JP7098309B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents
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Description
近年、ディスプレイの高輝度化に伴い、光学レンズの輝度を向上させるという試みがなされており、この目的のため例えば高屈折率樹脂に金属酸化物の微粒子を分散させる技術が検討されている(例えば特許文献1)。
即ち、本発明は、3価以上のアルコール(a)にアルキレンオキサイドを3~35モル付加してなる化合物(b)と(メタ)アクリル酸とのエステル化物である(メタ)アクリレートモノマー(B)と、金属酸化物(A)とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記活性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて前記金属酸化物(A)の含有量が65~95重量%であり、前記活性エネルギー線硬化性組成物の25℃での屈折率が1.60以上であり、前記金属酸化物(A)のメジアン粒子径が5~100nmである活性エネルギー線硬化性組成物;前記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物;前記硬化物を含む光学部品である。
そして、活性エネルギー線硬化性組成物中の金属酸化物(A)の含有量は65~95重量%であり、組成物の25℃での屈折率は1.60以上であり、金属酸化物(A)のメジアン粒子径が5~100nmであることを特徴とする。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」の表記は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」の表記は、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイル」の表記は、アクリロイル及び/又はメタアクリロイルを意味する。
また、後に詳述するように、金属酸化物(A)を混合して、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を製造する場合、金属酸化物(A)を、(メタ)アクリレート及び溶剤[非プロトン性溶剤(メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)及びプロトン性溶剤(メタノール等)等]等に分散させた分散液を用いることが好ましい。
このような金属酸化物(A)の分散液は、AX-ZP-158-A[(株)日本触媒製]、AX-ZP-153-A[(株)日本触媒製]及びSZR-M[堺化学工業(株)製]として市場から入手することができる。
3価以上のアルコール(a)としては、3~8価のアルコールが好ましく、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等が挙げられる。
前記のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド単独使用又はエチレンオキサイドとそれ以外のアルキレンオキサイドとの併用が好ましい。
即ち、(メタ)アクリレートモノマー(B)が有するオキシアルキレン基が、オキシエチレン基を含んでいることが好ましい。
前記のアルキレンオキサイドは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
3モル未満では耐衝撃性が不良であり、35モルを超えると凹凸成型性が不十分である。また、耐衝撃性を更に高める観点から好ましくは3~15モルである。
4価のアルコール(ペンタエリスリトール等)にアルキレンオキサイドを3~35モル付加してなる化合物について、有する全ての水酸基を、(メタ)アクリル酸でエステル化した化合物が好ましい。
メジアン粒子径が100nmを超えると耐衝撃性が悪くなる。
また、耐衝撃性を更に高める観点から好ましくは、15~50nmである。
なお、本発明において、メジアン粒子径とは、積算分布曲線における50%累積値に対応する粒子径(累積50%粒径)で定義され、動的光散乱法で測定した値を用いる。
本発明におけるメジアン粒子径は、活性エネルギー線硬化性組成物をメチルエチルケトンで10重量%に希釈した後、動的光散乱式粒子径分布測定器[例えば、商品名:ナノ粒子解析装置 nano Partica SZ-100、(株)堀場製作所製]を用いて、動的光散乱法により測定することができる。
特に、原料として使用する(A)が、溶剤を含む溶液(分散液)である場合には、その溶剤の極性によっては、5nm以下の(A)を使用しても、例えば本明細書の比較例5のように、活性エネルギー線硬化性組成物中でのメジアン系が100nmを超えることがある。
メジアン径を5~100nmとするためには、(A)以外のその他の成分については、非プロトン性の化合物(前記の非プロトン性溶剤等)を用いることが好ましい。
前記の(メタ)アクリレートモノマー(C)としては、1官能(メタ)アクリレートモノマー(C1)、2官能(メタ)アクリレートモノマー(C2)、3官能(メタ)アクリレートモノマー(C3)及び4~6官能(メタ)アクリレートモノマー(C4)等が挙げられる。
なお、2官能(メタ)アクリレートモノマーとは、(メタ)アクリロイル基の数が2個であることを意味し、以下同様の記載法を用いる。
これらの(メタ)アクリレートモノマー(C1)の内、屈折率の観点から好ましいのは、芳香環骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー(C11)[ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びo-、m-又はp-フェニルフェノールのモノ(メタ)アクリレート等]である。
これらの(メタ)アクリレートモノマー(C2)の内、屈折率の観点から好ましいのは、芳香環骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー(C21)[ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート及びビスフェノールフルオレンのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等]である。
その他の添加剤としては、可塑剤、有機溶剤、分散剤、消泡剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、スリップ剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤等が挙げられる。
65重量%未満であると、屈折率が不十分であり、95重量%を超えると耐衝撃性が不十分である。
前記の金属酸化物(A)の重量割合は、屈折率及び耐衝撃性を更に高める観点から、活性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて70~90重量%であることが好ましい。
また、必要に応じて、金属酸化物を分散させていた溶剤を、公知の方法(減圧留去等)で除去してもよい。
使用するランプとしては、高圧水銀灯及びメタルハライドランプ等が挙げられる。紫外線の照射量は、組成物の硬化性及び硬化物の可撓性の観点から好ましくは10~10,000mJ/cm2、更に好ましくは300~5,000mJ/cm2である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を予め20~60℃に温調し、光学レンズ形状が得られる金型(型温は好ましくは20~60℃、更に好ましくは25~50℃)にディスペンサー等を用いて、硬化後の厚みが20~150μmとなるように塗工又は充填し、塗膜上から透明基材(透明フィルム等)を空気が入らないように加圧積層し、更に前記の透明基材上から活性エネルギー線を照射して前記の塗膜を硬化させた後に、型から離型し成形体(光学レンズシート等)を得る。
また、本発明の硬化物を用いた光学部品は、光学レンズ、光学レンズ用シート又はフィルムとして、具体的には、プラスチックレンズ(プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ及び視野角向上レンズ等)、位相差フィルム、プリズム、光ファイバー、多層プリント配線板用層間絶縁膜及び感光性光導波路等として有用である。
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた反応容器に、酸化ジルコニウム(A-1)の分散液[商品名:AX-ZP-158-A、(株)日本触媒製;パンフレット記載の粒子径が11nm、酸化ジルコニウム(A-1)を70%含有、メチルエチルケトンを30%含有]107.1部、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド(以下、エチレンオキサイドをEOと略記する)15モル付加トリアクリレート(B-1)[商品名:SR-9035、巴工業(株)製]2.0部、トリメチロールプロパンEO3モル付加トリアクリレート(B-2)[商品名:ネオマーTA-401、三洋化成工業(株)製]13部及びベンジルアクリレート(C-3)[商品名:ビスコート#160 大阪有機化学工業(株)製]10部を仕込み30分間攪拌した後、35℃で(A-1)を分散させていたメチルエチルケトンを減圧留去した。
得られた混合物に対して光重合開始剤である2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(D-1)[商品:IRGACURE TPO、BASF社製]を3.0部加えて60℃にて攪拌しながら溶解均一化し、活性エネルギー線硬化性組成物(E-1)を得た。
実施例1において、(A-1)、(B-1)、(B-2)、(C-3)、(D-1)に代えて、表1に記載した化合物を、表1に記載した配合量[金属酸化物(A)については、固形分重量が表1に記載の配合量となるように配合]で使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2~5及び7の活性エネルギー線硬化性組成物[(E-2)~(E-5)及び(E-7)]並びに比較例1~5の比較用の活性エネルギー線硬化性組成物(E’-1)~(E’-5)を得た。
表1に記載の化合物を、表1に記載の配合量で配合し、60℃にて攪拌しながら溶解均一化を行い、実施例6の活性エネルギー線硬化組成物(E-6)及び比較用の活性エネルギー線硬化組成物(E’-6)を得た。
(A-1):酸化ジルコニウム70%分散液[商品名:AX-ZP-158-A、(株)日本触媒製;パンフレット記載の粒子径が11nm、メチルエチルケトンを30%含有]が含有する酸化ジルコニウム
(A-2):酸化ジルコニウム70%分散液[商品名:AX-ZP-153-A、(株)日本触媒製;パンフレット記載の粒子径が11nm、メチルエチルケトンを30%含有]が含有する酸化ジルコニウム
(A-3):酸化ジルコニウム30%分散液[商品名:SZR-K、堺化学工業(株)製;パンフレット記載の粒子径が4nm、メチルエチルケトンを60%、メタノールを10%含有]が含有する酸化ジルコニウム
(A-4):酸化チタン[商品名:SSP-25、堺化学工業(株)製;パンフレット記載の粒子径が9nm]
(A’-1):酸化ジルコニウム30%分散液[商品名:SZR-M、堺化学工業(株)製;パンフレット記載の粒子径が3nm、メタノールを70%含有]が含有する酸化ジルコニウム
(B-1):トリメチロールプロパンのEO15モル付加物のトリアクリレート[商品名:SR-9035、巴工業(株)製]
(B-2):トリメチロールプロパンのEO3モル付加物のトリアクリレート[商品名:ネオマーTA-401、三洋化成工業(株)製]
(B-3):ペンタエリスリトールのEO35モル付加物のテトラアクリレート[商品名:ATM-35E、新中村化学工業(株) ]製
(C-1)ペンタエリスリトールテトラアクリレート[商品名:Etermer 235、Eternal Chemical Co.,Ltd.製]
(C-2)ビスフェノールAのEO20モル付加物のジアクリレート[商品名:ニューフロンティアBPE-20、第一工業製薬(株)製]
(C-3):ベンジルアクリレート[商品名:ビスコート#160 大阪有機化学工業(株)製]
(D-1):2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド[商品名:IRGACURE TPO、BASF社製]
(D-2):2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン[商品名:IRGACURE 907、BASF社製]
それらの結果を表1に示す。
各活性エネルギー線硬化性組成物をメチルエチルケトンで10%に希釈した後、動的光散乱式粒子径分布測定器[商品名:ナノ粒子解析装置 nano Partica SZ-100、(株)堀場製作所製]を用いて粒子径を測定した。測定原理として動的光散乱法を選択し、測定されたメジアン粒子径を金属酸化物の粒子径とした。
各活性エネルギー線硬化性組成物の屈折率を25℃の環境下で屈折率計[商品名:アッベ屈折率計4T、(株)アタゴ製]を用いて測定した。
(1)溝の深さが50μm、ピッチ幅を20μmで平行線を刻んで微細に凹凸処理を施したステンレス製の金型を用意する(片面が10cm×10cm以上)。
(2)活性エネルギー線硬化性組成物をこの金型の片面に、金型の凹部分からの厚さが100μmになるようにアプリケーターで塗工(塗工面積は10cm×10cm以上)した後、厚さ100μmのポリエステルフィルム[商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡績(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。ポリエステルフィルム側から紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、紫外線を400mJ/cm2照射して、硬化させ、硬化膜を作成した。次に、作成した硬化膜を、片面が10cm×10cmのフィルムとなるように切断し、これを試験片とした。
(3)試験片の上に縦30cm、横30cm、厚さ2mmのアクリル板をのせ、アクリル板から高さ30cmのところからアクリル球(直径55mm、重さ130g)を垂直に落下させ、ボール落下試験を行った。
(4)ボール落下試験後の硬化膜の表面を目視で観察し、下記の基準で判定した。
○:傷がつかない、又は傷がボール落下から30秒後には完全に復元して消える
△:傷がボール落下から30秒後に一部復元して消えるが、完全には消えずに残っている
×:傷がボール落下から30秒後にまったく復元せずに残っている
一方、(メタ)アクリレート(B)の代わりに、アルキレンオキサイドが付加されていない多価アクリレートを用いた比較例1では、耐衝撃性が不良である。
また、(メタ)アクリレート(B)の代わりに、アルキレンオキサイドが付加されているジアクリレートを用いた比較例2では、耐衝撃性が不良である。
また、(メタ)アクリレートとして、単官能アクリレートのみを用いた比較例3では、耐衝撃性が不良である。
また、金属酸化物の含有量が65%未満である比較例4では、屈折率が不十分であった。
また、メジアン粒子径が100nmを超える金属酸化物を含む比較例5では、耐衝撃性が不良である。
また、金属酸化物(A)を含有しない比較例6では、屈折率が不十分であった。
Claims (4)
- 3価以上のアルコール(a)にアルキレンオキサイドを3~35モル付加してなる化合物(b)と(メタ)アクリル酸とのエステル化物である(メタ)アクリレートモノマー(B)と、金属酸化物(A)とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記(メタ)アクリレートモノマー(B)が有するオキシアルキレン基がオキシエチレン基を含み、前記活性エネルギー線硬化性組成物の重量に基づいて前記金属酸化物(A)の重量割合が73~95重量%であり、前記活性エネルギー線硬化性組成物の25℃での屈折率が1.60以上であり、前記金属酸化物(A)のメジアン粒子径が5~100nmである活性エネルギー線硬化性組成物。
- 前記金属酸化物(A)が、酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタニウムである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
- 請求項3に記載の硬化物を含む光学部品
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