JP7096735B2 - 手摺装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被介助者が立位姿勢を保持できるようにした手摺装置に関するものである。
特許文献1には、運動機能に障害を有する障がい者や高齢者が、着座式便器に対して容易に着座および離座できるようにするための補助手摺りが開示されている。この補助手摺りは、着座式便器の一側方にある縦壁面に対して上下方向に間隔をあけて前後方向に延びる一対の棒状部材からなる第1の手摺り部と、上下方向に延びてその下端部が第1の手摺り部の前端部に連結された第2の手摺り部と、第1の手摺り部を構成する上下一対の棒状部材を連結すると共に、着座式便器側に向けて屈曲された屈曲部と、を有するものとなっている。なお、特許文献1の補助手摺りは、着座式便器と車椅子との間での移動ということや車椅子から立ち上がる被介助者自身による立位姿勢の保持ということまでは考慮されていないものである。
特開2005-111114号公報
ところで、例えば、病院や介護施設のトイレでは、着座式便器を使用する障がい者や高齢者(以下「被介助者」と称す)が、車椅子に乗った状態で、横方向から着座式便器の前方空間へと乗り入れることが行われている。この場合、車椅子に乗った被介助者は、上記前方空間において、車椅子から立ち上がった後、背中側(お尻側)が着座式便器に向かうようにして回旋し、その後着座式便器に着座することになる。着座式便器から車椅子へと移動する場合は、上記とは逆に、着座式便器から立ち上がった後、背中側が車椅子に向くように回旋し、この後車椅子に着座することになる。
上述のように、被介助者は、着座式便器と車椅子との間で移動する場合には、着座式便器の前方空間において、立位姿勢でもって回旋する動きを行うことが必要となる。そして、被介助者の中には、立位姿勢を自力で維持するのが難しい者や、回旋を行うことが難しい者、さらには衣服や下着の上げ下げを行うことが難しい者も存在する。病院や介護施設では、特に被介助者が自力での立位姿勢の保持が困難な場合、1人の介助者が立位姿勢の被介助者を支えながら回旋の補助や衣服の着脱を行うのは困難である。このため、1人の介助者が立位姿勢にある被介助者を支えつつ、別の介助者が回旋の動きを補助したり被介助者の衣服や下着を上げ下げする、ということが行われており、特に被介助者を立位姿勢に保持する介助者の負担が大きいものとなる。
被介助者の立位姿勢保持のために介助者の介護(補助)が必要なケースは、前述した他、種々のケースがある。例えば、被介助者がベッドと車椅子との間で移動する場合、脱衣所で被介助者の衣服を立位姿勢でもって着脱する場合等がある。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、被介助者自身でもって立位姿勢を保持できるようにした手摺装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、
被介助者が立位姿勢を保持できるようにするための手摺装置であって、
それぞれ上下方向に延びる左右一対の縦握り棒を有し、
前記各縦握り棒はそれぞれ、手前側に凸となるように湾曲状に形成され、
前記各縦握り棒の間隔が被介助者の肩幅よりも小さくなるように設定されて、該一対の縦握り棒によって、立位姿勢にある被介助者における上半身の前面部が支承される、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、次のような作用効果を奏するものとなる。すなわち、
(1)左右一対の縦握り棒によって、立位姿勢にある被介助者の上半身の前面部を支承して、被介助者の立位姿勢を安定して保持させることができる。この場合、被介助者は、前のめりになった状態で左右一対の縦握り棒にもたれかかるような姿勢となるので、左右一対の縦握り棒からずり落ちることなく、確実に立位姿勢が保持される。
(2)縦握り棒が左右一対有することから、被介助者は、左右いずれか一方の縦握り棒に体重を多く預けることにより、この一方の縦握り棒側へと回旋することが容易となり、立位姿勢を保持したまま回旋を行わせる上でも好ましいものとなる。
(3)上下方向に延びる縦握り棒が左右一対有することから、これに接近した被介助者は
、上下方向および左右方向の広い範囲の中から選択した適切な位置でもって縦握り棒を把持することができ、縦握り棒を握りながらの立ち上がりや着座を容易に行うことができる。また、手摺装置に対する接近方向を限定させることなく、広い方向から手摺装置へと接近可能とする上でも好ましいものとなる。
(4)左右一対の縦握り棒の下端部は、奥側に位置させることもできるので、この場合は、被介助者の足下スペースを十分に確保する上で好ましいものとなる。このことは、立位姿勢に保持された被介助者の衣服の着脱や上げ下げを行う介助者の手作業のスペース確保という点で極めて好ましいものとなる。
(5)手摺装置を利用して被介助者自身でもって立位姿勢を保持するので、立位姿勢保持のための介助者が不要となり、介護負担軽減の上で極めて好ましいものとなる。また、被介助者は、立位姿勢では前のめりとなっているので、衣服の上げ下げや着脱がしやすくなり、介助者の負担も軽減される。
(6)自立が可能な被介助者は、左右一対の縦握り棒にもたれかかった状態で、自由になる両手あるいは片手を用いて、被介助者自身でもって衣服を上げ下げすることができる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、次のとおりである。
前記左右一対の縦握り棒の間に、被介助者における上半身の前面部を支承する受け部が設けられている、ようにすることができる。この場合、受け部によっても被介助者を支承して、より安定した支承を得る上で好ましいものとなる。
前記左右一対の縦握り棒の上端部同士を連結する上連結部を有している、ようにすることができる。この場合、手摺装置の強度(剛性)を向上させる上で好ましいものとなる。
前記上連結部は、前記左右一対の縦握り棒の上端部から奥側に延びる左右一対の側方部と、略水平に延びて該左右一対の側方部の下端部同士を連結する中央連結部と、を有している、ようにすることができる。この場合、中央連結部の位置が、左右一対の縦握り棒よりもかなり大きく奥側に退出した位置となる。つまり、左右一対の縦握り棒の間には、その上部において、奥側に向けて大きな待避空間が形成されることになる。これにより、左右一対の縦握り棒にもたれかかった被介助者は、その顎を待避空間内に位置させることができ、より大きく前のめりの姿勢をとることが可能となる。このことは、被介助者が立位姿勢をより確実に維持する上で好ましいものとなる。また、左右一対の縦握り棒にもたれかかった被介助者は、その顔面付近の前方が待避空間として開放されているので、圧迫感を受けないようにする上でも好ましいものとなる。
前記左右一対の縦握り棒の下端部同士を連結する下連結部を有している、ようにすることができる。この場合、手摺装置の強度(剛性)を向上させる上で好ましいものとなる。特に、上述した上連結部をも有する場合は、手摺装置が左右一対の縦握り棒と上連結部と下連結部とによって環状に閉じられた構造となって、その強度(剛性)を飛躍的に向上させることができる。
前記左右一対の縦握り棒を床面または壁面に支持するためのフレーム部を有している、ようにすることができる。この場合、手摺装置を、フレーム部を介して、床面あるいは壁面に支承させておくことができる。
前記左右一対の縦握り棒が、着座式便器の前側方に設置される、ようにすることができる。この場合、立位姿勢と着座式便器に着座した着座姿勢との間での姿勢変更について、上述の(1)~(6)の効果を得ることができる。特に、着座式便器の利用頻度が高く、その都度被介助者を立位姿勢にして衣服や下着を上げ下げする労力は、介助者の大きな負担となるが、この介助者の負担を大幅に軽減する上で好ましいものとなる。また、車椅子によって着座式便器の近くに乗り入れる場合には、車椅子での着座姿勢と立位姿勢と着座式便器での着座姿勢という3つの姿勢の間での変更を往復でもって行うことになるが、この姿勢変更を介助者の負担を軽減して行わせることができる。
前記左右一対の縦握り棒はそれぞれ、上方から見た平面視において、前記着座式便器側に向かうよう傾斜されている、ようにすることができる。この場合、着座式便器に着座している被介助者が近い側の縦握り棒を掴みやすくなる。また、被介助者が車椅子から立ち上がって縦握り棒に上半身をもたれかける際に、被介助者の背中が着座式便器側に向くように自然に回旋される動きとなる。
前記受け部のうち、少なくとも被介助者に対向される側の面が、クッション性を有するパッド部として構成されている、ようにすることができる。この場合、被介助者が受け部にもたれかかった際に、被介助者に対して局所的な痛みを与えないようにする上で好ましいものとなる。
本発明によれば、被介助者自身でもって立位姿勢を保持させることができる。
本発明による手摺装置が用いられたトイレの一例を示す平面図。 図1に示す手摺装置の拡大平面図。 図1に示す手摺装置を車椅子側から見た側面図。 図1に示す手摺装置を着座式便器側から見た側面図。 図1に示す手摺装置を着座式便器の反対側から見た側面図。 車椅子に乗った被介助者が手摺装置を把持した状態を示す側面図。 図6の状態を上方から見た平面図。 車椅子から立ち上がった被介助者が手摺装置にもたれかかっている状態を示す側面図。 図8の状態から、被介助者が着座式便器に着座した直後の状態を示す正面図。 図9を上方から見た平面図。 着座式便器に着座している被介助者が手摺装置を把持しようしている状態を示すもので、図1に対応した平面図。 本発明の第2の実施形態を示すもので、手摺装置を被介助者のベッドの脇に設置した例を示す平面図。 本発明の第3の実施形態を示すもので、手摺装置の平面図。 図13に示す手摺装置を斜め奥側から見た斜視図。 図13に示す手摺装置を斜め右前方から見た斜視図で、フレーム部を除いて示す図。
図1~図11は、本発明の第1の実施形態を示すものである。本実施形態では、手摺装置を着座式便器の前側方に配設して、着座式便器に対して被介助者が車椅子で乗りつける場合となっている。
図1は、車椅子乗り入れ式のトイレ(トイレルームやトイレブース)の一例を示すものである。図中、1は着座式便器、10は車椅子である。着座式便器1は、その後方が、後壁面2により仕切られ、着座式便器1の左側方が横壁面3により仕切られている。着座式便器1には、背当て部材4が配設され、この背当て部材4は、ブラケット5を介して後壁面2に固定されている。
車椅子2は、着座式便器1の前方空間K(図1中、着座式便器1の左方側の空間)に向けて、横方向から乗り入れされる。この車椅子2の乗り入れ方向が、図中矢印Yで示される。車椅子10の乗り入れ方向Yは、実施形態では横壁面3に対してほぼ直角となる方向とされている。なお、矢印Yで示す方向と反対方向が、トイレの出入り口方向となる。
前方空間Kのうち、着座式便器1の左側方側(横壁面3側)に、手摺装置20が配設されている。この手摺装置20は、それぞれ上下方向に左右一対となる第1縦握り棒21と第2縦握り棒22と有する。第1縦握り棒21は、着座式便器1に近い側に位置される一方、第2縦握り棒22は、着座式便器1から遠い側に位置される。各縦握り棒21と22との上端部同士が、略水平に延びる上連結部23によって連結されている。また、縦握り棒21と22との下端部同士が、略水平に延びる下連結部24によって連結されている。
左右一対の縦握り棒21、22と上連結部23と下連結部24とによって方形形状(閉じられた環状形状)が構成され、この方形形状部分が、フレーム部30を介して、横壁面3に固定されている。
フレーム部30は、上下方向に延びる保持部31と、横壁面3に固定されるベース部32と、保持部31とベース部32とを連結するブラケット部33と、を有している。べース部32が、固定具34によって、後壁面2に対して固定される。ブラケット部33は、本実施形態では略水平方向に延びている。ブラケット部33は、水平に延びる筒状の本体部33aと、本体部33aの先端部側に一体化(例えば溶接)された板状の延出部33bと、延出部33bの先端部に設けられた取付部33cと、を有する。
上記保持部31は、上連結部23と下連結部24との略中間部同士を連結している。この保持部31とブラケット部33と上下の連結部23、24とが、左右一対の縦握り棒21、22をベース部32に対して連結するための中間連結部材を構成している。
保持部31には、取付部35を介して、受け部としてのパッド部40が固定されている。このパッド部40は、左右一対の縦握り棒21と22との間に位置され、また上連結部23と下連結部24との間に位置されている。
ここで、各縦握り棒21、22はそれぞれ、手前側(横壁面3から離れる側)に向けて凸となるように略円弧状に湾曲形状とされて、手前側に向けて張り出している。着座式便器1に近い側の第1縦握り棒21の手前側への張り出し量(突出量)よりも、着座式便器1から遠い側にある第1縦握り棒22の手前側への張り出し量が大きくなるように設定されている。なお、実施形態では、第1縦握り棒21と第2縦握り棒22との湾曲度合いが相違されて、実施形態では、第1縦握り棒21の曲率半径が略800mmとされ、第2縦握り棒22の曲率半径が略400mmとされている。
各縦握り棒21、22は、その張り出し方向が、上方から見た平面視において、横壁面3に対して傾斜されている。そして、横壁面3に対する傾斜角度は、上記平面視において、第1縦握り棒21の方が、第2縦握り棒22よりも小さくなるように設定されている。このような各縦握り棒21、22の張り出し方向を、車椅子10の乗り入れ方向Yに対する傾斜として見た場合は、第1縦握り棒21の方が、第2縦握り棒22よりも小さくなるように設定されている。なお、保持部31を支えるブラケット部33の取付部33cを緩めることにより、保持部31を中心に揺動可能となって、縦握り棒21、22の横壁面3に対する傾斜角度を調整することができる。
保持部31は、左右一対の縦握り棒21、22よりも奥側に位置されている。この保持部31に取付けられたパッド部40は、左右一対の縦握り棒21、22よりも若干奥側に位置されている。
パッド部40は、縦握り棒21、22と同様に、手前側に向けて凸となるように湾曲されている。そして、平面視におけるその傾斜方向は、横壁面3に対して略45度の角度をなすように傾斜されている。パッド部40(のうちもっとも手前側の面)は、各縦握り棒21、22よりも若干奥側(横壁面3側)に位置するようにされている。パッド部40によって、左右一対の縦握り棒21と22との間の空間が埋まるような形態とされるが、パッド部40の左右には、第1縦握り棒21との間および第2縦握り棒22との間にそれぞれ、指先が余裕をもって挿入できる程度の隙間が形成されている。
上述のように、左右一対の縦握り棒21、22は、上方から見た平面視において、互いに異なる方向に向けて張り出していることから、左右一対の縦握り棒2、22は、その張り出し方向の相違によって、最も手前側に突出している部分よりも上側部分が、上方に向かうにつれて間隔が狭まるようになる。これにより、左右一対の縦握り棒21、22に対して被介助者Pがもたれかかった際に、左右一対の縦握り棒21、22の間に被介助者Pの胸部が食い込む状況となって(被介助者の体格やもたれ方によっては腹部も)、被介助者Pの上半身の前面部を確実に支承する上で好ましいものとなる。
ここで、左右一対の縦握り棒21と22との最大幅L(図2参照)は、被介助者の肩幅(より具体的には胸幅)と同じかそれよりも若干小さくなるように設定されている。また、上連結部23(の上面)の床面からの高さ位置は、立位姿勢にある被介助者の顎の高さよりも若干低くなるように設定されている。実施形態では、小柄な被介助者を想定して、上記最大幅Lや上連結部23の床面からの高さ位置、上連結部23の上面と下連結部24の下面との間の上下方向長さ(直線長さ)が設定されている。なお、上記のように小柄な体格に応じた設定とした場合でも、大柄な被介助者においては問題のないものである。
次に、着座式便器1と車椅子10との間での移動の仕方の一例について、図1、図6~図11を参照しつつ説明する。図1中、車椅子10に着座しているときの被介助者Pが実線で示され、図11中、着座式便器1に着座しているときの被介助者Pが実線で示される。また、以下の説明では、被介助者Pとして、両手共に自由のきく場合と右手が不自由な場合との両方について説明するが、図6~図10は両手共に自由がきく場合に対応している。
まず、被介助者は、車椅子10に着座した状態でもって着座式便器1の前方空間Kまで乗り入れる(図1で示す状態)。この後、車椅子上の被介助者Pは、前方へ手を伸ばして、両手の自由がきく場合は、左手で第1縦握り棒21を把持し、右手で第2縦握り棒22を把持する(図6、図7参照)。右手が不自由な場合は、左手で第1縦握り棒21のみが把持される。なお、被介助者Pは、縦握り棒21、22を把持する際には、その体格に応じて適切な高さ位置を選択することができる。
被介助者Pは、縦握り棒21、22(あるいは21のみ)を把持した状態で、車椅子10から立ち上がり、さらに縦握り棒21、22に上半身をもたれかける(図8参照)。このとき、被介助者Pの背中が着座式便器1側に向くように自然に回旋される動きとなる。そして、被介助者Pの上半身の前面部のうち胸部(特に大胸筋)が左右一対の縦握り棒21、22によって支承され、また胸部の中央部がパッド部40によって支承される。なお、被介助者Pの体格によっては、腹部が縦握り棒21、22やパッド部40に支承される場合もある。
左右一対の縦握り棒21、22は、最も手前側に突出している部分よりも上側部分が、上方に向かうにつれて奥側に位置することになる。これにより、立位姿勢にある被介助者は、縦握り棒21、22に対して前のめりにもたれかかった状態で支承されることになり、縦握り棒21、22からずり落ちることなく確実に支承されることになる。また、縦握り棒21、22が被介助者Pと当接する部分としては、痛みを感じやすい鎖骨を避けることができる(鎖骨よりも下方の位置で支承することができる)。
そして、左右一対の縦握り棒21と22およびパッド部40で被介助者Pが安定して支承された状態で、介助者は被介助者Pのズボンや下着を下げて、用便に備えればよく、立位姿勢を保持させるための介助は不要となる(介助者は一人ですむ)。なお、被介助者が自立可能である場合は、左右一対の縦握り棒21、22にもたれかかった状態で、自由になる両手あるいは片手を用いて、被介助者自身でもって衣服を上げ下げすることもできる。
被介助者Pは、ズボンや下着を下げた状態から、縦握り棒21と22の両方(あるいは21のみ)を把持しつつ、さらに背中が着座式便器1側に向くように回旋する。そして、お尻を着座式便器1に向けて下方に移動させることによって、着座式便器1に着座した状態となる(図9、図10に示す状態)。
以上が、車椅子10から着座式便器1に移動する場合の手順となる。次に、被介助者Pが用便後に着座式便器1から車椅子10へ移動する場合について、簡単に説明する。図11に示すように、着座式便器1に着座している状態から、前方へ手を伸ばして、縦握り棒21、22(あるいは21のみ)を把持しつつ、着座式便器1から立ち上がり、縦握り棒21、22に上半身をもたれかける。この状態で、介助者によってズボンや下着を上げる作業が行われる。この後被介助者Pは、縦握り棒21と22の両方(あるいは21のみ)を把持しつつ、背中が車椅子10側に向くように回旋する。そして、お尻を車椅子10に向けて下方に移動させることによって、車椅子10に着座した状態となる。
以上の説明は、着座式便器1に対する車椅子10の乗り入れ方向を、横方向のうち矢印Yで示すようにほぼ直角方向とした場合を説明したが、車椅子10の乗り入れ方向としては、例えば図1中矢印Y2で示すように斜め横方向からでもよい。なお、矢印Y2は、その延長線が、図1において左右一対の縦握り棒21、22のもっとも突出部分同士を通るものとなっている。
ここで、矢印Yを境にしてそれよりも着座式便器1から遠い側の領域からの乗り入れについては、矢印Yと矢印Y2とで挟まれた領域からパッド部40の中央部を目指して行うのが好ましい。また、矢印Yを境にして着座式便器1に近い側からの乗り入れについては、着座式便器1に車椅子10が干渉しない範囲でパッド部40の中央部を目指す方向とするのが好ましい。
上述した第1の実施形態において、次の(A)~(G)のような利点を有する。
(A)左右一対の縦握り棒21、22の上端部同士を連結する上連結部23と、左右一対の縦握り棒21、22の下端部同士を連結する下連結部24と、を有していることにより、左右一対の縦握り棒21、22と上連結部23および下連結部24とで閉じられた強度的に優れた環状構造を構成して、被介助者からの荷重を確実に受け止めることができる。
(B)上下方向に延びて上連結部23と下連結部24とを連結すると共に、前記左右一対の縦握り棒21、22よりも奥側に位置された保持部31を有していることにより、左右一対の縦握り棒21、22に関連した部分の構造をよりしっかりとしたものとすることができる。また、保持部31は、左右一対の縦握り棒21、22の奥側に位置されているので、立位姿勢にある被介助者Pを支承する際に保持部31が被介助者Pに当たってしまう事態を確実に防止できる。
(C)保持部31に、立位姿勢にある被介助者における上半身の前面部を支承するパッド部が構成された受け部40を設けることにより、受け部40によっても被介助者Pを支承して、より安定した支承を得る上で、また被介助者Pに局所的な痛みを与えないようにする上で好ましいものとなる。さらに、受け部40を、上下の連結部23と24とを連結している保持部31に設けることにより、受け部40をしっかりと保持させておく上でも好ましいものとなる。
(D)左右一対の縦握り棒21、22が、保持部31を介して、壁面3または床面に支持されていることにより、保持部31を、左右一対の縦握り棒21、22を壁面3や床面に対して連結する連結部材(フレーム部材の一部)として有効に利用することができる。また、保持部31は、左右一対の縦握り棒21、22の間および上下の連結部23、24の間という手摺装置20の中央部位に位置されているので、左右一対の縦握り棒21、22を壁面3や床面に対してバランスよく連結する上でも好ましいものとなる。
(E)左右一対の縦握り棒2、22は、上方から見た平面視において、互いに異なる方向に向けて張り出していることにより、被介助者Pが左側(着座式便器1側)から左の縦握り棒21を掴もうとしたときも、あるいは右側(車椅子10側)から右の縦握り棒22を掴もうとしたときも、いずれに場合も縦握り棒を掴みやすいものとなる。なお、縦握り棒21、22の形状にもよるが、上連結部23や下連結部24を短くすることも可能である。
(F)左右一対の縦握り棒21、22のうち一方の縦握り棒が、他方の縦握り棒よりも大きく手前側に張り出しているようにすることによって、被介助者Pを左右一対の縦握り棒21、22で支承した際に、被介助者Pの身体が不用意に横に流れてしまうような動きを一方の縦握り棒が規制する上で好ましいものとなる。また、他方側の縦握り棒と被介助者Pの身体の間に手を差し入れて衣服を上げ下げし易くなる上でも好ましいものとなる。
(G)左右一対の縦握り棒21、22のうち着座式便器1から遠い側にある一方の縦握り棒が、他方の縦握り棒よりも大きく手前側に張り出しているようにすることによって、被介助者Pを左右一対の縦握り棒21、22で支承した際に、被介助者Pの身体が不用意に横に流れてしまうような動きを一方の縦握り棒が規制する上で好ましいものとなる。
図12は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、前記実施形態と同一構成要素には同一符号を付してその重複した説明は省略する(このことは、以下の第3の実施形態についても同じ)。本実施形態では、被介助者P用のベッドが符号100の脇に、手摺装置20Bを固定設置してある。手摺装置20Bは、前記実施形態における手摺装置20に比して、そのフレーム部のみが相違している。すなわち、フレーム部30B(30対応)におけるベース部32B(32対応)が床面に固定され、前記実施形態におけるブラケット部33に対応するブラケット部が、ベース部32Bから立設されて上下方向に延びるようにされている。
また、ベッド100の脇には、手摺装置20Bの近くにおいて、ポータブル式(移動式)の着座式便器1Bが搬入されている。なお、図12中、符号4Bは背もたれである。
被介助者Pは、ベッド100に腰掛けた状態から、手摺装置20Bを利用して着座式便器1Bに移動することになる。用便後は、着座式便器1Bから、手摺装置20Bを利用してベッド100へ移動することになる。手摺装置20Bの利用の仕方は、前記実施形態の場合と同じである。
図12において、着座式便器1Bに代えて車椅子を用いることにより、被介助者Pは、手摺装置20Bを利用しつつ、ベッド100と車椅子との間での移動を行うことができる。
図13~図15は、本発明の第3の実施形態を示すものである。本実施形態における手摺装置20Cは、第1の実施形態と同様に、左右一対の縦握り棒121、122(第1の実施形態における縦握り棒21、22に対応)と下連結部124(第1の実施形態における下連結部24に対応)とを有する。本実施形態では、左右一対の縦握り棒121、122は、互いに合同形状(長さ、太さ、湾曲度合い等が全て同じ)とされると共に、互いに平行に配置されている。つまり、左右一対の縦握り棒121と122との間隔が、上下方向において同一とされている。これにより、1種類の手摺装置20Cによって、着座式便器1が左側に配置される場合と右側に配置される場合との両方に対応することができる。なお、縦握り棒121、122の上端部には、略半球形状またはR面取り形状とされたエンドキャップ123が設けられている。これにより、被介助者が縦握り棒121、122の上端部を掴んだ際に、痛み等の不快感を覚えずにすむ。
左右一対の縦握り棒121と122との下端部同士は、第1の実施形態の場合と同様に、略水平に延びる下連結部124によって連結されている。なお、第3の実施形態では、下連結部124は、棒状の下握り棒124aと、この下握り棒124aの各端部を左右の縦握り棒121、122の下端部に対して連結する左右一対の連結キャップ124bとによって構成されている。
左右一対の縦握り棒121と122との上端部同士が、上連結部130(第1の実施形態における上連結部23に対応)によって連結されている。この上連結部130は、左右一対の縦握り棒121、122の上端部下面に一体化された左右一対の側方部131と、左右一対の側方部131の下端部同士を連結する中央連結部132との分割構成とされている。また、縦握り棒121、122の上端部が、側方部131よりも上方に突出すると共に、略半球形状またはR面取り形状となっている。具体的には、縦握り棒121、122の上端部には、前述したように略半球形状またはR面取り形状の外周面を有するエンドキャップ123が設けられている。これにより、被介助者は、その手指で縦握り棒121、122の上端部を握った際、痛み等の不快感を覚えずに済むことになる。
上連結部130の縦握り棒121、122に対する固定は、連結ボルト133を用いて行うようにしてある。具体的には、連結ボルト133(の軸部)を、中央連結部132の下方(裏側)から、中央連結部132と側方部131を貫通させた状態で、この連結ボルト133の先端部を縦握り棒121、122内に設けられたナットに螺合させてある。このように、連結ボルト133によって、中央連結部132と側方部131とが、縦握り棒121あるいは122に対して共締めされている。
実施形態では、側方部131を金属または硬質の合成樹脂によって形成してあり、また中央連結部132を金属(例えば鉄系金属)によって形成してある。側方部131は、柱状とされており、縦握り棒121、122に上半身をもたれかけた被介助者が、適宜その手指で側方部131を把持する(あるいは引っ掛ける)ことができるようになっている。このため、側方部131の外周面は、角部を有しないように丸め処理が行われている。また、側方部131は、斜め下方に向けて延びていて、前のめりとなった被介助者が適宜その手指で把持するのに好適な傾斜設定とされている。
側方部131は、縦握り棒121、122の上端位置よりも若干下方に位置されている。これにより、被介助者がその手指で側方部131を把持している状態で、縦握り棒121、122のうち側方部131よりも上方に突出する部位によって、側方部131から手指が外れてしまうことが防止される。
左右一対の側方部131によって、中央連結部132の位置が、左右一対の縦握り棒121と122よりもかなり大きく奥側に退出した位置となる。つまり、左右一対の縦握り棒121と122との間には、その上部において、奥側に向けて大きな待避空間Sが形成されることになる。これにより、左右一対の縦握り棒121、122にもたれかかった被介助者は、その顎を待避空間S内に位置させることができ、より大きく前のめりの姿勢をとることが可能となる。このことは、被介助者が立位姿勢をより確実に維持する上で好ましいものとなる。また、左右一対の縦握り棒121、122にもたれかかった被介助者は、その顔面付近の前方が待避空間Sとして開放されているので、圧迫感を受けないようにする上でも好ましいものとなる。
左右一対の縦握り棒121と122との間には、受け部140(第1の実施形態における受け部40に対応)が配設されている。この受け部140は、その芯材を上方へ延長してなる取付板部141を有して、この取付板部141が、中央連結部132の幅方向中間部に一体化されている。すなわち、上記取付板部141が、中央連結部132の下面(背面)に着座された状態で、ボルト142によって固定されている。受け部140は、例えば鉄系金属や硬質の合成樹脂によって形成することができる。
受け部140は、中央連結部132から手前側に向けて短く延びたる棚部140aと、この棚部140aの先端から下方に向けて延びる下方延設部140bと、を有する。そして、下方延設部140bの下端部は、自由端部とされている。この第3の実施形態では、受け部140(下方延設部140b)と下連結部124(下握り棒124a)とを連結する部分が設けられていないので、被介助者が下連結部124(下握り棒124a)を掴む際に邪魔にならない。
受け部140の背面側には、取付部143が配設されている。この取付部143は、その板面が上下方向に延びるように配設されて、受け部140の取付板部141に溶接等により一体化されている。そして、取付部143が、下方延設部140bの左右方向略中間部の後面に当接あるいは直近に位置されて、受け部140を補強している。この取付部143は、受け部140(の芯材)と一体化(例えば溶接)しておくこともできる。
ここで、受け部140のうち、少なくとも被介助者に対向する側の面を、クッション性を有する部材からなるパッド部として構成することもできる。また、中央連結部132のうち少なくとも被介助者に対向される面を、合成樹脂や合成ゴム等(クッション材を含む)によって覆うこともできる。さらに、中央連結部132の下方にある部位を、合成樹脂や合成ゴム等(クッション材を含む)によって覆うこともできる(中央連結部132の裏側の外観の体裁を向上させる)。
上述した手摺装置20Cは、フレーム部150によって、壁面160(図1における壁面3に対応)に固定することができる。このフレーム部150は、大別して、ベース部151とブラケット部152とを有する。ブラケット部152によって、ベース部151と前述した取付部143(つまり中央連結部132)とが連結される。このように、取付部143は、ブラケット部152に構成された延出部152bへの連結部としても機能されている。
ベース部151は、上下方向に延びるガイド部151aと、ガイド部151aの上下各端から壁面160に向けて延びる上下一対の突出部151bと、各突出部151bから上方あるいは下方へ延びる上下一対の固着部151cと、を有する。固着部151cが、ボルト等の固定具153によって壁面160に固定される(図13、図14参照)。
フレーム部150のうち、ブラケット部152は、水平に延びる筒状の本体部152aと、本体部152aの先端部側に一体化(例えば溶接)された板状の延出部152bと、本体部152aの基端部に形成されたスライド部152cと、を有する。
上記延出部152bは、壁面160に対して略45度傾斜した方向に延びている。そして、延出部152bは、ボルト等の固定具154によって、前述した取付部143に固定されている。
前記スライド部152cは、ベース部151におけるガイド部151aに対して、上下方向にスライド可能に嵌合されている。そして、図示を略す高さ調整機構におけるロック用ボルトやロック用ピン等によって、スライド部152cが所望高さ位置でもってガイド部151aに固定される。このように、本実施形態における手摺装置20Cでは、高さ位置が調整可能とされている。
ここで、ブラケット部152(の本体部152a)を、その長さ調整可能としてもよい。この場合、例えば、本体部152aを互いにスライド可能に嵌合された2部材の分割構成とする一方、このスライドを所望位置でロックするロック用ボルトやロック用ピン等によって固定することができる。これにより、手摺装置20Cの壁面160からの離間距離を調整することができる。
さらに、手摺装置20Cの壁面160に対する傾斜角度を調整可能とすることもできる。この場合、例えば、ブラケット部152のスライド部152cを、ベース部151のガイド部151aを中心に揺動可能に連結させた構成として、所望の揺動位置でもって例えばロックするロック用ボルトやロック用ピン等によって固定することができる。これにより、手摺装置20C(特に左右一対の縦握り棒121、122)の壁面160に対する傾斜角度を調整することができる。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。左手が不自由で、右手が自由になる場合は、図1の配置関係に対して、着座式便器1を車椅子10の左方側に位置させる一方、手摺装置20を左右対称形状のものに変更すればよい(前方空間Kの位置はそのまま不変)。フレーム部30は、縦壁面に固定する場合に限らず、前方空間Kの近くの床面に固定するようにしてもよい(フレームがスタンド方式)。受け部40はクッション性を有しないものであってもよい。上連結部23(130)、下連結部24(124)は、そのいずれか一方のみを有するものでもよく、あるいは両方共に有しないものであってもよい。
図13~図15の実施形態において、上連結部130は、その左右一対の側方部131と中央連結部132とを、例えばパイプ材、板材等によって、互いに一体成形することもできる。また、図13~図15の実施形態において、左右一対の縦握り棒121と122とを、互いに合同形状としかつ左右対称となるように配設した状態で、上方に向かうにつれてその間隔が小さくなるように設定することもできる(縦握り棒121、122の上部の間に、被介助者の上半身の前面部が食い込むようにして、より安定して立位姿勢を保持させる)。
手摺装置20(20B、20C)は、適宜の位置に配設することができる。例えば、手摺装置20を被介助者用のベッドの脇に配設して、ベッドと車椅子との間での移動に利用することができる。また、脱衣所に設置して、被介助者の衣服の着脱の際に利用することもできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものであり、手摺装置を有するトイレルームやトイレブース等として把握することも可能である。
本発明は、病院や介護施設に用いる手摺装置として好適である。
P:被介助者
K:前方空間
1:着座式便器
2:後壁面
3:横壁面
10:車椅子
20:手摺装置
21:第1縦握り棒
22:第2縦握り棒
23:上連結部
24:下連結部
30:フレーム部
31:保持部
32:ベース部
33:ブラケット部
34:固定具
35:取付部
40:パッド部
1B:着座式便器(図12)
20B:手摺装置(図12)
100:ベッド(図12)
20C:手摺装置(図13~図15)
121:縦握り棒(図13~図15)
122:縦握り棒(図13~図15)
130:上連結部(図13~図15)
131:側方部(図13~図15)
132:中央連結部(図13~図15)
140:受け部(図13~図15)
143:取付部(図13~図15)
150:フレーム部(図13~図15)
S:待避空間(図13~図15)

Claims (9)

  1. 被介助者が立位姿勢を保持できるようにするための手摺装置であって、
    それぞれ上下方向に延びる左右一対の縦握り棒を有し、
    前記各縦握り棒はそれぞれ、手前側に凸となるように湾曲状に形成され、
    前記各縦握り棒の間隔が被介助者の肩幅よりも小さくなるように設定されて、該一対の縦握り棒によって、立位姿勢にある被介助者における上半身の前面部が支承され、
    前記左右一対の縦握り棒の上端部同士を連結する上連結部を有しており、
    前記上連結部は、前記左右一対の縦握り棒の上端部から奥側に延びる左右一対の側方部と、略水平に延びて該左右一対の側方部の下端部同士を連結する中央連結部と、を有している、
    ことを特徴とする手摺装置。
  2. 前記左右一対の縦握り棒の間に、被介助者における上半身の前面部を支承する受け部が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の手摺装置。
  3. 被介助者が立位姿勢を保持できるようにするための手摺装置であって、
    それぞれ上下方向に延びる左右一対の縦握り棒を有し、
    前記各縦握り棒はそれぞれ、手前側に凸となるように湾曲状に形成され、
    前記各縦握り棒の間隔が被介助者の肩幅よりも小さくなるように設定されて、該一対の縦握り棒によって、立位姿勢にある被介助者における上半身の前面部が支承され、
    前記左右一対の縦握り棒の間に、被介助者における上半身の前面部を支承する受け部が設けられ、
    前記受け部が、前記左右一対の縦握り棒よりも奥側に位置されている、
    ことを特徴とする手摺装置。
  4. 前記左右一対の縦握り棒の上端部同士を連結する上連結部を有している、ことを特徴とする請求項3に記載の手摺装置。
  5. 前記左右一対の縦握り棒の下端部同士を連結する下連結部を有している、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の手摺装置。
  6. 前記左右一対の縦握り棒を床面または壁面に支持するためのフレーム部を有している、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の手摺装置。
  7. 前記左右一対の縦握り棒が、着座式便器の前側方に設置される、ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の手摺装置。
  8. 前記左右一対の縦握り棒はそれぞれ、上方から見た平面視において、前記着座式便器側に向かうよう傾斜されている、ことを特徴とする請求項7に記載の手摺装置。
  9. 前記受け部のうち、少なくとも被介助者に対向される側の面が、クッション性を有するパッド部として構成されている、ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の手摺装置。
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