JP7102204B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は燃料電池システムに関する。
燃料電池システムにおいて、アノードから排出されるアノードオフガスを再生燃料として発電に供する場合に、アノードオフガスから水や二酸化炭素を除去することが行われる。例えば、特許文献1には、アノードオフガスから分離膜を用いて水蒸気と二酸化炭素を分離する技術が開示されている。特許文献1では、上記の分離を行う際に、分離膜の透過側にスイープガスとして原料ガスを供給している。そして、透過側から送出された原料ガスに含まれる水蒸気を水蒸気除去部で除去し、水蒸気が除去された原料ガスを改質器へ供給して改質を行っている。
特開2016-184501号公報
このように、スイープガスとして原料ガスを用いることにより、改質器へ水や二酸化炭素も供給することができる。しかしながら、原料ガスに含まれる水の量が多い場合には、改質反応に影響を与えたり、改質反応に使用されずに水が未反応のまま燃料電池へ供給されたりすることで、得られる起電力が低下し、発電効率が低下することも考えられる。
本発明は上記事実を考慮して成されたものであり、燃料電池システムにおいて、水を回収して再利用すると共に、燃料電池における発電効率の低下を抑制することを目的とする。
請求項1記載の発明に係る燃料電池システムは、炭化水素系の原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質部と、燃料極の前記燃料ガスと空気極の酸化ガスにより発電し、前記燃料極からアノードオフガスが排出される燃料電池と、前記アノードオフガスが流入される流入部と、前記アノードオフガス中の水を透過させて分離する分離膜により前記流入部と区画された透過部と、を有する分離部と、スイープガスとして前記透過部へ前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、前記透過部の下流側に設けられ、前記透過部から送出された混合原料ガスと前記燃料電池へ向かう熱交換用ガスとの熱交換での凝縮により、前記混合原料ガスから水の一部を除去する水調整部と、前記水調整部で水の一部が除去された後の前記混合原料ガスを前記改質部へ供給する原料ガス供給路と、を備えている。
請求項1に係る燃料電池システムでは、分離部の透過側へスイープガスとして原料ガスが供給される。分離膜を透過することによりアノードオフガスから分離された水は、原料ガスと共に透過部から送出される。水調整部では、水を含む原料ガス(混合原料ガス)から水の一部が除去される。水調整部での水の除去は、透過部から送出された混合原料ガスと燃料電池へ向かう熱交換用ガスとの熱交換により水を凝縮させて行う。水の一部が除去された混合原料ガスは、原料ガス供給路を経て改質部へ供給される。
なお、本発明では、改質部が燃料電池と別に設けられている場合と、燃料電池の燃料極が改質部を兼ねる場合を含む。すなわち、改質部で原料ガスの改質が行われ、燃料ガスが燃料電池の燃料極へ供給される場合と、燃料電池の燃料極において原料ガスの改質が行われて燃料ガスが生成され、発電に供される場合の両方を含んでいる。
請求項1に係る燃料電池システムによれば、水調整部で原料ガスに含まれた水の一部が除去されるので、除去量を調整することにより、改質や炭素析出の防止に必要な適量の水を改質部へ供給することができる。なお、本発明に関して「除去量を調整する」とは、除去量を必要に応じて変える場合と、予め除去量を設定しておく場合の両方を含んでいる。
また、混合原料ガスと熱交換を行う熱交換用ガスは、燃料電池へ向かうので、混合原料ガスの有する熱エネルギーを有効にシステム内へ還元でき、熱エネルギーロスを低減することができる。
なお、前記熱交換用ガス、前記空気極へ供給される前の前記酸化ガスとすることができる。
この燃料電池システムによれば、空気極へ供給される酸化ガスを加熱することができ、空気極の高温維持に寄与することができる。
また、前記熱交換用ガス、前記透過部へ供給される前の前記原料ガスとすることができる。
この燃料電池システムによれば、透過部へ供給される原料ガスを加熱することができる。
請求項1記載の発明に係る燃料電池システムは、前記熱交換用ガスが、前記原料ガス供給路へ送出された前記混合原料ガスである。
請求項1記載の発明に係る燃料電池システムによれば、原料ガス供給路で改質部へ供給される混合原料ガスを加熱することができ、改質部の高温維持に寄与することができる。
請求項2記載の発明に係る燃料電池システムは、炭化水素系の原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質部と、燃料極の前記燃料ガスと空気極の酸化ガスにより発電し、前記燃料極からアノードオフガスが排出される燃料電池と、前記アノードオフガスが流入される流入部と、前記アノードオフガス中の水を透過させて分離する分離膜により前記流入部と区画された透過部と、を有する分離部と、可燃ガスを燃焼させる燃焼部と、スイープガスとして前記透過部へ前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、前記透過部の下流側に設けられ、前記透過部から送出された混合原料ガスと前記燃焼部から排出された後に熱交換により冷却された燃焼排ガスとの熱交換での凝縮により、前記混合原料ガスから水の一部を除去する水調整部と、前記水調整部で水の一部が除去された後の前記混合原料ガスを前記改質部へ供給する原料ガス供給路と、を備えている。
請求項2に係る燃料電池システムでは、分離部の透過側へスイープガスとして原料ガスが供給される。分離膜を透過することによりアノードオフガスから分離された水は、原料ガスと共に透過部から送出される。水調整部では、水を含む原料ガス(混合原料ガス)から水の一部が除去される。水調整部での水の除去は、透過部から送出された混合原料ガスと燃焼部から排出された後に熱交換により冷却された燃焼排ガスとの熱交換により水を凝縮させて行われる。水の一部が除去された混合原料ガスは、原料ガス供給路を経て改質部へ供給される。
請求項2に係る燃料電池システムによれば、水調整部で原料ガスに含まれた水の一部が除去されるので、除去量を調整することにより、改質や炭素析出の防止に必要な適量の水を改質部へ供給することができる。
なお、請求項2に係る発明でも、改質部が燃料電池と別に設けられている場合と、燃料電池の燃料極が改質部を兼ねる場合を含む。すなわち、改質部で原料ガスの改質が行われ、燃料ガスが燃料電池の燃料極へ供給される場合と、燃料電池の燃料極において原料ガスの改質が行われて燃料ガスが生成され、発電に供される場合の両方を含んでいる。
また、混合原料ガスと熱交換を行う燃焼排ガスは、システム内に設けられた燃焼部から排出されるので、外部の配管を設置する必要がなく簡易な構成とすることができる。
請求項3、5記載の発明に係る燃料電池システムは、炭化水素系の原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質部と、燃料極の前記燃料ガスと空気極の酸化ガスにより発電し、前記燃料極からアノードオフガスが排出される燃料電池と、前記アノードオフガスが流入される流入部と、前記アノードオフガス中の水を透過させて分離する分離膜により前記流入部と区画された透過部と、を有する分離部と、スイープガスとして前記透過部へ前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、前記透過部の下流側に設けられ、前記透過部から送出された混合原料ガスが流入される第2流入部と、前記混合原料ガス中の水を透過させて一部を除去する第2分離膜により前記第2流入部と区画された第2透過部と、を有する水調整部と、前記水調整部で水の一部が除去された後の前記混合原料ガスを前記改質部へ供給する原料ガス供給路と、を備えている。
請求項3、5に係る燃料電池システムでは、第2分離膜により、水を含む原料ガス(混合原料ガス)から水の一部が除去されるので、凝縮により水の一部を除去する場合と比較して、混合原料ガスの温度を高く維持したまま原料供給路へ送出し、改質部へ供給することができる。したがって、混合原料ガスの有する熱エネルギーの損失を低減することができる。
なお、請求項3、5に係る発明でも、改質部が燃料電池と別に設けられている場合と、燃料電池の燃料極が改質部を兼ねる場合を含む。すなわち、改質部で原料ガスの改質が行われ、燃料ガスが燃料電池の燃料極へ供給される場合と、燃料電池の燃料極において原料ガスの改質が行われて燃料ガスが生成され、発電に供される場合の両方を含んでいる。
請求項3記載の発明に係る燃料電池システムは、前記第2透過部へスイープガスとして空気を供給する空気スイープ供給部、をさらに備えている。
請求項3に係る燃料電池システムでは、第2分離膜の透過側である第2透過部を空気でスイープして二酸化炭素を分離するので、空気の供給量を調整することにより、容易に二酸化炭素の分離量を調整することができる。
請求項4記載の発明に係る燃料電池システムは、前記空気スイープ供給部は、前記空気極へ酸化ガスとして空気を供給すること、を特徴とする。
請求項4に係る燃料電池システムでは、空気スイープ供給部は、第2透過部へスイープガスとして空気を供給すると共に、空気極へ酸化ガスとして空気を供給する供給部を兼ねる。したがって、別々に空気を供給するための機材を用意する必要がなく、機材を少なくすることができる。
請求項5に記載の発明に係る燃料電池システムは、可燃ガスを燃焼させる燃焼部と、前記第2透過部へスイープガスとして前記燃焼部から排出された燃焼排ガスを供給する排ガススイープ供給部、をさらに備えている。
請求項5に係る燃料電池システムでは、第2分離膜の透過側である第2透過部を燃焼排ガスでスイープして二酸化炭素を分離するので、燃焼排ガスの供給量を調整することにより、容易に二酸化炭素の分離量を調整することができる。
なお、燃料電池システムは、前記第2透過部から気体を吸引する吸引ポンプ、をさらに備えていてもよい
この燃料電池システムでは、第2分離膜の透過側である第2透過部から気体を吸引して減圧し、当該減圧度を調整することにより、容易に二酸化炭素の分離量を調整することができる。
請求項6、7記載の発明に係る燃料電池システムは、前記分離膜は、さらに二酸化炭素を透過させてアノードオフガスから二酸化炭素を分離し、前記透過部よりも下流側に、前記透過部から送出された前記混合原料ガスから二酸化炭素の一部を除去する二酸化炭素調整部、を備えている。
請求項6、7記載の発明に係る燃料電池システムによれば、二酸化炭素調整部で混合原料ガスに含まれた二酸化炭素の一部が除去されるので、除去量を調整することにより、改質や炭素析出の防止に必要な適量の二酸化炭素を改質部へ供給することができる。
請求項8記載の発明に係る燃料電池システムは、前記二酸化炭素調整部は、前記水調整部よりも下流側に配置されている。
請求項8に係る燃料電池システムによれば、原料ガスから水の一部を除去した後に二酸化炭素調整部で二酸化炭素の一部を除去するので、二酸化炭素調整部へ送出されるガスの流量を減少させることができ、二酸化炭素調整部の負荷を小さくすることができる。
請求項9記載の発明に係る燃料電池システムは、前記二酸化炭素調整部は、前記水調整部よりも上流側に配置されている。
請求項9に係る燃料電池システムによれば、原料ガスから二酸化炭素の一部を除去した後に水調整部で水の一部を除去するので、水調整部へ送出されるガスの流量を減少させることができ、水調整部の負荷を小さくすることができる。また、水調整部で水の一部が除去されるまで部分において、原料ガスに多くの水が含まれているため、炭素の析出を抑制することができる。
本発明に係る燃料電池システムによれば、燃料電池システムにおいて、水を回収して再利用すると共に、燃料電池における発電効率の低下を抑制することができる。
第1実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第1実施形態の変形例に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第2実施形態の他の変形例に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第3実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第4実施形態の他の変形例に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第5実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第5実施形態の他の変形例に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第7実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第8実施形態の他の変形例に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第9実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第9実施形態の変形例に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第9実施形態の他の変形例に係る燃料電池システムの概略構成図である。 第10実施形態の他の変形例に係る燃料電池システムの概略構成図である。
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について詳細に説明する。図1には、本発明の実施形態に係る燃料電池システム10Aの主要構成の概略が示されている。本発明の実施形態に係る燃料電池システム10Aは、主要な構成として、原料予熱部12、改質部14、第1燃料電池セルスタック16、第2燃料電池セルスタック18、燃焼部20、分離部50、原料ガス供給ブロワ24、空気供給ブロワ28、第1熱交換部32、凝縮水タンク22、及び二酸化炭素調整部30を備えている。
原料予熱部12には、原料ガス供給管P1の一端が接続されており、原料ガス供給管P1から原料予熱部12へ、後述する混合原料ガスが供給される。原料予熱部12では、後述する燃焼部20からの燃焼排ガスにより混合原料ガスが加熱される。原料予熱部12で加熱された混合原料ガスは、配管P3を経て改質部14へ供給される。
なお、本実施形態では、原料ガスとしてメタンを用いるが、改質が可能なガスであれば特に限定されず、炭化水素燃料を用いることができる。炭化水素燃料としては、天然ガス、LPガス(液化石油ガス)、石炭改質ガス、低級炭化水素ガスなどが例示される。低級炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン等の炭素数4以下の低級炭化水素が挙げられ、本実施形態で用いるメタンが好ましい。なお、炭化水素燃料としては、上述した低級炭化水素ガスを混合したものであってもよく、上述した低級炭化水素ガスは天然ガス、都市ガス、LPガス等のガスであってもよい。また、バイオガスを用いてもよい。
改質部14では、原料ガスを改質し、水素及び一酸化炭素を含む燃料ガスを生成する。改質部14は、第1燃料電池セルスタック16の第1アノード(燃料極)16Aと接続されている。改質部14で生成された燃料ガスは、燃料ガス管P4を介して第1燃料電池セルスタック16の第1アノード16Aに供給される。
第1燃料電池セルスタック16は固体酸化物形の燃料電池セルスタックであり、積層された複数の燃料電池セルを有している。第1燃料電池セルスタック16は本発明における燃料電池(第1燃料電池)の一例であり、本実施形態では、作動温度が650℃程度とされている。個々の燃料電池セルは、電解質層と、当該電解質層の表裏面にそれぞれ積層された第1アノード16A、及び第1カソード(空気極)16Bと、を有している。
なお、第2燃料電池セルスタック18についての基本構成は、第1燃料電池セルスタック16と同様であり、第1アノード16Aに対応する第2アノード18A、及び第1カソード16Bに対応する第2カソード18Bを有している。
第1燃料電池セルスタック16の第1カソード16Bには、空気供給管P5の一端が接続されており、空気供給管P5の他端に接続された空気供給ブロワ28により空気が供給される。第1カソード16Bでは、下記(1)式に示すように、空気中の酸素と電子とが反応して酸素イオンが生成される。生成された酸素イオンは電解質層を通って第1燃料電池セルスタック16の第1アノード16Aに到達する。
(空気極反応)
1/2O+2e →O2- …(1)
また、第1カソード16Bには、第1カソード16Bから排出されるカソードオフガスを第2燃料電池セルスタック18の第2カソード18Bへ案内するカソードオフガス管P6が接続されている。
一方、第1燃料電池セルスタック16の第1アノード16Aでは、下記(2)式及び(3)式に示すように、電解質層を通ってきた酸素イオンが燃料ガス中の水素及び一酸化炭素と反応し、水(水蒸気)及び二酸化炭素と電子が生成される。第1アノード16Aで生成された電子が第1アノード16Aから外部回路を通って第1カソード16Bに移動することで、各燃料電池セルにおいて発電される。また、各燃料電池セルは、発電時に発熱する。
(燃料極反応)
+O2- →HO+2e …(2)
CO+O2- →CO+2e …(3)
第1燃料電池セルスタック16の第1アノード16Aにはアノードオフガス管P7の一端が接続されており、アノードオフガス管P7には、第1アノード16Aからアノードオフガスが排出される。アノードオフガスには、未反応の水素、未反応の一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気等が含まれている。
なお、本発明の燃料電池としては、固体酸化物形の燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)に限られるものではなく、アノードオフガスに二酸化炭素及び水素の少なくとも一方が含まれる他の燃料電池、例えば溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)であってもよい。
アノードオフガス管P7の他端は、分離部50と接続されている。分離部50は、流入部54及び透過部56を有している。流入部54と透過部56は、分離膜52で区画されている。流入部54がアノードオフガスの非透過側となり、透過部56が透過側となる。アノードオフガス管P7の他端は、流入部54と接続されている。
ここで、分離膜52について説明する。本実施形態では、分離膜52は二酸化炭素及び水を透過する機能を有するものを用いる。二酸化炭素及び水を透過する機能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、有機高分子膜、無機材料膜、有機高分子-無機材料複合膜、液体膜などが挙げられる。また、分離膜は、ガスの相対湿度が高いときに二酸化炭素透過性が向上する分離膜であることが好ましく、ゴム状高分子膜、イオン交換樹脂膜、アミン水溶液膜又はイオン液体膜であることがより好ましい。
アノードオフガスは、アノードオフガス管P7を経て分離部50の流入部54へ供給される。アノードオフガスに含まれる二酸化炭素及び水は、分離膜52を透過して透過部56へ移動する。二酸化炭素及び水の濃度が低減された流入部54側のアノードオフガスは、再生燃料ガスとして、流入部54から再生燃料ガス管P9へ送出される。再生燃料ガス管P9は、第2燃料電池セルスタック18のアノード18Aと接続されており、再生燃料ガスは、再生燃料ガス管P9を経て、第2燃料電池セルスタック18のアノード18Aに供給される。
分離部50の透過部56には、入口側にスイープ用ガス管P20の一端が接続されている。透過部56の出口側には、スイープガス送出管P22の一端が接続されている。透過部56側の詳細は後述する。
第2燃料電池セルスタック18の第2アノード18A及び第2カソード18Bでは、第1燃料電池セルスタック16と同様の反応により発電が行われる。第2アノード18A及び第2カソード18Bから排出された使用済のガスは、配管P11、カソードオフ燃焼導入管P12により燃焼部20へ送出され、燃焼部20で焼却に供される。本実施形態の燃料電池システム10Aは、第1燃料電池セルスタック16で使用された燃料であるアノードオフガスが再生されて、燃料ガスとして第2燃料電池セルスタック18で再利用される多段式の燃料電池システムとなっている。
燃焼部20からは、燃焼排ガスが送出される。燃焼排ガスは、燃焼排ガス管P10内を流通し、原料予熱部12での熱交換を経て排出される。
一端が分離部50の透過部56に接続されたスイープ用ガス管P20の他端は、図示しないガス源に接続されている。ガス源からは、原料ガス供給ブロワ24により原料ガスが透過部56へ送出される。透過部56の出口側には、スイープガス送出管P22の一端が接続されている。スイープガス送出管P22の他端は、後述する第1熱交換部32を経て凝縮水タンク22と接続されている。原料ガスは、二酸化炭素、水蒸気、及び、その他分離膜52を透過したアノードオフガス中の気体と共に、混合原料ガスとして透過部56から送出される。混合原料ガスは、後述する第1熱交換部32を経て凝縮水タンク22へ供給される。
第1熱交換部32では、空気供給ブロワ28により送出された空気と透過部56から送出された混合原料ガスとの間で熱交換が行われる。当該熱交換により、空気は加熱され、混合原料ガスは冷却される。加熱後の空気は、第1燃料電池セルスタック16の第1カソード16Bへ供給される。混合原料ガスは、冷却により水蒸気の一部が凝縮し、凝縮した水は凝縮水タンク22に貯留される。凝縮水タンク22の上部には、混合原料ガス管P24の一端が接続されている。水の一部が除去された混合原料ガスは、混合原料ガス管P24へ送出される。
混合原料ガス管P24の他端は、二酸化炭素調整部30の入口側と接続されている。二酸化炭素調整部30では、混合原料ガス中の二酸化炭素の一部が除去される。二酸化炭素調整部30は、二酸化炭素分離膜、二酸化炭素吸収材、二酸化炭素吸着材等を用いて形成することができる。二酸化炭素調整部30における二酸化炭素の除去量は、改質部14での改質に必要な二酸化炭素の量等を考慮して設定される。二酸化炭素調整部30の出口側には、原料ガス供給管P1の他端が接続されている。二酸化炭素調整部30で二酸化炭素の一部が除去された混合原料ガスは、原料ガス供給管P1へ送出され、原料予熱部12で加熱された後、改質部14へ供給される。
次に、本実施形態の燃料電池システム10Aの動作について説明する。
燃料電池システム10Aにおいては、原料ガス供給ブロワ24によって、原料ガスが分離部50の透過部56へ送出される。送出された原料ガスは、分離部50の流入部54側から分離膜52を透過して透過部56側へ移動した二酸化炭素および水をスイープし、二酸化炭素、水を含む混合原料ガスとしてスイープガス送出管P22へ送出される。スイープガス送出管P22を流れる混合原料ガスは、第1熱交換部32で、空気供給ブロワ28から第1カソード16Bへ向かって供給される常温の空気と熱交換される。当該熱交換により、混合原料ガスは冷却され、混合原料ガスに含まれる水の一部が凝縮される。
混合原料ガスは、凝縮水タンク22へ流入し、凝縮した水は凝縮水タンク22に貯留される。凝縮により水の一部が除去された混合原料ガスは、混合原料ガス管P24を介して二酸化炭素調整部30へ送出される。二酸化炭素調整部30では、混合原料ガス中の二酸化炭素の一部が除去され、その後、混合原料ガスは、原料ガス供給管P1へ送出され、原料予熱部12で加熱された後、改質部14へ供給される。
改質部14では、改質反応により、水素および一酸化炭素を含む燃料ガスG1が生成される。燃料ガスは燃料ガス管P4を介して第1燃料電池セルスタック16の第1アノード16Aに供給される。
第1燃料電池セルスタック16の第1カソード16Bには、前述したように、第1熱交換部32で熱交換により加熱された空気が空気供給管P5を経て供給される。これにより、第1燃料電池セルスタック16では、前述の反応により発電が行われる。この発電に伴い燃料電池セルスタック16の第1アノード16Aからは、アノードオフガスが排出される。また、第1カソード16Bからは、カソードオフガスが排出される。カソードオフガスは、カソードオフガス管P6を通って第2燃料電池セルスタック18の第2カソード18Bへ供給される。
第1アノード16Aから排出されたアノードオフガスは、アノードオフガス管P7に導かれ、分離部50の流入部54へ流入され、二酸化炭素および水が分離膜52を透過して透過部56へ移動し、アノードオフガスから分離される。透過した二酸化炭素および水は、前述のように、原料ガスによりスイープされる。二酸化炭素および水が分離されたアノードオフガスは、再生燃料ガスとして流入部54から再生燃料ガス管P9へ送出され、第2燃料電池セルスタック18の第2アノード18Aへ供給される。
第2燃料電池セルスタック18では、前述の反応により発電が行われる。第2アノード18A、第2カソード18Bでの使用済ガスは、配管P11、P12により各々燃焼部20へ送出され、燃焼部20で焼却に供される。燃焼部20からの燃焼排ガスは、原料予熱部12を経て排出される。
本実施形態の燃料電池システム10Aでは、分離部50の透過側(透過部56)へスイープガスとして原料ガスを供給し、原料ガスに二酸化炭素および水を混合させる。したがって、原料ガスに二酸化炭素および水を混合させるために別途供給源を用意する必要がなく、システム内で回収されたものを有効に利用することができる。また、原料ガスに混合された水の一部は、第1熱交換部32での冷却により凝縮で除去されるので、過剰な水が原料ガスに混合されて改質部14での改質や第1燃料電池セルスタック16での発電の効率が低下することを抑制できる。
また、原料ガスに混合された二酸化炭素の一部は、二酸化炭素調整部30で除去されるので、過剰な二酸化炭素が原料ガスに混合されて改質部14での改質や第1燃料電池セルスタック16での発電の効率が低下することを抑制できる。
なお、本実施形態では、二酸化炭素調整部30を、凝縮水タンク22及び第1熱交換部32よりも下流側に配置したが、二酸化炭素調整部30は、凝縮水タンク22よりも上流側に配置してもよいし、さらに第1熱交換部32よりも上流側に配置してもよい。本実施形態のように、凝縮水タンク22よりも下流側に配置することにより、二酸化炭素調整部30へ流入される混合原料ガスの流量を減少させることができ、二酸化炭素調整部30の負荷を低減させることができる。
二酸化炭素調整部30を第1熱交換部32よりも上流側に配置する場合には、第1熱交換部32へ流入される混合原料ガスの流量を減少させることができ、第1熱交換部32の負荷を低減させることができる。また、混合原料ガスから二酸化炭素の一部が除去された後も水の含有量が高いので、水が除去されるまでの部分において炭素析出のリスクを低減することができる。
また、本実施形態では、第1熱交換部32で空気が加熱されて第1カソード16Bへ供給されるので、混合原料ガスから受け取った熱をシステム内で有効に用いることができる。
また、本実施形態では、二酸化炭素調整部30を設けて、混合原料ガスから二酸化炭素の一部を除去したが、必ずしも二酸化炭素の除去を行う必要はなく、図2に示すように、二酸化炭素調整部30を備えない構成とすることもできる。その場合には、原料ガス供給管P1が直接凝縮水タンク22へ接続される。
さらに、本実施形態では、分離部50の分離膜52として、二酸化炭素および水を透過させるものを用いたが、水のみを透過させるものを分離膜52として用いてもよい。その場合にも、図2に示す構成とすることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図3には、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システム10Bが示されている。燃料電池システム10Bは、第1実施形態で説明した燃料電池システム10Aと比較して、第2燃料電池セルスタック18を有していない点が異なっている。
分離部50に接続された再生燃料ガス管P9は、分岐部D1で分岐されている。分岐された一方の循環ガス管P9-1は、燃焼部20へ接続され、再生燃料ガスの一部は燃焼に供されている。分岐された他方の再生燃料ガス管P9-2は、燃料ガス管P4と接続されて、再生燃料ガスは第1燃料電池セルスタック16での発電に供されている。なお、再生燃料ガス管P9-2は、配管P3と接続して再生燃料ガスを改質部14へ供給してもよい。
本実施形態の燃料電池システム10Bは、第1燃料電池セルスタック16で使用済みの燃料であるアノードオフガスが再生されて、再度、第1燃料電池セルスタック16で再利用される循環式の燃料電池システムとなっている。本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1、第2実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図4には、本発明の第3実施形態に係る燃料電池システム10Cが示されている。燃料電池システム10Cは、第1実施形態で説明した燃料電池システム10Aと比較して、第1熱交換部32に代えて第2熱交換部34を備えている点が異なっている。
第2熱交換部34には、スイープ用ガス管P20及びスイープガス送出管P22が配管されている。第2熱交換部34では、スイープ用ガス管P20を流れる原料ガスと、スイープガス送出管P22を流れる混合原料ガスとの間での熱交換が行われる。当該熱交換により、原料ガスは加熱され、混合原料ガスは冷却される。冷却された混合原料ガスからは凝縮により水の一部が除去される。
なお、空気供給ブロワ28から送出された空気は、熱交換を経ずに第1カソード16Bへ供給される。
本実施形態の燃料電池システム10Cでも、分離部50の透過側(透過部56)へスイープガスとして原料ガスを供給し、原料ガスに二酸化炭素および水を混合させるので、システム内で回収された二酸化炭素及び水を有効に利用することができる。また、原料ガスに混合された水の一部は、第2熱交換部34での冷却により凝縮で除去されるので、過剰な水が原料ガスに混合されて改質部14での改質や第1燃料電池セルスタック16での発電の効率が低下することを抑制できる。また、原料ガスは熱交換により加熱されるので、システム内で熱を有効に利用することができる。
また、原料ガスに混合された二酸化炭素の一部は、二酸化炭素調整部30で除去されるので、過剰な二酸化炭素が原料ガスに混合されて改質部14での改質や第1燃料電池セルスタック16での発電の効率が低下することを抑制できる。
なお、本実施形態でも、二酸化炭素調整部30を、凝縮水タンク22よりも上流側に配置してもよいし、さらに第2熱交換部34よりも上流側に配置してもよい。また、二酸化炭素調整部30を設けない構成としてもよい。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、第1~第3実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図5には、本発明の第4実施形態に係る燃料電池システム10Dが示されている。燃料電池システム10Dは、第3実施形態で説明した燃料電池システム10Cと比較して、第2実施形態の燃料電池システム10Bと同様に、第2燃料電池セルスタック18を有していない点が異なっている。本実施形態の燃料電池システム10Dは、第1燃料電池セルスタック16で使用済みの燃料であるアノードオフガスが再生されて、再度、第1燃料電池セルスタック16で再利用される循環式の燃料電池システムとなっている。本実施形態においても、第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、第1~第4実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図6には、本発明の第5実施形態に係る燃料電池システム10Eが示されている。燃料電池システム10Eは、第3実施形態で説明した燃料電池システム10Cと比較して、第2熱交換部34に代えて第3熱交換部36を備えている点が異なっている。
第3熱交換部36には、混合原料ガス管P24及びスイープガス送出管P22が配管されている。第3熱交換部36では、混合原料ガス管P24を流れる混合原料ガスと、スイープガス送出管P22を流れる混合原料ガスとの間での熱交換が行われる。当該熱交換により、二酸化炭素調整部30へ供給される混合原料ガスは加熱され、凝縮水タンク22へ流入する混合原料ガスは冷却される。冷却された混合原料ガスからは凝縮により水の一部が除去される。
本実施形態の燃料電池システム10Eでも、分離部50の透過側(透過部56)へスイープガスとして原料ガスを供給し、原料ガスに二酸化炭素および水を混合させるので、システム内で回収された二酸化炭素及び水を有効に利用することができる。また、原料ガスに混合された水の一部は、第3熱交換部34での冷却により凝縮で除去されるので、過剰な水が原料ガスに混合されて改質部14での改質や第1燃料電池セルスタック16での発電の効率が低下することを抑制できる。また、原料ガスは熱交換により加熱されるので、システム内で熱を有効に利用することができる。
また、原料ガスに混合された二酸化炭素の一部は、二酸化炭素調整部30で除去されるので、過剰な二酸化炭素が原料ガスに混合されて改質部14での改質や第1燃料電池セルスタック16での発電の効率が低下することを抑制できる。
なお、本実施形態でも、二酸化炭素調整部30を、凝縮水タンク22よりも上流側に配置してもよいし、さらに第2熱交換部34よりも上流側に配置してもよい。また、二酸化炭素調整部30を設けない構成としてもよい。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態では、第1~第5実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図7には、本発明の第6実施形態に係る燃料電池システム10Fが示されている。燃料電池システム10Fは、第5実施形態で説明した燃料電池システム10Eと比較して、第2実施形態の燃料電池システム10Bと同様に、第2燃料電池セルスタック18を有していない点が異なっている。本実施形態の燃料電池システム10Fは、第1燃料電池セルスタック16で使用済みの燃料であるアノードオフガスが再生されて、再度、第1燃料電池セルスタック16で再利用される循環式の燃料電池システムとなっている。本実施形態においても、第5実施形態と同様の効果を奏することができる。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態では、第1~第6実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図8には、本発明の第7実施形態に係る燃料電池システム10Gが示されている。燃料電池システム10Gは、第3実施形態で説明した燃料電池システム10Cと比較して、第2熱交換部34に代えて第4熱交換部38を備えている点が異なっている。
第4熱交換部38には、スイープガス送出管P22及び原料予熱部12から排出された後の燃焼排ガス管P10が配管されている。第4熱交換部38では、燃焼排ガス管P10を流れる燃焼排ガスと、スイープガス送出管P22を流れる混合原料ガスとの間での熱交換が行われる。第4熱交換部38へ流入する燃焼排ガスは、原料予熱部12での熱交換後、透過部56から送出される混合原料ガスよりも低温に冷却されている。第4熱交換部38での熱交換により、凝縮水タンク22へ流入する混合原料ガスは冷却される。冷却された混合原料ガスからは凝縮により水の一部が除去される。
本実施形態の燃料電池システム10Gでも、分離部50の透過側(透過部56)へスイープガスとして原料ガスを供給し、原料ガスに二酸化炭素および水を混合させるので、システム内で回収された二酸化炭素及び水を有効に利用することができる。また、原料ガスに混合された水の一部は、第4熱交換部38での冷却により凝縮で除去されるので、過剰な水が原料ガスに混合されて改質部14での改質や第1燃料電池セルスタック16での発電の効率が低下することを抑制できる。
また、原料ガスに混合された二酸化炭素の一部は、二酸化炭素調整部30で除去されるので、過剰な二酸化炭素が原料ガスに混合されて改質部14での改質や第1燃料電池セルスタック16での発電の効率が低下することを抑制できる。
なお、本実施形態でも、二酸化炭素調整部30を、凝縮水タンク22よりも上流側に配置してもよいし、さらに第2熱交換部34よりも上流側に配置してもよい。また、二酸化炭素調整部30を設けない構成としてもよい。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態では、第1~第7実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図9には、本発明の第8実施形態に係る燃料電池システム10Hが示されている。燃料電池システム10Hは、第7実施形態で説明した燃料電池システム10Gと比較して、第2実施形態の燃料電池システム10Bと同様に、第2燃料電池セルスタック18を有していない点が異なっている。本実施形態の燃料電池システム10Hは、第1燃料電池セルスタック16で使用済みの燃料であるアノードオフガスが再生されて、再度、第1燃料電池セルスタック16で再利用される循環式の燃料電池システムとなっている。本実施形態においても、第7実施形態と同様の効果を奏することができる。
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態について説明する。本実施形態では、第1~第8実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図10には、本発明の第9実施形態に係る燃料電池システム10Iが示されている。燃料電池システム10Iは、第3実施形態で説明した燃料電池システム10Cと比較して、第2熱交換部34、凝縮水タンク22、及び二酸化炭素調整部30を備えず、第2分離部60を備えている点が異なっている。
第2分離部60は、第1分離部50と同様の構成を有しており、第2流入部64及び第2透過部66を有している。第2流入部64と第2透過部66は、第2分離膜62で区画されている。第2流入部64が混合原料ガスの非透過側となり、第2透過部66が透過側となる。第2流入部64の入口側には、スイープガス送出管P22の他端が接続されている。第2流入部64の出口側には、原料ガス供給管P1の他端が接続されている。
第2透過部66の入口側には、空気供給管P5から分岐された空気供給管P5-2が接続されている。第2透過部66の出口側には、スイープガス排出管P26が接続されている。
第2分離膜62には、二酸化炭素及び水を透過する機能を有するものが用いられる。第2分離膜62としては、第1実施形態と同様の材料を用いることができる。
次に、本実施形態の燃料電池システム10Iの動作について説明する。
燃料電池システム10Iにおいては、原料ガス供給ブロワ24によって、原料ガスが分離部50の透過部56へ送出される。送出された原料ガスは、分離部50の流入部54側から分離膜52を透過して透過部56側へ移動した二酸化炭素および水をスイープし、二酸化炭素、水を含む混合原料ガスとしてスイープガス送出管P22へ送出される。
スイープガス送出管P22を流れる混合原料ガスは、第2分離部60の第2流入部64へ流入し、二酸化炭素及び水の一部が第2分離膜62を透過して第2透過部66側へ移動する。第2分離膜62により二酸化炭素及び水の一部が除去された混合原料ガスは、原料ガス供給管P1へ送出され、原料予熱部12を経て改質部14へ供給される。
一方、空気供給ブロワ28から送出された空気は、スイープガスとして第2分離部60の第2透過部66へ供給される。第2透過部66へ供給された空気は、第2流入部64側から第2分離膜62を透過して第2透過部66側へ移動した二酸化炭素および水をスイープしてスイープガス排出管P26へ送出する。
本実施形態の燃料電池システム10Iでも、分離部50の透過側(透過部56)へスイープガスとして原料ガスを供給し、原料ガスに二酸化炭素および水を混合させるので、システム内で回収された二酸化炭素及び水を有効に利用することができる。また、原料ガスに混合された二酸化炭素及び水の一部は、第2分離部60で除去されるので、過剰な水が原料ガスに混合されて改質部14での改質や第1燃料電池セルスタック16での発電の効率が低下することを抑制できる。
また、本実施形態では、水を凝縮により除去するのではなく、第2分離膜62で分離する。したがって、混合原料ガスを冷却する必要がなく、混合原料ガスを高温のまま原料予熱部12へ送出することができ、熱エネルギーの損失を少なくすることができる。
また、本実施形態では、第2分離部60で、二酸化炭素及び水の両方が一部除去されるので、二酸化炭素調整部と水調整部を別々に設ける必要がなく、システム構造を簡略にすることができる。
また、本実施形態では、第2透過部66へ供給する空気の量を調整することにより、第2分離部60で除去する二酸化炭素及び水の量を容易に調整することができる。
なお、本実施形態では、第2分離部60で二酸化炭素及び水の両方を一部除去したが、分離膜62として水のみを透過させるものを用いて水のみを除去してもよい。また、分離部50の分離膜52について水のみを透過させるものを用いてもよい。
また、本実施形態では、空気供給ブロワ28から空気を供給したが、スイープガス専用のブロワを用いて空気を供給してもよい。また、スイープガスとして、燃焼排ガスやその他のガスを用いてもよい。燃焼排ガスをスイープガスとして用いる場合には、図11に示されるように、原料予熱部12を通って熱交換した後の燃焼排ガスの燃焼排ガス管P10を、第2透過部66へ接続して燃焼排ガを供給することが好ましい。
また、本実施形態の第2分離部60の第2透過部66へスイープガスを供給せず、図12に示されるように、第2透過部66の出口側に接続された配管P67に吸引ポンプ68を設けてもよい。吸引ポンプ68により第2透過部66を減圧することにより、第2流入部54側に供給された混合原料ガスの二酸化炭素及び水が第2分離膜52を透過するように分圧差をつけることができる。この場合には、吸引ポンプ68の出力を変えて第2透過部66の減圧度を調整することにより、第2分離部60で除去する二酸化炭素及び水の量を容易に調整することができる。
[第10実施形態]
次に、本発明の第10実施形態について説明する。本実施形態では、第1~第9実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図13には、本発明の第10実施形態に係る燃料電池システム10Jが示されている。燃料電池システム10Jは、第9実施形態で説明した燃料電池システム10Iと比較して、第2実施形態の燃料電池システム10Bと同様に、第2燃料電池セルスタック18を有していない点が異なっている。本実施形態の燃料電池システム10Jは、第1燃料電池セルスタック16で使用済みの燃料であるアノードオフガスが再生されて、再度、第1燃料電池セルスタック16で再利用される循環式の燃料電池システムとなっている。本実施形態においても、第9実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、第1~第10実施形態では、改質部14で原料ガスの改質が行われ、改質後の燃料ガスが第1燃料電池セルスタック16の第1アノード16Aへ供給される例について説明したが、原料ガスの改質は、第1アノード16Aで行われてもよい。すなわち、改質部14を備えず、原料ガス供給管P1を直接第1アノード16Aへ接続して、混合原料ガスを第1アノード16Aへ供給し、改質部を兼ねた第1アノード16Aで改質を行ってもよい。
10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I、10J 燃料電池システム
14 改質部
16 第1燃料電池セルスタック(燃料電池)
16A 第1アノード(燃料極)、 16B 第1カソード(空気極)
20 燃焼部、 22 凝縮水タンク(水調整部)
24 原料ガス供給ブロワ(原料ガス供給部)
28 空気供給ブロワ(空気供給部)
30 二酸化炭素調整部
32 第1熱交換部(水調整部)、 34 第2熱交換部(水調整部)
36 第3熱交換部(水調整部)、 38 第4熱交換部(水調整部)
50 分離部、 52 分離膜、 54 流入部、 56 透過部
60 第2分離部(水調整部)
62 第2分離膜(第2分離膜、第3分離膜)
64 第2流入部(第2流入部、第3流入部)
66 第2透過部(第2透過部、第3透過部)
P1 原料ガス供給管(原料ガス供給路)

Claims (9)

  1. 炭化水素系の原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質部と、
    燃料極の前記燃料ガスと空気極の酸化ガスにより発電し、前記燃料極からアノードオフガスが排出される燃料電池と、
    前記アノードオフガスが流入される流入部と、前記アノードオフガス中の水を透過させて分離する分離膜により前記流入部と区画された透過部と、を有する分離部と、
    スイープガスとして前記透過部へ前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
    前記透過部の下流側に設けられ、前記透過部から送出された混合原料ガスと前記燃料電池へ向かう熱交換用ガスとの熱交換での凝縮により、前記混合原料ガスから水の一部を除去する水調整部と、
    前記水調整部で水の一部が除去された後の前記混合原料ガスを前記改質部へ供給する原料ガス供給路と、
    を備え、
    前記熱交換用ガスは、前記原料ガス供給路へ送出された前記混合原料ガスである、
    燃料電池システム。
  2. 炭化水素系の原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質部と、
    燃料極の前記燃料ガスと空気極の酸化ガスにより発電し、前記燃料極からアノードオフガスが排出される燃料電池と、
    前記アノードオフガスが流入される流入部と、前記アノードオフガス中の水を透過させて分離する分離膜により前記流入部と区画された透過部と、を有する分離部と、
    可燃ガスを燃焼させる燃焼部と、
    スイープガスとして前記透過部へ前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
    前記透過部の下流側に設けられ、前記透過部から送出された混合原料ガスと前記燃焼部から排出された後に熱交換により冷却された燃焼排ガスとの熱交換での凝縮により、前記混合原料ガスから水の一部を除去する水調整部と、
    前記水調整部で水の一部が除去された後の前記混合原料ガスを前記改質部へ供給する原料ガス供給路と、
    を備えた燃料電池システム。
  3. 炭化水素系の原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質部と、
    燃料極の前記燃料ガスと空気極の酸化ガスにより発電し、前記燃料極からアノードオフガスが排出される燃料電池と、
    前記アノードオフガスが流入される流入部と、前記アノードオフガス中の水を透過させて分離する分離膜により前記流入部と区画された透過部と、を有する分離部と、
    スイープガスとして前記透過部へ前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
    前記透過部の下流側に設けられ、前記透過部から送出された混合原料ガスが流入される第2流入部と、前記混合原料ガス中の水を透過させて一部を除去する第2分離膜により前記第2流入部と区画された第2透過部と、を有する水調整部と、
    前記水調整部で水の一部が除去された後の前記混合原料ガスを前記改質部へ供給する原料ガス供給路と、
    前記第2透過部へスイープガスとして空気を供給する空気スイープ供給部と、
    を備えた燃料電池システム。
  4. 前記空気スイープ供給部は、前記空気極へ酸化ガスとして空気を供給すること、を特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 炭化水素系の原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質部と、
    燃料極の前記燃料ガスと空気極の酸化ガスにより発電し、前記燃料極からアノードオフガスが排出される燃料電池と、
    前記アノードオフガスが流入される流入部と、前記アノードオフガス中の水を透過させて分離する分離膜により前記流入部と区画された透過部と、を有する分離部と、
    スイープガスとして前記透過部へ前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
    前記透過部の下流側に設けられ、前記透過部から送出された混合原料ガスが流入される第2流入部と、前記混合原料ガス中の水を透過させて一部を除去する第2分離膜により前記第2流入部と区画された第2透過部と、を有する水調整部と、
    前記水調整部で水の一部が除去された後の前記混合原料ガスを前記改質部へ供給する原料ガス供給路と、
    可燃ガスを燃焼させる燃焼部と、
    前記第2透過部へスイープガスとして前記燃焼部から排出された燃焼排ガスを供給する排ガススイープ供給部と、
    を備えた燃料電池システム。
  6. 前記分離膜は、さらに二酸化炭素を透過させてアノードオフガスから二酸化炭素を分離し、
    前記透過部よりも下流側に、前記透過部から送出された前記混合原料ガスから二酸化炭素の一部を除去する二酸化炭素調整部、を備えた、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 炭化水素系の原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質部と、
    燃料極の前記燃料ガスと空気極の酸化ガスにより発電し、前記燃料極からアノードオフガスが排出される燃料電池と、
    前記アノードオフガスが流入される流入部と、前記アノードオフガス中の水を透過させて分離する分離膜により前記流入部と区画された透過部と、を有する分離部と、
    スイープガスとして前記透過部へ前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
    前記透過部の下流側に設けられ、前記透過部から送出された混合原料ガスと前記燃料電池へ向かう熱交換用ガスとの熱交換での凝縮により、前記混合原料ガスから水の一部を除去する水調整部と、
    前記水調整部で水の一部が除去された後の前記混合原料ガスを前記改質部へ供給する原料ガス供給路と、
    を備え、
    前記分離膜は、さらに二酸化炭素を透過させてアノードオフガスから二酸化炭素を分離し、
    前記透過部よりも下流側に、前記透過部から送出された前記混合原料ガスから二酸化炭素の一部を除去する二酸化炭素調整部、を備えた、
    燃料電池システム。
  8. 前記二酸化炭素調整部は、前記水調整部よりも下流側に配置されている、請求項6または請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記二酸化炭素調整部は、前記水調整部よりも上流側に配置されている、請求項6または請求項7に記載の燃料電池システム。
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