JP3692123B2 - ケーブルの端末定着部及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吊り橋や建築物等の構造物に使用されるケーブルの端末を当該構造物に定着させるための端末定着部及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、前記のようなケーブルの端末定着部として、下記特許文献1,2に示されるものが知られている。
【0003】
まず、特許文献1の第1図には、中心にフラット孔をもつ鋼製スリーブ内にケーブル端末を挿入してから当該スリーブを縮径加工して当該スリーブ内周面を前記ケーブル端末に圧着したものが示されている。さらに、同文献の第3図には、前記スリーブの前側部であって前記フラット孔よりも前側の部分に当該フラット孔よりも大径のテーパー状孔を形成しておき、このテーパー状孔内に硬化性樹脂を充填して当該樹脂の付着力と前記圧着による付着力の双方でケーブル端末に前記筒体を固定したものが示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−88986号公報(第1〜3頁,第1図,第3図)
また、特許文献2の図1には、繊維複合材ケーブルやワイヤロープ等の端部を定着する手段として、テーパー孔部を有する筒体内にケーブル端末を挿入するとともに、その末端部分の素線をばらした状態で前記テーパー孔部内に格納しておき、その筒体内に充填材を充填して硬化させることにより、当該充填材の付着力で前記ケーブル端末に前記筒体を固定するようにしたものが開示されている。
【特許文献2】
特開平10−82178号公報(第3〜5頁,図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1の第1図に示される定着部は、筒体の縮径加工による圧着力のみでケーブル端末に筒体を固定するものであるので、固定力の増強には限りがあり、高い引張強度が得られにくい欠点がある。また、同文献1の第3図に示される定着部は、前記圧着部よりも前側に硬化性樹脂の充填による固定部を設けているものの、当該固定部と圧着部とは単に軸方向に並んでいるだけで相乗効果がなく、引張強度の著しい向上は期待できない。
【0006】
一方、特許文献2に示される定着部は、硬化性樹脂の接着力のみで筒体とケーブルとの固定を行うものであるため、例えば多数本の鋼製素線を拠り合わせたスパイラルロープのように高い緊張力が求められるケーブルの端末定着部に適用することは困難である。また、仮に前記接着力のみで必要強度が得られたと仮定しても、火災等によって端末定着部が異常加熱された場合には前記硬化性樹脂が変質して定着力を失うおそれがある。
【0007】
すなわち、いずれの文献に記載されるものも、引張強度の増強にはかなりの制限があり、当該強度を確保するためには筒体の軸長を相当長くしなければならないという課題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、筒体の軸長を特に延長させることなく高い引張強度が得られるケーブルの端末定着部及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、複数本の素線が撚り合わされたケーブルの端末の周囲に当該ケーブルよりも外径の大きな筒体が固定された端末定着部であって、前記筒体は、その尾端部と反対の側に開口する小径孔と、この小径孔の尾端側に隣接し、かつ、当該小径孔よりも大きな内径をもつ大径孔とを有し、前記小径孔側から前記大径孔内に至るまで前記ケーブルの端末が挿入された状態で当該ケーブルの周囲に前記小径孔の内周面が縮径圧着され、かつ、前記大径孔の内側でケーブル端末の素線がばらされて広がっているものである。
【0010】
なお、ここでいう筒体の「尾端部」とは、端末定着部が形成された状態でその末端となる側の端部を意味する。また、「素線がばらされて」とは必ずしも各素線同士が完全に独立して平行状態となるまで撚りを解くものに限定する意味ではなく、少なくとも筒体の大径孔内でケーブル末端が広がる形状を形成する程度まで素線同士の間に隙間を生じさせるものであればよい。
【0011】
この端末定着部によれば、筒体における小径孔の縮径圧着によってケーブルと筒体とが固定されるのに加え、その縮径圧着部分よりも尾端側の大径孔内でケーブル端末の素線がばらされて広がっているため、その広がり部分が前記縮径圧着部分へ逆行することが確実に防がれる。従って、筒体を特に長くしなくても端末定着部の引張強度(筒体からのケーブルの抜けを阻止する強さ)を飛躍的に向上させることが可能である。
【0012】
特に、前記小径孔が、前記ケーブルの端末が挿入可能な内径をもつ円筒状内周面を有し、前記大径孔は前記小径孔の内周面から前記尾端部に向かうに従って拡径するテーパー状内周面を有し、前記ケーブル末端でばらされた素線が前記テーパー状内周面に沿うように広がっているものとすれば、前記円筒状内周面の縮径によってケーブル端末との圧着状態が安定する一方、ケーブル末端の広がり部分とテーパー状内周面との間のくさび効果によって引張強度が著しく向上する。
【0013】
さらに、前記筒体内における素線同士の間に素線同士の滑りを抑止する滑り止め樹脂が浸透して硬化しているものとすれば、素線の本数が多いケーブルであっても、当該素線同士の間の滑りを前記滑り止め樹脂で抑止することによって高い引張強度を維持することができる。また、この場合においても、ケーブルと筒体との連結力は主として筒体の縮径圧着によって賄われているので、万が一、火災等による加熱で前記滑り止め樹脂が変質しても、ケーブルの連結状態を維持することが可能である。
【0014】
さらに、前記筒体内における素線同士の間に多数の粒状体が混入されており、かつ、これら粒状体が前記滑り止め樹脂により拘束されている構成とすれば、前記多数の粒状体の混入によってケーブル末端部分(素線がばらされた部分)の広がり形状を保つことができ、これによって高い引張強度をより確実に得ることができる。
【0015】
また、前記筒体が前記テーパー状内周面よりもさらに尾端側の位置に固定具が螺着されるねじ孔を有するものであれば、当該ねじ孔を利用して前記固定具を螺着することにより、構造物への据付けをより容易に行うことができるとともに、前記テーパー状内周面を塞いでケーブル末端部分を保護することができる。
【0016】
また本発明は、複数本の素線が撚り合わされたケーブルの端末定着部を製造する方法であって、尾端部と反対の側に開口する小径孔及びこの小径孔に隣接して当該小径孔よりも大きな内径をもつ大径孔を有する筒体内にその小径孔側から前記ケーブルの端末を挿入する挿入工程と、その挿入状態で前記筒体を縮径加工することにより、当該筒体の小径孔の内周面を前記ケーブルの周囲に縮径圧着しかつ前記大径孔内でケーブル端末の素線をばらして広がらせる縮径工程とを含むものである。
【0017】
この方法によれば、前記筒体内にケーブル端末を挿入した状態で当該筒体を縮径加工することにより、当該筒体の小径孔内周面と前記ケーブルとが強力に圧着されるのに加え、当該縮径加工による圧力で前記大径孔内において素線がばらされて広がることになり、その広がり部分によって引張強度を飛躍的に増大させることができる。
【0018】
この方法においても、前記筒体として、前記小径孔が前記ケーブルの端末が挿入可能な内径をもつ円筒状内周面を有し、かつ、前記大径孔が前記小径孔の内周面から前記尾端部に向かうに従って拡径するテーパー状内周面を有するものを用い、前記縮径工程で前記ケーブル末端でばらされた素線を前記テーパー状内周面に沿うように広がらせることが、より好ましい。
【0019】
また、前記縮径工程後、前記筒体の尾端側からケーブル端末に軸方向の圧縮力を加えて当該端末の素線のばらしを促進するようにすれば、筒体内に圧縮力を作用させるだけの簡単な工程で、前記広がり部分の形成をより確実なものにして信頼性をさらに高めることができる。
【0020】
また、前記縮径工程後、前記筒体内における素線同士の間に液状の滑り止め樹脂を浸透させてから当該樹脂を硬化させることにより、ケーブルの素線の本数が多い場合でも高い引張強度を確保できる定着部を簡単な工程で製造することができる。
【0021】
さらに、前記滑り止め樹脂の注入前に予め前記ケーブルの端末の素線同士の間に多数の粒状体を侵入させておき、その後に当該素線間に前記滑り止め樹脂を浸透させて硬化させるようにすれば、当該滑り止め樹脂で前記粒状体を拘束することにより、ケーブル末端の広がり形状をより確実に保つことができ、これによって引張強度をさらに高めることができる。
【0022】
また本発明は、かかる製造方法に好適な筒体であって、その尾端部と反対の側に開口し、その開口から前記ケーブルの端末が挿入可能な円筒状内周面をもつ小径孔と、この小径孔の円筒状内周面から尾端側に向かうに従って拡径する形状のテーパー状内周面を有する大径孔と、このテーパー状内周面よりも尾端側に位置し、当該尾端側からねじ軸が挿入可能なねじ孔とを有し、かつ、前記テーパー状内周面の内側に外部から液状の滑り止め樹脂を注入するための注入口が周壁に設けられているものである。
【0023】
この筒体によれば、前記縮径工程後、ねじ孔にねじ軸等を螺着して当該ねじ孔を塞いだ状態で前記注入口から滑り止め樹脂を注入することにより、当該樹脂を円滑に素線間へ浸透させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
まず、本発明にかかるケーブル端末定着部を製造するにあたり、図1(a)に示すような筒体10を成形する。
【0026】
この筒体10の中心孔は、その尾端部(図1(a)では右端部)と反対の側(同図左側)から順に、小径孔12a、テーパー孔(大径孔)12b、及びねじ孔12cとなっている。
【0027】
小径孔12aは、前記尾端部と反対の側に開口し、かつ、この開口側から後述のケーブル24が若干の隙間をもって挿入可能な一定の内径の円筒状内周面を有しており、図例では、筒体尾端部と反対側の端部から筒体10の軸長の半分以上の長さにわたって延びている。また、その開口端部には前記ケーブル24の挿入を円滑にするための誘い込み部分として面取り部(誘い込みテーパー部)12dが形成されている。この誘い込み部分は、省略してもよいし、あるいは図示のものよりもかなり長くしてもよい。要は、小径孔12aの軸長を確保できる範囲で、ケーブル挿入側の端部の形状は自由に設定が可能である。
【0028】
テーパー孔12bは、筒体10の軸方向中間部に形成され、前記小径孔12aの内径と同等の最小径を有し、かつ、当該小径孔12aから筒体尾端部に向かうに従って拡径するテーパー状内周面を有している。ねじ孔12cは、前記テーパー孔12bの最大径と略同等の内径を有し、かつ、その内周面に雌ねじが螺刻されたものである。
【0029】
一方、この筒体10の外周面は、その尾端部(図1(a)では右端部)と反対の側(同図左側)から順に、円筒状外周面14a、テーパー状外周面14b、及び円筒状外周面14cとなっており、これら外周面14a,14b,14cの軸方向の位置は、それぞれ、前記小径孔12a、テーパー孔12b、及びねじ孔12cの軸方向の位置に概ね対応している。
【0030】
円筒状外周面14aの外径は円筒状内周面14cの外径よりも大きく、両外周面14a,14cの間に位置するテーパー状外周面14bは前記円筒状外周面14aから円筒状外周面14cに向かうに従って縮径する形状となっている。円筒状外周面14cの外径は後述の縮径工程における押し出し加工の目標径(すなわち当該押し出し加工で用いられるダイスのダイス径)と同等に設定されており、従って、両外周面14a,14cの外径差が当該加工の加工しろとなっている。また、円筒状外周面14aの縁(尾端部と反対側の縁)には前記押し出し加工用のダイス内に筒体10を円滑に挿入するための面取り部14dが形成されている。
【0031】
さらに、この筒体10の周壁には、その外部とテーパー孔12b内とを径方向に連通する注入口16が設けられている。
【0032】
次に、この筒体10を用いたケーブル端末定着部の製造方法例を示す。
【0033】
1)ねじ軸20の装着
図1(b)に示すように、前記筒体10のねじ孔12cに、雄ねじが外周面に螺刻されたねじ軸20を筒体尾端側から挿入し、螺着する。このねじ軸20は、後述の押し出し加工において押棒として機能するとともに、端末定着部完成後は固定具としても利用できるものである。また、このねじ軸20の端部のうち筒体10へ挿入される側の端部(図では左側端部)の端面には、図示のように後述のケーブル24の末端が挿入可能な凹部22を形成しておくことが好ましい。
【0034】
2)挿入工程
前記ねじ軸20と反対の側から(すなわち尾端部と反対の側から)ケーブル24の端末を小径孔12aの内側に挿入し、その末端をテーパー孔12bの内側にまで至らせる。図例のようにねじ軸20の端部に凹部22を形成している場合には、当該凹部22にケーブル末端24aが入り込むまで深く挿入する。
【0035】
この挿入の際、予め前記ケーブル末端24aを軽く溶接しておけば、筒体10内へのケーブル24の挿入の際に当該ケーブル24の素線の撚りが解けてしまうのを抑止でき、その分、完成後の定着部の引張強度を高めることが可能である。ただし、前記溶接によって撚り状態をあまり強く拘束すると、次の縮径工程でケーブル端末24aの広がり効果が得られなくなってしまうので留意を要する。
【0036】
3)縮径工程
ねじ軸20を前記筒体10と反対の側から押すようにして筒体10を図略の押し出し加工用ダイス内に挿入し、当該筒体10の押し出し加工すなわち縮径加工を行う。ここで、ねじ孔周囲の円筒状外周面14cの外径は前記押し出し加工用ダイスのダイス径と同等であるため、実際に縮径加工されるのは当該円筒状外周面14cよりも前側の部分すなわち円筒状外周面14a及びテーパー状外周面14bが形成された部分のみとなる。
【0037】
この縮径加工により、図2に示すような状態となる。すなわち、筒体10の小径孔12aの円筒状内周面がケーブル24の外周面に圧着されるのに加え、当該ケーブル24の末端24aは当該小径孔12aが形成されている筒体部分(ねじ孔よりも前側の部分)の軸方向の伸びによってねじ軸20の凹部22からテーパー孔12b内へ離脱し、さらに前記押し出し加工による圧力で端末24aの素線がばらされて前記テーパー孔12bのテーパー状内周面にほぼ沿って広がる形状となる。このような広がり部分の形成により、ケーブル24の末端24aが縮径後の小径孔12a内へ逆行することは著しく困難な状態となり、その結果、定着部での引張強度が効果的に高められることとなる。
【0038】
一方、ねじ孔12cが形成されている部分については実質上押し出し加工が施されていないので、ねじ軸20とねじ孔12cとの螺合は正常に保たれる。
【0039】
4)圧縮力の付加
前記ねじ孔12cからねじ軸20を一旦取り外し、当該ねじ孔12cを図3(a)に示すように上側に向けて当該ねじ孔12cから押棒を挿入することにより前記素線のばらしを促進する。この工程は必要に応じて行えばよく、前記押し出し加工のみでも素線が十分に拡散している場合には適宜省略すればよい。
【0040】
5)粒状体の投入
前記ねじ孔12cから筒体10内に多数の粒状体(例えば鋼球)26を投入し、さらに筒体10を揺する等して前記粒状体26をケーブル24を構成する素線同士の間に侵入させる。この粒状体26は、ケーブル末端24aにおける素線同士の間に介在することによって当該末端24aの広がり形状を保持するためのものであって、各粒状体26の径は素線径や素線同士の隙間に応じて適宜設定すればよい(一般には1mm程度が好適)。また、具体的な材質も問わず、鋼以外の金属材料、セラミック材料、硬質樹脂等の適用が可能であり、広がり形状の保形に寄与するものであればよい。形状についても球形に限らず、例えば不特定な形状であってもよい。
【0041】
この工程も、ケーブルの構造によっては適宜省略が可能である。また、4)5)の両工程を省略する場合には、ねじ軸20の取り外し作業も不要となる。
【0042】
6)滑り止め樹脂の注入
前記ねじ孔12cにねじ軸20を装着して当該ねじ孔12cを塞いだ状態で、図3(b)に示すように前記ねじ軸20側を下にし、注入口16から滑り止め樹脂を注入する。この滑り止め樹脂は、注入当初は良好な流動性を有し、かつ、その後に硬化するものであればよく、例えばエポキシ系のものが好適である。
【0043】
この滑り止め樹脂の注入量も適宜設定可能であるが、好ましくは当該樹脂が少なくとも筒体10の上端から溢れるまで注入するのが好ましい。図例では、ケーブル24の外周面のうち筒体10と隣接する部分にシールテープ28を貼着するとともに、そのケーブル側の筒体端部に円筒状の樹脂受け30を固定しておき、前記梱包テープ28から溢れた樹脂32が樹脂受け30の内側に溜まるようにしている。
【0044】
このようにして注入された樹脂が硬化することにより、その接着力で素線同士の軸方向の滑りが抑止されるとともに、装填された粒状体26の動きが拘束され、その結果、定着部の引張強度はさらに高められることになる。なお、この樹脂注入工程についても、ケーブル24の素線本数が少ないときは適宜省略が可能である。
【0045】
7)施工例
前記のようにして得られた定着部の施工例を図4に示す。図では、橋梁等の構造物に設けられた定着壁34に貫通孔36が設けられ、この貫通孔36に前記ねじ軸20が挿通された状態で当該ねじ軸20の端部に抜け止め用のダブルナット37,38が装着されている。この状態でケーブル24に高い張力が発生しても、当該張力に十分に対抗する(筒体10からのケーブル24の抜けや素線同士の滑りを阻止することが可能である。
【0046】
なお、本発明の実施形態は前記のものに限定されず、例として次のような形態をとることも可能である。
【0047】
(1) 本発明において、ねじ孔12cの省略は可能である。その場合、テーパー孔12bを筒体の尾端部に位置させてもよい。
【0048】
(2) 本発明に使用されるケーブル24の具体的な種類は問わず、複数本の素線が撚り合わされたものについて広く適用が可能である。ただし、本発明は素線本数の多いスパイラルロープやストランドロープに特に有効となる。
【0049】
(3) 縮径加工は前記押し出し加工に限らず、例えばクランプ加工や引き抜き加工を用いてもよい。ただし、ケーブル24が筒体10に接続されている関係上、押し出し加工の方が操作が容易である。特に、図例のように筒体10の尾端側にねじ軸20を締結した場合には、当該ねじ軸20を押棒として利用することにより、押し出し加工はより容易なものとなる。
【0050】
(4) 本発明に係る筒体の「小径孔」及び「大径孔」の内周面形状は図示のものに限られず、例えば小径孔を大径孔に向かうに従ってきわめてなだらかに縮径するテーパー状としてもよいし、逆に大径孔の内周面を小径孔よりも大径の円筒状内周面としてもよい。ただし、図示のような形状とすれば、小径孔12aの円筒状内周面とケーブル24とを軸方向に均一な圧着力で安定して圧着できる一方、大径孔であるテーパー孔12bの内周面に沿うようにケーブル末端24aを広がらせることにより、いわゆるくさび効果を用いて引張強度を効果的に高めることが可能になる。
【0051】
【実施例】
素線数61本、外径32mmのスパイラルロープを前記図1(a)に示した形状で最大外径83mmの筒体内に挿入し、この筒体をその外径が74mmとなるまで押し出し加工したものについて引張試験を行った。その結果を表1に示す。
【0052】
同表に示されるように、ケーブル端末と筒体とを単なる圧着のみで連結しただけの比較例に比べ、筒体10のテーパー孔12b内で素線末端をばらした実施例1によれば、引張強度(筒体からのケーブルの抜けを阻止する強さ)が155kN(655kN−500kN)まで向上することが確認できた。
【0053】
そして、筒体内に滑り止め樹脂を注入すると引張強度は830kNまで増大し、さらにケーブル挿入前にその端末を軽く溶接して撚りの戻りを規制すると引張強度はケーブル破断強度である960kN以上に達することが確認された。
【0054】
【表1】
Figure 0003692123
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明は、ケーブルの端末定着部に関するものであって、小径孔及び大径孔をもつ筒体に小径孔側からケーブルの端末を挿入した状態で当該筒体を縮径加工することにより、当該筒体の小径孔の内周面を前記ケーブルの周囲に縮径圧着しかつ前記大径孔内でケーブル端末の素線をばらして広がらせるようにしたものであるので、筒体の軸長を特に延長させることなく高い引張強度を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る筒体の断面図、(b)は当該筒体にねじ軸を装着しかつケーブル端末を挿入した状態を示す断面図である。
【図2】前記筒体を押し出し加工した後の状態を示す断面図である。
【図3】(a)は前記ねじ軸を外して筒体内に粒状体を投入した状態を示す断面図、(b)は当該ねじ軸を装着して注入口からテーパー状内周面内に樹脂を注入する工程を示す断面図である。
【図4】本発明に係る端末定着部の施工例を示す一部断面図である。
【符号の説明】
10 筒体
12a 円筒状内周面
12b テーパー状内周面
12c ねじ孔内周面
16 注入口
20 ねじ軸(固定具と兼用)
24 ケーブル
24a ケーブル末端
26 粒状体
32 滑り止め樹脂

Claims (11)

  1. 複数本の素線が撚り合わされたケーブルの端末の周囲に当該ケーブルよりも外径の大きな筒体が固定された端末定着部であって、前記筒体は、その尾端部と反対の側に開口する小径孔と、この小径孔の尾端側に隣接し、かつ、当該小径孔よりも大きな内径をもつ大径孔とを有し、前記小径孔側から前記大径孔内に至るまで前記ケーブルの端末が挿入された状態で当該ケーブルの周囲に前記小径孔の内周面が縮径圧着され、かつ、前記大径孔の内側でケーブル端末の素線がばらされて広がっていることを特徴とするケーブルの端末定着部。
  2. 請求項1記載のケーブルの端末定着部において、前記小径孔は、前記ケーブルの端末が挿入可能な内径をもつ円筒状内周面を有し、前記大径孔は前記小径孔の内周面から前記尾端部に向かうに従って拡径するテーパー状内周面を有し、前記ケーブル末端でばらされた素線が前記テーパー状内周面に沿うように広がっていることを特徴とするケーブルの端末定着部。
  3. 請求項1または2記載のケーブルの端末定着部において、前記筒体内における素線同士の間に素線同士の滑りを抑止する滑り止め樹脂が浸透して硬化していることを特徴とするケーブルの端末定着部。
  4. 請求項3記載のケーブルの端末定着部において、前記筒体内における素線同士の間に多数の粒状体が混入されており、かつ、これら粒状体が前記滑り止め樹脂により拘束されていることを特徴とするケーブルの端末定着部。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のケーブルの端末定着部において、前記筒体は、前記大径孔よりもさらに尾端側の位置に固定具が螺着されるねじ孔を有することを特徴とするケーブルの端末定着部。
  6. 複数本の素線が撚り合わされたケーブルの端末定着部を製造する方法であって、尾端部と反対の側に開口する小径孔及びこの小径孔に隣接して当該小径孔よりも大きな内径をもつ大径孔を有する筒体内にその小径孔側から前記ケーブルの端末を挿入する挿入工程と、その挿入状態で前記筒体を縮径加工することにより、当該筒体の小径孔の内周面を前記ケーブルの周囲に縮径圧着しかつ前記大径孔内でケーブル端末の素線をばらして広がらせる縮径工程とを含むことを特徴とするケーブルの端末定着部の製造方法。
  7. 請求項6記載のケーブルの端末定着部の製造方法において、前記筒体として、前記小径孔が前記ケーブルの端末が挿入可能な内径をもつ円筒状内周面を有し、かつ、前記大径孔が前記小径孔の内周面から前記尾端部に向かうに従って拡径するテーパー状内周面を有するものを用い、前記縮径工程で前記ケーブル末端でばらされた素線を前記テーパー状内周面に沿うように広がらせることを特徴とするケーブルの端末定着部の製造方法。
  8. 請求項6または7記載のケーブルの端末定着部の製造方法において、前記縮径工程後、前記筒体の尾端側からケーブル端末に軸方向の圧縮力を加えて当該端末の素線のばらしを促進することを特徴とするケーブルの端末定着部の製造方法。
  9. 請求項7または8記載のケーブルの端末定着部の製造方法において、前記縮径工程後、前記筒体内における素線同士の間に液状の滑り止め樹脂を浸透させてから当該樹脂を硬化させることを特徴とするケーブルの端末定着部の製造方法。
  10. 請求項9記載のケーブルの端末定着部の製造方法において、前記縮径工程後、前記ケーブルの端末の素線同士の間に多数の粒状体を侵入させておいてから当該素線間に前記滑り止め樹脂を浸透させて硬化させることにより当該滑り止め樹脂で前記粒状体を拘束することを特徴とするケーブルの端末定着部の製造方法。
  11. 複数本の素線が撚り合わされたケーブルの端末の周囲に固定されることにより当該ケーブルの端末定着部を構成する筒体であって、その尾端部と反対の側に開口し、その開口から前記ケーブルの端末が挿入可能な円筒状内周面をもつ小径孔と、この小径孔の円筒状内周面から尾端側に向かうに従って拡径する形状のテーパー状内周面を有する大径孔と、このテーパー状内周面よりも尾端側に位置し、当該尾端側からねじ軸が挿入可能なねじ孔とを有し、かつ、前記テーパー状内周面の内側に外部から液状の滑り止め樹脂を注入するための注入口が周壁に設けられていることを特徴とする筒体。
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