JP6767170B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents
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Description
近年、ディスプレイの高輝度化に伴い、光学レンズの輝度を向上させるという試みがなされており、この目的のため例えば高屈折率樹脂に金属酸化物の微粒子を分散させる技術(例えば特許文献1)が検討されている。
従ってこれまでに高屈折率で透明性および傷の回復性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物を得られていない。
すなわち、本発明は、金属酸化物(A)と(メタ)アクリレート(B)と光重合開始剤(C)とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物(D)であって、(D)中での動的光散乱法によって測定された金属酸化物(A)のメジアン粒子径が5〜100nmであり、金属酸化物(A)が酸化ジルコニウムまたは酸化チタニウムであり、(メタ)アクリレート(B)が、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びエチレンオキサイド35モル付加ペンタエリスリトールテトラアクリレートを含有し、(D)の硬化物のガラス転移温度(Tg)が−30〜40℃であり、硬化物の全光線透過率が85%以上であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物;この活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物;およびこの硬化物を用いた光学部品である。
(A)は2種以上を併用してもよい。
例えば2官能(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基の数が2個であることを意味し、以下同様の記載法を用いる。
このメジアン粒子径は、積算分布曲線における50%累積値に対応する粒子径(累積50%粒径)である。
測定原理として動的光散乱法で測定した値であり、例えば動的光散乱式粒子径分布測定器[商品名:ナノ粒子解析装置 nano Partica SZ−100、(株)堀場製作所製]を用いて測定することができる。
特に、(D)中に含まれる溶媒、あるいは原料として使用する(A)の市販品が溶媒による溶液(分散液)である場合には、その溶媒の極性によっては、5nm以下の(A)を使用しても、例えば本命最初の比較例2のように、(D)中でのメジアン系が100nmを超えることがある。
添加剤としては、可塑剤、有機溶剤、分散剤、消泡剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、スリップ剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤が挙げられる。
(1)試験片の作製方法
活性エネルギー線硬化性組成物を紫外線照射装置により紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させて縦幅40mm、横幅5mm、厚み1mmのテストピースを作成する。
(2)Tgの測定方法
(1)で得られたテストピースを使用し、動的粘弾性測定(DMA)装置[型番「Rheogel−E4000」、(株)ユービーエム製]を用いて、下記条件で測定する。
周波数:10Hz
昇温速度:4℃/分
得られたスペクトルの貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E”の比(tanδ)の最大値の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
使用するランプとしては、例えば高圧水銀灯及びメタルハライドランプ等が挙げられる。紫外線の照射量は、組成物の硬化性及び硬化物の可撓性の観点から好ましくは10〜10,000mJ/cm2、更に好ましくは100〜5,000mJ/cm2である。
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器に、o−フェニルフェノキシエチルアクリレート[商品名:KOMERATE−A011、KPX Green Chemical製]70.0部、水0.01部およびトリエチルアミン 0.6部を仕込み30分間攪拌した後、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド[商品名:TBZR、日本曹達(株)製]30.0部を仕込み、65℃で2時間反応させた。その反応生成物をナスフラスコに移し、市販のKOMERATE−A011に含まれている少量の溶媒をエバポレーターで取り除き、金属酸化物(A−1)を得た。
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器に、o−フェニルフェノキシエチルアクリレート55.5部、水0.01部およびトリエチルアミン 0.6部を仕込み30分間攪拌した後、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド24.5部を仕込み、65℃で2時間反応させた。さらに、安定化剤として1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)[商品名:CR−733S、大八化学工業(株)製]18.0部を仕込み、70℃で2時間反応させた。その反応生成物をナスフラスコに移し、エバポレーターで十分に溶媒を取り除き、金属酸化物(A−2)を得た。
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器に、o−フェニルフェノキシエチルアクリレート70.0部、水0.01部およびトリエチルアミン 0.6部を仕込み30分間攪拌した後、チタニウムテトラ−n−ブトキシド[商品名:オルガチックス TA−21、マツモトファインケミカル(株)製]30.0部を仕込み、65℃で2時間反応させた。その反応生成物をナスフラスコに移し、エバポレーターで十分に溶媒を取り除き、金属酸化物(A−3)を得た。
表1に記載の各成分と配合量に従って、一括で配合し、ディスパーサーで均一になるまで混合攪拌し、実施例1〜6及び比較例1〜3の活性エネルギー線硬化性組成物を得た。 なお、使用原料に由来する有機溶媒を含有する実施例および比較例については、エバポレーターで十分に有機溶媒を揮発させた後に評価を行った。
(A−4):酸化ジルコニウム70%分散液[商品名「AX−ZP−153−A」、日本触媒(株)製]
(A−5):酸化ジルコニウム30%分散液[商品名「SZR−K」、堺化学工業(株)製、パンフレット記載の分散液の粒子径は4nm]
(A’−1):酸化ジルコニウム30%分散液[商品名「SZR−M」、堺化学工業(株)製、パンフレット記載の分散液の粒子径は3nm]
(B−1):エトキシ化o−フェニルフェノキシエチルアクリレート[KOMERATE−A011、KPX Green Chemical製]
(B−2):フェノキシエチルアクリレート[商品名「ライトアクリレート PO−A」、共栄社化学(株)製]
(B−3):エチレンオキサイド2モル付加フルオレンジアクリレート[商品名「EA−0200」、大阪ガスケミカル(株)製]
(B−4):エチレンオキサイド6モル付加フルオレンジアクリレート[商品名「KOMELATE−D064」、KPX(株)製]
(B−5):エチレンオキサイド10モル付加フルオレンジアクリレート[商品名「KOMELATE−D104」、KPX(株)製]
(B−6):エチレンオキサイド35モル付加ペンタエリスリトールテトラアクリレート[商品名「ATM−35E」、新中村化学工業(株)製]
(C−2):ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド[商品名「イルガキュアー819」、BASF社製]
(C−3):2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン[商品名「イルガキュアー907」、BASF社製]
(D−1):ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート[商品名「イルガノックス1010」、BASF社製;酸化防止剤]
(D−2):2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニル, トオキシラン[(C10−C16 シュトシテC12−C13アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物[商品名「チヌビン400」、BASF社製;紫外線吸収剤]
(D−3):アルキレンオキサイド変性ポリジメチルシロキサン[商品名「BYK−302」、ビックケミー・ジャパン(株)製;スリップ剤]
なお、使用原料に由来する有機溶媒を含有する実施例4と5および比較例2と3については、エバポレーターで十分にその有機溶媒を揮発させた後に評価を行った。
それらの結果を表1に示す。
活性エネルギー線硬化性組成物溶液をメチルエチルケトンで10重量%に希釈した後、動的光散乱式粒子径分布測定器[商品名:ナノ粒子解析装置 nano Partica SZ−100、(株)堀場製作所製]を用いて粒子径を測定した。測定原理として動的光散乱法で測定し、測定されたメジアン径を金属酸化物の粒子径とした。
活性エネルギー線硬化性組成物の屈折率を25℃の環境下で屈折率計[商品名:アッベ屈折率計4T、(株)アタゴ製]を用いて測定した。
なお、光学レンズ関連部品の用途として使用する場合、25℃での屈折率は1.56〜1.65が必要とされる。
活性エネルギー線硬化性組成物を紫外線照射装置により紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させて縦幅40mm、横幅5mm、厚み1mmのテストピースを作成した。
このテストピースを用いて、動的粘弾性装置[Rheogel−E4000、UBM社製]により、下記の条件で測定した。
周波数:10Hz
昇温速度:4℃/分
得られたスペクトルの貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E”の比(tanδ)の最大値の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
活性エネルギー線硬化性組成物をガラス板の片面に厚さが20μmになるようにアプリケーターで塗工した後、厚さ100μmのPETフィルム[商品名「コスモシャインA4300」東洋紡績(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。
PETフィルム側から紫外線照射装置により、紫外線を400mJ/cm2照射して、硬化させた。PETフィルムに密着した硬化物をガラス板から剥離し、テストピースを作成した。
前記テストピースを、JIS−K7105に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze−garddual」、BYK gardner(株)製]を用いて全光線透過率(%)を測定した。
なお、光学レンズ、光学レンズ用シート又はフィルム用途に使用する場合、全光線透過率は85%以上であることが必要である。
前記テストピースを23℃、相対湿度50%の環境下で24時間静置した後、JIS K5600−5−6に準拠し、1mm幅にカッターナイフで切込みを入れて碁盤目(10×10個)を作成し、該碁盤目上にセロハン粘着テープを貼り付け90度剥離を行い、PETフィルムからの硬化物の剥離状態を目視で観察し、評価した。
○:100個の碁盤目のうち90個以上が剥離せずに基材に残っている
△:100個の碁盤目のうち10〜89個が剥離せずに基材に残っている
×:100個の碁盤目のうち9個以下が剥離せずに基材に残っている
(1)溝の深さが50μmでピッチ幅を20μmで平行線を刻んで微細に凹凸処理を施したステンレス製の金型を用意する。
(2)活性エネルギー線硬化性組成物をこの金型の片面に厚さが100μmになるようにアプリケーターで塗工した後、厚さ100μmのポリエステルフィルム[商品名「コスモシャインA4300」東洋紡績(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。ポリエステルフィルム側から紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、紫外線を400mJ/cm2照射して、硬化させ、硬化膜を作成した。
(3)硬化膜の表面を、クロムキャップを装着した鉛筆でJIS K 5600−5−4に準拠して引っかき試験を行った。
(4)引っかき試験後の硬化膜の表面を目視で観察し、下記の基準で判定した。
○:引っかき傷が3秒以内で完全に消失している
△:引っかき傷が3秒経ってもその一部が残っている
×:引っかき傷が3秒経っても全て残っている
一方、金属酸化物(A)を含まない比較例1は、硬化物の屈折率が不十分であった。また粒子径が100nmを超える金属酸化物を含む比較例2は硬化物の全光線透過率が低い。また硬化物のガラス転移温度が40℃を超える比較例3は傷の回復性が悪い。
Claims (9)
- 金属酸化物(A)と(メタ)アクリレート(B)と光重合開始剤(C)とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物(D)であって、(D)中での動的光散乱法によって測定された金属酸化物(A)のメジアン粒子径が5〜100nmであり、金属酸化物(A)が酸化ジルコニウムまたは酸化チタニウムであり、(メタ)アクリレート(B)が、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びエチレンオキサイド35モル付加ペンタエリスリトールテトラアクリレートを含有し、(D)の硬化物のガラス転移温度(Tg)が−30〜40℃であり、硬化物の全光線透過率が85%以上であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
- (メタ)アクリレート(B)がオキシアルキレン基を有する請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- (メタ)アクリレート(B)が芳香環を有する請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 25℃での屈折率が1.56〜1.65である請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 金属酸化物(A)が金属アルコキシド(a1)と水との加水分解物の重縮合物である請求項1〜4いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 金属アルコキシド(a1)がジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ハフニウムアルコキシド、亜鉛アルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ガリウムアルコキシド、インジウムアルコキシド、ゲルマニウムアルコキシドおよびスズアルコキシドからなる群から選ばれる1種以上である請求項5記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 光学部品用である請求項1〜6いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項1〜7いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
- 請求項8に記載の硬化物を用いた光学部品。
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