JP7095404B2 - ブロックポリマー - Google Patents

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Description

本発明は(メタ)アクリル樹脂ユニットとポリアミック酸ユニット、および(メタ)アクリル樹脂ユニットとポリイミドユニットを複合してなるブロックポリマーに関するものである。
ブロックポリマーは、一般に溶解性などのある特定の物性について性質の異なる複数のポリマーユニットを連結させた構造体であり、溶液中でのミセル形成やバルク中での相分離構造形成などの特性を利用して、粘接着剤やエラストマー、機能性顔料分散剤、相溶化剤、ドラッグデリバリーシステムなどの分野で広く検討されている。
そのようなポリマーユニットとしては、モノマー選択の自由度が大きく、かつリビング重合法を用いることで比較的簡便にブロックポリマー構造を得られることから、アクリル系材料が好適に用いられており、2~3種類の異なるアクリルユニット同士を連結させたジブロックポリマーやトリブロックポリマーなどのアクリル系ブロックポリマーが利用されている。
しかしながら、リビング重合法で得られるアクリル系のブロックポリマーは、製法上の特性から一般的にアクリルユニット同士のブロック構造のみに限定され、アクリル以外のポリマーユニットとの複合は困難であった。
一方で、例えば特許文献1には、リビング重合法で得られるアクリル重合体に新たな付加価値をつける目的で、アクリルユニットの末端に官能基を導入する手法が開示されている。この様な手法を用いることで、アクリルユニットの末端に導入された官能基を起点に、アクリル以外のポリマーユニットと連結できる可能性はあるものの、リビング重合法の多くは製造プロセスが複雑であり、また触媒である重金属やハロゲン化合物の効果的な除去が困難であるため利用できる用途が限定されていた。
またリビング重合法で得られるアクリルポリマーは、通常のフリーラジカル重合と比較して分子量分散度が1.0~1.2と狭いことを特徴とするが、例えば顔料のような粒径に分布があるフィラーの分散や、高い接着性を必要とする粘着剤用途では、しばしば分子量分散度が狭過ぎることに由来するポリマー構造の均一性や、それに起因するミクロ相分離能の高さが、分散性不良や接着力不良の原因となる場合があり、分子量分散度が高いブロックポリマーの特性が期待されていた。
特開2009-215472
本発明は(メタ)アクリル樹脂とポリアミック酸、および(メタ)アクリル樹脂とポリイミドを複合してなる新規なブロックポリマーを提供することを目的とする。
本発明は、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリアミック酸ユニット(B)および/またはポリイミドユニット(C)が連結されたブロックポリマーであり、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)の分子量分散度が1.25以上であることを特徴とするブロックポリマーに関する。
また、本発明は、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリアミック酸ユニット(B)および/またはポリイミドユニット(C)が、アミド結合および/またはイミド結合により連結されてなることを特徴とする前記ブロックポリマーに関する。
また、本発明は、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)の末端部に導入された連鎖移動剤残基により、ポリアミック酸ユニット(B)および/またはポリイミドユニット(C)とのアミド結合および/またはイミド結合が形成されてなることを特徴とする前記ブロックポリマーに関する。
また、本発明は、連鎖移動剤が2-メルカプトコハク酸であることを特徴とする前記ブロックポリマーに関する。
また、本発明は、トリブロックポリマーであることを特徴とする前記ブロックポリマーに関する。
また、本発明は、前記ブロックポリマーと基材からなる積層体に関する。
本発明により、分散剤、相溶化剤、接合剤、多孔質材、担持材、分離膜、光学材料、電子材、医療材料、炭素材等への利用が期待できる、(メタ)アクリル樹脂とポリアミック酸、および(メタ)アクリル樹脂とポリイミドを複合してなる新規なブロックポリマーを提供することができた。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に特定されない。
本発明の(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリアミック酸ユニット(B)、および(メタ)アクリル樹脂ユニットとポリイミドユニット(C)とを複合してなるブロックポリマーは、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリアミック酸ユニット(B)および/またはポリイミドユニット(C)とが連結されたブロックポリマーであり、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)の分子量分散度が1.25以上であれば特に制限なく、各ユニットはそれぞれ2種以上を用いることができる。
ブロックポリマーの様式としては、ジブロックポリマーやトリブロックポリマーの他、マルチブロックポリマーであっても構わないが、反応を容易に制御できるためトリブロックポリマーが好ましい。
ブロックポリマーを構成する各ユニットの成分としては、例えば公知の(メタ)アクリル重合に用いられる(メタ)アクリルモノマーや、公知のポリアミック酸およびポリイミド合成に用いられるジアミン、酸二無水物、ジイソシアネート等を用いることができる。
(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)と、ポリアミック酸ユニット(B)および/またはポリイミドユニット(C)の連結方法としては特に制限はないが、好ましくはアミド結合および/またはイミド結合による連結である。より好ましくは、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)の末端部に導入された連鎖移動剤残基により、ポリアミック酸ユニット(B)および/またはポリイミドユニット(C)との間にアミド結合および/またはイミド結合が形成されてなるものである。連鎖移動剤としては、分子内に2つのカルボキシル基と1つ以上のチオール基とを有する化合物が好ましい。
分子内に2つのカルボキシル基と1つ以上のチオール基とを有する化合物としては、以下の例に限定されないが、具体的には2-メルカプトコハク酸、2-メルカプトグルタル酸、2,2-メチレンビス(チオグリコール酸)、2,3-ジメルカプトコハク酸、4,5-ジメルカプトフタル酸等が挙げられ、中でも2-メルカプトコハク酸を用いることが特に好ましい。
連鎖移動剤の残基を用いた連結方法としては、例えば2-メルカプトコハク酸を用いた公知の連鎖移動重合反応により(メタ)アクリルモノマーを重合した後に、2-メルカプトコハク酸残基の2つのカルボキシル基を公知の酸無水物化反応により酸無水物化して片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体とし、この得られた片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体と、ジアミンと酸二無水物との縮合反応から得られる末端にアミノ基を有するポリアミック酸とを縮合させることで(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリアミック酸ユニット(B)のブロックポリマーを得ることができる。ポリアミック酸を形成するためのジアミンと酸二無水物との縮合反応は、片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体の存在下で行っても良く、ブロックポリマーを1段階で形成できるため好ましい。
さらに、得られた(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリアミック酸ユニット(B)のブロックポリマーを前駆体とし、熱的に脱水閉環する熱的イミド化法や脱水剤および触媒を用いる化学的イミド法等を用いてアミック酸部をイミド化させることで、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリイミドユニット(C)のブロックポリマーを得ることができる。
その他の方法として、例えば、前記の片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体と、酸二無水物とジイソシアネートとの縮合反応から得られる末端にイソシアナト基を有するポリイミドとを縮合させることで、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリイミドユニット(C)を得ることができる。ポリイミドを形成するための酸二無水物とジイソシアネートとの縮合反応は、片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体の存在下で行ってもよく、ブロックポリマーを1段階で形成できるため好ましい。
酸無水物基を連結部位として用いると、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリアミック酸ユニット(B)および/またはポリイミドユニット(C)との連結がアミド結合またはイミド結合の様式となり、エステル結合などと比較して化学的に安定となるため好ましい。
連鎖移動剤を用いたアクリル重合反応としては、公知のチオール化合物を用いた連鎖移動反応を利用することができ、例えば(メタ)アクリルモノマーと連鎖移動剤の存在下、ラジカル重合開始剤を加え、60~150℃程度の反応温度でラジカル重合反応を行うことで、連鎖移動剤残基を末端に有するアクリル重合体を得ることができる。反応は無溶剤下で行っても構わないが、粘度の制御が容易となることから溶剤を使用することが好ましい。
(メタ)アクリルモノマーとしては、以下の例には限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類;
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノアルキルエーテル等のアルキレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレート類;

製品名で、サイラプレーンFM-0711、サイラプレーンFM-0721((以上、チッソ株式会社製)等のポリジメチルシロキサン(メタ)アクリレート類;
製品名で、ケミノックスFAAC-4、ケミノックスFAAC-6、ケミノックスFAMAC-4、ケミノックスFAMAC-6(以上、ユニマテック社製)、R-1110、R-1210、R-1420、R-1620、R-5210、R-5410、R-5610、M-1110、M-1210、M-1420、M-1620、M-5210、M-5410、M-5610(以上、ダイキン社製)、ライトアクリレートFA-108(共栄社化学社製)、ビスコート-3F、ビスコート-3FM、ビスコート-4F、ビスコート-8F、ビスコート-8FM(以上、大阪有機化学工業社製)等のフッ素含有(メタ)アクリレート類;
製品名で、マクロモノマーAA-6(メチルメタクリレート系マクロモノマー)、マクロモノマーAB-6(ブチル(メタ)アクリレート系マクロモノマー)、マクロモノマーAW-6S(イソブチル(メタ)アクリレート系マクロモノマー)、マクロモノマーAS-6(スチレン系マクロモノマー)、マクロモノマーAN-6S(スチレン/アクリロニトリル系マクロモノマー)、マクロモノマーAK-5(ジメチルシロキサン系マクロモノマー)(以上、東亞合成社製)等のビニル共重合系マクロモノマー類;
製品名で、ビスコート#150D(テトラヒドロフルフリルアルコールオリゴアクリレート)、ビスコート#190D(エトキシジエチレングリコールオリゴアクリレート)(以上、大阪有機化学工業社製)等の(メタ)アクリル酸多量体型(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらの他に、ラジカル重合可能なスチレン、酢酸ビニル等も用いることができる。
これらの(メタ)アクリルモノマーは、使用する目的に合わせて適宜選択することができ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシドやジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等の有機過酸化物や、
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等のアゾ系化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤としては、以下の例には限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、トルエン、キシレン、アニソール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、m-クレゾール、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
得られた(メタ)アクリル重合体の末端の連鎖移動剤残基である2つのカルボキシル基を酸無水物化する方法としては、以下の例には限定されないが、例えば、無水酢酸や2,6-ビス[(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニル)メチル]フェニルボロン酸などの分子内縮合触媒を用いて、分子内脱水縮合させることで得ることができる。また、触媒を使用せず、高温加熱条件で分子内脱水縮合させる方法を用いてもよい。
(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)の数平均分子量(Mn)は、使用する目的に合わせて適宜調整してよいが、溶解性や粘度の制御の観点から、好ましくは1,500~100,000である。なお、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とは、導入された連鎖移動剤の残基を含むものとする。
(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)の分子量分散度(Mw/Mn)は、1.25以上であり、好ましくは1.25~5.0の範囲である。この範囲であれば溶解性や粘度の制御が容易となる。
ジアミンとしては、以下の例には限定されないが、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4-メチレン-ビス(2,6-エチルアニリン)、4,4’-メチレン-ビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、o-トリジン、m-トリジン、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-トルイル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらのジアミンは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸ニ無水物としては、以下の例には限定されないが、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物類、
1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシ-2-シクロペンタン酢酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシ-2-ノルボルナン酢酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物類、
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物類が挙げられる。これらの酸二無水物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジイソシアネートとしては、以下の例には限定されないが、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられ、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート(別名:MDI)、4,4´-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4´-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4´-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス-クロロメチル-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミック酸は、ジアミンと酸二無水物を、-20~150℃、好ましくは-5~100℃の任意の温度で混合することで容易に形成できる。
ポリアミック酸の形成に際し、ジアミン中のアミノ基のモル数と酸二無水物中の酸無水物基のモル数との比は特に制限なく、使用する目的に合わせて適宜選択することができるが、例えばジアミン中のアミノ基のモル数/酸二無水物中の酸無水物基のモル数が0.5~0.98の範囲であれば、ポリアミック酸の末端官能基がアミノ基となり、片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体との連結が容易となるため好ましい。
ポリアミック酸中の末端のアミノ基の少なくとも一部を、片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体中の酸無水物基により変性することで、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリアミック酸ユニット(B)のブロックポリマーを得ることができる。変性はポリアミック酸の形成と同時に行ってもよい。
さらにポリアミック酸ユニット(B)を脱水環化しイミド化する方法としては、公知の熱的イミド化法や化学的イミド化法を利用でき、例えば熱的イミド化法では、溶剤を含むブロックポリマー溶液を基材に塗布し、溶剤を除去して乾燥塗膜を得た後に、150~250℃の高温で加熱することで容易にイミド化することができる。化学的イミド化法では、例えば溶剤を含むブロックポリマー溶液に、ピリジンまたはトリエチルアミン等の塩基と無水酢酸を、原料のジアミンに対してそれぞれ2モル当量以上10当量未満を加え、0~50℃で環化反応を行うことでイミド化することができる。
酸二無水物とジイソシアネートから直接ポリイミドを形成する方法としては、例えば溶剤存在下で、酸二無水物とジイソシアネートとを50~250℃、好ましくは100℃~200℃の任意の温度で加熱する方法が挙げられる。イミド化を促進する触媒としてトリエチルアミン等の三級アミン類を併用してもよい。
三級アミン類としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルピロリジン、N-エチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、イミダゾール、ピリジン、キノリン、およびイソキノリンなどが挙げられる。
ポリイミドの形成に際し、ジイソシアネート中のイソシアナト基のモル数と酸二無水物中の酸無水物基のモル数との比は特に制限なく、使用する目的に合わせて適宜選択することができるが、例えばジイソシアネート中のイソシアナト基のモル数/酸二無水物中の酸無水物基のモル数が1.01~2の範囲であれば、ポリイミドの末端官能基がイソシアナト基となり、片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体との連結が容易となるため好ましい。
ポリイミド中の末端のイソシアナト基の少なくとも一部を、片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体中の酸無水物基により変性することで、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリイミド(C)のブロックポリマーを得ることができる。変性はポリイミドの形成と同時に行ってもよい。
これらのポリアミック酸およびポリイミドを形成する際の溶剤としては、以下の例に限定されないが、シクロヘキサノン、キシレン、アニソール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、m-クレゾール、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ブロックポリマー中における(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)の割合は、使用する目的に合わせて適宜調整してよいが、好ましくはブロックポリマー100重量%中、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)が10~80重量%である。この範囲であると、ブロックポリマー化することによる種々の効果を期待できる。
基材への塗布方法としては、特に制限されないが、例えば、バーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースコーティング、ダイティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、ディッピング等を用いることができる。
基材としては、シリコンウエハ、金属、金属酸化物、セラミックス、樹脂フィルム等を用いることができる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」をそれぞれ表す。
なお、実施例中の樹脂固形分濃度、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分散度(PDI)、酸無水物価の測定方法は次の通りである。
<樹脂固形分濃度>
JISK5601-1-2に準拠し、加熱温度150℃、加熱時間20分で測定した時の加熱残分を樹脂固形分濃度(%)とした。
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分散度(PDI)>
RI検出器を装備したGPC(Shodex社製、GPC-104)にて、カラムとしてShodexGPCLF-604(Shodex社製)、展開溶媒にTHFを用いた時のポリスチレン換算分子量を用いて、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を測定し、分子量分散度(PDI=Mw/Mn)を算出した。
<酸無水物価測定>
酸無水物価は、片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体をa(g)秤量した後にキシレン中に溶解させ、酸無水物基の当量以上のオクチルアミンをb(mmol)添加することで酸無水物基と1級アミノ基を反応させた。その後、室温まで冷却し、残存するオクチルアミン量を、0.1Mエタノール性過塩素酸を用いて滴定することにより定量した。滴定量をc(ml)とすると、以下の式から片末端に酸無水物基を有する(メタ)アクリル重合体の酸無水物価Xが求められる。
X=(b-0.1×c)/a
実施例中で使用する化合物の略称は、次の通りである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
AIBN:2,2-アゾビスイソブチロニトリル
MMA:メチルメタクリレート
BA:ノルマルブチルアクリレート
PMDA:ピロメリット酸二無水物
TDA-100:製品名「リカシッドTDA-100」、新日本理化社製
ODA:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
IPDI:イソホロンジイソシアネート
DBA:N,N-ジメチルベンジルアミン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
(合成例1)<(メタ)アクリル樹脂ユニット(A-1)の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、PGMEA832部、MMA800部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器を80℃に加熱して、2-メルカプトコハク酸24.0部、AIBN8.0部を添加し、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。
得られた溶液を50℃まで冷却した後、無水酢酸16.3部を反応容器に仕込み、100℃で9時間反応させた。酸無水物価の測定で、95%以上の連鎖移動剤の末端ジカルボン酸が酸無水物化するまで反応させた。得られた(メタ)アクリル樹脂ユニット(A-1)の溶液は、樹脂固形分濃度が50%であり、数平均分子量は5,000、重量平均分子量は9,000、分子量分散度は1.8であった。
(合成例2)<(メタ)アクリル樹脂ユニット(A-2)の合成>
2-メルカプトコハク酸、無水酢酸の配合量をそれぞれ40.0部、27.2部に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行った。得られた(メタ)アクリル樹脂ユニット(A-2)の溶液は、樹脂固形分濃度が50%であり、数平均分子量は3,000、重量平均分子量は4,500、分子量分散度は1.5であった。
(合成例3)<(メタ)アクリル樹脂ユニット(A-3)の合成>
(メタ)アクリルモノマーをMMAからBAに変更した以外は、合成例1と同様の操作を行った。得られた(メタ)アクリル樹脂ユニット(A-3)の溶液は、樹脂固形分濃度が50%であり、数平均分子量は5,000、重量平均分子量は9,500、分子量分散度は1.9であった。
(合成例4)<ポリアミック酸ユニット(B-1)の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、PMDA29.4部,DMF200部を仕込み窒素ガスで置換した。室温で撹拌しながらODA20.6部をゆっくり添加した後、反応容器を70℃に加熱し、赤外吸収スペクトル測定により酸無水物基に由来する1850cm-1の吸収の消失を確認して反応を終了した。ポリアミック酸ユニット(B-1)の設計分子量は10,000であり、得られたポリアミック酸ユニット(B-1)溶液の樹脂固形分濃度は20%であった。
(合成例5)<ポリイミドユニット(C-1)の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、PMDA24.2部,IPDI25.8部、DBA0.2部、DMF350部を仕込み、窒素ガスで置換した。撹拌しながら反応容器を135℃に加熱し、赤外吸収スペクトル測定により酸無水物に由来する1850cm-1の吸収の消失とイミド基に由来する1780cm-1の吸収の出現を確認して反応を終了した。ポリイミドユニット(C-1)の設計分子量は10,000であり、得られたポリイミドユニット(C-1)溶液の樹脂固形分濃度は20%であった。
(実施例1)<ブロックポリマー(AB-1)>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A-1)溶液140.1部、PMDA14.9部,DMF330部を仕込み窒素ガスで置換した。室温で撹拌しながらODA15.1部をゆっくり添加した後、反応容器を70℃に加熱し、赤外吸収スペクトル測定により酸無水物基に由来する1850cm-1の吸収の消失を確認して反応を終了した。ブロックポリマー(AB-1)中のポリアミック酸ユニットの設計分子量は4,300であり、得られたブロックポリマー(AB-1)溶液の樹脂固形分濃度は20%であった。
(実施例2~6)<ブロックポリマー(AB-2)~(AB-6)>
(メタ)アクリル樹脂ユニットの溶液、酸二無水物、ジアミン、溶剤の種類と配合量を表1の通り変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ブロックポリマー(AB-2)~(AB-6)を得た。ブロックポリマー中のポリアミック酸ユニットの設計分子量、得られたブロックポリマー(AB-2)~(AB-6)溶液の樹脂固形分濃度を表1に示す。
(実施例7)<ブロックポリマー(AB-7)>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A-1)溶液100部、DMF150部を仕込み窒素ガスで置換した。室温で撹拌しながらポリアミック酸ユニット(B-1)溶液250部をゆっくり添加した後、反応容器を70℃に加熱し、赤外吸収スペクトル測定により酸無水物基に由来する1850cm-1の吸収の消失を確認して反応を終了した。得られたブロックポリマー(AB-7)溶液の樹脂固形分濃度は20%であった。
(実施例8)<ブロックポリマー(AC-1)>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A-1)溶液140部、PMDA14.1部,IPDI15.9部、DBA0.2部、DMF330部を仕込み、窒素ガスで置換した。撹拌しながら反応容器を135℃に加熱し、赤外吸収スペクトル測定により酸無水物に由来する1850cm-1の吸収の消失と、イミド基に由来する1780cm-1の吸収の出現を確認して反応を終了した。ブロックポリマー中のポリイミドユニットの設計分子量は4,300であり、得られたブロックポリマー(AC-1)の樹脂固形分濃度20%であった。
(実施例9~10)<ブロックポリマー(AC-2)~(AC-3)>
PMDA、IPDI、DMFの配合量を表1の通り変更した以外は、実施例8と同様の操作を行いブロックポリマー(AC-2)~(AC-3)を得た。ブロックポリマー中のポリイミドユニットの設計分子量、得られたブロックポリマー(AC-2)~(AC-3)溶液の樹脂固形分濃度を表1に示す。
(実施例11)<ブロックポリマー(AC-4)>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A-1)溶液100部、ポリイミドユニット(C-1)溶液250部、DBA0.2部、DMF150部を仕込み窒素ガスで置換した。撹拌しながら反応容器を135℃に加熱し、赤外吸収スペクトル測定により酸無水物に由来する1850cm-1の吸収の消失と、イミド基に由来する1780cm-1の吸収の出現を確認して反応を終了した。得られたブロックポリマー(AC-4)溶液の樹脂固形分濃度は20%であった。
<ブロックポリマーの評価>
ブロックポリマーの形成を確認するために、実施例1~11で得られたブロックポリマーの溶液、および合成例1~5で得られた(メタ)アクリル樹脂ユニット、ポリアミック酸ユニット、ポリイミドユニットの樹脂溶液について次のような溶解性試験を行った。判定結果を表2に示す。
(溶解性)
得られた樹脂溶液を樹脂の固形分濃度が1%となるようにシクロヘキサノンで希釈し、以下の評価基準でシクロヘキサンへの溶解性を判定した。
○:完全に溶解している。
△:沈殿、凝集物が僅かに発生している。
×:不溶である。
Figure 0007095404000001
Figure 0007095404000002
実施例1~11で得られたトリブロックポリマーおよび合成例1~3で得られた(メタ)アクリル樹脂ユニットはいずれもシクロヘキサノンに可溶であり、これに対して合成例4~5で得られたポリアミック酸ユニットおよびポリイミドユニットはシクロヘキサノンに不溶であることから、ポリアミック酸ユニットおよびポリイミドユニットが、(メタ)アクリル樹脂ユニットと連結した効果によって、シクロヘキサンへ可溶化したことが確認できた。

Claims (3)

  1. (メタ)アクリル樹脂ユニット(A)とポリアミック酸ユニット(B)および/またはポリイミドユニット(C)がアミド結合および/またはイミド結合により連結されたブロックポリマーであり、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)の分子量分散度が1.25以上であり、前記アミド結合および/またはイミド結合が、(メタ)アクリル樹脂ユニット(A)の末端部に導入された連鎖移動剤残基により形成され、前記連鎖移動剤が2-メルカプトコハク酸であることを特徴とするブロックポリマー。
  2. トリブロックポリマーであることを特徴とする請求項1記載のブロックポリマー。
  3. 請求項1または2記載のブロックポリマーと基材からなる積層体。
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