JP7335788B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本願の開示する技術は、燃料電池システムに関する。
炭素化合物を燃料として用いる燃料電池システムでは、複数の燃料電池を多段で用いるタイプがある。たとえば、特許文献1には、第一燃料電池から排出されるオフガスから、水蒸気を気体の状態で除去する水蒸気分離膜を備え、水蒸気分離後の再生燃料ガスを用いて第二燃料電池で発電を行う多段式燃料電池システムが記載されている。
また、引用文献2には、燃料電池のアノードオフガス中の二酸化炭素を分離する分離膜を備え、透過部へのスイープガスとして水蒸気を供給するようにした燃料電池システムが記載されている。
特開2016-115495号公報 特開2018-107098号公報
特許文献1に記載の技術では、第一燃料電池のオフガスから水蒸気分離膜により水蒸気を分離した再生燃料ガスを、第二燃料電池に送っている。しかし、第二燃料電池の燃料極では水分(水蒸気の量)が不足するため、たとえば、第二燃料電池として高分子電解質膜を用いた構成では、燃料極での水分の不足により、高分子電解質膜での水素イオンの導電性が低下する。
引用文献2に記載の構成では、分離部の透過部にスイープガスとして水蒸気を供給するための装置や設備が必要で、装置の複雑化を招く。
本発明は上記事実を考慮し、複数の燃料電池を有する多段式の燃料電池システムにおいて、簡易な構造で、後段の燃料電池に、十分な量の水蒸気が送られるようにすることを目的とする。
第一態様では、炭素化合物を含み第一燃料極へ供給される燃料ガスと、酸素を含み第一空気極へ供給される酸化ガスと、により発電し、前記第一燃料極から燃料極オフガスが排出されると共に前記第一空気極から空気極オフガスが排出される第一燃料電池と、前記燃料極オフガスが流入される流入部と、前記流入部に流入された前記燃料極オフガスから二酸化炭素を透過させて分離する分離膜により前記流入部と区画される透過部と、を備えた分離部と、前記第一空気極と前記透過部とを連通する第一連通流路と、前記分離膜により前記燃料極オフガスから前記二酸化炭素が分離され第二燃料極へ供給される再生ガスと、酸素を含み第二空気極へ供給される酸化ガスと、により発電する第二燃料電池と、を有する。
この燃料電池システムでは、第一燃料電池において、第一燃料極へ供給される燃料ガスと、第一空気極へ供給される酸化ガスと、により発電される。そして、第一燃料極から燃料極オフガスが排出されると共に第一空気極から空気極オフガスが排出される。
燃料極オフガスは、分離部の流入部に流入される。流入部に流入された燃料極オフガスから、分離膜によって二酸化炭素が分離され、再生ガスが生成される。第二燃料電池において、第二燃料極へ供給される再生ガスと、第二空気極へ供給される酸化ガスと、により発電される。
第一燃料電池の第一空気極と、分離部の透過部と、は第一連通流路により連通されており、水蒸気を多く含む空気極オフガスが透過部に送られる。低湿度のガスが透過部に送られる構成と比較して、透過部での水蒸気分圧が高くなるので、流入部から分離膜をへて透過部に透過する水分量は少なくなり、再生ガスの水蒸気量が多くなる。このように水分量が多い再生ガスが第二燃料電池の第二燃料極に送られるので、たとえば、第二燃料電池が、高分子電解質膜を有する構成の場合には、高分子電解質膜での水素イオンの導電性の低下を抑制できる。
そして、分離部の透過部に、水蒸気を多く含む気体を送るための装置や設備が不要であるので、簡易な構造となる。
第二態様では、第一態様において、前記透過部と前記第二空気極とを連通する第二連通流路、を有する。
透過部に送られた空気極オフガスが、第二連通流路によって第二燃料電池の第二燃料極へ送られるので、空気極オフガスを第二燃料極で再度利用できる。
第三態様では、第一態様において、前記透過部の外部から前記第二空気極に前記酸化ガスを供給する外部ガス供給部材、を有する。
透過部の外部から、たとえば大気が、外部ガス供給部材によって第二燃料電池の第二燃料極へ酸化ガスとして送られるので、第一燃料電池の第一空気極の状態に左右されずに、第二燃料電池の第二空気極は酸化ガスの供給を受けることができる。
本願では、簡易な構造で、後段の燃料電池に、十分な量の水蒸気が送られるようにするこが可能である。
図1は第一実施形態の燃料電池システムを示す構成図である。 図2は第二実施形態の燃料電池システムを示す構成図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図1には、本発明の第一実施形態に係る燃料電池システム10が示されている。燃料電池システム10は、気化器12、改質器14、第一燃料電池スタック16、第二燃料電池スタック18、分離部20、熱交換器30、燃焼器40、及びタンク(図示省略)を備えている。
改質器14には、原料ガス管P1の一端が接続されており、原料ガス管P1の他端は図示しないガス源に接続されている。ガス源からは、ブロアB1によりメタンが改質器14へ送出される。改質器14では、改質反応により原料ガスが改質され、水素を含む燃料ガスG1が生成される。
なお、本実施形態では、原料ガスとしてメタンを用いるが、改質が可能なガスであれば特に限定されず、炭化水素燃料を用いることができる。炭化水素燃料としては、天然ガス、LPガス(液化石油ガス)、石炭改質ガス、低級炭化水素ガスなどが例示される。低級炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン等の炭素数4以下の低級炭化水素が挙げられ、本実施形態で用いるメタンが好ましい。なお、炭化水素燃料としては、上述した低級炭化水素ガスを混合したものであってもよく、上述した低級炭化水素ガスは天然ガス、都市ガス、LPガス等のガスであってもよい。
本実施形態のように、原料ガスとしてメタンを用いた場合には、改質器14では、一例として以下の反応式(A)で示す反応により水素が得られる。
CH+HO→3H+CO (A)
本実施形態の改質器14では、さらに、以下の反応式(B)及び(C)で示す反応により、水素が生成されて増加されると共に、一酸化炭素量が低減される。
CO+HO→H+CO (B)
CO+(1/2)O→CO (C)
したがって、本実施形態のように原料ガスとしてメタンを用いた場合には、改質ガスには、相対的に高濃度の水素が含まれるが、低濃度で二酸化炭素も含まれる。
気化器12には、水供給管P2が接続されており、ポンプPO1により、水(液相)が送り込まれる。気化器12では、水が気化される。気化には、後述する燃焼器40の熱エネルギーが用いられる。気化器12からは、水蒸気が送出される。本実施形態では、気化器12から水蒸気を送出する水蒸気管P3は、原料ガス管P1と合流されている。
メタン及び水蒸気は原料ガス管P1で合流され、改質器14へ供給される。改質器14は、燃焼器40と隣接されており、燃焼器40との間で熱交換を行うことで加熱される。改質器14はさらに、第一燃料電池スタック16及び第二燃料電池スタック18と隣接されて、これらとの間で熱交換を行って加熱される構成でもよい。
改質器14では、メタンを改質し、水素を含む燃料ガスG1を生成する。改質器14は、第一燃料電池スタック16のアノード(燃料極)16Aと接続されている。改質器14で生成された燃料ガスG1は、燃料ガス管P4を介して第一燃料電池スタック16の第一燃料極16Aに供給される。
第一燃料電池スタック16は、本実施形態では固体高分子形の燃料電池スタックであり、積層された複数の燃料電池セルを有している。第一燃料電池スタック16は本発明における燃料電池(第一燃料電池)の一例であり、本実施形態では、作動温度が100℃程度とされている。個々の燃料電池セルは、第一電解質膜16Bと、当該第一電解質膜16Bの表裏面にそれぞれ積層されたアノードとしての第一燃料極16A、及びカソードとしての第一空気極16Cと、を有している。
なお、第二燃料電池スタック18についての基本構成は、第一燃料電池スタック16と同様である。すなわち、第二燃料電池スタック18は、第一燃料極16Aに対応するアノードとしての第二燃料極18A、第一空気極16Cに対応するカソードとしての第二空気極18C、及び第一電解質膜16Bに対応する第二電解質膜18Bを有している。
第一燃料電池スタック16の第一空気極16Cには、酸化ガス管P5から酸化ガスG5(空気)が供給される。酸化ガス管P5へは、ブロアB2により空気が導入されている。酸化ガス管P5により、空気が第一空気極16Cへ供給される。
第一空気極16Cでは、下記(1)式に示すように、酸化ガスP5中の酸素と水素イオン及び電子が反応して水(水蒸気)が生成される。
(空気極反応)
+4H+4e →2HO …(1)
また、第一空気極16Cには、第一空気極16Cから排出されるカソードオフガスG2を分離部20の透過部26へ案内するカソードオフガス管P6が接続されている。すなわち、生成されたカソードオフガスG2に含まれる水蒸気は、カソードオフガス管P6を通って分離部20の透過部26へスイープガスとして送られる。透過部26へ供給されるスイープガスの水蒸気の湿度は、略100%であることが好ましい。カソードオフガス管P6は、第一連通流路の一例である。
第一燃料電池スタック16の第一燃料極16Aでは、下記(2)式に示すように、燃料ガスG1中の水素が、水素イオンと電子とに分解される。第一燃料極16Aで生成された水素イオンは、第一電解質膜16Bを通って、第一空気極16Cに移動する。第一燃料極16Aで生成された電子は、第一燃料極16Aから外部回路を通って第一空気極16Cに移動することで、各燃料電池セルにおいて発電される。また、各燃料電池セルは、発電時に発熱する。第一燃料電池スタック16全体では、下記式(3)で示す反応が生じる。
(燃料極反応)
2H →4H+4e …(2)
(全体反応)
2H+O→2HO …(3)
第一燃料電池スタック16の第一燃料極16Aにはアノードオフガス管P7の一端が接続されており、アノードオフガス管P7には、第一燃料極16AからアノードオフガスG3が排出される。アノードオフガスG3には、未反応の水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気等が含まれている。特に、第一燃料極16Aにおいて、上記した燃料極反応が生じるため、アノードオフガスG3の水素濃度が低くなり、相対的に二酸化酸素濃度が高くなっている。
本実施形態では、第一電解質膜16Bを、上記したように水素イオンが移動するため、第一電解質膜16Bを構成する電解質膜は、適度な水分を有している(十分に加湿されている)ことが望まれる。本発明の燃料電池としては、固体高分子形燃料電池(PEFC :polymer electrolyte fuel cell)に限られるものではなく、このように、第一電解質膜16Bが適度な水分を有していることが望まれる他の燃料電池、例えばプロトン移動形の燃料電池であればよい。
分離部20は、流入部24、透過部26及び分離膜28を有している。流入部24と透過部26は、分離膜28で区画されている。流入部24がアノードオフガスG3の非透過側となり、透過部26が透過側となる。
アノードオフガス管P7の他端は、後述する第1熱交換器30、ブロアB3を経て分離部20の流入部24と接続されている。ブロアB3は、第1熱交換器30の下流側に設けられ、アノードオフガス管P7を流れるアノードオフガスG3をブロアB3の下流側で昇圧する。分離部20は、アノードオフガスG3から二酸化炭素を分離膜28で分離する。
本実施形態では、分離膜28は二酸化炭素を透過する機能を有するものを用いる。二酸化炭素を透過する機能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、有機高分子膜、無機材料膜、有機高分子-無機材料複合膜、液体膜などが挙げられる。また、分離膜は、ガスの相対湿度が高いときに二酸化炭素透過性が向上する分離膜であることが好ましく、ゴム状高分子膜、イオン交換樹脂膜、アミン水溶液膜又はイオン液体膜であることがより好ましい。
有機高分子膜の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリピロール、ポリフェニレンオキシド、ポリアニリン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、等の各種有機材料が挙げられる。また、有機高分子膜は、1種の有機材料から構成される膜であってもよく、2種以上の有機材料から構成される膜であってもよい。
また分離膜としては、より好ましくは、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール-ポリアクリル酸塩共重合体、ポリエチレングリコールなどの吸水性を有する有機高分子と、二酸化炭素と親和性を有し、かつ水溶性を示す二酸化炭素キャリアとを含む有機高分子膜であってもよい。
二酸化炭素キャリアとしては、無機材料及び有機材料が用いられ、例えば、無機材料としては、アルカリ金属塩(好ましくはアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩)、アンモニア、アンモニウム塩などが挙げられ、有機材料としては、例えば、アミン、アミン塩、ポリアミン、アミノ酸などが挙げられる。なお、二酸化炭素キャリアは、無機材料膜、有機高分子-無機材料複合膜、液体膜等に含まれていてもよい。
分離膜の厚さは、特に限定されないが、機械的強度の観点からは、通常、10μm~3000μmの範囲が好ましく、より好ましくは10μm~500μmの範囲であり、さらに好ましくは15μm~150μmの範囲である。
なお、分離膜は、多孔質性の支持体に支持されていてもよい。支持体の材質としては、紙、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、金属、ガラス、セラミックなどが挙げられる。なお、支持体を設けた場合、二酸化炭素分離膜の厚さは、二酸化炭素透過性を好適に確保する点から、100nm~100μmの範囲が好ましく、より好ましくは100nm~50μmの範囲である。
また、分離膜28として、例えば、特許第5329207号に記載の高分子膜、特許第4965928号に記載のCO促進輸送膜、特許第5743639号に記載の分離膜、特許第5738704号に記載の透過膜などを用いてもよい。
なお、分離膜28では、このように、二酸化炭素が透過するが、水蒸気も透過する。
アノードオフガスG3は、熱交換器30を通った後、アノードオフガス管P7を経て分離部20の流入部24へ供給される。アノードオフガスG3に含まれる二酸化炭素は、分離膜28を透過して透過部26へ移動する。二酸化炭素の濃度が低減されて流入部24側に残ったアノードオフガスG3は、再生燃料ガスG4となり、再生燃料ガス管P9を経て、流入部24から送出される。再生燃料ガス管P9は、第二燃料電池スタック18の第二燃料極18Aと接続されており、再生燃料ガスG4は、再生燃料ガス管P9を経て、第二燃料電池スタック18の第二燃料極18Aに供給される。
アノードオフガス管P7を流れるアノードオフガスG3と再生燃料ガス管P9を流れる再生燃料ガスG4とは、第1熱交換器30で熱交換が行われる。第1熱交換器30では、アノードオフガスG3が冷却され、再生燃料ガスG4が加熱される。
分離部20の透過部26では、第一空気極16Cのカソードオフガスがスイープガスとして透過部26へ流入する。第一空気極16Cのカソードオフガスは、二酸化炭素及び水蒸気を多く含んでいる。
透過部26では、二酸化炭素の分圧が低下する。したがって、流入部24から分離膜28を透過して二酸化炭素が透過部26へ移動し易くなる。また、透過部26、すなわち分離膜28の透過側へ水蒸気を供給しているので、分離膜28として、水蒸気存在下で二酸化炭素の透過が向上される材料を用いることで、流入部24側から透過部26側への二酸化炭素の透過をより向上させることができる。
さらに、透過部26では、水蒸気分圧が、スイープガスによって上昇しており、これにより、流入部24から透過部26への水蒸気の移動が抑制される。流入部24内では、たとえば、第一空気極16Cのカソードオフガスを透過部26に送らない構成は、乾燥した空気を透過部26に送る構成と比較して、アノードオフガスG3の湿度が高い状態に維持される。
分離部20の分離膜28を透過したアノードオフガスG3中の気体は、透過ガスとして透過部26から送出される。
分離部20の透過部26には、透過ガス管P8の一端が接続されている。透過ガス管P8の他端は、第二燃料電池スタック18の第二空気極18Cに接続されている。第一空気極16Cから分離部20の透過部26へ送られたスイープガスとしてのカソードオフガスは、透過ガス管P8を通って、第二燃料電池スタック18の第二空気極18Cへ供給される。透過ガス管P8は、第二連通流路の一例である。
第二燃料電池スタック18の第二燃料極18A及び第二空気極18Cでは、第一燃料電池スタック16と同様の反応により発電が行われる。第二燃料極18A及び第二空気極18Cから排出された使用済のガスは、燃料排ガス管P11及びカソードオフ燃焼導入管P12により燃焼器40へ送出され、燃焼器40で焼却に供される。本実施形態の燃料電池システム10は、第一燃料電池スタック16で使用された燃料であるアノードオフガスG3が再生されて、燃料ガスとして第二燃料電池スタック18で再利用される多段式の燃料電池システムとなっている。
燃焼器40からは、燃焼排ガスG6が送出される。燃焼排ガスG6は、燃焼排ガス管P10内を流通し、気化器12を経て排出される。
次に、本実施形態の燃料電池システム10の動作及び作用について説明する。
燃料電池システム10においては、ガス源からの燃料であるメタン及び図示しないタンクからの水が、気化器12へ供給される。気化器12では、供給されたメタン及び水が混合されると共に、燃焼排ガス管P10を流通する燃焼排ガスG6から熱を得て加熱され、水が気化され水蒸気となる。
メタン及び水蒸気は、気化器12から原料ガス管P1を介して改質器14へ送出される。改質器14では、改質反応により、水素を含む600℃程度の燃料ガスG1が生成される。燃料ガスG1は、燃料ガス管P4を介して第一燃料電池スタック16の第一燃料極16Aに供給される。
第一燃料電池スタック16の第一空気極16Cには、空気が酸化ガス管P5を経て供給される。これにより、第一燃料電池スタック16では、前述の反応により発電が行われる。この発電に伴い第一燃料電池スタック16の第一燃料極16Aからは、アノードオフガスG3が排出される。
また、第一空気極16Cからは、カソードオフガスG2が排出される。このカソードオフガスG2は、カソードオフガス管P6を通り、スイープガスとして分離部20の透過部26に送られる。
第一燃料極16Aから排出されたアノードオフガスG3は、アノードオフガス管P7に導かれ、第1熱交換器30を経て、分離部20の流入部24へ流入される。
アノードオフガスG3中の二酸化炭素は、分離膜28を透過して透過部26側へ移動することにより、アノードオフガスG3から分離される。流入部24からは再生燃料ガスG4が送出され、第1熱交換器30を経て、再生燃料ガス管P9により第二燃料電池スタック18の第二燃料極18Aへ供給される。
透過部26へ流入したスイープガスとしてのカソードオフガスG2は、流入部24から分離膜28を透過して流入した二酸化炭素等の気体と共に、透過ガス管P8を経て透過ガスG7として透過部26から送出される。送出された透過ガスG7は、第二燃料電池スタック18の第二空気極18Cに供給される。
第二燃料電池スタック18では、上記反応により発電が行われる。流入部24から排出された再生燃料ガスG4は、二酸化炭素量が低減されているので、第二燃料電池スタック18で効率よく発電を行うことができ、燃料電池システム10の性能を向上させることができる。
第二燃料極18A、第二空気極18Cでの使用済ガスは、燃料排ガス管P11及びカソードオフ燃焼導入管P12により各々燃焼器40へ送出され、燃焼器40で焼却に供される。燃焼器40からの燃焼排ガスG6は、気化器12を経て排出される。
上記したように、第一燃料電池スタック16の第一空気極16Cから排出されたカソードオフガスG2は、カソードオフガス管P6を通って、分離部20の透過部26に送られる。カソードオフガスG2の湿度は、たとえばアノードオフガスG3の湿度よりも高い。すなわち、カソードオフガスG2はアノードオフガスG3よりも水蒸気を多く含んでいる。水蒸気を多く含むカソードオフガスG2がスイープガスとして、透過部26に供給されることになる。これにより、透過部26の二酸化炭素濃度が低下する。したがって、流入部24へ流入したアノードオフガスG3中の二酸化炭素は、分離膜28をより多く透過する。
しかも、透過部26における水蒸気分圧が、流入部24における水蒸気分圧よりも高い。このため、流入部24に存在しているアノードオフガスG3から、水蒸気成分が分離膜28を透過して透過部26に移動することが抑制され、流入部24では、アノードオフガスG3の水蒸気量の減少が抑制される。すなわち、流入部24から送出される再生燃料ガスG4では、水蒸気量の減少が抑制され、十分な水蒸気量を維持した状態で、再生燃料ガス管P9により第二燃料電池スタック18の第二燃料極18Aへ供給される。したがって、第二燃料電池スタック18の第二電解質膜18Bにおいて、水素イオンの導電性の低下を抑制でき、第二燃料電池スタック18が効率的に発電できる状態を維持できる。また、第二電解質膜18Bの乾燥に伴う劣化を抑制できる。
加えて、本実施形態では、分離部20の透過部26に、水蒸気を多く含む気体を送るための装置や設備、たとえば、水タンク、ポンプ及び気化器等の部材が不要であるので、燃料電池システム10の構造を簡易にできる。
〔第二実施形態〕
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図2に示すように、第二実施形態の燃料電池システム50では、透過ガス管P8(図1参照)は設けられておらず、これに代えて、排出ガス管P13、酸化ガス分岐管P14、凝縮器52及び回収タンク54が設けられている。
排出ガス管P13の一端は透過部26に接続され、他端は回収タンク54に接続されている。排出ガス管P13の中間部分に、凝縮器52が設けられている。また、酸化ガス分岐管P14は、一端が酸化ガス管P5の途中から分岐しており、他端は第二燃料電池スタック18の第二空気極18Cに接続されている。酸化ガス分岐管P14は、外部ガス供給部材の一例である。すなわち、酸化ガス分岐管P14は、透過部26の外部である酸化ガス管P5から、酸化ガスG5を第二空気極18Cに供給する部材である。
第二実施形態の燃料電池システム50においても、第一空気極16Cから排出されたカソードオフガスG2は、スイープガスとして分離部20の透過部26に送られる。透過部26における水蒸気分圧が、流入部24における水蒸気分圧よりも高いので、流入部24でのアノードオフガスG3の水蒸気量の減少が抑制される。流入部24から送出される再生燃料ガスG4は、十分な水蒸気量を維持した状態で第二燃料極18Aへ供給されるので、第二燃料電池スタック18の第二電解質膜18Bにおいて、水素イオンの導電性の低下を抑制できる。
そして、第二実施形態に燃料電池システム50においても、分離部20の透過部26に、水蒸気を多く含む気体を送るための部材が不要であるので、燃料電池システム50の構造を簡易にできる。
第二実施形態では、酸化ガス管P5の途中から酸化ガス分岐管P14が分岐しているので、第二燃料電池スタック18の第二空気極18Cには、空気が酸化ガス分岐管P14を経て供給される。
なお、酸化ガス分岐管P14に代えて、第二燃料電池スタック18の第二空気極18Cに酸化ガスG5を供給するための部材を設けてもよい。
上記各実施形態では、アノードオフガス管P7にブロアB3を設けて、流入部24へ流入するアノードオフガスG3の圧力を高くしたが、ブロアB3は、必ずしも必要ではない。ブロアB3で流入部24へ流入するアノードオフガスG3における二酸化炭素の分圧を高くすることにより、二酸化炭素が分離膜28をより多く透過する状態を実現することができる。
上記各実施形態では、第一燃料電池スタック16及び第二燃料電池スタック18として、PEFCを用いている。PEFCは、燃料電池セルスタックにおいて、他の種類の燃料電池と比較して、相対的に低温で駆動させることが可能である。したがって、上記各実施形態における熱交換器30を省略し、アノードオフガスG3と再生燃料ガスG4との熱交換が行われない構成とすることも可能である。
上記各実施形態を適用可能な燃料電池の種類は、PEFCに限定されず、プロトン移動形の固体酸化物形燃料電池(SOFC :Solid Oxide Fuel Cell)等の燃料電池に適用できる。SOFCに適用した場合には、改質器14では上記した反応式(A)の反応が生じていればよい。
上記各実施形態では、燃料電池スタックが2段となった構成を例示したが、燃料電池スタックが3段以上とされた構成であってもよい。
10 燃料電池システム
12 気化器
14 改質器
16 第一燃料電池スタック
16A 第一燃料極
16B 第一電解質膜
16C 第一空気極
18 第二燃料電池スタック
18A 第二燃料極
18B 第二電解質膜
18C 第二空気極
20 分離部
24 流入部
26 透過部
28 分離膜
30 熱交換器
40 燃焼器
50 燃料電池システム
52 凝縮器
54 回収タンク
B1 ブロア
B2 ブロア
B3 ブロア
P0 透過ガス管
P1 原料ガス管
P2 水供給管
P3 水蒸気管
P4 燃料ガス管
P5 酸化ガス管
P6 カソードオフガス管
P7 アノードオフガス管
P8 透過ガス管
P9 再生燃料ガス管
P10 燃焼排ガス管
P11 燃料排ガス管
P12 カソードオフ燃焼導入管
P13 排出ガス管
P14 酸化ガス分岐管
PO1 ポンプ

Claims (3)

  1. 炭素化合物を含み第一燃料極へ供給される燃料ガスと、酸素を含み第一空気極へ供給される酸化ガスと、により発電し、前記第一燃料極から燃料極オフガスが排出されると共に前記第一空気極から空気極オフガスが排出されるプロトン移動形の第一燃料電池と、
    前記燃料極オフガスが流入される流入部と、前記流入部に流入された前記燃料極オフガスから二酸化炭素を透過させて分離する分離膜により前記流入部と区画される透過部と、を備えた分離部と、
    前記第一空気極と前記透過部とを連通する第一連通流路と、
    前記分離膜により前記燃料極オフガスから前記二酸化炭素が分離され第二燃料極へ供給される再生ガスと、酸素を含み第二空気極へ供給される酸化ガスと、により発電するプロトン移動形の第二燃料電池と、
    を有する燃料電池システム。
  2. 前記透過部と前記第二空気極とを連通する第二連通流路、を有する請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記透過部の外部から前記第二空気極に前記酸化ガスを供給する外部ガス供給部材、を有する請求項1に記載の燃料電池システム。
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