JP7103830B2 - 高分子電解質 - Google Patents

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Description

本発明は、高分子電解質、上記高分子電解質を含む高分子電解質溶液、上記高分子電解質を含む電極触媒層、上記電極触媒層を備える膜電極接合体、上記膜電極接合体を備える燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池を構成する膜電極接合体(MEA)には、白金等の触媒及び高分子電解質から形成される電極触媒層が設けられている。白金等の触媒は高価であるため、その使用量の低減が求められているが、触媒の使用量を削減すると電池の性能が低下する傾向がある。この不利益を回避するために、電極触媒層を形成する高分子電解質の酸素透過性を向上させて、電極中に酸素を行き渡らせる試みがなされてきた。
特許文献1には、酸素透過性が高く、カソード側触媒層高分子電解質として好適な高分子電解質として、ラジカル重合により主鎖に脂肪族環構造を有するポリマーを与える含フッ素モノマーに基づく繰り返し単位と、フッ素系スルホン酸含有モノマーに基づく繰り返し単位とを含む共重合体が記載されている。
特許文献2には、プロトン伝導性を低下させずに活性化過電圧を低減可能な燃料電池のカソード側触媒層高分子電解質として、酸素溶解性に着目した高分子電解質が記載されている。
特許文献3には、極めて限定された当量重量及びガラス転移温度を有し、プロトン交換基を有さない直鎖のフルオロビニルエーテルの繰り返し単位を有するポリマーが、酸素透過性と発電性能と発電耐久性を同時に向上させることが記載されている。
非特許文献には、Nafion(登録商標)を用いた分子動力学計算により、高酸素透過性を発現する為に重要な因子として、高分子電解質への酸素溶解性が高いことと、高分子電解質とPt界面における高分子電解質密度が低いことが記載されている。
特開2002-260705号公報 特開2011-113739号公報 特開2016-006173号公報
R.Jinnouchi, K.Kudo, N.Kitano, Y.Morimoto,Electrochimica Acta,2016年,Vol.188,p.767-776
しかしながら、上記特許文献1、2、3、及び非特許文献1に開示されている高分子電解質は、実際の燃料電池の運転環境に近い低加湿条件及び高加湿条件のいずれにおいても高い発電性能を発現することに対しては改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑み、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することができる高分子電解質を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、スルホン酸基、環状体、エーテル結合、及びフッ素原子を含み、酸素溶解度の実測値と凝集エネルギー密度の計算値とが一定の値以上である高分子電解質が、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]
スルホン酸基、環状体、エーテル結合、及びフッ素原子を含み、
80℃30%RH条件でPt厚膜法により測定した酸素溶解度が7.0mol/m3以上であり、
LAMMPSを用いてPCFF力場によって計算した凝集エネルギー密度が0.350kcal/mol/Å3以上である、
ことを特徴とする高分子電解質。
[2]
前記環状体として芳香環を含み、
前記芳香環が、前記芳香環の環構造を構成する原子のうち少なくとも3個の原子に、フッ素原子、酸素原子、スルホン酸基、及びエーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基を有する構造からなる群から選ばれる構造が結合する芳香環である、[1]に記載の高分子電解質。
[3]
下記式(2)で表される繰り返し単位を有する、[2]に記載の高分子電解質。
Figure 0007103830000001
(式(2)中、Arは芳香環を表し、Xは、エーテル結合及びプロトン交換基を含む炭素数1以上のフッ素化炭化水素基(炭素数が2以上である場合、炭素-炭素原子間にエーテル結合が挿入されていてもよい)を表す。)
[4]
側鎖として前記スルホン酸基を含むスルホン酸基含有側鎖を含み、
前記環状体の環構造を構成する原子に直接結合する基及び前記スルホン酸基含有側鎖に、前記フッ素原子が含まれる、[1]~[3]のいずれかに記載の高分子電解質。
[5]
前記環状体として、置換されていてもよい脂環を含む、[2]又は[3]に記載の高分子電解質。
[6]
前記環状体として、置換されていてもよい脂環を含む、[4]に記載の高分子電解質。
[7]
前記芳香環と前記脂環とが結合する構造を有する、[5]に記載の高分子電解質。
[8]
側鎖として前記スルホン酸基を含むスルホン酸基含有側鎖を含み、
前記環状体の環構造を構成する原子に直接結合する基及び前記スルホン酸基含有側鎖に、前記フッ素原子が含まれる、[7]に記載の高分子電解質。
[9]
下記式(1)で表される構造を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の高分子電解質。
Figure 0007103830000002
[10]
[1]~[9]のいずれかに記載の高分子電解質と水とを含むことを特徴とする高分子電解質溶液。
[11]
[1]~[9]のいずれかに記載の高分子電解質を含むことを特徴とする電極触媒層。
[12]
[11]に記載の電極触媒層を備えることを特徴とする膜電極接合体。
[13]
[12]に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
本発明の高分子電解質は、スルホン酸基、環状体、エーテル結合及びフッ素原子を含み、酸素溶解度が高く、かつ凝集エネルギー密度が高い。その為、低~高加湿の広い加湿範囲に渡って良好な電池性能を実現できる。さらに、電極触媒層に使用する触媒量を低減することも可能である。本発明の膜電極接合体及び燃料電池は、低加湿、高加湿のいずれの条件下においても発電性能に優れる。
以下、本発明を具体的に説明する。
上記高分子電解質は、スルホン酸基、環状体、エーテル結合、及びフッ素原子を含む。これら4つを組み合わせることで、燃料電池の運転温度においても、高酸素透過性、高プロトン伝導性、強酸性条件下での高耐熱性が実現できる。一つでも欠けると、上記性能のどれかが犠牲となる。
上記環状体としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ヘリセン、ピレン等の芳香環;シクロペンタン等の炭素数3~10のシクロアルカン等の飽和の脂環;シクロペンテン等の炭素数3~10のシクロアルケン等の不飽和の脂環;2個以上の原子(例えば、炭素原子と酸素原子)から構成される飽和又は不飽和複素環等の置換された脂環;又はこれらの組み合わせ(複環);等が挙げられる。
本実施形態の高分子電解質中に、上記スルホン酸基、上記環状体、上記エーテル結合、上記フッ素原子は、1個含まれていてもよいし、複数個含まれていてもよい。複数個含まれる場合、構造が同じであってもよいし異なっていてもよい。
上記高分子電解質は、80℃30%RH条件でPt厚膜法により測定した酸素溶解度が7mol/m3以上であり、かつLAMMPSを用いてPCFF力場によって計算した凝集エネルギー密度が0.350kcal/mol/Å3以上である。触媒表面を覆う高分子電解質の薄膜は数nm程度であり、そこでの酸素透過性はバルクでの挙動とは異なる。すなわち、バルクでは酸素拡散性が律速となるが、薄膜では酸素溶解性が律速となる。また、凝集エネルギー密度は、理由は定かではないが結晶性と相関があり、数値が高い方が結晶性が低く、非晶あるはそれに近いことを意味する。一般的に、高結晶性であると酸素拡散性が低下することは知られているが、酸素溶解性に影響することは知られていない。しかし理由は定かではないが、高結晶性であると酸素溶解性を阻害することが発明者らの実験で分かった。
上記酸素溶解度が8mol/m3以上であり、凝集エネルギー密度が0.370kcal/mol/Å3以上であると好ましく、上記酸素溶解度が10mol/m3以上であり、凝集エネルギー密度が0.380kcal/mol/Å3以上であるとより好ましい。酸素溶解度と凝集エネルギー密度が上記値以上であると、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現する。
上記酸素溶解度、及び上記凝集エネルギーは、後述の実施例に記載の方法により、測定、計算することができる。
上記環状体は芳香環を含むことが好ましく、芳香環の環構造を構成する原子のうち少なくとも3個の原子に、フッ素原子、酸素原子、スルホン酸基、及びエーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基を有する構造からなる群から選ばれる構造が結合する芳香環であることがより好ましい。芳香環の環構造を構成する原子に結合する構造は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
環状体が芳香環を含み、かつ上記構造が芳香環に結合していることで、凝集エネルギー密度が高くなり、すなわち結晶性が崩れるとともに、Pt/高分子電解質界面での高分子電解質密度が低下し、酸素溶解度が高くなり、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現する。その中でも特に、高加湿条件において、Pt活性サイトへのスルホン酸基の吸着を抑制でき、低電流密度領域での電圧性能向上に良好な結果を与える。
上記芳香環としては、ベンゼン系芳香環及び複素系芳香環が好ましく、上記ベンゼン系芳香環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ヘリセン、ピレン、上記複素系芳香環としては、フラン、ピラン、ジオキシン、ジベンゾジオキシン、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジンが好ましい。その中でも特に、上記ベンゼン系芳香環としてはベンゼン、上記複素系芳香環としては、フラン、ピラン、ジオキシン、ジベンゾジオキシンが好ましい。上記芳香環は、本実施形態の高分子電解質の主鎖及び側鎖のどちらの中に含まれていても良いが、主鎖に含まれることが好ましく、主鎖のみに含まれることがより好ましい。
上記酸素原子が結合する芳香環としては、芳香環の環構造を構成する原子に、エーテル結合を介して他の基が結合した構造(芳香環を含む主鎖にエーテル結合を含む側鎖が結合した構造、主鎖にエーテル結合と芳香環とを含む構造、側鎖にエーテル結合と芳香環とを含む構造)等が挙げられる。中でも、低加湿及び高加湿における電池性能が一層優れる観点から、芳香環を構成する原子に直接エーテル結合を介して他の基が結合した構造を主鎖に有することが好ましい。
上記置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基の炭素数としては、1~10が好ましく、より好ましくは1~5である。上記置換基としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基等のプロトン交換基、スルホンアミド基、フッ素化炭化水素等が挙げられる。フッ素化炭化水素基の炭素数が2以上である場合、炭素-炭素結合間にエーテル結合が挿入されていてもよい。上記エーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基を有する構造は、エーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基であってよい。上記エーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基を有する構造としては、例えば、-(CF22O(CF22SO3H、-OCF2CF2SO3H、-OCF2CFH-OCF2CF2SO3H、-O-(CF2CF-CF3)-OCF2CF2SO3H、-O-(CF2CF-CF3)-OCF2CF2CF3)、下記式(8)で表される構造等が挙げられ、-(CF22O(CF22SO3H、下記式(8)で表される構造が好ましい。
Figure 0007103830000003
本実施形態の高分子電解質は、側鎖としてスルホン酸基を含むスルホン酸含有側鎖を有することが好ましい。
本実施形態の高分子電解質は、フッ素原子を、上記環状体の環構造を構成する原子に直接結合する基、及び上記スルホン酸基含有側鎖の両方に含有することが好ましい。こうすることで、酸素溶解度が高くなるのみではなく、高プロトン伝導性及び強酸性条件下での高耐熱性をも実現でき、結果、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することにつながる。
環状体を構成する原子に直接フッ素原子が結合した構造としては、例えば、芳香環又は脂環の環状体の環構造を構成する原子(例えば、炭素原子等)に、1~6個のフッ素原子が結合した構造等が挙げられ、シクロペンテン等の脂環の環構造を構成する炭素原子に結合する全水素原子のうち2個を除く水素原子の全てがフッ素原子に置換された構造が好ましい。
本実施形態の高分子電解質は、上記環状体として脂環を含むことが好ましく、芳香環と脂環とを含むことがより好ましい。中でも、繰り返し単位中に、1個の芳香環と1個の脂環とを含むことが好ましい。脂環を含むことでより一層酸素溶解度と凝集エネルギー密度とが高くなり、さらにPt/高分子電解質界面での高分子電解質密度が更に低下することで、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することにつながる。
上記脂環としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジオキソラン、ジオキサンが好ましい。上記脂環は、置換されていてもよい。
上記高分子電解質は、芳香環を含む繰り返し単位と脂環を含む繰り返し単位との交互共重合体、又は芳香環と脂環とが結合する構造を有する重合体であることが好ましく、芳香環と脂環とが結合する構造を有する重合体がより好ましい。こうすることで、理由は定かではないが、より一層酸素溶解度と凝集エネルギー密度を高くし、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することにつながる。
なお、芳香環と脂環とが結合する構造とは、芳香環の環構造を構成する少なくとも1個の原子と、脂環の環構造を構成する少なくとも1個の原子とが重複した構造をいう。上記芳香環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ヘリセン、ピレンが好ましく、より好ましくはベンゼンである。また、上記脂環としては、置換又は未置換の脂環が挙げられ、未置換の脂環としては、シクロペンタン等の炭素数3~10のシクロアルカン、シクロペンテン等の炭素数3~10のシクロアルケンが挙げられ、置換された脂環としては、ジオキソラン、ジオキサン等の飽和又は不飽和複素環、等が挙げられる。上記脂環としては、下記式(9)で表される基等の2以上の脂環が結合した環であってもよい。
中でも、ベンゼン環を構成する炭素原子の少なくとも1個(例えば、2個)と、ジオキソラン又は下記式(9)で表される環を構成する炭素原子の少なくとも1個(例えば、2個)とが重複する構造が好ましく、後述の式(5)で表される構造がより好ましい。
Figure 0007103830000004
上記高分子電解質は、下記式(1)で表される構造を含んでいると好ましい。中でも、式(1)で表される構造を繰り返し単位の主鎖中に含むことがより好ましい。式(1)の構造を含むことで、より一層酸素溶解度と凝集エネルギー密度を高くし、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することにつながる。
Figure 0007103830000005
上記式(1)を含む高分子電解質としては、下記式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質が挙げられる。
Figure 0007103830000006
上記式(2)中、Arは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン等の芳香環であり、Xはエーテル結合及びプロトン交換基を含む炭素数1以上のフッ素化炭化水素基を表し、フッ素化炭化水素基の炭素数が2以上である場合は炭素-炭素原子間にエーテル結合が挿入されていてもよい。上記Xとしては、例えば、-(CF22O(CF22SO3H、-OCF2CF2SO3H、-OCF2CFH-OCF2CF2SO3H等が挙げられる。
尚、これらの高分子電解質は、式(1)で表される構造に由来するモノマーであるオクタフルオロシクロペンテンを、水酸基を2つ以上有するモノマーと重縮合させることで、合成できる。
上記高分子電解質は、式(3)~(5)で表される構造の少なくとも1つを有すると、酸素溶解性を一層高め、高電流密度領域での電圧性能の一層の向上につながる。中でも上記式(2)で表される繰り返し単位と、式(3)~(5)で表される構造のうち少なくとも1つとを有することが好ましい。
Figure 0007103830000007
式(3)中、Xは、フッ素原子、エーテル結合を含みプロトン交換基を含まない炭素数1以上のフッ素化炭化水素基(炭素数が2以上である場合は炭素-炭素原子間にエーテル結合が挿入されていてもよい)、又はエーテル結合及びプロトン交換基を含む炭素数1以上のフッ素化炭化水素基(炭素数が2以上である場合は炭素-炭素原子間にエーテル結合が挿入されていてもよい)を表す。中でも、Xはエーテル結合及びプロトン交換基を含む炭素数1以上のフッ素化炭化水素基(炭素数が2以上である場合は炭素-炭素原子間にエーテル結合が挿入されていてもよい)が好ましい。
Figure 0007103830000008
式(4)中、Xは炭素数1以上のフッ素化炭化水素基(炭素数が2以上である場合は炭素-炭素原子間にエーテル結合が挿入されていてもよい)を表す。R1、R2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、無置換又は置換された芳香環又は脂環、及び芳香環と脂環との縮合環よりなる群から選ばれる。中でも、式(4)としては、Xが-CF2CF2-であり、R1がHであり、R2が下記式(10)である構造が好ましい。
Figure 0007103830000009
Figure 0007103830000010
上記高分子電解質は、当量重量EW(プロトン交換基1当量あたりのパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の乾燥質量グラム数)が100~2000g/eqである。即ち、上記EWの範囲内となるように共重合比やスルホン酸導入率を制御することが好ましい。EWの上限は、好ましくは1000g/eqであり、より好ましくは900g/eqである。EWの下限は、好ましくは300g/eqであり、より好ましくは500g/eqである。EWが上記の範囲内にあることにより、加工性に一層優れ、電極触媒層の伝導度が低くなりすぎず、熱水への溶解性も小さい。
上記当量重量EWは次の方法により測定することができる。イオン交換基の対イオンがプロトンの状態となっているポリマーの膜、およそ2~20cm2を、25℃、飽和NaCl水溶液30mLに浸漬し、攪拌しながら30分間放置する。次いで、飽和NaCl水溶液中のプロトンを、フェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定する。中和後に得られた、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっている高分子電解質膜を、純水ですすぎ、さらに真空乾燥して秤量する。中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM(mmol)、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの高分子電解質膜の重量をW(mg)とし、下記式により当量重量EW(g/eq)を求める。
EW=(W/M)-22
上記高分子電解質は、加工性、電気伝導度及び機械的強度がいずれもより一層優れることから、数平均分子量が1万~200万であることが好ましい。数平均分子量として、より好ましくは3万~100万である。数平均分子量が比較的低く機械的強度に劣る場合は、特願2016-171717の参考例1に記載のあるようなMIが比較的低い、すなわち高分子量のポリマーと混合しても良い。
上記数平均分子量は、GPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフ)法により測定される値であり、例えば、以下に示す方法により、標準ポリスチレンを基準として数平均分子量を算出することができる。
TOSOH社製 HLC-8020を用い、カラムはポリスチレンゲル製MIXカラム(東ソーGMHシリーズ、30cmサイズ)を3本、40℃、NMP(5mmol/L LiBr含有)溶剤、流速0.7mL/分で行うことができる。サンプル濃度は、0.1重量%で打ち込み量は500μLで行うことができる。数平均分子量がポリスチレン換算値で10万~80万程度のものが更に好ましく、13万~70万程度のものが更により好ましく、16万~60万程度のものが特に好ましい。
GPCにより分子量が測定できないポリマーについては、メルトフローレート(MFR)により測定しても良い。MFRは0.1~1000g/10分であることが好ましく、0.5g/10分以上であることがより好ましく、1.0g/10分以上であることが更に好ましく、200g/10分以下であることがより好ましく、100g/10分以下であることが更に好ましい。
上記MFRは、ASTM規格D1238に従って270℃、荷重2.16kgの条件下で、MELT INDEXER TYPE C-5059D(商品名、東洋精機社製)を用いて測定することができる。
上記高分子電解質は、例えば、重縮合、ラジカル重合、アニオン重合等の従来公知の方法にて合成することができ、中でも、重縮合又はラジカル重合が好ましく用いられる。
上記高分子電解質粒子が水に分散又は溶解したエマルションの形態で、上記高分子電解質が得られる。
上記ラジカル重合は、界面活性剤の存在下に行ってもよい。界面活性剤としては、公知の含フッ素アニオン界面活性剤が好ましい。
上記ラジカル重合は、重合開始剤を添加して行うことが好ましい。重合開始剤としては、重合温度でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。また、レドックス開始剤を使用してもよい。上記重合開始剤の濃度は、目的とする重合体の分子量、反応速度によって適宜決定される。
上記重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ジコハク酸パーオキシド、ジグルタル酸パーオキシド、tert-ブチルヒドロパーオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。上記レドックス開始剤としては、過硫酸塩又は有機過酸化物と、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム等の重亜硫酸塩、臭素酸塩、ジイミン、シュウ酸等の還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
ラジカル重合は、0.05~5.0MPaの圧力下で行うことができる。好ましい圧力の範囲は0.1~1.5MPaである。また、ラジカル重合は、5~100℃の温度で行うことができる。好ましい温度の範囲は10~90℃である。ラジカル重合では、また、目的に応じて、公知の安定剤、連鎖移動剤等を添加してもよい。
(高分子電解質溶液)
本実施形態の高分子電解質溶液は、上記高分子電解質と水とを含むことが好ましく、上記高分子電解質、水、及び/又は有機溶媒を含むことがより好ましい。上記高分子電解質溶液は、燃料電池の電極触媒層を形成する原料として好適に用いることができる。上記高分子電解質溶液は、燃料電池の電極触媒層形成用高分子電解質溶液であることが好ましい。
上記高分子電解質溶液の上記高分子電解質の含有量は、2~50質量%であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、グリセリン等のプロトン性有機溶媒や、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の非プロトン性溶媒等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
上記高分子電解質溶液は、有機系添加剤を含んでもよい。また、上記高分子電解質溶液は、無機系添加剤を含んでもよい。
上記有機系添加剤としては、例えば原子がラジカルにより引き抜かれやすい、例えば、3級炭素に結合した水素、炭素-ハロゲン結合等を構造中に有する化合物等が挙げられる。具体的には、ポリアニリンのような上記の官能基で一部置換された芳香族化合物、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、フェニル化ポリキノキサリン、フェニル化ポリキノリン等の不飽和の複素環化合物を挙げることができる。
また、チオエーテル化合物も挙げられる。例えば、ジメチルチオエーテル、ジエチルチオエーテル、ジプロピルチオエーテル、メチルエチルチオエーテル、メチルブチルチオエーテルのようなジアルキルチオエーテル;テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロアピランのような環状チオエーテル;メチルフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィドのような芳香族チオエーテル;等が挙げられる。
無機系添加剤としては、例えば金属酸化物が挙げられる。具体的には、例えば、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、酸化鉄(Fe23、FeO、Fe34)、酸化銅(CuO、Cu2O)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y23)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化インジウム(In23、In2O)、酸化スズ(SnO2)、酸化タンタル(Ta25)、酸化タングステン(WO3、W25)、酸化鉛(PbO、PbO2)、酸化ビスマス(Bi23)、酸化セリウム(CeO2、Ce23)、酸化アンチモン(Sb23、Sb25)、酸化ゲルマニウム(GeO2、GeO)、酸化ランタン(La23)、酸化ルテニウム(RuO2)等が挙げられる。これら金属酸化物は、単独で用いても、混合物を用いてもよいし、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、酸化アルミニウム亜鉛(ZnO・Al23)等に挙げられる複合酸化物を挙げることができる。
上記高分子電解質溶液は、有機溶媒を含む場合、有機溶媒と水との質量比は10/90~90/10であることが好ましく、30/70以上であることがより好ましく、70/30以下であることがより好ましい。
上記高分子電解質は、触媒ペーストを形成する原料として好適に用いることができる。上記触媒ペーストは、上記高分子電解質、水及び/又は有機溶媒、並びに、触媒を含むことが好ましい。上記触媒ペーストは、燃料電池の電極触媒層を形成する原料として好適に用いることができる。上記触媒ペーストは、燃料電池の電極触媒層形成用触媒ペーストであることが好ましい。
上記触媒としては、電極触媒層において活性を有し得るものであれば特に限定されず、上記電極触媒層が用いられる燃料電池の使用目的に応じて適宜選択される。上記触媒は、触媒金属であることが好ましい。
上記触媒としては、水素の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属であることが好ましく、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属であることがより好ましい。中でも、白金が好ましい。触媒金属の粒子径は限定されないが、10~1000オングストロームが好ましく、より好ましくは10~500オングストローム、最も好ましくは15~100オングストロームである。
上記触媒ペースト中の上記高分子電解質の含有量は、上記触媒ペーストに対して、5~30質量%であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
上記触媒ペースト中の上記触媒の含有量は、上記高分子電解質に対して、50~200質量%であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100%質量%以上であることが更に好ましく、150質量%以下であることがより好ましく、130質量%以下であることが更に好ましい。
上記触媒ペーストは、更に、導電剤を含むことが好ましい。上記触媒及び上記導電剤は、上記触媒の粒子を担持した導電剤からなる複合粒子(例えば、Pt担持カーボン等)であることも好ましい形態の一つである。この場合、上記高分子電解質は、バインダーとしても機能する。
導電剤としては、導電性を有する粒子(導電性粒子)であれば限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛及び各種金属(触媒金属を除く。)からなる群より選択される少なくとも1種の導電性粒子であることが好ましい。これら導電剤の粒子径としては、好ましくは10オングストローム~10μm、より好ましくは50オングストローム~1μm、最も好ましくは100~5000オングストロームである。
上記複合粒子としては、導電性粒子に対する触媒粒子の含有量が、1~99質量%であることが好ましく、より好ましくは10~90質量%、最も好ましくは30~70質量%である。具体的には、田中貴金属工業(株)製TEC10E40E、TEC10E50E、TEC10E50HT等のPt触媒担持カーボンが好適な例として挙げられる。
複合粒子の含有量は、上記高分子電解質に対して、1.0~3.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.4~2.9質量%、更に好ましくは1.7~2.9質量%、特に好ましくは1.7~2.3質量%である。
上記触媒ペーストは、更に、撥水剤を含んでもよい。
上記触媒ペーストは、撥水性の向上のため、更にポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)を含有してもよい。この場合、PTFEの形状としては特に限定されないが、定形性のものであればよく、粒子状、繊維状であることが好ましく、これらが単独で使用されても混合して使用されていてもよい。
上記PTFEの含有量は、上記高分子電解質に対して、0.01~30.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0~25.0質量%、更に好ましくは2.0~20.0質量%、特に好ましくは5.0~10.0質量%である。
上記触媒ペーストは、親水性向上のため、更に金属酸化物を含有してもよい。上記金属酸化物としては特に限定はないが、Al23、B23、MgO、SiO2、SnO2、TiO2、V25、WO3、Y23、ZrO2、Zr23及びZrSiO4からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましい。中でも、Al23、SiO2、TiO2及びZrO2からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましく、SiO2が特に好ましい。
金属酸化物の形態としては、粒子状や繊維状といったものを用いても構わないが、特に非定形であることが望ましい。ここで言う非定形とは、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物が観察されないことを言う。特に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層を数十万倍までに拡大して観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物は観察されない。また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電極触媒層を数十万倍~数百万倍に拡大して観察しても、明確に粒子状や繊維状の金属酸化物は観察することができない。このように現状の顕微鏡技術の範囲内では、金属酸化物の粒子状や繊維状を確認することができないことを指す。
上記金属酸化物の含有量は、上記高分子電解質に対して、0.01~100質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01~45質量%、更に好ましくは0.01~25質量%、特に好ましくは0.5~6.0質量%である。
(電気触媒層)
本実施形態の電気触媒層としては、上記高分子電解質を用いた電極触媒層であることが好ましい。上記電極触媒層は、上記触媒ペーストからなることが好ましい。上記電極触媒層は、安価に製造することができる上、酸素透過性が高い。上記電極触媒層は、燃料電池用として好適に用いることができる。
上記電極触媒層は、上記高分子電解質及び上記触媒からなることが好ましい。上記電極触媒層は、電極面積に対する上記高分子電解質の担持量が、好ましくは0.001~10mg/cm2、より好ましくは0.01~5mg/cm2、更に好ましくは0.1~1mg/cm2である。
本実施形態の電極触媒層は、高分子電解質、触媒及び導電剤からなるものであることが好ましい。上記電極触媒層は、高分子電解質と、触媒の粒子及びこれを担持した導電剤からなる複合粒子(例えば、Pt担持カーボン等)と、からなるものであることも好ましい形態の一つである。この場合、上記高分子電解質は、バインダーとしても機能する。
上記導電剤としては、導電性を有する粒子(導電性粒子)であれば限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛及び各種金属(触媒金属を除く。)からなる群より選択される少なくとも1種の導電性粒子であることが好ましい。これら導電剤の粒子径としては、好ましくは10オングストローム~10μm、より好ましくは50オングストローム~1μm、最も好ましくは100~5000オングストロームである。
上記複合粒子としては、導電性粒子に対して触媒粒子が、好ましくは1~99質量%、より好ましくは10~90質量%、最も好ましくは30~70質量%である。具体的には、田中貴金属工業(株)製TEC10E40E等のPt触媒担持カーボンが好適な例として挙げられる。
上記複合粒子の含有率は、電極触媒層の全質量に対し、20~95質量%であることが好ましく、より好ましくは40~90質量%、更に好ましくは50~85質量%、特に好ましくは60~80質量%である。電極触媒層が燃料電池の電極触媒層として用いられる場合、電極面積に対する触媒金属の担持量としては、電極触媒層を形成した状態で、好ましくは0.001~10mg/cm2、より好ましくは0.01~5mg/cm2、更に好ましくは0.1~1mg/cm2である。電極触媒層の厚みとしては、好ましくは0.01~200μm、より好ましくは0.1~100μm、最も好ましくは1~50μmである。
上記電極触媒層は、必要に応じて撥水剤を含んでもよい。
上記電極触媒層は、撥水性の向上のため、更にポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)を含有してもよい。この場合、PTFEの形状としては特に限定されないが、定形性のものであればよく、粒子状、繊維状であることが好ましく、これらが単独で使用されても混合して使用されていてもよい。電極触媒層がPTFEを含有する場合、PTFEの含有率としては、電極触媒層の全質量に対し、好ましくは0.001~20質量%、より好ましくは0.01~10質量%、最も好ましくは0.1~5質量%である。
上記電極触媒層は、親水性向上のため、更に金属酸化物を含有してもよい。この場合、金属酸化物としては特に限定はないが、Al23、B23、MgO、SiO2、SnO2、TiO2、V25、WO3、Y23、ZrO2、Zr23及びZrSiO4からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましい。中でもAl23、SiO2、TiO2及びZrO2からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましく、SiO2が特に好ましい。
上記金属酸化物の形態としては、粒子状や繊維状といったものを用いても構わないが、特に非定形であることが望ましい。ここで言う非定形とは、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物が観察されないことを言う。特に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層を数10万倍までに拡大して観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物は観察されない。また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電極触媒層を数10万倍~数100万倍に拡大して観察しても、明確に粒子状や繊維状の金属酸化物は観察することができない。このように現状の顕微鏡技術の範囲内では、金属酸化物の粒子状や繊維状を確認することができないことを指す。
上記金属酸化物の含有率としては、電極触媒層の全質量に対し、好ましくは0.001~20質量%、より好ましくは0.01~10質量%、最も好ましくは0.1~5質量%である。
上記電極触媒層の空隙率としては特に限定されないが、好ましくは10~90体積%、より好ましくは20~80体積%、最も好ましくは30~60体積%である。
上記高分子電解質溶液は、濃縮することが可能である。濃縮の方法としては特に限定されない。例えば、加熱し、溶媒を蒸発させる方法や、減圧濃縮する方法等がある。その結果得られる塗工溶液の固形分率は、取り扱い性及び生産性を考慮して、最終的な塗工溶液の固形分率は0.5~50質量%が好ましい。
上記高分子電解質溶液は、粗大粒子成分を除去する観点から、濾過されることがより好ましい。濾過方法は、特に限定されず、従来行われている一般的な方法が適用できる。例えば、通常使用されている定格濾過精度を有する濾材を加工したフィルターを用いて、加圧濾過する方法が代表的に挙げられる。フィルターについては、90%捕集粒子径が粒子の平均粒子径の10~100倍の濾材を使用することが好ましい。この濾材は濾紙でもよいし、金属焼結フィルターのような濾材でもよい。特に濾紙の場合は、90%捕集粒子径が粒子の平均粒子径の10~50倍であることが好ましい。金属焼結フィルターの場合は、90%捕集粒子径が粒子の平均粒子径の50~100倍であることが好ましい。当該90%捕集粒子径を平均粒径の10倍以上に設定することは、送液するときに必要な圧力が高くなりすぎることを抑制したり、フィルターが短期間で閉塞したりすることを抑制し得る。一方、平均粒子径の100倍以下に設定することは、フィルムで異物の原因となるような粒子の凝集物や樹脂の未溶解物を良好に除去する観点から好ましい。
上記製造方法は、得られた高分子電解質溶液に上記触媒を分散させて触媒ペーストを調製する工程と、触媒ペーストを基材に塗布する工程と、基材に塗布した触媒ペーストを乾燥させて電極触媒層を得る工程と、を含む。
得られた高分子電解質溶液に上記触媒を分散させて触媒ペーストを調製する工程は、得られたエマルション又は高分子電解質溶液に、触媒の粒子及びこれを担持した導電剤からなる複合粒子を分散させた触媒ペーストを調製するものであることが好ましい。
上記触媒ペーストの塗布は、スクリーン印刷法、スプレー法等の一般的に知られている各種方法を用いることが可能である。
(膜電極接合体)
本実施形態の膜電極接合体(membrane/electrode assembly)(以下、「MEA」ともいう。)は、上記電極触媒層を備えることが好ましい。本実施形態の膜電極接合体は、上記電極触媒層を備えるため、電池特性並びに機械的強度に優れ、安定性に優れる。上記膜電極接合体は、燃料電池用として好適に用いることができる。
電解質膜の両面にアノードとカソードの2種類の電極触媒層が接合したユニットは、膜電極接合体と呼ばれる。電極触媒層のさらに外側に一対のガス拡散層を対向するように接合したものについても、MEAと呼ばれる場合がある。電極触媒層はプロトン伝導性を有することが必要となる。
アノードとしての電極触媒層は、燃料(例えば水素)を酸化して容易にプロトンを生ぜしめる触媒を包含し、カソードとしての電極触媒層は、プロトン及び電子と酸化剤(例えば酸素や空気)を反応させて水を生成させる触媒を包含する。アノードとカソードのいずれについても、触媒としては上述した触媒金属を好適に用いることができる。
ガス拡散層としては、市販のカーボンクロスもしくはカーボンペーパーを用いることができる。前者の代表例としては、米国DE NORA NORTH AMERICA社製カーボンクロスE-tek、B-1が挙げられ、後者の代表例としては、CARBEL(登録商標、ジャパンゴアテックス(株))、東レ社製TGP-H、SPECTRACORP社製カーボンペーパー2050等が挙げられる。
また、電極触媒層とガス拡散層が一体化した構造体は「ガス拡散電極」と呼ばれる。ガス拡散電極を電解質膜に接合しても、MEAが得られる。市販のガス拡散電極の代表例としては、米国DE NORA NORTH AMERICA社製ガス拡散電極ELAT(登録商標)(ガス拡散層としてカーボンクロスを使用)が挙げられる。
MEAは、例えば、電極触媒層の間に電解質膜を挟みこみ、熱プレスにより接合することにより作製することができる。より具体的には、上記高分子電解質をアルコールと水の混合溶液に分散又は溶解したものに、触媒として市販の白金担持カーボン(例えば、田中貴金属(株)製TEC10E40E)を分散させてペースト状にする。これを2枚のPTFEシートのそれぞれの片面に一定量塗布して乾燥させて電極触媒層を形成する。次に、各PTFEシートの塗布面を向かい合わせにして、その間に電解質膜を挟み込み、100~200℃で熱プレスにより転写接合してから、PTFEシートを取り除くことにより、MEAを得ることができる。当業者にはMEAの作製方法は周知である。MEAの作製方法は、例えば、JOURNAL OF APPLIED ELECTROCHEMISTRY,1992年,Vol.22,p.1-7に詳しく記載されている。
上記MEA(一対のガス拡散電極が対向した構造のMEAを含む。)は、更にバイポーラプレートやバッキングプレート等の一般的な燃料電池に用いられる構成成分と組み合わされて、燃料電池が構成される。
(燃料電池)
本実施形態の燃料電池は、上記膜電極接合体を備えることが好ましい。上記燃料電池は、固体高分子形燃料電池であることが好ましい。本実施形態の燃料電池は、上記膜電極接合体を有するものであれば特に限定されず、通常、燃料電池を構成するガス等の構成成分を含むものであってよい。本実施形態の燃料電池は、上記電極触媒層を有する膜電極接合体を備えるものであるため、電池特性並びに機械的強度に優れ、安定性に優れる。
バイポーラプレートとは、その表面に燃料や酸化剤等のガスを流すための溝を形成させたグラファイトと樹脂との複合材料、又は金属製のプレート等を意味する。バイポーラプレートは、電子を外部負荷回路へ伝達する機能の他、燃料や酸化剤を電極触媒近傍に供給する流路としての機能を持っている。こうしたバイポーラプレートの間にMEAを挿入して複数積み重ねることにより、燃料電池が製造される。
次に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
(酸素溶解度)
ポリマーの酸素溶解度測定はクロノアンペロメトリー法を用いて行った。ガラス封入した100μmφの白金微小電極を厚さ200μm程度のサンプルに押し当てて、温度、湿度を調整した。窒素又は酸素雰囲気下にて、電位を1100mV(vs.SHE)に保持した後、400mVにステップして電流値を測定した。窒素及び酸素雰囲気下で観測された電流値の差分を印加時間の-1/2乗に対してプロットし、直線性が得られた範囲において下記式を用いて酸素溶解度を算出した。
I=4πFrDc[1+r/(πDt)1/2+0.2732exp{-0.3911r/(Dt)1/2}]
ただし、Iは電流値(A)、Fはファラデー定数(96500C/mol)、rは電極半径(cm)、Dは酸素拡散係数(cm2/s)、cは酸素溶解度(mol/m3)、tは時間(s)である。
(凝集エネルギー密度)
(1)合計で100量体のポリマーを2本用意する。
(2)(1)で用意したポリマーは、コポリマーの場合はランダムコポリマーを前提とし、光学異性体がある場合はatacticな構造とする。
(3)(2)のポリマーの分子力場パラメータはPCFFを用い、原子電荷はBond Increment法に従ってアサインする。
(4)Scienomics社のソフトウェアMAPS-4.0.1のAmorphous Builderツールにより、(3)のポリマーによるアモルファスセルを作製する。
(5)(4)で生成したアモルファスセルについて、lammps-14May16を用いて1気圧条件下で10nsのNPTアンサンブルシミュレーションを実施し、5~10nsの密度を平均化する。なお、XYZ方向への周期的境界条件を設定し、電荷評価はPPPMで行い、ファンデルワールスのカットオフ距離は13.0Åとし、tail correctionを付し、温度は350Kとした。なお、本請求項で実施するパラメータの単位は全てrealである。
(6)(5)の操作を4回実施し、平均化して各ポリマーの密度を算出する。
(7)(6)で算出した密度から、(4)と同じツールとポリマー本数、(3)と同じ力場パラメータと電荷を使い、アモルファスセルを再度生成する。
(8)酸素分子を4個生成し、分子力場パラメータ:PCFFをアサインした後、(7)で作製したセルに入れ、構造最適化計算を行う。
(9)(8)で計算したアモルファスセルについて、25nsのNVTアンサンブルを実施する。なお、圧力以外のパラメータは(5)と同じとする。
(10)計算実施後、LAMMPSのcomputeコマンドを用い、2本のポリマーのエネルギーを計算する。具体的には例えばmolecule1と2で既定されるポリマーに対し、group poly molecule1 2でpolyグループを規定し、この中の相互作用を以下のコマンドで網羅的に計算する。compute inter poly group/group poly pair yes boundary yes。これを10~25nsで平均化する。
(11)(10)の計算を4回繰り返し、平均化する。
(12)(11)で算出した平均値をセル体積で割り、凝集エネルギー密度(単位:kcal/mol/Å3)を算出した。
(13)(12)で計算した凝集エネルギー密度が低いほどポリマー間の相互作用が強く、結晶化しやすくなると考えられるため、結晶化の指標とした。
(触媒ペースト作製、電極作製、燃料電池評価)
高温低加湿条件下におけるMEAの性能を評価するため、以下のような手順で発電試験を実施した。
(1)電極触媒インクの調製
固形分濃度15質量%の高分子電解質溶液、電極触媒(TEC10E40E、田中貴金属工業(株)製、白金担持量36.7wt%)を白金/パーフルオロスルホン酸ポリマーが1/1.15(重量)となるように配合し、次いで、固形分(電極触媒とパーフルオロスルホン酸ポリマーの和)が11wt%となるようにエタノールを加え、ホモジナイザー(アズワン社製)により回転数が3000rpmで10分間、撹拌することで電極触媒インクを得た。
(2)MEAの作製
自動スクリーン印刷機(製品名:LS-150、ニューロング精密工業株式会社製)を用い、高分子電解質膜の両面に上記電極触媒インクを、白金量がアノード側0.2mg/cm2、カソード側0.3mg/cm2となるように塗布し、140℃、5分の条件で乾燥・固化させることでMEAを得た。
(3)燃料電池単セルの作製
上記MEAの両極にガス拡散層(製品名:GDL35BC、MFCテクノロジー社製)を重ね、次いでガスケット、バイポーラプレート、バッキングプレートを重ねることで燃料電池単セルを得た。
(4)発電試験
上記燃料電池単セルを評価装置(東陽テクニカ社製燃料電池評価システム890CL)にセットして、発電試験を実施した。
発電の試験条件は、高加湿条件が、セル温度65℃、アノード及びカソードの加湿ボトル60℃に設定し、低加湿条件が、セル温度90℃、アノード及びカソードの加湿ボトル61℃に設定し、アノード側に水素ガス、カソード側に空気ガスを、それぞれ900ml/minの条件で供給した。また、アノード側とカソード側の両方を無加圧(大気圧)とした。
上記高加湿条件において、電流密度0.2A/cm2において電圧値が0.830V以上であれば◎(優れる)、0.820V超0.830V未満であれば○(良好)、0.820V以下であれば×(劣る)、電流密度0.8A/cm2において電圧値が0.685V以上であれば◎(優れる)、0.675V超0.685V未満であれば○(良好)、0.675V以下であれば×(劣る)として表記した。
また、上記低加湿条件において、電流密度0.2A/cm2において電圧値が0.750V以上であれば◎(優れる)、0.720V超0.750V未満であれば○(良好)、0.720V以下であれば×(劣る)、電流密度0.8A/cm2において電圧値が0.0.550V以上であれば◎(優れる)、0.440V超0.550V未満であれば○(良好)、0.440V以下であれば×(劣る)として表記した。
[実施例1]
下記の反応はグローブボックス内で窒素置換をしながら実施した。500ml四つ口フラスコに、2-ヨードレゾルシノール10.0g(42.4mmol)、脱水N,N-ジメチルアセトアミド130ml、炭酸カリウム14.6g(105.9mmol)を入れ、キャップをした後、常温で撹拌混合した。オクタフルオロシクロペンテン9.0g(42.4mmol)を入れ、内温100℃で24時間撹拌混合した。反応終了後、放冷し、反応液をイオン交換水とメタノールの1:1重量混合液1L中に投入し、ガラスフィルターで減圧ろ過後、イオン交換水とメタノールで十分に洗浄し、50℃で12時間減圧乾燥した。得られたポリマーA1は薄茶色固体で、収量17.1g(収率90%)であった。1H-NMR(d-DMSO)では6.2~7.6ppmに、19F-NMR(d-DMSO)では-113~-121ppmと-133~-137ppmに、芳香環由来のブロードなピークが各々見られた。またGPC測定では数平均分子量が45,300であった。
次にヨード部へスルホン化反応を下記の通り実施した。
100mL四つ口フラスコに、上記A1 3.00g、直径100nmの銅粉2.40g、N,N-ジメチルアセトアミド50mLを入れ、120℃で4時間撹拌混合した。次に、Macromolecules,2009年,Vol.42,p.9302-9306を参考に、1,1,2,2-テトラフルオロ-2-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-ヨードエトキシ)エタンスルホニルフルオライドを加水分解して得られた1,1,2,2-テトラフルオロ-2-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-ヨードエトキシ)エタンスルホン酸カリウムをN,N-ジメチルアセトアミド30mlに溶解し、上記反応液に滴下し、160℃で3日間撹拌混合した。ろ過により銅粉を除去した後、溶液を2M硝酸500mlに滴下し、沈殿物を減圧ろ過により回収した。得られた固体をN,N-ジメチルアセトアミド30mlに溶解し、2M硝酸500mlに滴下することで再沈殿精製し、これをさらに3回繰り返した。最後に、得られた固体を再度N,N-ジメチルアセトアミド30mlに溶解し、60℃熱水に滴下することで再沈殿精製した。得られた固体を80℃12時間減圧乾燥した。得られたポリマーA2は薄茶色固体で、収量3.84g(収率90%)であった(式(6))。
Figure 0007103830000011
得られたポリマーA2をエタノール水溶液(水:エタノール=50.0:50.0(質量比))とともに5Lオートクレーブ中に入れて密閉し、翼で攪拌しながら160℃まで昇温して3時間保持した。その後、オートクレーブを自然冷却して、固形分濃度10質量%の均一なポリマー溶液を作製した。
得られた固形分濃度10質量%のポリマー溶液を80℃にて減圧濃縮して、固形分濃度15質量%のポリマー溶液AS1を作製した。
上記AS1をキャスト製膜して、厚み200μmの膜AM1を作製した。
AM1のEWは699であり、スルホン酸導入率は70mol%であった。
AM1の酸素溶解度と凝集エネルギー密度を表1に示す。
以上より、実施例1は低加湿及び高加湿の両方の条件における発電性能が著しく高いことが分かる。
[実施例2]
電極中の白金量をアノード側0.2mg/cm2、カソード側0.1mg/cm2とした以外は全て実施例1と同様にして発電試験を実施した。結果を表1に示す。
[比較例1]
市販のナフィオン溶液(Nafion DE2020CS SIGMA-ALDRICH社製)を用いて、実施例1と同様にして、厚み200μmの膜を作製した。
Nafion DE2020CSのEWは954であり、スルホン酸導入率は16.4mol%であった。
Nafion DE2020CSの酸素溶解度と凝集エネルギー密度を表1に示す。
Nafion DE2020CSは環状体を有さない為、酸素溶解度と凝集エネルギー密度がともに低く、低加湿及び高加湿の両方の条件における発電性能が低いことが分かる。
[比較例2]
特許文献3の実施例2のポリマーは環状体を有さず、側鎖にエーテル結合を介した直鎖のフッ素化炭化水素基を有する。
上記ポリマーを実施例1と同様に厚み200μmの膜を作製した。
上記膜の酸素溶解度と凝集エネルギー密度はを表1に示す。
凝集エネルギー密度は高く非晶性を示すと考えられるが、酸素溶解度が比較的低く、低加湿条件での発電性能は比較的高いが、高加湿条件での発電性能が低かった。
[比較例3]
実施例1の2-ヨードレゾルシノールの代わりに、2、2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いた以外は、実施例1と同様にして重合を実施した。
得られた前駆体ポリマーに、上記前駆体ポリマーの重量1に対し0.1体積当量のクロロホルム、及び上記前駆体ポリマーの48モル当量のクロロ硫酸を加え、60℃で12時間撹拌混合した。反応液をイオン交換水へ投入し、沈殿精製し、十分に60℃熱水で洗浄した。19F-NMR(d-DMSO)で、-65.0ppmに見られるピークからスルホン化率は31%であった(式(7))。
GPC測定での数平均分子量は8,100であった。
Figure 0007103830000012
得られたポリマーA3をエタノール水溶液(水:エタノール=50.0:50.0(質量比))とともに5Lオートクレーブ中に入れて密閉し、翼で攪拌しながら160℃まで昇温して3時間保持した。その後、オートクレーブを自然冷却して、固形分濃度10質量%の均一なポリマー溶液を作製した。
得られた固形分濃度10質量%のポリマー溶液を80℃にて減圧濃縮して、固形分濃度15質量%のポリマー溶液AS2を作製した。
上記AS2をキャスト製膜して、厚み200μmの膜AM2を作製した。
AM2のEWは1719であった。
AM2の酸素溶解度と凝集エネルギー密度を表1に示す。
酸素溶解度は高いが、凝集エネルギー密度は著しく低く、低加湿及び高加湿の両方の条件における発電性能が低いことが分かる。
Figure 0007103830000013

Claims (13)

  1. スルホン酸基、環状体、エーテル結合、及びフッ素原子を含み、
    80℃30%RH条件でPt厚膜法により測定した酸素溶解度が7.0mol/m以上であり、
    LAMMPSを用いてPCFF力場によって計算した凝集エネルギー密度が0.350kcal/mol/Å以上である、
    ことを特徴とする高分子電解質。
  2. 前記環状体として芳香環を含み、
    前記芳香環が、前記芳香環の環構造を構成する原子のうち少なくとも3個の原子に、フッ素原子、酸素原子、スルホン酸基、及びエーテル結合を含む置換されていてもよい炭素数1以上のフッ素化炭化水素基を有する構造からなる群から選ばれる構造が結合する芳香環である、請求項1に記載の高分子電解質。
  3. 下記式(2)で表される繰り返し単位を有する、請求項2に記載の高分子電解質。
    Figure 0007103830000014
    (式(2)中、Arは芳香環を表し、Xは、エーテル結合及びプロトン交換基を含む炭素数1以上のフッ素化炭化水素基(炭素数が2以上である場合、炭素-炭素原子間にエーテル結合が挿入されていてもよい)を表す。)
  4. 側鎖として前記スルホン酸基を含むスルホン酸基含有側鎖を含み、
    前記環状体の環構造を構成する原子に直接結合する基及び前記スルホン酸基含有側鎖に、前記フッ素原子が含まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の高分子電解質。
  5. 前記環状体として、置換されていてもよい脂環を含む、請求項2又は3に記載の高分子電解質。
  6. 前記環状体として、置換されていてもよい脂環を含む、請求項4に記載の高分子電解質。
  7. 前記芳香環と前記脂環とが結合する構造を有する、請求項5に記載の高分子電解質。
  8. 側鎖として前記スルホン酸基を含むスルホン酸基含有側鎖を含み、
    前記環状体の環構造を構成する原子に直接結合する基及び前記スルホン酸基含有側鎖に、前記フッ素原子が含まれる、請求項7に記載の高分子電解質。
  9. 下記式(1)で表される構造を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の高分子電解質。
    Figure 0007103830000015
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の高分子電解質と水とを含むことを特徴とする高分子電解質溶液。
  11. 請求項1~9のいずれか一項に記載の高分子電解質を含むことを特徴とする電極触媒層。
  12. 請求項11に記載の電極触媒層を備えることを特徴とする膜電極接合体。
  13. 請求項12に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
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