JP7096281B2 - 伝動部材構造、アクセルケーブル構造、伝動部材の製造方法 - Google Patents
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Description
このように、母材の長さ方向の中間部に一体性の高い係合突起を形成する場合、係合突起が大きくなる等の課題がある。
この構成によれば、母材自体を拡大させて加工部を形成するので、母材に結び目を設けたり別部材を設けたりする場合に比べて、加工部を小型に形成することが可能となる。したがって、母材の長さ方向の中間部に一体性が高くかつ小型の係合突起を設けることができる。
請求項2に記載した発明は、前記母材(21)を挿通する一対のアウターケーブル(11,12)の端部近傍に前記プーリ(4)を設け、前記母材(21)を前記プーリ(4)に巻回させ、前記係合突起(25)を前記プーリ(4)の係止凹部(7)に係合させる。
この構成によれば、加工部を側面視菱形に形成することで、加工部を側面視矩形に形成する場合に比べて、以下の効果を奏する。すなわち、加工部と母材の一般部との間の応力集中を抑えることができる。具体的に、加工部を矩形に形成した場合、母材の一般部から加工部が立ち上がる立ち上がり角度が直角となる。加工部を菱形に形成した場合、母材の一般部から加工部が立ち上がる立ち上がり角度が鈍角となる。このため、加工部を菱形に形成することで、加工部の立ち上がる部の応力集中を緩和することができる。
この構成によれば、加工部とともに加工部両側の一対の隣接部を一体に封止して係合突起を形成するので、以下の効果を奏する。すなわち、係合突起から導出した直後から母材が長さ方向に沿って延びる。このため、母材がガイド部材に保持される構成で、かつ母材が係合突起近傍までストロークする構成であっても、母材がガイド部材に強く接触することがない。これにより、母材のストローク範囲を広げるとともに、母材のストロークをスムーズにすることができる。
ここで、上記伝動部材構造を、アウターケーブル内にインナーケーブル(伝動部材)を挿通した伝動ケーブルに適用した場合の作用効果について説明する。インナーケーブルの母材は、複数本の線材を撚り合わせたケーブル本体とする。加工部は、複数の線材の撚り合わせをほぐすように拡径形成されたものとする。
インナーケーブルに長手方向の引張力が作用する場合、加工部両側の隣接部が被覆材料で覆われていないと、以下の課題が考えられる。すなわち、拡径形成された加工部が引張力で引っ張られることで、縮径するように変形することが考えられる。
これに対し、本願の係合突起は、加工部両側の直線状の隣接部を含んで被覆材料で封止している。これにより、加工部を被覆材料で覆って補強するとともに、引張力が作用した場合にも加工部の変形を抑えることができる。
加工部両側の隣接部を含んで被覆材料で封止するので、加工部におけるほぐれた線材が係合突起の外部に露出することもない。また、ほぐれた線材にインナーケーブルの張力が直接作用することもない。
請求項6に記載した発明は、母材(21)の長さ方向の中間部(21a)に係合突起(25)が設けられる伝動部材の製造方法であって、前記母材(21)の長さ方向の中間部(21a)に、前記母材(21)自体の断面を拡大させる加工部(26)を形成し、前記係合突起(25)は、前記母材(21)の前記加工部(26)を含む部位を被覆材料(M)で封止して形成したものであり、前記中間部(21a)よりも長手方向両側に延びる両側部(21c,21d)を、それぞれ第一支持治具(41)および第二支持治具(43)に固定的に保持するステップと、前記第一支持治具(41)および前記第二支持治具(43)を互いに近接させ、前記第一支持治具(41)および前記第二支持治具(43)の各端部(41a,43a)に備えた第一拡径凹部(42a)および第二拡径凹部(44a)によって、側面視菱形の空間を形成しつつ、前記母材(21)の前記中間部(21a)を長手方向に圧潰して拡径変形させ、側面視菱形の前記加工部(26)を形成するステップと、前記母材(21)の前記加工部(26)を含む部位を、金属材料からなる前記被覆材料(M)で封止するステップと、を備える。
図1は、例えば自動二輪車等の鞍乗り型車両に採用されるアクセル装置1の要部を示している。一般に、車両の操向操作を行うバーハンドルの右グリップ2には、アクセルスリーブ3が装着されている。アクセルスリーブ3は、運転者が把持して回動操作を行う操作子である。このアクセルスリーブ3の回動操作により、車両の原動機の出力を調整可能とする。アクセルスリーブ3の軸方向端部には、アクセルケーブル5のインナーケーブル(伝動部材)10を巻き掛けるアクセルプーリ4が一体回動可能に設けられている。アクセルプーリ4には、インナーケーブル10の係合突起25を係止する係止凹部7が形成されている。
母材21の長さ方向の中間部21aには、加工部26が形成されている。加工部26は、母材21自体の断面を一般部23よりも拡径させる加工を施したものである。
係合突起25は、母材21の加工部26を含む部位を被覆材料Mで封止することで、長手方向と直交する円柱状の太鼓駒部27を形成している。係合突起25は、例えばダイカスト成形品であり、アルミ合金を前記被覆材料Mとして形成されている。
係合突起25は、加工部26とその両側の一対の隣接部21e,21fとを、被覆材料Mで一体に封止して形成されている。係合突起25の長手方向の両側では、母材21の一般部23が長手方向に沿って直線状に延びている。
第二傾斜部26bは、中間部21aよりも長手方向他側の一般部23の外周部21bから上り勾配に形成されている。第二傾斜部26bと外周部21bとのなす第二立ち上がり角度θ2は鈍角に形成されている。
太鼓駒部27を形成する製法としては、まず、予め加工部26を形成した母材21を金型にセットして型締めし、加工部26およびその両側の隣接部21e,21fを臨ませたキャビティを形成する。この状態で、キャビティに溶融状態のアルミ合金を充填(射出)し、このアルミ合金をキャビティ内で凝固させる。このようなインサート成形により、キャビティに応じた太鼓駒部27が母材21に一体的に形成される。太鼓駒部27の内部には、加工部26およびその両側の隣接部21e,21fが埋設され、係合突起25および母材21の強度を高めている。
加工部26両側の隣接部21e,21fを含んで被覆材料Mで封止するので、加工部26におけるほぐれた線材22が係合突起25の外部に露出することもない。また、ほぐれた線材22にインナーケーブル10の張力が直接作用することもない。
図中符号41,43は母材21の中間部21aを圧潰加工するための支持治具を示している。
図6(a)に示すように、母材21のうち、中間部21aよりも長手方向両側に延びる両側部21c,21dは、それぞれ第一支持治具41および第二支持治具43に固定的に保持される。両側部21c,21dは、それぞれ第一支持治具41の第一挿通部42、および第二支持治具43の第二挿通部44に挿通される。
中間部21aの圧潰加工前、第一支持治具41および第二支持治具43の各端部41a,43aは、長手方向において所定間隔L1だけ離されて配置されている。第一支持治具41および第二支持治具43は、長手方向で近接離反可能である。
この構成によれば、母材21自体の断面を拡大させて加工部26を形成するので、母材21に結び目を設けたり別部材を設けたりする場合に比べて、加工部26を小型に形成することが可能となる。したがって、母材21の長さ方向の中間部21aに一体性が高くかつ小型の係合突起25を設けることができる。
この構成によれば、加工部26を側面視菱形に形成することで、加工部26を側面視矩形に形成する場合に比べて、以下の効果を奏する。すなわち、加工部26と母材21の一般部23との間の応力集中を抑えることができる。具体的に、加工部26を矩形に形成した場合、母材21の一般部23から加工部26が立ち上がる立ち上がり角度θ1,θ2が直角となる。加工部26を菱形に形成した場合、母材21の一般部23から加工部26が立ち上がる立ち上がり角度θ1,θ2が鈍角となる。このため、加工部26を菱形に形成することで、加工部26の立ち上がり部21g,21hの応力集中を緩和することができる。
この構成によれば、加工部26とともに加工部26両側の一対の隣接部21e,21fを一体に封止して係合突起25を形成するので、以下の効果を奏する。すなわち、係合突起25から導出した直後の母材21が長さ方向に沿って延びる。このため、母材21がガイド部材に保持される構成で、かつ母材21が係合突起25近傍までストロークする構成であっても、母材21がガイド部材に強く接触することがない。これにより、母材21のストローク範囲を広げるとともに、母材21のストロークをスムーズにすることができる。
この構成によれば、撚り合わせをほぐした複数の線材22の間の空隙にも被覆材料Mをしみ込ませて係合突起25を形成するので、係合突起25の母材21との一体性をより一層高めることができる。
21 母材
21a 中間部
21e,21f 隣接部
22 線材
25 係合突起
26 加工部
M 被覆材料
Claims (6)
- 母材(21)の長さ方向の中間部(21a)に、プーリ(4)に係合する係合突起(25)が設けられる伝動部材構造であって、
前記母材(21)の長さ方向の中間部(21a)を長手方向に圧潰し、拡径した加工部(26)が形成され、
前記係合突起(25)は、前記母材(21)の前記加工部(26)を含む部位を被覆材料(M)で封止して、前記加工部(26)を含む部位を覆った円柱形状に形成されている、伝動部材構造。 - 前記母材(21)を挿通する一対のアウターケーブル(11,12)の端部近傍に前記プーリ(4)を設け、
前記母材(21)を前記プーリ(4)に巻回させ、前記係合突起(25)を前記プーリ(4)の係止凹部(7)に係合させる請求項1記載の伝動部材構造。 - 前記加工部(26)は、前記母材(21)の長さ方向と直交する方向から見た側面視で、菱形の突出形状とされている請求項1又は2に記載の伝動部材構造。
- 前記母材(21)は、長さ方向で前記加工部(26)の両側にそれぞれ隣接する一対の隣接部(21e,21f)を備え、
前記一対の隣接部(21e,21f)は、前記加工部(26)を挟んで互いに直線状に連続するように延び、
前記係合突起(25)は、前記加工部(26)と前記一対の隣接部(21e,21f)とを前記被覆材料(M)で一体に封止して、前記加工部(26)を含む部位が覆われている請求項1から3の何れか一項に記載の伝動部材構造。 - インナーケーブル(10)と、インナーケーブル(10)を摺動可能に挿通するアウターケーブル(11,12)と、を備えるアクセルケーブル(5)であって、
前記インナーケーブル(10)には、
母材(21)の長さ方向の中間部(21a)を長手方向に圧潰し、拡径した加工部(26)が形成されるとともに、
前記中間部(21a)に一体的に設けられ、アクセルグリップと一体回動するアクセルプーリ(4)に係合する円形形状の太鼓駒部(27)が形成され、
前記太鼓駒部(27)は、前記母材(21)の前記加工部(26)を含む部位を被覆材料(M)で封止して、前記加工部(26)を含む部位を覆った円柱形状に形成されている、アクセルケーブル構造。 - 母材(21)の長さ方向の中間部(21a)に係合突起(25)が設けられる伝動部材の製造方法であって、
前記母材(21)の長さ方向の中間部(21a)に、前記母材(21)自体の断面を拡大させる加工部(26)を形成し、
前記係合突起(25)は、前記母材(21)の前記加工部(26)を含む部位を被覆材料(M)で封止して形成したものであり、
前記中間部(21a)よりも長手方向両側に延びる両側部(21c,21d)を、それぞれ第一支持治具(41)および第二支持治具(43)に固定的に保持するステップと、
前記第一支持治具(41)および前記第二支持治具(43)を互いに近接させ、前記第一支持治具(41)および前記第二支持治具(43)の各端部(41a,43a)に備えた第一拡径凹部(42a)および第二拡径凹部(44a)によって、側面視菱形の空間を形成しつつ、前記母材(21)の前記中間部(21a)を長手方向に圧潰して拡径変形させ、側面視菱形の前記加工部(26)を形成するステップと、
前記母材(21)の前記加工部(26)を含む部位を、金属材料からなる前記被覆材料(M)で封止するステップと、を備える、伝動部材の製造方法。
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