JP2023508100A - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するための組成物および方法 - Google Patents

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

生物学的サンプルまたは非生物学的サンプル中のmecAおよび/またはmecC含有黄色ブドウ球菌(mecA/mecC-MRSA)の存在または非存在の迅速な検出のための方法を記載する。方法は、増幅工程、ハイブリダイズス工程、および検出工程を実施することを含み得る。さらに、mecA-MRSAおよびmecC-MRSAの遺伝子を標的とするプライマー、プローブ、ならびにmecA/mecC-MRSAの検出のために設計されたキットが提供される。

Description

発明の分野
本開示は、細菌診断の分野に関し、より詳細には、mecAおよびmecC核酸配列を含有するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出に関する。
発明の背景
スタフィロコッカス・アウレウス(「黄色ブドウ球菌」または「SA」)は通性嫌気性のグラム陽性菌であり、その天然の貯蔵部はヒトの皮膚および鼻を含み、創傷部にも生息し得る。黄色ブドウ球菌を保有するほとんどの人々は感染の兆候を示さない。しかし、黄色ブドウ球菌は、正常な障壁が破られると侵襲性になり、体内で感染症を引き起こす可能性がある。黄色ブドウ球菌は、吹き出物、おでき、および膿瘍などの軽微な皮膚感染症から、肺炎、髄膜炎、および敗血症などの主要な疾患に及ぶ多数の病気を引き起こす可能性がある。皮膚および鼻以外の組織は、障壁、例えば、皮膚または粘膜の内層が破られると感染する可能性があり、これは、フルンケル(furuncle)および癰(carbuncles)をもたらす。黄色ブドウ球菌感染症は、感染者との皮膚接触または感染者が使用する物体との接触を通して人々の間で広がり得る。
黄色ブドウ球菌は、ペニシリン(メチシリン、オキサシリン、クロキサシリンおよびフルクロキサシリン)を含む主要な抗生物質に対する耐性を発現する顕著な能力を有し、これにより「スーパーバグ」というラベルを得ている。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、ペニシリンに対して耐性になった細菌であり、処置が困難ないくつかのヒト感染症の原因である。MRSAは、オキサシリン耐性黄色ブドウ球菌(ORSA)および多剤耐性黄色ブドウ球菌としても知られているが、黄色ブドウ球菌の非メチシリン耐性株は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)と呼ばれることもある。
ブドウ球菌のメチシリン耐性に必要な遺伝子mecAは、低親和性ペニシリン結合タンパク質2a(PBP2a)をコードする(Niemeyerら,J.Bacteriol.,(1996),178(18):5464-5471)。mecCと新たに命名されたmecAの新規バリアント(mecALGA251)は、最近、ヒトおよび動物の両方からの黄色ブドウ球菌分離株で同定された(Harrisonら,Antimicrob.Agents Chemother.,(2013),57(3):1524-1528)。この同族体は、mecA遺伝子と70%のヌクレオチド同一性を共有しており、その存在は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌と誤診される可能性があるという診断上の問題を引き起こす(Patersonら,Trends Microbiol.,(2014),22(1):42-47)したがって、mecA含有MRSAおよびmecC含有MRSAの両方を高感度様式で特異的に検出するための迅速かつ信頼性の高い方法が当技術分野において必要とされている。
発明の概要
本開示の特定の実施形態は、生物学的サンプルまたは非生物学的サンプル中のmecAまたはmecC含有黄色ブドウ球菌(mecA/mecC-MRSA)の存在または非存在の迅速な検出、例えば、単一の試験管でのリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によるmecA/mecC-MRSAの多重検出のための方法に関する。実施形態は、増幅工程およびハイブリダイズ工程を含み得る少なくとも1つのサイクリング工程を実施することを含む、mecA/mecC-MRSAの検出方法を含む。さらに、実施形態は、単一の試験管内のmecA/mecC-MRSAの検出のために設計されたプライマー、プローブおよびキットを含む。検出方法は、mecA遺伝子またはmecC遺伝子を標的とするように設計され、これにより、1回の試験でmecA/mecC-MRSAを検出することが可能になる。
一態様では、サンプル中のmecAおよび/またはmecC-含有黄色ブドウ球菌を検出する方法であって、サンプル中にmecAおよび/またはmecC-MRSAが存在する場合、サンプルを、一対のmecA-MRSAプライマーおよび/または一対のmecC-MRSAプライマーと接触させて増幅産物を産生させることを含む、増幅工程を実施すること;増幅産物を、1つ以上の検出可能なmecA-MRSAプローブおよび/または1つ以上の検出可能なmecC-MRSAプローブと接触させることを含む、ハイブリダイズ工程を実施すること;および増幅産物の存在または非存在を検出する工程であって、増幅産物の存在は、サンプル中のmecAおよび/またはmecC-MRSAの存在を示し、増幅産物の非存在は、mecAおよび/またはmecC-MRSAの非存在を示す、増幅産物の存在または非存在を検出する工程を含む、方法が提供される。本明細書において、mecA-MRSAプライマーの対は、配列番号1の核酸配列またはその相補体を含むかまたはそれからなるフォワードプライマー、および配列番号2の核酸配列またはその相補体を含むかまたはそれからなるリバースプライマーを含み得るかまたはそれからなり得;および/またはmecC-MRSAプライマーの対は、配列番号3もしくは4からなる群から選択される核酸配列またはその相補体を含むかまたはそれからなるフォワードプライマーと、配列番号5の核酸配列またはその相補体を含むかまたはそれからなるリバースプライマーとを含み得るかまたはそれからなり得る。さらに、1つ以上の検出可能なmecA-MRSAプローブは、配列番号6の核酸配列またはその相補体を含み得るかまたはそれからなり得、および/または1つ以上の検出可能なmecC-MRSAプローブは、配列番号7の配列またはその相補体を含み得るかまたはそれからなり得る。
一態様では、mecA/mecC-MRSA遺伝子標的の増幅のためのプライマーセットは、配列番号1、2、3、4および5の核酸配列またはその相補体を含み、mecA/mecC-MRSA増幅産物の検出のための検出可能プローブは、配列番号6および7の核酸配列またはその相補体を含む。
別の態様は、配列番号1、2、3、4、5、6、および7から選択される核酸配列またはその相補体を含むかまたはそれらからなるオリゴヌクレオチドであって、100個以下のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを提供する。別の態様では、本開示は、配列番号1、2、3、4、5、6および7のうちの1つと少なくとも70%の配列同一性(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%または95%など)を有する核酸、またはその相補体を含むオリゴヌクレオチドであって、100個以下のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを提供する。一般に、これらのオリゴヌクレオチドは、これらの実施形態では、プライマー核酸、プローブ核酸などであり得る。これらの実施形態の一定のものでは、オリゴヌクレオチドは40個以下のヌクレオチド(例えば、35個以下のヌクレオチド、30個以下のヌクレオチドなど)を有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば、非修飾ヌクレオチドと比較して核酸ハイブリダイゼーション安定性を変化させるために、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。必要に応じて、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの標識および/または少なくとも1つのクエンチャー部分を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの保存的に修飾された変異を含む。特定の核酸配列の「保存的に修飾された変異」または単に「保存的変異」とは、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列を指す。当業者であれば、コードされた配列中の単一のアミノ酸または少量のアミノ酸(典型的には5%未満、より典型的には4%、2%または1%未満)を変更、付加または欠失させる個々の置換、欠失または付加は、修飾がアミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、または化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす「保存的修飾変異」であることを認識するであろう。
一態様では、増幅は、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を使用し得る。したがって、第1および第2の蛍光部分は、プローブの長さに沿って互いに8ヌクレオチド以内であり得る。別の態様では、mecA-MRSAおよびmecC-MRSAプローブは、二次構造形成を可能にする核酸配列を含む。そのような二次構造の形成は、一般に、第1の蛍光部分と第2の蛍光部分との間の空間的近接をもたらす。該方法によれば、プローブ上の第2の蛍光部分はクエンチャーであり得る。
本開示は、個体由来の生物学的サンプル中のmecA/mecC-MRSAの存在または非存在を検出する方法を提供する。そのような方法は、一般に、増幅工程および色素結合工程を含む少なくとも1つのサイクリング工程を実施することを含む。典型的には、増幅工程は、サンプル中にmecA/mecC-MRSA核酸分子が存在する場合、サンプルを複数対のmecA-MRSAプライマーおよびmecC-MRSAプライマーと接触させて1つ以上のmecA/mecC-MRSA増幅産物を産生することを含み、色素結合工程は、mecA/mecC-MRSA増幅産物を二本鎖DNA結合色素と接触させることを含む。そのような方法はまた、増幅産物への二本鎖DNA結合色素の結合の存在または非存在を検出することを含み、ここで、結合の存在はサンプル中のmecA/mecC-MRSAの存在を示し、結合の非存在はサンプル中のmecC-MRSAの非存在を示す。代表的な二本鎖DNA結合色素は、臭化エチジウムである。さらに、そのような方法はまた、mecA/mecC-MRSA増幅産物と二本鎖DNA結合色素との間の融解温度を測定することを含み得、融解温度により、mecC-MRSAの存在または非存在が確認される。
さらなる態様では、mecAおよび/またはmecC-MRSAの1つ以上の核酸を検出するためのキットが提供される。キットは、mecA遺伝子標的および/またはmecC遺伝子標的の増幅に特異的なmecA-MRSAおよび/またはmecC-MRSAプライマーの複数のセット;およびmecA/mecC-MRSA増幅産物の検出に特異的な1つ以上の検出可能なmecA-MRSAおよび/またはmecC-MRSAプローブを含み得る。一態様では、キットは、ドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分で既に標識されたプローブを含み得、またはプローブを標識するための蛍光部分を含み得る。キットはまた、ヌクレオシド三リン酸、核酸ポリメラーゼおよび核酸ポリメラーゼの機能に必要な緩衝液をさらに含み得る。キットはまた、添付文書、ならびにサンプル中のmecA/mecC-MRSAの存在または非存在を検出するためのプライマー、プローブおよび蛍光色素部分を使用するための説明書を含み得る。本明細書において、mecA-MRSAプライマーの対は、配列番号1の核酸配列またはその相補体を含むかまたはそれからなるフォワードプライマー、および配列番号2の核酸配列またはその相補体を含むかまたはそれからなるリバースプライマーを含み得るかまたはそれからなり得;および/またはmecC-MRSAプライマーの対は、配列番号3もしくは4またはその相補体からなる群から選択される核酸配列を含むかまたはそれからなるフォワードプライマーと、配列番号5の核酸配列またはその相補体を含むかまたはそれからなるリバースプライマーとを含み得るかまたはそれからなり得る。さらに、1つ以上の検出可能なmecA-MRSAプローブは、配列番号6の核酸配列またはその相補体を含み得るかまたはそれからなり得、および/または1つ以上の検出可能なmecC-MRSAプローブは、配列番号7の配列またはその相補体を含み得るかまたはそれからなり得る。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料が本主題の実施または試験で使用され得るが、好適な方法および材料が以下に記載される。加えて、材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が援用される。矛盾する場合は、定義をも含む本明細書が優先する。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に示されている。本発明の他の特徴、目的および利点は、図面および発明を実施するための形態、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
図1は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出に使用されるいくつかの標的遺伝子の相対位置を示す。本開示のプライマーおよびプローブは、mecA/mecC遺伝子を標的とする。 図2は、反応あたり100および10コピーでのmecA MRSA(MRSA株12770)に特異的なmecAプライマーおよびプローブを使用した実験のPCR増殖曲線を示す。成長曲線はS字形ではない。 図3は、mecA(株10714、10817、12270)、mecC(株12756)またはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA、株10853)のいずれかを含むMRSA株に対するmecA MRSAに特異的なプライマー/プローブを使用した実験のPCR増殖曲線を示す。 図4は、mecC保有株12756および12765上のmecC MRSAに特異的なプライマー/プローブを用いた実験のPCR増殖曲線を示す。
発明の詳細な説明
核酸増幅によるMRSA感染の診断により、細菌感染を迅速かつ正確に検出するための方法が提供される。サンプル中のmecA/mecC-MRSAを検出するためのリアルタイムアッセイが本明細書中に記載される。mecA/mecC-MRSAを検出するためのプライマーおよびプローブが提供され、そのようなプライマーおよびプローブを含有する製造品またはキットも提供される。他の方法と比較してmecA/mecC-MRSAの検出のためのリアルタイムPCRの感度の増加、ならびにサンプルの封じ込めおよび増幅産物のリアルタイム検出を含むリアルタイムPCRの改善された特徴により、臨床検査室におけるmecA/mecC-MRSA感染の日常的な診断のためのこの技術の実施が実現可能になる。
メチシリン耐性遺伝子mecAおよびその同族体であるmecCは両方とも、β-ラクタム環(ペニシリン、セファロスポリンおよびカルバペネムなどのβ-ラクタム抗生物質の一次活性部位)に対する親和性が低下したペニシリン結合タンパク質である変化したメチシリン耐性ペニシリン結合タンパク質(PBP2aまたはPBP2’)をコードし(Guignardら,2005,Curr Opin Pharmacol 5(5):479-89)、これは感受性株には存在せず、遠縁の種から得られたと考えられている。mecAおよびmecCが、いずれもMRSA株の可動性遺伝要素であるブドウ球菌染色体カセットmec(SCCmec)上に担持される。SCCエレメントは、感受性黄色ブドウ球菌にも存在するが、mecA遺伝子またはmecC遺伝子を保有していないか、または非機能性mecA遺伝子またはmecC遺伝子を保有している。そのような株は、同じ右端接合部を有し得るため、偽陽性結果の原因となり得る。
mecA遺伝子またはmecC遺伝子および黄色ブドウ球菌特異的遺伝子を検出することによる鼻検体からのMRSA検出は、様々な量の非耐性黄色ブドウ球菌およびメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCoNS)の両者の存在に起因して、陽性予測値(PPV)が低下する。これらの組み合わせは、両方の標的が存在するため、MRSAと区別できない。MRSAの有病率に応じて、この状況は最大30%の偽陽性結果をもたらす。より良好なPPVのために、選択された標的はMRSAに対して特有のものである必要がある。現在知られている唯一の標的はブドウ球菌染色体カセット(SCCmec)であり、これはmecC遺伝子を有する遺伝因子のトランスポゾン組込み部位を増幅する。
MRSAのSCCエレメントであるSCCmec(機能的mecA遺伝子またはmecC遺伝子を有する)は、mecC遺伝子を含有する黄色ブドウ球菌(orfX)由来のオープンリーディングフレームXの3’部分に組み込まれた高度に可変な長さ(16kb~67kb)のトランスポゾンである。OrfXは、黄色ブドウ球菌において定義された機能を有さず、黄色ブドウ球菌に特有である。SCCmecの統合により、MRSAに特有のサインが作り出される。
SCCmecエレメントは、2つの必須成分;ccr遺伝子複合体(ccr)およびmec遺伝子複合体(mec)を有する。ccr遺伝子複合体はccr遺伝子および周囲のオープンリーディングフレーム(ORF)から構成され、mec遺伝子複合体はmecC遺伝子、調節遺伝子、およびmecCの上流または下流の挿入配列から構成される。
MRSAの分類は、MRSAの種々の遺伝子型に基づき得る。遺伝子型に基づくMRSA検出および分類のための1つの標的は、SCCmecの右端接合部(RE)であり得る。したがって、MRSAタイピングのこの方法は、RE(SCCmecの右端)タイピングと呼ばれる。このタイピング法は、様々な種類のSCCmecのうち、インテグレーション部位に隣接するSCCmec DNAの右端の多型を利用したものである。
mecA/mecC含有黄色ブドウ球菌(mecC-MRSA)の検出は、黄色ブドウ球菌のorfX遺伝子と、メチシリンに対する耐性を付与するmecA遺伝子またはmecC遺伝子を保有するSCCmecとの間のRE接合部にアンプリコンを産生する戦略を利用する。これを達成するために、一方のプライマーを黄色ブドウ球菌のorfX遺伝子の高度に保存された領域に固定し(orfXプライマー)、第2のプライマーをSCCmecの非保存RE接合部内に配置する(REプライマー)。2つのプライマーから得られたアンプリコンは、orfX遺伝子の一部およびSCCmecの一部に及ぶ。RE接合部におけるSCCmecの非相同的性質のために、独特のMRSA株の大部分適用範囲を達成するためには、いくつかの異なるREプライマーが必要である。mecA/mecC-MRSAのこのタイプの同定および検出は、いくつかのグループによって、例えば、Huletskyらによる米国特許第7,449,289号および米国特許第7,838,221号;Aichingerらによる米国特許第8,535,888号;Johnsonらによる米国特許第9,920,381号および米国特許第10,190,178号に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、前述のように、この戦略は、mecA遺伝子またはmecC遺伝子が欠損している(完全または部分的に)か、または機能的でない場合、偽陽性結果の原因となり得る。
開示される方法は、mecA-MRSAおよび/またはmecC-MRSAプライマーの1つ以上の対を使用して、サンプルからのmecA/mecC-MRSA核酸分子遺伝子標的の1つ以上の部分を増幅することを含む少なくとも1つのサイクリング工程を実施することを含み得る。本明細書で使用される「mecA-MRSAプライマー」または「mecC-MRSAプライマー」は、SCCmecカセット内のMRSA中のmecAまたはmecCをコードする核酸配列に特異的にアニーリングし、適切な条件下でそこからDNA合成を開始するオリゴヌクレオチドプライマーを指す。検討されるmecA-MRSAまたはmecC-MRSAプライマーの各々は、各増幅産物の少なくとも一部が標的に対応する核酸配列を含有するように、それぞれのmecA/mecC-MRSA標的核酸分子内またはそれに隣接する標的にアニーリングする。1つ以上のmecA/mecC-MRSA増幅産物は、1つ以上のmecA/mecC核酸がサンプル中に存在るという条件で産生され、したがって1つ以上のmecA/mecC-MRSA増幅産物の存在がサンプル中のmecA/mecC-MRSAの存在を示す。増幅産物は、mecA-MRSAまたはmecC-MRSA用の1つ以上の検出可能プローブに相補的な核酸配列を含むであろう。各サイクリング工程は、増幅工程、ハイブリダイゼーション工程および検出工程を含み、サンプル中のmecA/mecC-MRSAの存在または非存在を検出するために、サンプルをmecA-MRSAまたはmecC-MRSA用の1つ以上の検出可能プローブと接触させる。
本明細書で使用される場合、「増幅する」という用語は、鋳型核酸分子(例えば、mecAまたはmecC)の一方または両方の鎖に相補的な核酸分子を合成するプロセスを指す。核酸分子を増幅することは、典型的には、鋳型核酸を変性すること、プライマーの融解温度未満の温度でプライマーを鋳型核酸にアニーリングすること、および増幅産物を生成するためにプライマーから酵素的に伸長することを含む。増幅には、典型的には、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、DNAポリメラーゼ酵素(例えば、Platinum(登録商標)Taq)ならびにポリメラーゼ酵素の最適な活性のための適切な緩衝液および/または補因子(例えば、MgCl2および/またはKCl)の存在が必要である。
本本明細書で使用される「プライマー」という用語は、当業者に知られており、オリゴマー化合物、主にオリゴヌクレオチドだけでなく、鋳型依存性DNAポリメラーゼによるDNA合成を「プライミング」し得る修飾オリゴヌクレオチド、すなわち、例えばオリゴヌクレオチドの3’末端が遊離3’-OH基を提供し、それによってデオキシヌクレオシド三リン酸が使用され、それによってピロリン酸が放出される3’→5’ホスホジエステル結合を確立する鋳型依存性DNAポリメラーゼによって更に「ヌクレオチド」が結合され得ることを指す。したがって、おそらく意図された機能を除いて、「プライマー」、「オリゴヌクレオチド」、または「プローブ」の間に基本的な違いはない。
「ハイブリダイズする」という用語は、増幅産物への1つ以上のプローブのアニーリングを指す。ハイブリダイゼーション条件は、典型的には、プローブの融解温度より低いが、プローブの非特異的ハイブリダイゼーションを回避する温度を含む。
「5’→3’ヌクレアーゼ活性」という用語は、典型的には核酸鎖合成に関連し、それによってヌクレオチドが核酸鎖の5’末端から除去される核酸ポリメラーゼの活性を指す。
「熱安定性ポリメラーゼ」という用語は、熱安定性であるポリメラーゼ酵素を指し、該酵素は、鋳型に相補的なプライマー伸長産物の形成を触媒し、二本鎖鋳型核酸の変性をもたらすのに必要な時間にわたり高温に曝された場合、不可逆的には変性しない。一般に、合成は各プライマーの3’末端で開始され、鋳型鎖に沿って5’から3’方向へ進行する。熱安定性ポリメラーゼは、サーマス・フラバス(Thermus flavus)、サーマス・ルーバー(T.ruber、サーマス・サーモフィルス(T.thermophilus)、サーマス・アクアティスク(T.aquaticus)、サーマス・ラクテウス(T.lacteus)、サーマス・ルベンス(T.rubens)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、およびメタノサーマス・ファービダス(Methanothermus fervidus)から単離されている。それにもかかわらず、酵素が補充されるならば、熱安定性でないポリメラーゼをPCRアッセイに使用することもできる。
「その相補体」という用語は、所与の核酸と同じ長さであり、正確に相補的である核酸を指す。
核酸に関して使用される場合の「伸長」または「延長」という用語は、追加のヌクレオチド(または他の類似の分子)が核酸に組み込まれる場合を指す。例えば、核酸は、典型的には核酸の3’末端にヌクレオチドを付加するポリメラーゼなどの生体触媒を組み込むヌクレオチドによって必要に応じて伸長される。
2つ以上の核酸配列の状況における「同一」または「パーセント同一性」という用語は、例えば、当業者に利用可能な配列比較アルゴリズムの1つを使用して、または目視検査によって測定された最大の一致について、比較またはアラインした場合、同一であるか、または同一のヌクレオチド特定のパーセンテージを有する2つ以上の配列または部分配列を指す。パーセント配列同一性および配列類似性の決定に適した例示的なアルゴリズムは、BLASTプログラムであり、例えば、Altschulら(1990)「Basic local alignment search tool」J.Mol.Biol.215:403-410,Gishら(1993)「Identification of protein coding regions by database similarity search」Nature Genet.3:266-272,Maddenら(1996)「Applications of network BLAST server」Meth.Enzymol.266:131-141,Altschulら(1997)「Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs」Nucleic Acids Res.25:3389-3402,およびZhangら(1997)「PowerBLAST:A new network BLAST application for interactive or automated sequence analysis and annotation」Genome Res.7:649-656に開示され、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
オリゴヌクレオチドに関して「修飾ヌクレオチド」とは、オリゴヌクレオチド配列の少なくとも1つのヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドに所望の特性を提供する異なるヌクレオチドによって置き換えられる変化を指す。本明細書中に記載されるオリゴヌクレオチドにおいて置換され得る例示的な修飾ヌクレオチドとしては、例えば、C5-メチル-dC、C5-エチル-dC、C5-メチル-dU、C5-エチル-dU、2,6-ジアミノプリン、C5-プロピニル-dC、C5-プロピニル-dU、C7-プロピニル-dA、C7-プロピニル-dG、C5-プロパルギルアミノ-dC、C5-プロパルギルアミノ-dU、C7-プロパルギルアミノ-dA、C7-プロパルギルアミノ-dG、7-デアザ-2-デオキシキサントシン、ピラゾロピリミジン類縁体、擬似dU、ニトロピロール、ニトロインドール、2’-0-メチルリボーU、2’-0-メチルリボーC、N4-エチル-dC、N6-メチル-dAなどが挙げられる。オリゴヌクレオチド中で置換され得る多くの他の修飾ヌクレオチドは、本明細書で言及されるか、または当技術分野で知られている。特定の実施形態では、修飾ヌクレオチド置換は、対応する修飾されていないオリゴヌクレオチドの融解温度と比較して、該オリゴヌクレオチドの融解温度(Tm)を修飾する。更に説明すると、特定の修飾ヌクレオチド置換は、いくつかの実施形態では、非特異的核酸増幅(例えば、プライマーダイマー形成などを最小限に抑える)を減少させ、意図する標的アンプリコンの収率を増加させることなどができる。これらのタイプの核酸修飾の例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,001,611号に記載されている。
mecA-またはmecC含有黄色ブドウ球菌(mecA/mecC-MRSA)
本開示は、例えば、mecAまたはmecC核酸配列の一部を増幅することによってmecA/mecC-MRSAを検出する方法を提供する。mecA/mecC-MRSAの様々なサブタイプのSCCmecの核酸配列が利用可能である(例えば、mecAについてはGenBank受入番号AY786579、mecCについてはGenBank受入番号FR823292)。具体的には、mecA/mecC-MRSA核酸分子標的を増幅および検出するためのプライマーおよびプローブが、本開示の実施形態によって提供される。
mecC-MRSAの検出のために、mecA-MRSA遺伝子および/またはmecC-MRSA遺伝子を増幅するためのプライマーおよびプローブが提供される。本明細書に例示したもの以外のmecA/mecC-MRSA核酸も、サンプル中のmecA/mecC-MRSAを検出するために使用し得る。例えば、機能的バリアントは、日常的な方法を使用して当業者によって特異性および/または感度について評価され得る。代表的な機能的バリアントは、例えば、本明細書中に開示されるmecA/mecC-MRSA核酸中の1つ以上の欠失、挿入および/または置換を含み得る。
より具体的には、オリゴヌクレオチドの実施形態はそれぞれ、配列番号1、2、3、4、5、6、および7、配列番号1、2、3、4、5、6、および7の1つと少なくとも、例えば80%、90%、もしくは95%の配列同一性を有するその実質的に同一のバリアント、または配列番号1、2、3、4、5、6、および7とバリアントの相補体から選択される配列を有する核酸を含む。
Figure 2023508100000002
LCR640=LightCycler Red 640;IB RQ=Iowa Black RQ
一実施形態では、mecA/mecC-MRSAを含むと疑われる生物学的サンプル中のmecA/mecC-MRSAを検出するために、上記のmecA-MRSAおよびmecC-MRSAプライマーおよびプローブのセットが使用される。プライマーおよびプローブのセットは、配列番号1、2、3、4、5、6および7の核酸配列を含むかまたはそれからなる、mecA-MRSA遺伝子またはmecC-MRSA遺伝子核酸配列に特異的なプライマーおよびプローブを含むかまたはそれからなり得る。別の実施形態では、mecA/mecC-MRSA標的に対するプライマーおよびプローブは、配列番号1、2、3、4、5、6および7のプライマーおよびプローブのいずれかの機能的に活性なバリアントを含むかまたはそれからなる。
配列番号1、2、3、4、5、6および7のプライマーおよび/またはプローブのいずれかの機能的に活性なバリアントは、開示された方法におけるプライマーおよび/またはプローブを使用することによって同定され得る。配列番号1、2、3、4、5、6および7のいずれかのプライマーおよび/またはプローブの機能的に活性なバリアントは、配列番号1、2、3、4、5、6および7のそれぞれの配列と比較して、記載された方法またはキットにおいて類似またはより高い特異性および感度を提供するプライマーおよび/またはプローブに関する。
バリアントは、例えば、配列番号1、2、3、4、5、6および7のそれぞれの配列の5’末端および/または3’末端における1つ以上のヌクレオチド付加、欠失または置換、例えば1つ以上のヌクレオチド付加、欠失または置換によって、配列番号1、2、3、4、5、6および7の配列から変化し得る。上に詳述したように、プライマー(および/またはプローブ)は化学的に修飾されていてもよく、すなわち、プライマーおよび/またはプローブは修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチド化合物を含んでいてもよい。したがって、プローブ(またはプライマー)は修飾オリゴヌクレオチドである。「修飾ヌクレオチド」(または「ヌクレオチド類縁体」)は、いくつかの修飾によって天然の「ヌクレオチド」とは異なるが、依然として、塩基もしくは塩基様化合物、ペントフラノシル糖もしくはペントフラノシル糖様化合物、リン酸部分もしくはリン酸様部分、またはそれらの組み合わせからなる。例えば、「ヌクレオチド」の塩基部分に「標識」を結合させて、「修飾ヌクレオチド」を得ることができる。「ヌクレオチド」中の天然塩基は、例えば7-デアザプリンで置換されてもよく、それによっても同様に「改変ヌクレオチド」が得られる。「修飾ヌクレオチド」または「ヌクレオチド類縁体」という用語は、本出願では互換的に使用される。「修飾ヌクレオシド」(または「ヌクレオシド類縁体」)は、「修飾ヌクレオチド」(または「ヌクレオチド類縁体」)について上に概説したように、何らかの修飾によって天然のヌクレオシドとは異なる。
mecA-MRSA遺伝子またはmecC-MRSA遺伝子核酸配列をコードする核酸分子を増幅する修飾オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチドは、例えば、OLIGO(Molecular Biology Insights Inc.、コロラド州カスケード)などのコンピュータプログラムを使用して設計し得る。増幅プライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドを設計する際の重要な特徴としては、検出(例えば、電気泳動によって)を容易にするための適切なサイズの増幅産物、一対のプライマーのメンバーに対する同様の融解温度、および各プライマーの長さ(すなわち、プライマーは、配列特異性でアニーリングし、合成を開始するのに十分な長さである必要があるが、オリゴヌクレオチド合成中に忠実度が低下するほど長くはない)が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、オリゴヌクレオチドプライマーは8~50ヌクレオチド長(例えば、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48または50ヌクレオチド長)である。
プライマーのセットに加えて、本方法は、mecA/mecC-MRSAの存在または非存在を検出するために1つ以上のプローブを使用し得る。「プローブ」という用語は、合成的または生物学的に産生された核酸(DNAまたはRNA)を指し、これは、設計または選択により、定義された所定のストリンジェンシーの下で、mecA-MRSA(標的)核酸および/またはmecC-MRSA(標的)核酸に特異的に(すなわち、優先的に)ハイブリダイズすることを可能にする特定のヌクレオチド配列を含む。「プローブ」は、標的核酸を検出することを意味する「検出プローブ」と称され得る。
いくつかの実施形態では、記載されるmecA-MRSAおよびmecC-MRSAプローブは、少なくとも1つの蛍光標識で標識し得る。一実施形態では、mecA-MRSAおよびmecC-MRSAプローブを、ドナー蛍光部分、例えば蛍光色素、および対応するアクセプター蛍光部分、例えばクエンチャーで標識し得る。
一実施形態では、プローブは蛍光部分を含むかまたはそれからなり、核酸配列は配列番号3または7(標識なしで示されている)を含むかまたはそれからなる。
プローブとして使用されるオリゴヌクレオチドの設計は、プライマーの設計と同様の方法で行い得る。実施形態は、増幅産物の検出のために単一のプローブまたは一対のプローブを使用し得る。実施形態に応じて、使用するプローブ(複数可)は、少なくとも1種の標識および/または少なくとも1種のクエンチャー部分を含み得る。プライマーと同様に、プローブは通常同様の融解温度を有し、各プローブの長さは配列特異的ハイブリダイゼーションが起こるのに十分でなければならないが、合成中に忠実度が低下するほど長くはない。オリゴヌクレオチドプローブは、一般に15~30(例えば、16、18、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長である。
コンストラクトは、それぞれがmecA-MRSAまたはmecC-MRSAプライマーの1つを含有するベクターと、プローブ核酸分子(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6および7)とを含み得る。コンストラクトは、例えば、対照鋳型核酸分子として使用し得る。使用に適したベクターは、市販されている、および/または当技術分野で日常的な組換え核酸技術法によって製造される。mecA-MRSAおよびmecC-MRSA核酸分子は、例えば、化学合成、mecA/mecC-MRSAからの直接クローニングまたはPCR増幅によって得ることができる。
本方法での使用に適した構築物は、典型的には、mecA/mecC-MRSA核酸分子(例えば、配列番号1、2、3、4、5、6および7の1つ以上の配列を含む核酸分子)に加えて、所望の構築物および/または形質転換体を選択するための選択マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)をコードする配列、ならびに複製起点を含む。ベクター系の選択は、通常、宿主細胞の選択、複製効率、選択性、誘導性および回収の容易さを含むがこれらに限定されない、いくつかの要因に依存する。
mecA/mecC-MRSA核酸分子を含有するコンストラクトは、宿主細胞内で増殖させ得る。本明細書で使用される宿主細胞という用語は、原核生物および真核生物、例えば酵母、植物および動物細胞を含むことを意味する。原核生物宿主には、大腸菌(E.coli)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)およびバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)が含まれ得る。真核生物宿主としては、S.セレビシエ(S.cerevisiae)、S.ポンベ(S.pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などの酵母、COS細胞またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞、昆虫細胞、ならびにアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)およびニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)などの植物細胞が挙げられる。コンストラクトを、当業者に一般的に知られている技術のいずれかを使用して宿主細胞に導入することができる。例えば、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、熱ショック、リポフェクション、マイクロインジェクションおよびウイルス媒介核酸移入は、核酸を宿主細胞に導入するための一般的な方法である。さらに、ネイキッドDNAを細胞に直接送達することができる(例えば、米国特許第5,580,859号および同第5,589,466号)。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号、同第4,800,159号および同第4,965,188号には、従来のPCR技術が開示されている。PCRは、典型的には、選択された核酸鋳型(例えば、DNAまたはRNA)に結合する2種のオリゴヌクレオチドプライマーを用いる。いくつかの実施形態において有用なプライマーとしては、記載されるmecA/mecC-MRSA核酸配列内の核酸合成の開始点として作用し得るオリゴヌクレオチドが挙げられる(例えば、配列番号1、2、4、5および6)。プライマーは、従来の方法によって制限消化物から精製し得るか、または合成的に生成し得る。プライマーは増幅における最大効率には一本鎖が好ましいが、プライマーは二本鎖であってもよい。二本鎖プライマーは、最初に変性される。すなわち、鎖を分離するために処理される。二本鎖核酸を変性させる1つの方法は、加熱によるものである。
鋳型核酸が二本鎖である場合、PCRで鋳型として使用することができるようにする前に、2本の鎖を分離することが必要である。鎖分離は、物理的、化学的、または酵素的手段を含む任意の好適な変性方法によって達成することができる。核酸鎖を分離する1つの方法は、核酸が優位に変性する(例えば、50%、60%、70%、80%、90%、または95%を超える変性)まで加熱することを含む。鋳型核酸を変性させるのに必要な加熱条件は、例えば、緩衝塩濃度、ならびに変性される核酸の長さおよびヌクレオチド組成に依存するが、典型的には、温度および核酸長のような反応の特徴に応じて、約90℃~約105℃の範囲である。変性は、典型的には、約30秒間~4分間(例えば、1分~2分30秒、または1.5分)行われる。
二本鎖鋳型核酸が熱によって変性される場合、反応混合物を、記載されたmecA/mecC-MRSA核酸分子上のその標的配列に対する各プライマーのアニーリングを促進する温度まで冷却する。アニーリングの温度は、通常、約35℃~約65℃、(例えば、約40℃~約60℃、約45℃~約50℃)である。アニーリング時間は、約10秒~約1分(例えば、約20秒~約50秒、約30秒~約40秒)であり得る。次いで、ポリメラーゼの活性が促進または最適化される温度、すなわち、アニーリングされたプライマーから伸長が起こって、鋳型核酸に相補的な生成物を生成するのに充分な温度に、反応混合物を調節する。温度は、核酸鋳型にアニーリングされた各プライマーから伸長生成物を合成するのに充分でなくてはならないが、その相補的な鋳型から伸長生成物を変性させるほど高くすべきではない(例えば、伸長のための温度は、概して、約40℃~約80℃(例えば、約50℃~約70℃、約60℃)の範囲である)。伸長時間は、約10秒~約5分(例えば、約30秒~約4分、約1分~約3分、約1分30秒~約2分)であり得る。
PCRアッセイは、RNAまたはDNA(cDNA)などのmecA/mecC-MRSA核酸を使用し得る。鋳型核酸は精製する必要はなく;鋳型核酸は、ヒト細胞に含まれるmecA/mecC-MRSA核酸などの複合混合物の微量画分であり得る。mecA/mecC-MRSA核酸分子は、Diagnostic Molecular Microbiology:Principles and Applications(Persingら、(編集),1993,American Society for Microbiology,Washington D.C.)に記載されているような通常の技術によって生物学的サンプルから抽出し得る。核酸は、任意の数の供給源、例えばプラスミド、または、細菌、酵母、ウイルス、細胞小器官、または植物もしくは動物などの高等生物を含む天然供給源から得ることができる。
オリゴヌクレオチドプライマー(例えば、配列番号1、2、4、5および6)を、プライマー伸長を誘導する反応条件下でPCR試薬と組み合わせる。例えば、鎖伸長反応には、一般的に、50mM KCl、10mM Tris-HCl(pH8.3)、15mM MgCl2、0.001%(w/v)ゼラチン、0.5~1.0μgの変性された鋳型DNA、50pmolの各オリゴヌクレオチドプライマー、2.5UのTaqポリメラーゼおよび10%DMSO)が含まれる。反応物は、通常、それぞれ150~320μMのdATP、dCTP、dTTP、dGTP、またはそれらの1種以上の類縁体を含有する。
新規に合成された鎖は、反応の後続工程で使用できる二本鎖分子を形成する。鎖分離、アニーリングおよび伸長の工程は、標的mecA-MRSAおよび/またはmecC-MRSA核酸分子に対応する所望量の増幅産物を産生するために必要に応じて頻繁に繰り返し得る。反応の制限因子は、反応中に存在するプライマー、熱安定性酵素、およびヌクレオシド三リン酸の量である。サイクリング工程(すなわち、変性、アニーリング、および伸長)は、好ましくは少なくとも1回繰り返される。検出での使用について、サイクリング工程の数は、例えばサンプルの性質に依存する。サンプルが核酸の複雑な混合物である場合、検出に充分な標的配列を増幅するために、より多くのサイクリング工程が必要となる。概して、サイクリング工程は少なくとも約20回繰り返されるが、40、60、または100回繰り返してもよい。
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)
FRET技術(例えば、米国特許第4,996,143号、同第5,565,322号、同大5,849,489号、同第6,162,603号)は、ドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分が互いに一定の距離内に配置されると、可視化できるかまたは他の方法で検出および/または定量することができる、2つの蛍光部分間でエネルギー移動が起こるという概念に基づいている。典型的に、ドナーは好適な波長の光放射によって励起されると、アクセプターにエネルギーを移動させる。典型的に、アクセプターは転移されたエネルギーを異なる波長の光放射の形態で再放射する。特定の系では、非蛍光エネルギーは、実質的に非蛍光のドナー部分(例えば、米国特許第7,741,467号を参照)を含む生体分子を介して、ドナー部分とアクセプター部分との間で移動され得る。
一例では、オリゴヌクレオチドプローブは、ドナー蛍光部分と、蛍光性であってもなくてもよく、光以外の形態で伝達されたエネルギーを散逸させる対応するクエンチャーとを含有し得る。プローブがインタクトである場合、エネルギー移動は、典型的には、ドナー蛍光部分からの蛍光発光が消光されるように、2つの蛍光部分の間で起こる。ポリメラーゼ連鎖反応の伸長工程中、増幅産物に結合したプローブは、ドナー蛍光部分の蛍光発光がもはやクエンチされないように、例えばTaqポリメラーゼの5’から3’へのヌクレアーゼ活性によって切断される。この目的のための例示的なプローブは、例えば、米国特許第5,210,015号、同第5,994,056号、および同第6,171,785号に記載されている。一般的に使用されるドナー-アクセプター対は、FAM-TAMRA対を包含する。一般的に使用されるクエンチャーは、DABCYLおよびTAMRAである。一般的に使用されるダーククエンチャーは、BlackHole Quenchers(商標)(BHQ)、(Biosearch Technologies,Inc.、カリフォルニア州ノヴァト)、Iowa Black(商標)(Integrated DNA Tech.,Inc.、アイオワ州コーラルビル)、BlackBerry(商標)Quencher 650(BBQ-650)(Berry&Assoc、ミシガン州デクスタ)を包含する。
別の例では、それぞれが蛍光部分を含有する2つのオリゴヌクレオチドプローブは、mecA/mecC-MRSA標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドプローブの相補性によって決定される特定の位置で増幅産物にハイブリダイズし得る。オリゴヌクレオチドプローブが適切な位置で増幅産物核酸にハイブリダイゼーションすると、FRETシグナルが生成される。ハイブリダイゼーション温度は、約10秒間~約1分間、約35℃~約65℃の範囲であり得る。
蛍光分析は、例えば、光子計数落射蛍光顕微鏡システム(適切なダイクロイックミラーおよび特定の範囲の蛍光発光を監視するためのフィルタを備える)、光子計数光電子増倍管システム、または蛍光光度計を使用して行い得る。エネルギー移動を開始するため、または蛍光体の直接検出を可能にするための励起は、アルゴンイオンレーザー、高強度水銀(Hg)アークランプ、光ファイバー光源、または所望の範囲の励起のために適切にフィルタリングされた他の高強度光源を用いて行うことができる。
ドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分に「対応する」に関して本明細書で使用される場合、ドナー蛍光部分の発光スペクトルと重複する吸光度スペクトルを有するアクセプター蛍光部分を指す。アクセプター蛍光部分の発光スペクトルの波長最大値は、ドナー蛍光部分の励起スペクトルの波長最大値よりも少なくとも100nm大きくなければならない。したがって、それらの間で効率的な非放射エネルギー伝達を生成し得る。
蛍光ドナー部分および対応するアクセプター部分は、一般に、(a)高効率Forsterエネルギー移動、(b)大きな最終ストークスシフト(>100nm)、(c)可能な限り可視スペクトルの赤色部分(>600nm)への発光のシフト;および(d)ドナー励起波長での励起によって生じるラマン水蛍光発光よりも高い波長への発光のシフトのために選択される。例えば、レーザー線付近のその最大励起波長(例えば、ヘリウム-カドミウム442nmまたはアルゴン488nm)、高い吸光係数、高い量子収率、およびその蛍光発光に対応するアクセプター蛍光部分の励起スペクトルとの良好な重複を有するドナー蛍光部分を選択し得る。高い吸光係数、高い量子収率、ドナー蛍光部分の発光とのその励起の良好な重複、および可視スペクトルの赤色部分(>600nm)の発光を有する対応するアクセプター蛍光部分を選択することができる。
FRET技術において様々なアクセプター蛍光部分と共に使用することができる代表的なドナー蛍光部分としては、フルオレセイン、ルシファーイエロー、B-フィコエリトリン、9-アクリジンイソチオシアネート、ルシファーイエローVS、4-アセトアミド-4’-イソチオ-シアナトスチルベン-2、2’-ジスルホン酸、7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、スクシンミル1-ピレンブチレート、および4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸誘導体が挙げられる。代表的なアクセプター蛍光部分としては、使用されるドナー蛍光部分に応じて、LC Red640、LC Red705、Cy5、Cy5.5、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ローダミンxイソチオシアネート、エリスロシンイソチオシアネート、フルオレセイン、ジエチレントリアミンペンタアセテート、またはランタニドイオンの他のキレート(例えば、ユウロピウム、またはテルビウム)が挙げられる。ドナー蛍光部分およびアクセプター蛍光部分は、例えば、Molecular Probes(オレゴン州ジャンクションシティ)またはSigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)から得ることができる。
ドナー蛍光部分およびアクセプター蛍光部分を、リンカーアームを介して適切なプローブオリゴヌクレオチドに結合し得る。リンカーアームはドナー蛍光部分とアクセプター蛍光部分との間の距離に影響を及ぼすので、各リンカーアームの長さは重要である。リンカーアームの長さは、ヌクレオチド塩基から蛍光部分までのオングストローム(Å)の距離であり得る。一般に、リンカーアームは約10Å~約25Åである。リンカーアームは、国際公開第84/03285号に記載されている種類のものであってもよい。国際公開第84/03285号はまた、リンカーアームを特定のヌクレオチド塩基に結合させる方法、および蛍光部分をリンカーアームに結合させる方法も開示している。
LC Red640などのアクセプター蛍光部分を、アミノリンカー(例えば、ABI(カリフォルニア州フォスターシティ)またはGlen Research(バージニア州スターリング)から入手可能なC6-アミノホスホラミダイト)を含有するオリゴヌクレオチドと組み合わせて、例えば、LC Red640標識オリゴヌクレオチドを生成し得る。フルオレセインなどのドナー蛍光部分をオリゴヌクレオチドに結合させるためによく使用されるリンカーとしては、チオ尿素リンカー(FITC由来、例えばGlen ResearchまたはChemGene(マサチューセッツ州アッシュランド)製のフルオレセイン-CPG)、アミド-リンカー(BioGenex(カリフォルニア州サンラモン)製のCX-フルオレセイン-CPGなどの、フルオレセイン-NHS-エステル由来)、またはオリゴヌクレオチド合成後にフルオレセイン-NHS-エステルの結合を必要とする3’-アミノ-CPGが挙げられる。
mecA/mecC-MRSAの検出
本開示は、生物学的サンプルまたは非生物学的サンプル中のmecA/mecC-MRSAの存在または非存在を検出する方法を提供する。提供される方法は、サンプル汚染、偽陰性、および偽陽性の問題を回避する。本方法は、複数対のmecA-MRSAおよび/またはmecC-MRSAプライマーを使用して、サンプルからのmecA-MRSAおよび/またはmecC-MRSA標的核酸分子の一部を増幅することを含む少なくとも1つのサイクリング工程、ならびにFRET検出工程を実施することを含む。複数のサイクリング工程は、好ましくはサーモサイクラーで行われる。mecA/mecC-MRSAの存在を検出するために、mecA-MRSAおよびmecC-MRSAプライマーおよびプローブを使用して方法を実施し得、mecA/mecC-MRSAの検出は、サンプル中のmecA-MRSAおよび/またはmecC-MRSAの存在を示す。
本明細書に記載されるように、増幅産物は、FRET技術を利用する標識ハイブリダイゼーションプローブを使用して検出し得る。1つのFRETフォーマットは、TaqMan(登録商標)技術を利用して、増幅産物の有無、したがってmecA/mecC-MRSAの有無を検出する。TaqMan(登録商標)技術は、例えば、1種の蛍光色素および1種のクエンチャーで標識された1種の1本鎖ハイブリダイゼーションプローブを利用し、これは蛍光性であってもよく、蛍光性でなくてもよい。第1の蛍光部分が好適な波長の光で励起されると、吸収されたエネルギーはFRETの原理に従って第2の蛍光部分に移動される。第2の蛍光部分は、一般的には、クエンチャー分子である。PCR反応のアニーリング工程中、標識されたハイブリダイゼーションプローブは、標的DNA(すなわち、増幅産物)に結合し、その後の伸長段階中に、例えばTaqポリメラーゼの5’から3’へのヌクレアーゼ活性によって分解される。その結果、蛍光部分とクエンチャー部分とが、互いに空間的に分離した状態となる。結果として、クエンチャーの不在下において第1の蛍光部分を励起すると、第1の蛍光部分からの蛍光発光を検出し得る。例として、ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems)は、TaqMan(登録商標)技術を使用し、サンプル中のmecA/mecC-MRSAの存在または非存在を検出するための本明細書に記載の方法を実施するのに適している。
FRETと組み合わせた分子ビーコンを使用して、リアルタイムPCR法を使用して増幅産物の存在を検出することもできる。分子ビーコン技術は、第1の蛍光部分および第2の蛍光部分で標識されたハイブリダイゼーションプローブを使用する。第2の蛍光部分は一般的にはクエンチャーであり、蛍光標識は典型的にはプローブの各端部に配置される。分子ビーコン技術は、二次構造形成を可能にする配列(例えば、ヘアピン)を有するプローブオリゴヌクレオチドを使用する。プローブ内で二次構造が形成された結果、プローブが溶液中にある場合、両方の蛍光部分が空間的に近接する。標的核酸(すなわち、増幅産物)へのハイブリダイゼーション後、プローブの二次構造が破壊され、蛍光部分が互いに分離され、それにより、適切な波長の光による励起後、第1の蛍光部分の発光を検出することができる。
FRET技術の別の共通形式は、2つのハイブリダイゼーションプローブを利用する。各プローブは、異なる蛍光部分で標識することができ、一般に、標的DNA分子(例えば、増幅産物)内で互いに近接してハイブリダイズするように設計される。ドナー蛍光部分、例えばフルオレセインは、LightCycler(登録商標)機器の光源によって470nmで励起される。FRETの間、フルオレセインは、そのエネルギーをアクセプター蛍光部分、例えばLightCycler(登録商標)-Red640(LC Red640)またはLightCycler(登録商標)-Red705(LC Red705)に伝達する。次いで、アクセプター蛍光部分は、より長い波長の光を放出し、これはLightCycler(登録商標)機器の光学検出システムによって検出される。効率的なFRETは、蛍光部分が直接局所的に近接しており、ドナー蛍光部分の発光スペクトルがアクセプター蛍光部分の吸収スペクトルと重なっている場合にのみ起こり得る。放出されたシグナルの強度は、元の標的DNA分子の数と相関させ得る(例えば、mecA-MRSAまたはmecC-MRSAゲノムの数)。mecA/mecC-MRSA標的核酸の増幅が起こり、増幅産物が産生される場合、ハイブリダイズする工程は、プローブ対のメンバー間のFRETに基づく検出可能なシグナルをもたらす。
一般に、FRETの存在はサンプル中のmecA/mecC-MRSAの存在を示し、FRETの非存在はサンプル中のmecA/mecC-MRSAの非存在を示す。しかしながら、不十分な検体収集、輸送遅延、不適切な輸送条件、または特定の収集スワブ(アルギン酸カルシウムまたはアルミニウムシャフト)の使用はいずれも、試験結果の成功および/または精度に影響を及ぼし得る条件である。本明細書中に開示される方法を使用すると、例えば、45サイクリング工程内でのFRETの検出は、mecA-MRSAまたはmecC-MRSAに感染していることを示す。
本方法の実施に使用し得る代表的な生物学的サンプルとしては、皮膚スワブ、鼻スワブ、創傷スワブ、血液培養物、皮膚および軟部組織感染が挙げられるが、これらに限定されない。生物学的サンプルの収集および保存方法は、当技術分野の当業者に知られている。生物学的サンプルを処理(例えば、当技術分野で公知の核酸抽出方法および/またはキットによって)することにより、mecA/mecC-MRSA核酸が放出し得、または場合によっては、生物学的サンプルをPCR反応成分および適切なオリゴヌクレオチドと直接接触させ得る。
融解曲線分析は、サイクルプロファイルに含め得る追加の工程である。
融解曲線分析は、DNA二本鎖の半分が一本鎖に分離した温度として定義される融解温度(Tm)と呼ばれる特徴的な温度でDNAが融解するという事実に基づいている。DNAの融解温度は、主にそのヌクレオチド組成に依存する。したがって、GおよびCヌクレオチドが豊富なDNA分子は、AおよびTヌクレオチドが豊富なDNA分子よりも高いTmを有する。シグナルが失われる温度を検出することにより、プローブの融解温度を決定することができる。同様に、シグナルが発生する温度を検出することにより、プローブのアニール温度を決定し得る。mecA/mecC-MRSA増幅産物からのmecA-MRSAおよびmecC-MRSAプローブの融解温度により、サンプル中のmecA/mecC-MRSAの存在または非存在を確認し得る。
各サーモサイクラーランの間に、対照サンプルも同様にサイクルし得る。陽性対照サンプルは、例えば、対照プライマーおよび対照プローブを使用して、(記載された標的遺伝子の増幅産物以外の)標的核酸対照鋳型を増幅し得る。陽性対照サンプルはまた、例えば標的核酸分子を含むプラスミドコンストラクトを増幅し得る。そのようなプラスミド対照は、意図された標的の検出に使用されるのと同じプライマーおよびプローブを使用して、内部で(例えば、サンプル内で)または患者のサンプルと並んで実行される別々のサンプルで増幅し得る。そのような対照は、増幅、ハイブリダイゼーションおよび/またはFRET反応の成功または失敗の指標である。各サーモサイクラー実行はまた、例えば標的鋳型DNAを欠く陰性対照を含み得る。陰性対照は汚染を測定し得る。これにより、システムおよび試薬が偽陽性シグナルを生じないことが保証される。したがって、対照反応は、例えば、プライマーが配列特異性によりアニールし、伸長を開始する能力、ならびにプローブが配列特異性によりハイブリダイズし、FRETが発生する能力を容易に決定し得る。
一実施形態では、本方法は、汚染を回避する工程を含む。例えば、ウラシル-DNAグリコシラーゼを利用する酵素的方法は、あるサーモサイクラー運転と次のサーモサイクラー運転との間の汚染を低減または排除するために、米国特許第5,035,996号、同第5,683,896号および同第5,945,313号に記載される。
FRET技術と組み合わせた従来のPCR法を使用して、この方法を実施し得る。一実施形態では、LightCycler(登録商標)機器が使用される。以下の特許出願:国際公開第97/46707号、国際公開第97/46714号および国際公開第97/46712号は、LightCycler(登録商標)技術で使用されるリアルタイムPCRを開示している。
LightCycler(登録商標)は、PCワークステーションを使用して動作させることができ、Window NTオペレーティングシステムを利用し得る。サンプルからのシグナルは、機械が光学ユニット上にキャピラリーを順次配置するときに得られる。ソフトウェアは、各測定の直後にリアルタイムで蛍光シグナルを表示し得る。蛍光取得時間は10~100ミリ秒(msec)である。各サイクリング工程の後、蛍光対サイクル数の定量的表示を、全てのサンプルについて連続的に更新し得る。生成されたデータは、さらなる分析のために保存し得る。
FRETの代替として、蛍光DNA結合色素(例えば、SYBR(登録商標)GreenまたはSYBR(登録商標)Gold(Molecular Probes))等の二本鎖DNA結合色素を用いて、増幅産物を検出し得る。二本鎖核酸との相互作用の際、このような蛍光DNA結合色素は、適当な波長の光で励起した後、蛍光シグナルを発する。また、核酸インターカレート色素などの二本鎖DNA結合色素を用いることもできる。二本鎖DNA結合色素を使用する場合、増幅産物の存在を確認するために、通常は融解曲線分析を行う。
本開示の実施形態は、1種以上の市販の機器の構成によって限定されないことが理解される。
製造品/キット
本開示の実施形態はさらに、mecA/mecC-MRSAを検出するための製造品またはキットを提供する。製造品は、適切な包装材料と共に、mecA/mecC-MRSAを検出するために使用されるプライマーおよびプローブを含み得る。mecA/mecC-MRSAの検出のための代表的なプライマーおよびプローブは、mecA/mecC-MRSA標的核酸分子にハイブリダイズし得る。さらに、キットはまた、固体支持体、緩衝液、酵素およびDNA標準のような、DNA固定化、ハイブリダイゼーションおよび検出に必要な適切に包装された試薬および材料を含み得る。プライマーおよびプローブを設計する方法が本明細書に開示され、mecA/mecC-MRSA標的核酸分子を増幅し、それにハイブリダイズするプライマーおよびプローブの代表的な例が提供される。
製造品はまた、プローブを標識するための1種以上の蛍光部分を含み得、あるいは、キットと共に供給されるプローブを標識し得る。例えば、製造品は、mecA-MRSAおよびmecC-MRSAプローブを標識するためのドナーおよび/またはアクセプター蛍光部分を含み得る。好適なFRETドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分の例を上に提供する。
製造品はまた、サンプル中のmecA/mecC-MRSAを検出するためにmecA-MRSAおよびmecC-MRSAプライマーおよびプローブを使用するための説明書を有する添付文書または添付文書ラベルを含み得る。製造品は、本明細書に開示される方法を実施するための試薬(例えば、緩衝液、ポリメラーゼ酵素、補因子、または汚染を防止するための薬剤)を更に含み得る。そのような試薬は、本明細書に記載の市販の機器の1種に特異的であり得る。
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に記載される発明の範囲を限定しない以下の実施例において更に説明される。
以下の実施例および図面は、主題の理解を助けるために提供されており、その主題の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の思想から逸脱することなく、定められた手順に変更を加えることができると理解される。
実施例1
MecA/mecC-MRSA遺伝子標的
図1は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出に使用されるいくつかの標的遺伝子の相対位置を示す。本開示のプライマーおよびプローブは、mecA/mecC遺伝子を標的とする。
実施例2
PCR実験条件
mecA-MRSA標的遺伝子またはmecC-MRSA標的遺伝子のリアルタイムPCR検出を、cobas(登録商標)4800システムまたはcobas(登録商標)6800/8800システムプラットフォーム(Roche Molecular Systems,Inc.カリフォルニア州プレザントン)のいずれかを使用して行った。増幅試薬の最終濃度を以下に示す:
Figure 2023508100000003
以下の表は、PCR増幅反応に使用される典型的な熱プロファイルを示す:
Figure 2023508100000004
Pre-PCRプログラムは、初期変性およびRNA鋳型の逆転写のための55℃、60℃および65℃でのインキュベーションを含んでいた。3種の温度でのインキュベーションは、より低い温度ではわずかにミスマッチした標的配列(生物の遺伝的変異体など)も転写されるが、より高い温度ではRNA二次構造の形成が抑制され、したがってより効率的な転写をもたらすという有利な効果を併せ持つ。PCRサイクリングを2つの測定に分け、いずれの測定も1段階の設定を適用する(アニーリングと伸長を組み合わせる)。55℃での最初の5サイクルは、わずかにミスマッチした標的配列を予備増幅することによって包括性の増加を可能にするが、第2の測定の45サイクルは、58℃のアニーリング/伸長温度を使用することによって特異性を高める。
実施例3
実験結果
図2は、mecA遺伝子を含むことが知られているMRSA株12770に対するmecAプライマーおよび標準的なオリゴヌクレオチドベンダーからのプローブを使用した実験のPCR増殖曲線を示す。mecA遺伝子が検出されたにもかかわらず、増殖曲線はS字形ではなく、その結果、Ct値(閾値サイクル)を決定し得ず、標的遺伝子濃度の定量を実施できなかった。これに対して、配列番号1のmecAフォワードプライマー、配列番号2のmecAリバースプライマー、および配列番号3のmecAプローブを用いたPCR実験では、mecA遺伝子を含むMRSA株(株10714、10817および12270)でのみ増幅産物の検出が認められ、mecC遺伝子を含むMRSA株(12756株)やメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)株10853では認められなかった。図3は、このPCR実験の増殖曲線を示し、決定されたCt値を表IVに示す。
Figure 2023508100000005
別のPCR実験では、mecC含有MRSA株12756および12765を、配列番号4のmecCフォワードプライマーまたは配列番号5のmecCフォワードプライマーと、配列番号6のmecCリバースプライマーを使用して増幅および検出し、配列番号7のmecCプローブを使用して検出した。結果を表Vおよび図4に示す。
Figure 2023508100000006
前述の発明を明確化および理解するためにある程度詳細に説明してきたが、本開示を読むことにより、本発明の真の範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更を行うことができることが当業者には明らかであろう。例えば、上述したすべての技術および装置を、様々な組み合わせで使用することができる。本出願で引用されるすべての刊行物、特許、特許出願、および/または他の文献は、あたかも各個別の刊行物、特許、特許出願、および/または他の文献が全ての目的のために参照により組み込まれることが個別に示されているのと同程度に、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
Figure 2023508100000007

Claims (25)

  1. サンプル中のmecA含有メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(mecA-MRSA)を検出する方法であって、
    - 前記サンプル中にmecA-MRSAが存在する場合、前記サンプルを、配列番号1のヌクレオチド配列またはその相補体を含むフォワードプライマー、および配列番号2のヌクレオチド配列またはその相補体を含むリバースプライマーと接触させて増幅産物を産生することを含む増幅工程を実施すること;
    - 前記増幅産物を1つ以上の検出可能なmecA-MRSAプローブと接触させることを含むハイブリダイズ工程を実施する工程であって、前記1つ以上の検出可能なmecA-MRSAプローブのうちの1つが配列番号3の配列またはその相補体を含む、ハイブリダイズ工程を実施すること;および
    - 増幅された前記増幅産物の存在または非存在を検出する工程であって、前記増幅された増幅産物の存在が、前記サンプル中のmecA-MRSAの存在を示し、前記増幅された増幅産物の非存在が前記サンプル中のmecA-MRSAの非存在を示す、増幅された前記増幅産物の存在または非存在を検出する工程
    を含む、方法。
  2. - 前記ハイブリダイズ工程が、前記増幅産物をドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分で標識されたプローブと接触させることを含み;
    - 前記検出する工程が、前記プローブの前記ドナー蛍光部分と前記アクセプター蛍光部分との間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の存在または非存在を検出することを含み、蛍光FRETの存在または非存在が、前記サンプル中のmecA-MRSAの存在または非存在を示す、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ドナー蛍光部分および前記対応するアクセプター蛍光部分が、前記プローブ上で互いに8ヌクレオチド以内にある、請求項2に記載の方法。
  4. 前記アクセプター蛍光部分がクエンチャーである、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記増幅工程が、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を使用する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. - 前記サンプル中にmecC-MRSAが存在する場合、前記増幅工程における前記サンプルを、配列番号4もしくは5のヌクレオチド配列またはその相補体を含むフォワードプライマー、および配列番号6のヌクレオチド配列またはその相補体を含むリバースプライマーと更に接触させて増幅産物を産生する工程;
    - 前記ハイブリダイズ工程における前記増幅産物を、1つ以上の検出可能なmecC-MRSAプローブと更に接触させる工程であって、前記1つ以上の検出可能なmecC-MRSAプローブのうちの1つが、配列番号7の配列またはその相補体を含む、接触させる工程;および
    - 増幅された前記増幅産物の存在または非存在を検出する工程であって、前記増幅された増幅産物の存在が前記サンプル中のmecC-MRSAの存在を示し、前記増幅された増幅産物の非存在が前記サンプル中のmecC-MRSAの非存在を示す、増幅された前記増幅産物の存在または非存在を検出する工程
    によって、同じ反応において、前記サンプル中のmecC含有メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(mecC-MRSA)を検出することを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記mec-MRSAプローブが、前記標識されたmecA-MRSAプローブの前記ドナー蛍光部分および前記対応するアクセプター蛍光部分とは異なる、ドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分で標識されている、請求項6に記載の方法。
  8. サンプル中のmecC含有メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(mecC-MRSA)を検出する方法であって、
    - 前記サンプル中にmecC-MRSAが存在する場合、前記サンプルを、配列番号4もしくは5のヌクレオチド配列またはその相補体を含むフォワードプライマー、および配列番号6のヌクレオチド配列を含むリバースプライマーと接触させて増幅産物を産生することを含む増幅工程を実施すること;
    - 前記増幅産物を1つ以上の検出可能なmecC-MRSAプローブと接触させることを含むハイブリダイズ工程を実施する工程であって、前記1つ以上の検出可能なmecC-MRSAプローブのうちの1つが配列番号7の配列またはその相補体を含む、ハイブリダイズ工程を実施すること;および
    - 増幅された前記増幅産物の存在または非存在を検出する工程であって、前記増幅された増幅産物の存在が、前記サンプル中のmecC-MRSAの存在を示し、前記増幅された増幅産物の非存在が前記サンプル中のmecC-MRSAの非存在を示す、増幅された前記増幅産物の存在または非存在を検出する工程
    を含む、方法。
  9. - 前記ハイブリダイズ工程が、前記増幅産物をドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分で標識されたプローブと接触させることを含み;
    - 前記検出する工程が、前記プローブの前記ドナー蛍光部分と前記アクセプター蛍光部分との間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の存在または非存在を検出することを含み、蛍光FRETの存在または非存在が、前記サンプル中のmecC-MRSAの存在または非存在を示す、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ドナー蛍光部分および前記対応するアクセプター蛍光部分が、前記プローブ上で互いに8ヌクレオチド以内にある、請求項9に記載の方法。
  11. 前記アクセプター蛍光部分がクエンチャーである、請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記増幅工程が、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ酵素を使用する、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. mecA含有黄色ブドウ球菌(mecA-MRSA)の核酸を検出するためのキットであって、
    - 配列番号1の配列またはその相補体を含む第1のオリゴヌクレオチド;
    - 配列番号2の配列またはその相補体を含む第2のオリゴヌクレオチド;および
    - 前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチドによって生成されるアンプリコンにハイブリダイズするように構成された、配列番号3またはその相補体を含む第3の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド
    を含む、キット。
  14. 前記第3の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、ドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分を含む、請求項13に記載のキット。
  15. 前記アクセプター蛍光部分がクエンチャーである、請求項14に記載のキット。
  16. ヌクレオシド三リン酸、核酸ポリメラーゼ、および前記核酸ポリメラーゼの機能に必要な緩衝液を更に含む、請求項13~15のいずれか一項に記載のキット。
  17. mecC含有黄色ブドウ球菌(mecC-MRSA)の核酸を更に検出するための請求項13~16のいずれか一項に記載のキットであって、
    - 配列番号4および5からなる群から選択される配列またはその相補体を含む第4のオリゴヌクレオチド;
    - 配列番号6の配列またはその相補体を含む第5のオリゴヌクレオチド;および
    - 前記第4のオリゴヌクレオチドおよび前記第5のオリゴヌクレオチドによって生成されるアンプリコンにハイブリダイズするように構成された、配列番号7またはその相補体を含む第6の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド
    を更に含む、キット。
  18. 前記第6の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプローブが、前記第3の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドの前記ドナー蛍光部分および前記対応するアクセプター蛍光部分とは異なる、ドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分で標識されている、請求項17に記載のキット。
  19. mecC含有黄色ブドウ球菌(mecC-MRSA)の核酸を検出するためのキットであって、
    - 配列番号4および5からなる群から選択される配列またはその相補体を含む第1のオリゴヌクレオチド;
    - 配列番号6の配列またはその相補体を含む第2のオリゴヌクレオチド;および
    - 前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチドによって生成されるアンプリコンにハイブリダイズするように構成された、配列番号7またはその相補体を含む第3の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド
    を含む、キット。
  20. 前記第3の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドが、ドナー蛍光部分および対応するアクセプター蛍光部分を含む、請求項19に記載のキット。
  21. 前記アクセプター蛍光部分がクエンチャーである、請求項20に記載のキット。
  22. ヌクレオシド三リン酸、核酸ポリメラーゼ、および前記核酸ポリメラーゼの機能に必要な緩衝液を更に含む、請求項19~21のいずれか一項に記載のキット。
  23. 配列番号1、2、3、4、5、6および7からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドの配列またはその相補体を含むオリゴヌクレオチド。
  24. 前記オリゴヌクレオチドが少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項23に記載のオリゴヌクレオチド。
  25. 前記オリゴヌクレオチドが40個以下のヌクレオチドを有する、請求項23または24に記載のオリゴヌクレオチド。
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