JP7093088B1 - 外形が維持された軟質食品素材の製造方法 - Google Patents

外形が維持された軟質食品素材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】種々の食品素材について、食感を柔らかくしても外形を維持できている食品素材を製造する技術を提供する。【解決手段】次の工程(1)~(3)(1)食品素材を加熱した後、冷凍、解凍を行う工程(2)解凍した食品素材を、酵素と可溶性金属塩を含有する溶液で処理する工程(3)酵素を失活させる工程を含むことを特徴とする外形が維持された軟質食品素材の製造方法ならびにこれにより製造される外形が維持された軟質食品素材およびこれに用いる外形が維持された軟質食品素材製造用の酵素キット。【選択図】なし

Description

本発明は、外形が維持された軟質食品素材の製造方法ならびにこれにより製造される外形が維持された軟質食品素材およびこれに用いる外形が維持された軟質食品素材製造用の酵素キットに関する。
近年、咀嚼力・嚥下力の低下した高齢者向け食品のひとつとして、酵素などにより食材の原型を保ったまま、硬さや粘度を調整して食べやすさに配慮した食品 (以下、軟化食)が普及しつつある。
軟化食の製造技術として、広島県が開発した凍結含浸法(特許文献1)が広く知られているが、本法は食材への酵素含浸を減圧下で行うために専用設備を導入する必要があり、小規模の施設では実施が容易ではなかった。
また、減圧するための専用装置を必要としない方法として、糖アルコールの存在下、その浸透圧の効果を利用して食品素材に酵素を含浸させ、食品素材を軟化させる方法が知られている(特許文献2)。しかしながら、糖アルコールを使用するため、軟化処理後の調味の際に影響することがあった。
特許第3686912号 特許第6406655号
従って、本発明は、種々の食品素材について、食感を柔らかくしても外形を維持できている食品素材を製造する技術であって、特別な装置を必要とせず、調味にも影響しにくい汎用的な軟化食の製造技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、食品素材を加熱した後、冷凍、解凍を行い、更に、特殊な溶液で処理することにより、外形が維持された軟質食品素材の製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の工程(1)~(3)
(1)食品素材を加熱した後、冷凍、解凍を行う工程
(2)解凍した食品素材を、酵素と可溶性金属塩を含有する溶液で処理する工程
(3)酵素を失活させる工程
を含むことを特徴とする外形が維持された軟質食品素材の製造方法である。
また、本発明は、上記軟質食品素材の製造方法で製造される外形が維持された軟質食品素材である。
更に、本発明は、酵素と、可溶性金属塩を含有することを特徴とする外形が維持された軟質食品素材製造用の酵素キットである。
本発明の外形が維持された軟質食品素材の製造方法によれば、簡便に外形が維持された軟質食品素材を製造することができる。
この外形が維持された軟質食品素材は、通常の食品素材と同様に調理ができ、調理後の外観も通常の食品素材と同様である。そのため、本発明の外形が維持された軟質食品素材を調理して介護食等として提供すれば、QOLの向上に貢献することができる。
本発明の外形が維持された軟質食品素材の製造方法(以下、「本発明方法」という)は、次の工程(1)~(3)を含むものである。
(1)食品素材を加熱した後、冷凍、解凍を行う工程
(2)解凍した食品素材を、酵素と可溶性金属塩を含有する溶液で処理する工程
(3)酵素を失活させる工程
本発明方法で用いられる食品素材としては、酵素で柔らかくできるものであれば特に限定されず、例えば、野菜類、果物類、果実類、穀類、ナッツ類、藻類、キノコ類、豆類等が挙げられる。
野菜類としては、例えば、ゴボウ、ニンジン、タケノコ、レンコン、ダイコン、カブ等の根菜類、キュウリ、ナス、トマト、カボチャ、ピーマン、インゲン、カリフラワー、ブロッコリー等の果菜類、ホウレンソウ、小松菜、キャベツ、レタス、青梗菜、シュンギク、クレソン、セロリ、ルッコラ、ミズナ、クレソン、カラシナ等の葉物類、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモ、キャッサバ、キクイモ、コンニャクイモ等のイモ類等が挙げられる。
果物類としては、例えば、リンゴ、ナシ、みかん、グレープフルーツ、キウイ、パイナップル、バナナ、カリン、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、ビワ等が挙げられる。
穀類としては、例えば、コメ、ヒエ、アワ、小麦、大麦、そば、ハトムギ、トウモロコシ、ライムギ、エンバク等が挙げられる。
ナッツ類としては、例えば、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、栗、クルミ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、マツノミ等が挙げられる。
藻類としては、例えば、わかめ、昆布、モズク、ヒジキ、めかぶ、アオノリ、テングサ等が挙げられる。
キノコ類としては、例えば、シイタケ、マイタケ、エノキ、エリンギ、シメジ、マッシュルーム、トリュフ、フクロタケ、ポルチーニ、マツタケ、ナメコ、キクラゲ等が挙げられる。
豆類としては、例えば、大豆、小豆、ソラ豆、えんどう豆、インゲン豆、ヒヨコ豆、レンズ豆等が挙げられる。
上記食品素材の中でも、野菜類が好ましく、根菜類がより好ましい。これら食品素材は本発明方法を行う前に、適宜、洗浄、成型(カット)しておいてもよい。
本発明方法の工程(1)において、上記食品素材を加熱する方法は特に限定されず、例えば、茹でる、蒸す等が挙げられる。加熱する条件は、食品素材の本来の硬さを考慮して決定するため一概には言えないが、例えば、茹でるのであれば80~100℃で10分~1時間程度である。なお、加熱の際には、塩、砂糖、しょうゆ、みりん等の調味料を用いて調味をしてもよい。
上記のようにして食品素材を加熱した後は、冷凍する。上記食品素材を冷凍する方法は特に限定されず、例えば、冷凍庫に入れる等が挙げられる。冷凍する条件は、特に限定されないが、例えば、-80~0℃、好ましくは-30~-5℃で十分に凍結し維持されればよく、好ましくは16~48時間である。
上記のようにして食品素材を冷凍した後は、解凍する。上記食品素材を解凍する方法は特に限定されず、例えば、常温におく、流水にさらす、冷蔵庫に入れる等が挙げられる。解凍する条件は、特に限定されないが、例えば、常温におくのであれば2~24時間である。
上記のように解凍した食品素材は、酵素と可溶性金属塩を含有する溶液(以下。これを「処理溶液」という)で処理する(本発明方法の工程(2))。上記工程は、常圧下で行うことが、減圧装置を必要とせず簡便である点から好ましい。なお、ここで常圧下とは、調理によるものを除き、積極的に加圧・減圧操作を行わないことをいう。
この処理溶液に用いられる酵素は、食品素材を柔らかくできるものであれば特に限定されず、例えば、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼ、キチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等が挙げられる。アミラーゼとしては、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ等が挙げられる。これら酵素は1種または2種以上を組み合わせてもよく、食品素材を柔らかくできるという観点から、アミラーゼとアミラーゼ以外の1種以上の酵素の組み合わせが好ましい。酵素としてより好ましくはペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコアミラーゼの4種の組合せである。このような酵素として市販の酵素製剤を用いることができ、例えば、ペクチナーゼとしては、ペクチナーゼSS(ヤクルト薬品工業製)、ペクチナーゼHL(ヤクルト薬品工業製)等、セルラーゼ、ヘミセルラーゼとしては、セルラーゼY-NC(ヤクルト薬品工業製)、セルラーゼオノズカ3S(ヤクルト薬品工業製)、マセロチームA(ヤクルト薬品工業製)等、グルコアミラーゼとしては、ユニアーゼK(ヤクルト薬品工業製)、ユニアーゼK(ヤクルト薬品工業製)、ユニアーゼ30(ヤクルト薬品工業製)などが挙げられ、さらに、セルラーゼF-1(ヤクルト薬品工業製)などの複合酵素製剤も用いることができる、この処理溶液に含有する酵素製剤濃度は特に限定されないが、0.1~5質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは0.5~2%で含有させればよい。
この処理溶液に用いられる可溶性金属塩を構成する金属は、例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、亜鉛、セレン、モリブデンなどが挙げられ、金属塩の種類は、例えば、塩化物、炭酸塩、水酸化物などが挙げられるが、いずれも特に限定されない。これら可溶性金属塩の中でも塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上が好ましい。この処理溶液には、可溶性金属塩を0.1~5%、好ましくは0.5~2%で含有させる。
なお、上記溶液処理を簡便に行うため、酵素と、可溶性金属塩を含有する軟質食品素材製造用の酵素キットを利用してもよい。この酵素キットは、酵素と可溶性金属塩を混合して、ガラス製の容器や、樹脂製の容器や袋に封入するものでもよく、また、酵素と可溶性金属塩を別々に、ガラス製の容器や、樹脂製の容器や袋に封入したものを同梱するものでもよい。そしてこの酵素キットは使用時に水に溶解させて使用すればよい。
この処理溶液を用いて解凍した食品素材を処理する条件は特に限定されないが、例えば、処理溶液をビニール袋や容器に入れ、これに解凍した食品素材を完全に浸るように入れて、例えば、40~60℃程度にして酵素反応を10分間~6時間、好ましくは30分~2時間維持すればよい。なお、酵素反応前に処理溶液をなじませる工程、例えば冷蔵庫や常温で1~24時間維持する操作を行ってもよい。
上記のように食品素材を処理溶液で処理した後は、酵素を失活させる(本発明方法の工程(3))。酵素を失活させる方法は特に限定されないが、例えば、溶液処理に用いる酵素を失活させることのできる温度を5~60分間、好ましくは10~15分間維持すればよい。
上記のように酵素を失活させた後は、必要により、冷却等を行ってもよい。冷却の方法は特に限定されず、例えば、常温におく、流水にさらす、冷蔵庫に入れる等が挙げられる。
斯くして得られる外形が維持された軟質食品素材は、柔らかく、軟化食として利用可能なものであり、例えば、ユニバーサルデザインフード自主規格第2版(日本介護食品協議会)の物性測定法に基づいて測定するとき、硬さが、5×10(N/m)以下のものである。ユニバーサルデザインフードの物性測定法とは、軟質食品素材を測定用の台にのせ、直径20mmの円柱形プランジャーで圧縮速度10mm/秒、クリアランスを試料の厚さの30%で測定し、20±2℃で行う測定法である。ここで外形が維持されたとは、素材の形が処理前の形を維持した状態をいう。
この外形が維持された軟質食品素材は、通常の食品素材と同様に調理ができ、調理後の外観も通常の食品素材と同様である。そのため、本発明の外形が維持された軟質食品素材を調理して介護食等として提供すれば、QOLの向上に貢献することができる。
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実 施 例 1
軟質レンコンの製造:
レンコンの皮をむいた丸ごとを100℃で30分間水茹でしたもの(以下、丸ごと)、および、レンコンの皮をむき1cmの輪切りにカットして100℃で15分間水茹でしたもの(以下、カット)を準備した。これらを-30℃で16時間冷凍した後に、室温に4時間放置して解凍した。表1に記載の酵素と塩化ナトリウムを含有する溶液を入れた袋に、解凍後のレンコンを入れ、5℃の冷蔵庫内で17時間なじませた後、表1の温度の恒温水槽中に1時間保持して反応させた。次いで、沸騰水浴中に10分間保持して反応を停止し、流水下で冷却して軟質食品素材を得た。
Figure 0007093088000001
上記のようにして得られた軟質食品素材について、以下の基準で外観の目視評価および触感評価を行い、硬さをレオメーター(株式会社山電製)で測定した。それらの結果を表2に記載した。
<外観評価基準>
(評価) (内容)
〇 :カットしたままの形状を保持している
× :一部または全部に形のくずれがある
<触感評価基準>
(評価) (内容)
◎ :ゲルに近い触感で、指で押すと容易に貫通する
〇 :ゲルに近い触感だが、指で押したときに多少の抵抗(硬さ)を感じる
△ :指で押すと凹みができるものの、貫通しないまたは割れてしまう
× :茹でたそのままの硬さ
● :柔らかくなりすぎて一部、形がくずれる
<硬さ>
ユニバーサルデザインフードの物性測定法に基づき測定した。すなわち、軟質食品素材を測定用の台にのせ、直径20mmの円柱形プランジャーで圧縮速度10mm/秒、クリアランスを試料の厚さの30%で測定し、測定は20±2℃で行った。
Figure 0007093088000002
以上の結果より、実施処理1で得られた軟質レンコンは、外観がコントロールのレンコンと変わらず、触感は柔らかく、硬さはユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる(区分2)」(硬さ5×10(N/m)以下)を満たすものであった。比較処理1で得られた軟質レンコンでは、触感が柔らかい部分と硬い部分があり、この条件では安定した軟化処理が困難であった。また、比較処理2で得られた軟質レンコンでは軟化が進みすぎて部分的に煮崩れたような状態であり、外観を維持することが目的である軟化食には適さなかった。
実 施 例 2
軟質ゴボウの製造:
ゴボウを20~30cmの長さにカットして100℃で45分間水茹でしたもの(以下、丸ごと)、および、ゴボウを7~8mmの斜め切りにカットして100℃で15分間水茹でしたもの(以下、カット)について、実施例1の実施処理および比較処理と同様の手順で、冷凍、解凍、酵素処理、冷却を行った。それらの結果を表3に記載した。
Figure 0007093088000003
以上の結果より、実施処理1で得られた軟質ゴボウは、外観がコントロールのゴボウと変わらず、触感は柔らかく、硬さはユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる(区分2)」(5×10(N/m)以下)を満たすものであった。比較処理2で得られた軟質ゴボウでは、外観はコントロールのゴボウと変わらないものの、触感が柔らかい部分と硬い部分があり、この条件では安定した軟化処理が困難であった。
実 施 例 3
軟質タケノコの製造:
水煮タケノコを1cmの輪切りにカットした後、実施例1の実施処理と同様の手順で、冷凍、解凍、酵素処理、冷却を行った。それらの結果を表4に記載した。
Figure 0007093088000004
以上の結果より、実施処理1において、外観はコントロールのタケノコと変わらず、触感は柔らかく、硬さはユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる(区分2)」(5×10(N/m)以下)を満たすものであった。
実 施 例 4
軟質レンコンの製造:
レンコンの皮をむき1cmの輪切りにカットして100℃で15分間水茹でしたものを準備し、実施例1と同様の手順で、冷凍、解凍した。表5に記載の酵素と、塩化ナトリウムを含有する溶液を入れた袋に解凍後のレンコンを入れ、5℃の冷蔵庫内で17時間なじませた後、表5の温度の恒温水槽中に1時間保持して反応させた。次いで、沸騰水浴中に10分間保持して反応を停止し、流水下で冷却して軟質食品素材を得た。これら得られた軟質レンコンを以下の評価基準で評価した結果も表5にあわせて記載した。
Figure 0007093088000005
<総合評価基準>
(評価) (内容)
◎:外観が維持され、触感は柔らかく指で押すと容易に貫通し、ユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる(区分2)」(5×10(N/m))を満たす
〇:外観が維持され、触感は指で押したときに僅かに抵抗があるものの十分に柔らかい
△:指で押すと凹みができるものの、貫通しないまたは割れてしまう
×:茹でたそのままの硬さ、または外観が元の形を保っていない
以上の結果より、実施処理2~11において、外観はコントロールのレンコンの形を維持していながら、触感は柔らかく、十分に軟化されていた。特に、実施例4~9では、硬さはユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる(区分2)」を満たすまでに軟化されていた。このため、好ましい食塩濃度は0.2~5.0%、より好ましくは0.5~2.0%であった。
実 施 例 5
軟質ニンジンの製造:
ニンジンを1cmの輪切りにカットして100℃で15分間水茹でしたものを準備し、実施例1と同様の手順で、冷凍、解凍した。表6に記載の酵素と塩化ナトリウムを含有する溶液を入れた袋に解凍後のニンジンを入れ、実施例4と同様の手順で軟質食品素材を得た。これら得られた軟質ニンジンについて、実施例4の基準で評価した結果も表6にあわせて記載した。
Figure 0007093088000006
以上の結果より、実施処理12~17において、外観はコントロールのニンジンの形を維持していながら、触感は柔らかく、十分に軟化されていた。特に、実施例13~16では、硬さはユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる(区分2)」を満たすまでに軟化されていた。このため、好ましい食塩濃度は0.1~5.0%、より好ましくは0.2~2.0%であった。
実 施 例 6
軟質ゴボウの製造:
ゴボウを7~8mmの斜め切りにカットして100℃で15分間水茹でしたものを準備し、実施例1と同様の手順で、冷凍、解凍した。表7に記載の酵素と塩化ナトリウムを含有する溶液を入れた袋に解凍後のゴボウを入れ、実施例4と同様の手順で軟質食品素材を得た。これら得られた軟質ゴボウについて、実施例4の基準で評価した結果も表7にあわせて記載した。
Figure 0007093088000007
以上の結果より、実施処理18~21において、外観はコントロールのニンジンの形を維持していながら、触感は柔らかく、十分に軟化されていた。特に、実施例20では、硬さはユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる(区分2)」を満たすまでに軟化されていた。このため、好ましい食塩濃度は0.2~2.0%、より好ましくは1.0%であった。
比 較 例 1
軟質ゴボウの製造:
ゴボウを7~8mmの斜め切りにカットして100℃で15分間水茹でしたものについて、実施例1の実施処理1で用いた塩化ナトリウムをソルビトール1%または5%に代えて処理をした。それらの結果を表8に記載した
Figure 0007093088000008
以上の結果より、ゴボウをソルビトールと酵素で処理した軟質ゴボウは、触感が硬く、硬さもユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる(区分2)」(5×10(N/m)以下)を満足できなかった。このことから、ソルビトールは、塩化ナトリウムの有効濃度では軟質食品の製造ができないことが確認された。
実 施 例 7
ミネラルの塩化物の種類の検討:
実施例4の実施処理7、実施例5の実施処理15、実施例6の実施処理20で用いた塩化ナトリウム(1.0%)を、塩化カリウム(1.0%)または塩化マグネシウム(1.0%)に代える以外は同様にして、それぞれ軟質レンコン、軟質ニンジン、軟質ゴボウを得た。これら得られた軟質食品素材について、実施例4の基準で評価した結果も表9にあわせて記載した。
Figure 0007093088000009
以上の結果より、実施処理23と24ですべての根菜が外観は処理前の形を維持していながら、触感は柔らかく、硬さはユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる(区分2)」を満たしていた。このため、塩化カリウムおよび塩化マグネシウムを、塩化カリウムの代わりに使用して軟質食品素材を製造することができる。
実 施 例 8
軟質食品素材製造用の酵素製剤:
以下の成分を、樹脂製の容器に封入して軟質食品素材製造用の酵素製剤を製造した。
(酵素)
ペクチナーゼ※1 1000g
セルラーセ゛とヘミセルラーセ゛の混合酵素※2 1000g
グルコアミラーゼ※4 1000g
※1、※2、※4は[表1]と同様
(可溶性金属塩)
塩化ナトリウム 1000g
実 施 例 9
スチームコンベクションオーブンを用いた軟質レンコンの製造:
レンコンの皮をむき1cmの輪切りにカットして100℃で15分間水茹でしたものを、-10℃で18時間冷凍した後に、室温に4時間放置して解凍した。表10に記載の酵素と塩化ナトリウムを含有する溶液を入れたステンレス製バットに、解凍後のレンコンを入れ、5℃の冷蔵庫内で17時間なじませた後、スチームコンベクションオーブンで昇温した。液温が40℃になってから1時間保持(45℃を超えないようにした)して反応させた後、液温が90℃になるまで加熱し、10分間保持して反応を停止した。次いで、ステンレスバッドの外側から水冷して軟質レンコンを得た。
得られた軟化レンコンは、外観は処理前の形を維持しており、硬さはユニバーサルデザインフードの「歯ぐきでつぶせる(区分2)」を満たしていた。また、この軟化レンコンを用いて調理した筑前煮と照焼きを試食したところ、外観やおいしさは未処理のレンコンを用いたものと変わらず、その食感は歯ぐきでつぶせるほどに柔らかいものであった。
Figure 0007093088000010
本発明の外形が維持された軟質食品素材の製造方法およびこれにより製造される外形が維持された軟質食品素材は、主に介護食として使用される軟化食・やわらか食に利用できる。
以 上

Claims (12)

  1. 次の工程(1)~(3)
    (1)食品素材を加熱した後、冷凍、解凍を行う工程
    (2)常圧下で、解凍した食品素材を、酵素と可溶性金属塩を含有する溶液で処理する工程
    (3)酵素を失活させる工程
    を含むことを特徴とする外形が維持された軟質食品素材の製造方法。
  2. 酵素が、アミラーゼと、アミラーゼ以外の1種以上の酵素である、請求項1記載の外形が維持された軟質食品素材の製造方法。
  3. 食品素材が、野菜類である請求項1または2記載の外形が維持された軟質食品素材の製造方法。
  4. 野菜類が、根菜類である請求項3記載の外形が維持された軟質食品素材の製造方法。
  5. 可溶性金属塩が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1~4の何れかに記載の外形が維持された軟質食品素材の製造方法。
  6. 酵素と可溶性金属塩を含有する溶液における、可溶性金属塩の濃度が0.1~5質量%である請求項1~5の何れかに記載の外形が維持された軟質食品素材の製造方法。
  7. 酵素が、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびグルコアミラーゼである請求項1~6の何れかに記載の外形が維持された軟質食品素材の製造方法。
  8. 製造される軟質食品素材の硬さが、5×10(N/m)以下のものである請求項1~7の何れかに記載の外形が維持された軟質食品素材の製造方法。
  9. 酵素と、可溶性金属塩を含有することを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の外形が維持された軟質食品素材製造方法用の酵素キット。
  10. 可溶性金属塩が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項記載の外形が維持された軟質食品素材製造用の酵素キット。
  11. 酵素が、アミラーゼと、アミラーゼ以外の1種以上の酵素である請求項または10に記載の外形が維持された軟質食品素材製造用の酵素キット。
  12. 酵素が、ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびグルコアミラーゼである請求項11の何れかに記載の外形が維持された軟質食品素材製造用の酵素キット。
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