JP7089437B2 - トナー用結着樹脂組成物 - Google Patents

トナー用結着樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP7089437B2
JP7089437B2 JP2018154245A JP2018154245A JP7089437B2 JP 7089437 B2 JP7089437 B2 JP 7089437B2 JP 2018154245 A JP2018154245 A JP 2018154245A JP 2018154245 A JP2018154245 A JP 2018154245A JP 7089437 B2 JP7089437 B2 JP 7089437B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
amorphous polyester
toner
mass
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018154245A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020030243A (ja
Inventor
真知子 家
憲廣 福利
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2018154245A priority Critical patent/JP7089437B2/ja
Publication of JP2020030243A publication Critical patent/JP2020030243A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7089437B2 publication Critical patent/JP7089437B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー用結着樹脂組成物及び該結着樹脂組成物を用いた電子写真用トナーの製造方法に関する。
特許文献1には、低温定着性、耐久性、及び印刷物の光沢性に優れる電子写真用トナーを得ることができるトナー用結着樹脂組成物として、軟化点が120℃以上170℃以下の非晶質ポリエステル(AH)と、軟化点が80℃以上120℃未満の非晶質ポリエステル(AL)と、結晶性ポリエステル(C)とを含有するトナー用結着樹脂組成物であって、該非晶質ポリエステル(AH)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(AH-bp)を含有するアルコール成分(AH-al)と、カルボン酸成分(AH-ac)とを重縮合させて得られるポリエステルであって、該アルコール成分(AH-al)が、プロピレンオキサイドの付加モル数が3モル以上6モル以下であるビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を3モル%以上20モル%未満含有し、該非晶質ポリエステル(AL)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(AL-bp)を含有するアルコール成分(AL-al)と、カルボン酸成分(AL-ac)とを重縮合させて得られるポリエステルであって、該アルコール成分(AL-al)がプロピレンオキサイドの付加モル数が3モル以上6モル以下であるビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を20モル%以上70モル%以下含有する、トナー用結着樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、トナーの低温定着性、印字物の保存性及び印刷物のカールの発生の抑制に優れる、トナー用結着樹脂として、アルコール成分と、アルコール成分100モルに対して、5~25モルのアジピン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる、数平均分子量が1000~2400である非晶質ポリエステルと、炭素数6~12の脂肪族ジオールを70~100モル%含有するアルコール成分と炭素数8~12の脂肪族ジカルボン酸化合物を70~100モル%含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる結晶性ポリエステルとを含有したトナー用結着樹脂が開示されている。
特許文献3には、低温定着性、耐ブロッキング性を満足しつつ、帯電性が厳しい状況下においても、十分な帯電性を発揮できるトナーとして、炭化水素化合物にスチレンアクリル系樹脂がグラフト重合している重合体を含有するトナー用ワックス分散剤であって、該スチレンアクリル系樹脂が、飽和脂環式化合物由来の構造部位を有することを特徴とするトナー用ワックス分散剤が開示されている。
特開2016-045357号公報 特開2012-118395号公報 特開2017-045048号公報
用途の多様化により、トナーでの印刷には幅広い厚みの用紙での印刷が求められる。
しかしながら、厚紙においては用紙に熱がとられてしまうため、トナーをしっかり溶融させるのが難しく、厚紙に対しては低速で印刷する等の措置が取られることが多い。
また、近年の高速印刷(A4紙50枚/分以上)においては、薄紙の場合、トナー溶融により定着ローラと巻き付きやすい。
従って、特に高速印刷において、一定の設定、特に高速印刷で幅広い厚みの印刷(用紙汎用性)を実現するのは非常に困難である。
本発明は、高速印刷においても用紙汎用性の高いトナー用結着樹脂組成物及び該結着樹脂組成物を用いた電子写真用トナーの製造方法に関する。
本発明者らは、軟化点の異なる非晶質ポリエステルと結晶性ポリエステルを用いて検討した結果、没食子酸を用いた結晶性ポリエステルと没食子酸を用いていない非晶質ポリエステルを組み合わせることにより、両者間のエステル交換反応が抑制され、用紙汎用性の課題を解決できるだけでなく、非晶質ポリエステルとのエステル交換反応による結晶性ポリエステルの結晶化速度及び結晶化度の低下にともなうトナーの荷重耐熱性の低下も避けられることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
〔1〕 非晶質ポリエステルAH、非晶質ポリエステルAL、及び結晶性ポリエステルCを含有するトナー用結着樹脂組成物であって、前記非晶質ポリエステルAH及び前記非晶質ポリエステルALが、没食子酸の非存在下でのアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であって、非晶質ポリエステルAHの軟化点が非晶質ポリエステルALの軟化点よりも20℃以上高く、前記結晶性ポリエステルCが、没食子酸の存在下での炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールを含むアルコール成分と炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物である、トナー用結着樹脂組成物、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂組成物を用いる電子写真用トナーの製造方法であって、少なくとも、非晶質ポリエステルAH、非晶質ポリエステルAL、及び結晶性ポリエステルCを80℃以上で混合する工程を含む、電子写真用トナーの製造方法
に関する。
本発明の結着樹脂組成物を用いて得られた電子写真用トナーは、高速印刷においても高い用紙汎用性を有し、さらに荷重耐熱性にも優れたものである。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、非晶質ポリエステルAH、非晶質ポリエステルAL、及び結晶性ポリエステルCを含有するものである。用紙汎用性を高めるためには、トナー中で、高軟化点の非晶質ポリエステルAHと低軟化点の非晶質ポリエステルALとが十分に混ざり合い、かつ結晶性ポリエステルCが微分散している状態であることが重要であるが、非晶質ポリエステルALと結晶性ポリエステルCにより低粘度化された系に非晶質ポリエステルAHを混ざり合わせることは非常に困難である。
そこで、本発明者らは、トナーの製造過程において、原料を溶融混練する際に、ポリエステル同士を一部反応させることによって、ポリエステル同士が混ざり合うことに着目した。反応の方法としては、エステル化反応とエステル交換反応があるが、エステル交換反応は比較的低温で行うことができ、かつ、樹脂末端基により反応性が左右されないため好ましい。
一方で、結晶性ポリエステルは、トナー中で結晶性を高く保ちつつ微分散させることが重要であるが、非晶質ポリエステルとのエステル交換反応により相溶性が高くなりすぎると結晶化速度及び結晶化度の低下、それに伴うトナーの荷重耐熱性の悪化を招いてしまう。
このため、非晶質ポリエステル同士はエステル交換反応を起こし、非晶質ポリエステルと結晶性ポリエステル間ではエステル交換反応を抑制することが好ましい。
そこで、さらに検討した結果、没食子酸がエステル化反応の促進には効果的であるが、エステル交換反応に対する活性は低いことを見出し、没食子酸が用いられた結晶性ポリエステルと没食子酸が用いられていない非晶質ポリエステルとを組み合わせることにより、非晶質ポリエステル同士のみに選択的にエステル交換反応を生じさせ、荷重耐熱性を損なうことなく、用紙汎用性を向上させることが可能となった。
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。結晶性樹脂は、結晶性指数が0.6以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、1.4以下、好ましくは1.2以下の樹脂である一方、非晶質樹脂は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下の樹脂である。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性樹脂においては、吸熱の最高ピーク温度を融点とする。
非晶質ポリエステルAHと非晶質ポリエステルALは、没食子酸の非存在下でのアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
非晶質ポリエステルAH及び/又は非晶質ポリエステルALのアルコール成分としては、定着性と荷重耐熱性の両立の観点から、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。非晶質ポリエステルAH及び非晶質ポリエステルALのアルコール成分としては、共に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物において、プロピレンオキサイドの付加モル数の平均値は、荷重耐熱性の観点から、好ましくは2.2以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは2.7以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは3.3以下、より好ましくは3.1以下、さらに好ましくは2.9以下である。非晶質ポリエステルAHと非晶質ポリエステルALに用いられるビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物は、同一であっても異なっていてもよい。
非晶質ポリエステルAH又は非晶質ポリエステルALのアルコール成分中のビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の含有量は、それぞれ、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
本発明では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のなかでも、プロピレンオキサイドの付加モル数が4モルのビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイドの付加モル数が5モルのビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を含むことが好ましい。また、プロピレンオキサイドの付加モル数が4モルと5モルのビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の含有量は、合計で、非晶質ポリエステルAH又は非晶質ポリエステルALのアルコール成分中、結晶性ポリエステルCとのエステル交換反応の抑制の観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは12モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であり、そして、非晶質ポリエステル同士のエステル交換反応を阻害しない観点から、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、さらに好ましくは23モル%以下である。
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物以外のアルコール成分としては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、脂肪族ジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、グリセリン等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
非晶質ポリエステルAH及び非晶質ポリエステルALのカルボン酸成分としては、荷重耐熱性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物が好ましい。芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びそれらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられるが、これらの中では、テレフタル酸が好ましい。なお、本発明において、カルボン酸系化合物には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び炭素数が1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、非晶質ポリエステルAH又は非晶質ポリエステルALのカルボン酸成分中、それぞれ、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。
他のカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸系化合物、3価以上のカルボン酸系化合物等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸、これらの酸の無水物及びそれらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、これらの酸の無水物及びそれらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
非晶質ポリエステルAHのカルボン酸成分は、軟化点調整の観点から、3価以上のカルボン酸系化合物を含有することが好ましい。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、非晶質ポリエステルAHのカルボン酸成分中、耐用紙巻き付き性の観点から、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下である。
一方、非晶質ポリエステルALのカルボン酸成分は、耐用紙巻き付き性の観点から、3価以上のカルボン酸系化合物を含有することが好ましい。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、非晶質ポリエステルALのカルボン酸成分中、好ましくは0モル%以上、耐用紙巻き付き性の観点から、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは8モル%以上であり、そして、軟化点調整の観点から、好ましくは15モル%以下、より好ましくは12モル%以下である。
また、非晶質ポリエステルAH及び非晶質ポリエステルALのアルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、分子量調整等の観点から、適宜含有されていてもよい。
非晶質ポリエステルAH又は非晶質ポリエステルALのカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.05以下、さらに好ましくは1以下である。
非晶質ポリエステルAH及び非晶質ポリエステルALのアルコール成分とカルボン酸成分の重縮合反応は、没食子酸の非存在下で行い、例えば、不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、没食子酸以外のエステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130℃以上、より好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で行うことができる。なお、本発明において、没食子酸の非存在下とは、没食子酸を使用していないか、使用していても、アルコール成分とカルボン酸成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部未満であることをいう。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫触媒、チタン触媒等が挙げられ、これらの中では、非晶質ポリエステル同士のエステル交換反応の促進の観点から、チタン触媒が好ましい。
チタン触媒としては、式(Ia)又(Ib):
Ti(X)m(OH)n (Ia)
O=Ti(X)p(OY)q (Ib)
(式中、Xは炭素数2~12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個の水酸基から水素原子を除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの他の水酸基は同一のチタン原子に直接結合した水酸基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のチタン原子に直接結合した水酸基と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2~5である。Yは水素原子又は1~3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~8のアルキル基である。mは1~4、好ましくは2~4の整数、nは0~3、好ましくは0~2の整数、mとnの和は4である。pは1~2の整数、qは0~1の整数、pとqの和は2である。m又はpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される少なくとも1種のチタン化合物が好ましい。
Xとしては、モノアルカノールアミン(とくにエタノールアミン)の残基、ジアルカノールアミン(とくにジエタノールアミン)の残基、及びトリアルカノールアミン(とくにトリエタノールアミン)の残基が好ましい。モノアルカノールアミンとしては、エタノールアミンが、ジアルカノールアミンとしては、ジエタノールアミンが、トリアルカノールアミンとしては、トリエタノールアミンが好ましく、トリエタノールアミンがより好ましい。
Yにおいて、1~3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、β-メトキシエチル基、β-エトキシエチル基等が挙げられる。
Yとしては、水素原子及びエーテル結合を含まない炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素原子、エチル基、及びイソプロピル基がより好ましい。
式(Ia)で表されるチタン化合物の具体例としては、チタニウムテトラキス(モノエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノプロパノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N-メチルジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N-ブチルジエタノールアミネート)、テトラヒドロキシチタンとN,N,N’,N’-テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンとの反応生成物、これらの分子内又は分子間重縮合物等が挙げられる。
また、式(Ib)で表されるチタン化合物の具体例としては、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(ジエタノールアミネート)、チタニルビス(モノエタノールアミネート)、チタニルヒドロキシエタノールアミネート、チタニルヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニルエトキシトリエタノールアミネート、チタニルイソプロポキシトリエタノールアミネート、これらの分子内又は分子間重縮合物等が挙げられる。
エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。
重合禁止剤としては、t-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
なお、本発明において、ポリエステルは、非晶質及び結晶性にかかわらず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルが挙げられるが、変性されたポリエステルのなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
非晶質ポリエステルAHの軟化点は、巻き付き抑制の観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは126℃以上、さらに好ましくは132℃以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは146℃以下、より好ましくは142℃以下、さらに好ましくは138℃以下である。
非晶質ポリエステルAHの軟化点は、非晶質ポリエステルALの軟化点よりも高く、その差は、巻き付き抑制の観点から、20℃以上であり、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、さらに好ましくは40℃以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは55℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは45℃以下である。非晶質ポリエステルの軟化点は、3価以上の原料モノマー量、エステル伸長反応率等により調整することができる。
非晶質ポリエステルAHのガラス転移温度は、荷重耐熱性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、さらに好ましくは58℃以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下、さらに好ましくは62℃以下である。
非晶質ポリエステルAHの酸価は、低温定着性の観点から、好ましくは12mgKOH/g以上、より好ましくは16mgKOH/g以上、さらに好ましくは20mgKOH/g以上であり、そして、耐巻き付き性の観点から、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは25mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステルAHのメチルエチルケトン不溶分は、耐巻き付き性の観点から、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.2質量%以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。
非晶質ポリエステルALの軟化点は、荷重耐熱性の観点から、好ましくは86℃以上、より好ましくは88℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは97℃以下、より好ましくは95℃以下、さらに好ましくは93℃以下である。
非晶質ポリエステルALのガラス転移温度は、荷重耐熱性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは52℃以上、さらに好ましくは54℃以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは60℃以下、より好ましくは58℃以下、さらに好ましくは56℃以下である。
非晶質ポリエステルALの酸価は、定着性の観点から、好ましくは9mgKOH/g以上、より好ましくは12mgKOH/g以上、さらに好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、耐巻き付き性の観点から、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは18mgKOH/g以下、さらに好ましくは16mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステルALの数平均分子量は、荷重耐熱性の観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは2,200以上、さらに好ましくは2,400以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは3,500以下、より好ましくは3,300以下、さらに好ましくは3,000以下である。
また、同様の観点から、非晶質ポリエステルALの重量平均分子量は、好ましくは5,400以上、より好ましくは5,600以上、さらに好ましくは5,800以上であり、そして、好ましくは8,300以下、より好ましくは8,100以下、さらに好ましくは7,900以下である。
非晶質ポリエステルALのメチルエチルケトン不溶分は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0質量%である。
非晶質ポリエステルAHに対する非晶質ポリエステルALの質量比(非晶質ポリエステルAL/非晶質ポリエステルAH)は、定着性の観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは67/33以上、さらに好ましくは75/25以上であり、そして、耐巻き付き性の観点から、好ましくは90/10以下、より好ましくは85/15以下、さらに好ましくは80/20以下である。
非晶質ポリエステルAHと非晶質ポリエステルALの合計含有量は、結着樹脂組成物中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、そして、用紙汎用性の観点から、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下である。
結晶性ポリエステルCは、没食子酸の存在下での炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールを含むアルコール成分と炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物である。
アルコール成分に含まれる炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールとしては、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられ、1種であっても、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及び1,9-ノナンジオールが好ましく、1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。
炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールは、低温定着性の観点から、水酸基を炭素鎖の末端に有しているα,ω-脂肪族ジオールであることが好ましく、α,ω-直鎖アルカンジオールであることがより好ましい。
脂肪族ジオールの炭素数は、非晶質ポリエステルとの適度な相溶性の観点から、4以上であり、好ましくは6以上であり、そして、12以下であり、好ましくは8以下である。
炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールの含有量は、荷重耐熱性の観点から、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、炭素数3以下又は13以上の脂肪族ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、セバシン酸(炭素数:10)、ドデカン二酸(炭素数:12)、テトラデカン二酸(炭素数:14)、側鎖にアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸系化合物の炭素数は、荷重耐熱性の観点から、10以上であり、好ましくは12以上であり、そして、低温定着性の観点から、16以下であり、好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下である。
炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、耐巻き付き性の観点から、好ましくは90モル%以上、より好ましくは93モル%以上、さらに好ましくは96モル%以上であり、そして、好ましくは99.5モル%以下、より好ましくは99モル%以下、さらに好ましくは98.5モル%以下である。
カルボン酸成分は、再結晶化速度が速くなり荷重耐熱性が向上する観点から、さらに、脂肪族モノカルボン酸系化合物を含有していることが好ましい。
脂肪族モノカルボン酸系化合物としては、ステアリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられ、これらのなかでは、ステアリン酸が好ましい。
脂肪族モノカルボン酸系化合物との炭素数は、荷重耐熱性の観点から、好ましくは8以上であり、より好ましくは12以上、さらに好ましくは16以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは24以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは18以下である。
脂肪族モノカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは1.5モル%以上であり、そして、好ましくは5モル%以下、より好ましくは4モル%以下、さらに好ましくは3.5モル%以下である。
他のカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸系化合物、炭素数9以下又は17以上の脂肪族ジカルボン酸系化合物、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸系化合物、これらの酸の無水物、それらの炭素数1~3のアルキルエステル等が挙げられる。
結晶性ポリエステルCのカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.05以下、さらに好ましくは1.01以下である。
結晶性ポリエステルCのアルコール成分とカルボン酸成分の重縮合反応は、没食子酸の存在下で行い、例えば、不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、重合禁止剤等の存在下、135℃以上250℃以下の温度で行うことが好ましい。没食子酸は水和物であってもよい。
没食子酸の使用量は、結晶性ポリエステルCのアルコール成分とカルボン酸成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、さらに好ましくは0.03質量部以上であり、そして、非晶質ポリエステル同士のエステル交換反応の阻害を防止する観点から、好ましくは0.1質量部以下、より好ましくは0.07質量部以下、さらに好ましくは0.04質量部以下である。
没食子酸は、エステル化触媒とともに使用することが好ましい。エステル化触媒としては、錫触媒、チタン触媒等が挙げられ、これらの中では錫触媒が好ましい。
錫触媒としては、例えば、酸化ジブチル錫が知られているが、本発明では、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとのエステル交換反応抑制の観点から、Sn-C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。
Sn-C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn-C結合を有しておらず、Sn-O結合を有する錫(II)化合物、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn-O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ラウリル酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)、オレイン酸錫(II)等の炭素数2~28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);オクチロキシ錫(II)、ラウロキシ錫(II)、ステアロキシ錫(II)、オレイロキシ錫(II)等の炭素数2以上28以下のアルコキシ基を有するアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn-X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5以上19以下のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでR2は炭素数6~20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるアルコキシ錫(II)又はSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)又は酸化錫(II)がより好ましく、オクタン酸錫(II)、2-エチルヘキサン酸錫(II)、ステアリン酸錫(II)又は酸化錫(II)がさらに好ましい。
エステル化触媒の使用量は、結晶性ポリエステルCのアルコール成分とカルボン酸成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、触媒由来の着色を抑制するの観点から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下、さらに好ましくは0.6質量部以下である。
重合禁止剤としては、t-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
結晶性ポリエステルCの融点は、荷重耐熱性の観点から、好ましくは68℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは71℃以上であり、そして、定着性の観点から、好ましくは76℃以下、より好ましくは74℃以下、さらに好ましくは72℃以下である。
結晶性ポリエステルCの酸価は、定着性の観点から、好ましくは1.5mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上、さらに好ましくは2.5mgKOH/g以上であり、そして、非晶質ポリエステルとのエステル化反応抑制の観点から、好ましくは9mgKOH/g以下、より好ましくは6mgKOH/g以下、さらに好ましくは5mgKOH/g以下、さらに好ましくは4mgKOH/g以下、さらに好ましくは3.5mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステルCの酸価と水酸基価の合計は、定着性の観点から、好ましくは9mgKOH/g以上、より好ましくは11mgKOH/g以上、さらに好ましくは13mgKOH/g以上であり、そして、非晶質ポリエステルとのエステル化反応抑制の観点から、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは18mgKOH/g以下、さらに好ましくは16mgKOH/g以下、さらに好ましくは14mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステルCの数平均分子量は、定着性の観点から、好ましくは6,400以上、より好ましくは6,600以上、さらに好ましくは6,800以上であり、そして、荷重耐熱性の観点から、好ましくは8,200以下、より好ましくは8,000以下、さらに好ましくは7,800以下である。
また、同様の観点から、結晶性ポリエステルCの重量平均分子量は、好ましくは20,000以上、より好ましくは24,000以上、さらに好ましくは28,000以上であり、そして、好ましくは32,000以下、より好ましくは31,000以下、さらに好ましくは30,000以下である。
結晶性ポリエステルCの含有量は、結着樹脂組成物中、定着性の観点から、好ましくは4質量%以上、より好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であり、そして、荷重耐熱性の観点から、好ましくは14質量%以下、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、結晶性ポリエステルCの含有量は、非晶質ポリエステルAHと非晶質ポリエステルALの合計量100質量部に対して、定着性の観点から、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、さらに好ましくは8質量部以上であり、そして、荷重耐熱性の観点から、好ましくは18質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下である。
本発明の結着樹脂組成物には、前記の非晶質ポリエステルAH、非晶質ポリエステルAL、及び結晶性ポリエステルC以外の樹脂が含有されていてもよいが、非晶質ポリエステルAH、非晶質ポリエステルAL、及び結晶性ポリエステルCの合計含有量は、結着樹脂組成物中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
本発明の結着樹脂組成物を結着樹脂として用いて、本発明の電子写真用トナーが得られる。なお、本発明の結着樹脂組成物は、非晶質ポリエステルAH、非晶質ポリエステルAL、及び結晶性ポリエステルCの混合物を結着樹脂として用いてもよく、トナーを製造する際に、これらの樹脂を直接原料の混合に供してもよい。
本発明のトナーには、結着樹脂以外に、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントレッド122、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナー粒子は、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの転写性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは130℃以下、より好ましくは100℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、少なくとも、非晶質ポリエステルAH、非晶質ポリエステルAL、及び結晶性ポリエステルCを80℃以上で混合、好ましくは混練する工程を含む方法により製造したトナーが好ましく、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。混合の温度は、非晶質ポリエステル同士のエステル交換反応を促進する観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、そして、原料の熱分解抑制の観点から、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で、80℃以上で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、非晶質樹脂はアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に、結晶性樹脂はクロロホルムとジメチルホルムアミドの混合溶媒(クロロホルム:ジメチルホルムアミド=7:3(容量比))に、それぞれ変更する。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒からテトラヒドロフランに変更する。
〔樹脂の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフラン(非晶質樹脂)又はクロロホルム(結晶性樹脂)に、40℃で溶解させる。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(非晶質樹脂)又はクロロホルム(結晶性樹脂)を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー(株)製)
〔樹脂中のメチルエチルケトン(MEK)不溶分〕
(1)試料の調製
JIS Z8801の篩を用いて、22メッシュの篩を通過し、30メッシュの篩は通過しない粉末状の試料を採取する。試料が塊等の場合は、市販のハンマー、コーヒーミルを用いて、粉砕し、粉末状として篩いにかける。
(2)試料の溶解
2-1. 試料2.000gを、ガラス瓶(柏洋硝子(株)製、M-140)に秤量した後、MEK 95gを加え、内蓋及び外蓋を取り付ける。
2-2. ボールミルにて5時間攪拌する(周速:200mm/sec)。
2-3. 10時間静置する。
(3)濾過
3-1. 予め計量済み(1000分の1g単位)のナスフラスコ(質量A(g))に取り付けたガラスフィルタ(目開き規格11G-3)を準備する。ガラスフィルタのシールには、減圧が可能なゴム栓を用いる。
3-2. 2-3において10時間静置した溶解液の上澄みから20mLをメスピペッドで吸い取り、3-1で準備したガラスフィルタを用いて、減圧濾過する。なお、液面から下2cmまでを上澄みとする。溶解液を濾過する前のナスフラスコ内の減圧度を40kPaに調整する。
3-3. 未使用のMEK 20mLをメスピペッドで吸い取り、ガラスフィルタに付着している可溶分を減圧濾過する。
(4)乾燥
4-1. エバポレータにてナスフラスコ内のMEKを除去する。
ウォーターバス温度:70℃
ナスフラスコ回転数:200r/min
MEK除去中のナスフラスコ内の減圧度:40~20kPaに調整
時間:10分
4-2. 50℃・1torrにて12時間乾燥した後、ナスフラスコの質量B(g)を計量する。
(5)MEK不溶分の算出
5-1. MEK 20mLに溶解したMEK可溶分X(g)を算出する。
X=B-A
5-2. MEK 95gに溶解したMEK可溶分Y(g)を、MEKの比重を0.805として算出する。
Y=X×95/(20×0.805)
5-3. 試料1gあたりの可溶分Z(質量%)を算出する。
Z=Y/2×100
5-4. MEK不溶分(質量%)=100-Z
なお、MEK不溶分(質量%)は、3回の測定値の平均値とする。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに、表1に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分、触媒、及び助触媒を入れ、230℃にて10時間反応を行った。反応後、さらに無水トリメリット酸を添加し、1時間反応後8KPaにて、表1に記載の軟化点になるまで反応させて、非晶質ポリエステル(樹脂H1~H7)を得た。
樹脂製造例2
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに、表2に示すアルコール成分、カルボン酸成分、触媒、及び助触媒を入れ、230℃にて10時間反応を行った後、さらに無水トリメリット酸を添加し、1時間反応後8KPaにて、表2記載の軟化点になるまで反応させて、非晶質ポリエステル(樹脂L1~L5)を得た。
樹脂製造例3
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに、表3に示すアルコール成分及びカルボン酸成分を入れ、140℃に加熱して6時間反応させた後(反応率65%)、200℃まで10℃/hで昇温しつつ反応させた。200℃にて反応率80%まで反応させた後、触媒及び助触媒を加えて、さらに200℃にて2時間反応を行った。さらに8kPaにて2時間反応を行い、結晶性ポリエステル(樹脂C1~C7)を得た。なお、樹脂製造例において、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
Figure 0007089437000001
Figure 0007089437000002
Figure 0007089437000003
実施例1~12及び比較例1、2
表4に示す配合比の結着樹脂100質量部、着色剤「ファストゲンスーパーマゼンタR」(C.I.ピグメント レッド122、大日本インキ化学工業(株)製)6質量部、荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1質量部、及び離型剤「カルナウバワックス C1」(加藤洋行社製、融点:80℃)4質量部を、ヘンシェルミキサーでよく攪拌した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱設定温度は100℃であり、混練物の温度は160℃、混練物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。冷却後、ジェットミルで体積中位粒径(D50)6.5μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に対し、外添剤として「アエロジル R-972」(疎水性シリカ、日本アエロジル社製、疎水化処理剤:DMDS、平均粒子径:16nm)2質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合することにより、外添剤処理を行い、トナーを得た。
各実施例及び比較例において、着色剤を、「ECB-301」(銅フタロシアニン顔料、大日精化工業(株)製)4質量部又は「FAST YELLOW415」(C.I.ピグメント イエロー74、大日精化工業(株)製)4質量部に変更した以外は、マゼンタトナーと同様にして、シアントナー及びイエロートナーを得た。
試験例1〔用紙汎用性〕
カラープリンター「C612dnw」(商品名、沖データ(株)製)にYMCのカートリッジにそれぞれトナーを実装し、4種の定着紙に未定着で画像出しを行った(印刷面積:2cm×12cm、付着量:1.5mg/cm2)。
前記プリンターの定着機をオフラインで用い、180℃、500mm/secで未定着画像を定着させた。
〔定着紙〕
・J紙(富士ゼロックス製、SF-70NA、坪量:82g/m2、紙厚:97μm)
・C2紙(富士ゼロックス製、坪量:70g/m2、紙厚:89μm)
・Ncolor104(富士ゼロックス製、坪量:104g/m2、紙厚:125μm)
・Ncolor157(富士ゼロックス製、坪量:157g/m2、紙厚:177μm)
1-1.定着性
各印字物に対し、500gの荷重をかけた底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで、5往復擦り、擦る前後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定した。両者の比率(擦り後/擦り前)を定着率として算出し、以下の評価基準で定着性を評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
A:Ncolor157での定着率が0.95以上
B:Ncolor157での定着率が0.90以上0.95未満
C:Ncolor157での定着率が0.80以上0.90未満
D:Ncolor157での定着率が0.80未満だが、Ncolor104での定着率が0.80以上0.90以上
E:Ncolor104での定着率が0.80未満
1-2.耐巻き付き性
定着時の様子を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、薄紙の巻き付きの程度を評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
A:C2紙において、問題なく定着できる。
B:C2紙において、定着後若干カールする。
C:C2紙において、定着器に巻き付くが、J紙では問題ない。
D:J紙でも定着器に巻き付く。
試験例2〔荷重耐熱性〕
20mL容の容器(外径38×全高46mm)にマゼンタトナー4gを入れ、500gの錘をのせて、温度50℃の環境下に48時間放置した。放置後、以下の方法によりパウダーテスター(ホソカワミクロン社製)で凝集度を測定した。結果を表4に示す。凝集度が低いほど荷重耐熱性が良好であることを示す。
〔凝集度の測定〕
パウダーテスターの振動台に、3つの異なる目開きのフルイを上段250μm、中段149μm、下段74μmの順でセットし、その上にトナー4gを乗せ振動を与え、各フルイ上に残ったトナー質量を測定する。測定したトナー質量を次式に当てはめて計算し、凝集度[%]を求める。
凝集度[%]=a+b+c
a=(上段フルイ残トナー質量)/4[g]×100
b=(中段フルイ残トナー質量)/4[g]×100×(3/5)
c=(下段フルイ残トナー質量)/4[g]×100×(1/5)
Figure 0007089437000004
以上の結果より、実施例1~12のトナーは、用紙汎用性及び荷重耐熱性のいずれもが良好であることが分かる。
これに対し、没食子酸を用いて得られた非晶質ポリエステルを含む比較例1のトナーは、非晶質ポリエステル同士のエステル交換反応が阻害されたため用紙汎用性に欠けており、没食子酸を用いずに得られた結晶性ポリエステルを含む比較例2のトナーは、非晶質ポリエステルと結晶性ポリエステルの間でのエステル交換反応により、耐巻き付き性と荷重耐熱性に欠けている。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、例えば、静電荷像現像法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられる電子写真用トナーの結着樹脂として好適に用いられるものである。

Claims (6)

  1. 非晶質ポリエステルAH、非晶質ポリエステルAL、及び結晶性ポリエステルCを含有するトナー用結着樹脂組成物であって、前記非晶質ポリエステルAH及び前記非晶質ポリエステルALが、没食子酸の非存在下でアルコール成分とカルボン酸成分とを重合させた重縮合物であって、非晶質ポリエステルAHの軟化点が非晶質ポリエステルALの軟化点よりも20℃以上高く、前記結晶性ポリエステルCが、没食子酸の存在下で炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールを含むアルコール成分と炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分とを重合させた重縮合物である、トナー用結着樹脂組成物。
  2. 非晶質ポリエステルAH及び/又は非晶質ポリエステルALが、チタン触媒の存在下でのアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である、請求項1記載のトナー用結着樹脂組成物。
  3. 非晶質ポリエステルAHに対する非晶質ポリエステルALの質量比が、60/40以上90/10以下である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂組成物。
  4. 結晶性ポリエステルCの酸価が6mgKOH/g以下、酸価と水酸基価の合計が18mgKOH/g以下である、請求項1~3いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  5. 非晶質ポリエステルAH及び/又は非晶質ポリエステルALのアルコール成分におけるプロピレンオキサイドの付加モル数の平均値が2.2以上3.3以下である、請求項1~4いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  6. 請求項1~いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物を用いる電子写真用トナーの製造方法であって、少なくとも、非晶質ポリエステルAH、非晶質ポリエステルAL、及び結晶性ポリエステルCを80℃以上で混合する工程を含む、電子写真用トナーの製造方法。
JP2018154245A 2018-08-20 2018-08-20 トナー用結着樹脂組成物 Active JP7089437B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018154245A JP7089437B2 (ja) 2018-08-20 2018-08-20 トナー用結着樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018154245A JP7089437B2 (ja) 2018-08-20 2018-08-20 トナー用結着樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020030243A JP2020030243A (ja) 2020-02-27
JP7089437B2 true JP7089437B2 (ja) 2022-06-22

Family

ID=69624303

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018154245A Active JP7089437B2 (ja) 2018-08-20 2018-08-20 トナー用結着樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7089437B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010139659A (ja) 2008-12-10 2010-06-24 Kao Corp トナー用結晶性樹脂
JP2010145633A (ja) 2008-12-17 2010-07-01 Kao Corp 電子写真用トナー
JP2016045357A (ja) 2014-08-22 2016-04-04 花王株式会社 トナー用結着樹脂組成物
JP2017116843A (ja) 2015-12-25 2017-06-29 花王株式会社 電子写真用トナー
JP2018010286A (ja) 2016-06-30 2018-01-18 キヤノン株式会社 トナー、現像装置及び画像形成装置
JP2018031905A (ja) 2016-08-25 2018-03-01 キヤノン株式会社 トナー

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010139659A (ja) 2008-12-10 2010-06-24 Kao Corp トナー用結晶性樹脂
JP2010145633A (ja) 2008-12-17 2010-07-01 Kao Corp 電子写真用トナー
JP2016045357A (ja) 2014-08-22 2016-04-04 花王株式会社 トナー用結着樹脂組成物
JP2017116843A (ja) 2015-12-25 2017-06-29 花王株式会社 電子写真用トナー
JP2018010286A (ja) 2016-06-30 2018-01-18 キヤノン株式会社 トナー、現像装置及び画像形成装置
JP2018031905A (ja) 2016-08-25 2018-03-01 キヤノン株式会社 トナー

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020030243A (ja) 2020-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6054810B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP6316106B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP6373049B2 (ja) 電子写真用トナー
JP6392636B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物の製造方法
JP6713356B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP6181580B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP6448374B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP6388817B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP6392635B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物の製造方法
JP6223102B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP6367535B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP5584106B2 (ja) 電子写真用トナー
JP6675263B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP6762787B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP7089437B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP7258583B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP7001549B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP7018828B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP6915831B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP7407068B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP7153581B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP7451338B2 (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP2024018642A (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP2023045091A (ja) トナー用結着樹脂組成物
JP2023013191A (ja) トナー用結着樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210602

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220322

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220323

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220520

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220609

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220610

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7089437

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151