JP7101715B2 - 積層塗装物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
2. 前記エポキシ樹脂(a1)が変性エポキシ樹脂(a1-1)である前記1記載の積層塗装物。
3. 前記ブロックポリイソシアネート化合物(b2)が活性メチレンブロックポリイソシアネート化合物(b2-1)である前記1または2記載の積層塗装物。
4. 被塗物上に、少なくともエポキシ樹脂(a1)および顔料(a2)の反応物を含有するプライマー塗膜(A)を有し、該塗膜(A)の上方に、少なくともアクリル樹脂(b1)、ブロックポリイソシアネート化合物(b2)および顔料(b3)の反応物を含有する上塗塗膜(B)を有する積層塗装物の製造方法であって、該プライマー塗膜(A)中の顔料(a2)の含有率(X)と該上塗塗膜(B)中の顔料(b3)の含有率(Y)の差|X-Y|が30以下であり、該顔料(a2)が体質顔料を含み、かつ塗膜形成成分に占める体質顔料の含有量が25質量%以下であり、該積層塗装物がウエットオンウエット塗装方法で形成される積層塗装物の製造方法。
本発明の積層塗装物は、被塗物上に、少なくともエポキシ樹脂(a1)および顔料(a2)の反応物を含有するプライマー塗膜(A)を有し、該塗膜(A)の上方に、少なくともアクリル樹脂(b1)、ブロックポリイソシアネート化合物(b2)および顔料(b3)の反応物を含有する上塗塗膜(B)を有する積層塗装物であって、該プライマー塗膜(A)中の顔料(a2)の含有率(X)と該上塗塗膜(B)中の顔料(b3)の含有率(Y)の差|X-Y|が30以下であり、該顔料(a2)が体質顔料を含み、かつ塗膜形成成分に占める体質顔料の含有量が25質量%以下であることを特徴とする。
本発明のプライマー塗膜(A)は、少なくともエポキシ樹脂(a1)と顔料(a2)の反応物を含有することを特徴とする。プライマー塗膜(A)(以下塗膜(A)ということもある)は、少なくともエポキシ樹脂(a1)と顔料(a2)を含有するプライマー塗料組成物を塗装、硬化反応(以下反応ということもある)させることによって形成することができる。
本発明に使用されるエポキシ樹脂(a1)(以下単にエポキシ樹脂ともいう)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン型樹脂、複素環式エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂などがあげられる。これらは単独でまたは併用して使用することができる。
なお、重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、サイズ排除クロマトグラフィーによって測定した。
本発明の顔料(a2)としては、体質顔料(a2-1)、防錆顔料、着色顔料等が挙げられる。顔料としては、公知の市販品を一種類以上併用して使用することができる。
本発明では、プライマー塗膜(A)を形成する際に硬化剤を使用してもよい。硬化剤としては、エポキシ樹脂(a1)と反応しうる硬化剤であれば特に限定されるものではない
本発明の上塗塗膜(B)(以下塗膜(B)ということもある)は、少なくともアクリル樹脂(b1)、ブロックポリイソシアネート化合物(b2)および顔料(b3)の反応物を含有することを特徴とする。
本発明のアクリル樹脂(b1)(以下単にアクリル樹脂ともいう)としては、水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマー(アクリル系ポリマーまたはメタクリル系ポリマー)であり、例えば、水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマー1種以上と、水酸基を含有しない(メタ)アクリレートモノマー1種以上との共重合体が挙げられる。必要に応じて、他の重合性不飽和モノマーを共重合させたものであってもよい。
アクリル樹脂は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用するブロックポリイソシアネートとしては、通常のブロック基でブロックしたイソシアネート化合物を使用することができるが、特に活性メチレンブロックポリイソシアネート化合物であることが好ましい。
上塗塗膜(B)で使用する顔料(b3)は、プライマー塗膜(A)で使用することができる顔料(a2)と同じ材料を同じ範囲から選択して使用することができる。
本発明の顔料(b3)の含有率(Y)は、上塗塗膜(B)の2~85質量%であり、5~70質量%であることが好ましい。また顔料の各成分として着色顔料は顔料(b3)の70~100質量%、好ましくは85~100質量%含有させることができる。
本発明では、プライマー塗料組成物および上塗塗料組成物に溶剤(D)を含有させてもよい。
本発明のプライマー塗料組成物および上塗塗料組成物には、塗料組成物として必要な添加剤を適宜使用することができる。例えば、顔料分散剤、消泡剤、タレ防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防黴剤等のような、通常、当業界において、公知慣用のものとなっているような、種々の塗料用添加剤類を、慣用量使用することができる。
本発明の積層塗装物の製造方法は、被塗物上に、少なくともエポキシ樹脂(a1)および顔料(a2)の反応物を含有するプライマー塗膜(A)を有し、該塗膜(A)の上方に、少なくともアクリル樹脂(b1)、ブロックポリイソシアネート化合物(b2)および顔料(b3)の反応物を含有する上塗塗膜(B)を有する積層塗装物の製造方法であって、該プライマー塗膜(A)中の顔料(a2)の含有率(X)と該上塗塗膜(B)中の顔料(b3)の含有率(Y)の差|X-Y|が30以下であり、該顔料(a2)が体質顔料を含み、かつ塗膜形成成分に占める体質顔料の含有量が25質量%以下であり、該積層塗装物がウエットオンウエット塗装方法で形成されることを特徴とする。
本発明の積層塗装物は、一般の金属基材に防食性(防錆性)を付与するために用いることもできる。金属基材としては、特に限定されるものではないが、その形状は、例えば板状、シート状、箔状等である。また、該基材を構成する金属としては、鉄鋼、亜鉛めっき鋼、ステンレス鋼、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられ、中でも、鉄鋼が好ましい。
容器に、変性エポキシ樹脂溶液1を50質量部、酸化チタンを20質量部、トリポリリン酸二水素アルミニウム5質量部、硫酸バリウム1を2質量部、炭酸カルシウム1を3質量部、沈降防止剤2質量部、消泡剤0.5質量部、表面調整剤0.5質量部、キシレン8.5質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMME)8.5質量部を順次仕込み、公知の製造方法により、プライマー塗料組成物1を調製した。
プライマー塗料組成物1の原料配合を、表1の配合に変更する以外は、実施例1と同様の製造方法により、プライマー塗料組成物2~9を調製した。
1)変性エポキシ樹脂溶液1(商品名:アラキード9201N、荒川化学工業社製、不揮発分40質量%、Tg94℃、重量平均分子量50000)
2)変性エポキシ樹脂溶液2(商品名:アラキード9203N、荒川化学工業社製、不揮発分40質量%、Tg84℃、重量平均分子量30000)
3)変性エポキシ樹脂溶液3(商品名:EPICLON H-303-45M、DIC社製、不揮発分45質量%、Tg90℃)
4)酸化チタン(商品名:TITONE R-5N、堺化学工業社製)
5)トリポリリン酸二水素アルミニウム(商品名:K-White G105、テイカ社製、表面を亜鉛化合物で処理したトリポリリン酸2水素アルミニウム)
6)硫酸バリウム1(商品名:沈降性硫酸バリウム100、堺化学工業社製、平均粒子径0.5μm)
7)硫酸バリウム2(商品名:LAKABAR SF、LAKAVISUTH(ラカヴィッシュ)社製、平均粒子径10.4μm)
8)硫酸バリウム3(商品名:バリファインBF-20、堺化学工業社製、平均粒子径0.03μm)
9)炭酸カルシウム1(商品名:重質炭酸カルシウム、丸尾カルシウム社製、平均粒子径3μm)
10)炭酸カルシウム2(商品名:ネオライトSA-200、竹原化学工業社製、平均粒子径0.08μm)
11)沈殿防止剤(商品名:ディスパロン4200-20、楠本化成社製、酸化ポリオレフィン沈殿防止剤、不揮発分20質量%)
12)消泡剤(商品名:フローレンAC300、共栄社化学社製、アクリル系消泡剤、不揮発分77質量%)
13)表面調整剤(商品名:KF-69、信越シリコーン社製、シリコーンオイル系表面調整剤、不揮発分1質量%)
容器に、アクリル樹脂溶液2を50質量部、ブロックイソシアネート溶液1を15質量部、酸化チタン25質量部、無機黄色顔料5質量部、沈降防止剤1質量部、消泡剤0.5質量部、表面調整剤0.5質量部、光安定化剤1質量部、脱水剤1質量部、キシレン1質量部を順次仕込み、公知の製造方法により、上塗塗料組成物1を調製した。
上塗塗料組成物1の原料配合を、表2の配合に変更する以外は、上塗塗料組成物1と同様の製造方法により、上塗塗料組成物2~5を調製した。
14)アクリル樹脂溶液1(商品名:アクリディック44-127、DIC社製、不揮発分50質量%、Tg35℃、水酸基価(固形分)70)。
15)アクリル樹脂溶液2・・・下記製造例1に記載。
16)ブロックイソシアネート溶液1(商品名:デュラネートMFK-60X、旭化成社ケミカルズ製、不揮発分60質量%、ヘキサメチレンジイソシアネート由来のブロックポリイソシアネート)
17)ブロックイソシアネート溶液2(商品名:デスモジュールBL3575/1、コベストロ社製、不揮発分75質量%、ヘキサメチレンジイソシアネート由来のブロックポリイソシアネート)
18)ブロックイソシアネート溶液3(商品名:デスモジュールBL3475、コベストロ社製、不揮発分75質量%、ヘキサメチレンジイソシアネート/イソホロンジイソシアネート由来のブロックポリイソシアネート)
19)無機黄色顔料(商品名:Bayferrox 4905、Lanxess社製、酸化鉄系)
20)光安定化剤(商品名:TINUVIN292、BASF社製)
21)脱水剤(製品名:MOA、日宝化学社製、オルソ酢酸メチル)
スワゾール1000(コスモ石油株式会社製、芳香族炭化水素系溶媒)28質量部、トルエン質量85部、スチレン41.6質量部、n-ブチルアクリレート6.9質量部、イソブチルメタクリレート19質量部、プラクセル(FM-3)15質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート17質量部、アクリル酸0.5質量部、ジ-tert-ブチルハイドロパーオキサイド8質量部を窒素ガス下で110℃において反応させて、固形分45質量45%のアクリル樹脂溶液を得た。
(実施例1)
下記の工程1~工程3によって、実施例1の複層塗膜形成塗板(本発明の積層塗装物に該当する)を作製した。
工程1:冷間圧延鋼板(大きさ0.8×70×150mm、パルボンド#3020)にプライマー塗料組成物3を用い、乾燥膜厚が20μmになるようにスプレー塗装にて垂直塗装、25℃で3分間セッティングしプライマー塗膜を形成した。
工程2:次いでプライマー塗膜上に、上塗塗料組成物1を用い、乾燥膜厚が30μmになるようにスプレー塗装にてウエットオンウエットで垂直塗装をして、上塗塗膜を形成した。
工程3:工程1~工程2によって得られた積層塗膜を、25℃で10分間セッティングした後、130℃で25分間加熱乾燥(焼き付け)させて実施例1の複層塗膜形成塗板(積層塗装物)を得た。
(実施例1~8、比較例1~7)
工程1のプライマー塗料組成物と工程2の上塗塗料組成物を表3に示す組み合わせとする以外は、実施例1と同様にして、複層塗膜形成塗板を作製した。
実施例1~8及び比較例1~7の複層塗膜形成塗板について、外観(仕上がり性)、鉛筆硬度、層間付着性、耐湿性、および耐候性を次の方法で評価した。
目視により下記の基準で評価した。
○:上塗塗膜の外観が良好である。
×:プライマー塗膜の影響を受け、上塗の外観が低い。
実施例1~8及び比較例1~7の複層塗膜形成塗板を、JIS K 5600-5-4:1999に準じて、試験塗板面に対し約45°の角度に鉛筆の芯を当て、芯が折れない程度に強く試験塗板面に押し付けながら前方に均一な速さで約10mm動かした。塗膜が破れなかったもっとも硬い鉛筆の硬度記号を鉛筆硬度とした。F以上であれば、実用上問題ないレベルである。
JIS K 5600-5-6:1999に準じて各複層塗膜に1mm×1mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥した後に、残ったゴバン目塗膜の数を評価した。剥離個所が被塗物とベース塗膜の層間であるものは、基材付着性において残存しなかったとして評価した。剥離個所が複層塗膜の層間であるものは、基材付着性において残存したが層間付着性において残存しなかったとして評価した。
○:残存個数/全体個数=100個/100個。
△:残存個数/全体個数=90個~99個/100個。
×:残存個数/全体個数=89個以下/100個。
JIS K 5600-7-2:1999に準じて試験板の長辺を水平にし、塗面を回転方向に向けて、湿潤箱の中の回転環の内側と外側の2か所からつり具を用いて試験板をつるし、480時間試験した後、外観の状態を評価した。
○:外観に異常なく、付着性が分類1以下
△:一部外観にフクレあり。
×:外観にフクレまたは分類2以上の剥離がある。
実施例1~8及び比較例1~7の複層塗膜形成塗板を、JIS B 7753:2007に規定されたサンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験において、照射時間が最大1,200時間となるまで試験を行った。試験板の塗膜において、試験前の光沢に対する光沢保持率が80%となる照射時間を測定した。
○:光沢保持率が80%となる照射時間は1000時間以上であった。
×:光沢保持率が80%となる照射時間は1000時間未満であった。
Claims (4)
- 被塗物上に、少なくともエポキシ樹脂(a1)および顔料(a2)の反応物を含有するプライマー塗膜(A)を有し、該塗膜(A)の上方に、少なくともアクリル樹脂(b1)、ブロックポリイソシアネート化合物(b2)および顔料(b3)の反応物を含有する上塗塗膜(B)を有する積層塗装物であって、該プライマー塗膜(A)中の顔料(a2)の含有率(X)と該上塗塗膜(B)中の顔料(b3)の含有率(Y)の差|X-Y|が30以下であり、該顔料(a2)が体質顔料を含み、かつプライマー塗膜形成成分に占める体質顔料の含有量が25質量%以下である積層塗装物。
ただし、含有率(X)は、プライマー塗膜形成成分に占める顔料の割合を質量%で示したものであり、含有率(Y)は、上塗塗膜形成成分に占める顔料の割合を質量%で示したものである。 - 前記エポキシ樹脂(a1)が変性エポキシ樹脂(a1-1)である請求項1記載の積層塗装物。
- 前記ブロックポリイソシアネート化合物(b2)が活性メチレンブロックポリイソシアネート化合物(b2-1)である請求項1または2に記載の積層塗装物。
- 被塗物上に、少なくともエポキシ樹脂(a1)および顔料(a2)の反応物を含有するプライマー塗膜(A)を有し、該塗膜(A)の上方に、少なくともアクリル樹脂(b1)、ブロックポリイソシアネート化合物(b2)および顔料(b3)の反応物を含有する上塗塗膜(B)を有する積層塗装物の製造方法であって、該プライマー塗膜(A)中の顔料(a2)の含有率(X)と該上塗塗膜(B)中の顔料(b3)の含有率(Y)の差|X-Y|が30以下であり、該顔料(a2)が体質顔料を含み、かつプライマー塗膜形成成分に占める体質顔料の含有量が25質量%以下であり、該積層塗装物がウエットオンウエット塗装方法で形成される積層塗装物の製造方法。
ただし、含有率(X)は、プライマー塗膜形成成分に占める顔料の割合を質量%で示したものであり、含有率(Y)は、上塗塗膜形成成分に占める顔料の割合を質量%で示したものである。
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