JP7096048B2 - ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なゴム組成物等に関する。
従来、ゴムには、用途(タイヤ用途など)に応じて、シリカが配合されている。しかし、シリカはゴムとの親和性に乏しい場合が多く、その親和性(分散性)の改善が課題となる。
このような中、特許文献1には、ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、特定の界面活性剤とを特定の割合で含む組成物が開示されている。
特開2017-8233号公報
本発明の目的は、新規なゴム組成物等を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、ジエン系ゴムと、シリカとを含むゴム組成物に、さらに、特定の成分(少なくとも脂肪酸塩)を配合することにより、新規なゴム組成物が得られること、このような特定の成分の配合により、ゴム組成物ないしその硬化物における低発熱性や加工性を向上しうる場合があること等を見出し、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
ゴム成分、シリカ及び脂肪酸塩を含むゴム組成物。
[2]
ゴム成分が、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びブタジエンゴム(BR)を含む[1]に記載のゴム組成物。
[3]
ゴム成分が、天然ゴム(NR)を含む[1]又は[2]に記載のゴム組成物。
[4]
脂肪酸塩が、C6-26モノ脂肪酸塩を含む[1]~[3]のいずれかに記載のゴム組成物。
[5]
脂肪酸塩が、ラウリン酸塩を含む[1]~[4]のいずれかに記載のゴム組成物。
[6]
さらに、脂肪酸を含む[1]~[5]のいずれかに記載のゴム組成物。
[7]
脂肪酸1質量部に対する脂肪酸塩の割合が1質量部超である、[6]に記載のゴム組成物。
[8]
タイヤ用である[1]~[7]のいずれかに記載のゴム組成物。
[9]
ゴム成分、シリカ及び脂肪酸塩を混練し、[1]~[8]のいずれかに記載のゴム組成物を製造する方法。
[10]
[1]~[8]のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤトレッド。
[11]
[10]記載のタイヤトレッドを備えたタイヤ。
本発明は、以下の態様を包含する。
[12]
ゴム成分が、ゴム成分全体に対してジエン系ゴムを80質量%以上含む[1]~[8]のいずれかに記載のゴム組成物。
[13]
脂肪酸塩が、C12-22モノ脂肪酸塩を含む[1]~[8]及び[12]のいずれかに記載のゴム組成物。
[14]
脂肪酸塩がオレイン酸塩を含む[1]~[8]、[12]及び[13]のいずれかに記載のゴム組成物。
[15]
塩が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩から選択された少なくとも1種である[1]~[8]及び[12]~[14]のいずれかに記載のゴム組成物。
[16]
脂肪酸塩が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム及びラウリン酸カルシウムから選択された少なくとも1種である[1]~[8]及び[12]~[15]のいずれかに記載のゴム組成物。
[17]
脂肪酸がC6-26脂肪酸を含む、[6]~[8]及び[12]~[16]のいずれかに記載のゴム組成物。
[18]
脂肪酸がステアリン酸を含む、[6]~[8]及び[12]~[17]のいずれかに記載のゴム組成物。
[19]
脂肪酸1質量部に対する脂肪酸塩の割合が0.1質量部以上である、[6]、[8]及び[12]~[18]のいずれかに記載のゴム組成物。
[20]
脂肪酸1質量部に対する脂肪酸塩の割合が1.2質量部以上である、[6]~[8]及び[12]~[19]のいずれかに記載のゴム組成物。
[21]
さらに、脂肪酸を含み、
脂肪酸塩が、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム及びラウリン酸カルシウムから選択された少なくとも1種を含み、
脂肪酸が、ステアリン酸を含み、
脂肪酸1質量部に対する脂肪酸塩の割合が1.2質量部以上である、[1]~[8]及び[12]~[20]のいずれかに記載のゴム組成物。
[22]
さらに、脂肪酸を含み、
脂肪酸塩が、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム及びオレイン酸カルシウムから選択された少なくとも1種を含み、
脂肪酸が、ステアリン酸を含み、
脂肪酸1質量部に対する脂肪酸塩の割合が1.2質量部以上である、[1]~[8]及び[12]~[20]のいずれかに記載のゴム組成物。
[23]
ゴム成分、シリカ及び脂肪酸塩を一度に混練する[1]~[8]及び[12]~[22]のいずれかに記載のゴム組成物を製造する方法。
本発明では新規なゴム組成物を得ることができる。
本発明の他の態様によれば、低発熱性等を効率よく改善しうる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と特定の添加剤を含む。
[ゴム成分]
ゴム成分としては、ゴム組成物の用途等に応じて適宜選択でき、例えば、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム[例えば、オレフィン系ゴム(例えば、エチレンプロピレンゴム(EPM)など)、アクリル系ゴム、フッ素ゴム、ウレタン系ゴムなど]に大別できる。
ゴム成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明では、ゴム成分として、ジエン系ゴムを好適に使用することができる。
ジエン系ゴムとしては、例えば、スチレン-ジエン共重合ゴム[例えば、スチレンブタジエンゴム(SBRなど)、スチレンクロロプレンゴム(SCR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)など]、ジエン系単量体の重合体{例えば、天然ゴム(NR)、合成ゴム[例えば、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、1,3-ブタジエンを重合成分とするゴム(例えば、ブタジエンゴム(BR)など)、クロロプレンゴム(CR)など]など}、アクリロニトリル-ジエン共重合ゴム[例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)(NBR)、ニトリルクロロプレンゴム(NCR)、ニトリルイソプレンゴム(NIR)など]、これらの水添ゴム[例えば、水添ニトリルゴム(HNBR)]などが含まれる。
なお、ジエン系ゴム(SBR、BRなど)は、変性(アミノ変性、エポキシ変性、ヒドロキシ変性、カルボキシ変性など官能基の導入など)されていてもよい。
ジエン系ゴムのガラス転移温度は、特に限定されず、ゴムの種類によって適宜選択できる。例えば、スチレン-ジエン共重合ゴム(SBRなど)のガラス転移温度は、-70~0℃(例えば、-60~-45℃、-55~-10℃)程度であってもよく、-50℃~-10℃程度のガラス転移温度を有するスチレン-ジエン共重合ゴムを好適に使用することができる。
また、1,3-ブタジエンを重合成分とするゴム(BRなど)のガラス転移温度は、-110~-60℃(例えば、-110~-90℃)程度であってもよく、-110℃~-80℃程度のガラス転移温度を有する1,3-ブタジエンを重合成分とするゴムを好適に使用することができる。
これらのジエン系ゴムの中でも、スチレン-ジエン共重合ゴム(SBRなど)、ジエン系単量体の重合体(NR、BRなど)などを好適に使用することができる。
ジエン系ゴムは、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。2種以上組み合わせる場合、同種のゴム(例えば、2種のSBRなど)を組み合せてもよく、異種のゴム(例えば、SBRとBR、SBRとNRなど)を組み合わせてもよく、これらを組み合わせてもよい。
特に、ジエン系ゴムは、スチレン-ジエン共重合ゴム及びジエン系単量体の重合体から選択された少なくとも1種を含んでいてもよく、好ましい態様では、スチレン-ジエン共重合ゴム(例えば、SBRなど)とジエン系単量体の重合体(例えば、NR及び/又はBR)とを組み合わせて使用してもよい。ここで、ジエン系ゴムとしてNRを使用することで低発熱性を格段に向上させることが可能である。よって、SBRとNRとの組み合わせ、SBRとBRとNRとの組み合わせが最も好ましい。
ゴム成分がジエン系ゴムを含む場合、ゴム成分全体に対するジエン系ゴムの割合は、例えば、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上(例えば、90質量%以上)であってもよく、実質的にジエン系ゴムのみでゴム成分を構成してもよい。
ゴム成分がスチレン-ジエン共重合ゴム(SBRなど)を含む場合、ゴム成分全体に対するスチレン-ジエン共重合ゴムの割合は、例えば、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上などであってもよく、通常、5~95質量%(例えば、10~90質量%、15~85質量%、20~80質量%など)であってもよい。
ゴム成分がジエン系単量体の重合体(NR、BRなど)を含む場合、ゴム成分全体に対するジエン系単量体の重合体の割合は、例えば、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、8質量%以上、10質量%以上、15質量%以上などであってもよく、通常、1~90質量%(例えば、3~85質量%、5~80質量%、20~80質量%、1~50質量%、3~40質量%、5~30質量%など)であってもよい。
特に、ゴム成分が天然ゴム(NR)を含む場合、ゴム成分全体に対するジエン系単量体の天然ゴムの割合は、例えば、1~60質量%、2~50質量%、3~40質量%、4~35質量%、5~30質量%などであってもよい。
本発明の好ましい態様は、ガラス転移温度が-40~0℃のSBRをゴム成分全体に対して20~80質量%を含み、かつガラス転移温度が-110~-40℃のSBRをゴム成分全体に対して20~80質量%を含む構成であり、さらにNRをゴム成分全体に対して10~70質量%を含む構成が特に好ましい。
[シリカ]
ゴム組成物は、通常、シリカを含む。シリカを添加することで、ゴムを効率よく補強しうる。また、シリカにより、ウェットグリップ性を効率よく向上しうる。
シリカは、特に限定されず、湿式シリカ、乾式シリカであってもよい。
また、シリカ(湿式シリカ)は、コロイダルシリカなどであってもよい。
なお、シリカは、表面処理されていてもよい。表面処理されたシリカとしては、前記のように官能基(有機基)が導入されたシリカなどが挙げられる。
シリカは、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
シリカの物性は、特に限定されない。例えば、シリカのBET比表面積は、50~260m/g、90~200m/g程度であってもよい。
なお、BET比表面積は、例えば、ASTM D1993-03に従って測定できる。
シリカの割合は、ゴム組成物の用途等にもよるが、例えば、ゴム成分100質量部に対して、3質量部以上(例えば、5質量部以上)、8質量部以上(例えば、10質量部以上)、15質量部以上(例えば、18質量部以上)、20質量部以上、25質量部以上などであってもよい。
シリカの割合の上限値は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、300質量部、250質量部、200質量部、180質量部、150質量部、120質量部、100質量部、90質量部、80質量部、70質量部などであってもよい。
シリカの割合は、具体的には、ゴム成分100質量部に対して、10~150質量部が好ましく、25~120質量部がさらに好ましく、30~100質量部が特に好ましい。
[シランカップリング剤]
ゴム組成物は、シランカップリング剤を含んでいてもよい。シランカップリング剤により、ゴム中におけるシリカの分散性を効率よく向上しうる。
シランカップリング剤は、通常、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基などのC1-10アルコキシ基、好ましくはC1-6アルコキシ基、さらに好ましくはC1-4アルコキシ基)を有してもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、硫黄含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、重合性基含有シランカップリング剤、炭化水素基含有シランカップリング剤などが挙げられる。
硫黄含有シランカップリング剤としては、例えば、チオール系シランカップリング剤[例えば、メルカプト基含有アルコキシシラン(例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプトアルキルアルコキシシラン)など]、チオエステル系シランカップリング剤{例えば、チオエステル基含有アルコキシシラン[例えば、3-ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン、3-ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリエトキシシランなどのアルカノイルチオアルキルアルコキシシラン]など}、スルフィド系シランカップリング剤{例えば、ジスルフィド基含有アルコキシシラン[例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィドなどのビス(アルコキシシリルアルキル)ジスルフィドなど]、トリスルフィド基含有アルコキシシラン[例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィドなどのビス(アルコキシシリルアルキル)トリスルフィドなど]、テトラスルフィド基含有アルコキシシラン[例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィドなどのビス(アルコキシシリルアルキル)テトラスルフィドなど]などのポリスルフィド(例えば、ジ乃至テトラスルフィド)基を有するシランカップリング剤}などが挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えば、アミノアルキルアルコキシシラン(例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシランなど)、N-置換アミノアルキルアルコキシシラン[例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのN-アミノアルキル-アミノアルキルアルコキシシラン;N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミンなど]などが挙げられる。
エポキシ基含有シランカップリング剤としては、例えば、グリシジル基含有アルコキシシラン[例えば、グリシジルオキシアルキルアルコキシシラン(例えば、3-グリシジルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルジエトキシメチルシランなど)など]、エポキシシクロアルキル基含有アルコキシシラン[例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシクロアルキルアルキルアルコキシシラン]などが挙げられる。
重合性基含有シランカップリング剤としては、例えば、アルケニル基含有シランカップリング剤{例えば、ビニル基含有シランカップリング剤[例えば、ジメトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシランなどのビニルアルコキシシラン;ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、p-スチリルトリメトキシシランなど]、アリル基含有シランカップリング剤(例えば、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどのアリルアルコキシシラン)など}、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤{例えば、3-(メトキシジメチルシリル)プロピルアクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3-(ジメトキシメチルシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(ジメトキシメチルシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートなど}などが挙げられる。
炭化水素基含有シランカップリング剤としては、例えば、アルキルアルコキシシラン(例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン)などが挙げられる。
シランカップリング剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの中でも、特に、硫黄含有シランカップリング剤を好適に使用することができる。
シランカップリング剤を使用する場合、シランカップリング剤の割合は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.01質量部以上(例えば、0.05質量部以上)、0.1質量部以上(例えば、0.5質量部以上)、1質量部以上(例えば、1.5質量部以上)、2質量部以上、3質量部以上などであってもよい。
シランカップリング剤の割合の上限値は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、50質量部、40質量部、35質量部、30質量部、25質量部、20質量部、15質量部、12質量部、10質量部、8質量部、7質量部などであってもよい。
代表的には、シランカップリング剤の割合は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~30質量部、0.5~20質量部、1~12質量部などであってもよい。
また、シランカップリング剤を使用する場合、シランカップリング剤の割合は、例えば、シリカ100質量部に対して、0.01~50質量部(例えば、0.1~40質量部)、0.5~30質量部、1~25質量部、2~20質量部、3~15質量部程度であってもよい。
[脂肪酸塩]
ゴム組成物は、脂肪酸塩を含む。ゴム組成物は、前記のように、通常シリカを含むが、本発明者の検討によれば、シリカを含むことで加工性や低発熱性が低下する場合がある。このような低下は、シランカップリング剤の使用によりやや抑えうるものの、その抑制効果は限定的で、さらなる抑制が必要となる場合がある。また、シランカップリング剤のみ添加では加工性と発熱性の両立には不十分であった。
本発明者の検討によれば、脂肪酸塩は、このような加工性や低発熱性を向上又は改善しうることがわかった。
脂肪酸塩において、脂肪酸としては、特に限定されず、モノ脂肪酸(1つのカルボキシル基を有する脂肪酸)であってもよく、ポリ脂肪酸(2以上のカルボキシル基を有する脂肪酸)であってもよい。
また、脂肪酸塩において、脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。
脂肪酸塩において、脂肪酸の炭素数は、例えば、2以上、4以上、6以上、8以上、10以上、12以上などであってもよい。脂肪酸の炭素数の上限値は、例えば、40、35、32、30、28、26、24、22などであってもよい。
脂肪酸塩において、具体的な脂肪酸としては、モノ脂肪酸{例えば、飽和モノ脂肪酸[例えば、アルカン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、モンタン酸などのC6-30アルカン酸、好ましくはC8-26アルカン酸、さらに好ましくはC10-24アルカン酸、特にC12-22アルカン酸)など]、不飽和モノ脂肪酸[例えば、モノ不飽和脂肪酸(例えば、オクテン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸などのC6-30アルケン酸)、ポリ不飽和モノ脂肪酸(例えば、リノール酸、リノレン酸、エイコサトリエン酸など)など]など}、ポリ脂肪酸{例えば、飽和ポリ脂肪酸[例えば、アルカンポリカルボン酸(例えば、セバシン酸などのアルカンジ乃至テトラカルボン酸)など]など}などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数6以上の脂肪酸[例えば、C6-26脂肪酸(特にモノ脂肪酸)、C12-22脂肪酸(特にモノ脂肪酸)など]などが好ましい。
脂肪酸塩において、塩としては、有機塩(アミン塩など)であってもよく、無機塩(アンモニウム塩、金属塩など)であってもよい。特に、脂肪酸塩は、金属塩が好ましい。
金属塩において、金属としては、例えば、典型金属[例えば、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど)、亜鉛、アルミニウム、スズ、鉛など]、遷移金属(例えば、イットリウム、ランタン、アンチモン、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、銅、銀)などが挙げられる。
好ましい金属は、典型金属であり、中でも、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムなど)などが好ましい。
具体的な脂肪酸塩としては、上記脂肪酸と塩との組み合わせが挙げられる。その一例を挙げると、例えば、モノ脂肪酸塩[例えば、酪酸塩(酪酸ナトリウムなど)、ラウリン酸塩、ステアリン酸塩(ステアリン酸ナトリウムなど)、ベヘン酸塩(例えば、ベヘン酸ナトリウムなど)、モンタン酸塩(例えば、モンタン酸ナトリウムなど)、オレイン酸塩(例えば、オレイン酸ナトリウム)など]などの脂肪酸塩[例えば、C4-30脂肪酸塩、好ましくはC6-26脂肪酸塩、さらに好ましくはC12-22脂肪酸塩(特にモノ脂肪酸塩)など]が挙げられる。
これらの中でも、ラウリン酸塩及びオレイン酸塩は、低発熱性に優れ、ラウリン酸塩は、特に低発熱性と加工性の改善効果(特に、後述の脂肪酸と組み合わせたときの改善効果)に優れるようである。
そのため、脂肪酸塩の中でも、ラウリン酸塩及びオレイン酸塩が好ましく、特にラウリン酸塩を好適に使用することができる。
ラウリン酸塩としては、例えば、ラウリン酸金属塩[例えば、ラウリン酸アルカリ金属塩(例えば、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウムなど)、ラウリン酸アルカリ土類金属塩(例えば、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウムなど)、ラウリン酸亜鉛など]などが挙げられる。
これらのラウリン酸塩の中でも、ラウリン酸アルカリ金属塩(特に、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム)、ラウリン酸アルカリ土類金属塩(特に、ラウリン酸カルシウム)を好適に使用することができる。
オレイン酸塩としては、例えば、オレイン酸金属塩[例えば、オレイン酸アルカリ金属塩(例えば、オレイン酸リチウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなど)、オレイン酸アルカリ土類金属塩(例えば、オレイン酸カルシウム、オレイン酸バリウムなど)、オレイン酸亜鉛など]などが挙げられる。
これらのオレイン酸塩の中でも、オレイン酸アルカリ金属塩(特に、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム)、オレイン酸アルカリ土類金属塩(特に、オレイン酸カルシウム)を好適に使用することができる。
脂肪酸塩は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
脂肪酸塩の割合は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.01質量部以上(例えば、0.03質量部以上)、0.05質量部以上(例えば、0.1質量部以上)、0.5質量部以上(例えば、0.7質量部以上)、1質量部以上、1.5質量部以上、2質量部以上(例えば、2.2質量部以上)、2.3質量部以上、2.5質量部以上、2.7質量部以上、3質量部以上、3.5質量部以上などであってもよい。
脂肪酸塩の割合の上限値は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、40質量部、35質量部、30質量部、28質量部、25質量部、22質量部、20質量部、18質量部、15質量部、12質量部、10質量部、8質量部、5質量部、4質量部、4質量部未満、3.8質量部、3.5質量部、3質量部、2.5質量部、2.2質量部、2質量部未満(例えば、1.9質量部、1.8質量部)などであってもよい。
代表的には、脂肪酸塩の割合は、ゴム成分100質量部に対して、0.05~30質量部(例えば、0.1~25質量部)、0.2~22質量部(例えば、0.3~20質量部)であってもよく、0.5~18質量部(例えば、0.7~15質量部)が好ましく、0.1~10質量部、2質量部未満(例えば、0.1~1.8質量部)がさらに好ましく、2質量部超4質量部未満(例えば、2.1~3.9質量部、2.2~3.8質量部、2.3~3.7質量部、2.5~3.5質量部など)が特に好ましい。
脂肪酸塩の割合は、シリカ100質量部に対して、例えば、0.1~10質量部であってもよく、0.5~7質量部が好ましく、1~5質量部がさらに好ましく、2.7~4質量部が特に好ましい。
また、シランカップリング剤を使用する場合、脂肪酸塩の割合は、シランカップリング剤100質量部に対して、例えば、1~150質量部(例えば、1.3~125質量部)であってもよく、5~80質量部(例えば、6.3~79質量部)が好ましく、10~60質量部(例えば、12.5~50質量部)がさらに好ましく、20~50質量部(例えば、21.2~47.5質量部)が特に好ましい。
[脂肪酸]
ゴム組成物は、脂肪酸を含んでいてもよい。脂肪酸塩と脂肪酸とを組み合わせることで、低発熱性等をより一層効率よく改善しうる。
脂肪酸は、モノ脂肪酸(1つのカルボキシル基を有する脂肪酸)であってもよく、ポリ脂肪酸(2以上のカルボキシル基を有する脂肪酸)であってもよい。
また、脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。
脂肪酸の炭素数は、例えば、2以上、4以上、6以上、8以上、10以上、12以上などであってもよい。脂肪酸の炭素数の上限値は、例えば、40、35、32、30、28、26、24、22などであってもよい。
具体的な脂肪酸としては、モノ脂肪酸{例えば、飽和モノ脂肪酸[例えば、アルカン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、モンタン酸などのC6-30アルカン酸、好ましくはC8-26アルカン酸、さらに好ましくはC10-24アルカン酸、特にC12-22アルカン酸)など]、不飽和モノ脂肪酸[例えば、モノ不飽和脂肪酸(例えば、オクテン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸などのC6-30アルケン酸)、ポリ不飽和モノ脂肪酸(例えば、リノール酸、リノレン酸、エイコサトリエン酸など)など]、ポリ脂肪酸{例えば、飽和ポリ脂肪酸[例えば、アルカンポリカルボン酸(例えば、セバシン酸などのアルカンジ乃至テトラカルボン酸)など]など}などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数6以上の脂肪酸[例えば、C6-26脂肪酸(特にモノ脂肪酸)、C12-22脂肪酸(特にモノ脂肪酸)など]などが好ましく、特にステアリン酸を好適に使用することができる。
脂肪酸を使用する場合、脂肪酸の割合は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.01質量部以上(例えば、0.03質量部以上)、0.05質量部以上(例えば、0.07質量部以上)、0.1質量部以上(例えば、0.2質量部以上)、0.3質量部以上、0.5質量部以上(例えば、0.6質量部以上)、0.7質量部以上(例えば、0.8質量部以上)、1質量部以上(例えば、1.1質量部以上、1.2質量部以上、1.3質量部以上、1.4質量部以上、1.5質量部以上)などであってもよい。
脂肪酸の割合の上限値は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、40質量部、35質量部、30質量部、28質量部、25質量部、22質量部、20質量部、18質量部、15質量部、12質量部、10質量部、8質量部、5質量部、4質量部、4質量部未満、3.8質量部、3.5質量部、3質量部以下(例えば、2.8質量部、2.6質量部、2.4質量部、2.2質量部、2.0質量部、1.9質量部、1.8質量部、1.7質量部)などであってもよい。
代表的には、脂肪酸の割合は、ゴム成分100質量部に対して、0.01~30質量部(例えば、0.05~25質量部)、0.1~22質量部(例えば、0.2~20質量部)であってもよく、0.3~18質量部(例えば、0.4~15質量部)が好ましく、0.5~10質量部(例えば、1~質量部)がさらに好ましく、2質量部以下(例えば、0.1~1.9質量部、0.2~1.8質量部)が特に好ましい。
脂肪酸の割合は、シリカ100質量部に対して、例えば、0.05~10質量部であってもよく、0.1~9質量部が好ましく、1.5~8質量部がさらに好ましく、特に1.5~3質量部が特に好ましい。
シランカップリング剤を使用する場合、脂肪酸の割合は、シランカップリング剤100質量部に対して、例えば、1~200質量部(例えば、1~156質量部)であってもよく、10~180質量部(例えば、15~156質量部)が好ましく、20~150質量部(例えば、20~125質量部)がさらに好ましく、20~100質量部(例えば、20~80質量部、20~60質量部、20~50質量部、23~47質量部)が特に好ましい。
前記のように、本発明では脂肪酸と脂肪酸塩とを併用するのが好ましい。脂肪酸と脂肪酸塩との組み合わせとしては、例えば、モノ脂肪酸{例えば、飽和モノ脂肪酸[例えば、アルカン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、モンタン酸などのC6-30アルカン酸、好ましくはC8-26アルカン酸、さらに好ましくはC10-24アルカン酸、特にC12-22アルカン酸)など]、不飽和モノ脂肪酸[例えば、モノ不飽和脂肪酸(例えば、オクテン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸などのC6-30アルケン酸)、ポリ不飽和モノ脂肪酸(例えば、リノール酸、リノレン酸、エイコサトリエン酸など)など]など}、ポリ脂肪酸{例えば、飽和ポリ脂肪酸[例えば、アルカンポリカルボン酸(例えば、セバシン酸などのアルカンジ乃至テトラカルボン酸)など]など}から選ばれる少なくとも1種と、モノ脂肪酸{例えば、飽和モノ脂肪酸[例えば、アルカン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、モンタン酸などのC6-30アルカン酸、好ましくはC8-26アルカン酸、さらに好ましくはC10-24アルカン酸、特にC12-22アルカン酸)など]、不飽和モノ脂肪酸[例えば、モノ不飽和脂肪酸(例えば、オクテン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸などのC6-30アルケン酸)、ポリ不飽和モノ脂肪酸(例えば、リノール酸、リノレン酸、エイコサトリエン酸など)など]など}、ポリ脂肪酸{例えば、飽和ポリ脂肪酸[例えば、アルカンポリカルボン酸(例えば、セバシン酸などのアルカンジ乃至テトラカルボン酸)など]など}などの有機塩(アミン塩など)又は無機塩(アンモニウム塩、金属塩など)から選ばれる少なくとも1種との組み合わせなどが挙げられる。
より具体的な組み合わせとしては、例えば、ステアリン酸と酪酸塩、ステアリン酸とセバシン酸塩、ステアリン酸とラウリン酸塩、ステアリン酸とステアリン酸塩、ステアリン酸とオレイン酸塩、ステアリン酸とベヘン酸塩、ステアリン酸とモンタン酸塩、ラウリン酸と酪酸塩、ラウリン酸とセバシン酸塩、ラウリン酸とラウリン酸塩、ラウリン酸とステアリン酸塩、ラウリン酸とオレイン酸塩、ラウリン酸とベヘン酸塩、ラウリン酸とモンタン酸塩、オレイン酸と酪酸塩、オレイン酸とセバシン酸塩、オレイン酸とラウリン酸塩、オレイン酸とステアリン酸塩、オレイン酸とオレイン酸塩、オレイン酸とベヘン酸塩、オレイン酸とモンタン酸塩等が挙げられるが、その中でも、ステアリン酸とラウリン酸塩、特にステアリン酸とラウリン酸金属塩が好ましい。具体的には、ステアリン酸とラウリン酸リチウム、ステアリン酸とラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸とラウリン酸カリウム、ステアリン酸とラウリン酸カルシウム、ステアリン酸とラウリン酸バリウムなどが挙げられる。その中でも、最も好ましいのは、ステアリン酸とラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸とラウリン酸カルシウムである。
脂肪酸と脂肪酸塩とを併用する場合、脂肪酸1質量部に対する脂肪酸塩の割合は、例えば、0.01質量部以上(例えば、0.05~300質量部)、0.1質量部以上(例えば、0.15~200質量部)、0.2質量部以上(例えば、0.25~100質量部)、0.3質量部以上(例えば、0.35~50質量部)、0.5質量部以上(例えば、0.7~40質量部)、1質量部以上(例えば、1.1~30質量部)などであってもよく、1質量部超[例えば、1.1~50質量部、1.2~40質量部、1.3~30質量部、1.4~20質量部、1.5~10質量部、5質量部未満(例えば、1.1~4質量部、1.2~3質量部など)]が好ましく、1.2質量部以上(例えば、1.2~3質量部、1.3~2.8質量部、1.4~2.6質量部)が特に好ましい。
脂肪酸と脂肪酸塩を併用することにより、さらに優れた低発熱性を発現することができ、特に脂肪酸と脂肪酸塩との割合を脂肪酸1質量部に対して脂肪酸塩が1質量部超(例えば、1.2質量部以上など)とすることにより、優れた低発熱性と優れた加工性とをバランス良く向上又は改善しうる。
[他の成分]
ゴム組成物は、必要に応じて、他の成分(ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤、脂肪酸塩、脂肪酸以外の成分)を含んでいてもよい。他の成分としては、フィラー(又は充填剤)、可塑剤(オイルなど)、老化防止剤(熱老化防止剤、オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、粘着付与剤、着色剤、発泡剤、加工助剤、ワックス、樹脂、発泡剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫剤などが挙げられる。
他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
充填剤としては、例えば、マイカ、クレー、タルク、ケイ酸類、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、フェライト、有機繊維(レーヨン、ナイロン、ビニロン、アラミド)、無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維など)などが挙げられる。
特に、ゴム組成物は、カーボンブラックを含んでいてもよい。カーボンブラックの物性は、特に限定されない。例えば、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、20~150m/g程度であってもよい。また、カーボンブラックのDBP(ジブチルフタレート)吸油量は、例えば、40~170cm/100g程度であってもよい。
なお、窒素吸着比表面積は、例えば、JIS K6217-2に従って、DBP吸油量は、例えば、JIS K6217-4に従って、測定できる。
カーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックの割合は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、3~100質量部、5~80質量部、10~60質量部程度であってもよい。
カーボンブラックの割合は、シリカ100質量部に対して、2~200質量部、5~150質量部、10~100質量部程度であってもよい。
カーボンブラックの割合は、脂肪酸金属塩100質量部に対して、90~3000質量部、100~2000質量部、150~1500質量部程度であってもよい。
カーボンブラックの割合は、脂肪酸100質量部に対して、90~3000質量部、100~2000質量部、150~1500質量部程度であってもよい。
加硫剤としては、ゴム成分の種類等に応じて適宜選択でき、例えば、硫黄、ラジカル発生剤、硫黄などが挙げられ、代表的には硫黄を使用してもよい。加硫剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
加硫剤の使用割合としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.1~20質量部、0.2~15質量部、0.3~10質量部、0.5~5質量部程度であってもよい。
[ゴム組成物の製造方法]
ゴム組成物は、各成分を混合(混練)することで得ることができる。
混合方法としては、各成分(原料成分)を混合できればよく、特に限定されないが、例えば、ゴム成分と、シリカと、脂肪酸塩と[さらには、シランカップリング剤、脂肪酸などの他の成分(加硫剤ではない成分)と]を混合(混練)する工程(A)と、工程(A)で得られた混合物と、加硫剤を混合(混練)する工程(B)とを経てゴム組成物を製造してもよい。
工程(A)は、ゴム成分、シリカ、脂肪酸塩(さらに必要に応じて、シランカップリング剤、脂肪酸など)を含む原料成分を混練する工程であり、加硫剤を配合する前の工程であることを意味している。
工程(A)では、さらに必要に応じて、上記のその他の成分(カーボンブラックなど)等を配合することができる。
工程(A)における混練方法としては、例えば、ゴム成分と、シリカ、脂肪酸塩を少なくとも混練(又はこれらを含む組成物を混練)する方法が挙げられる。
この混練方法においては、各成分の全量を一度に混練してもよく、粘度調整等の目的に応じて、各成分を分割投入して(又は段階的に)混練してもよい。工程(A)は複数回にわたり繰り返し混練されてもよい。
特に、工程(A)において、少なくともゴム成分と脂肪酸塩とは、一度に(一段階で)混合(混練)するのが好ましい。
工程(A)において、各成分(又はゴム組成物)を混合する際の温度としては、特に制限はなく、例えば、各成分(又はゴム組成物)の温度の上限が120~190℃であることが好ましく、130~175℃であることがより好ましく、140~170℃であることがさらに好ましい。
工程(A)における混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、2分間から7分間であることがさらに好ましい。
工程(B)は、工程(A)で得られる混合物と、加硫剤とを混合する工程(B)であり、混練の最終段階を意味している。
工程(B)では、さらに必要に応じて、加硫促進剤等を配合することができる。
工程(B)は、加熱条件下で行うことができる。該工程の加熱温度としては、特に制限はなく、例えば、60~140℃であることが好ましく、80~120℃であることがより好ましく、90~120℃であることがさらに好ましい。
混合(又は混練)時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、60秒間から5分間であることがさらに好ましい。
工程(A)から工程(B)に進む際には、前段階の工程終了後の温度より、30℃以上低下させてから次の工程(B)へ進むことが好ましい。
なお、ゴム組成物の製造方法において、通常、ゴム組成物に配合される亜鉛華等の加硫促進剤、老化防止剤等の各種配合剤を、必要に応じて、工程(A)又は工程(B)において添加してもよい。
混合(混練)手段は、特に限定されず、例えば、押出機、ミキサー(バンバリーミキサー、インテンシブミキサーなど)、ロール、ニーダーなどであってもよい。
[ゴム組成物の用途等]
ゴム組成物の用途は、特に限定されず、ゴム成分の種類等において適宜選択できるが、特に、タイヤ用であってもよい。
タイヤ用とする場合、ゴム組成物は、タイヤの全部又は一部を構成(形成)してもよい。例えば、ゴム組成物は、ビード部、サイドウォール部、ショルダー部、トレッド部、アンダートレッド部、ベルト部、カーカス部から選択された少なくとも一部を形成してもよい。
なお、タイヤは、ガスが充填されたタイヤ(空気入りタイヤ)であってもよく、ソリッドタイヤであってもよい。特に、タイヤは、ガスが充填されたタイヤであってもよい。なお、ガスとしては、特に限定されず、空気、不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウムなど)などであってもよい。
特に、本発明のゴム組成物は、タイヤの中でも、少なくともトレッド(タイヤトレッド)を形成するためのゴム組成物であってもよい。
ゴム組成物は、用途に応じた所定の形状・構造に成形(加工)され、加硫(硬化)処理することで硬化物(加硫物)となる。本発明にはこのような硬化物(成形体)も含まれる。
成形(加硫)方法としては、特に限定されず、慣用の方法を利用できる。加硫温度は、特に限定されず、例えば、70~300℃であってもよく、100~250℃が好ましく、120~200℃がさらに好ましい。
本発明を以下の実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
表1~3の工程(A)に記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合物の最高温度が160℃になるように回転数を調整しながら5分間混練した。混合物の温度が80℃以下になるまで養生させた後、表1~3の工程(B)に記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合物の最高温度が110℃以下になるよう調整しながら混練して、ゴム組成物を製造した。
得られたゴム組成物の物性を下記方法にて評価した。
低発熱性試験
粘弾性測定装置(Metravib社製)を使用し、温度25℃、動歪6%、周波数10Hzの条件に低加硫ゴムのtanδ値を測定し、比較例3のtanδ値の逆数を100とし、下記式から低発熱性の指数を算出した。この値が大きいほど、低発熱性に優れている。
式:低発熱性指数=(比較例3のtanδ)/(ゴム組成物のtanδ)×100
ムーニー粘度測定(加工性)
JIS K6300-1(ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方;ML1+4,100℃)に準じて測定し、比較例3のムーニー粘度値の逆数を100とし、下記式から加工性指数を算出した。この値が大きいほど、加工性に優れている。
式:加工性指数=(比較例3のムーニー粘度値)/(ゴム組成物のムーニー粘度値)×100
各成分の種類やその割合とともに、結果を下記表に示す。
なお、表において、発熱性、ムーニー粘度は、それぞれ、比較例3の値を100としたときの値(相対値)である。
また、表において使用した成分の種類や製造者名は下記の通りである。
SBR1:スチレンブタジエンゴム Petro China Dushanzi Petrochemical Company製、RC2557s
SBR2:スチレンブタジエンゴム JSR社製、SBR1502
BR:ブタジエンゴム 宇部興産社製、BR150B
天然ゴム:中化国際社製、TSR20
シリカ:東ソー社製、ニップシールAQ
シランカップリング剤:エボニック社製、Si69
セバシン酸2ナトリウム:日油社製、NS-18
ラウリン酸ナトリウム:日油社製、ノンサールLN-1
ステアリン酸ナトリウム:日油社製、ノンサールSN-1W1
オレイン酸ナトリウム:日油社製、ノンサールON-A
ベヘン酸ナトリウム:日油社製、NS-7
モンタン酸ナトリウム:日油社製、NS-8
ラウリン酸リチウム:日油社製、LS-3
ラウリン酸カリウム:日油社製、LK-2
ラウリン酸カルシウム:日油社製、CS-3
ラウリン酸バリウム:日油社製、BS-3
ラウリン酸亜鉛:日油社製、ZS-3
ラウリン酸:日油社製、NS-6
ステアリン酸:花王社製、ルナックS-98
カーボンブラック:東洋カーボン社製、シースト7HM
老化防止剤:大内新興化学社製、ノクラック6C
酸化亜鉛:堺化学社製、酸化亜鉛1種
オイル:出光興産社製、ダイアナ プロセスオイルPW
加硫促進剤1:大内新興化学社製、ノクセラ-D
加硫促進剤2:大内新興化学社製、ノクセラ-CZ-G
硫黄:細井化学社製、オイル硫黄325M
Figure 0007096048000001
Figure 0007096048000002
Figure 0007096048000003
上記結果から明らかなように、実施例では、シリカ、脂肪酸塩などを含むゴム組成物が得られた。そして、このようなゴム組成物では、低発熱性や加工性(ムーニー粘度)を改善しうること、脂肪酸塩の中でも、特定の脂肪酸塩(ラウリン酸塩など)を使用したときに、さらに低発熱性や加工性を大きく改善できたり、これらをバランス良く改善できることがわかった。
また、このような改善効果は、脂肪酸(上記の例ではステアリン酸)と組み合わせた場合[特に、脂肪酸塩の中でもラウリン酸塩(特に、ラウリン酸ナトリウムなどの金属塩)を組み合わせた(特に、特定割合で組み合わせた)場合]に、より一層効率よく得られることが示された。
本発明によれば、ゴム組成物を得ることができる。このようなゴム組成物は、タイヤ用などとして使用できる。

Claims (10)

  1. ジエン系ゴムを含むゴム成分、シリカ及び脂肪酸塩を含むゴム組成物であり、
    ジエン系ゴムが、スチレン-ジエン共重合ゴム及びジエン系単量体の重合体を含み、
    脂肪酸塩が、ラウリン酸ナトリウムを含む、組成物。
  2. スチレン-ジエン共重合ゴムが、スチレンブタジエンゴム(SBR)を含む請求項1に記載のゴム組成物。
  3. ジエン系単量体の重合体が、ブタジエンゴム(BR)及び天然ゴム(NR)から選択された少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. スチレン-ジエン共重合ゴムが、スチレンブタジエンゴム(SBR)を含み、
    ジエン系単量体の重合体が、ブタジエンゴム(BR)及び天然ゴム(NR)から選択された少なくとも1種を含む請求項1~のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. さらに、脂肪酸を含む請求項1~のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 脂肪酸1質量部に対する脂肪酸塩の割合が1質量部超である、請求項に記載のゴム組成物。
  7. タイヤ用である請求項1~のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. ゴム成分、シリカ及び脂肪酸塩を混練し、請求項1~のいずれかに記載のゴム組成物を製造する方法。
  9. 請求項1~のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤトレッド。
  10. 請求項記載のタイヤトレッドを備えたタイヤ。
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