JP7090712B2 - 区画部材、乗物、及び電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、防音構造体を備えた区画部材、並びに、区画部材が設けられた乗物及び電子機器に係り、特に、膜状部材及びその背面空間により構成された共鳴構造によって吸音する防音構造体を備えた区画部材、並びに、区画部材が設けられた乗物及び電子機器に関する。
建材又は乗物等では、壁を揺らして抜けてくる(透過する)音が騒音として問題になる場合が多い。特に、単周波音の騒音については、人にとって不快(耳障り)であるので対策を講じる必要がある。しかしながら、多孔質の吸音体を用いた従来の消音方法は、単周波音を十分に低減することができない場合があった。
別の消音方法としては、振動体により構成された共鳴構造を採用した防音構造体を用いることが挙げられる。上記の共鳴構造は、振動体と、振動体を振動可能に支持する支持体と、振動体とは反対側で支持体に固定された背面板と、を備える。上記の共鳴構造では、振動体をマスバネ成分とし、振動体、支持体及び背面板に囲まれた背面空間を空気バネ成分とする吸音メカニズムが形成される。この共鳴構造を採用した防音構造体は、例えば、壁等の区画部材に設けられ、区画部材によって区画される二つの空間の一方側に設けられた音源から発せられる騒音の周波数に共鳴周波数を合わせて用いられる。これにより、特定の周波数(すなわち、共鳴周波数と同じ周波数)の音を選択的に吸音することが可能となる。
上記の共鳴構造の一例としては、例えば、特許文献1に記載の共鳴構造が挙げられる。特許文献1には、外部音源からの音波を受けて共鳴する振動板と、振動板の端部を支持しており空気層を囲う枠体と、を備えた吸音体が開示されている。特許文献1に記載の共鳴構造によれば、共鳴周波数と合わせた周波数の音を選択的に吸音することが可能である。
また、共鳴周波数とは異なる周波数にて防音することが可能な共鳴構造も既に知られており、例えば、特許文献2に開示の共鳴構造が挙げられる。特許文献2には、騒音発生振動体(騒音の音源に相当)と連結機構等を介して接続された振動板を有する共鳴器が開示されている。この共鳴器によれば、騒音発生振動体が振動して騒音を発すると、振動体が振動して共鳴器内の体積が変化する。ここで、共鳴器の共振周波数よりも高い周波数では、共鳴器から放射される音と騒音発生振動体から発せられた騒音とが逆位相になるため、これらの音が互いに打ち消し合って消音される。
特開2016-170194号公報 特開平10-205351号公報
ところで、防音構造体の性能に関して言うと、吸音による防音性能よりも遮音による防音性能が要求される場合がある。これに対して、特許文献1に記載の共鳴構造は、主として吸音によって騒音を低減するものであり、遮音効果については不明である。
また、膜状部材を支持体によって支持し、且つ、膜状部材の反対側で背面板が支持体に固定される共鳴構造では、前述したように、膜状部材と支持体と背面板とに囲まれた背面空間が共鳴に寄与する。一方で、本発明者らの検討によれば、上記の共鳴構造において騒音の周波数に共鳴周波数を合わせると、音が背面板を透過し易くなり、単純な板部材よりも遮音性が低下することが明らかとなった。
また、上記の共鳴構造において遮音性を向上させるには、例えば、共鳴構造の共鳴周波数を騒音の周波数に応じて適当な範囲に設定することが考えられる。上述の特許文献2に開示の共鳴構造体では、共鳴器の共振周波数よりも高い周波数において、騒音発生振動体から発せられた騒音を打ち消している。ただし、特許文献2の共鳴構造体では、振動体と騒音発生振動体とを接続させるための剛体(連結機構等)を設ける必要があるが、自動車のロードノイズ又は風切り音のような騒音については、その発生源との接続が困難となる。また、特許文献2に開示の共鳴構造体において、共鳴周波数が消音対象の音の周波数に対して大きくずれてしまうと、消音効果が小さくなる傾向にある。そのため、共鳴周波数も高周波に設定する必要があるが、高周波の共鳴を生じさせる場合には、振動体の振動モードによっては(例えば、基本振動では)共鳴効率が低下することがある。
また、防音構造体の遮音性を向上させる方法としては、構造全体の重量を増やすことが一般的であるが、防音構造体が重量化するほど、防音構造体、あるいは防音構造体が取り付けられた壁等の区画部材が取り扱い難くなる。このため、軽量な構成にて共鳴構造の遮音性を向上させることが求められる。
また、重量による質量則に従う遮音においては、周波数全体にわたって高周波であるほど音を遮る効果が得られる。ただし、特定の周波数の音、又は狭い帯域の周波数の音が騒音である場合に、その騒音を質量則に従って遮ろうとすると、その騒音が周辺の周波数の音と比べて卓越している状態が元の状態と変わらないままで音圧を全体的に小さくすることになる。このため、耳触りとなる特定周波数が周りと比べて強く出ている状態は、変化しないままとなる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。
すなわち、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、軽量な構成にて効率よく騒音を遮音することが可能な防音構造体を備えた区画部材、並びに、この区画部材を用いた電子機器及び乗物を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の区画部材は、二つの空間の一方側にある音源から発せられた騒音を低減する防音構造体を備え、二つの空間を区画する区画部材であって、防音構造体は、開口部を有する支持体と、支持体の開口部が形成された開口面に固定され、騒音が入射されることで振動する膜状部材と、膜状部材とは反対側で支持体に固定された背面板と、を有し、背面板と膜状部材と支持体とに囲まれた背面空間、及び、膜状部材によって構成された共鳴構造によって吸音し、且つ、共鳴構造の共鳴周波数のうち、吸音率が極大となる極大共鳴周波数よりも高い周波数の音を遮音し、極大共鳴周波数が、騒音に対して設定された遮音対象周波数よりも低くなるように設定され、且つ、遮音対象周波数をfnとし、極大共鳴周波数をfrとしたときに、fn/frが1.05~1.50となることを特徴とする。
また、上記の区画部材において、膜状部材及び背面板の各々の少なくとも一部分が、支持体に固定されており、膜状部材の振動が、支持体において膜状部材が固定された部分から背面板が固定された部分に伝播すると、好適である。
また、上記の区画部材において、防音構造体は、複数の膜型共鳴器によって構成されており、膜状部材は、開口面に固定される固定部と、固定部よりも内側に位置した振動可能な部分と、を備えており、複数の膜型共鳴器の各々は、膜状部材の振動可能な部分が振動した際に共鳴構造によって吸音し、複数の膜型共鳴器の各々において、膜状部材の振動可能な部分の振動の、1kHz以上に存在する少なくとも一つの高次振動モードの共鳴周波数における吸音率は、基本振動モードの共鳴周波数における吸音率よりも高く、少なくとも一つの高次振動モードの共鳴周波数は、遮音対象周波数よりも低く設定されていると、好適である。
また、上記の区画部材において、膜状部材のヤング率をE(Pa)とし、膜状部材の厚みをt(m)とし、背面空間の厚みをd(m)とし、膜状部材における振動可能な部分の直径又は円相当直径をΦ(m)とすると、膜状部材の硬さE×t(Pa・m)が、21.6×d-1.25×Φ4.15以上であると、好適である。
さらに、膜状部材の硬さE×t(Pa・m)が2.49×10-7以下であると、より好適である。
また、上記の区画部材において、防音構造体は、複数の膜型共鳴器によって構成されており、複数の膜型共鳴器のうち、少なくとも二つの膜型共鳴器の種類が互いに異なっていると、好適である。
また、上記の区画部材において、膜状部材は、開口面に固定される固定部と、固定部よりも内側に位置した振動可能な部分と、を膜型共鳴器別に備えており、膜型共鳴器別に備えられた固定部及び振動可能な部分は、同一の膜状部材中に配置されており、種類が異なる少なくとも二つの膜型共鳴器の間では、背面空間の体積が互いに異なっていると、より好適である。
また、上記の区画部材において、防音構造体は、複数の膜型共鳴器によって構成されており、膜状部材は、開口面に固定される固定部と、固定部よりも内側に位置した振動可能な部分と、を備えており、複数の膜型共鳴器の各々は、膜状部材の振動可能な部分が振動した際に共鳴構造によって吸音し、複数の膜型共鳴器の少なくとも1つにおいて、膜状部材の振動可能な部分に貫通孔が形成されていると、好適である。
また、上記の区画部材において、防音構造体は、背面空間内、又は、膜状部材に接する位置に設けられた多孔質吸音体を更に有すると、好適である。
また、上記の区画部材において、防音構造体は、膜状部材が音源側を向いた状態で配置されていると、好適である。
また、上記の区画部材において、区画部材の表面の少なくとも一部分に防音構造体が配置されていると、好適である。
また、上記の区画部材において、膜状部材の厚みが10μm~200μmであると、好適である。
また、上記の区画部材において、背面空間の厚みが0.5mm~10mmであると、好適である。
また、上記の区画部材において、fn/frが1.10~1.35となると、好適である。
また、前述した課題を解決するために、本発明の乗物は、上述した区画部材のうち、いずれか一つの区画部材が、モータ、インバータ、エンジン、及びタイヤのうちの少なくとも一方の機器が配置された空間と、乗員が乗る空間と、の間に配置されていることを特徴とする。
また、前述した課題を解決するために、本発明の電子機器は、筐体内に音源を備え、且つ、上述した区画部材のうち、いずれか一つの区画部材が筐体のうちの少なくとも一部分、又は、筐体内に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、軽量な構成にて効率よく騒音を遮音することが可能な防音構造体を備えた区画部材、並びに、この区画部材を用いた電子機器及び乗物を提供することが可能である。
本発明の一例に係る区画部材の模式的な正面図である。 図1のI-I断面を示す模式図である。 本発明の区画部材が有する防音構造体の分解機器図である。 防音構造体の変形例を示す図であり、枠のサイズが異なっている構成の断面図である。 防音構造体の変形例を示す図であり、枠の開口部内に板体を嵌め込んだ構成を示す断面図である。 防音構造体の変形例を示す図であり、膜状部材に貫通孔が形成された構成を示す断面図である。 防音構造体の変形例を示す図であり、背面空間内に多孔質吸音体が配置された構成を示す断面図である。 本発明に係る膜型共鳴体の吸音率及び透過損失差を示す図である。 本発明に係る膜型共鳴体の透過損失を示す図である。 膜の厚みが250μmであるときの透過損失差のシミュレーション結果を示す図である。 膜の厚みが180μmであるときの透過損失差のシミュレーション結果を示す図である。 背面板の厚みが2mmである場合の周波数比率(fn/fr)を示す図である。 背面板の厚みが1mmである場合の周波数比率(fn/fr)を示す図である。 膜状部材の厚みが100μmであるときの透過損失差のシミュレーション結果を示す図である。 膜状部材の厚みが100μmである場合の周波数比率(fn/fr)を示す図である。 膜状部材の厚みが50mmである場合の周波数比率(fn/fr)を示す図である。 共鳴構造の膜面側から音が平面波状に入射された場合の吸音率をシミュレーションしたときの計算結果を示す図である。 共鳴構造の膜面側から音が平面波状に入射された場合の透過損失をシミュレーションしたときの計算結果を示す図である(その1)。 共鳴構造の膜面側から音が平面波状に入射された場合の透過損失をシミュレーションしたときの計算結果を示す図である(その2)。 実施例1で作製した防音構造体について求めた吸音率を示す図である。 実施例1で作製した防音構造体とアクリル板単体の各々について求めた透過損失の差分を示す図である。 実施例2で作製した防音構造体を用いたとき、及び、アクリル板単体を用いたときの、それぞれの透過音圧量の測定結果を示す図である。 実施例2で作製した防音構造体を用いた場合とアクリル板単体を用いた場合との間の透過音圧量の差分を示す図である。 背面空間の厚みを1mm~6mmまで1mmずつ変化させて透過損失をシミュレーションしたときの計算結果を示す図である。 膜状部材の厚みを10μm~50μmまで10μmずつ変化させて透過損失をシミュレーションしたときの計算結果を示す図である。 膜状部材の厚みを60μm~100μmまで10μmずつ変化させて透過損失をシミュレーションしたときの計算結果を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5度未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。
本明細書において、「同じ」、「同様」及び「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」及び「全面」等というとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、又は90%以上である場合を含むものとする。
[区画部材]
本発明の区画部材は、二つの空間を区画する部材であって、二つの空間の一方側にある音源から発せられた騒音を低減する防音構造体を備える。防音構造体は、開口部を有する支持体と、支持体の開口部が形成された開口面に固定される膜状部材と、膜状部材とは反対側で前記支持体に固定された背面板と、有する。防音構造体は、膜状部材に騒音が入射されることで膜状部材が振動することで防音する。より詳しく説明すると、防音構造体は、背面板と膜状部材と支持体とに囲まれた背面空間、及び、膜状部材によって構成された共鳴構造によって吸音する。また、防音構造体は、共鳴構造の共鳴周波数のうち、吸音率が極大となる極大共鳴周波数よりも高い周波数の音を遮音する。ここで、極大共鳴周波数は、騒音に対して設定された遮音対象周波数よりも低くなるように設定されている。さらに、遮音対象周波数をfnとし、極大共鳴周波数をfrとしたときには、fn/frは、1.05~1.50となる。
以上のように構成された本発明の区画部材では、その区画部材に備えられた防音構造体が、軽量な構成にて効率よく騒音を遮音することができる。この結果、防音効果として特に遮音性が求められる環境等において好適に防音することが可能である。
ここで、「防音」とは、音響特性として、「遮音」と「吸音」の両方の意味を含む概念である。また、「遮音」は、「音を遮蔽する」こと、すなわち「音を透過させない」こと、分かり易くは「音を反射する」こと(音響の反射)、及び「音を打ち消し合う」こと(音響の打ち消し合い)である。「吸音」は、「音を反射させない」こと、すなわち「音の反射を少なくする」こと、分かり易くは「音を吸収する」こと(音響の吸収)である。(三省堂 大辞林(第三版)、並びに、日本音響材料学会のウェブページのhttp://www.onzai.or.jp/question/soundproof.html、及びhttp://www.onzai.or.jp/pdf/new/gijutsu201312_3.pdf参照)
また、「遮音対象周波数」とは、例えば、騒音の音圧が周波数幅の狭いピーク音となる周波数帯域が該当し、より具体的には、騒音の特定周波数が該当する。
以下、本発明の区画部材の一例(以下、区画部材10)について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、区画部材10の模式的な正面図である。図2は、区画部材10が有する防音構造体20の模式的な断面図であり、図1のI-I断面を示す図である。
区画部材10は、上述したように二つの空間を区画する部材であり、壁、天井、床、ドア、間仕切り、パーテーション、機器及び装置の内部に配置される仕切り材、筐体、並びにケースカバー等として利用される略板状の部材(例えば、パネル又はボード)である。なお、区画部材10は、その周辺部材(例えば、隣接する壁部材等)とともに上記二つの空間を隙間なく区画する(厳密には、僅かに空気が通過する程度の隙間が残る場合を含む)。
区画部材10によって区画される二つの空間のうちの一方側には、音源が配置されている。音源としては、例えば、モータ及びファン等の回転部品;インバータ、パワーサプライ、昇圧器、昇圧コンバータ及びインバータを含むパワーコントロールユニット(PCU)、大容量コンデンサ、セラミックコンデンサ、インダクタ、コイル、並びに、スイッチング電源及びトランス等の電気制御装置を含む電子部品;ギア、又はアクチュエータによる移動機構等の機械部品が挙げられる。
音源からは音(騒音)が発生し、その騒音は、空気中を伝播する。具体的に説明すると、音源がインバータ等の電子部品である場合には、キャリア周波数に応じた音(スイッチングノイズ)が発生する。音源がモータ又はファン等の回転機器である場合には、その回転数に応じた周波数の音(電磁騒音)が発生する。このとき、発生する音の周波数は、必ずしも回転数、又はその倍数に限る訳ではないが、回転数を大きくすることで、より高周波の音が発生するといった強い関連性が見られる。すなわち、音源はそれぞれ、音源固有の周波数の音を発生する。固有周波数にて音を発生する音源に関しては、特定周波数を発振するような物理的若しくは電気的メカニズムを有するものが多い。例えば、ファンなどの回転系は、その回転数に羽根枚数を乗じた値で決まる周波数の音又はその倍数の周波数の音が発せられる。また、インバータ等の交流電気信号を受ける部分は、その交流の周波数に対応する音を発振する場合が多い。
なお、音源が固有の周波数を有するか否かについては、下記の実験にて判定することができる。
音源を無響室内、半無響室内、若しくはウレタン等の吸音体で囲まれた空間内に配置する。このように音源周辺に吸音体を配置することで、部屋及び測定系の反射干渉による影響を排除することができる。その上で、音源から音を発生させ、音源から離れた位置から上記の音をマイクで集音して測定し、その周波数情報を取得する。音源とマイクとの距離については、音源及び測定系のサイズに応じて適宜選択できるが、約30cm以上離れていることが望ましい。
区画部材10は、図1及び2に図示の防音構造体20を備える。この防音構造体20により、音源から発せられた騒音が低減される。この結果、区画部材10によって区画された二つの空間のうち、音源が設置されている側の空間から音源が設置されていない側の空間への騒音の伝播が抑えられる。
なお、防音構造体20が区画部材10の表面の少なくとも一部分を構成しており、図1に図示の構成では、縁部を除き、区画部材10の表面の略全面を構成している。ただし、これに限定されるものではなく、区画部材10の表面の一部分(例えば、中央部分)が防音構造体20によって構成されてもよい。また、区画部材10の外表面に防音構造体20が取り付けられてもよく、あるいは、区画部材10の内部に防音構造体20が配置されてもよい。
区画部材10は、建物内の間仕切りとして好適に利用することが可能である。区画部材10を建物用の間仕切りとして利用すれば、例えば、区画部材10により区画された室(部屋)において、他の室にある音源から発生された音が伝播してくるのを抑える(厳密には遮音する)ことが可能となる。
なお、建物用の間仕切りとしては、壁、ドア、パーテーション及び衝立、シャッター、床、並びに天井等が挙げられる。
また、区画部材10は、外壁に囲まれた空間内に音源を備えた電子機器において好適に利用することが可能である。具体的には、電子機器の筐体の少なくとも一部、又は、筐体内に区画部材10が配置されているのがよい。このような構成であれば、電子機器内の音源から発せられた騒音が電子機器外へ伝播するのを抑える(具体的には遮音する)ことが可能となる。特に、区画部材10を、外壁に囲まれた空間内に設けられた音源(例えばモータ、インバータ又はパワーコントロールユニット等)のカバーとして用いた場合には、音源から発せられる特徴的な騒音、例えば単周波音を抑える(遮音する)ことができる。
なお、電子機器としては、空調機(エアコン)、エアコン室外機、給湯器、換気扇、冷蔵庫、掃除機、空気清浄機、扇風機、食洗機、電子レンジ、洗濯機、テレビ、携帯電話、スマートフォン、及びプリンター等の家庭用電気機器;複写機、プロジェクター、デスクトップPC(パーソナルコンピューター)、ノートPC、モニター、及びシュレッダー等のオフィス機器;サーバー及びスーパーコンピューター等の大電力を使用するコンピューター機器;恒温槽、環境試験機、乾燥機、超音波洗浄機、遠心分離機、洗浄機、スピンコーター、バーコーター、及び搬送機等の科学実験機器が挙げられる。
また、区画部材10は、内部に乗員が乗る乗物において好適に用いることが可能である。具体的には、モータ、インバータ、エンジン、及びタイヤのうちの少なくとも一方の機器が配置された空間と、乗員が乗る空間と、の間に区画部材10が配置されているとよい。より詳しくは、乗員が着座する座席と音源との間に、防音構造体20を備えた区画部材10が配置されていればよい。例えば、ハイブリッド自動車又は電気自動車においてモータが自動車下面、車軸、又はタイヤ部に配置されている場合には、モータと車室との間に、区画部材10からなる車室フロアを配置するのが望ましい。また、ハイブリッド自動車又は電気自動車のフロント部分(ガソリン駆動車のエンジンルームに相当する部分)にモータ及びインバータが収容されている場合には、モータ及びインバータと車室との間に、区画部材10からなるダッシュインシュレータを配置するのが望ましい。以上の構成によれば、乗物内において音源から発せられた騒音が乗員の場所(乗員が居る空間)まで伝播するのを抑え、上記の騒音を遮音することが可能となる。
なお、乗物としては、電動の自動車(バス又はタクシー等を含む)、電車、航空機器(飛行機、戦闘機又はヘリコプター等)、船舶、航空宇宙機器(ロケット等)、及びパーソナルモビリティー等が挙げられる。特に、ハイブリッド自動車、電気自動車及びPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)においては、内部に搭載されるモータ及びパワーコントロールユニット(インバータ及びバッテリ電圧昇圧ユニット等を含む)などに起因する特有の騒音が車室内で聞こえることが問題となる。
<防音構造体>
本発明の区画部材10が有する防音構造体(以下、防音構造体20)について、図2及び図3を参照しながら説明する。図3は、防音構造体20の分解機器図である。なお、図3には、支持体24の構成をする枠26、膜状部材30を構成する膜32、及び、背面板40を構成する板体44を、それぞれ一つ分だけ破線にて図示している。
防音構造体20は、区画部材10によって隙間がない(あるいは、僅かな隙間が形成された)状態で区画された二つの空間のうちの一方から他方に向かって、空気を伝播する騒音を低減するものである。防音構造体20の構成について概説すると、防音構造体20は、図2及び図3に示すように、支持体24、膜状部材30及び背面板40を主な構成要素として有する。
支持体24は、開口部28を有する部材であり、膜状部材30を振動可能な状態で支持する。膜状部材30は、シート、フィルム又は薄板により構成されており、支持体24の開口部28が形成された開口面24sに、開口部28を塞ぐ位置にて固定されている。膜状部材30は、その表面のうち、開口部28に面している部分に騒音が入射されることで振動する。つまり、膜状部材30は、支持体24の開口面24xを覆った状態で支持体24に固定されることにより、支持体24に振動可能に支持されている。
背面板40は、十分な厚み及び平面サイズを有する板体であり、例えば、区画部材10が壁体である場合には、その壁体の本体部分を構成する。また、背面板40は、膜状部材30とは反対側で支持体24に固定されている。より詳しく説明すると、背面板40は、膜状部材30の反対側で開口部28を塞ぐように支持体24に固定されている。これにより、防音構造体20には、背面板40と膜状部材30と支持体24とに囲まれたスペース(以下、背面空間42)が形成されている。なお、図2に図示の構成において、背面空間42は、閉じた空間である。
また、膜状部材30及び背面板40の各々は、上述したように、それぞれの少なくとも一部分にて支持体24に固定されている。このため、膜状部材30が振動すると、その振動が、支持体24において膜状部材30が固定された部分から背面板40が固定された部分に伝播するようになる。
上記のように構成された防音構造体20は、膜状部材30及び背面空間42によって構成された共鳴構造(厳密には、膜型共鳴構造)によって吸音する。つまり、防音構造体20の防音メカニズムは、膜状部材30をマスバネ成分とし、背面空間42を空気バネ成分として形成されている。そして、膜状部材30に騒音が入射されると、膜状部材30が共鳴周波数にて振動し、これに連動して、背面空間42内の空気が断熱圧縮及び断熱膨張を繰り返す。これにより、騒音のエネルギーが熱エネルギーによって変換されて騒音が吸音される。
ここで、上記の共鳴構造の共鳴周波数の中には、吸音率が極大値(以下、ピークとも言う)に達する共鳴周波数が存在する。このピーク周波数(すなわち、極大共鳴周波数であり、以下では、便宜上、単に「共鳴周波数」とも言う)は、膜状部材30の密度及び重量、並びに背面空間42の厚み等を変更することで、容易に調整することが可能である。
なお、騒音をより効果的に防音する目的から、区画部材10において、防音構造体20は、膜状部材30が音源側を向いた状態で配置されているのが好ましい。ただし、区画部材10を配置する際の防音構造体20の向き(具体的には、膜状部材30が面する向き)については、特に限定されるものではなく、用途等に応じて適宜設定すればよい。
次に、防音構造体20の詳細構成について説明する。防音構造体20は、図1に示すように、平面状に並べられた複数の膜型共鳴体22(図1に図示の構成では、縦4個×横3個の計12個)によって構成されている。換言すると、本発明の防音構造体20は、一つの膜型共鳴体22を一単位(セル)とし、連続して並んだ複数のセルを一つのユニットとして一体化させたものである。なお、防音構造体20を構成する膜型共鳴体22の数については、特に限定がなく、一つのみであってもよく、あるいは二つ以上であってもよい。
複数の膜型共鳴体22の各々は、膜状部材30、支持体24及び背面板40によって構成されている。なお、図3に図示の構成では、一枚の膜状部材30、一つの支持体24及び一つの背面板40を重ねる(積層させる)ことで、複数の膜型共鳴体22がまとめて同時に作成される。以下、膜状部材30、支持体24及び背面板40のそれぞれについて詳しく説明する。
支持体24は、図3に示すように、矩形状の枠26を複数配置されて構成されている。より具体的には、列状に並んだ複数の枠26(枠列)が、枠列と直交する方向に少なくとも一つ以上設けられている。各枠26には、平面視したときの開口形状が略正方形となった開口部28が形成されている。
各枠26は、膜型共鳴体22を構成する。また、各枠26の一端面(枠26の厚み方向における端面)には、膜状部材30中、対応する膜32が開口部28を塞ぐように固定される。これにより、各枠26は、対応する膜32を振動可能な状態で支持する。また、膜32の背側には、枠26のサイズ及び形状に応じた背面空間42が形成される。
なお、図2に図示の構成では、各枠26のサイズ及び形状(厳密には、平面視でのサイズ及び形状)が膜型共鳴体22間で揃っている。ただし、これに限定されるものではなく、図4に示すように、少なくとも二つの膜型共鳴体22の間で枠26のサイズ及び形状が異なっていてもよい。図4は、防音構造体20の変形例を示す図であり、枠26のサイズが異なっている構成の断面図である。
図4に図示の構成において、枠26のサイズ及び形状が異なると、膜32の振動部分の面積と背面空間42の体積が異なることになる。また、これらの条件が異なることは、その膜32の振動部分及び背面空間42が形成された膜型共鳴体22の種類が異なることを意味する。つまり、複数の膜型共鳴体22は、すべて同じ種類であってもよく、あるいは、少なくとも二つの膜型共鳴体22の種類が互いに異なっていてもよい。換言すると、少なくとも二つの膜型共鳴体22の間で背面空間42の体積が互いに異なっていてもよい。
また、開口部28の開口形状については、特に制限はなく、例えば、長方形、菱形、平行四辺形及び台形等のような他の四角形、正三角形、直角三角形及び二等辺三角形を含む三角形、正五角形及び正六角形等の正多角形を含む多角形、円形若しくは楕円等であってもよいし、あるいは不定形であってもよい。また、枠26は、開口部28の全周を取り囲んだ閉断面構造であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、開口部28の周囲における一部分が欠落した不連続構造であってもよい。
各枠26の材料、すなわち支持体24の材料は、膜32を支持でき、騒音の音源に適用するのに適した強度を持ち、防音環境に対して耐性があれば、特に制限的ではなく、音源及び防音環境等に応じて選択することができる。例えば、支持体24の材料としては、金属材料、樹脂材料、強化プラスチック材料、及び、カーボンファイバ等を挙げることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、銅、及びこれらの合金等の金属材料を挙げることができる。また、樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、ABS樹脂(アクリロニトリル(Acrylonitrile) ブタジエン(Butadiene) スチレン(Styrene)共重合合成樹脂)、ポリプロピレン、及び、トリアセチルセルロース等の樹脂材料を挙げることができる。また、強化プラスチック材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、及び、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)を挙げることができる。また、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、シリコーンゴム等、並びにこれらの架橋構造体を含むゴム類も利用可能である。また、上述した材料のうち、いくつかの種類の材料を組み合わせて用いてもよい。
また、支持体24の材料としては、ハニカムコア材料を用いることもできる。ハニカムコア材料は、軽量で高剛性材料として用いられているため、既製品の入手が容易である。一例を挙げると、アルミハニカムコア、FRPハニカムコア、ペーパーハニカムコア(新日本フエザーコア株式会社製、昭和飛行機工業株式会社製など)、及び、熱可塑性樹脂(具体的には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)など)からなるハニカムコア(岐阜プラスチック工業株式会社製 TECCELLなど)等、様々な素材で形成されたハニカムコア材料を支持体24として使用することが可能である。
また、支持体24の材料としては、発泡材料、中空材料及び多孔質材料を用いることもできる。多数の膜型の防音構造体を用いる場合において、各セル間で通気しない構成とするためには、例えば独立気泡の発泡材料などを用いて枠を形成することができる。具体的には、例えば、独立気泡ポリウレタン、独立気泡ポリスチレン、独立気泡ポリプロピレン、独立気泡ポリエチレン、及び独立気泡ゴムスポンジなど様々な素材を選ぶことができる。独立気泡体は、連続気泡体と比較すると、音、水及び気体を通さず、また構造強度が大きいため、支持体24の材料として用いるのに適している。また、後述の多孔質吸音体50が十分な支持性を有する場合は、支持体24を多孔質吸音体のみで形成してもよく、多孔質吸音体50及び支持体24の材料として挙げたものを、例えば混合又は混錬等により組み合わせて用いてもよい。このように内部に空気を含む材料系を用いることでデバイスを軽量化することができ、さらに、断熱性を付与することができる。
また、図3に図示の構成では、支持体24が、複数の枠26が一体化して一つの集合体をなしたもの、具体的には、互いに直交する2つの方向のそれぞれに延出する部分を複数本ずつ有する格子状部材によって構成されている。ただし、これに限定されるものではなく、各枠26が分離している(つまり、膜型共鳴体22別に支持体24が分かれている)構成であってもよい。
膜状部材30は、矩形状の膜32を複数並べて構成されている。膜32は、膜型共鳴体22を構成する要素であり、膜状部材30において膜型共鳴体22と同じ数、すなわち、枠26と同数だけ設けられている。また、膜状部材30中の各膜32と支持体24中の各枠26とは、互いに対応しており、例えば、正面視で膜状部材30の右上角部に位置する膜32は、支持体24の右上角部に位置する枠26と対応する。そして、各膜32は、対応する枠26の一端面(開口面24s)に、開口部28を塞ぐ位置にて固定される。
各膜32(膜状部材30)は、図2に示すように、対応する枠26(支持体24)の開口面24sに固定される固定部34と、固定部34より内側に位置した振動可能な部分36と、を有する。固定部34は、膜32の外縁部に位置し、対応する枠26の開口部28周りの部分(縁部)に固定される。振動可能な部分36は、略正方形状であり、開口部28に面する部分である。なお、振動可能な部分36の形状は、特に限定されるものではなく、枠26の開口形状に応じて決まるものであるため、例えば、開口形状が円形であった場合には、膜32の振動可能な部分36も円形状となる。
また、図2及び図3に図示の構成では、膜32の振動可能な部分36のサイズ及び形状(平面視でのサイズ及び形状)が膜型共鳴体22の間で揃っている。ただし、これに限定されるものではなく、少なくとも二つの膜型共鳴体22の間で膜32の振動可能な部分36のサイズ及び形状が異なっていてもよい。ここで、振動可能な部分36のサイズは、円以外の形状である場合には円相当直径(その形状の面積と等しい面積となった円の直径)で表され、円形状である場合には、その円の直径で表される。
なお、枠26への膜32の固定方法については、特に限定されるものではなく、膜32が振動可能な状態で枠26に固定される方法であれば制限なく利用可能であり、例えば、両面テープ又は接着剤を用いる方法、あるいは物理的な固定具を用いる方法等を挙げることができる。両面テープを用いる場合には、例えば、スリーエム社製の高耐熱両面粘着テープ9077等を挙げることができる。接着剤を用いる場合には、例えば、接着剤を枠26の一端面(開口面24s)上に塗布し、塗布された接着剤の上に膜32を載置して枠26に固定する。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤(アラルダイト(登録商標)(ニチバン社製)等)、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルフア(登録商標)(ニチバン社製)等)、及びアクリル系接着剤等を挙げることができる。物理的な固定具を用いる場合には、例えば、開口部28を塞ぐ位置に配置された膜32を枠26と棒等の固定部材(不図示)との間に挟み込み、この固定部材をネジ又はビス等の固定具を用いて枠26に締結することで、膜32を枠26に固定する。
各膜32の材料、すなわち膜状部材30の材料は、騒音の音源に適用するのに適した強度を持ち、防音環境に対して耐性があり、且つ騒音が入射された際に振動することができるものであれば、特に制限的ではなく、音源及び防音環境等に応じて選択することができる。例えば、膜状部材30の材料としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、パーマロイ、42アロイ、コバール、ニクロム、銅、ベリリウム、リン青銅、黄銅、洋白、錫、亜鉛、鉄、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、パラジウム、鋼鉄、タングステン、鉛、及び、イリジウム等の各種金属;PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PMP(ポリメチルペンテン)、COP(シクロオレフィンポリマー)、ゼオノア、ポリカーボネート、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PAR(ポリアリレート)、アラミド、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルフォン)、ナイロン、PEs(ポリエステル)、COC(環状オレフィン・コポリマー)、ジアセチルセルロース、ニトロセルロース、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリアミドイミド、POM(ポリオキシメチレン)、PEI(ポリエーテルイミド)、ポリロタキサン(スライドリングマテリアルなど)、及び、ポリイミド等の樹脂材料等が利用可能である。さらに、薄膜ガラスなどのガラス材料、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)及びGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)のような繊維強化プラスチック材料を用いることもできる。また、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、EPDM(Ethylene Propylene Dinene Methylene linkage)、シリコーンゴム等、並びにこれらの架橋構造体を含むゴム類を用いることができる。あるいは、上記に列挙した材質を組み合せたものでもよい。
また、金属材料を用いる場合には、錆びの抑制等の観点から、表面に金属めっきを施してもよい。
また、環境温度が変化する系では、枠26の材料と膜32の材料とが同一であるか、少なくとも両材料の熱膨張係数(線膨張係数)が近い値をとることが望ましい。枠26及び膜32の間で熱膨張係数が大きく異なると、環境温度が変化した場合に枠26と膜32の変位量が異なるため、膜32に歪みが生じ易くなる。歪み及び張力変化は、膜32の共鳴周波数に影響を与えるため、温度変化に伴って消音周波数が変化し易くなり、また温度が元の温度に戻っても歪みが緩和せずに消音周波数が変化したままになる場合がある。これに対して、熱膨張係数を近い値に合わせた場合には、枠26と膜32が同様に伸び縮みするために歪みが生じ難くなる結果、環境温度の変化に対して安定した系とすることができる。
また、図3に図示の構成では、膜状部材30が、複数の膜32を連ねて一枚の広いシート体をなしたものである。すなわち、図3に図示の構成では、膜型共鳴体22別に設けられた膜32(固定部34及び振動可能な部分36)が同一の膜状部材30中に配置されている。このような構成であれば、支持体24の開口面24sの全面を覆うように膜状部材30を重ねて支持体24に固定することで、支持体24中のすべての枠26に膜32をまとめて固定することが可能である。これにより、複数の膜型共鳴体22の各々において、膜32が同一平面上に位置した状態で(段差なく)、膜32を枠26に固定することができる。
ただし、これに限定されるものではなく、各膜32が分離している(つまり、膜型共鳴体22別に膜状部材30が分かれている)構成であってもよい。かかる構成では、膜型共鳴体22別の膜状部材30を、それぞれ個別に枠26(支持体24)に固定することになる。あるいは、これらの中間として、帯状の膜状部材30(複数の膜32を連ねた分のサイズに成形された膜状部材30)を複数の枠26のうち、連続した二つ以上の枠26に固定し、単票状の膜状部材30(単一の膜32のサイズに成形された膜状部材30)を残りの枠26の各々に個別に固定してもよい。
また、膜型共鳴体22別に膜状部材30が分かれている場合、各膜状部材30(すなわち、膜32)の厚み及び材質の各々については、膜状部材30間で揃っていてもよく、あるいは、少なくとも二つ以上の膜状部材30の間で異なっていてもよい。
背面板40は、一枚の板体で構成されてよく、あるいは、矩形状の板体44を複数並べて構成されていてもよいが、以下では、背面板40が複数の板体44によって構成されている構成を例に挙げて説明する。板体44は、膜型共鳴体22を構成する要素であり、背面板40において膜型共鳴体22と同じ数、すなわち、枠26と同じ数だけ設けられている。また、背面板40中の各板体44と支持体24中の各枠26とは、互いに対応しており、例えば、正面視で背面板40の右上角部に位置する板体44は、支持体24の右上角部に位置する枠26と対応する。そして、各板体44は、対応する枠26に、膜32とは反対側で開口部28を塞ぐ位置にて固定される。より詳しく説明すると、各板体44は、図2に示すように、対応する枠26の、膜32とは反対側の端面と同一サイズの表面を有しており、この面の外縁部と枠26の端面の外縁部(開口部28の周辺部分)とを接合させることで固定される。
図2及び図3に図示の構成では、板体44のサイズ及び形状(平面視でのサイズ及び形状)が膜型共鳴体22の間で揃っている。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、膜型共鳴体22の間で枠26のサイズ及び形状が異なっている場合には、これに対応する形で、板体44のサイズ及び形状も膜型共鳴体22間で異なっていてもよい。
なお、枠26への板体44の固定方法については、特に限定されるものではなく、膜32の反対側で開口部28を塞ぐように板体44を枠26に固定する方法であれば制限なく利用可能であり、例えば、両面テープ又は接着剤を用いる方法、あるいは物理的な固定具を用いる方法等を挙げることができる。両面テープを用いる場合、上述の両面テープが利用可能である。接着剤を用いる場合には、例えば、接着剤を枠26の端面(膜32とは反対側の端面)上に塗布し、塗布された接着剤の上に板体44を載置して枠26に固定する。接着剤としては、先に列挙した接着剤が利用可能である。また、板体44により構成される背面板40側に接着剤を塗布して枠26を固定してもよい。なお、仮に背面板40全体に接着剤を塗布しても、背面空間42が確保されていれば、音響特性を得ることが可能である。物理的な固定具を用いる場合には、例えば、板体44の外縁部を枠26の端面の外縁部に突き当てて、外縁部同士をネジ又はビス等の固定具によって締結することで板体44を枠26に固定する。
また、枠26における板体44の固定位置に関して言うと、図3に示すように枠26の端面に板体44を固定してもよい。あるいは、図5に示すように、枠26に形成された開口部28内に、開口部28の外縁に対応させて成形された板体44を嵌め込み、板体44の側端と開口部28の内壁面とを接合させて固定してもよい。図5は、防音構造体20の変形例を示す図であり、枠26の開口部28内に板体44を嵌め込んだ構成を示す断面図である。
各板体44の材料、すなわち背面板40の材料は、騒音の音源に適用するのに適した強度を持ち、防音環境に対して耐性があれば、特に制限的ではなく、音源及び防音環境等に応じて選択することができる。具体的には、支持体24の材料として上述した材料を挙げることができる。また、支持体24の材料として列挙したもののうち、複数種を組み合わせて背面板40の材料として用いてもよい。また、背面板40の材料として、支持体24と同様、ハニカムコア材料を用いることもできる。背面板40として用いられるハニカムコア材料としては、支持体24の材料として上述したハニカムコア材料と同種の材料を使用することが可能である。
また、図3に図示の構成では、背面板40が、複数の板体44を連ねて一枚の広いボード体をなしたものである。このような構成であれば、支持体24の、膜状部材30とは反対側に位置する端面の全面を覆うように背面板40を重ねて固定することで、支持体24中のすべての枠26に板体44をまとめて固定することが可能である。ただし、これに限定されるものではなく、各板体44が分離している(つまり、膜型共鳴体22別に背面板40が分かれている)構成であってもよい。かかる構成では、膜型共鳴体22別の背面板40を、それぞれ個別に枠26(支持体24)に固定することになる。あるいは、これらの中間として、複数の板体44を連ねた分のサイズに成形された背面板40を複数の枠26のうち、連続した二つ以上の枠26に固定し、単一の板体44のサイズに成形された背面板40を残りの枠26の各々に個別に固定してもよい。
以上のように構成された防音構造体20によれば、複数の膜型共鳴体22の各々が、騒音が膜32(膜状部材30)の振動可能な部分36に入射されて振動可能な部分36が振動した際に、その共鳴構造(厳密には、膜型共鳴構造)によって吸音する。この際、各膜型共鳴体22では、膜32(膜状部材30)の振動可能な部分36の振動の、1kHz以上に存在する少なくとも一つの高次振動モードの共鳴周波数における吸音率が、基本振動モードの共鳴周波数における吸音率よりも高い設計を行うこともできる(例えば、図8参照)。このような状態は、背面空間42の厚み、並びに、膜状部材30(厳密には、各膜32の振動可能な部分36)の大きさ、厚み及び硬さ等を適宜調整することにより実現することが可能である。
具体的に説明すると、背面空間42の厚み(図2中、記号dにて示す)は、20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、小型化と高次振動による吸音のためには0.5mm~6mmが一層好ましく、1mm~5mmがさらに好ましく、1mm~3mm以下が尚好ましく、膜型共鳴体22の更なる小型化を図る観点からは1mm~2mmが特に好ましい。なお、背面空間42の厚みが一様でない場合には、平均値が上記範囲であればよい。
また、膜状部材30の厚み(図2中、記号tにて示す)は、10μm~200μmが好ましく、20μm~150μm以下がより好ましく、30μm~100μmがさらに好ましい。なお、膜状部材30の厚みが一様でない場合には、平均値が上記範囲であればよい。
また、膜状部材30の硬さを示すヤング率は、1000Pa~1000GPaであることが好ましく、10000Pa~500GPaであることがより好ましく、1MPa~300GPaであることが特に好ましい。なお、膜状部材30のヤング率が一様でない場合には、平均値が上記範囲であればよい。
膜状部材30の密度は、10kg/m3~30000kg/m3であることが好ましく、100kg/m3~20000kg/m3であることがより好ましく、500kg/m3~10000kg/m3であることが特に好ましい。なお、膜状部材30の密度が一様でない場合には、平均値が上記範囲であればよい。
膜状部材30の大きさ、より詳しくは、膜32の振動可能な部分36の直径又は円相当直径(図2中、記号Laにて示す)は、1mm~100mmが好ましく、3mm~70mmがより好ましく、5mm~50mmが特に好ましい。
ここで、本発明者らは、防音構造体20において高次振動モードが励起されるメカニズムについて、より詳細に検討した。その結果、膜状部材30のヤング率をE(Pa)とし、膜状部材30の厚みをt(m)とし、背面空間42の厚み(背面距離)をd(m)とし、膜状部材30の振動可能な部分36の直径又は円相当直径をΦ(m)としたときに、膜状部材30の硬さE×t3(Pa・m3)が、21.6×d-1.25×Φ4.15以下であることが好ましいことが分かった。
また、膜状部材30の硬さの条件に関して係数aを用いてa×d-1.25×Φ4.15と表すと、係数aが、11.1以下、8.4以下、7.4以下、6.3以下、5.0以下、4.2以下、3.2以下と係数aが小さくなるほど好ましいことが分かった。
また、膜状部材30の硬さE×t3(Pa・m3)は、2.49×10-7以上であることが好ましく、7.03×10-7以上であることがより好ましく、4.98×10-6以上であることがさらに好ましく、1.11×10-5以上であることがよりさらに好ましく、3.52×10-5以上であることが特に好ましく、1.40×10-4以上であることが最も好ましいことが分かった。
膜状部材30の硬さE×t3(Pa・m3)を上記の範囲とすることで、防音構造体20において高次振動モードを好適に励起することができる。この場合には、高次振動モードにおける吸音率を基本振動モードにおける吸音率よりも高くすることができる。ここで、「膜状部材30の硬さ」とは、ゼロテンションとした場合、すなわち、伸ばされることなく、例えば、膜状部材30を支持体24にただ乗せた状態で支持体24に取り付けたときの硬さである。なお、膜状部材30に張力を掛けた状態で膜状部材30を支持体24に取り付けた場合には、膜状部材30のヤング率Eに対して張力込みの補正を施して膜状部材30の硬さを求めてもよい。
また、背面空間42は、支持体24と膜状部材30と背面板40とに完全に囲まれた閉空間としたが、これに限定されず、空気の流れが阻害されるように空間が略仕切られていればよく、膜状部材30又は他の部材の少なくとも一方に穴又は切込み等の開口が設けられてもよい。かかる構成は、温度変化等によって背面空間42内の空気の体積が増加して膜状部材30に張力が付加されて膜状部材30の硬さが変化して吸音特性が変化してしまうのを回避することができる点で好ましい。開口を設ける方法としては、例えば、複数の膜型共鳴器22の少なくとも一つにおいて、図6に示すように、膜32(膜状部材30)の振動可能な部分36に貫通孔38を形成するのが好適である。図6は、防音構造体20の変形例を示す図であり、膜状部材30に貫通孔38が形成された構成を示す断面図である。
貫通孔38を設けることにより、吸音ピークの周波数(共鳴周波数)を変更することができる。これは、膜状部材30に貫通孔38を設けることで、膜状部材30の音響インピーダンスが変化するとともに、且つ、貫通孔38の形成に伴って膜状部材30の重量が減少することで共鳴周波数が変化するためであると考えられる。なお、貫通孔38のサイズによってもピーク周波数を調整することが可能である。
また、貫通孔38を設ける位置については、特に限定されるものではなく、膜状部材30の振動可能な部分36の中央位置に設けてもよく、あるいは、支持体24に固定された固定部34付近の位置に設けてもよい。なお、貫通孔38の位置に応じて吸音ピークの周波数(共鳴周波数)及び吸音率が変化する。吸音ピークの周波数及び吸音率の変化量は、膜状部材30の振動可能な部分36の中央位置に貫通孔38を設けた場合の方が、固定部34付近に設けた場合に比べて大きくなる。
また、防音構造体20は、図7に示すように、多孔質吸音体50をさらに有してもよい。多孔質吸音体50は、背面空間42内、又は、膜状部材30に接する位置に配置され、図7に示す例では背面空間24内に多孔質吸音体50が配置されている。このように背面空間42内に多孔質吸音体50を配置することで、ピーク吸音率(共鳴周波数での吸音率)が小さくなる代わりに、低周波側にて吸音域が広帯域化するようになる。
図7は、防音構造体20の変形例を示す図であり、背面空間42内に多孔質吸音体50が配置された構成を示す断面図である。
なお、多孔質吸音体50を膜状部材30と接する位置に配置するには、例えば、膜状部材30の上面(支持体24とは反対側の面)に多孔質吸音体50を配置すればよい。以上の構成によれば、多孔質吸音体50の広帯域な吸音効果を得ることができるとともに、その背面に存在する膜型の防音構造体20によるピークを持った吸音と遮音効果が共鳴周波数付近を中心にして得ることができ、効果を両立させることができる。
多孔質吸音体50としては、特に限定はなく、公知の多孔質吸音体が適宜利用可能である。例えば、発泡ウレタン、軟質ウレタンフォーム、木材、セラミックス粒子焼結材、フェノールフォーム等の発泡材料、及び微小な空気を含む材料;グラスウール、ロックウール、マイクロファイバー(3M社製シンサレートなど)、フロアマット、絨毯、メルトブローン不織布、金属不織布、ポリエステル不織布、金属ウール、フェルト、インシュレーションボード、並びに、ガラス不織布等のファイバー及び不織布類材料;木毛セメント板;シリカナノファイバー等のナノファイバー系材料;石膏ボード;あるいは、これらの積層材料若しくは複合材料など、種々の公知の多孔質吸音体が利用可能である。
また、多孔質吸音体50の流れ抵抗σ1には特に限定はないが、1000~100000(Pa・s/m2)が好ましく、5000~80000(Pa・s/m2)がより好ましく、10000~50000(Pa・s/m2)がさらに好ましい。なお、多孔質吸音体50の流れ抵抗σ1は、1cm厚の多孔質吸音体の垂直入射吸音率を測定し、Mikiモデル(J. Acoust. Soc. Jpn., 11(1) pp.19-24 (1990))でフィッティングすることで評価することができる。あるいは、「ISO 9053」に従って多孔質吸音体50の流れ抵抗σ1を評価してもよい。
また、防音構造体20(詳しくは、複数の膜型共鳴体22の各々)において、膜状部材30及び支持体24の組み合わせ(すなわち、膜32及び枠26の層)は、図2に示すように一組のみ設けられてもよく、あるいは、複数組が重ねられた状態で設けられてもよい(すなわち、防音構造体20の厚み方向において複数の背面空間42が重ねられた構成であってもよい)。
本発明において、防音構造体20は、上記の共鳴構造によって吸音し、且つ、共鳴構造の共鳴周波数のうち、吸音率が極大となる極大共鳴周波数よりも高い周波数の音を遮音することができる。そのため、極大共鳴周波数は、騒音に対して設定された遮音対象周波数よりも低くなるように設定されている。より詳しく説明すると、各膜型共鳴体22の膜32(膜状部材30)の、少なくとも基本振動モード若しくは一つの高次振動モードの共鳴周波数が、遮音対象周波数よりも低く設定されている。ここで、「高次振動モードの共鳴周波数」は、その吸音率が基本振動モードの共鳴周波数における吸音率よりも高くなった共鳴周波数を意味する。
さらにまた、防音構造体20の防音性能に関して、遮音対象周波数をfnとし、極大共鳴周波数をfrとしたときに、fn/frが1.05~1.50となっている。これにより、防音構造体20は、軽量な構成にて効率よく騒音を遮音することが可能となる。つまり、本発明によれば、背面空間42の厚みが小さい膜型共鳴構造によって、高周波側に比較的大きな高次振動周波数を生じさせることを達成し、効率の大きな高周波側共鳴特性を用いて空気伝播音(騒音)を直接遮蔽することが可能となる。
より詳しく説明すると、『発明が解決しようとする課題』の項で説明したように、防音構造体の性能として、吸音性よりも遮音性が要求される状況があり、例えば、壁又は仕切り材等の区画部材によって隙間なく騒音の音源から遮断されている空間では、遮音性が重視される。このような状況においては、主として吸音によって騒音を低減する特許文献1に記載の共鳴構造を用いても、十分な防音効果が得られない虞がある。
一方、一般的な共鳴構造を採用した防音構造体は、その共鳴周波数(厳密には、極大共鳴周波数)の音を選択的に消音することができると考えられているため、騒音の特徴的な周波数(以下、特定周波数とも言う)に共鳴周波数を合わせた状態で用いられる。ここで、図2に図示した膜型共鳴体22を用いた場合、図8に示すように、基本振動モードの共鳴周波数(1300Hz)及び高次振動モードの共鳴周波数(約3kHz及び約4kHz)の各々において吸音率が極大となる。また、高次振動モードでは、基本振動モードよりも吸音率が高くなり、図8に示すケースでは二つの大きなピークが現われる。図8は、膜型共鳴体22の吸音率及び透過損失差を示す図である。なお、図8に図示のグラフのうち、透過損失差を示すグラフは、膜型共鳴体22(すなわち、枠26に膜32及び板体44を固定した構成)を用いたときの透過損失と、板体44(厚み2mmのアクリル板)のみを用いたときの透過損失との差分を示している。
しかし、本発明者らの検討によれば、上述の膜型共鳴体22を用いて騒音を遮蔽するために特定周波数に共鳴周波数を合わせた場合には、図8及び図9に示すように、共鳴周波数付近では透過損失が却って小さくなることが分かった。詳細には、図9に示すように、高次振動モードの共鳴周波数付近(約3kHz及び4kHz)では、上述の膜型共鳴体22を用いたときの透過損失が、板体44のみを用いたときの透過損失よりも小さくなることが分かった。図9は、膜型共鳴体22の透過損失を示す図である。同図には、比較例として、膜型共鳴体22から膜32を除いた構造(すなわち、枠26に板体44のみが固定された構造)を用いたときの透過損失、及び、板体44(厚み2mmのアクリル板)のみを用いたときの透過損失を併せて図示している。
一方、共鳴周波数を超えた周波数帯域では、図8及び図9に示すように、透過損失が大きなピークを示すことが分かった。すなわち、膜型共鳴体22では、板体44(背面板40)での空気伝播音の透過損失が共鳴周波数付近で小さくなるが、それよりも高周波側の周波数帯域(厳密には、共鳴周波数に近い帯域)では、透過損失が逆に上昇してピーク(極大値)に至ることが明らかとなった。つまり、膜型共鳴体22の構成によれば、共鳴周波数よりも高い周波数では、通常の板の重さにより得られる遮音性(すなわち、質量則に則った遮音効果)よりも大きな遮音性が得られる。したがって、通常は板体44の重さを増やして遮音性を向上させるところ、本発明の防音構造体20(詳しくは、防音構造体20を構成する膜型共鳴体22)であれば、比較的薄厚の膜32を枠26に固定するだけで、体積及び質量を特に増やさなくとも大きな遮音性を得ることが可能となる。
また、特定の周波数の騒音、又は狭い帯域の周波数の騒音を、通常の遮音材のメカニズムである質量則に従って遮音すると、音圧が全体的に小さくなるが、特定周波数における騒音が周辺の周波数の音と比べて卓越している状態は変わらない。このため、遮音材を適用しても、依然として、特定周波数における騒音が周辺周波数における騒音と比べて強く出ているために、耳触りな状態は変わらない。
これに対して、本発明の防音構造体20であれば、図8及び図9に示すように、共鳴周波数よりも高い周波数において透過損失がピークを有するため、そのピーク付近の周波数の騒音を選択的に遮音することができる。この結果、遮音対象である騒音が周辺の周波数の音と比べて相対的に大きい状態を解消することができるため、特定周波数騒音による耳障りな状態を効果的に抑制することができる。
なお、図8及び図9は、膜型共鳴体22に膜32側から平面波状の音が入射されたときのシミュレーション結果を示している。シミュレーションは、有限要素法計算ソフトCOMSOL ver.5.3a (COMSOL Inc.)を用いて行われ、その計算条件は、後述するシミュレーション1の条件と同様である。膜32については、ヤング率が4.5GPaであり密度が1.4g/cm3であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを想定し、その厚みを50μmに設定した。また、枠26については、アクリル製の円筒体とし、その開口部の直径(換言すると、膜32の振動可能な部分36の直径)を20mmに設定した。また、板体44については、厚み2mmのアクリル板とし、背面空間42の厚みを3mmとした。
上述した遮音挙動のメカニズムについて説明すると、膜型共鳴体22において膜32(膜状部材30)に騒音が入射されて膜32が振動すると、その振動に伴って背面空間42内の空気が弾性変形(断熱圧縮及び断熱膨張)し、これに伴って背面空間42内の音圧が変化する。また、膜32が振動すると、枠26(支持体24)における膜32との固定部分から板体44(背面板40)との固定部分に向かって振動が伝播するために、枠26自身も振動することになる。このとき、共鳴周波数では、枠26の振動と背面空間42内の音圧が共に大きくなり、その結果、板体44(背面板40)を揺らしてしまい、これが原因で音が抜け(透過し)易くなってしまう。反対に、共鳴周波数よりも高い周波数帯域では、膜32の振動の位相と板体44の揺れの位相とが互いに逆位相となるため、板体44(背面板40)を揺らす音が打ち消されるために、透過損失が大きくなる。
以上のような遮音挙動を踏まえて、本発明では、通常は騒音の特定周波数に合わせられる共鳴周波数(厳密には、極大共鳴周波数)を、敢えて低周波側に設定することで遮音性を高めることができる。この結果、防音構造体20を備えた区画部材10は、その体積及び重量を特に増やすことなく、高周波な騒音(特に、モータの作動音、あるいはインバータのスイッチングノイズのような単周波音等)を効果的に遮蔽するようになる。
なお、共鳴周波数よりも高い周波数において騒音を打ち消す共鳴構造としては、特許文献2の共鳴構造体が挙げられるが、かかる共鳴構造体では、振動体を共鳴(振動)させるために、連結機構等の剛体を介して振動体と騒音発生振動体とを接続させている。ただし、このような共鳴構造体は、音源が振動体から離れている場合、及び、自動車のロードノイズ又は風切り音のような騒音の発生源との接続が困難である場合には不向きである。
これに対して、本発明の防音構造体20が採用する共鳴構造(すなわち、膜型共鳴体22の構造)では、空気中を伝播した騒音が膜状部材30の表面に直接入射されることで膜状部材30が共鳴(振動)するから、特に膜状部材30と音源との接続を要しない。それ故に、本発明の防音構造体20では、振動を伝達させる連結機構等を設ける必要がない。
また、特許文献2に開示の共鳴構造体では、共鳴周波数が消音対象音の周波数に対して大きくずれてしまうと、消音効果が小さくなる傾向にある。そのため、共鳴周波数も高周波に設定する必要があるが、高周波の共鳴を生じさせる場合、振動体の振動モードによっては(例えば、基本振動では)共鳴効率が低下することがある。
これに対して、本発明の防音構造体20が採用する共鳴構造では、吸音ピークの周波数(極大共鳴周波数)と遮音対象周波数との比であるfn/frを好適な範囲に設定することにより、効率よく騒音を遮音することが可能である。
より詳しく説明すると、図10及び図11に示すように、共鳴周波数では透過損失差が極小となり、共鳴周波数より高周波側で透過損失差が極大となる。図10及び図11において、透過損失差は、膜型共鳴体22を用いたときの透過損失と、枠26に板体44のみを固定した構造(膜32が取り付けられていない構造)を用いたときの透過損失との差分である。図10及び図11は、膜32の厚みがそれぞれ250μm及び180μmであるときの透過損失差のシミュレーション結果を示す図である。なお、図10及び図11に図示の結果が得られたシミュレーションは、膜32の厚みを除き、上述した図8~図10の場合と同様の条件で行われた。
また、図12及び図13に示すように、膜32、板体44及び背面空間42のそれぞれの厚みが変わると、共鳴周波数自体は変化するものの、透過損失差が極大となる周波数と透過損失差が極小となる周波数との比率(以下、周波数比率と言う)は、1.1~1.4の範囲内にある。厳密には、板体44(背面板40)の厚みが2mmであるときの周波数比率は、図12に示すように1.15~1.32の範囲にある。板体44(背面板40)の厚みが1mmであるときの周波数比率は、図13に示すように1.14~1.31の範囲にある。
なお、図12及び図13は、膜32の厚みを125μm、180μm及び250μmに設定し、背面空間42の厚みを1~6mmの範囲で1mmずつ変化させたときの周波数比率を示す図である。図12は、板体44の厚みが2mmである場合の周波数比率を示しており、図13は、板体44の厚みが1mmである場合の周波数比率を示している。ここで、周波数比率は、図10及び図11の場合と同様のシミュレーションを行い、透過損失差が極大となる周波数、及び透過損失差が極小となる周波数を算出し、下記の式から求められる。
・周波数比率=(透過損失差が極大となる周波数)/(透過損失差が極小となる周波数)
さらに、図14に示すように、透過損失差が極大となる周波数、及び、透過損失差が極小となる周波数は、基本振動モード及び高次振動モードのそれぞれに存在する。すなわち、図14に示すように、低周波側から、基本振動モードにて透過損失差が極小となる周波数、基本振動モードにて透過損失差が極大となる周波数、高次振動モードにて透過損失差が極小となる周波数、高次振動モードにて透過損失差が極大となる周波数が順に現れる。図14は、膜32の厚みが100μmであるときの透過損失差のシミュレーション結果を示す図である。なお、図14に図示の結果が得られたシミュレーションは、膜32の厚みを除き、上述した図10及び図11の場合と同様の条件で行われた。
さらにまた、図15及び図16に示すように、基本振動モード及び高次振動モードの各々の周波数比率(透過損失差が極大となる周波数と透過損失差が極小となる周波数との比率)は、膜32の厚みを変えると若干変化するものの、1.1~1.4の範囲にある。厳密には、膜32の厚みが100μmであるときの各振動モードの周波数比率は、図15に示すように1.15~1.27の範囲にある。膜32の厚みが50μmであるときの周波数比率は、図16に示すように1.16~1.24の範囲にある。
なお、図15及び図16は、背面空間42の厚みを2~6mm(又は3~6mm)の範囲で1mmずつ変化させたときの各振動モードの周波数比率を示す図である。図15は、膜32の厚みが100μmである場合の周波数比率を示しており、図16は、膜32の厚みが50mmである場合の周波数比率を示している。各振動モードの周波数比率は、図10及び図11の場合と同様のシミュレーションを行い、基準振動モード及び高次振動モードの各々に関して、透過損失差が極大となる周波数、及び、透過損失差が極小となる周波数を算出し、下記の式から求められる。
・基準振動モードの周波数比率=(基準振動モードにて透過損失差が極大となる周波数)/(基準振動モードにて透過損失差が極小となる周波数)
・高次振動モードの周波数比率=(高次振動モードにて透過損失差が極大となる周波数)/(高次振動モードにて透過損失差が極小となる周波数)
以上の結果から、透過損失が極小となる周波数、すなわち、膜型共鳴体22の共鳴周波数が判明すれば、その1.05~1.50倍の範囲にある周波数にて透過損失が極大となる(換言すると、十分な遮音性が得られる)ことが分かる。このことを踏まえ、本発明では、騒音の特定周波数、すなわち、遮音対象周波数に対して膜型共鳴体22の共鳴周波数を適切な値に設定することとしている。具体的には、極大共鳴周波数と遮音対象周波数との比であるfn/frが1.05~1.50になることを踏まえ、共鳴周波数を遮音対象周波数よりも低周波側に設定する。これにより、透過損失が極大となる周波数が遮音対象周波数に合うようになり、遮音対象周波数の音を効果的に遮音することが可能となる。
また、膜32(膜状部材30)が高次振動モードにて振動する場合には、高次振動モードでの共鳴周波数を、遮音対象周波数よりも低周波帯域で適切な値に設定する。これにより、高次振動モードにて透過損失が最大となる周波数が遮音対象周波数に合うようになり、当該遮音対象周波数の音を効果的に遮音することが可能となる。
なお、fn/frについては、1.08~1.40の範囲にあることが好ましく、1.10~1.35の範囲にあることがより好ましい。
[シミュレーション1]
本発明の防音構造体の共鳴構造の防音性能について、有限要素法計算ソフトCOMSOL ver.5.3a (COMSOL Inc.)を用いたシミュレーションによって検討した。
シミュレーションに用いた計算モデルは、二次元軸対称構造計算モデルとし、本発明の防音構造体の共鳴構造、すなわち、開口部が形成された支持体の一端に膜状部材が固定され、反対側に背面板が固定された構造に関してシミュレーションを行った。膜状部材については、ヤング率が4.5GPaであり、密度が1.4g/cm3であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを想定し、その厚みを50μmに設定した。また、支持体については、アクリル製の円筒体とし、その開口部の直径(換言すると、膜状部材の振動可能な部分の直径)を20mmに設定した。また、背面板については、厚み2mmのアクリル板とし、背面空間の厚みを3mmとした。
シミュレーションでは、上記の共鳴構造の膜面(膜状部材の表面)側から平面波状の音が入射されたときの透過率と反射率と吸音率を計算した。吸音率については、垂直入射吸音率配置で行い、各々の極大値とその時の周波数を計算した。
図17は、共鳴構造の膜面側から音が平面波状に入射された場合の吸音率をシミュレーションしたときの計算結果を示している。図17に示すように、基本振動モードの共鳴周波数(約1300Hz)、及び高次振動モードの共鳴周波数(約3kHzと約4kHz)の各々において吸音率が極大となる。また、高次振動モードでは、基本振動モードよりも吸音率が高くなり、図17に示すように二つの大きなピークが現われる。
図18は、共鳴構造の膜面側から音が平面波状に入射された場合の透過損失をシミュレーションしたときの計算結果を示している。図18の縦軸は、上記の共鳴構造を用いたときの透過損失と、厚み2mmのアクリル板単体を用いたときの透過損失との差分を示している。すなわち、共鳴構造(膜型共鳴構造)が背面板に取り付けられることで、同じ厚さの板(アクリル板)単体を用いる場合よりも、どれだけ透過損失が大きくなるかが、図18から明らかとなる。
上記の共鳴構造を用いる場合、図18から分かるように、膜型共鳴構造が構成されているにもかかわらず、高次振動モードの共鳴周波数付近では透過損失が0よりも小さくなる(すなわち、背面板を通過する音の透過率が大きくなる)ことが分かった。
図19は、共鳴構造の膜面側から音が平面波状に入射された場合の透過損失をシミュレーションしたときの計算結果を示している。図19の縦軸は、上記の共鳴構造を用いたときの透過損失と、上記の共鳴構造から膜状部材だけを除いた構造(すなわち、背面板と支持体のみとなった構造)を用いたときの透過損失との差分を示している。図19に示すように、板単体よりも、板に枠(支持体)が取り付けられた場合の方が透過損失は大きくなる。一方、膜状部材が更に取り付けられた場合には、高い吸音率を示す共鳴周波数付近では透過損失が小さくなり、その共鳴周波数を超えた高周波側では透過損失が大きなピークを有することが分かった。すなわち、本発明の防音構造体の共鳴構造によれば、空気伝播音の透過損失が共鳴周波数付近で小さくなるが、それよりも高周波側の周波数帯域(特に、共鳴周波数に近い帯域)では、透過損失が上昇してピークに至ることが明らかとなった。つまり、膜状部材及び背面板が支持体に固定されてなる共鳴構造によれば、共鳴周波数よりも高周波である騒音に対して、通常の板の重さによる遮音性(すなわち、質量則に則った遮音性)よりも大きな遮音性を得ることができる。したがって、通常は板の重さを増やして遮音性を高めるところ、上記の共鳴構成を利用すれば、厚みが薄く質量が小さい膜状部材(シミュレーション1では50μmの膜状部材)を支持体に固定するだけで、構造の体積及び質量を特に増やさなくとも大きな遮音性が得られるようになる。
[実施例1]
<防音構造体の作製>
膜状部材として、厚み50μmのPETフィルム(東レ株式会社製 ルミラー)を用意し、直径60mmの円形状に切り出した。
厚み3mmのアクリル板(株式会社光製)を用意し、レーザーカッターを用いて直径60mmの円板を切り出し、その中央部に一辺20mm角の正方形状の開口部を形成し、リング状の板(以下、ドーナツ状部材)を1枚作製した。このドーナツ状部材を支持体として用いた。そして、作製したドーナツ状部材の片面と円形状のPETフィルムとを、両者の外縁が一致するように重ね合わせ、両面テープ(アスクル製 現場のチカラ)を用いて貼り合わせた。
ドーナツ状部材のもう片方の面には、厚み2mm、直径60mmの円形アクリル板(背面板)を両面テープで貼り合わせた。
以上の手順により、太鼓状振動膜構造(膜型共鳴構造)の防音構造体を作製した。この防音構造体の背面空間は、閉じた空間であり、その厚みは3mmである。
<評価>
作製した防音構造体を膜面(膜状部材)側から音を入射させる配置で音響管測定を行った。具体的には、「ASTM E2611-09: Standard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Method」に従い、4端子マイク(不図示)を用いた透過率と反射率の測定系を作製して評価を行った。音響管の内部直径は40mmとした。なお、これと同様の測定は、日本音響エンジニアリング製WinZacMTXを用いることができる。
また、上記と同様の音響管測定により、厚み2mm、直径60mmのアクリル板単体を対象として透過率と反射率の測定を行った。
その後、それぞれの測定において得られた透過率から透過損失を求め、また、(1-透過率-反射率)である音の吸収率(吸音率)を求めた。
作製した防音構造体について求めた吸音率を図20に示す。また、作製した防音構造体とアクリル板単体の各々について求めた透過損失の差分を図21に示す。図21は、膜状部材及び背面板を支持体に固定することで透過損失がどれだけ増加するかを示す図である。
図20から分かるように、作製した防音構造体については、基本振動モードの周波数が1.5kHz付近にあり、それよりも高周波側の周波数(3kHz及び4kHz)にて吸音ピークが存在する。すなわち、作製した防音構造体は、高次振動モードにて大きな吸音効果を発揮する構造体である。
また、図20及び図21を対比すると分かるように、高い吸音率を示す高次振動モードの共鳴周波数では、膜状部材及び背面板を支持体に固定して作製した防音構造体の透過損失が、アクリル板単体の透過損失よりも小さくなる(換言すると、透過率が高くなる)。その一方で、上記の共鳴周波数よりも高周波側では、作製した防音構造体の透過損失がアクリル板単体の透過損失よりも大きくなる。このように、音が平面波として防音構造体に入射される場合、共鳴周波数よりも高周波側で大きな遮蔽効果が得られる。
[実施例2]
<放射音実験用の箱の作製>
音源から放射する音源の放射音を調査するため、箱からの放射音実験を検討した。そこで、一辺が300mmの立方体状の空間を5枚のアクリル板(厚み10mm)にて囲んだ箱を用意した。この箱の一面は、開口面となっており、一辺300mm角の正方形状の開口を有する。また、空間を囲む5枚のアクリル板の各々の内側面には、厚み10mmの多孔質吸音体(イノアック製 カームフレックス)を貼り付けた。また、箱の内部には、音源としてのスピーカを、その音響出力面(スピーカ面)が開口に向くように配置した。また、箱における開口を塞ぐ位置には、後述する手順にて作製した防音構造体を配置した。これにより、スピーカからの広がりのある音の放射を、開口面に配置した防音構造体によって遮断する実験系とした。
<防音構造体の作製>
実施例1と同様の手順により、膜型共鳴構造の防音構造体を作製した。枠の素材はアクリルを用いた。枠については、厚みが3mmであり、開口部が一辺20mm角の正方形であり、縁幅が5mmの構造を枠の基本単位として、この基本構造を、全体サイズが300mm×300mmのサイズとなるまで複数並べた構造を枠構造(支持体)として用いた。枠構造の作製方法については、レーザーカッターを用いて厚み3mmのアクリル板から正方形を切り出して枠構造を作製した。これによって、20mmの正方形が25mmピッチで周期的に配列された、サイズ300mm×300mmの枠構造を得ることができた。この枠構造に厚み2mmのアクリル板からなる背面板を両面テープで貼り付けた。また、枠構造の表面(一端面)に厚み50μmのPETフィルムを貼り付けた。これにより、実施例1と同様の振動膜構造が周期的に複数配列されて背面板に取り付けられた防音構造体を作製した。
<評価>
作製した防音構造体を、上述した箱の開口を塞ぐ位置に取り付けて、開口面からの透過音圧量を測定した。具体的には、開口面の外側にて開口面から150mm離れている位置に3本のマイクを配置し、各マイクでの音圧エネルギーの平均値を求めることで、開口から出る音圧量を測定した。
また、上記と同様の手順により、厚み2mmで直径60mmであるアクリル板単体を開口面に配置したときの透過音圧量の測定を行った。
作製した防音構造体を用いたとき、及び、アクリル板単体を用いたときの、それぞれの透過音エネルギーの測定結果を図22に示す。また、作製した防音構造体を用いた場合とアクリル板単体を用いた場合との間の透過損失の差分を図23に示す。
図22及び図23から明らかなように、共鳴周波数付近では、作製した防音構造体を用いた場合の方がアクリル板単体よりも透過音量が大きくなるが、より高周波側では、作製した防音構造体を用いた場合の方がアクリル板単体よりも透過音量が小さくなる(すなわち、遮蔽が大きくなる)。このように広がりのある放射源の場合であっても、実施例1のような平面波入射の場合と同様、共鳴周波数よりも高周波側に大きな遮蔽領域を有することが分かった。
[シミュレーション2]
背面空間の厚みを1mm~6mmまで1mmずつ変化させたときの透過損失を、シミュレーション1にて使用した計算モデルと同じモデルを使用してシミュレーションした。なお、計算モデルにおける各設定値については、背面空間の厚みを除き、シミュレーション1の場合と同様である。
各背面空間の厚みについて計算した透過損失を図24に示す。なお、図24の縦軸は、各背面空間の厚みに対して計算した透過損失と、本発明の防音構造体の共鳴構造から膜状部材だけを除いた構造(すなわち、背面板と支持体のみとなった構造)を用いたときの透過損失との差分を示している。
背面空間の厚みが上記の範囲にあるとき、図24から分かるように、いかなる厚みであっても、共鳴周波数付近では透過損失が極小となり、それよりも高周波側で透過損失がピーク(極大)となる領域が存在する。すなわち、共鳴構造(膜型共鳴構造)を有する本発明の防音構造体は、背面空間の厚みに依らずに、その効果を奏するものである。
[シミュレーション3]
膜状部材の厚みを10μm~100μmまで10μmずつ変化させたときの透過損失を、シミュレーション1にて使用した計算モデルと同じモデルを使用してシミュレーションした。なお、計算モデルにおける各設定値については、膜状部材の厚みを除き、シミュレーション1の場合と同様である。
各膜状部材の厚みについて計算した透過損失を図25及び図26に示す。なお、図25及び図26の各々の縦軸は、各膜状部材の厚みに対して計算した透過損失と、本発明の防音構造体の共鳴構造から膜状部材だけを除いた構造(すなわち、背面板と支持体のみとなった構造)を用いたときの透過損失との差分を示している。
膜状部材の厚みが上記の範囲にあるとき、図25及び図26から分かるように、いかなる厚みであっても、共鳴周波数付近では透過損失が極小となり、それよりも高周波側で透過損失がピーク(極大)となる領域が存在する。すなわち、共鳴構造(膜型共鳴構造)を有する本発明の防音構造体は、膜状部材の厚み及び硬さに依らずに、その効果を奏するものである。
以上までに説明した本発明の実施例1及び2、並びにシミュレーション1乃至3の各々では、極大共鳴周波数frが遮音対象周波数fnよりも低く設定されており、fn/frが1.05~1.50の範囲にあり、いずれも本発明の範囲にあるから、本発明の効果は明らかである。
10 区画部材
20 防音構造体
22 膜型共鳴体
24 支持体
24s 開口面
26 枠
28 開口部
30 膜状部材
32 膜
34 固定部
36 振動可能な部分
38 貫通孔
40 背面板
42 背面空間
44 板体
50 多孔質吸音体

Claims (16)

  1. 二つの空間の一方側にある音源から発せられた騒音を低減する防音構造体を備え、前記二つの空間を区画する区画部材であって、
    前記防音構造体は、
    開口部を有する支持体と、
    前記支持体の前記開口部が形成された開口面に固定され、騒音が入射されることで振動する膜状部材と、
    前記膜状部材とは反対側で前記支持体に固定された背面板と、
    を有し、前記背面板と前記膜状部材と前記支持体とに囲まれた背面空間、及び、前記膜状部材によって構成された共鳴構造によって吸音し、且つ、前記共鳴構造の共鳴周波数のうち、吸音率が極大となる極大共鳴周波数よりも高い周波数の音を遮音し、
    前記極大共鳴周波数が、騒音に対して設定された遮音対象周波数よりも低くなるように設定され、且つ、前記遮音対象周波数をfnとし、前記極大共鳴周波数をfrとしたときに、fn/frが1.101.40となることを特徴とする区画部材。
  2. 前記膜状部材及び前記背面板の各々の少なくとも一部分が、前記支持体に固定されており、
    前記膜状部材の振動が、前記支持体において前記膜状部材が固定された部分から前記背面板が固定された部分に伝播する請求項1に記載の区画部材。
  3. 前記防音構造体は、複数の膜型共鳴器によって構成されており、
    前記膜状部材は、前記開口面に固定される固定部と、前記固定部よりも内側に位置した振動可能な部分と、を備えており、
    前記複数の膜型共鳴器の各々は、前記膜状部材の前記振動可能な部分が振動した際に前記共鳴構造によって吸音し、
    前記複数の膜型共鳴器の各々において、前記膜状部材の前記振動可能な部分の振動の、1kHz以上に存在する少なくとも一つの高次振動モードの共鳴周波数における吸音率は、基本振動モードの共鳴周波数における吸音率よりも高く、
    前記少なくとも一つの高次振動モードの共鳴周波数は、前記遮音対象周波数よりも低く設定されている請求項1又は2に記載の区画部材。
  4. 前記膜状部材のヤング率をE(Pa)とし、前記膜状部材の厚みをt(m)とし、前記背面空間の厚みをd(m)とし、前記膜状部材における振動可能な部分の直径又は円相当直径をΦ(m)とすると、前記膜状部材の硬さE×t(Pa・m)が、21.6×d-1.25×Φ4.15以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の区画部材。
  5. 前記膜状部材の硬さE×t(Pa・m)が2.49×10-7以上である請求項4に記載の区画部材。
  6. 前記防音構造体は、複数の膜型共鳴器によって構成されており、
    前記複数の膜型共鳴器のうち、少なくとも二つの膜型共鳴器の種類が互いに異なっている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の区画部材。
  7. 前記膜状部材は、前記開口面に固定される固定部と、前記固定部よりも内側に位置した振動可能な部分と、を膜型共鳴器別に備えており、
    膜型共鳴器別に備えられた前記固定部及び前記振動可能な部分は、同一の前記膜状部材中に配置されており、
    種類が異なる前記少なくとも二つの膜型共鳴器の間では、前記背面空間の体積が互いに異なっている請求項6に記載の区画部材。
  8. 前記防音構造体は、複数の膜型共鳴器によって構成されており、
    前記膜状部材は、前記開口面に固定される固定部と、前記固定部よりも内側に位置した振動可能な部分と、を備えており、
    前記複数の膜型共鳴器の各々は、前記膜状部材の前記振動可能な部分が振動した際に前記共鳴構造によって吸音し、
    前記複数の膜型共鳴器の少なくとも一つにおいて、前記膜状部材の前記振動可能な部分に貫通孔が形成されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載の区画部材。
  9. 前記防音構造体は、前記背面空間内、又は、前記膜状部材に接する位置に設けられた多孔質吸音体を更に有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の区画部材。
  10. 前記防音構造体は、前記膜状部材が前記音源側を向いた状態で配置されている請求項1乃至9のいずれか一項に記載の区画部材。
  11. 前記区画部材の表面の少なくとも一部分に前記防音構造体が配置された請求項1乃至10のいずれか一項に記載の区画部材。
  12. 前記膜状部材の厚みが10μm~200μmである請求項1乃至11のいずれか一項に記載の区画部材。
  13. 前記背面空間の厚みが0.5mm~10mmである請求項1乃至12のいずれか一項に記載の区画部材。
  14. fn/frが1.10~1.35となる請求項1乃至13のいずれか一項に記載の区画部材。
  15. 請求項1乃至14のいずれか一項に記載の区画部材が、モータ、インバータ、エンジン、及びタイヤのうちの少なくとも一つの機器が配置された空間と、乗員が乗る空間と、の間に配置されている乗物。
  16. 筐体内に前記音源を備え、且つ、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の区画部材が前記筐体のうちの少なくとも一部分、又は、前記筐体内に配置されている電子機器。
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