以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書での「接触」とは、特に明示がない限り、言及している二者が直接的に接触する場合の他に、他の部材を介して間接的に接触する場合も含む。
(第1の実施の形態)
図1は、第1実施形態の原水改質装置10の斜視図である。図2は、原水改質装置10の部分断面側面図である。図3は、原水改質装置10のカートリッジ12を交換している途中の状態を示す図である。
原水改質装置10は、出入口14aを通してカートリッジ12を出し入れ可能なカートリッジ収容室14が設けられる装置本体16と、装置本体16に着脱可能に取り付けられる規制体18と、装置本体16を支持する本体ベース20と、を備える。原水改質装置10は、ユーザにより操作される操作部材22と、操作部材22に対する操作を通じて装置本体16に送り込まれる水の流量や温度を調整可能な弁ユニット24と、を備える水栓装置でもある。
本実施形態の装置本体16は、吐水部26から水を吐き出し可能な吐水ヘッドでもある。本実施形態の規制体18は、本体ベース20に装置本体16を接続する継手部材でもある。装置本体16及び規制体18は互いに脱着可能に取り付けられる。装置本体16及び規制体18は、カートリッジ収容室14の出入口14aからカートリッジ12を取り出すときに互いに取り外される。装置本体16及び規制体18は、互いに取り外すときに互いに遠ざかる方向に相対移動するように設けられる。以下、このように装置本体16及び規制体18が相対移動する方向をX方向(第1方向)という。また、X方向の方向軸線を中心とする円の円周方向、半径方向を単に「周方向」、「径方向」という。
以下、原水改質装置10の概要を説明してから、その主な工夫点を説明する。
図4は、原水改質装置10の設置状態を示す平面図である。本体ベース20は、装置本体16を支持する。本体ベース20は、たとえば、流し台、洗面キャビネット等の基体28に設置される。本実施形態の基体28は、正面側(図4の下側)に居るユーザの作業に用いられるカウンター30と、カウンター30に一体化されたシンク32とを有する。シンク32は、装置本体16の吐水部26から吐き出される水を受けるための槽部32aを有する。
図5は、原水改質装置10の内部に形成される一部の水路に関する説明図である。原水改質装置10は、吐水部26に水を供給するための給水路40を備える。給水路40は、複数の上流側水路42A、42Bと複数の下流側水路44A、44Bとを有する。上流側水路42A、42Bには、弁ユニット24により流量や温度が調整された原水が供給される。下流側水路44A、44Bには上流側水路42A、42Bから水が送られる。
複数の上流側水路42A、42Bには、カートリッジ12を経由せずに下流側水路44A、44Bに原水を送るための原水水路42Aと、カートリッジ12を経由して下流側水路44A、44Bに改質水を送るための改質水水路42Bとが含まれる。複数の下流側水路44A、44Bには、吐水部26からストレート吐水で水を吐き出すためのストレート用水路44Aと、吐水部26からシャワー吐水で水を吐き出すためのシャワー用水路44Bとが含まれる。
原水改質装置10は、複数の上流側水路42A、42Bのいずれかと、複数の下流側水路44A、44Bのいずれかとに通水経路を切り替え可能な弁機構46を備える。本実施形態の弁機構46は切替弁である。
原水改質装置10は、ユーザにより操作されることで弁機構46を作動させる複数の操作体48、50を備える。操作体48、50には、複数の上流側水路42A、42Bのいずれかを通水経路に切り替えるように弁機構46を作動させる押しボタン48と、複数の下流側水路44A、44Bのいずれかを通水経路に切り替えるように弁機構46を作動させる回転ハンドル50が含まれる。
図6は、装置本体16に関する分解図である。装置本体16は、ハウジング52と、内部アセンブリ54と、吐水部材56と、を備える。
ハウジング52は、第1筒状部52aと、第1筒状部52aの外周部から突出する第2筒状部52bとを有する。第1筒状部52aは、基端部から先端部までの範囲で継ぎ目なく連続するように形成される。第2筒状部52bは、根本部から先端部までの範囲で継ぎ目なく連続するように形成される。ハウジング52の第1筒状部52aの基端部から第2筒状部52bの根本部までの範囲は、ユーザにより把持される吐水ヘッドのグリップ部52cを構成する。本実施形態のカートリッジ収容室14はグリップ部52cの内側に設けられる。
内部アセンブリ54は、ハウジング52の第1筒状部52aに挿通される。本実施形態の内部アセンブリ54は複数の内部部品を組み合わせて構成されるが、単数の内部部品により構成されてもよい。吐水部材56は、ハウジング52の第2筒状部52bに先端側から差し込まれ、内部アセンブリ54に接続される。吐水部材56には吐水部26が設けられる。
本実施形態のカートリッジ収容室14は、内部アセンブリ54の内側に設けられる。カートリッジ収容室14の出入口14aは、本体ベース20側にある装置本体16の基端部16aに形成される。詳しくは、出入口14aは、内部アセンブリ54の基端部に形成される。
カートリッジ12は、原水を改質して改質水を生成するためのものである。本明細書での「改質」とは、物理変化や化学変化を経て、特定の成分を原水から除去又は原水に付与することをいう。
図2に示すように、カートリッジ収容室14の内周面とカートリッジ12の外周面との間には、原水水路42Aの一部となる第1外部水路58が形成される。第1外部水路58は、カートリッジ12の改質部68(後述する)を通してカートリッジ12の内部に水を送り込むためのものである。
本実施形態のカートリッジ12は長尺状である。本実施形態でのカートリッジ12の長手方向はX方向である。以下、この長手方向をX方向を用いて説明する。本実施形態のカートリッジ12は、X方向の全長に亘る範囲がカートリッジ収容室14内に収容される。カートリッジ12は、出入口14aより奥側に収まるようにカートリッジ収容室14に収容されることになる。
図2、図6に示すように、本実施形態のカートリッジ12は、長尺状のカートリッジ本体60と、カートリッジ本体60の両端部に取り付けられるエンドキャップ62,64とを備える。エンドキャップ62、64には、X方向において出入口14a側(以下、単に入口側という)にあるの第1エンドキャップ62と、X方向において出入口14aとは反対側(以下、単に奥側という)にある第2エンドキャップ64とが含まれる。
カートリッジ本体60は、その内部に設けられるとともに改質水水路42Bの一部となる第1内部水路66と、第1外部水路58と第1内部水路66の間に設けられる改質部68と、を有する。改質部68は、第1外部水路58から第1内部水路66に水を通すことができ、改質材により原水を改質することで改質水を生成可能である。本実施形態の改質部68は、複数の不織布等の透水膜間に改質材を収容して構成される。改質材は、たとえば、活性炭、炭酸カルシウム等である。
図7は、図2の規制体18周りの拡大図である。図2、図7に示すように、本体ベース20は、基体28に支持されるベース本体70と、ベース本体70に固定される本体ガイド72とを備える。本実施形態のベース本体70は、筒状の胴部70aと、胴部70aの外周部から突き出るとともにベース孔70cが形成される筒状部70bとを有する。前述の操作部材22は胴部70aの先端部に設けられ、弁ユニット24は胴部70aに内蔵される。本体ガイド72は、ベース本体70のベース孔70cに先端側から差し込まれるとともに留め具によりベース本体70に固定される。
本体ガイド72は、給水ホース74を引き出し可能なホース挿通孔72aと、装置本体16が規制体18を介して接続される本体接続部72bとを有する。給水ホース74は可とう性を持つ素材を用いて構成される。
規制体18は、出入口14aから外側に向かう方向(図7の右下方向)でのカートリッジ12の動きを規制する。ここでの「外側に向かう方向」とは、出入口14aからX方向において装置本体16から遠ざかる方向をいう。
装置本体16及び規制体18は、不図示の取付構造とロック部材76の組み合わせによって、互いに着脱可能に取り付けられる。取付構造は、たとえば、凸部と凹部を組み合わせた嵌合構造である。本実施形態の規制体18は、カートリッジ収容室14内に出入口14aを通して差し込まれている。本実施形態の規制体18は、このような出入口14aの開閉を伴い装置本体16に着脱可能に取り付けられる。
規制体18は、全体として有底筒状をなす。規制体18には、その内側に配置されるホース継手78を介して給水ホース74が接続される。規制体18の内側には本体ベース20の本体接続部72bが差し込まれる。本体接続部72bは、装置本体16がX方向に沿って動くように装置本体16をガイド可能である。
本実施形態の規制体18は、装置本体16を本体ベース20に脱着自在に接続する。装置本体16は、本体ベース20の本体接続部72bによるガイドを伴いX方向に沿って動かされることで、本体ベース20に対して脱着する。本体ベース20から装置本体16を取り外すとき、本体ベース20のホース挿通孔72aから給水ホース74が引き出される。一方、本体ベース20に装置本体16を取り付けるとき、ホース挿通孔72aに給水ホース74が押し戻される。
ロック部材76は、ユーザの操作によって、装置本体16に対する規制体18のロックの有無を切り替え可能である。装置本体16及び規制体18は、ロック部材76によるロックを解除したときに着脱自在となる。
カートリッジ収容室14を形成する内壁面と規制体18との間には第1シール部材80が配置される。第1シール部材80はOリング等の弾性体であり、カートリッジ収容室14と規制体18の間をシールする。
(第1の工夫点)
ここで、本実施形態の規制体18は、図2、図7に示すように、カートリッジ12を拘束するカートリッジ拘束部82を有する。本実施形態のカートリッジ12は、カートリッジ12の長手方向の一方側部分となる入口側部分12cに設けられ、原水改質装置10のカートリッジ拘束部82により拘束される被拘束部84を備える。カートリッジ12の被拘束部84は、原水改質装置10のカートリッジ拘束部82に対するX方向の他方側となる奥側(図2の左上側)に遠ざかる方向での相対移動がカートリッジ拘束部82により拘束される。詳しく説明する。
図8は、規制体18のカートリッジ拘束部82を斜め下側から見た図である。図9は、図7のA-A線断面図である。図7~図9に示すように、規制体18のカートリッジ拘束部82は、カートリッジ12とX方向に対向する位置に設けられる。本実施形態のカートリッジ拘束部82は、規制体18の奥側端面部からX方向に突き出る突起部82aと、突起部82aから突き出る爪部82bとを有する。本実施形態のカートリッジ拘束部82は、カートリッジ12の被拘束部84を取り囲むようにU字状に延びている。本実施形態のカートリッジ拘束部82は、上向きに開放する開放口82cが形成される溝部を構成する。
カートリッジ12は、図2に示すように、X方向の他方側部分となる奥側部分12dに設けられるカートリッジ側接続部116を備える。カートリッジ側接続部116は、原水改質装置10のカートリッジ受け部114(詳細は後述する)と第3シール部材118を介して水密的に接続される。カートリッジ12の被拘束部84は、カートリッジ側接続部116とはX方向の反対側にあるカートリッジ12の入口側部分12cに設けられる。このカートリッジ12の入口側部分12cは、原水改質装置10と水密的に接続されていない。
図7、図9に示すように、カートリッジ12の被拘束部84は、本実施形態において、カートリッジ12の入口側端部にある第1エンドキャップ62に設けられる。本実施形態の第1エンドキャップ62は全体として有底筒状をなし、被拘束部84は第1エンドキャップ62の入口側部分に設けられる。本実施形態の被拘束部84は、第1エンドキャップ62の入口側端面部からX方向に突き出る凸部84aと、凸部84aの入口側端部から径方向外側に張り出す爪受け部84bとを有する。本実施形態の爪受け部84bは環状に連続している。
爪部82bは、カートリッジ12の爪受け部84bの裏側に配置され、その爪受け部84bに裏側から引っ掛けられる。ここでの「裏側」とは、第1エンドキャップ62の爪受け部84bに対してX方向で規制体18から離れる側(図7の左上側)をいう。これにより、被拘束部84は、規制体18の一部となるカートリッジ拘束部82が引っ掛かることによって、X方向に拘束される。カートリッジ拘束部82は、被拘束部84に引っ掛かることによって、被拘束部84をX方向に拘束しているともいえる。このとき、カートリッジ12及び規制体18のX方向で互いに遠ざかる方向での相対移動が拘束される。
図3に示すように、装置本体16は、本体ベース20に接続された状態の規制体18から分離可能である。規制体18のカートリッジ拘束部82は、本体ベース20に接続された状態の規制体18から装置本体16を分離したとき、カートリッジ12の被拘束部84を支持している。本実施形態のカートリッジ拘束部82は、被拘束部84を下側から支持している。カートリッジ拘束部82は、カートリッジ12の他方側端部となる奥側端部12aを自由端、その一方側端部となる入口側端部12bを固定端として、カートリッジ12を片持ち支持している。このとき、カートリッジ拘束部82は、カートリッジ12の奥側端部12aが下向きに動くようなカートリッジ12の傾きを規制している。これは、本実施形態において、カートリッジ拘束部82により被拘束部84を支持しつつ、カートリッジ拘束部82の爪部82bを被拘束部84の爪受け部84bに引っ掛けることで実現される。
以上の工夫点の効果を説明する。カートリッジ12は、原水改質装置10のカートリッジ拘束部82により被拘束部84が拘束されることによって、そのカートリッジ拘束部82とX方向に一体的に動かせる。よって、原水改質装置10の他の部位から、原水改質装置10のカートリッジ拘束部82を備える部位をX方向での相対移動を伴い分離するとき、そのカートリッジ拘束部82によって原水改質装置10の内部からカートリッジ12を取り出せる。本実施形態において、ここでの「他の部位」とは装置本体16をいい、「カートリッジ拘束部82を備える部位」とは規制体18をいう。これらを前述の相対移動を伴い分離するとき、カートリッジ12は、装置本体16のカートリッジ収容室14の出入口14aから取り出すことになる(図3参照)。このため、原水改質装置10のカートリッジ拘束部82を備える部位の、原水改質装置10の他の部位からの取り外し作業と、カートリッジ12の取り出し作業を同時に行うことができ、カートリッジ12の取り出し作業にかかる手間を軽減できる。
かりに、カートリッジ収容室14内に残ったままのカートリッジ12を手等で掴んで取り出す場合を考える。この場合、水垢の付着等に起因してカートリッジ収容室14内に残ったカートリッジ12を取り出すときの抵抗が大きくなるケースがある。このケースでは、手等で掴んだカートリッジ12が滑りやすく、カートリッジ12をカートリッジ収容室14から取り出し難くなる。
本実施形態によれば、濡れていない装置本体16及び規制体18の少なくとも一方をしっかりと掴んだ状態で動かすことで、カートリッジ12をカートリッジ収容室14から取り出せる。よって、前述の問題を避けてカートリッジ12を取り出せるようになり、カートリッジ12の取り出し作業の容易化を図れる。
カートリッジ拘束部82は、カートリッジ12を支持している。よって、本体ベース20に接続された状態の規制体18から装置本体16を分離するとき、装置本体16がなくとも、カートリッジ拘束部82によってカートリッジ12を支持した状態を維持できる。このため、規制体18から装置本体16を分離するときに、自重で下向きに動かないようにカートリッジ12を支える手間を軽減できる。
本工夫点に関連する他の特徴を説明する。図7~図9を参照する。本実施形態のカートリッジ拘束部82は、カートリッジ12の被拘束部84に対してX方向に直交する水平方向Y(以下、Y方向という)の両側に位置するとともに、その被拘束部84に対して下方に位置する。これにより、カートリッジ拘束部82は、カートリッジ12のY方向や下方向での動きを拘束する。
カートリッジ12の被拘束部84は、カートリッジ拘束部82の開放口82cを通してカートリッジ拘束部82の内側から方向Paに出し入れ可能である。被拘束部84は、X方向と直交する上方向での動きが許容されていることになる。被拘束部84は、カートリッジ拘束部82の開放口82cを通るように上向きに動かすことで、カートリッジ拘束部82から取り外せる。また、被拘束部84は、カートリッジ拘束部82の開放口82cを通るように下向きに動かすことで、カートリッジ拘束部82により拘束されるようにカートリッジ拘束部82に取り付けられる。
このように被拘束部84は、原水改質装置10のカートリッジ拘束部82に対して、X方向と交差する方向に脱着自在に構成される。被拘束部84には、カートリッジ拘束部82に対してX方向と交差する方向に脱着するとき、その動きを妨げることで脱着不能にする部位がないということである。カートリッジ拘束部82は、カートリッジ12を、X方向と交差する方向に脱着自在に構成されるとも捉えられる。
これにより、カートリッジ12及びカートリッジ拘束部82をX方向と交差する方向に相対移動させることで、カートリッジ12及びカートリッジ拘束部82を容易に脱着できる。
被拘束部84は、原水改質装置10のカートリッジ拘束部82に対して、X方向に脱着自在に構成される。被拘束部84には、カートリッジ拘束部82に対してX方向に脱着するとき、その動きを妨げることで脱着不能にする部位がないということである。本実施形態では、カートリッジ拘束部82及び被拘束部84の少なくとも一方の弾性変形を伴い脱着自在である。詳しくは、カートリッジ拘束部82の径方向外側に広がるような弾性変形や、被拘束部84の径方向内側に縮まるような弾性変形を伴い脱着自在である。カートリッジ拘束部82によりカートリッジ12が拘束された状態のもと、カートリッジ拘束部82からX方向にカートリッジ12を取り外すうえでは、カートリッジ12及び規制体18をX方向に強い力を入れて相対移動させることになる。カートリッジ拘束部82及び被拘束部84のX方向での脱着に要する力は、カートリッジ拘束部82及び被拘束部84のX方向と交差する方向での脱着に要する力より大きくなるように設定されることになる。
これにより、カートリッジ12及びカートリッジ拘束部82をX方向に相対移動させることで、カートリッジ12及びカートリッジ拘束部82を容易に脱着できる。これによる他の利点を説明する。
図10は、カートリッジ収容室14にカートリッジ12を収容したまま、本体ベース20に接続された規制体18に装置本体16を取り付けようとする状態を示す。装置本体16及び規制体18は、互いに取り付けるときに、X方向において互いに近づく方向Pbに相対的に移動するように設けられる。このとき、装置本体16を規制体18に取り付けるため、カートリッジ12及び規制体18もX方向で互いに近づける方向Pbに相対的に動かすことになる。
本実施形態によれば、このようなカートリッジ12及び規制体18の動きを用いて、カートリッジ12の被拘束部84を規制体18のカートリッジ拘束部82に取り付けることができる。よって、装置本体16の規制体18への取り付け作業と併せて、カートリッジ12の規制体18への取り付け作業をできる。
図7に示すように、本実施形態のカートリッジ拘束部82は、カートリッジ12及び規制体18をX方向の相対移動により取り付け易くするため、爪部82bの奥側部分に形成されるガイド面82dを有する。ガイド面82dは、カートリッジ12からX方向で遠ざかる方向に向かうにつれて、カートリッジ12の被拘束部84に径方向に近づくように形成される。
これにより、カートリッジ12の被拘束部84がガイド面82dに当たった状態で、カートリッジ12及び規制体18をX方向で近づく方向Pb(図10参照)に相対移動させることで、カートリッジ拘束部82や被拘束部84が弾性変形し易くなる。これに伴い、カートリッジ拘束部82に被拘束部84を取り付け易くなる。
(第2の工夫点)
原水改質装置10の他の工夫点を説明する。図11は、図2の一部の拡大図である。原水改質装置10は、カートリッジ収容室14内に収容されるカートリッジ12が脱着自在に接続される水路形成部材100を備える。水路形成部材100は、装置本体16の内部に配置される。詳しくは、装置本体16の内部にはカートリッジ収容室14より奥側に有底孔状の奥側収容室102が設けられる。水路形成部材100は、この奥側収容室102に収容される。
水路形成部材100は、カートリッジ12側に設けられる本体部材104と、本体部材104を間に挟んでカートリッジ12とは反対側に設けられる第2シール部材106とを有する。第2シール部材106はゴム等の弾性体が構成しており、本体部材104は第2シール部材106より硬質な樹脂等が構成している。第2シール部材106は、後述する固定弁体112に着座することで、本体部材104と固定弁体112の間をシールする。
水路形成部材100には、カートリッジ12の第1内部水路66に連通されるとともに改質水水路42B(図5参照)の一部となる第2内部水路108が形成される。本図では第2内部水路108が通る経路の一部に矢印を付して示す。第2内部水路108は、本体部材104の内部に形成されるとともに、第2シール部材106に貫通孔として形成される。水路形成部材100の外部には、装置本体16との間に原水水路42A(図5参照)の一部となる第2外部水路110が形成される。第2外部水路110は前述の第1外部水路58に連通する。
水路形成部材100は弁機構46を構成する回転弁体である。本実施形態の水路形成部材100はX方向の方向軸周りに回転可能である。弁機構46は、奥側収容室102の奥壁面が構成する固定弁体112を備える。固定弁体112には、図示はしないが、複数の下流側水路44A、44Bの入口が開口している。本図では、下流側水路44Aが通る経路の一部のみに矢印を付して示す。水路形成部材100は、自らが回転することによって、複数の上流側水路42A、42Bと複数の下流側水路44A、44Bの連通状態を切り替え可能である。弁機構46は、このような連通状態の切り替えによって、前述のように通水経路を切り替え可能である。
水路形成部材100は、カートリッジ12を接続するためのカートリッジ受け部114を有する。カートリッジ受け部114は、本体部材104の入口側端部に設けられる。
カートリッジ12の第2エンドキャップ64は、カートリッジ本体60の端部を受ける有底筒状の本体受け部60aと、本体受け部60aの外周部より小径の小径部60bと、小径部60bより奥側にて第2エンドキャップ64の外周部に設けられる段差部60cとを有する。本体受け部60aの外周部には径方向外側に突き出るリブ部60dが形成される。
カートリッジ12の第2エンドキャップ64は、水路形成部材100のカートリッジ受け部114に脱着自在に接続されるカートリッジ側接続部116を有する。本実施形態において、カートリッジ受け部114に対するカートリッジ側接続部116の脱着方向PcはX方向である。カートリッジ側接続部116は、カートリッジ12の長手方向Xの奥側部分12dの一部となる奥側端部12aに設けられる。カートリッジ側接続部116は、筒状をなしており、その内側には第1内部水路66の一部が形成される。
カートリッジ側接続部116及びカートリッジ受け部114の一方は他方の内側に差し込まれる。カートリッジ側接続部116は、カートリッジ受け部114との間に配置される第3シール部材118を介して水密的に接続される。本実施形態の第3シール部材118はカートリッジ受け部114に形成されるシール溝に装着されているが、カートリッジ側接続部116に形成されるシール溝に装着されていてもよい。
ここで、本実施形態の原水改質装置10は、次の付勢機構120を備えている。付勢機構120は、付勢部材122と、第1受け部材124と、第2受け部材126と、スリップワッシャ128と、を有する。
付勢部材122は、X方向においてカートリッジ12と水路形成部材100との間に配置される。付勢部材122は、コイルスプリング等のバネ部材により例示される弾性体である。本実施形態の付勢部材122は、第1受け部材124を介してカートリッジ12を出入口14a側(図11の右側)に向けて付勢可能である。また、本実施形態の付勢部材122は、第2受け部材126を介して水路形成部材100を奥側に向けて付勢可能である。付勢部材122は、自らのX方向での弾性的な縮み変形に起因する弾性反発力によって、このように付勢可能である。
第1受け部材124は、X方向において付勢部材122とカートリッジ12との間に配置される。第1受け部材124は、付勢部材122の入口側端部122aを支持する。第1受け部材124は、第1筒状部124aと、第1筒状部124aから径方向外側に突き出る第1フランジ部124bとを有する。付勢部材122の入口側端部122aは、第1筒状部124aの外周側に配置され、第1フランジ部124bに対して奥側に配置される。
第1受け部材124の内周側にはカートリッジ12の一部となるカートリッジ側接続部116が差し込まれる。第1受け部材124は、カートリッジ12に当てられる当て面124dを有する。本実施形態の当て面124dは環状をなすとともに平坦状をなしており、カートリッジ12の段差部60cに当てられる。
第2受け部材126は、X方向において付勢部材122と水路形成部材100との間に配置される。第2受け部材126は、付勢部材122の奥側端部122bを支持する。第2受け部材126は、第2筒状部126aと、第2筒状部126aから径方向外側に突き出る第2フランジ部126bとを有する。付勢部材122の奥側端部122bは、第2筒状部126aの外周側に配置され、第2フランジ部126bに対して入口側に配置される。
第2受け部材126の内周側には水路形成部材100の一部が嵌め込まれ、水路形成部材100に対して径方向に第2受け部材126が位置決めされる。
スリップワッシャ128は、X方向において第2受け部材126と水路形成部材100との間に配置される。第2受け部材126は、付勢部材122の付勢力によって水路形成部材100に直接に押し当てられず、スリップワッシャ128を介して押し当てられる。スリップワッシャ128は、摩擦抵抗の小さい樹脂等の素材を用いて構成される。水路形成部材100は、スリップワッシャ128に対する滑り接触を伴い回転する。これにより、スリップワッシャーは、付勢機構120の構成部品と水路形成部材100との共周りを防止する。
原水改質装置10は、装置本体16の内部に付勢機構120を保持する機構保持部130を備える。本実施形態の機構保持部130は装置本体16の内部に設けられる。機構保持部130は、ガイド部130aと、規制部130bとを有する。
本実施形態のガイド部130aは装置本体16の内部にてX方向に貫通する貫通孔が構成する。第1受け部材124は、ガイド部130aの内側に嵌め込まれ、機構保持部130に対して径方向に位置決めされる。第1受け部材124は、ガイド部130aとの接触を伴いX方向に沿って動くように、ガイド部130aによってガイドされる。規制部130bは、第1受け部材124と接触することによって、ガイド部130aより入口側に向かう第1受け部材124の動きを規制する。
図12は、カートリッジ収容室14内にカートリッジ12が収容されていない状態(以下、カートリッジ未収容状態という)にあるときの機構保持部130を示す図である。機構保持部130は、カートリッジ未収容状態にあるとき、機構保持部130の規制部130bにより付勢機構120の動きを規制することで、装置本体16の内部に付勢機構120を保持する。以下、機構保持部130により保持されるときの付勢機構120の位置を保持位置という。本実施形態では、付勢機構120が保持位置にあるとき、付勢部材122の付勢力によって、機構保持部130の規制部130bに第1受け部材124が当たった状態が維持される。
なお、ガイド部130aの内側には第2外部水路110の一部が形成される。ガイド部130aや規制部130bには第1外部水路58と第2外部水路110を連通する連通孔132が形成される。
図2、図11に戻る。以上の付勢機構120は、付勢部材122によって、出入口14a側に向けてカートリッジ収容室14内のカートリッジ12を付勢する。これは、出入口14aより奥側から出入口14a側に向けて付勢するということである。本実施形態の付勢機構120は、カートリッジ収容室14にカートリッジ12が収容されている状態(以下、カートリッジ収容状態という)にあるとき、常時、カートリッジ12を付勢する。付勢機構120は、水路形成部材100からカートリッジ12が離脱する方向Pdにカートリッジ12を付勢することで、出入口14a側に向けてカートリッジ12を付勢する。
付勢機構120は、X方向において出入口14aより奥側に向かう方向に水路形成部材100を付勢する。水路形成部材100は、付勢機構120の付勢力によって奥側収容室102の奥壁面に押し当てられ、X方向での位置が保持される。
付勢機構120は、カートリッジ12を押圧することでカートリッジ12を付勢する。本実施形態の付勢機構120は、カートリッジ12の奥側端部12aを押圧する。よって、カートリッジ12を引っ張ることで付勢する場合と比べ、カートリッジ12の構成部品同士の分離を避け易くなる。
次に、原水改質装置10のカートリッジ12を交換する手順を説明する。図13は、カートリッジ収容状態から、装置本体16及び規制体18(不図示)を互いに取り外すため、これらを互いに遠ざかる方向に相対的に移動させている途中の状態を示す図である。本実施形態では、本体ベース20に接続された規制体18から装置本体16をX方向で遠ざかる方向Pe(図3も参照)に動かすことで、その規制体18から装置本体16を取り外す。
このとき、付勢機構120によって、カートリッジ収容室14内のカートリッジ12を出入口14a側(図13の右側)に向けて動かせる。これにより、出入口14aからカートリッジ12を取り出し易くなり、その取り出し作業の容易化を図れる。
次に、カートリッジ未収容状態にあるときを考える。このとき、図12に示すように、機構保持部130によって、付勢機構120は保持位置に保持される。この状態でカートリッジ収容室14内に出入口14aから奥側に向けてカートリッジ12を押し込む。保持位置にある第1受け部材124にカートリッジ12が接触するまで押し込むと、それ以降は、付勢部材122の付勢力に抗してカートリッジ12が押し込まれる。カートリッジ収容室14内で配置されるべき位置までカートリッジ12を押し込んだら、装置本体16に規制体18を取り付けることで、カートリッジ12の交換が完了する。なお、本実施形態では、本体ベース20に接続された規制体18に装置本体16をX方向で近づく方向Pf(図3も参照)に動かすことで、その規制体18に装置本体16を取り付ける。
以上の工夫点の効果を説明する。
付勢機構120は、水路形成部材100からカートリッジ12が離脱する方向Pd(図11参照)にカートリッジ12を付勢する。水路形成部材100とカートリッジ12の接続箇所は、異物の噛み込み、第3シール部材118の固着等によって、分離し難くなるケースがある。このケースにおいても、付勢機構120によって、水路形成部材100とカートリッジ12を分離し易くできる。
特に、出入口14aより奥側に収まるようにカートリッジ収容室14にカートリッジ12が収容される構造のもとでは、出入口14aから奥まった箇所に配置されるカートリッジ12を取り出し難くなる。このような構造のもとでも、付勢機構120によって、出入口14aからカートリッジ12を取り出し易くなる。
原水改質装置10は、カートリッジ未収容状態にあるとき、装置本体16の内部に付勢機構120を保持する機構保持部130を有する。よって、カートリッジ未収容状態にあるとき、機構保持部130によって、装置本体16の出入口14aを通して付勢機構120の構成部品が抜け出てしまうのを防げる。
本工夫点に関連する他の特徴を説明する。カートリッジ12のカートリッジ側接続部116及び水路形成部材100のカートリッジ受け部114は、水路形成部材100に対するカートリッジ12の脱着方向Pcに相対的に移動可能である。これは、カートリッジ未収容状態にあるときのみではなく、カートリッジ収容状態にあるときにも満たされる。
これにより、カートリッジ収容状態にあるとき、カートリッジ側接続部116及びカートリッジ受け部114の間に配置される第3シール部材118の固着対策を図れる。この第3シール部材118の固着は、カートリッジ側接続部116及びカートリッジ受け部114のうち、第3シール部材118が装着されていない部材との間で生じる。ここでの「第3シール部材118が装着されていない部材」とは、本実施形態ではカートリッジ側接続部116をいう。この固着対策は、カートリッジ側接続部116及びカートリッジ受け部114をX方向に相対移動させて、第3シール部材118が装着されていない部材から第3シール部材118を剥がすことによって実現される。
図14は、図2の一部の拡大図である。図15は、操作体48を操作している途中の状態を示す図である。操作体48は、ユーザによる押圧操作を受ける押しボタンであり、次に説明するように、原水改質装置10の動作状態を変更するために操作される。操作体48は、装置本体16の内部アセンブリ54のX方向の端部に取り付けられ、内部アセンブリ54にX方向に移動可能に支持される。
原水改質装置10は、操作体48の動きに連動して弁機構46を作動させることが可能な連動機構134を備える。本実施形態の連動機構134には、操作体48を押圧方向とは反対側に付勢するスプリングやスラストロック機構が組み込まれる。
操作体48は、操作を受けると連動機構134を介して弁機構46を作動させる。弁機構46の回転弁体を構成する水路形成部材100は、操作体48が操作を受ける毎に、連動機構134によって、X方向において入口側に向かう方向に移動してから回転するように作動する。
このとき、カートリッジ12及び水路形成部材100は、操作体48に対する操作に連動して、前述の脱着方向Pcに互いに相対的に移動する。本実施形態では、操作体48に連動して、カートリッジ12のカートリッジ側接続部116に対して水路形成部材100のカートリッジ受け部114がX方向に移動する。カートリッジ側接続部116及びカートリッジ受け部114の一方は、操作体48に連動して移動する前後で、それらの他方の内側に差し込まれた状態が維持される。カートリッジ側接続部116及びカートリッジ受け部114は、操作体48に対する操作を解除すると、付勢機構120の付勢力によって、その操作前のX方向での相対位置(図14の相対位置)に復帰するように移動させられる。
本実施形態の弁機構46は、このように水路形成部材100が回転することによって、複数の上流側水路42A、42Bのいずれかに通水経路を切り替える。操作体48は、操作を受ける毎に、複数の上流側水路42A、42Bのいずれかに通水経路を切り替えるように弁機構46を作動させることになる。これにより、操作体48は、装置本体16から吐き出される水が浄水と改質水との間で切り替わるように、装置本体16の動作状態を切り替える。
操作体48は、このように操作されるとき、付勢機構120が付与する付勢力に抗して移動する。本実施形態の操作体48は、付勢機構120の付勢力に抗して、X方向において出入口14a側に向かう方向に移動する。操作体48に対する操作を解除すると、付勢機構120の付勢力によって、その移動前のX方向での位置(図14の位置)に復帰するように移動させられる。
以上のように、カートリッジ12及び水路形成部材100は、操作体48に対する操作に連動して脱着方向Pcに相対的に移動可能である。よって、操作体48に対する操作を通じて第3シール部材118の固着対策を図れる。特に、操作体48により原水改質装置10の動作状態を変更するタイミングで第3シール部材118の固着対策を図れる。
図11に示すようなカートリッジ収容状態にあるときの付勢部材122の弾性変形量を第1変形量X1といい、図12に示すようなカートリッジ未収容状態にあるときの付勢部材122の弾性変形量を第2変形量X2という。第2変形量X2は零でもよい。つまり、カートリッジ未収容状態にあるとき、付勢部材122は自然長の状態にあってもよい。
本実施形態の付勢機構120は、第1変形量X1より第2変形量X2が小さくなるように構成される。これにより、原水改質装置10は、カートリッジ未収容状態にあるとき、カートリッジ収容状態にあるときより、付勢機構120が操作体48に付与する付勢力が小さくなるように構成される。
(A)これにより、カートリッジ未収容状態にあるとき、カートリッジ収容状態にあるときより、操作体48に付与すべき操作荷重を小さくでき、操作体48の操作感を軽くできる。
図7を参照する。装置本体16が規制体18を介して本体ベース20に接続された状態にあるとき、装置本体16は、規制体18を覆っている。この条件は、本体ベース20の本体接続部72bによるガイドを伴い装置本体16をX方向に沿って動かすうえで、装置本体16を可動範囲の本体ベース20側の末端位置に配置したときに満たされていればよい。本実施形態の装置本体16は、規制体18のX方向の全長に亘る範囲で規制体18を覆っている。また、本実施形態の装置本体16は、規制体18を全周に亘る範囲で径方向外側から覆っている。
装置本体16と規制体18の間には全周に亘る範囲で連続する継ぎ目136が形成される。本実施形態では内部アセンブリ54と規制体18の間に継ぎ目136が形成される。装置本体16は、このような継ぎ目136が露出しないように、規制体18を覆っていればよい。装置本体16の外面に開口する孔を通して規制体18が視認可能であってもよいということである。ここでの「孔」とは、たとえば、ハウジング52に形成されるとともにロック部材76の一部が内側に配置される孔138をいう。
(B)これにより、カートリッジ12を取り出すときに装置本体16から取り外される規制体18と装置本体16との継ぎ目136が、原水改質装置10の外観に目立つように現れなくなる。これに伴い、原水改質装置10の外観がすっきりとなり、良好な意匠性を得られる。
(第2の実施の形態)
図16は、第2実施形態の原水改質装置10の一部を示す図である。図11の例と比べて第1受け部材124の構成が相違する。本実施形態の第1受け部材124は、第1筒状部124aや第1フランジ部124bの入口側側面から入口側に突き出る複数の突起部124cを有する。複数の突起部124cは周方向に間を置いて設けられる。図11の例では第1受け部材124の当て面124dは環状をなす例を説明した。第1受け部材124の当て面124dは、複数の突起部124cの入口側側面に設けられる。このように、第1受け部材124の当て面124dの位置は特に限定されない。
以上、実施形態をもとに本発明を説明した。次に、各構成要素の変形例を説明する。
原水改質装置10は、装置本体16に吐水部26が設けられたスパウトインタイプを例に説明したが、アンダーシンクタイプ、据え置きタイプ、蛇口直結タイプでもよい。いずれにしても、出入口14aを通してカートリッジ12を出し入れ可能なカートリッジ収容室14が設けられる装置本体16を備えていればよい。また、スパウトインタイプの原水改質装置10の場合、操作部材22や弁ユニット24を備えていなくともよい。
装置本体16は、本体ベース20を介して基体28に支持される例を説明したが、基体28に直接に支持されていてもよい。これは、たとえば、アンダーシンクタイプ、据え置きタイプの原水改質装置10を想定している。
カートリッジ12の原水の改質態様として、原水の浄化を例に説明したが、これに限定されない。たとえば、美容成分、臭い成分、炭酸成分、水素成分の付与等でもよい。
カートリッジ12は、装置本体16のカートリッジ収容室14にX方向の少なくとも一部に亘る範囲が収容されていればよい。カートリッジ12は、装置本体16の出入口14aから外側にはみ出るように設けられていてもよいということである。カートリッジ12は、たとえば、カートリッジ収容室14にX方向の半分以上の範囲が収容され、その他の箇所を規制体18や本体ベース20に収容してもよい。本体ベース20に一部を収容する場合、装置本体16を規制体18から取り外したとき、その本体ベース20によってカートリッジ12を支持しつつ、カートリッジ12の一部を露出させることができる。このカートリッジ12の露出箇所を用いてカートリッジ12の交換を容易にできる。
規制体18は、継手部材を例に説明したが、その具体例は特に限定されない。たとえば、吐水ヘッドを互いに別体のグリップ部と頭部により構成し、グリップ部を装置本体16、頭部を規制体18としてもよい。装置本体16が吐水部26を備えない場合、規制体18は出入口14aを塞ぐ蓋体でもよい。
規制体18は、装置本体16を本体ベース20に脱着自在に接続していなくともよい。実施形態では本体ベース20から給水ホース74を引き出し可能な例を説明したが、給水ホース74を引き出し可能ではなくともよいということである。
装置本体16及び規制体18を互いに脱着可能に取り付けるための具体的手段は特に限定されない。たとえば、このような具体的手段としては、クリップ等の留め具、ねじ構造等を用いてもよい。
(第1の工夫点に関して)
原水改質装置10のカートリッジ拘束部82は、カートリッジ12をX方向に拘束していればよく、支持していなくともよい。
カートリッジ拘束部82によるカートリッジ12の拘束態様は特に限定されない。たとえば、カートリッジの被拘束部84に爪部82bを引っ掛ける他にも、凹凸嵌合、圧入、マグネット等によって実現されてもよい。
カートリッジ12の被拘束部84は、カートリッジ拘束部82に対して脱着自在に構成されていなくともよい。これは、たとえば、カートリッジ12と規制体18が脱着不能に構成されており、カートリッジ12の交換と併せて規制体18を交換するような場合を想定している。
カートリッジ12の被拘束部84は、カートリッジ拘束部82に対して、X方向と交差する方向またはX方向の何れかにのみ脱着自在に構成されていてもよい。また、ここでの「X方向と交差する方向」として、X方向と直交する上方向を例に説明したが、Y方向、下方向でもよい。
カートリッジ12の被拘束部84は、カートリッジ12の一方側端部(入口側端部12b)に設けられる例を説明したが、その長手方向の一方側部分(入口側部分12c)に設けられていればよい。また、カートリッジ12のカートリッジ側接続部116は、カートリッジ12の他方側端部(奥側端部12a)に設けられる例を説明したが、その長手方向の他方側部分(奥側部分12d)に設けられていればよい。
第1の工夫点で説明した構成を採用するうえで、原水改質装置10は付勢機構120を備えていなくともよい。
(第2の工夫点に関して)
付勢機構120はカートリッジ12を付勢できればよく、その具体例は特に限定されない。たとえば、ゴム体により構成される付勢部材122のみを備えていてもよいし、付勢部材122がバネ部材である場合に受け部材124、126を備えてなくともよい。
付勢機構120による付勢力の付与態様は特に限定されない。たとえば、カートリッジ12を引っ張ることでカートリッジ12を付勢してもよい。
カートリッジ12は、装置本体16の内部に配置される水路形成部材100に接続されていなくともよい。これは、たとえば、カートリッジ12が接続される水路形成部材100を、装置本体16ではなく、規制体18に組み込む場合を想定している。
効果(A)を得るうえでは、カートリッジ未収容状態にあるとき、カートリッジ収容状態にあるときより、付勢機構120が操作体48に付与する付勢力が小さくなるように構成されていればよい。この条件を満たすうえで、たとえば、カートリッジ未収容状態にあるとき、付勢機構120の付勢力を操作体48に伝達される伝達経路を切断し、カートリッジ収容状態にあるとき、その伝達経路を繋げるクラッチ機構を組み込んでもよい。
機構保持部130は、装置本体16の内部に付勢機構120を保持できればよく、その具体例は特に限定されない。また、機構保持部130は、装置本体16とは別の部材に設けられていてもよい。ここでの「別の部材」とは、たとえば、水路形成部材100である。
水路形成部材100の具体例は特に限定されない。水路形成部材100は、カートリッジ12に接続されるカートリッジ受け部114を有し、カートリッジ12の第1内部水路66に連通される第2内部水路108を有していればよい。たとえば、水路形成部材100は、弁機構46の構成要素とは別体に設けられてもよい。
カートリッジ12のカートリッジ側接続部116と水路形成部材100のカートリッジ受け部114は、カートリッジ収容状態にあるとき、X方向に相対的に移動不能であってもよい。カートリッジ側接続部116とカートリッジ受け部114をX方向に相対的に移動可能とするうえでは、カートリッジ受け部114ではなく、カートリッジ側接続部116をX方向に移動可能としてもよい。
カートリッジ側接続部116とカートリッジ受け部114をX方向に相対的に移動可能とするために操作される操作体は押しボタンに限定されない。操作体は、たとえば、回転ハンドル50でもよい。
操作体による原水改質装置10の動作状態の変更態様は、特に限定されない。この変更態様は、たとえば、原水改質装置10の吐水態様の切り替え、原水改質装置10の吐水部26から吐き出される水の流量や温度の変更、吐水状態と止水状態の切り替えでもよい。
(B)の効果を得るうえでは、装置本体16が規制体18を介して本体ベース20に接続された状態にあるとき、本体ベース20及び装置本体16の何れか一方又は両方が、規制体18を覆っていればよい。たとえば、本体ベース20が規制体18の全体を覆っていてもよいし、本体ベース20及び装置本体16の両方が規制体18の全体を覆っていてもよい。いずれの場合でも、装置本体16と規制体18の間の継ぎ目136が露出しないように規制体18を覆っていてもよい。
第2の工夫点で説明した構成を採用するうえで、原水改質装置10のカートリッジ12は被拘束部84を有していなくともよく、規制体18はカートリッジ拘束部82を有していなくともよい。
以上、本発明の実施形態や変形例について詳細に説明した。前述した実施形態や変形例は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態や変形例の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。以下、発明が解決しようとする課題に記載の態様を用いて説明する。
第2態様の原水改質装置は、第1態様において、前記装置本体の内部に配置され、前記カートリッジ収容室内に収容される前記カートリッジが脱着自在に接続される水路形成部材を備え、前記付勢機構は、前記水路形成部材から前記カートリッジが離脱する方向に前記カートリッジを付勢してもよい。
この態様によれば、水路形成部材とカートリッジの接続箇所が分離し難くなっていても、付勢機構によって、水路形成部材とカートリッジを分離し易くできる。
第3態様の原水改質装置は、第2態様において、前記カートリッジは、前記水路形成部材のカートリッジ受け部に脱着自在に接続されるカートリッジ側接続部を有し、前記カートリッジ側接続部及び前記カートリッジ受け部は、前記カートリッジ収容室に前記カートリッジが収容された状態にあるとき、前記カートリッジ受け部に対する前記カートリッジ側接続部の脱着方向に相対的に移動可能であってもよい。
この態様によれば、カートリッジ収容室にカートリッジが収容されている状態にあるとき、カートリッジ側接続部及びカートリッジ受け部の間に配置されるシール部材の固着対策を図れる。
第4態様の原水改質装置は、第3態様において、ユーザにより操作される操作体を備え、前記カートリッジ側接続部及び前記カートリッジ受け部は、前記操作体に対する操作に連動して前記脱着方向に互いに相対的に移動可能であってもよい。
この態様によれば、操作体に対する操作を通じてシール部材の固着対策を図れる。
第5態様の原水改質装置は、第4態様において、前記操作体は、ユーザにより操作されるとき、前記付勢機構が付与する付勢力に抗して移動し、前記カートリッジ収容室に前記カートリッジが収容されていないとき、前記カートリッジ収容室に前記カートリッジが収容されているときより、前記操作体に前記付勢機構が付与する付勢力が小さくなるように構成されてもよい。
この態様によれば、カートリッジ収容室にカートリッジが収容されていない状態にあるとき、カートリッジが収容されている状態にあるときより、操作体の操作感を軽くできる。
第6態様の原水改質装置は、第4または第5態様において、前記操作体は、本原水改質装置の動作状態を変更するためのものであってもよい。
この態様によれば、操作体により原水改質装置の動作状態を変更するタイミングでシール部材の固着対策を図れる。
第7態様の原水改質装置は、第1から第6態様のいずれかにおいて、前記カートリッジ収容室に前記カートリッジが収容されていないとき、前記装置本体の内部に前記付勢機構を保持する機構保持部を備えてもよい。
この態様によれば、カートリッジ収容室にカートリッジが収容されていないとき、機構保持部によって、装置本体の出入口を通して付勢機構の構成部品が抜け出てしまうのを防げる。
第8態様の原水改質装置は、第1から第7態様のいずれかにおいて、前記カートリッジは、前記出入口より奥側に収まるように前記カートリッジ収容室に収容されてもよい。
この態様によれば、出入口から奥まった箇所に配置されるカートリッジを取り出し難くなる構造のもとでも、付勢機構によって、出入口からカートリッジを取り出し易くなる。
第9態様の原水改質装置は、第1から第8態様のいずれかにおいて、前記付勢機構は、前記カートリッジを押圧することで前記カートリッジを付勢してもよい。
この態様によれば、カートリッジを引っ張ることで付勢する場合と比べ、カートリッジの構成部品同士の分離を避け易くなる。
第10態様の原水改質装置は、第1から第9態様のいずれかにおいて、前記装置本体は、吐水部から水を吐き出し可能であり、本原水改質装置は、本体ベースを備え、前記規制体は、前記本体ベースに前記装置本体を接続し、前記装置本体及び前記規制体は、前記出入口を通して前記カートリッジを出し入れするときに互いに取り外され、前記本体ベース及び前記装置本体の何れか一方又は両方は、前記装置本体が前記規制体を介して前記本体ベースに接続された状態にあるとき、前記規制体を覆っていてもよい。
この態様によれば、カートリッジを取り出すときに装置本体から取り外される規制体と装置本体との継ぎ目が、原水改質装置の外観に目立つように現れなくなる。
第11態様の原水改質装置は、第1から第10態様のいずれかにおいて、前記装置本体及び前記規制体は、互いに取り外すときに第1方向に相対移動するように設けられ、前記規制体は、前記カートリッジを前記第1方向に拘束するカートリッジ拘束部を有してもよい。
この態様によれば、装置本体及び規制体を第1方向での相対移動を伴い分離するとき、規制体によってカートリッジ収容室の出入口からカートリッジを取り出せる。
各態様の原水改質装置に係る発明の権利範囲には、カートリッジが組み込まれていない原水改質装置が含まれる。