JP2020066676A - 混合ポリマー - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い酸素透過性を発現し、高い発電特性を発現し得る混合ポリマーを提供することを目的とする。【解決手段】本発明の混合ポリマーは、イオン交換基を含有するポリマー(A)と、前記イオン交換基の含有量が0.1ミリ当量/g以下であり、フッ素原子とエーテル結合とを含有する脂肪族環を含む構造単位を含むポリマー(B)と、を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、混合ポリマー、当該混合ポリマーを含む電極触媒層、当該電極触媒層を備える膜電極接合体、当該膜電極接合体を備える燃料電池に関する。
燃料電池は、電池内で水素やメタノール等を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものであり、地球環境への悪影響の少ないクリーンな電気エネルギー供給源として注目されている。特に、固体高分子電解質膜を用いる固体高分子型燃料電池は、他の手法と比較して低温で作動することから、自動車用途としての代替動力源や家庭用コジェネレーションシステムの電源として期待されている。近年、前記用途での固体高分子型燃料電池システムの開発が進み、高性能・高耐久化が実現されている。
固体高分子型燃料電池を構成する膜電極接合体(MEA)には、白金等の触媒及びアイオノマーから形成される電極触媒層が設けられている。白金等の触媒は高価であるため、その使用量の低減が求められているが、触媒の使用量を減らすと電池の性能が低下する傾向がある。この不利益を避けるために、電極触媒層を形成するアイオノマーの酸素透過性を向上させて、電極触媒層中に酸素を行き渡らせる試みがなされてきた。
特許文献1には、酸素透過性が高く、カソード側触媒層のアイオノマーとして好適な高分子電解質として、疎水性の非対称環状構造と、非対称環状構造と結合しているプロトン伝導性基を有する親水性構造とを備え、カソード側触媒層アイオノマーとして用いられる高分子電解質が記載されている。
特許文献2には、高温、かつ低加湿ないし無加湿の運転条件下にて高い発電特性を得ることができる固体高分子形燃料電池用膜電極接合体として、カソードの触媒層が、固体高分子電解質ポリマーとして、イオン交換容量が0.9〜2.5ミリ当量/g乾燥樹脂であり、高真空法にて温度100℃の条件で測定した酸素透過係数が1×10-12〔cm3(Normal)・cm/cm2・s・Pa〕以上であり、かつ100℃の酸素/窒素分離係数が2.5以上であるポリマー(H)を含むことを特徴とする固体高分子形燃料電池用膜電極接合体が記載されている。上記のポリマー(H)は、環状構造を有し、かつイオン交換基またはその前駆体基を有さない繰り返し単位(A)、およびまたは環状構造を有し、かつイオン交換基またはその前駆体基を有する繰り返し単位(B)を有し、ポリマー(H)中の全繰り返し単位のうち、前記繰り返し単位(A)と前記繰り返し単位(B)との合計の割合が、20モル%以上のポリマーである。
特許文献3には、イオン伝導性、撥水性及びガス透過性に優れた固体高分子電解質材料として、ラジカル重合により主鎖に脂肪族環構造を有するポリマーを与える含フッ素モノマーに基づく繰り返し単位と、CF2=CF(RfjSO2Xで表される含フッ素ビニル化合物に基づく繰り返し単位とを含む共重合体からなる固体高分子電解質材料が記載されている。
特許文献4には、酸素還元反応に対する優れた電極特性を有するガス拡散電極として、触媒と含フッ素イオン交換樹脂とを含有する触媒層を備える多孔質のガス拡散電極であって、前記触媒層には、酸素透過係数が5×10-11[cm3(Normal)・cm/cm2・s・Pa]以上であり、かつ、イオン交換基を実質的に有しない高分子化合物が更に含まれていることを特徴とするガス拡散電極が記載されている。上記高分子化合物は、脂肪族環構造を有するパーフルオロカーボンに基づく繰り返し単位を含む重合体である。
特許文献5には、燃料電池、電解セル、イオン交換膜、センサー、電気化学キャパシター、及び改良電極に有用なイオン伝導性組成物として、モノマーA及びモノマーBの重合した単位を含み、モノマーAは、ペルフルオロジオキソール又はペルフルオロジオキソランモノマーであり、モノマーBは、フルオロアルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホネート、又はフルオロアルキルスルホン酸ペンダント基を有する官能化ペルフルオロオレフィン、CF2=CF(O)[CF2nSO2Xであるアイオノマーから形成されるイオン伝導性組成物が記載されている。
特許文献6には、触媒とイオン交換樹脂とを含有するガス拡散電極が燃料極及び空気極とされ、膜状固体高分子電解質の片面に前記燃料極が、もう一方の面に前記空気極が、それぞれ配置された固体高分子電解質型燃料電池において、前記空気極に含有される前記イオン交換樹脂は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEともいう)に基づく重合単位A、スルホン酸基を有するパーフルオロビニルエーテルに基づく重合単位B及びイオン交換基又はその前駆体の基を有しないパーフルオロビニルエーテルに基づく重合単位Cを含む共重合体からなるイオン交換樹脂であることを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池が記載されている。
特開2013−216811号公報 特開2011−65838号公報 特開2002−260705号公報 特開2002−252001号公報 特表2014−500392号公報 特開2000−188111号公報
しかしながら、上記特許文献1〜6に開示されているアイオノマーは、実際の燃料電池の運転環境に近い低加湿条件及び高加湿条件のいずれにおいても高い酸素透過性を発現することに対しては改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑み、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い酸素透過性を発現し、高い発電特性を発現し得る混合ポリマーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、イオン交換基を含有するポリマーと、イオン交換基の含有量が僅少量以下であり、フッ素原子とエーテル結合とを含有する脂肪族環を含む構造単位を含むポリマーと、を含む混合ポリマーが、低加湿条件及び高加湿条件のいずれにおいても高い酸素透過性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]イオン交換基を含有するポリマー(A)と、前記イオン交換基の含有量が0.1ミリ当量/g以下であり、フッ素原子とエーテル結合とを含有する脂肪族環を含む構造単位を含むポリマー(B)と、を含むことを特徴とする、混合ポリマー。
[2]前記混合ポリマーから形成される膜の表面のモルフォロジー画像において、前記ポリマー(A)と前記ポリマー(B)との相分離によって海島構造が形成されている、[1]に記載の混合ポリマー。
[3]前記ポリマー(A)が下記式(a1)又は(a2)で表わされる繰り返し単位を有する、[1]又は[2]に記載の混合ポリマー。
Figure 2020066676
(式中、Y31は、F、Cl、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表す。kは0〜2の整数、nは0〜8の整数を表し、n個のY31は、同一でも異なっていてもよい。Y32は、F又はClを表す。mは2〜6の整数を表す。m個のY32は、同一でも異なっていてもよい。Z31は、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR4を表す。Rは、それぞれ独立に、アルキル基又はHを表わす。)
Figure 2020066676
(式中、Y33は、F、Cl、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表す。oは0〜1の整数を表す。Q31は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Q32は、単結合又はエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基である。R31は、エーテル結合を有していてもよいパーフルオロアルキル基である。Xは、O、N、又はCであって、XがOの場合はaは0であり、XがNの場合はaは1であり、XがCの場合はaは2である。Z32は、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR32 4を表す。R32は、それぞれ独立に、アルキル基又はHを表わす。)
[4]前記脂肪族環を含む構造単位が下記式(a3)で表わされる繰り返し単位を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の混合ポリマー。
Figure 2020066676
(式中、p、q、r、及びsは、それぞれ独立に0又は1を示す。R4142、及びR44は、同一でも異なっていてもよく、それぞれフッ素原子、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1〜5のパーフルオロアルコキシ基を示す。R43は、炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、置換基は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基又は炭素数1〜5のパーフルオロアルコキシ基であってもよい。)
[5]前記脂肪族環を含む構造単位がパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール構造単位である、[1]〜[4]のいずれかに記載の混合ポリマー。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の混合ポリマーを含むことを特徴とする、電極触媒層。
[7][6]に記載の電極触媒層を備えることを特徴とする、膜電極接合体。
[8][7]に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする、燃料電池。
本発明によれば、実際の燃料電池の運転環境に近い低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い酸素透過性を発現し、高い発電特性を発現し得る混合ポリマーを提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(混合ポリマー)
本実施形態の混合ポリマーは、イオン交換基を含有するポリマー(A)と、前記イオン交換基の含有量が0.1ミリ当量/g以下であり、フッ素原子とエーテル結合とを含有する脂肪族環を含む構造単位を含むポリマー(B)と、を含むことを特徴とする、混合ポリマーである。
−ポリマー(A)−
ポリマー(A)は、イオン交換基を含有する。
イオン交換基としては、−SO3H、−SO2NHSO2−等のプロトン交換基が挙げられる。また、イオン交換基は、部分的に或いは全てが、金属イオンやアンモニウムイオン等で交換された塩を形成していてもよい。
ポリマー(A)は、下記式(a1)又は(a2)で表わされる繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2020066676
(式中、Y31は、F、Cl、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表す。kは0〜2の整数、nは0〜8の整数を表し、n個のY31は、同一でも異なっていてもよい。Y32は、F又はClを表す。mは2〜6の整数を表す。m個のY32は、同一でも異なっていてもよい。Z31は、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR4を表す。Rは、それぞれ独立に、アルキル基又はHを表わす。)
Figure 2020066676
(式中、Y33は、F、Cl、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表す。oは0〜1の整数を表す。Q31は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Q32は、単結合又はエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基である。R31は、エーテル結合を有していてもよいパーフルオロアルキル基である。Xは、O、N、又はCであって、XがOの場合はaは0であり、XがNの場合はaは1であり、XがCの場合はaは2である。Z32は、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR32 4を表す。R32は、それぞれ独立に、アルキル基又はHを表わす。)
前記繰り返し単位(a1)について、Y31はF又はCF3であることが好ましい。kは0であることが好ましい。nは0又は1であることが好ましい。Y32はFであることが好ましい。mは2であることが好ましい。Z31はH、Na、K、又はNH4であることが好ましい。
前記繰り返し単位(a1)は、上述したものの中でも特に、−CF2−CF(−O−CF2−CF2−SO3H)−(以下、「n0SH」ともいう。)、又は−CF2−CF(−O−CF2−CF(CF3)−O−CF2−CF2−SO3H)−が好ましい。
前記繰り返し単位(a2)について、Y33はFであることが好ましい。oは0であることが好ましい。Q31は、−CF2−CF2−又は−CF2−O−CF2−CF2−であることが好ましい。Q32は、−O−CF2−CF2−であることが好ましい。R31は、−CF3又は−CF2−CF3であることが好ましい。XはOであることが好ましい。Z32は、H、Na、K、又はNH4であることが好ましい。
前記繰り返し単位(a2)は、上述したものの中でも特に、−CF2−CF(−O−CF2−CF(−CF2−O−CF2−CF2−SO3H)(−O−CF2−CF2−SO3H)−(以下、「BSVE−2E」ともいう。)が好ましい。
−ポリマー(B)−
ポリマー(B)は、イオン交換基の含有量が0.1ミリ当量/g以下であり、フッ素原子とエーテル結合とを含有する脂肪族環を含む構造単位を含む。
イオン交換基の含有量は、0.01ミリ当量/g以下であることが好ましく、0ミリ当量/gであることが特に好ましい。
ポリマー(B)に含まれるフッ素原子とエーテル結合とを含有する脂肪族環を含む構造単位は、下記式(a3)で表わされる繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2020066676
(式中、p、q、r、及びsは、それぞれ独立に0又は1を示す。R4142、及びR44は、同一でも異なっていてもよく、それぞれフッ素原子、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1〜5のパーフルオロアルコキシ基を示す。R43は、炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、置換基は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基又は炭素数1〜5のパーフルオロアルコキシ基であってもよい。)
前記ポリマー(B)の繰り返し単位(a3)は、酸素透過性に優れる点から、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(以下、「FDD」ともいう。)であることが好ましい。
本実施形態の混合ポリマーは、混合ポリマーから形成される膜の表面のモルフォロジー画像において、混合ポリマーを構成する前記ポリマー(A)と前記ポリマー(B)とが相分離することにより、ポリマー(A)を含有する海相とポリマー(B)を含有する島相とを有する海島構造が形成されていることが好ましい。
上記海島構造は、次の方法により観察することができる。混合ポリマーの膜(膜厚約200μm)の任意の場所から5mm角のサンプルをデザインナイフにて切り出す。混合ポリマー膜の片面に対し白金及び/又はオスミウムにより蒸着を行い、SEM装置を用いて膜表面の状態を、倍率1000倍で観察する。観察点は、切り出した5mm角のサンプルの四隅4点と中央1点とし、観察範囲は、縦90μm×横125μmの範囲とする。
上記混合ポリマーにおいて、繰り返し単位(a3)は、酸素透過性を向上させる上で重要な役割を果たす。一方、混合ポリマーがアイオノマーとしての機能を発現するためには、繰り返し単位(a1)又は(a2)が有するプロトン交換基が適切な量で存在することも重要である。そのためには、繰り返し単位(a1)又は(a2)の比率を適切に管理することが好ましく、結果として繰り返し単位(a3)の比率の上限が設定される。
上記混合ポリマーにおいて、繰り返し単位(a1)又は(a2)は、混合ポリマーの全繰り返し単位に対して1〜80モル%であることが好ましく、5〜60モル%であることがより好ましく、10〜40モル%であることが更に好ましい。
上記混合ポリマーにおいて、繰り返し単位(a3)は、混合ポリマーの全繰り返し単位に対して10〜90モル%であることが好ましく、20〜85モル%であることがより好ましく、30〜80モル%であることが更に好ましい。
上記混合ポリマーは、繰り返し単位(a1)又は(a2)と、繰り返し単位(a3)とのモル比(a1)/(a3)、又は(a2)/(a3)が0.05〜2.5であることが好ましく、0.10〜2.0であることがより好ましく、0.20〜1.0であることが更に好ましい。上記モル比がこの範囲内にあると、充分なプロトン伝導性及び酸素透過性が実現できる。
なお、上記「混合ポリマーの全繰り返し単位」は、繰り返し単位(a1)〜(a3)の合計モル数とする。
上記混合ポリマーは、加工性、機械的強度がいずれもより一層優れることから、数平均分子量が1〜200万であることが好ましい。数平均分子量として、より好ましくは3〜100万である。
上記数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)法により測定する値であり、例えば、以下に示す方法により、標準ポリスチレンを基準として数平均分子量を算出することができる。
TOSOH社製 HLC−8020を用い、カラムはポリスチレンゲル製MIXカラム(東ソーGMHシリーズ、30cmサイズ)を3本、40℃、NMP(5mmol/L LiBr含有)溶剤、流速0.7mL/分で行うことができる。サンプル濃度は、0.1重量%で打ち込み量は500μLで行うことができる。
上記混合ポリマーは、当量重量EW(プロトン交換基1当量あたりのパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(以下、PFSAともいう)の乾燥質量グラム数)が250〜4000g/eq(g/当量)であることが好ましく、400〜3000g/eqがより好ましく、600〜2000g/eqが更に好ましい。EWがこの範囲内にあることにより、加工性に一層優れ、熱水への溶解性も小さく、燃料電池としたときに優れた発電特性を示す。
上記当量重量EWは次の方法により測定することができる。イオン交換基の対イオンがプロトンの状態となっている混合ポリマーの膜、およそ2〜20cm2を、25℃、飽和NaCl水溶液30mLに浸漬し、攪拌しながら30分間放置する。次いで、飽和NaCl水溶液中のプロトンを、フェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定する。中和後に得られた、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっている混合ポリマー膜を、純水ですすぎ、さらに真空乾燥して秤量する。中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM(mmol)、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの混合ポリマー膜の重量をW(mg)とし、下記式により当量重量EW(g/eq)を求める。
EW=(W/M)−22
本実施形態の混合ポリマーは、80℃30%RHにおける酸素透過係数(mol・m・m-2・s-1・Pa-1)が0.5×10-14以上であることが好ましく、1.0×10-14以上であることがより好ましく、1.5×10-14以上であることが更に好ましい。また、80℃80%RHにおける酸素透過係数が1.0×10-14以上であることが好ましく、1.5×10-14以上であることがより好ましく、2.0×10-14以上であることが更に好ましい。
本実施形態の混合ポリマーは、80℃30%RHにおける酸素溶解度(mol・m-3)が4.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましく、8.0以上であることが更に好ましい。また、80℃80%RHにおける酸素透過係数が2.0以上であることが好ましく、4.0以上であることがより好ましく、6.0以上であることが更に好ましい。
上記酸素透過係数及び酸素溶解度は、クロノアンペロメトリー法を用いた混合ポリマー膜の酸素透過測定により得られる。ガラス封入した100μmφの白金微小電極を厚さ200μm程度のサンプルに押し当てて、温度及び湿度を80℃30%RH、又は80℃80%RHに調整する。窒素又は酸素雰囲気下にて、電位を1100mV(vs.SHE)に保持した後、400mVにステップして電流値を測定する。窒素及び酸素雰囲気下で観測された電流値の差分を印加時間の−1/2乗に対してプロットし、直線性が得られた範囲において下記式を用いて酸素溶解度を算出する。
I=4πFrDc[1+r/(πDt)1/2+0.2732exp{−0.3911r/(Dt)1/2}]
(式中、Iは電流値(A)、Fはファラデー定数(96500C/mol)、rは電極半径(cm)、Dは酸素拡散係数(cm2/s)、cは酸素溶解度(mol/m3)、tは時間(s)である。)
続いて、下記式により酸素透過係数P(mol・m/(m2・s・Pa))を算出することができる。
P=Dc/(104×101325)
(混合ポリマー溶液)
本実施形態の混合ポリマー溶液は、上記混合ポリマーと有機溶媒とを含むことが好ましく、上記混合ポリマー、有機溶媒、及び/又は水を含むことがより好ましい。上記混合ポリマー溶液は、燃料電池の電極触媒層を形成する原料として好適に用いることができる。上記混合ポリマー溶液は、燃料電池の電極触媒層形成用混合ポリマー溶液であることが好ましい。
上記混合ポリマー溶液の上記混合ポリマーの含有量は、2〜50質量%であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、グリセリン等のプロトン性有機溶媒や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性溶媒、Novec(登録商標)7300(3M社製)、ルミフロン(登録商標)(旭硝子社製)等のフッ素系溶媒等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
上記混合ポリマー溶液は、有機系添加剤を含んでもよい。また、上記混合ポリマー溶液は、無機系添加剤を含んでもよい。
有機系添加剤としては、例えば原子がラジカルにより引き抜かれやすい、例えば、3級炭素に結合した水素、炭素−ハロゲン結合等を構造中に有する化合物等が挙げられる。具体的には、ポリアニリンのような上記の官能基で一部置換された芳香族化合物、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、フェニル化ポリキノキサリン、フェニル化ポリキノリン等の不飽和の複素環化合物を挙げることができる。
また、チオエーテル化合物も挙げられる。例えば、ジメチルチオエーテル、ジエチルチオエーテル、ジプロピルチオエーテル、メチルエチルチオエーテル、メチルブチルチオエーテルのようなジアルキルチオエーテル;テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロアピランのような環状チオエーテル;メチルフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィドのような芳香族チオエーテル等が挙げられる。
無機系添加剤としては、例えば金属酸化物が挙げられる。具体的には、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、シリカ(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化鉄(Fe23,FeO,Fe34)、酸化銅(CuO、Cu2O)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y23)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化インジウム(In23,In2O)、酸化スズ(SnO2)、酸化タンタル(Ta3O5)、酸化タングステン(WO3、W25)、酸化鉛(PbO、PbO2)、酸化ビスマス(Bi23)、酸化セリウム(CeO2、Ce23)、酸化アンチモン(Sb23、Sb25)、酸化ゲルマニウム(GeO2、GeO)、酸化ランタン(La3O3)、酸化ルテニウム(RuO2)等が挙げられる。これら金属酸化物は、単独で用いても、混合物を用いてもよいし、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、酸化アルミニウム亜鉛(ZnO・Al23)等に挙げられる複合酸化物を挙げることができる。無機系添加剤は、金属酸化物のほかにも、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩等の金属塩であってもよい。
上記混合ポリマー溶液は、水を含む場合、有機溶媒/水の質量比は10/90〜100/0であることが好ましく、30/70〜100/0であることがより好ましい。
上記混合ポリマーは、触媒ペーストを形成する原料として好適に用いることができる。上記触媒ペーストは、上記混合ポリマー、水及び/又は有機溶媒、並びに、触媒を含むことが好ましい。上記触媒ペーストは、燃料電池の電極触媒層を形成する原料として好適に用いることができる。上記触媒ペーストは、燃料電池の電極触媒層形成用触媒ペーストであることが好ましい。
上記触媒としては、電極触媒層において活性を有し得るものであれば特に限定されず、上記電極触媒層が用いられる燃料電池の使用目的に応じて適宜選択される。上記触媒は、触媒金属であることが好ましい。
上記触媒としては、水素の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属であることが好ましく、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属であることがより好ましい。中でも、白金が好ましい。触媒金属の粒子径は限定されないが、10〜1000オングストロームが好ましく、より好ましくは10〜500オングストローム、最も好ましくは15〜100オングストロームである。
上記触媒ペースト中の上記混合ポリマーの含有量は、上記触媒ペーストに対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることが更に好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
上記触媒ペースト中の上記触媒の含有量は、上記混合ポリマーに対して、100〜400質量%であることが好ましく、200〜300質量%あることがより好ましい。
上記触媒ペーストは、更に、導電剤を含むことが好ましい。上記触媒及び上記導電剤は、上記触媒の粒子を担持した導電剤からなる複合粒子(例えば、Pt担持カーボン等)であることも好ましい形態の一つである。この場合、上記混合ポリマーは、バインダーとしても機能する。
導電剤としては、導電性を有する粒子(導電性粒子)であれば限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛及び各種金属(触媒金属を除く。)からなる群より選択される少なくとも1種の導電性粒子であることが好ましい。これら導電剤の粒子径としては、好ましくは10オングストローム〜10μm、より好ましくは50オングストローム〜1μm、最も好ましくは100〜5000オングストロームである。
上記複合粒子としては、導電性粒子に対する触媒粒子の含有量が、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは10〜90質量%、最も好ましくは30〜70質量%である。具体的には、田中貴金属工業(株)製TEC10E40E、TEC10E50E、TEC10E50HT等のPt触媒担持カーボンが好適な例として挙げられる。
上記触媒ペーストは、更に、撥水剤を含んでもよい。撥水剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」ともいう。)等が挙げられる。この場合、PTFEの形状としては特に限定されないが、定形性のものであればよく、粒子状、繊維状であることが好ましく、これらが単独で使用されても混合して使用されていてもよい。
上記PTFEの含有量は、上記混合ポリマーに対して、0.01〜30.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜25.0質量%、更に好ましくは2.0〜20.0質量%、特に好ましくは5.0〜10.0質量%である。
上記触媒ペーストは、親水性向上のため、更に金属酸化物を含有してもよい。上記金属酸化物としては特に限定はないが、Al23、B23、MgO、SiO2、SnO2、TiO2、V25、WO3、Y23、ZrO2、Zr23及びZrSiO4からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましい。中でもAl23、SiO2、TiO2及びZrO2からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましく、SiO2が特に好ましい。
金属酸化物の形態としては、粒子状や繊維状といったものを用いても構わないが、特に非定形であることが望ましい。ここで言う非定形とは、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物が観察されないことを言う。特に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層を数10万倍までに拡大して観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物は観察されない。また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電極触媒層を数10万倍〜数100万倍に拡大して観察しても、明確に粒子状や繊維状の金属酸化物は観察することができない。このように現状の顕微鏡技術の範囲内では、金属酸化物の粒子状や繊維状を確認することができないことを指す。
上記金属酸化物の含有量は、上記混合ポリマーに対して、0.01〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜45質量%、更に好ましくは0.01〜25質量%、特に好ましくは0.5〜6.0質量%である。
(電気触媒層)
本実施形態の電気触媒層としては、上記混合ポリマーを用いた電極触媒層であることが好ましい。また、上記電極触媒層は、上記触媒ペーストからなることが好ましい。上記電極触媒層は、安価に製造することができる上、酸素透過性が高い。上記電極触媒層は、燃料電池用として好適に用いることができる。
上記触媒ペーストから作られた電極触媒層は、電極面積に対する上記混合ポリマーの担持量が、好ましくは0.001〜10mg/cm2、より好ましくは0.01〜5mg/cm2、更に好ましくは0.1〜1mg/cm2である。
上記触媒ペーストから作られた電極触媒層が上記複合粒子を含む場合、複合粒子の含有量は、電極触媒層の全質量に対し、20〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜90質量%、更に好ましくは50〜85質量%、特に好ましくは60〜80質量%である。電極触媒層が燃料電池の電極触媒層として用いられる場合、電極面積に対する触媒金属の担持量としては、電極触媒層を形成した状態で、好ましくは0.001〜10mg/cm2、より好ましくは0.01〜5mg/cm2、更に好ましくは0.1〜1mg/cm2、更により好ましくは0.2〜0.5mg/cm2である。電極触媒層の厚みとしては、好ましくは0.01〜200μm、より好ましくは0.1〜100μm、最も好ましくは1〜50μmである。
上記触媒ペーストから作られた電極触媒層が撥水剤としてPTFEを含有する場合、PTFEの含有量としては、電極触媒層の全質量に対し、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、最も好ましくは0.1〜5質量%である。
上記触媒ペーストから作られた電極触媒層が上記金属酸化物を含む場合、上記金属酸化物の含有率としては、電極触媒層の全質量に対し、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、最も好ましくは0.1〜5質量%である。
上記触媒ペーストを用いて電極触媒層を製造する方法としては、触媒ペーストを基材に塗布する方法が挙げられ、スクリーン印刷法、スプレー法等の一般的に知られている各種方法を用いることが可能である。
上記電極触媒層の厚みとしては、好ましくは0.01〜200μm、より好ましくは0.1〜100μm、最も好ましくは1〜50μmである。
上記電極触媒層の空隙率としては特に限定されないが、好ましくは10〜90体積%、より好ましくは20〜80体積%、最も好ましくは30〜70体積%である。
(膜電極接合体)
本実施形態の膜電極接合体(membran electrode assembly)(以下、「MEA」ともいう。)は、上記電極触媒層を備えることが好ましい。本実施形態の膜電極接合体は、上記電極触媒層を備えるため、電池特性並びに機械的強度に優れ、安定性に優れる。上記膜電極接合体は、燃料電池用として好適に用いることができる。
電解質膜の両面にアノードとカソードの2種類の電極触媒層が接合したユニットは、膜電極接合体と呼ばれる。電極触媒層のさらに外側に一対のガス拡散層を対向するように接合したものについても、MEAと呼ばれる場合がある。電極触媒層はプロトン伝導性を有することが必要となる。
アノードとしての電極触媒層は、燃料(例えば水素)を酸化して容易にプロトンを生ぜしめる触媒を包含し、カソードとしての電極触媒層は、プロトン及び電子と酸化剤(例えば酸素や空気)を反応させて水を生成させる触媒を包含する。アノードとカソードのいずれについても、触媒としては上述した触媒金属を好適に用いることができる。
ガス拡散層としては、市販のカーボンクロスもしくはカーボンペーパーを用いることができる。前者の代表例としては、米国DE NORA NORTH AMERICA社製カーボンクロスE−tek、B−1が挙げられ、後者の代表例としては、CARBEL(登録商標、ジャパンゴアテックス(株))、東レ社製TGP−H、SPECTRACORP社製カーボンペーパー2050等が挙げられる。
また、電極触媒層とガス拡散層が一体化した構造体は「ガス拡散電極」と呼ばれる。ガス拡散電極を電解質膜に接合しても、MEAが得られる。市販のガス拡散電極の代表例としては、米国DE NORA NORTH AMERICA社製ガス拡散電極ELAT(登録商標)(ガス拡散層としてカーボンクロスを使用)が挙げられる。
MEAは、例えば、電極触媒層の間に電解質膜を挟みこみ、熱プレスにより接合することにより作製することができる。より具体的には、上記混合ポリマーをアルコールと水の混合溶液に分散又は溶解したものに、触媒として市販の白金担持カーボン(例えば、田中貴金属(株)製TEC10E40E)を分散させてペースト状にする。これを2枚のPTFEシートのそれぞれの片面に一定量塗布して乾燥させて電極触媒層を形成する。次に、各PTFEシートの塗布面を向かい合わせにして、その間に電解質膜を挟み込み、100〜200℃で熱プレスにより転写接合してから、PTFEシートを取り除くことにより、MEAを得ることができる。当業者にはMEAの作製方法は周知である。MEAの作製方法は、例えば、JOURNAL OF APPLIED ELECTROCHEMISTRY,22(1992)p.1−7に詳しく記載されている。
上記MEA(一対のガス拡散電極が対向した構造のMEAを含む。)は、更にバイポーラプレートやバッキングプレート等の一般的な燃料電池に用いられる構成成分と組み合わされて、燃料電池が構成される。
(燃料電池)
本実施形態の燃料電池は、上記膜電極接合体を備えることが好ましい。本実施形態の燃料電池は、固体高分子形燃料電池であることが好ましい。本実施形態の燃料電池は、上記膜電極接合体を有するものであれば特に限定されず、通常、燃料電池を構成するガス等の構成成分を含むものであってよい。本実施形態の燃料電池は、上記電極触媒層を有する膜電極接合体を備えるものであるため、電池特性並びに機械的強度に優れ、安定性に優れる。
バイポーラプレートとは、その表面に燃料や酸化剤等のガスを流すための溝を形成させたグラファイトと樹脂との複合材料、又は金属製のプレート等を意味する。バイポーラプレートは、電子を外部負荷回路へ伝達する機能の他、燃料や酸化剤を電極触媒近傍に供給する流路としての機能を持っている。こうしたバイポーラプレートの間にMEAを挿入して複数積み重ねることにより、燃料電池が製造される。
次に本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例・比較例の各物性は以下の方法により測定した。
(EW)
イオン交換基の対イオンがプロトンの状態となっているPFSA膜、およそ2〜20cm2を、25℃、飽和NaCl水溶液30mLに浸漬し、攪拌しながら30分間放置した。次いで、飽和NaCl水溶液中のプロトンを、フェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定した。中和後に得られた、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっているPFSA膜を、純水ですすぎ、さらに真空乾燥して秤量した。中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM(mmol)、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンのPFSA膜の重量をW(mg)とし、下記式により当量重量EW(g/eq)を求めた。
EW=(W/M)−22
(酸素透過係数、酸素溶解度)
PFSA膜の酸素透過測定はクロノアンペロメトリー法を用いて行った。ガラス封入した100μmφの白金微小電極を厚さ200μm程度のサンプルに押し当てて、温度及び湿度を80℃30%RH、又は80℃80%RHに調整した。窒素又は酸素雰囲気下にて、電位を1100mV(vs.SHE)に保持した後、400mVにステップして電流値を測定した。窒素及び酸素雰囲気下で観測された電流値の差分を印加時間の−1/2乗に対してプロットし、直線性が得られた範囲において下記式を用いて酸素溶解度を算出した。
I=4πFrDc[1+r/(πDt)1/2+0.2732exp{−0.3911r/(Dt)1/2}]
(式中、Iは電流値(A)、Fはファラデー定数(96500C/mol)、rは電極半径(cm)、Dは酸素拡散係数(cm2/s)、cは酸素溶解度(mol/m3)、tは時間(s)である。)
続いて、下記式により酸素透過係数P(mol・m/(m2・s・Pa))を算出した。
P=Dc/(104×101325)
(海島構造)
PFSA膜の任意の場所から5mm角のサンプルをデザインナイフにて切り出した。PFSA膜の片面に対し白金及び/又はオスミウムにより蒸着を行い、SEM装置(日立ハイテク社製、SU−8220)及びEDX装置(ブルカー社製、QUANTAX Flat QUAD)を用いて膜表面の状態を、倍率1000倍で観察した。観察点は、切り出した5mm角のサンプルの四隅4点と中央1点とした。観察範囲は、縦90μm×横125μmの範囲とした。
5つの全ての観察点で海島相分離構造が確認された場合を、海島構造ありと判定した。
[実施例1]
テフロン(登録商標)AF1600(TFE/FDD=35/65モル%)をNovec(登録商標)7300に加えて室温にて3時間撹拌させ、固形分5.60質量%の溶液を得た。一方、ラジカル重合法で取得した、TFEとCF2=CFOCF2CF2SO2Fとの共重合体PFSF(71/29モル%)をオートクレーブにてNovec(登録商標)7300に加えて190℃にて4時間撹拌させ、固形分4.50質量%の溶液を得た。
前記テフロン(登録商標)AF1600溶液5.40gと前記PFSF溶液5.89gとを室温にて混合して30分間撹拌し、混合溶液を作製した。前記混合溶液の全量を直径4.2cmのガラスシャーレに注ぎ、ホットプレート上で60℃で1時間、80℃で1時間、100℃で1時間乾燥させた後、乾燥機内で160℃で15分置き、膜厚約200μmの不透明な膜を得た。この時点での前記膜中のPFSF側鎖は−SO2F基である。
その後、前記膜を80℃で10時間、ケン化液(KOH/水/メタノール=1/2/3質量比)中で撹拌処理し、続けて前記膜を60℃で1時間、4N−HCl中で撹拌処理することを4回繰り返した。最後に前記膜をイオン交換水でよく洗浄した後、60℃で1時間、イオン交換水中で撹拌処理することを2回繰り返し、PFSF側鎖を−SO3H基としたPFSA膜(TFE/n0SH/FDD=54/15/31モル%、EW:1142g/eq)を得た。
[実施例2]
テフロン(登録商標)AF1600溶液の質量、及びPFSF溶液の質量をそれぞれ3.78g、8.23gとしたこと以外は実施例1と同様の方法により、PFSA膜(TFE/n0SH/FDD=60/20/20モル%、EW:839g/eq)を得た。
[実施例3]
実施例1と同様に調製したNovec(登録商標)7300を溶媒とした固形分5.60質量%のテフロン(登録商標)AF1600溶液6.80gと、Novec(登録商標)7300を溶媒とした固形分8.10質量%のTFE/CF2=CF(−O−CF2−CF(−CF2−O−CF2−CF2−SO2F)(−O−CF2−CF2−SO2F))共重合体PFSF(65/35モル%)溶液4.15gとを混合、撹拌し、混合溶液を作製した。
その後、実施例1と同様の方法により製膜、ケン化液処理、酸処理を行い、膜厚約200μmのPFSA膜(TFE/BSVE−2E/FDD=51/18/31モル%、EW:659g/eq)を得た。
[比較例1]
固形分9.84質量%のPFSA水溶液(TFE/n0SH=71/29モル%)を直径4.2cmのガラスシャーレに注ぎ、ホットプレート上で60℃で1時間、80℃で1時間、100℃で1時間乾燥させた後、乾燥機内で160℃で15分置き、膜厚約200μmの膜(TFE/n0SH=71/29モル%、EW:528g/eq)を得た。
[比較例2]
固形分9.84質量%のPFSA水溶液(TFE/n0SH=71/29モル%)と固形分20.86質量%のPFSA水溶液(TFE/n0SH=82/18モル%)とを質量比1:1で混合し、直径4.2cmのガラスシャーレに注ぎ、ホットプレート上で60℃で1時間、80℃で1時間、100℃で1時間乾燥させた後、乾燥機内で160℃で15分置き、膜厚約200μmの膜(TFE/n0SH=79/21モル%、EW:650g/eq)を得た。
(評価結果)
実施例1〜3、及び比較例1〜2で得られたPFSA膜の酸素透過測定の結果及び海島構造の観察結果を表1に示した。
実施例の混合ポリマーは、比較例と比べて、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い酸素透過性を示すことがわかる。
Figure 2020066676
本発明の混合ポリマーは、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い酸素透過性を発現し、燃料電池において高い発電特性を有することから、産業上有用である。

Claims (8)

  1. イオン交換基を含有するポリマー(A)と、前記イオン交換基の含有量が0.1ミリ当量/g以下であり、フッ素原子とエーテル結合とを含有する脂肪族環を含む構造単位を含むポリマー(B)と、を含むことを特徴とする、混合ポリマー。
  2. 前記混合ポリマーから形成される膜の表面のモルフォロジー画像において、前記ポリマー(A)と前記ポリマー(B)との相分離によって海島構造が形成されている、請求項1に記載の混合ポリマー。
  3. 前記ポリマー(A)が下記式(a1)又は(a2)で表わされる繰り返し単位を有する、請求項1又は2に記載の混合ポリマー。
    Figure 2020066676
    (式中、Y31は、F、Cl、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表す。kは0〜2の整数、nは0〜8の整数を表し、n個のY31は、同一でも異なっていてもよい。Y32は、F又はClを表す。mは2〜6の整数を表す。m個のY32は、同一でも異なっていてもよい。Z31は、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR4を表す。Rは、それぞれ独立に、アルキル基又はHを表わす。)
    Figure 2020066676
    (式中、Y33は、F、Cl、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表す。oは0〜1の整数を表す。Q31は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Q32は、単結合又はエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基である。R31は、エーテル結合を有していてもよいパーフルオロアルキル基である。Xは、O、N、又はCであって、XがOの場合はaは0であり、XがNの場合はaは1であり、XがCの場合はaは2である。Z32は、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR32 4を表す。R32は、それぞれ独立に、アルキル基又はHを表わす。)
  4. 前記脂肪族環を含む構造単位が下記式(a3)で表わされる繰り返し単位を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の混合ポリマー。
    Figure 2020066676
    (式中、p、q、r、及びsは、それぞれ独立に0又は1を示す。R4142、及びR44は、同一でも異なっていてもよく、それぞれフッ素原子、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1〜5のパーフルオロアルコキシ基を示す。R43は、炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、置換基は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基又は炭素数1〜5のパーフルオロアルコキシ基であってもよい。)
  5. 前記脂肪族環を含む構造単位がパーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール構造単位である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の混合ポリマー。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の混合ポリマーを含むことを特徴とする、電極触媒層。
  7. 請求項6に記載の電極触媒層を備えることを特徴とする、膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする、燃料電池。
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