以下、本発明の二つ折りシート部材の製造装置を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の二つ折りシート部材の製造装置の第1実施形態が示されている。同図に示す製造装置10は、製造工程の上流側から下流側に向けて、二つ折り部20、挟持部30及び捻り部40をこの順で備えている。
以下の説明では、特に断りのない限り、シート部材1及び二つ折りシート部材2の搬送方向MDと、シート部材1及び二つ折りシート部材2の長手方向Yとは同方向であり、シート部材1の幅方向Xは、シート部材1の搬送方向MDに直交する方向と同方向である。
製造装置10の二つ折り部20は、搬送される帯状のシート部材1をその長手方向Yに沿って二つ折りする部分であり、上流から連続的に搬送されてきた帯状のシート部材1を、その幅方向Xの両側の側部域1s,1sを鉛直方向Zに立ち上げるようにして二つ折りする。二つ折り部20は、二つ折りガイド21を有している。二つ折りガイド21は、連続搬送される帯状のシート部材1の幅方向の中央域1cに上方から当接する。
二つ折りガイド21は、図1に示すように、その側面視において逆台形状を有し、鉛直方向Zの上下に位置する上端縁21a及び下端縁21bを有している。また二つ折りガイド21は、その主面が鉛直方向Zに沿うように配されている。二つ折りガイド21における少なくとも下端縁21bは、搬送される帯状のシート部材1とその中央域1cで当接可能に配されており、これによって、シート部材1と二つ折りガイド21との当接部位を基点として、シート部材1が二つ折りされ、鉛直方向Zに沿うように立ち上げられた側部域1sどうしが相対向する二つ折りシート部材2を形成することができるようになっている。二つ折りガイド21は、シート部材1の搬送方向Yに直交する断面視において、幅方向Xの長さが鉛直方向Zの上端縁21aから下端縁21bに向けて漸次減少するテーパー形状となっていることが好ましい。また二つ折りガイド21は、シート部材1と当接する下端縁21b側のみがテーパー形状となっていてもよい。
シート部材1と二つ折りガイド21との間の摩擦により、シート部材1に意図しない破断が生じることを防ぐ観点から、二つ折りガイド21は、シート部材1に接触する部位の表面に摩擦低減処理が施されていることが好ましい。摩擦低減処理としては、例えばアルマイト処理、金属メッキ処理、フッ素樹脂コーティング等の表面処理が挙げられる。また同様の観点から、二つ折りガイド21の下端縁21bにおけるシート部材1の搬送方向上流側の端部が側面視において丸みを帯びていることが好ましい。
製造装置10の二つ折り部20は、二つ折りガイド21に加えて側部域立ち上げ部(不図示)を有することが好ましい。側部域立ち上げ部は、例えば、シート部材1の両側部域1s,1sに接触するように配された一対のガイドロールにより構成することができる。シート部材1の側部域1sが、側部域立ち上げ部のガイドロール等に接触することによって、側部域1sが鉛直方向Zの上方に向かって立ち上がるように誘導することができる。
また二つ折り部20は、二つ折りガイド21の位置を調整可能な位置調整機構(不図示)を備えていることが好ましい。位置調整機構は、二つ折りガイド21と接続されており、該二つ折りガイド21を長手方向Yに沿う前後方向及び鉛直方向Zに沿う上下方向に移動できるようになっており、二つ折りガイド21をシート部材1に押し当てる又は離間させることによって、シート部材1に付与する張力の度合を調整できるようになっている。位置調整機構としては、例えばジャッキ、エアーシリンダー、油圧シリンダー又はボールねじ等を用いることができ、これらを用いて二つ折りガイド21の位置を手動又は自動で調整できるようになっている。このような構成となっていることによって、シート部材1の意図しない搬送のぶれ等に応じて、シート部材1と二つ折りガイド21との当接位置を適切な位置に調整することができ、その結果、シート部材1の二つ折りを一層効果的に行うことができ、二つ折りシート部材2を一層効率的に形成することができる。
製造装置10の挟持部30は、二つ折り部20によって形成された二つ折りシート部材2を挟持する部分であり、挟持部30は一対の挟持ロール31,31を有している。挟持ロール31は二つ折りシート部材2の側面2sに当接するように配されており、一対の挟持ロール31,31は、その間に二つ折りされた二つ折りシート部材2を挟み込むように配されている。挟持ロール31は、その軸方向が鉛直方向Zに沿うように配されている。挟持ロール31の軸方向は、鉛直方向Zと平行であってもよいし、鉛直方向Zに対して傾いていてもよい。挟持ロール31は、移動する二つ折りシート部材2に接触して従動回転する従動ロールであってもよいし、図示しない駆動源からの動力を受けて回転する駆動ロールであってもよい。挟持部30は、一対の挟持ロール31等の挟持部材で、二つ折りされたシート部材1を、鉛直方向と交差する方向、より具体的には水平方向の両側から加圧可能であることが好ましい。一対の挟持ロール31間の距離は、二つ折りシート部材2の厚み以下であることが好ましく、一対の挟持ロール31間にスムーズに二つ折りシート部材2を導入し、二つ折りシート部材2の鉛直方向への振れを防止する観点から、より好ましくは二つ折りシート部材2の厚みに対して20%以上100%以下、更に好ましくは二つ折りシート部材2の厚みに対して50%以上100%以下に設定する。二つ折りシート部材2の厚みは接触式の定圧厚み測定器で測定する。二つ折りシート部材2の厚みが一様でなく、二つ折りシート部材2が、該シート部材2における最大の厚みである最大厚みを持つ場合は、最大厚みの寸法を二つ折りシート部材2の厚みとする。
捻り部40は、二つ折りシート部材2を、その搬送方向Yに沿う方向を軸方向として、その軸周りに捻る部分である。より具体的には、捻り部40においては、図1に示すように、二つ折りシート部材2を、その両側の側面2sが水平方向の両側を向いた状態から鉛直方向の上下を向いた状態となるように、搬送方向Yに沿う軸回りに90度回転させる。
捻り部40は、鉛直方向Zに延びる上流側の鉛直ガイドロール41と、幅方向Xに延びる下流側の水平ガイドロール42と、無端ベルト43とを、それぞれ一対有している。具体的には、一対の鉛直ガイドロール41,41の一方と、一対の水平ガイドロール42,42の一方とに無端ベルト43が架け渡されており、一対の鉛直ガイドロール41,41の他方と、一対の水平ガイドロール42,42の他方とに無端ベルト43が架け渡されている。
製造装置10は、捻り部40の下流側に、接合部や切断部(不図示)等の各種の加工を行う加工部を備えていてもよい。切断部は、例えば、互いに対向配置されたカッターロールとアンビルロールとにより構成されていてもよい。
第1実施形態の製造装置10によれば、二つ折り部20と捻り部40との間で挟持部30を有し、挟持部30において二つ折りシート部材2を挟持することにより、二つ折りされるシート部材1や二つ折りシート部材2が、二つ折りガイド21の上流側端部と捻り部40との間で撓んで、それらの鉛直方向の位置が上下に変動することが効果的に抑制され、捻り部40に導入される際の二つ折りシート部材2の鉛直方向の位置が変動したり、二つ折りシート部材2がその鉛直方向の一部に部分的な弛みやめくれが生じた状態で捻り部40に導入されることを効果的に抑制することができる。それにより、捻り部40から導出される二つ折りシート部材2の、鉛直方向と交差する方向の位置、好ましくは水平方向の位置が変動したり、二つ折りシート部材2が、その一部に意図しない折り部やめくれが生じた状態で捻り部40から導出されるといったことが防止される。
これにより、例えば、捻り部40より下流側において、二つ折りシート部材2に対してシール加工や切断加工等の各種の加工を行う際に、加工位置がずれたり、加工精度が低下したりすること等が防止される。また二つ折りシート部材2を用いて各種の製品を製造する場合においても、不良品の発生頻度が低下する等の効果が得られる。
次に上述した製造装置10を用いた本発明の二つ折りシート部材の製造方法の第1実施態様について説明する。本実施態様の製造方法は、二つ折り工程と挟持工程と捻り工程とを備える。
二つ折り工程においては、上流から搬送されてきた帯状のシート部材1をその長手方向Yに沿って二つ折りし、二つ折りシート部材2を形成する。具体的には、連続搬送されるシート部材1の幅方向の中央域1cに上方から二つ折りガイド21に当接させて、二つ折りの基点を形成した後、側部域立ち上げ部において、シート部材1の幅方向Xの両側の側部域1s,1sを鉛直方向Zに沿う状態、好ましくは鉛直方向Zと平行な状態となるまで立ち上げることによって、シート部材1の長手方向Yに沿って二つ折りする。これにより、二つ折りシート部材2が得られる。シート部材1における二つ折りガイド21の当接部位が二つ折りシート部材2の鉛直方向Zの下端部2bとなる。好ましくは、二つ折り工程において、シート部材1は、その幅方向Xに沿って断面視したときの形状が、水平に延びる直線状の状態から略V字状の形態を経て、シート部材1の側部域1s,1sどうしが当接した状態で鉛直方向に延びる形態へと変化する。
二つ折り工程においては、二つ折りガイド21とシート部材1との当接度合を調整して、シート部材1の張力を調整することが好ましい。このような条件でシート部材1の二つ折りを行うことで、シート部材1のたわみを防いで、シート部材1の意図しない部分の折れ曲がりを防ぐことができる。その結果、不良品の少ない製品の製造を行うことができる。二つ折り工程を行う前に、シート部材1に折り線(不図示)を長手方向Yに沿って形成しておいてもよい。折り線は、シート部材1に間欠的に形成されたスリットとすることができる。シート部材1に予め折り線を形成しておくことにより、二つ折り工程において、折り線の位置と二つ折りガイド21の下端部21bとが一致するようにシート部材1と二つ折りガイド21とを当接させ、その折り線に沿ってシート部材1を正確に二つ折りすることができるようになる。
挟持工程においては、二つ折り工程で得られる二つ折りシート部材2を挟持する。具体的には、二つ折り工程により形成された二つ折りシート部材2を一対の挟持ロール31,31の間に導入し挟持する。そして一対の一対の挟持ロール31,31で二つ折りシート部材2を挟持したまま、該二つ折りシート部材2を搬送する。このとき、二つ折りシート部材2は挟持部30により挟持されているため、二つ折りシート部材2の鉛直方向Zにおける上端部2a及び下端部2bの位置を維持したまま、二つ折りシート部材2を捻り工程に搬送することができる。
捻り工程においては、二つ折りシート部材2を、その搬送方向Yに沿う方向を軸方向として、その軸周りに捻る。具体的には、挟持部30を通過した二つ折りシート部材2を、一対の鉛直ガイドロール41,41の間に導入し、一対の無端ベルト43,43の間で二つ折りシート部材2を挟持しながら、一対の水平ガイドロール42,42間まで搬送することによって、二つ折りシート部材2を、搬送方向Yに沿う方向を捻りの軸方向として、その軸周りに90度捻る。
以上の工程を経て、二つ折りシート部材2が下流の工程に搬送される。本発明の製造方法の第1実施態様においては、捻り工程後の二つ折りシート部材2を、切断部において所定の形状に切り出す切断工程を行う。
本発明の製造方法の第1実施態様によれば、二つ折り工程により形成された二つ折りシート部材2を、その鉛直方向Zにおける上端部2a及び下端部2bの位置を維持したまま、捻り工程に導入することができる。したがって、二つ折り工程及び捻り工程を経た二つ折りシート部材2が、撓んでしまったり、鉛直方向Zの位置がずれてしまったりした状態のままで搬送されることを防止でき、捻り工程に導入される際の二つ折りシート部材2の鉛直方向の位置が変動したり、二つ折りシート部材2がその鉛直方向の一部に部分的な弛みやめくれが生じた状態で捻り工程に導入されることを効果的に抑制することができる。それにより、捻り工程後の二つ折りシート部材2の、鉛直方向と交差する方向の位置、好ましくは水平方向の位置が変動したり、捻り工程後の二つ折りシート部材2に、部分的な意図しない折れやめくれが生じるといったことも防止される。これにより、例えば、捻り部40より下流側において、二つ折りシート部材2に対してシール加工や切断加工等の各種の加工を行う際に、加工位置がずれたり、加工精度が低下したりすること等も防止される。また二つ折りシート部材2を用いて各種の製品を製造する場合においても、不良品の発生頻度が低下する等の効果が得られる。
シート部材1は、1枚のシート材料から構成されているシート部材であってもよいし、複数枚のシート材料から構成されている積層シートであってもよい。シート材料としては、例えば不織布、織布等の通気性シートや、フィルム、ラミネート等の非通気性シート、発熱組成物を含む発熱体シート等が挙げられ、製品の設計に応じて適宜組み合わせて用いることができる。これらのシート材料は、それぞれ独立して、伸縮性を有していてもよく、非伸縮性であってもよい。
伸縮性を有するシート材料としては、構成繊維として少なくとも弾性繊維を含む不織布が挙げられ、例えばエアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布及びスパンレース不織布などを単独で又は複数用いることができる。
通気性シートは、熱融着性繊維を含んで形成されていることが好ましい。熱融着性繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエチレン-ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン-ポリエステル複合繊維、低融点ポリエステル-ポリエステル複合繊維、繊維表面が親水性であるポリビニルアルコール-ポリプロピレン複合繊維、並びにポリビニルアルコール-ポリエステル複合繊維等が挙げられる。複合繊維を用いる場合には、芯鞘型複合繊維及びサイド・バイ・サイド型複合繊維の何れをも用いることができる。これらの熱融着性繊維は、各々単独で用いることもでき、又は2種以上を混合して用いることもできる。
発熱体シートに含まれる発熱組成物としては、磁性材料、炭素成分及び水等を含んでいることが好ましい。磁性材料としては非酸化性金属を用いることが好ましい。発熱組成物を構成する磁性材料として用いられる被酸化性金属の粒子としては、酸化反応熱を生ずる金属が用いられ、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末や繊維が挙げられる。中でも、取扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄が好ましく、特に鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉などが挙げられる。被酸化性金属の粒子の粒径は、例えば0.1~300μm程度とすることができる。発熱組成物を構成する炭素成分は、保水能、酸素供給能、及び触媒能の少なくとも1つの機能を有するものであり、この3つを兼ね備えているものが好ましい。炭素成分として、例えば、活性炭、アセチレンブラック、及び黒鉛から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、湿潤時に酸素を吸着しやすいことや、発熱体中の水分を一定に保つ観点から、活性炭が好ましく用いられる。より好ましくは、椰子殻炭、木粉炭及びピート炭から選ばれる1種又は2種以上の微細な粉末状物又は小粒状物が用いられる。中でも、発熱体の水分量を所望の範囲に保ちやすいことから、木粉炭が好ましい。
本発明の製造装置及び製造方法は、伸縮性を有するシート材料を含むシート部材や、発熱体シート等の比較的質量が大きい構成材料からなるシート材料を含み且つ質量分布が幅方向中央域に偏っているシート部材を二つ折りし、二つ折りシート部材を形成する際に特に好適である。このようなシート材料を含む二つ折りシート部材は、例えばマスク型発熱体、アイマスク型発熱体等の製品に用いられる。
複数枚のシート材料からなる積層シートを用いた製品の一例であるマスク型発熱体は、例えば着用者の肌対向面側に配される通気性且つ伸縮性の表面シートと、着用者の非肌対向面側に配される通気性且つ伸縮性の裏面シートと、これらのシートの間に挟まれた発熱体シートとを有しており、表面シートの一方の面が互い当接し且つ該面が内面側となるように二つ折りされている。
発熱体シートは、通気性シートと、非通気性シートと、これらのシートの間に発熱組成物とを有するものである。発熱体シートは、二つ折りされたマスク型発熱体において、スリットを有する折り線に対称に配された右側領域及び左側領域にそれぞれ配されている。マスク型発熱体における折り線の位置は、マスク型発熱体の着用状態において着用者の鼻及び口の位置と略一致するように配され、スリット部分から鼻及び口を露出できるようになっている。一対の発熱体シートは、折り線を対称とした位置に配されるようになる。
このような製品に用いられる積層シートを首尾よく製造するためには、搬送される積層シートが所望の位置に位置した状態で、下流の工程に搬送されることが好ましい。しかし、発熱体シート等の質量が大きいシート材料を用いた場合、該シート材料の配置位置等に起因して積層シートの質量分布に偏りが生じ、積層シートの搬送過程において、重力に起因した撓みや鉛直方向の位置ずれが生じることがある。特に、マスク型発熱体に用いられる積層シートは、該積層シートの製造工程において、発熱体シートが搬送される伸縮性シート材料の幅方向中央域に一対対称配置されるので、製造された積層シートは、その幅方向中央域が重くなるように質量分布が偏っている。すなわち、この積層シートは、その幅方向中央域の坪量が他の領域よりも高くなっている。
この点に関して、図1に示す製造装置10は、複数枚のシート材料からなる積層シートが二つ折り部20を通過してから捻り部40に導入されるまでの間、搬送される積層シートを挟持部30によって挟持することができるので、該積層シートの撓みや、鉛直方向Zの位置ずれの発生を防ぎ、積層シートが所望の位置に位置した状態で、該積層シートを下流の工程へと搬送することが可能となる。特に、質量分布の偏りを有する積層シートを二つ折りし搬送する場合には、二つ折り部20と捻り部40との間において重力に起因した撓みや鉛直方向の位置ずれが生じ易いが、二つ折り部20と捻り部40との間に挟持部30を有していることにより、撓みや位置ずれが発生することを防ぎつつ、積層シートが所望の位置に位置した状態で、該積層シートを搬送することが可能となる。
以上のとおり、本発明によれば、1枚のシート材料からなるシート部材並びに、伸縮性を有するシート材料を含む積層シート、発熱体シート等の比較的質量が大きいシート材料を含む積層シート、及び質量分布が偏っている積層シート等の種々の積層シートを、搬送時の位置を維持した状態で搬送することができる。その結果、シール処理や切断処理等の後続の処理を首尾よく行い易くなり、不良品の少ない製品を製造することができ、製品の製造効率を高めることができる。
図2には、本発明の製造装置の第2実施形態である製造装置10Bが示されている。第2実施形態に係る製造装置10Bについては、第1実施形態に係る製造装置10と異なる点について説明する。特に説明しない点については、第1実施形態に係る製造装置10と同様であり、製造装置10の説明が適宜適用される。
第2実施形態では、帯状のシート部材1は、図2に示すように、2枚のシート材料3,4と、該2枚のシート材料3,4との間に位置する発熱体シート5とを含む積層シート1となっている。発熱体シート5は、磁性材料を含むシート状部材5であり、2枚のシート材料3,4のそれぞれよりも坪量が大きくなっている。シート状部材5は、積層シート1の搬送方向Yに間欠的に配されている。
製造装置10Bは、第1実施形態の製造装置10が有する部材に加えて、上流側フィード部50、下流側フィード部60、センサー70及び接合部形成部80を備えている。また製造装置10Bでは、挟持部30Bの構成が第1実施形態の製造装置10が備える挟持部30とは異なっている。
上流側フィード部50は、図2に示すように、二つ折り部20よりも上流側に配されている。上流側フィード部50は、積層シート1の張力を調整可能となっている。上流側フィード部50は、一対のフィードロール51,51が、これらの軸方向を幅方向Xと一致させ且つ互いに対向して配されており、フィードロール51,51間に積層シート1が供給且つ挟持できるようになっている。
下流側フィード部60は、図2に示すように、二つ折り部20の下流側に配されている。下流側フィード部60は、一対の押さえロール61,61を備えており、該ロール61,61によって、積層シート1が二つ折りされて形成された二つ折り積層シート2を挟持して、二つ折り積層シート2を下流側へ搬送するものである。一対の押さえロール61,61は、これらの軸方向がともに鉛直方向Zに沿って垂直に延びており、これらのロール61,61の間に二つ折り積層シート2が供給されて搬送される。また、一対の押さえロール61,61は、上流側フィード部50との間で積層シート1に張力を付与可能な構成となっている。このような構成となっていることによって、積層シート1の搬送時の張力を安定させることができる。
センサー70は、下流側フィード部60と挟持部30Bとの間に配されている。センサー70は、二つ折り部20によって形成された二つ折り積層シート2の鉛直方向Zにおける位置を検出することができるようになっている。センサー70は、該センサー70が検出した二つ折り積層シート2の位置が規定の位置とは異なる位置であった場合に、例えば光や音等により警告を発するようなものであってもよいし、信号を演算部(不図示)等に送信しディスプレイ等の表示部(不図示)に警告を表示するようなものであってもよい。センサー70としては、透過型光電センサー,反射型光電センサー,静電容量形近接センサー等を用いることができ、これらの中でも、位置検出の精度,センサー設置のスペースの観点から、反射型光電センサーを使用することが好ましい。
挟持部30Bは、上流側のガイドロール31Bと、下流側のガイドロール32Bと、無端ベルト33Bとを、それぞれ一対有している。上流側のガイドロール31B及び下流側のガイドロール32は、鉛直方向Zに延びている。具体的には、挟持部30Bはベルトコンベアの態様となっており、一対の上流側のガイドロール31B,31Bの一方と、一対の下流側のガイドロール32B,32Bの一方とに無端ベルト33Bが架け渡されており、そして、一対の上流側のガイドロール31B,31Bの他方と、一対の下流側のガイドロール32B,32Bの他方とに無端ベルト33Bが架け渡されている。一対の無端ベルト33B,33Bは互いに対向する面のそれぞれが、二つ折り積層シート2の側面2s,2sに当接するように配されている。挟持部30Bは、一対の無端ベルト33B,33Bによって搬送される二つ折り積層シート2を挟み込むようになっている。
挟持部30Bは、発熱体シート5が有する磁性材料を吸引する磁性領域34Bを有している。磁性領域34Bとは磁性を帯びている領域を意味する。挟持部30Bでは、磁性領域34Bは無端ベルト33Bに配されている。磁性領域34Bは無端ベルト33B全体に配されていてもよいし、無端ベルト33Bの一部に配されていてもよい。挟持部30Bが磁性領域34Bを有していることにより、挟持部30Bは一対の無端ベルト33B,33Bにより二つ折り積層シート2を挟み込むことに加えて、無端ベルト33Bの磁性領域34Bに二つ折り積層シート2を吸引することができるようになるため、挟持部30Bにおいて、搬送される二つ折り積層シート2をより安定して挟持することができるようになる。この観点から、磁性領域34Bは、挟持部30Bが挟持している二つ折り積層シート2における磁性材料を有する発熱体シート5の位置に対応する位置に配されていることが好ましい。
尚、一対の無端ベルト33B,33Bのうち何れか一方のみが磁性領域34Bを有していてもよいし、両方が磁性領域34Bを有していてもよい。一対の無端ベルト33B,33Bの両方が磁性領域34Bを有している場合、磁性領域34Bは無端ベルト33Bの同じ位置に配されていてもよいし、異なる位置に配されていてもよい。
また、挟持部30Bは、上流側のガイドロール31B、下流側のガイドロール32B及び無端ベルト33Bに加えて、磁性を帯びている部材を有していてもよく、該部材によって、挟持部30Bに磁性領域34Bを形成してもよい。磁性を帯びている部材としては、アルニコ磁石,フェライト磁石,ネオジム磁石,サマコバ磁石等が挙げられ、これらの中でも、高い磁気特性の観点から、ネオジム磁石を用いることが好ましい。
接合部形成部80は、捻り部40の下流側に配されている。接合部形成部80は二つ折り積層シート2を下端部2b寄りの部位にて融着して、二つ折り状態を維持する接合部を形成することができるようになっている。接合部形成部80は、アンビルロール82と、該アンビルロール82の周面に対向配置されるエネルギー付与部81とを備えている。エネルギー付与部81としては、超音波を付与する超音波シール、高周波を付与する高周波シール等が挙げられ、製造装置10では、超音波シールが用いられている。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、第1実施形態では、挟持部30は、挟持ロール31を有しているが、これに代えて、板状のプレートを有していてもよい。
また、第1実施形態では、捻り部40をベルトコンベアの態様としているが、捻り部は、一対のロールを複数有する態様であってもよい。一対のロールを複数有する態様としては、例えば、一対のロールを、搬送方向Yの上流側から下流側に向かって間欠的に配し、最も上流側の一対のロールを鉛直方向Zに沿う方向に延びるように配し、最も下流側の一対のロールを幅方向Xに沿う方向に延びるように配し、そして、最も上流側の一対のロールと最も下流側のロールとの間の一対のロールは、搬送方向Yの上流側から下流側にむかって、鉛直方向Zから幅方向Xへ、漸次倒れ込むように配する態様が挙げられる。
また第2実施形態では、挟持部30Bは磁性領域34Bを有しているが、これに代えて又はこれに加えて、挟持部は吸引機構を有していてもよい。吸引機構を有する挟持部としては、例えば図3に示すような、バキュームコンベア36Cを有する挟持部30Cを用いることができる。挟持部30Cでは、第2実施形態に示す挟持部30Bにおいて、一対のベルトコンベアのうち一方がバキュームコンベア36Cとなっている。バキュームコンベア36Cでは、上流側のガイドロール31Cと下流側のガイドロール32Cとに、無端状の通気性ベルト33Cが架け渡されている。更にバキュームコンベア36Cは、二つ折り積層シート2を吸引するバキュームボックス35Cを備えている。バキュームボックス35Cは、通気性ベルト33Cを挟んで二つ折り積層シート2と対向する位置に配されている。バキュームボックス35Cは、該バキュームボックス35Cにおける二つ折り積層シート2が配されている側から二つ折り積層シート2が配されていない側に向かって(図3(b)の矢印R方向)、外気を吸引することができるものであることが好ましい。バキュームコンベア36Cは、バキュームボックス35Cが通気性ベルト33Cを介して吸引することにより、二つ折り積層シート2を通気性ベルト33C側に吸引する。挟持部30Cが吸引機構を有していることにより、挟持部30Cは無端ベルト33B及び通気性ベルト33Cにより二つ折り積層シート2を挟み込むことに加えて、吸引機構により二つ折り積層シート2を吸引することができるようになるため、挟持部30Cにおいて、搬送される二つ折り積層シート2をより安定して挟持することができるようになる。
また第2実施形態では、磁性領域34Bは無端ベルト33Bに配されているが、これに代えて又はこれに加えて、挟持部30,30B,30Cに磁性を帯びている部材や電磁石を配することにより、挟持部30,30B,30Cに磁性領域34Bを形成してもよい。例えば、バキュームボックス35Cに磁性を帯びている部材等を配してもよいし、バキュームボックス35Cに代えて磁性を帯びている部材等を配してもよい。