JP7094768B2 - 塗装用ローラーカバー及びその塗装方法 - Google Patents
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Description
スプレーガンなどを用いたスプレー塗装では、塗装スピードが比較的早く、均一な塗膜を形成することができるものではあり、一度に複数色の塗料を塗装する多色吹きや多彩塗料といった塗料を用い意匠的に優れた塗装面を形成することができる塗装方法である。
一方、塗装用ローラーによるローラー塗装では、塗装スピードがスプレー塗装に比べ若干遅くなるが、塗装時の飛散が少ないため建物などの構造物への塗装にはよく用いられる塗装方法である。しかし、塗装用ローラーでのローラー塗装では、意匠的に優れた多彩感のある多色塗装が難しいものであった。
これら特許文献に記載されている塗装用ローラーによりローラー塗装であっても多彩模様など意匠的に優れた塗装を行うことができるようになった。
つまり、この塗装用ローラーでは、外層を形成する材料の形状,種類によるが、その外層が塗装時の作業により変形し、所望する模様にならない場合がある。
これは、その塗装用ローラーの刷毛部の長さなどに影響されるが、塗装時のローラーの回転方向に流れ方向に模様ができることがある。
これにより、安定的で、継続的に多彩感のある模様を形成することができる。
まず、本開示に用いられる塗装用ローラーカバーは、筒状部材と筒状部材の外周の全面又は点在したスポンジ状の塗料保持層により構成された塗装用ローラーカバーであり、その塗装用ローラーカバーの外周が塗料保持層により凹凸状に形成されたものであって、塗装用ローラーカバーの円周に対して垂直方向である長手方向の断面に塗料保持層の凸部が2以上あり、その間隔が最大で塗装用ローラーカバーの長手方向の長さの1/2であり、その凹凸の高低差が凸部幅以下のものである。
このローラー器具12は、把手14と支持部15とローラー支持体16により構成されている。
次に、図2には、円筒状部材17と塗料保持層18により構成されている本開示の塗装用ローラーカバー11の一例を示したものである。この塗装用ローラーカバーは、円筒状部材17に塗料保持層18を点在させたものである。
この円筒状部材17は、特に制限するものではなく、筒状のものであればよく、塗料保持層18を固定させることができ、ローラー支持体16を安定的に挿入することができるものであればよい。
塗料保持層18は、塗料を含められることができるスポンジ状のものが用いられ、円筒状部材17の表層の一部又は全面に配置される。
このように保持された塗料は、被塗装面に接し、塗装時の圧力により放出され、塗装することができる。
また、塗装用ローラーカバー11は、円筒状部材17の表層の一部又は全面に塗料保持層18が配置され、その塗料保持層18により、塗装用ローラーカバー11に凹凸の形状を形成させるものである。
図2に示した塗装用ローラーカバー11は、この形態の一例である。
この塗料保持層18は、筒状部材17に接着材により固定することで、塗装用ローラーカバー11に凸部を形成し、全体として凹凸状になる。
塗装用ローラーカバー11の断面内に凸部が2以上あり、その間隔が塗装用ローラーカバー11の長手方向の長さLに対して、その半分の1/2Lの長さ以上である。
これらの凸部の形状,凸部間の距離,形状により、安定的に塗装用ローラー13が被塗装面に対し転がり使うことができ、それにより所望する模様を安定的で、継続的に多彩模様を形成できるものである。
また、塗装用ローラーカバーの長さLに対して、その半分の1/2Lの長さより短い場合でも同様で、傾いたりし安定的の転がすことができない。
また、塗装用ローラー13が塗装に際に傾くことが少なく、より安定的に転がすことができることができるため、所望する模様を安定的で、継続的に多彩模様を形成できるものである。
凸部の中心の間隔は、5.0~30.0mmの範囲が好ましいものであり、5.0mmより小さくすると、その隣り合う凸部が近接し過ぎて、非連続的に模様を形成させるのが困難になり、30.0mm以上になると、模様が間延びしてしまい、その模様にムラが生じやすくなるからである。
塗料保持層18の断面形状が、凹凸の高低差が凸部幅以下、つまり幅Wに対して、高さHが小さいものであり、幅Wが5~50mmの範囲であることが好ましいものである。
また、高さHが3~20mmの範囲が好ましく、5~15mmの範囲がより好ましく、この部分が横長形状になるものであればよい。
90°より大きい場合は、凸部の上部が下部より大きい状態となり、塗装の際に塗料保持層18が変形し易いものとなる。30°より小さい場合では、塗料保持層18が少しの力でも潰れ、所望の大きさより大きい多彩模様になることがある。
また、300mmより大きい場合では、扱い難いことがある。100~200mmの範囲のものであれば作業が行い易く、塗り継ぎが比較的少なくなるためより好ましいものである。
この塗料保持層18に使われるスポンジ状のものは、ポリウレタンなどの高分子材料を発泡成形させたものが用いられる。
また、連続発泡体のものであることで、限界近くまで圧縮することができるため、より多くの塗料を保持することができる。
この中でも気泡が連通し柔らかくて復元性のある軟質ウレタンフォームが好ましく、発泡倍率が約10~60倍、見かけ密度は16~100kg/m3程度の軽量なものがより好ましいものである。
この軟質ウレタンフォームは、要求に応じて、適切な性状、物性や性能が広い範囲で調整でき、材料の種類や混合割合,製造条件などにより、軽量性,クッション性,耐久性,耐薬品性,吸水性などを調整することが可能である。
このようなものには、チップウレタンと呼ばれる吸水率や硬さなど物性の異なるウレタンフォームを粉砕後、接着剤をブレンドして型に入れ蒸気で押し固めたもので、 へたり難く、型くずれし難いという性質を有するものである。
本開示の塗装用ローラーカバー11は、このように構成され、塗装に用いられるものであり、塗装面の多彩感を安定的に表すことができるものである。
好ましく行われる。
さらに、前記第二工程の塗料が硬化乾燥した後に、第三工程としてこの塗装用ローラーカバー11により塗装することがより好ましい塗装方法である。
この場合、第三工程で使用する塗料は、第一工程,第二工程で使用した塗料とは異なる色の塗料で行う。
このように複数の工程で塗装を行うことにより、第一工程では、被塗装面の全体に単一の塗料により塗装を行い、その塗料の色を第二工程や第三工程で使用する塗料と調和のとれた色とすることができる。
この塗装用ローラーカバー11により第二工程として、塗装を行うことで、二色により仕上げられた塗装面とすることができ、その塗装面は、第一工程と第二工程,第三工程により塗装された塗膜がまだらに見え、全体として調和のとれた多彩感のある仕上げとすることができる。
このことにより、各工程の色や模様を十分に強調させより多彩感のある模様を形成することができる。
各工程で使用する塗料の色調は、異なるものを用いるが、その塗料により形成される塗膜の色の明度の差が3以内であることが好ましい。つまり、第一工程、第二工程及び第三工程で用いられる塗料により形成される塗膜の明度の差が3以内であることである。
このように本開示により塗装を行うものとして、建築物の壁面の中でもコンクリートの打ち放し面で効果を有効に発揮することがある。
このコンクリートの打ち放し面は、コンクリート色の微妙な斑やそれらのグラデーションが好まれ、よく用いられることがある。
この塗装に本開示の塗装用ローラーカバー11を用いて、その多彩模様を塗装することで、コンクリートによる微妙な斑やそれらのグラデーションを容易に再現することができる。
このクリヤー塗料により形成される保護層の厚さは、10~100μmの範囲が好ましく、スプレーガン,塗装用ローラーを用いて行うことができる。
炭酸カルシウム、珪藻土や樹脂ビーズなどの艶消し剤をクリヤー塗料に添加して用いてもよい。
この保護層は、必ずしも透明である必要はなく、例えば半透明であってもよい。
これにより多彩感の他にボリューム感のある仕上がりとなる。
凸部の立ち上がり角度が5~85度の範囲であるということは、凸部が被塗装面の表面に対して傾斜しているものである。
凸部のうちの隣り合うもの同士の間の間隔は必ずしも一定でなくてもよく、必ずしも規則的に配置されている必要はなく、ランダムに配置されていてもよい。
凸部のうちの一部、大部分又は全部は互いに隣接していてもよく、互いに離れていてもよい。凸部のうちの一部、大部分又は全部は互いに連続していてもよく、連続していなくてもよい。
この塗料又は塗材は、砂や砂利などの骨材を塗料に混合して得られる塗材を被塗装面に塗布して乾燥することにより、凸部が表面に設けることである。
上記実施形態によれば、以下の効果を少なくとも得ることができる。
まず、本開示の塗装用ローラーカバーにより塗装を行い、コンクリートの打ち放し面を再現する。下地には、ALC板を用い、必要な下地処理をセメント系の下地調整材を使って行ったものを使用した。
一回目の多彩模様には、N77の塗料を使い、二回目の多彩模様には、N70の塗料を用いた。第一工程の全面に塗装を行うことは行わずに、下地調整材のセメント色を利用した。
この塗装に使用した塗装用ローラーカバー11は、そのスポンジ状物にチップウレタンを使い、このウレタンチップには、複数の吸水率と硬さが異なり、その空隙率が50~80%に調整した気泡が連通し柔らかくて復元性のある軟質ウレタンフォームにより形成されているものである。
この塗装用ローラーカバーに使用した円筒状部材17は、プラスチック製の縦樋用パイプを使い、その外径が直径で75mm、その長さが200mmのものを用いた。
凸部の形状は、幅Wを5~10mmの範囲で、高さHを5~10mmの範囲で調整し、形状が横長形状のものであった。又、立上り角度αを30~90°の範囲で調整し、塗装のしやすいものとした。
二回目の多彩模様を塗装する場合(第三工程)では、その使用する塗装用ローラーカバー11も図4に示したような、筒状部材17の表面全面に塗料保持層18となるスポンジ状物があった。
一回目に用いた塗装用ローラーカバー11の断面内に凸部が5カ所あり、一部分に集中することなく、塗装用ローラーカバー全体にランダムになるように配置され、凸部の中心の間隔は、10.0mm程度であった。
凸部の割合は、塗装用ローラーカバー11の長さLの50%程度にも調整されたものであった。
コンクリート色の下地調整材の表面に一回目の多彩模様の塗装を行った。その後乾燥した後に、二回目の多彩模様の塗装を行った。
また、表面に艶消しのアクリルシリコン系クリヤーにより保護層を設け、塗装面の保護を行い、耐久性をより向上させた。
この吹付けタイルは、一般市販されているもので、タイルガンを用い、塗装仕様通りに塗装を行った。
第一工程として、アクリル系合成樹脂エマルション塗料をウールローラーにより全面塗装を行った。この塗料の色調は、グレー色であった。
これらグレー色,ピンク系,ホワイト系の塗料の塗膜での明度差は、3以内であった。
また、発泡倍率が約10~60倍、見かけ密度は16~100kg/m3の範囲に調整した軽量な塗装用ローラーカバー11で塗装を行った。
一回目の多彩模様を塗装する場合(第二工程)では、その使用する塗装用ローラーカバー11は、図2や図3に示したような、円筒状部材17に塗料保持層18を点在させたものである。
筒状部材17の表面全面に塗料保持層18となるスポンジ状物があり、そのスポンジ状物は、5~50mmの範囲になるように千切って、筒状部材17の表面に斑なく点在するように張ったものである。
凸部の中心の間隔は、5.0~30.0mmの範囲で調整し、凸部の幅Wを5~10mmの範囲で、高さHを5~10mmの範囲で調整し、形状が横長形状のもので、立上り角度αを30~90°の範囲で調整たものであった。
二回目の多彩模様を塗装する場合(第三工程)に用いる塗装用ローラーカバー11も同様な形状のものを使った。
この塗装用ローラーカバー11の断面内に凸部が10カ所程度あり、一部分に集中することなく、塗装用ローラーカバー全体にランダムになるように配置されたもので、凸部の中心の間隔は、10.0mm程度であった。
また、立上り角度αを30~90°の範囲で調整し、凸部の割合は、塗装用ローラーカバー11の長さLの50%程度にも調整されたものであった。
この塗装用ローラーカバー11を図1に示したように、ローラー器具12に装着し、塗装用ローラー13として塗装に用いた。
このように塗装を行うことで、スレート板にボリューム感のある御影石調の塗装面を得ることができた。
12・・・ローラー器具
13・・・塗装用ローラー
14・・・把手
15・・・支持部
16・・・ローラー支持体
17・・・円筒状部材
18・・・塗料保持層
Claims (2)
- 被塗装面の全体に塗料を塗付する第一工程と、その塗料が硬化乾燥した後に、筒状部材と、筒状部材の外周に点在した、幅が5~50mmの範囲であり、吸水率の異なる複数種の発泡高分子材料により形成されたスポンジ状の塗料保持層により構成された塗装用ローラーカバーで、その塗装用ローラーカバーの外周が塗料保持層により凹凸状に形成されたものであり、塗装用ローラーカバーの円周に対して垂直方向である長手方向の断面に塗料保持層が2以上あり、その間隔が最大で塗装用ローラーカバーの長手方向の長さの1/2であり、その凹凸の高低差が凸部幅以下である塗装用ローラーカバーにより塗装する第二工程と、第二工程の塗料が硬化乾燥した後に、更に第三工程として前記に記載の塗装用ローラーカバーにより塗装する塗装方法であって、第三工程の塗装用ローラーカバーの凸部の大きさが第二工程の塗装用ローラーカバーの凸部の大きさの30~80%の範囲である塗装方法。
- 請求項1に記載の塗装方法であって、被塗装面が凹凸形状である塗装方法。
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