本開示の特定の実施形態は、生体又は非生体サンプル中のTVの存在又は非存在の迅速検出法、例えば、単一試験管でのリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によるTVの多重検出に関する。実施形態は、増幅ステップ及びハイブリダイズステップを含み得る、1つ以上のサイクリングステップを実施することを含むTVの検出法を含む。さらに、実施形態は、単一管でのTVの検出用に設計されたプライマー、プローブ、及びキットを含む。検出法は、最も近い近縁種である口腔トリコモナス及び腸トリコモナスに対して識別を可能にする膣トリコモナスゲノム中の特定の遺伝子を標的とするように設計されている。
サンプル中のTVの検出法であって、前記サンプルを特定のTV遺伝子を標的とするように設計されたプライマーのセットと接触させて、TVが前記サンプル中に存在する場合に増幅産物を産生することを含む増幅ステップを実施することと、前記増幅産物を前記標的TV遺伝子に対する1つ以上の検出可能なプローブと接触させることを含むハイブリダイズステップを実施することと、前記増幅産物の存在又は非存在を検出することであって、前記増幅産物の存在が前記サンプル中のTVの存在を示し、前記増幅産物の非存在が前記サンプル中のTVの非存在を示すこととを含み、前記標的TV遺伝子が、5.8sリボソームRNA(5.8s)遺伝子、18s(又は16s様)リボソームRNA(18s)遺伝子、DNAミスマッチ修復ホモログ、減数分裂後分離増加-1(post-meiotic segregation increased-1)(PMS1)遺伝子、MutLホモログ1a(Mlh1a)遺伝子、及びcoronin(CRN)遺伝子からなる群から選択される、前記検出法を提供する。図1は、5.8s遺伝子、内部転写配列2(ITS2)、及びTVゲノム中の隣接遺伝子の位置を示す。
一態様において、サンプル中の膣トリコモナス(TV)を検出する方法であって、前記サンプルを標的TV遺伝子プライマーのセットと接触させ、標的TV遺伝子核酸が前記サンプル中に存在する場合に増幅産物を産生することを含む増幅ステップを実施することと、前記増幅産物を1つ以上の検出可能な標的TV遺伝子プローブと接触させることを含むハイブリダイズステップを実施することと、前記増幅産物の存在又は非存在を検出することであって、前記増幅産物の存在が前記サンプル中のTVの存在を示し、前記増幅産物の非存在が前記サンプル中のTVの非存在を示すこととを含み、前記標的TV遺伝子プライマーのセットが、配列番号1~9、19~28、45~48、55~64、及び80~89からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号10~13、29~38、49~52、65~74、及び90~99からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、前記1つ以上の検出可能な標的TV遺伝子プローブが、配列番号14~18、39~44、53~54、75~79、及び100~105からなる群から選択される第3のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む、又はからなる、前記方法を提供する。
一実施形態において、5.8s遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、及び9からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号10、11、12、及び13からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、5.8s遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号14、15、16、17、及び18の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。特定の実施形態において、5.8s遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号3、6、7、及び9からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号12からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、5.8s遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号16、17、及び18の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。
別の実施形態において、18s遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号19、20、21、22、23、24、25、26、27、及び28からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号29、30、31、32、33、34、35、36、37、及び38からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、18s遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号39、40、41、42、43、及び44の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。特定の実施形態において、18s遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号21及び22からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号31及び32からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、18s遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号40の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。
別の実施形態において、PMS1遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号45、46、47、及び48からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号49、50、51、及び52からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、PMS1遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号53及び54の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。
別の実施形態において、Mlh1a遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号55、56、57、58、59、60、61、62、63、及び64からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号65、66、67、68、69、70、71、72、73、及び74からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、Mlh1a遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号75、76、77、78、及び79の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。特定の実施形態において、Mlh1a遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号57、58、63、及び64からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号67、68、73、及び74からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、Mlh1a遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号76及び79の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。
別の実施形態において、CRN遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号80、81、82、83、84、85、86、87、88、及び89からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号90、91、92、93、94、95、96、97、98、及び99からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、CRN遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号100、101、102、103、104、及び105の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。特定の実施形態において、CRN遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号80、81、82、及び83からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号90、91、92、及び93からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、CRN遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号100及び101の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。
いくつかの実施形態において、ハイブリダイズステップは、増幅産物を、ドナー蛍光部分及び対応するアクセプター部分で標識された検出可能な標的TV遺伝子プローブと接触させることを含み、検出ステップは、プローブのドナー蛍光部分とアクセプター部分との間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の存在又は非存在を検出することであって、蛍光の存在又は非存在がサンプル中のTVの存在又は非存在を示すことを含む。いくつかの実施形態において、増幅ステップとハイブリダイズステップを繰り返す。ここで、反復の回数は、サンプルの性質などに依存する。サンプルが核酸の混成物である場合、検出に充分な標的配列を増幅するためにより多くの増幅ステップ及びハイブリダイズステップが必要となる。いくつかの実施形態において、増幅ステップ及びハイブリダイズステップを約20回以上繰り返すが、25、30、40、50、60、又は100回以上もの回数繰り返してもよい。さらに、増幅産物の存在又は非存在の検出を、各増幅ステップ及びハイブリダイズステップの間若しくは後、1つおきの増幅ステップ及びハイブリダイズステップの間若しくは後、特定の増幅ステップ及びハイブリダイズステップの間若しくは後、又は増幅産物が存在する場合には検出に充分な増幅産物が見込まれる特定の増幅ステップ及びハイブリダイズステップの間若しくは後に行い得る。いくつかの実施形態において、増幅ステップは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を使用する。いくつかの実施形態において、ドナー蛍光部分及び対応するアクセプター部分は、プローブ上で互いの8~20ヌクレオチド以内にある。いくつかの実施形態において、アクセプター部分は、クエンチャーである。
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号1~105から選択されるヌクレオチドの配列又はその相補配列を含むか、又はからなり、100以下のヌクレオチド、50個以下のヌクレオチド、40個以下のヌクレオチド、又は30個以下のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2の標的TV遺伝子プライマー並びに検出可能な標的TV遺伝子プローブは、40個以下のヌクレオチド(例えば、35個以下のヌクレオチド、30個以下のヌクレオチドなど)を有する。別の実施形態では、本開示は、配列番号1~105のうちの1つ又はその相補配列と70%以上の配列同一性(例えば、75%、80%、85%、90%、又は95%以上など)を有する核酸を含むオリゴヌクレオチドを提供し、当該オリゴヌクレオチドは、100以下のヌクレオチドを有する。概して、これらのオリゴヌクレオチドは、これらの実施形態においてプライマー核酸、プローブ核酸、又は同種のものであり得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば、未修飾ヌクレオチドと比較して核酸ハイブリダイゼーション安定性を変えるために、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。必要に応じて、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の標識及び/又は1つ以上のクエンチャー部分を含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の保存的に修飾された変異を含む。特定の塩基配列の「保存的に修飾された変異」又は単に「保存的変異」は、同一若しくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指すか、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列を指す。当業者は、コードされた配列中の単一アミノ酸又はごく一部のアミノ酸(典型的には5%未満、より典型的には4%、2%、若しくは1%未満)を変更、追加、又は削除する個々の置換、欠失、又は付加が、改変がアミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、又は化学的に類似のアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす「保存的に修飾された変異」であることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、第1及び第2の標的TV遺伝子プライマー並びに検出可能な標的TV遺伝子プローブのうちの1つ以上が、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、増幅(増幅ステップ)は、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を使用することができる。したがって、ドナー蛍光部分及びアクセプター部分、例えばクエンチャーは、プローブの長さに沿って互いの5から20ヌクレオチド(例えば、8又は10ヌクレオチド)以内であり得る。別の態様では、検出可能なプローブは、二次構造形成を可能にする塩基配列を含む。当該二次構造形成は、通常、第1の蛍光部分と第2の蛍光部分との間の空間的近接をもたらす。当該方法によれば、プローブ上の第2の蛍光部分はクエンチャーであることができる。
本開示は、個体からの生体サンプル中のTVの存在又は非存在を検出する方法を提供する。当該方法は、増幅ステップ及び色素結合ステップを含む1つ以上のサイクリングステップを実施することを通常含む。典型的には、増幅ステップは、サンプルを特定のTV遺伝子を標的とするように設計された複数のプライマーのペアと接触させて、標的TV遺伝子核酸分子がサンプル中に存在する場合に1種以上の標的TV遺伝子増幅産物を産生することを含み、色素結合ステップは、標的TV遺伝子増幅産物を二本鎖DNA結合色素と接触させることを含む。当該方法はまた、増幅産物への二本鎖DNA結合色素の結合の存在又は非存在を検出することであって、結合の存在は、サンプル中のTVの存在を示し、結合の非存在は、サンプル中のTVの非存在を示すことを含む。代表的な二本鎖DNA結合色素は臭化エチジウムである。さらに、当該方法はまた、標的TV遺伝子増幅産物と二本鎖DNA結合色素との間の融解温度を求めることであって、融解温度が、TVの存在又は非存在を確証することも含むことができる。標的TV遺伝子は、5.8s遺伝子、18s遺伝子、PMS1遺伝子、Mlh1a遺伝子、及びCRN遺伝子を含み得るが、これらに限定されない。
別の態様では、TVの1つ以上の核酸を検出するためのキットを提供する。キットは、標的TV遺伝子の増幅に特異的なプライマーの1つ以上のセットと、標的TV遺伝子増幅産物の検出に特異的な1つ以上の検出可能なプローブとを含むことができる。標的TV遺伝子は、5.8s遺伝子、18s遺伝子、PMS1遺伝子、Mlh1a遺伝子、及びCRN遺伝子を含み得るが、これらに限定されない。特に、本発明に係る方法に関連して上記で開示したオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブは、本発明に係るキットに含めるのに適している。ここで、膣トリコモナス(TV)の核酸を検出するためのキットであって、配列番号1~9、19~28、45~48、55~64、及び80~89からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む第1のプライマーと、配列番号10~13、29~38、49~52、65~74、及び90~99からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む第2のプライマーと、配列番号14~18、39~44、53~54、75~79、及び100~105からなる群から選択される第3のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む蛍光検出可能に標識されたプローブであって、前記第1のプライマー及び前記第2のプライマーが生成したアンプリコンにハイブリダイズするように構成された前記検出可能に標識されたプローブとを含む前記キットを提供する。一態様において、キットは、ドナー部分及び対応するアクセプター部分、例えば、別の蛍光部分若しくはダーククエンチャーで既に標識されたプローブを含むことができ、又はプローブを標識するためのフルオロフォア部分を含むことができる。キットはまた、ヌクレオシド三リン酸、核酸ポリメラーゼ、及び核酸ポリメラーゼの機能に必要な緩衝液のうちの1つ以上を含むことができる。キットはまた、プライマー、プローブ、及びフルオロフォア部分を使用してサンプル中のTVの存在又は非存在を検出するための添付文書及び指示書を含むことができる。いくつかの実施形態において、第3の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド配列は、ドナー蛍光部分及び対応するアクセプター部分を含む。いくつかの実施形態において、アクセプター部分は、クエンチャーである。いくつかの実施形態において、第1、第2、及び第3のオリゴヌクレオチドのうちの1つ以上は、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1、第2、及び第3のオリゴヌクレオチドは、40個以下のヌクレオチドを有する。
別の態様では、上記に開示されている標的TV遺伝子を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーのセットを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、標的TV遺伝子プライマーのセットは、配列番号1~9、19~28、45~48、55~64、及び80~89からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号10~13、29~38、49~52、65~74、及び90~99からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む第2のプライマーとを含む。特定の実施形態において、組成物は、配列番号14~18、39~44、53~54、75~79、及び100~105からなる群から選択される第3のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる1つ以上の検出可能な標的TV遺伝子プローブをさらに含む。
別の態様では、個体からの生体サンプル中のTVを検出する方法を、TV及び/又はMGに感染した個体は無症状であるので、同じ生体サンプルからマイコプラズマ・ゲニタリウム(MG)を検出する方法と一緒に実施する。ここで、上記で与えられているTVの増幅及び検出のためのステップに加えて、サンプル中のMG及び/又はTVの検出法は、前記サンプルを特定のMG遺伝子を標的とするように設計されたプライマーのセットと接触させて、MGが前記サンプル中に存在する場合に増幅産物を産生することを含む増幅ステップを実施することと、前記増幅産物を前記標的MG遺伝子に対する1つ以上の検出可能なプローブと接触させることを含むハイブリダイズステップを実施することと、前記増幅産物の存在又は非存在を検出することであって、前記増幅産物の存在が前記サンプル中のMGの存在を示し、前記増幅産物の非存在が前記サンプル中のMGの非存在を示すこととを含み、前記標的MG遺伝子は、23sリボソームRNA(23s)遺伝子、Mgpa接着オペロン内のmgpB(mgpB)遺伝子の保存領域A、及びmgpB部分リピート(MgPar)の可変EF領域からなる群から選択される。一実施形態において、生体サンプル中のTV及びMGの検出方法を、多重アッセイとして同じ反応混合物中で行う。一実施形態において、標的MG遺伝子プライマーのセットは、配列番号106~112、134~140、及び152~161からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む第1のプライマーと、配列番号113~122、141~146、及び162~171からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む第2のプライマーとを含み、1つ以上の検出可能な標的MG遺伝子プローブは、配列番号123~133、147~151、及び172~194からなる群から選択される第3のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む。
一実施形態において、23s遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号106、107、108、109、110、111、及び112からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号113、114、115、116、117、118、119、120、121、及び122からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、23s遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、及び133の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。特定の実施形態において、23s遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号108及び109からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号113及び114からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、23s遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号129の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。
別の実施形態において、mgpB遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号134、135、136、137,138、139、及び140からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号141、142、143、144、145、及び146からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、mgpB遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号147、148、149、150、及び151の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。特定の実施形態において、mgpB遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号139及び140からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号145及び146からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、mgpB遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号150及び151の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。
別の実施形態において、MgPar遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号152、153、154、155、156、157、158、159、160、及び161からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号162、163、164、165、166、167、168、169、170、及び171からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、MgPar遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、及び194の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。特定の実施形態において、MgPar遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号153及び161からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第1のプライマーと、配列番号169、170、及び171からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含むか、又はからなる第2のプライマーとを含み、MgPar遺伝子増幅産物の検出のための検出可能なプローブは、配列番号185及び194の塩基配列又はその相補配列を含むか、又はからなる。いくつかの実施形態において、ハイブリダイズステップは、増幅産物を、ドナー蛍光部分及び対応するアクセプター部分で標識された検出可能な標的MG遺伝子プローブと接触させることをさらに含み、検出ステップは、プローブのドナー蛍光部分とアクセプター部分との間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の存在又は非存在を検出することであって、蛍光の存在又は非存在がサンプル中のMGの存在又は非存在を示すことを含む。いくつかの実施形態において、増幅ステップとハイブリダイズステップを繰り返す。ここで、反復の回数は、サンプルの性質などに依存する。サンプルが核酸の混成物である場合、検出に充分な標的配列を増幅するためにより多くの増幅ステップ及びハイブリダイズステップが必要となる。いくつかの実施形態において、増幅ステップ及びハイブリダイズステップを約20回以上繰り返すが、25、30、40、50、60、又は100回以上もの回数繰り返してもよい。さらに、増幅産物の存在又は非存在の検出を、各増幅ステップ及びハイブリダイズステップの間若しくは後、1つおきの増幅ステップ及びハイブリダイズステップの間若しくは後、特定の増幅ステップ及びハイブリダイズステップの間若しくは後、又は増幅産物が存在する場合には検出に充分な増幅産物が見込まれる特定の増幅ステップ及びハイブリダイズステップの間若しくは後に行い得る。いくつかの実施形態において、増幅ステップは、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を使用する。いくつかの実施形態において、ドナー蛍光部分及び対応するアクセプター部分は、プローブ上で互いの8~20ヌクレオチド以内にある。いくつかの実施形態において、アクセプター部分は、クエンチャーである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号106~194から選択されるヌクレオチドの配列又はその相補配列を含むか、又はからなり、100個以下のヌクレオチド、50個以下のヌクレオチド、40個以下のヌクレオチド、又は30個以下のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、第1及び第2の標的MG遺伝子プライマー並びに検出可能な標的MG遺伝子プローブは、40個以下のヌクレオチド(例えば、35個以下のヌクレオチド、30個以下のヌクレオチドなど)を有する。別の実施形態では、本開示は、配列番号106~194のうちの1つ又はその相補配列と70%以上の配列同一性(例えば、75%、80%、85%、90%、又は95%以上など)を有する核酸を含むオリゴヌクレオチドを提供し、当該オリゴヌクレオチドは、100以下のヌクレオチドを有する。概して、これらのオリゴヌクレオチドは、これらの実施形態においてプライマー核酸、プローブ核酸、又は同種のものであり得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば、未修飾ヌクレオチドと比較して核酸ハイブリダイゼーション安定性を変えるために、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。必要に応じて、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の標識及び/又は1つ以上のクエンチャー部分を含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の保存的に修飾された変異を含む。特定の塩基配列の「保存的に修飾された変異」又は単に「保存的変異」は、同一若しくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指すか、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列を指す。当業者は、コードされた配列中の単一アミノ酸又はごく一部のアミノ酸(典型的には5%未満、より典型的には4%、2%、若しくは1%未満)を変更、追加、又は削除する個々の置換、欠失、又は付加が、改変がアミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、又は化学的に類似のアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす「保存的に修飾された変異」であることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、第1及び第2の標的MG遺伝子プライマー並びに検出可能な標的MG遺伝子プローブのうちの1つ以上が、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。
別の態様では、単一管 (single tube)でのTV及びMGの複合検出のために設計されたキットを提供する。ここで、当該キットは、標的TV遺伝子の増幅に特異的なプライマーの1つ以上のセットと、標的MG遺伝子の増幅に特異的なプライマーの1つ以上のセットと組み合わせて、上記で与えられている標的TV遺伝子増幅産物の検出に特異的な1つ以上の検出可能なプローブと、標的MG遺伝子増幅産物の検出に特異的な1つ以上の検出可能なプローブとを含むことができる。一実施形態において、当該キットは、配列番号1~9、19~28、45~48、55~64、及び80~89からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む第1のプライマーと、配列番号10~13、29~38、49~52、65~74、及び90~99からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む第2のプライマーと、配列番号14~18、39~44、53~54、75~79、及び100~105からなる群から選択される第3のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む蛍光検出可能に標識されたプローブであって、前記第1のプライマー及び前記第2のプライマーが生成したアンプリコンにハイブリダイズするように構成された前記検出可能に標識されたプローブとを含み、特定のMG遺伝子を標的として前記MG遺伝子の増幅産物を産生するように設計されたプライマーのセットと、前記MG増幅産物にハイブリダイズすることができる1つ以上の検出可能なプローブとをさらに含む。ここで、前記特定のMG遺伝子は、23sリボソームRNA(23s)遺伝子、Mgpa接着オペロン内のmgpB(mgpB)遺伝子の保存領域A、及びmgpB部分リピート(MgPar)の可変EF領域からなる群から選択される。より具体的には、特定のMG遺伝子の増幅及び検出のためのプライマー及びプローブは、上記のMGプライマー及びプローブであり得る。いくつかの実施形態において、標的MG遺伝子プライマーのセットは、配列番号106~112、134~140、及び152~161からなる群から選択される第1のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む第1のプライマーと、配列番号113~122、141~146、及び162~171からなる群から選択される第2のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む第2のプライマーとを含み、1つ以上の検出可能な標的MG遺伝子プローブは、配列番号123~133、147~151、及び172~194からなる群から選択される第3のオリゴヌクレオチド配列又はその相補配列を含む。いくつかの実施形態において、当該キットは、ドナー部分及び対応するアクセプター部分、例えば、別の蛍光部分若しくはダーククエンチャーで既に標識されたプローブを含むか、又はプローブを標識するためのフルオロフォア部分を含むことができる。ここで、TVを検出するためのプローブ、及びMGを検出するためのプローブの標識は同じであり得る。この実施形態において、どの標的核酸が存在するかを識別することなく、TV又はMGのいずれかを検出するためにキットを使用し得る。別の実施形態では、TVを検出するためのプローブの標識は、MGを検出するための標識と異なり、標的核酸のいずれかの特異的検出を可能にし、どの標的核酸が存在するか(TV及びMGどちらもなし、TV若しくはMGのいずれか一方のみ、又はTV及びMGの両方のうちのいずれか)を識別する。当該キットは、上記でTVキットについて概説した構成要素のうちのいずれかをさらに含み得る。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似又は均等な方法及び材料を本主題の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。さらに、材料、方法、及び実施例は例示的なものに過ぎず、限定することを意図するものではない。本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、図面及び詳細な説明、並びに請求項から明らかになるであろう。
発明の詳細な説明
核酸増幅によるTV感染の診断は、原虫感染を迅速かつ正確に検出するための方法を提供する。サンプル中のTVを検出するためのリアルタイムアッセイを本明細書に記載する。TVを検出するためのプライマー及びプローブ、並びに当該プライマー及びプローブを含有する製品又はキットを提供する。他の方法と比較してTVの検出のためのリアルタイムPCRの感度が高いことと、サンプル封じ込め及び増幅産物のリアルタイム検出を含むリアルタイムPCRの機能が改善されていることとは、臨床検査室でのTV感染の日常的診断のための本技術の導入を可能にする。
本開示は、TaqMan(登録商標)増幅及び検出技術を用いて特異的にTVを同定するために、TVゲノムの特定の遺伝子座にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマー及び蛍光標識加水分解プローブを含む。TVの標的選択には、公開配列データベースの包括的な検索と、最も近い近隣種である口腔トリコモナス及び腸トリコモナスに対して識別を可能にするTV標的についての文献検索が必要であった。公開配列データベースからの複数の標的を標的選択プロセスで分析したが、多くは口腔トリコモナス及び腸トリコモナスとの交差反応性を示した。さらに、公開データベースの配列は、マルチコピー標的からの「バルク」配列データによって複雑化される。
解析の結果、予想標的TV遺伝子には、5.8sリボソームRNA遺伝子(GenBank受託番号U86613)、18sリボソームRNA遺伝子(GenBank受託番号NW001533462)、DNAミスマッチ修復ホモログ、減数分裂後分離増加-1(post-meiotic segregation increased-1)(PMS1)遺伝子(GenBank受託番号NW001581675)、MutLホモログ1a(Mlh1a)遺伝子(GenBank受託番号XM001320341)、及びcoronin(CRN)遺伝子(GenBank受託番号XM001581132)が含まれる。特定の態様では、標的TV遺伝子は5.8sリボソームRNA遺伝子であり、この遺伝子はゲノムあたり200コピーを超えて存在し、したがってアッセイの感度を益する。さらに、5.8sリボソームRNA遺伝子は、メトロニダゾール耐性及びメトロニダゾール感受性TVに存在し、したがって、両方のTV型の複合検出を可能にする。
開示された方法は、1つ以上のプライマーのペアを用いてサンプルから核酸分子遺伝子標的の1つ以上の部分を増幅することを含む1つ以上のサイクリングステップを実施することを含み得る。本明細書で使用される「プライマー」は、TV中の標的遺伝子に特異的にアニーリングし、それぞれの増幅産物を産生する適当な条件下でそこからDNA合成を開始するオリゴヌクレオチドプライマーを指す。議論されるプライマーの各々は、各増幅産物の少なくとも一部が標的に対応する塩基配列を含むように、それぞれの標的核酸分子内又はその近傍の標的にアニーリングする。1種以上の標的TV遺伝子核酸がサンプル中に存在する場合、1種以上の増幅産物が産生され、したがって、1種以上の標的TV遺伝子増幅産物の存在は、サンプル中のTVの存在を示す。増幅産物は、標的TV遺伝子のための1つ以上の検出可能なプローブに相補的な塩基配列を含むべきである。本明細書で使用する「プローブ」は、標的TV遺伝子をコードする塩基配列に特異的にアニーリングするオリゴヌクレオチドプローブを指す。各サイクリングステップは、増幅ステップ、ハイブリダイゼーションステップ、及びサンプル中のTVの存在又は非存在の検出のためにサンプルを1つ以上の検出可能なプローブと接触させる検出ステップを含む。
本明細書で使用される場合、用語「増幅」は、鋳型核酸分子の一方又は両方の鎖に相補的な核酸分子を合成するプロセスを指す。核酸分子の増幅には、典型的には、鋳型核酸を変性させることと、プライマーの融解温度より低い温度でプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせることと、プライマーから酵素的に伸長させて増幅産物を得ることとが含まれる。増幅は、典型的には、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、DNAポリメラーゼ酵素(例えばPlatinum(登録商標)Taq)、並びにポリメラーゼ酵素の最適な活性のための適当な緩衝液及び/又は補因子(例えば、MgCl2及び/又はKCl)の存在を必要とする。
本明細書で使用される用語「プライマー」は、当業者に公知であり、オリゴマー化合物、主にオリゴヌクレオチドを指すが、鋳型依存性DNAポリメラーゼによってDNA合成を「プライミング」することができる修飾オリゴヌクレオチドも指し、すなわち、オリゴヌクレオチドなどの3’末端は遊離3’-OH基を提供し、3’から5’のホスホジエステル結合を確立する鋳型依存性DNAポリメラーゼによりさらなる「ヌクレオチド」がそこへ結合され得、それによってデオキシヌクレオシド三リン酸が使用され、ピロリン酸塩が放出される。したがって、おそらく意図された機能を除いて、「プライマー」、「オリゴヌクレオチド」、又は「プローブ」の間に基本的な違いはない。
用語「ハイブリダイズ」は、1つ以上のプローブの増幅産物へのアニーリングを指す。ハイブリダイゼーション条件は、典型的には、プローブの融解温度未満であるが、プローブの非特異的ハイブリダイゼーションを回避する温度を含む。
用語「5’→3’ヌクレアーゼ活性」は、典型的には核酸鎖合成に関連する核酸ポリメラーゼの活性を指し、これによりヌクレオチドが核酸鎖の5’末端から除去される。
用語「熱安定性ポリメラーゼ」は、熱安定性であるポリメラーゼ酵素を指し、すなわち、酵素は鋳型に相補的なプライマー伸長産物の形成を触媒し、二本鎖鋳型核酸の変性を行うのに必要な時間高温に付された場合に、不可逆的に変性しない。一般に、合成は各プライマーの3’末端で開始され、鋳型鎖に沿って5’から3’方向に進行する。熱安定性ポリメラーゼは、Thermus flavus、T.ruber、T.thermophilus、T.aquaticus、T.lacteus、T.rubens、Bacillus stearothermophilus、及びMethanothermus fervidusから単離されている。とはいえ、酵素が補充されれば、熱安定性でないポリメラーゼもPCRアッセイに用いることができる。
用語「その相補配列」は、所与の核酸と同じ長さであり、かつ所与の核酸に正確に相補的である核酸を指す。
核酸に関して使用される場合、用語「伸長(extension)」又は「伸長(elongation)」は、さらなるヌクレオチド(又は他の類似分子)が核酸に組み込まれることを指す。例えば、核酸は、核酸の3’末端にヌクレオチドを通常付加するポリメラーゼなどの生体触媒を組み込んだヌクレオチドによって必要に応じて伸長される。
2つ以上の塩基配列における用語「同一」又はパーセント「同一性」は、例えば、当業者に利用可能な配列比較アルゴリズムの1つを使用して、又は目視検査によって測定される最大一致について比較及びアラインメントした場合に、同一であるか、又は特定のパーセンテージの同一なヌクレオチドを有する2つ以上の配列又は部分配列を指す。パーセント配列同一性及び配列類似性を求めるのに適した例示的なアルゴリズムは、BLASTプログラムであり、これは、例えば、Altschul et al.(1990) “Basic local alignment search tool” J. Mol.Biol.215:403-410、Gish et al.(1993) “Identification of protein coding regions by database similarity search” Nature Genet.3:266-272、Madden et al.(1996) “Applications of network BLAST server” Meth.Enzymol.266:131-141、Altschul et al.(1997) “Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs” Nucleic Acids Res.25:3389-3402、及びZhang et al.(1997) “PowerBLAST: A new network BLAST application for interactive or automated sequence analysis and annotation” Genome Res.7:649-656に記載されている。
オリゴヌクレオチドにおける「修飾ヌクレオチド」は、オリゴヌクレオチド配列の1つ以上のヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドに所望の特性を与える異なるヌクレオチドによって置換されている改変を指す。本明細書に記載のオリゴヌクレオチドにおいて置換されていることができる例示的な修飾ヌクレオチドには、例えば、C5-メチル-dC、C5-エチル-dC、C5-メチル-dU、C5-エチル-dU、2,6-ジアミノプリン、C5-プロピニル-dC、C5-プロピニル-dU、C7-プロピニル-dA、C7-プロピニル-dG、C5-プロパルギルアミノ-dC、C5-プロパルギルアミノ-dU、C7-プロパルギルアミノ-dA、C7-プロパルギルアミノ-dG、7-デアザ-2-デオキシキサントシン、ピラゾロピリミジン類似体、擬似dU、ニトロピロール、ニトロインドール、2’-0-メチルリボ-U、2’-0-メチルリボ-C、N4-エチル-dC、N6-メチル-dA、及び同種のものが含まれる。オリゴヌクレオチドにおいて置換されていることができる多くの他の修飾ヌクレオチドは、本明細書中で言及されているか、又は当技術分野において別様に公知である。特定の実施形態において、修飾ヌクレオチド置換は、対応する未修飾オリゴヌクレオチドの融解温度と比較して、オリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)を変える。さらに説明すると、特定の修飾ヌクレオチド置換は、いくつかの実施形態において、非特異的核酸増幅を低下させること(例えば、プライマーダイマー形成若しくは同種のことを最小限に抑えること)、意図する標的アンプリコンの収率を増加させること、及び/又は同種のことができる。これらのタイプの核酸修飾の例は、例えば、米国特許第6,001,611号明細書に記載されている。
TVの検出
本開示は、標的TV遺伝子塩基配列の一部などを増幅することによってTVを検出する方法を提供する。5.8s遺伝子、18s遺伝子、PMS1遺伝子、Mlh1a遺伝子、及びCRN遺伝子の塩基配列は公的に入手可能である(例えば、GenBank)。具体的には、特定のTV核酸分子標的を増幅及び検出するためのプライマー及びプローブが、本開示の実施形態によって提供される。
TVの検出のために、標的TV遺伝子を増幅するためのプライマー及びプローブが提供される。本明細書に例示されているもの以外の核酸もまた、サンプル中のTVを検出するために使用することができる。例えば、機能的変異体は、当業者が常法を用いて特異性及び/又は感度について評価することができる。代表的な機能的変異体は、例えば、本明細書で開示される標的TV遺伝子核酸における1つ以上の欠失、挿入、及び/又は置換を含むことができる。
より具体的には、オリゴヌクレオチドの実施形態は、それぞれ、配列番号1~105から選択される配列を有する核酸、配列番号1~105のうちの1つと例えば80%、90%、若しくは95%以上の配列同一性を有するその実質的に同一の変異体、又は配列番号1~105の相補配列及びその変異体を含む。
一実施形態において、TVを含むことが疑われる生体サンプル中のTVの検出を与えるために、上記のプライマー及びプローブのセットを使用する。プライマー及びプローブのセットは、配列番号1~105の塩基配列を含むか、又はからなる5.8s遺伝子、18s遺伝子、PMS1遺伝子、Mlh1a遺伝子、及びCRN遺伝子の塩基配列に特異的なプライマー及びプローブを含み得るか、又はからなり得る。別の実施形態では、標的TV遺伝子用のプライマー及びプローブは、配列番号1~105のプライマー及びプローブのいずれかの機能的に活性な変異体を含むか、又はからなる。
配列番号1~105のプライマー及び/又はプローブのいずれかの機能的に活性な変異体は、開示される方法においてプライマー及び/又はプローブを使用することによって、同定され得る。配列番号1~105のいずれかのプライマー及び/又はプローブの機能的に活性な変異体は、記載の方法又はキットにおいて、配列番号1~105のそれぞれの配列と比較して同様又はより高い特異性及び感度を与えるプライマー及び/又はプローブに関する。
変異体は、例えば、配列番号1~105のそれぞれの配列の5’末端及び/又は3’末端での1つ以上のヌクレオチド付加、欠失、又は置換などの1つ以上のヌクレオチド付加、欠失、又は置換によって、配列番号1~105の配列と異なり得る。上で詳述したように、プライマー(及び/又はプローブ)は化学的に修飾されていることがあり得、すなわち、プライマー及び/又はプローブは、修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチド化合物を含み得る。それゆえ、プローブ(又はプライマー)は、修飾オリゴヌクレオチドである。「修飾ヌクレオチド」(又は「ヌクレオチド類似体」)は、ある種の修飾によって天然の「ヌクレオチド」とは異なるが、依然として、塩基若しくは塩基様化合物、ペントフラノシル糖若しくはペントフラノシル糖様化合物、リン酸部分若しくはリン酸様部分、又はそれらの組み合わせからなる。例えば、「標識」を「ヌクレオチド」の塩基部分に結合させて、「修飾ヌクレオチド」を得てもよい。また、「ヌクレオチド」中の天然の塩基を、7-デアザプリンなどによって置換して、「修飾ヌクレオチド」を得てもよい。用語「修飾ヌクレオチド」又は「ヌクレオチド類似体」は、本出願において互換的に使用される。「修飾ヌクレオシド」(又は「ヌクレオシド類似体」)は、「修飾ヌクレオチド」(又は「ヌクレオチド類似体」)について上で概説した様式による何らかの修飾によって天然ヌクレオシドと異なる。
標的TV遺伝子、例えば5.8s遺伝子をコードする核酸分子を増幅する修飾オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチドは、例えば、OLIGO(Molecular Biology Insights Inc, Cascade, Colo.)などのコンピュータープログラムを用いて設計することができる。増幅プライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドを設計する際の重要な特徴には、(例えば、電気泳動による)検出を容易にする適当なサイズの増幅産物、プライマーのペアの構成要素について同様の融解温度、及び各プライマーの長さ(すなわち、プライマーは、配列特異性によるアニーリングと合成の開始とに充分な長さであるが、オリゴヌクレオチド合成の間に適合度が低下するほど長くはない必要がある)が含まれるが、これらに限定はされない。典型的には、オリゴヌクレオチドプライマーは、長さが8~50ヌクレオチド(例えば、長さが8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、又は50ヌクレオチド)である。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーは、長さが40以下のヌクレオチドである。
プライマーのセットに加えて、当該方法は、TVの存在又は非存在を検出するために、1つ以上のプローブを使用し得る。用語「プローブ」は、規定の所定のストリンジェンシー下で「標的核酸」に、本事例においては標的TV遺伝子核酸に特異的に(すなわち、優先的に)ハイブリダイズすることを可能にする特定の塩基配列を設計又は選択により含む、合成の、又は生物学的に産生される核酸(DNA又はRNA)を指す。「プローブ」を、標的核酸を検出することを意味する「検出プローブ」と呼ぶことができる。
いくつかの実施形態では、記載の標的TV遺伝子プローブを、1つ以上の蛍光標識で標識することができる。一実施形態では、標的TV遺伝子プローブを、ドナー蛍光部分、例えば蛍光色素、及び対応するアクセプター部分、例えばクエンチャーで標識することができる。一実施形態において、プローブは、蛍光部分を含むか、又はからなり、塩基配列は、配列番号14~18、39~44、53~54、75~79、及び100~105を含むか、又はからなる。
プローブとして使用されるオリゴヌクレオチドの設計は、プライマーの設計と同様の方法で行うことができる。実施形態は、増幅産物の検出のために単一のプローブ又はプローブのペアを使用し得る。実施形態に応じて、プローブの使用は、1つ以上の標識及び/又は1つ以上のクエンチャー部分を含み得る。プライマーと同様に、プローブは通常、同様の融解温度を有し、各プローブの長さは、配列特異的ハイブリダイゼーションが起こるのに充分であるが、合成の間に適合度が低下するほど長くはない必要がある。オリゴヌクレオチドプローブは、通常、長さが15から40(例えば、16、18、20、21、22、23、24、又は25)ヌクレオチドである。
コンストラクトは、それぞれが標的TV遺伝子プライマー及びプローブ核酸分子のうちの1つを含むベクターを含むことができる。コンストラクトは、例えば、対照鋳型核酸分子として使用することができる。使用に適したベクターは、市販されているか、且つ/又は当技術分野で常用の組み換え核酸技術方法によって産生される。標的TV遺伝子核酸分子は、例えば、化学合成、TVからの直接クローニング、又はPCR増幅によって得ることができる。
当該方法における使用に適したコンストラクトは、典型的には、標的TV遺伝子核酸分子(例えば、配列番号1~105の1つ以上の配列を含む核酸分子)に加えて、所望のコンストラクト及び/又は形質転換体を選択するための選択マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)をコードする配列及び複製起点を含む。ベクター系の選択は、いくつかの因子、例えば、限定はされないが、宿主細胞の選択、複製効率、選択性、誘導性、及び回収の容易さに通常依存する。
標的TV遺伝子核酸分子を含むコンストラクトは、宿主細胞中で増殖させることができる。本明細書で使用される場合、宿主細胞という用語は、原核生物並びに酵母、植物、及び動物細胞などの真核生物を含むことが意図されている。原核生物宿主には、大腸菌、ネズミチフス菌、霊菌、及び枯草菌が含まれ得る。真核生物宿主には、S. cerevisiae、S. pombe、Pichia pastorisなどの酵母、COS細胞又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞、昆虫細胞、及びシロイヌナズナ及びタバコなどの植物細胞が含まれる。コンストラクトは、当業者に一般的に知られている技術のいずれかを用いて宿主細胞に導入することができる。例えば、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、熱ショック、リポフェクション、マイクロインジェクション、及びウイルス媒介核酸移入が、核酸を宿主細胞に導入するための一般的な方法である。さらに、裸のDNAを細胞に直接送達することができる(例えば、米国特許第5,580,859号及び第5,589,466号明細書を参照)。
MGの検出
本開示は、標的MG遺伝子塩基配列の一部などを増幅することによってMGをさらに検出する方法を提供する。23sリボソームRNA遺伝子、mgpB遺伝子、及びMgPar部分リピートの塩基配列は公的に入手可能である(例えば、GenBank)。具体的には、特定のMG核酸分子標的を増幅及び検出するためのプライマー及びプローブを提供する。MGの検出のために、標的MG遺伝子を増幅するためのプライマー及びプローブを提供する。本明細書に例示されているもの以外の核酸もまた、サンプル中のMGを検出するために使用することができる。例えば、機能的変異体は、当業者が常法を用いて特異性及び/又は感度について評価することができる。代表的な機能的変異体は、例えば、本明細書で開示される標的MG遺伝子核酸における1つ以上の欠失、挿入、及び/又は置換を含むことができる。
より具体的には、オリゴヌクレオチドの実施形態は、それぞれ、配列番号106~194から選択される配列を有する核酸、配列番号106~194のうちの1つと例えば80%、90%、若しくは95%以上の配列同一性を有するその実質的に同一の変異体、又は配列番号106~194の相補配列及びその変異体を含む。
一実施形態において、MGを含むことが疑われる生体サンプル中のMGのさらなる検出を与えるために、上記のプライマー及びプローブのセットを使用する。プライマー及びプローブのセットは、配列番号106~194の塩基配列を含むか、又はからなる23s遺伝子、mgpB遺伝子、及びMgPar部分リピートの塩基配列に特異的なプライマー及びプローブを含み得るか、又はからなり得る。別の実施形態では、標的MG遺伝子用のプライマー及びプローブは、配列番号106~194のプライマー及びプローブのいずれかの機能的に活性な変異体を含むか、又はからなる。
配列番号106~194のプライマー及び/又はプローブのいずれかの機能的に活性な変異体は、開示される方法においてプライマー及び/又はプローブを使用することによって、同定され得る。配列番号106~194のいずれかのプライマー及び/又はプローブの機能的に活性な変異体は、記載の方法又はキットにおいて、配列番号106~194のそれぞれの配列と比較して同様又はより高い特異性及び感度を与えるプライマー及び/又はプローブに関する。
変異体は、例えば、配列番号106~194のそれぞれの配列の5’末端及び/又は3’末端での1つ以上のヌクレオチド付加、欠失、又は置換などの1つ以上のヌクレオチド付加、欠失、又は置換によって、配列番号106~194の配列と異なり得る。上で詳述したように、プライマー(及び/又はプローブ)は化学的に修飾されていることがあり得、すなわち、プライマー及び/又はプローブは、修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチド化合物を含み得る。それゆえ、プローブ(又はプライマー)は、修飾オリゴヌクレオチドである。「修飾ヌクレオチド」(又は「ヌクレオチド類似体」)は、ある種の修飾によって天然の「ヌクレオチド」とは異なるが、依然として、塩基若しくは塩基様化合物、ペントフラノシル糖若しくはペントフラノシル糖様化合物、リン酸部分若しくはリン酸様部分、又はそれらの組み合わせからなる。例えば、「標識」を「ヌクレオチド」の塩基部分に結合させて、「修飾ヌクレオチド」を得てもよい。また、「ヌクレオチド」中の天然の塩基を、7-デアザプリンなどによって置換して、「修飾ヌクレオチド」を得てもよい。用語「修飾ヌクレオチド」又は「ヌクレオチド類似体」は、本出願において互換的に使用される。「修飾ヌクレオシド」(又は「ヌクレオシド類似体」)は、「修飾ヌクレオチド」(又は「ヌクレオチド類似体」)について上で概説した様式による何らかの修飾によって天然ヌクレオシドと異なる。
標的MG遺伝子、例えば23s遺伝子をコードする核酸分子を増幅する修飾オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチドは、例えば、OLIGO(Molecular Biology Insights Inc, Cascade, Colo.)などのコンピュータープログラムを用いて設計することができる。増幅プライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドを設計する際の重要な特徴には、(例えば、電気泳動による)検出を容易にする適当なサイズの増幅産物、プライマーのペアの構成要素について同様の融解温度、及び各プライマーの長さ(すなわち、プライマーは、配列特異性によるアニーリングと合成の開始とに充分な長さであるが、オリゴヌクレオチド合成の間に適合度が低下するほど長くはない必要がある)が含まれるが、これらに限定はされない。典型的には、オリゴヌクレオチドプライマーは、長さが8~50ヌクレオチド(例えば、長さが8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、又は50ヌクレオチド)である。
プライマーのセットに加えて、当該方法は、MGの存在又は非存在を検出するために、1つ以上のプローブを使用し得る。用語「プローブ」は、規定の所定のストリンジェンシー下で「標的核酸」に、本事例においては標的MG遺伝子核酸に特異的に(すなわち、優先的に)ハイブリダイズすることを可能にする特定の塩基配列を設計又は選択により含む、合成の、又は生物学的に産生される核酸(DNA又はRNA)を指す。「プローブ」を、標的核酸を検出することを意味する「検出プローブ」と呼ぶことができる。
いくつかの実施形態では、記載の標的MG遺伝子プローブを、1つ以上の蛍光標識で標識することができる。一実施形態では、標的MG遺伝子プローブを、ドナー蛍光部分、例えば蛍光色素、及び対応するアクセプター部分、例えばクエンチャーで標識することができる。一実施形態において、プローブは、蛍光部分を含むか、又はからなり、塩基配列は、配列番号123~133、147~151、及び172~194を含むか、又はからなる。
プローブとして使用されるオリゴヌクレオチドの設計は、プライマーの設計と同様の方法で行うことができる。実施形態は、増幅産物の検出のために単一のプローブ又はプローブのペアを使用し得る。実施形態に応じて、プローブの使用は、1つ以上の標識及び/又は1つ以上のクエンチャー部分を含み得る。プライマーと同様に、プローブは通常、同様の融解温度を有し、各プローブの長さは、配列特異的ハイブリダイゼーションが起こるのに充分であるが、合成の間に適合度が低下するほど長くはない必要がある。オリゴヌクレオチドプローブは、通常、長さが15から40(例えば、16、18、20、21、22、23、24、又は25)ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーは、長さが40以下のヌクレオチドである。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
米国特許第4,683,202号、第4,683,195号、第4,800,159号、及び第4,965,188号明細書は、従来のPCR法を開示している。PCRは、典型的には、選択された核酸鋳型(例えば、DNA又はRNA)に結合する2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いる。いくつかの実施形態において有用なプライマーには、記載の標的TV遺伝子塩基配列(例えば、配列番号1~13、19~38、45~52、55~74、及び80~99)内の核酸合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドが含まれる。プライマーは、常法により制限消化物から精製することができ、又は合成によって製造することができる。プライマーは、増幅における最大効率のために一本鎖であることが好ましいが、プライマーは二本鎖であることができる。二本鎖プライマーを、最初に変性し、すなわち、鎖を分離するように処理する。二本鎖核酸を変性させる1つの方法は、加熱によるものである。
鋳型核酸が二本鎖である場合、PCRで鋳型として使用できる前に、二つの鎖を分離する必要がある。鎖の分離は、物理的、化学的、又は酵素的手段を含む任意の適当な変性法によって達成することができる。核酸鎖を分離する1つの方法は、核酸がほとんど変性される(例えば、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%を超えて変性)まで核酸を加熱することを伴う。鋳型核酸を変性させるのに必要な加熱条件は、例えば、緩衝塩濃度並びに変性される核酸の長さ及びヌクレオチド組成に依存するが、典型的には、温度及び核酸長などの反応の特徴に応じて一時の間約90℃から約105℃の範囲である。変性は、典型的には、約30秒から4分(例えば、1分から2分30秒、又は1.5分)行われる。
二本鎖鋳型核酸を熱により変性させる場合、記載の標的TV遺伝子核酸分子上のその標的配列に対する各プライマーのアニーリングを促進する温度まで反応混合物を放冷する。アニーリングのための温度は、通常、約35℃から約65℃(例えば、約40℃から約60℃;約45℃から約50℃)である。アニーリング時間は、約10秒から約1分(例えば、約20秒から約50秒;約30秒から約40秒)であることができる。次いで、ポリメラーゼの活性が促進又は最適化される温度、すなわち、アニーリングされたプライマーからの伸長が起こり、鋳型核酸に相補的な産物が得られるのに充分な温度に反応混合物を調節する。温度は、核酸鋳型にアニーリングされた各プライマーから伸長産物を合成するのに充分であるべきであるが、その相補的鋳型から伸長産物を変性させるほど高くすべきではない(例えば、伸長のための温度は通常約40から約80℃(例えば、約50℃から約70℃;約60℃)の範囲である。伸長時間は、約10秒から約5分(例えば、約30秒から約4分;約1分から約3分;約1分30秒から約2分)であることができる。
PCRアッセイは、RNA又はDNA(cDNA)などの核酸を使用することができる。鋳型核酸は精製する必要はなく、鋳型核酸は、ヒト細胞に含まれる核酸などの少量の混成物であってもよい。核酸分子は、Diagnostic Molecular Microbiology: Principles and Applications(Persing et al.(eds), 1993, American Society for Microbiology, Washington D.C.)に記載されている方法などの常法によって、生体サンプルから抽出してもよい。核酸は、プラスミド、又は細菌、酵母、原生動物ウイルス、オルガネラ、若しくは植物若しくは動物などの高等生物を含む天然源などの多くの源から得ることができる。
プライマー伸長を誘発する反応条件下でオリゴヌクレオチドプライマーをPCR試薬と混合する。例えば、鎖伸長反応物は、通常、50mM KCl、10mMトリス-HCl(pH8.3)、15mM MgCl2、0.001%(w/v)ゼラチン、0.5~1.0μg変性前(protodenatured)鋳型DNA、50ピコモルの各オリゴヌクレオチドプライマー、2.5UのTaqポリメラーゼ、及び10%DMSO)を含む。反応物は、通常、それぞれ150~320μMのdATP、dCTP、dTTP、dGTP、又はそれらの1つ以上の類似体を含む。
新しく合成された鎖は、反応の後続のステップで使用され得る二本鎖分子を形成する。鎖の分離、アニーリング、及び伸長のステップは、標的核酸分子に対応する所望の量の増幅産物を産生するために必要な回数繰り返すことができる。反応における制限因子は、反応中に存在するプライマー、熱安定性酵素、及びヌクレオシド三リン酸の量である。サイクリングステップ(すなわち、変性、アニーリング、及び伸長)を1回以上繰り返すことが、好ましい。検出における使用では、サイクリングステップの数は、例えばサンプルの性質に依存する。サンプルが核酸の混成物である場合、検出に充分な標的配列を増幅するためにより多くのサイクリングステップが必要となる。通常、サイクリングステップを約20回以上繰り返すが、40、60、又は100回以上もの回数繰り返してもよい。
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)
FRET法(例えば、米国特許第4,996,143号、第5,565,322号、第5,849,489号、及び第6,162,603号明細書を参照)は、ドナー蛍光部分及び対応するアクセプター蛍光部分が互いの特定の距離内に位置する場合に、可視化することができる、さもなければ検出及び/又は定量化することができる2つの蛍光部分の間でのエネルギー移動が起こるという概念に基づく。ドナーは、典型的には、ドナーが好適な波長を有する光放射によって励起されるときに、アクセプターにエネルギーを移動させる。アクセプターは、典型的には、異なる波長を有する光放射の形態で移動されたエネルギーを再放出する。特定の系では、実質的に非蛍光のドナー部分を含む生体分子を介して、ドナー部分とアクセプター部分との間で非蛍光エネルギーを移動させることができる(例えば、米国特許第7,741,467号明細書を参照)。
一実施例では、オリゴヌクレオチドプローブは、ドナー蛍光部分、及び蛍光であってもなくてもよく、光以外の形態で移動されたエネルギーを放散させる対応するクエンチャーを含むことができる。プローブがインタクトである場合、ドナー蛍光部分からの蛍光発光がアクセプター部分を消光するように、ドナー部分とアクセプター部分との間でエネルギー移動が典型的には起こる。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長ステップ中、増幅産物に結合したプローブは、Taqポリメラーゼなどの5’→3’ヌクレアーゼ活性によって開裂され、ドナー蛍光部分の蛍光発光がもはや消光されない。この目的のための例示的なプローブは、例えば、米国特許第5,210,015号、第5,994,056号、及び第6,171,785号明細書に記載されている。一般に使用されるドナー-アクセプターペアには、FAM-TAMRAペアが含まれる。一般に使用されるクエンチャーは、DABCYL及びTAMRAである。一般に使用されるダーククエンチャーには、BlackHole Quenchers(商標)(BHQ)(カリフォルニア州ノヴァトのBiosearch Technologies, Inc.)、Iowa Black(商標)(アイオワ州コーラルヴィルのIntegrated DNA Tech., Inc.)、BlackBerry(商標) Quencher 650(BBQ-650)(ミシガン州デクスターのBerry & Assoc.)が含まれる。
別の実施例では、それぞれが蛍光部分を含む2つのオリゴヌクレオチドプローブが、標的塩基配列に対するオリゴヌクレオチドプローブの相補性によって決定される特定の位置で増幅産物にハイブリダイズすることができる。適当な位置でオリゴヌクレオチドプローブを増幅産物核酸にハイブリダイゼーションさせると、FRETシグナルが生じる。ハイブリダイゼーション温度は、約10秒から約1分間で約35℃から約65℃の範囲であることができる。
蛍光分析は、例えば、(特定の範囲の蛍光発光をモニタリングするための適当なダイクロイックミラー及びフィルターを含む)光子計数落射蛍光顕微鏡システム、光子計数光電子増倍管システム、又は蛍光計を用いて行うことができる。エネルギー移動を開始する励起、又はフルオロフォアの直接検出を可能にする励起は、アルゴンイオンレーザー、高輝度水銀(Hg)アーク灯、光ファイバー光源、又は所望の範囲内の励起のために適当にフィルタリングされた他の高輝度光源を用いて行うことができる。
ドナー部分及び対応するアクセプター部分に関して本明細書で使用される場合、「対応する」は、ドナー蛍光部分の発光スペクトルと重なる吸光スペクトルを有するアクセプター蛍光部分又はダーククエンチャーを指す。アクセプター蛍光部分の発光スペクトルの波長最大値は、ドナー蛍光部分の励起スペクトルの波長最大値よりも100nm以上大きいべきである。その結果、その間に効率的な非放射エネルギー移動を生じさせることができる。
蛍光ドナー部分及び対応するアクセプター部分を、(a)高効率Forsterエネルギー移動、(b)大きな最終的なStokesシフト(>100nm)、(c)可視スペクトルの赤色部分(>600nm)への可能な限りの発光のシフト、及び(d)ドナー励起波長での励起によって生じたRaman水蛍光発光よりも高い波長への発光のシフトで選ぶ。例えば、レーザー線(例えば、ヘリウム-カドミウム442nm又はアルゴン488nm)の近くでの励起極大、高い吸光係数、高い量子収量、及びその蛍光発光と対応するアクセプター蛍光部分の励起スペクトルとの良好な重なりを有するドナー蛍光部分を選択することができる。高い吸光係数、高い量子収量、その励起とドナー蛍光部分の発光との良好な重なり、及び可視スペクトルの赤色部分(>600nm)における発光を有する対応するアクセプター蛍光部分を選択することができる。
FRET法において種々のアクセプター蛍光部分と共に使用することができる代表的なドナー蛍光部分には、フルオレセイン、ルシファーイエロー、B-フィコエリトリン、9-アクリジンイソチオシアネート、ルシファーイエローVS、4-アセトアミド-4’-イソチオ-シアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸、7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、スクシンイミジル1-ピレンブチレート、及び4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸誘導体が含まれる。代表的なアクセプター蛍光部分には、使用されるドナー蛍光部分に応じて、LC Red 640、LC Red 705、Cy5、Cy5.5、リサミンロダミンBスルホニルクロライド、テトラメチルロダミンイソチオシアネート、ロダミンxイソチオシアネート、エリスロシンイソチオシアネート、フルオレセイン、ジエチレントリアミンペンタアセテート、又はランタニドイオンの他のキレート(例えば、ユーロピウム若しくはテルビウム)が含まれる。ドナー蛍光部分及びアクセプター蛍光部分は、例えば、Molecular Probes(オレゴン州ジャンクションシティ)又はSigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)から入手できる。
ドナー蛍光部分及びアクセプター蛍光部分は、リンカーアームを介して適当なプローブオリゴヌクレオチドに結合していることができる。リンカーアームは、ドナー蛍光部分とアクセプター蛍光部分との間の距離に影響を及ぼすので、各リンカーアームの長さは重要である。リンカーアームの長さは、ヌクレオチド塩基から蛍光部分までのオングストローム(Å)の距離であることができる。通常、リンカーアームは、約10Åから約25Åである。リンカーアームは、国際公開第84/03285号パンフレットに記載されている種類のものであってもよい。国際公開第84/03285号パンフレットはまた、リンカーアームを特定のヌクレオチド塩基に結合するための方法、及びリンカーアームに蛍光部分を結合させるための方法も開示する。
LC Red 640などのアクセプター蛍光部分は、アミノリンカー(例えば、ABI(カリフォルニア州フォスターシティ)又はGlen Research(ヴァージニア州スターリング)から入手可能なC6-アミノホスホラミダイト)を含有するオリゴヌクレオチドと組み合わせて、例えば、LC Red 640標識オリゴヌクレオチドを製造することができる。フルオレセインなどのドナー蛍光部分をオリゴヌクレオチドにカップリングするためによく使用されるリンカーには、チオ尿素リンカー(FITC由来、例えばGlen Research又はChemGene(マサチューセッツ州アッシュランド)からのフルオレセイン-CPG)、アミド-リンカー(BioGenex(カリフォルニア州サンラモン)からのCX-フルオレセイン-CPGなどのフルオレセイン-NHSエステル由来)、又はオリゴヌクレオチド合成後のフルオレセイン-NHS-エステルのカップリングを必要とする3’-アミノ-CPGが含まれる。
TVの検出並びにTV及び/又はMGの検出
本開示は、TVの存在又は非存在を検出するための方法、並びに生体又は非生体サンプル中のTV及び/又はMGの存在又は非存在を検出するための方法を提供する。提供される方法は、サンプルコンタミネーション、偽陰性、及び偽陽性の問題を回避する。当該方法は、1つ以上のプライマーペアを用いてサンプルからの標的核酸分子の一部を増幅することを含む1つ以上のサイクリングステップと、FRET検出ステップとを実施することを含む。好ましくはサーモサイクラー中で、複数のサイクリングステップが行われる。プライマー及びプローブを用いてTVの存在を検出する方法を実施することができ、標的TV遺伝子の検出はサンプル中のTVの存在を示す。他の実施形態において、プライマー及びプローブを用いてTV及び/又はMGの存在を検出する方法を実施することができ、標的TV及び/又はMG遺伝子の検出はサンプル中のTV及び/又はMGの存在を示す。
本明細書に記載するように、FRET法を利用する標識ハイブリダイゼーションプローブを用いて増幅産物を検出することができる。1つのFRETフォーマットはTaqMan(登録商標)技術を利用して、増幅産物の存在又は非存在を検出し、その結果TVの存在又は非存在を検出する。TaqMan(登録商標)技術は、蛍光性であってもなくてもよい、例えば1つの蛍光色素及び1つのクエンチャーで標識された1つの一本鎖ハイブリダイゼーションプローブを利用する。第1の蛍光部分が好適な波長の光で励起されると、吸収されたエネルギーは、FRETの原理に従って第2の蛍光部分又はダーククエンチャーに移動される。第2の部分は、通常クエンチャー分子である。PCR反応のアニーリングステップの間、標識されたハイブリダイゼーションプローブは、標的DNA(すなわち増幅産物)に結合し、その後の伸長段階の間、Taqポリメラーゼなどの5’→3’ヌクレアーゼ活性によって分解される。その結果、蛍光部分とクエンチャー部分とが互いに空間的に分離されるようになる。その結果、クエンチャーの非存在下で第1の蛍光部分が励起されると、第1の蛍光部分からの蛍光発光を検出することができる。一例として、ABI PRISM(登録商標)7700配列検出システム(Sequence Detection System)(Applied Biosystems)は、TaqMan(登録商標)技術を使用し、サンプル中のTVの存在又は非存在を検出するための本明細書に記載の方法、並びにサンプル中のTV及び/又はMGの存在又は非存在を検出するための本明細書に記載の方法を実施するのに適している。
FRETとの併用での分子ビーコンも、リアルタイムPCR法を用いて増幅産物の存在を検出するために使用することができる。分子ビーコン技術は、第1の蛍光部分及び第2の蛍光部分で標識されたハイブリダイゼーションプローブを使用する。第2の蛍光部分は通常クエンチャーであり、蛍光標識は典型的にはプローブの各末端に位置する。分子ビーコン技術は、二次構造形成(例えば、ヘアピン)を可能にする配列を有するプローブオリゴヌクレオチドを使用する。プローブ内の二次構造形成の結果として、プローブが溶液中にあるとき、両方の蛍光部分は空間的に近接している。標的核酸(すなわち、増幅産物)へのハイブリダイゼーション後、プローブの二次構造が破壊され、蛍光部分が互いに分離されるようになり、適当な波長の光での励起後に、第1の蛍光部分の発光を検出できるようになる。
FRET技術の別の一般的なフォーマットは、2つのハイブリダイゼーションプローブを利用する。各プローブは、異なる蛍光部分で標識することができ、通常、標的DNA分子(例えば、増幅産物)において互いに近接してハイブリダイズするように設計されている。ドナー蛍光部分、例えば、フルオレセインは、LightCycler(登録商標)機器の光源によって470nmで励起される。FRET中、フルオレセインは、そのエネルギーを、LightCycler(登録商標)-Red 640(LC Red 640)又はLightCycler(登録商標)-Red 705(LC Red 705)などのアクセプター蛍光部分に移動させる。次いでアクセプター蛍光部分は、より長い波長の光を放出し、これはLightCycler(登録商標)機器の光学的検出システムによって検出される。効率的なFRETは、蛍光部分が直接的に局所的に近接している場合とドナー蛍光部分の発光スペクトルがアクセプター蛍光部分の吸収スペクトルと重なる場合にのみ起こり得る。放出されたシグナルの強度は、元の標的DNA分子の数(例えば、TVゲノムの数)と相関させることができる。標的核酸の増幅が起こり、増幅産物が産生される場合、ハイブリダイズのステップは、プローブのペアの構成要素間のFRETに基づく検出可能なシグナルを生じる。
通常、FRETの存在は、サンプル中のTVの存在を示し、FRETの非存在は、サンプル中のTVの非存在を示す。しかしながら、不充分な検体採取、輸送遅延、不適当な輸送条件、又は特定の採取スワブ(アルギン酸カルシウム若しくはアルミニウム軸)の使用は、試験結果の成功及び/又は正確さに影響を与える可能性のある全条件である。本明細書で開示される方法を使用すると、例えば45のサイクリングステップ内のFRETの検出は、TV感染を示す。他の実施形態において、例えば45のサイクリングステップ内のFRETの検出は、TV及び/又はMGの感染を示す。
当該方法を実施するのに用いることができる代表的な生体サンプルには、呼吸器検体、糞便検体、血液検体、皮膚スワブ、鼻スワブ、創傷スワブ、血液培養物、皮膚、及び軟部組織感染が含まれるが、これらに限定されない。生体サンプルの採取及び保存方法は、当業者に公知である。生体サンプルを、TV核酸を放出するように(例えば、核酸抽出方法及び/又は当技術分野で公知のキットによって)処理することができ、場合によっては、生体サンプルをPCR反応成分及び適当なオリゴヌクレオチドと直接接触させることができる。したがって、生体サンプルを、TV及び/又はMG核酸を放出するように(例えば、核酸抽出方法及び/又は当技術分野で公知のキットによって)処理することができ、場合によっては、生体サンプルをPCR反応成分及び適当なオリゴヌクレオチドと直接接触させることができる。
融解曲線分析は、サイクリングプロファイルに含めることができる追加のステップである。融解曲線分析は、DNA二本鎖の半分が一本鎖に分離した温度として定義される融解温度(Tm)と呼ばれる特徴的な温度でDNAが融解するという事実に基づいている。DNAの融解温度は、主にそのヌクレオチド組成に依存する。したがって、G及びCヌクレオチドに富むDNA分子は、豊富なA及びTヌクレオチドを有するものより高いTmを有する。シグナルが失われる温度を検出することにより、プローブの融解温度を求めることができる。同様に、シグナルが得られる温度を検出することにより、プローブのアニーリング温度を求めることができる。増幅産物からのプローブの融解温度は、サンプル中のTVの存在又は非存在を確認することができる。したがって、増幅産物からのプローブの融解温度は、サンプル中のTV及び/又はMGの存在又は非存在を確認することができる。
各サーモサイクラーの運転の中で、対照サンプルもサイクリングさせることができる。陽性対照サンプルは、対照プライマー及び対照プローブなどを用いて、(標的遺伝子の記載の増幅産物以外の)標的核酸対照鋳型を増幅することができる。陽性対照サンプルは、例えば、標的核酸分子を含むプラスミドコンストラクトを増幅することもできる。当該プラスミド対照を、意図された標的の検出のために使用されるのと同じプライマー及びプローブを使用して、患者のサンプルと並行して、内部的に(例えば、サンプル内で)、又は別個のサンプルランで増幅させることができる。当該対照は、増幅、ハイブリダイゼーション、及び/又はFRET反応の成功又は失敗の指標である。各サーモサイクラーランは、例えば、標的鋳型DNAを欠く陰性対照も含むことができる。陰性対照はコンタミネーションを測定することができる。これにより、系及び試薬が偽陽性シグナルを生じないことが保証される。したがって、対照反応は、例えば、配列特異性でアニーリングし、伸長を開始するプライマーの能力、並びに配列特異性でハイブリダイズし、FRETを起こさせるプローブの能力を容易に測定することができる。
一実施形態では、当該方法は、コンタミネーションを回避するステップを含む。例えば、ウラシル-DNAグリコシラーゼを利用する酵素的方法は、1つのサーモサイクラーランと次のサーモサイクラーランとの間のコンタミネーションを低減又は排除するために、米国特許第5,035,996号、第5,683,896号、及び第5,945,313号明細書に記載されている。
FRET技術との併用で従来のPCR法を用いて当該方法を実施することができる。一実施形態において、LightCycler(登録商標)機器を使用する。以下の特許出願は、LightCycler(登録商標)技術で使用されるリアルタイムPCRを記載している:国際公開第97/46707号、国際公開第97/46714号、及び国際公開第97/46712号。
LightCycler(登録商標)はPCワークステーションを使用して操作でき、Windows(登録商標)NTオペレーティングシステムを利用できる。サンプルからのシグナルは、機械がキャピラリーを光装置の上に順次配置するときに得られる。ソフトウェアは、各測定の直後に蛍光シグナルをリアルタイムで表示することができる。蛍光取得時間は10~100ミリ秒(msec)である。各サイクリングステップの後、蛍光対サイクル数の定量的表示を全てのサンプルについて連続的に更新することができる。得られたデータは、さらなる分析のために保存することができる。
FRETの代わりとして、蛍光DNA結合色素(例えば、SYBR(登録商標)Green又はSYBR(登録商標)Gold(Molecular Probes))などの二本鎖DNA結合色素を用いて増幅産物を検出することができる。二本鎖核酸と相互作用すると、当該蛍光DNA結合色素は、適当な波長の光での励起後に、蛍光シグナルを発する。核酸挿入色素などの二本鎖DNA結合色素も使用することができる。二本鎖DNA結合色素を使用する場合、増幅産物の存在を確認するために、融解曲線分析を通常行う。
本開示の実施形態は、1つ以上の市販の機器の構成によって制限されないことが理解される。
製品/キット
本開示の実施形態は、TVを検出するための製品、組成物、又はキットをさらに提供する。製品は、好適なパッケージング材料と共に、標的TV遺伝子を検出するために使用されるプライマー及びプローブを含むことができる。組成物は、標的TV遺伝子を増幅するために使用されるプライマーを含むことができる。特定の実施形態において、組成物は、標的TV遺伝子を検出するためのプローブも含むことができる。TVの検出のための代表的なプライマー及びプローブは、標的核酸分子にハイブリダイズすることができる。さらに、キットはまた、DNA固定化、ハイブリダイゼーション、及び検出に必要とされる好適にパッケージされた試薬及び材料、例えば固体支持体、緩衝液、酵素、及びDNA標準を含み得る。プライマー及びプローブを設計する方法が本明細書に開示されており、標的核酸分子を増幅してハイブリダイズするプライマー及びプローブの代表的な例が提供されている。
製品はまた、プローブを標識するための1つ以上の蛍光部分を含むことができ、あるいは、キットとともに供給されるプローブを標識することができる。例えば、製品は、プローブを標識するためのドナー蛍光部分及び/又はアクセプター蛍光部分を含み得る。好適なFRETドナー蛍光部分及び対応するアクセプター蛍光部分の例は上記に与えられている。
製品はまた、プライマー及びプローブを使用してサンプル中のTVを検出するための指示書を有する添付文書又はパッケージラベルを含むことができる。製品及び組成物は、本明細書に開示される方法を実施するための試薬(例えば、緩衝液、ポリメラーゼ酵素、補因子、又はコンタミネーションを防止するための薬剤)をさらに含み得る。当該試薬は、本明細書に記載の市販の機器うちの1つに特有であってもよい。
本開示の実施形態を以下の実施例においてさらに説明するが、実施例は、請求項に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
本主題の理解を助けるために、以下の実施例、表、及び図を与え、本主題の真の範囲は添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の精神から逸脱することなく、記載された手順において修正を行うことができることが理解される。
実施例1
TVの標的選択は、公開配列データベースの包括的な検索と、最も近い近隣種である口腔トリコモナス及び腸トリコモナスに対して識別を可能にするTV標的についての文献検索との結果であった。公開配列データベースからの複数の標的を設計段階の標的選択プロセスで分析したが、全て口腔トリコモナス及び腸トリコモナスとの交差反応性を示した。公開データベースの配列は、マルチコピー標的からの「バルク」配列データによって複雑化される。選択したオリゴヌクレオチドのBLAST分析は、口腔トリコモナスとの交差反応性が唯一有意であることを示した。
TVのリアルタイムPCR検出は、cobas(登録商標)4800システム又はcobas(登録商標)6800/8800システムプラットフォーム(カリフォルニア州プレザントンのRoche Molecular Systems, Inc.)のいずれかを用いて行った。増幅試薬の最終濃度を以下に示す。
以下の表は、PCR増幅反応に使用される典型的なサーモプロファイルを示す。
Pre-PCRプログラムは、RNA鋳型の逆転写のために、55℃、60℃、及び65℃での初期変性及びインキュベーションを含んでいた。3つの温度でのインキュベーションは、低温では、わずかにミスマッチな標的配列(生物の遺伝的変異体など)も転写され、一方、高温では、RNA二次構造の形成が抑制され、そのためより効率的な転写が行われるという有利な効果を併せ持つ。PCRサイクリングを、両方の測定が(アニーリングと伸長とを組み合わせる)ワンステップセットアップを適用する、2つの測定に分けた。55℃での第1の5サイクルは、わずかにミスマッチな標的配列を予備増幅することによって包含性の増大を可能にするが、第2の測定の45サイクルは、58℃のアニーリング/伸長温度を用いることによって特異性の増大を与える。図2は、PCR増殖曲線が種々の濃度のゲノムTV鋳型DNAで示される典型的な増幅実験を示す。
標的TV遺伝子、5.8s rRNA、18s rRNA、PMS1、Mlh1a、及びCRNの増幅及び検出を、上記の条件を用いて行った。10ゲノム当量/PCR(5.8s rRNA)又は1000ゲノム当量/PCR(18s rRNA、PMS1、Mlh1a、CRN)のいずれかの濃度で存在するゲノムTV DNAに対するいくつかの選択したオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブを用いた実験の結果を、増幅反応のCt値(閾値サイクル)として以下に示す。
実施例2
TV 5.8s rRNA遺伝子の増幅及び検出を、MGを増幅し検出することができるプライマー及びプローブと共にマイコプラズマ・ゲニタリウム(MG)のゲノム鋳型DNAがPCRアッセイに含まれていた点を除き、(配列番号3及び12を有するプライマー並びに配列番号18を有する標識プローブを使用して)実施例1に記載のように実施した。ここで、配列番号139、145、及び150を有するmgpB遺伝子(mgpB)の保存領域Aと、配列番号153、169、及び194を有するmgpB遺伝子(MgPar)の可変領域EFとにハイブリダイズするプライマー及びプローブを使用した。
検出のTVリミット(LOD)を、内部対照標準(GIC)及び10ge/PCRでのMGとの同時増幅において、100、10、5、及び1のPCR反応当たりゲノム当量濃度(ge/PCR)で試験した。結果を図3(TV)並びに図4(MG及びGIC)に示す。TVの全てのレベルがドロップアウトなしで検出され、TV LODは<1ge/PCRであると求められる。さらに、10ge/PCRでのMGも、ドロップアウトなしで検出することができた。