジング40の雄端子を受け入れる端子31の端子収容室12となっている。
図5及び図6に示すように、この端子収容室12の左側壁10dの内面には、端子31を係止して端子抜け方向の移動を規制するランス13が、端子収容室12内に突出するように設けられている。そして、このコネクタハウジング10の後方における後端開口部12bから挿入された端子31は、この端子収容室12内に保持される。また、左側壁10d側には、ランス13に対する可撓変位許容空間9が形成されている。可撓変位許容空間9は、ランス13を弾性変形させるために確保した空間(空隙)である。
ランス13は、左側壁10dの前後方向略中央から端子31の端子挿入方向の側に向けて延在する片持ち梁状の可撓係止片であって、端子31が端子収容室12内に完全に収容されると、端子31の端子挿入方向とは逆となる端子抜け方向の移動を規制するように形成されている。
ランス13は、基端部13aと、中間部13bと、係止突起部13cと、先端部13dとで構成されている。また、ランス13は、先端部13dが左側壁10dに向けて撓む(弾性変形する)とともに、係止突起部13cが端子31に係合するように形成されている。
基端部13aは、左側壁10dの前後方向略中央に連続する部分であって、基端部13aの突出方向の先端には、中間部13bの一端が連続して形成されている。中間部13bは、扁平した棒状又は板片状に形成されている。また、中間部13bは、基端部13aから右側壁10cに向けて斜めに中間部13bの他端が延在するように形成されている。
中間部13bの他端及び他端近傍には、係止突起部13cと先端部13dとが各々連続して形成されている。中間部13bの他端は、端子挿入方向と直交する面に形成されている。
係止突起部13cは、中間部13bの他端における右側壁10c側の隅部に形成されている。また、係止突起部13cは、中間部13bの他端に端子31と係合し合う係止面13eを有している。
係止突起部13cは、中間部13bの他端から右側壁10cに向けて垂直に先端が延在するように形成されている。
先端部13dは、中間部13bの他端における左側壁10d側から突出するように形成されている。また、先端部13dは、右側壁10c側が狭くなる正面視台形状に形成されている。その台形状の各斜辺(先端部13dの斜面)は、後述する一対の弾性カール部32,32の内側の斜面38,38(図2の(b)及び図3参照)の傾きに略一致するように形成されている。尚、先端部13dは、ランス13が撓んだ際に、可撓変位許容空間9に確実に位置するようになっている。
図2の(a)及び図6に示すように、この端子収容室12の右側壁10cの内面には、端子31の端子挿入方向に沿って後方から前方に向かって延在された2本の凹溝14が設けられている。2本の凹溝14は、それぞれ基板部36の幅よりも狭い溝幅を有し、一対の弾性カール部32,32の間隔に対応して並行に延びている。なお、本実施形態の凹溝14は、底部側が狭い断面台形状に形成されているが、断面矩形状や断面半円状などの種々の断面形状を採り得ることは云うまでもない。
そして、端子収容室12の端子挿入方向中間部における右側壁10cの内面には、これら凹溝14の前端部により当接面18が画成されている。これら当接面18は、端子挿入方向と略直交する面に形成されるが、右側壁10cの内面から後方に向かって傾斜する斜面とされることが望ましい。即ち、当接面18が後方に向かって傾斜する斜面とされることで、当接する弾性カール部32,32の先端当接部32a,32aを確実に係止することができる。
当接面18は、ランス13に略対向する位置に配置されている。そこで、弾性カール部32,32の先端当接部32a,32aが当接面18に当接する際には、基板部36がランス13により右側壁10c側に弾性付勢されるので、先端当接部32a,32aは当接面18に確実に当接することができる。
また、後端開口部12bから当接面18までの凹溝14の長さは、端子31における弾性カール部32,32の先端当接部32a,32aから電線接続部35の後端までの長さよりも短くされている。そこで、弾性カール部32,32の先端当接部32a,32aが当接面18に当接する際には、端子31の電線接続部35が端子収容室12の後方から露出した状態となる。
図2の(a),(b)に示すように、コネクタハウジング10の上壁10aには、相手コネクタハウジング40に対し弾性的に係合することで嵌合状態を保持するロックアーム21が形成されている。
ロックアーム21は、コネクタハウジング10の上壁10aから立ち上げられた基端部20からコネクタハウジング10の上壁10aと間隔をあけて後方へ延出する片持ち梁状のアーム部22を備える。コネクタハウジング10の上壁10aとアーム部22の下面との間には、相手コネクタハウジング40との嵌合時にアーム部22の撓み変形を許容する撓み空間(空隙)30が保有されている。
このため、ロックアーム21の後端部(自由端部)が操作力を受けて押圧方向(図2中、下方)に撓み変形し、また操作力が除かれると自身の反発力で元の片持ち梁形態に復元する。このロックアーム21は、アーム部22の中間部における上面に、相手コネクタハウジング40のロック部43に係止されるロック爪25を有する。また、アーム部22の後端部における上面には、上方へ突出したロック操作部23が設けられる。
即ち、ロックアーム21は、相手コネクタハウジング40のロック部43にロック爪25が係止されることで、コネクタハウジング10と相手コネクタハウジング40との嵌合状態を保持する。また、ロックアーム21は、ロック操作部23が手指などで下方に押し下げられることで、操作力がロック操作部23に集中的に加えられて後端部が下方に撓み変形する。
本実施形態に係る一対の板状支持壁17,19は、ロック操作部23を含むロックアーム21の後端部を幅方向から間に挟むように上壁10aの後側で上方に突出して設けられている。一対の板状支持壁17,19は、ロックアーム21の両側面と僅かな間隙を有する間隔をもって並行に配置される。
本実施形態の連結部15は、ロックアーム21の後部上を横切るようにして一対の板状支持壁17,19の上端を幅方向に連結している。連結部15後端には、ロックアーム21のロック操作部23に指を押し当て可能とするためにロック操作スペース16が切欠き形成されている。
次に、上記した構成のコネクタ1において、端子収容室12に端子31を挿入する作業を説明する。
図7の(a),(b)及び図8は、図6に示したコネクタ1の端子挿入手順を説明する説明図である。図9~図11は、図6に示したコネクタ1の端子の逆挿入防止を説明する説明図である。図12の(a)は、図7の(b)におけるXIIa―XIIa断面矢視図、図12の(b)は図11におけるXIIb―XIIb断面矢視図である。
先ず、図6に示したように、基板部36が右側壁10c側となり、一対の弾性カール部32,32が左側壁10d側となる適切な挿入向きで端子31が挿入される場合について説明する。
図7の(a)に示すように、端子31は、端子収容室12の後端開口部12bから挿入される。
端子31が更に端子収容室12に進入すると、図7の(b)に示すように、一対の弾性カール部32,32の先端当接部32a,32aが、ランス13の中間部13bに当接する。基板部36は、凹溝14の溝幅よりも広い幅を有するので、図12の(a)に示すように、凹溝14に導入されることなく右側壁10cの内面に摺接する。
そして、端子31が更に端子収容室12に押し込まれると、図8の(a)に示すように、端子収容室12のランス13が端子31からの作用によって弾性変形する。即ち、先ずランス13の中間部13bに、端子31の弾性カール部32,32の先端当接部32a,32aが当接し、中間部13bが押される。ランス13は、その先端部13dが左側壁10dに近接する方向に弾性変形する(可撓変位許容空間9において弾性変形する)。弾性カール部32,32は、中間部13bを摺接する。ランス13は、弾性変形することにより弾性カール部32,32の上に乗り上がる。
この状態から端子31を更に押し込み、係止突起部13cが弾性カール部32,32を通過し離れると、図8の(b)に示すように、ランス13は復元力により元の位置に復帰する。そして、係止突起部13cが弾性カール部32,32の後端係止部32bに係止して端子抜け方向の移動を規制する。これにより、端子31は、端子収容室12に完全に収容される。端子31は、ランス13に係止されることによって端子収容室12からの抜けが防止される。
次に、図9に示すように、基板部36が左側壁10d側となり、一対の弾性カール部32,32が右側壁10c側となる不適切な挿入向きで端子31が挿入される場合について説明する。
先ず、図10の(a)に示すように、端子31は、端子収容室12の後端開口部12bから挿入される。
端子31が更に端子収容室12に進入すると、図10の(b)に示すように、基板部36の先端部36aが、ランス13の中間部13bに当接する。基板部36に比べて幅が狭い弾性カール部32の先端当接部32aは、右側壁10cの内面に設けられた凹溝14に導入される。
そして、端子31が更に端子収容室12に押し込まれると、図11に示すように、端子収容室12のランス13が端子31からの作用によって弾性変形する。即ち、ランス13の中間部13bに、端子31の基板部36の先端部36aが当接し、中間部13bが押される。ランス13は、その先端部13dが左側壁10dに近接する方向に弾性変形する(可撓変位許容空間9において弾性変形する)。基板部36は、中間部13bを摺接する。ランス13は、弾性変形することにより基板部36の上に乗り上がる。
この時、凹溝14に導入された弾性カール部32,32の先端当接部32a,32aは、当接面18に当接する(図12の(b)参照)。そこで、この状態から端子31を更に押し込もうとしても、弾性カール部32,32の先端当接部32a,32aが当接面18に当接した端子31は、端子挿入方向へ移動することができない。従って、端子31は、端子収容室12への挿入が阻止されて完全に挿入されることはない。そこで、ランス13に係止されず、端子収容室12からの抜けが防止されない端子31は、コネクタハウジング10から容易に脱落してしまうので、端子31の逆挿入を認識することができる。従って、端子31の逆挿入を阻止することができる。
次に、上記した構成のコネクタ1の作用を説明する。
本実施形態に係るコネクタ1によれば、コネクタハウジング10の後方から端子収容室12に端子31が適切な挿入向きで挿入されると、凹溝14を有する右側壁10cに端子31の基板部36が摺接するとともに、端子31の弾性カール部32がランス13を弾性変形させる。基板部36は、凹溝14の溝幅よりも広い幅を有するので、端子31が凹溝14に導入されて当接面18に当接することはない。そして、ランス13を弾性変形させながら端子31が完全に挿入されると、ランス13は復元力により元の位置に復帰するとともに端子31を係止して端子抜け方向の移動を規制する。そこで、端子31は、ランス13によって端子収容室12からの抜けが阻止される。
仮に端子収容室12に端子31が不適切な逆挿入向きで挿入されてしまった場合、凹溝14を有する右側壁10cに端子31の弾性カール部32が摺接するとともに、端子31の基板部36がランス13を弾性変形させる。この時、基板部36に比べて幅が狭い弾性カール部32の先端当接部32aは、右側壁10cに設けられた凹溝14に導入される。そして、端子31が途中まで挿入されると、凹溝14に導入された弾性カール部32の先端当接部32aが当接面18に当接するので、端子31は端子収容室12への挿入が阻止されて完全に挿入されることはない。そこで、端子31の逆挿入を阻止することができる。
即ち、ランス13には、端子31の逆挿入を防止するためのリブを一体に設ける必要がない。そこで、一体に設けられたリブにより、ランス13の剛性が高まってランス13を弾性変形させるための力が大きくなってしまうことがない。
従って、本構成のコネクタ1によれば、端子31が端子収容室12に挿入される際の逆挿入を防止すると共に端子挿入力の増大を抑えることができる。
また、本実施形態に係るコネクタ1では、当接面18は、逆挿入されて挿入が阻止された状態の端子31の電線接続部35が端子収容室12の後方から露出するように、右側壁10cに配置されている。
そこで、仮に端子収容室12に端子31が不適切な逆挿入向きで挿入されてしまった場合、弾性カール部32の先端当接部32aが当接面18に当接して端子31の挿入が阻止されると、端子31の電線接続部35が端子収容室12の後方から露出した状態となる。そこで、端子31の逆挿入を容易に検知(又は、認識)することができる。
また、本実施形態に係るコネクタ1では、当接面18は、逆挿入されて挿入が阻止された状態の端子31における基板部36がランス13により右側壁10c側に弾性付勢されるように、右側壁10cに配置されている。
そこで、仮に端子収容室12に端子31が不適切な逆挿入向きで挿入されてしまった場合、弾性カール部32の先端当接部32aが当接面18に当接して端子31の挿入が阻止される。この時、基板部36がランス13により右側壁10c側に弾性付勢された弾性カール部32の先端当接部32aは、当接面18に確実に当接することができる。そこで、コネクタハウジング10及び端子31の寸法公差に係わらず、端子31の逆挿入を確実に阻止することができる。
また、本実施形態に係るコネクタ1では、2本の凹溝14が、一対の弾性カール部32,32の間隔に対応して並行に延びている。
そこで、仮に端子収容室12に端子31が不適切な逆挿入向きで挿入されてしまった場合、一対の弾性カール部32,32の各先端当接部32aがそれぞれの対応する当接面18に当接して端子31の挿入が確実に阻止される。そこで、一対の弾性カール部32,32の各先端当接部32aがそれぞれ当接面18に当接した端子31は、逆挿入が確実に阻止される。
従って、上記実施形態に係るコネクタ1によれば、端子31の逆挿入を防止すると共に端子挿入力の増大を抑えることができる良好なコネクタを提供することができる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
ここで、上述した本発明に係るコネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 基板部(36)と、前記基板部(36)の両側に形成されて前方から後方にかけて相対向する一対の弾性カール部(32,32)とを有する端子(31)と、
前記端子(31)が後方から挿入される端子収容室(12)を有するコネクタハウジング(10)と、
前記端子収容室(12)における対向壁の一方の壁(左側壁10d)に設けられ、前記端子(31)を係止して端子抜け方向の移動を規制する可撓係止片(ランス13)と、
前記対向壁の他方の壁(右側壁10c)に設けられ、前記端子(31)の端子挿入方向に沿って後方から前方に向かって延在されて前記基板部(36)の幅よりも狭い溝幅を有する凹溝(14)と、
前記凹溝(14)の前端部により前記対向壁の他方の壁(右側壁10c)に画成された当接面(18)と、を備え、
前記端子(31)が逆挿入された際には、前記弾性カール部(32)の先端当接部(32a)が前記当接面(18)に当接して前記端子(31)の挿入が阻止される、
ことを特徴とするコネクタ(1)。
[2] 前記当接面(18)は、逆挿入されて挿入が阻止された状態の前記端子(31)の電線接続部(35)が前記端子収容室(12)の後方から露出するように、前記他方の壁(右側壁10c)に配置される、
ことを特徴とする上記[1]に記載のコネクタ(1)。
[3] 前記当接面(18)は、逆挿入されて挿入が阻止された状態の前記端子(31)における前記基板部(36)が前記可撓係止片(ランス13)により前記他方の壁(右側壁10c)側に弾性付勢されるように、前記他方の壁(右側壁10c)に配置される、
ことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のコネクタ(1)。
[4] 2本の前記凹溝(14)が、前記一対の弾性カール部(32,32)の間隔に対応して並行に延びている、
ことを特徴とする上記[1]~[3]の何れか1つに記載のコネクタ(1)。
1…コネクタ
10…コネクタハウジング
10c…右側壁(対向壁の他方の壁)
10d…左側壁(対向壁の一方の壁)
12…端子収容室
13…ランス(可撓係止片)
14…凹溝
18…当接面
31…端子
32…弾性カール部
32a…先端当接部
36…基板部

Claims (4)

  1. 基板部と、前記基板部の両側に形成されて前方から後方にかけて相対向する一対の弾性カール部とを有する端子と、
    前記端子が後方から挿入される端子収容室を有するコネクタハウジングと、
    前記端子収容室における対向壁の一方の壁に設けられ、前記端子を係止して端子抜け方向の移動を規制する可撓係止片と、
    前記対向壁の他方の壁に設けられ、前記端子の端子挿入方向に沿って後方から前方に向かって延在されて前記基板部の幅よりも狭い溝幅を有する凹溝と、
    前記凹溝の前端部により前記対向壁の他方の壁に画成された当接面と、を備え、
    前記端子が逆挿入された際には、前記弾性カール部の先端当接部が前記当接面に当接して前記端子の挿入が阻止される、
    ことを特徴とするコネクタ。
  2. 前記当接面は、逆挿入されて挿入が阻止された状態の前記端子の電線接続部が前記端子収容室の後方から露出するように、前記他方の壁に配置される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
  3. 前記当接面は、逆挿入されて挿入が阻止された状態の前記端子における前記基板部が前記可撓係止片により前記他方の壁側に弾性付勢されるように、前記他方の壁に配置される、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
  4. 2本の前記凹溝が、前記一対の弾性カール部の間隔に対応して並行に延びている、
    ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のコネクタ。
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