JP7088781B2 - 既設管の更生方法及び製管装置 - Google Patents
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Description
特許文献1、2の帯状体には、帯幅方向に伸縮可能な伸縮帯部が形成されている。カーブ部分においては、伸縮帯部の伸縮によって帯状体の幅が拡縮される。これによって、カーブ部分の内まわり側と外まわり側の管路長差に対応することができる。かつ、嵌合部の嵌合状態を維持できる。
前記伸縮帯部付きの帯状体を用いた場合であっても、伸縮帯部の許容伸縮量以上は物理的に曲げられない。また、帯状体の対向する嵌合部どうしが嵌合される前に伸縮帯部が帯幅方向に延びることがあり、そうすると、嵌合距離の変動によって嵌合が不安定になる。
本発明は、かかる事情に鑑み、既設管のカーブ部分に合わせて更生管を確実かつ容易に曲げることができ、かつ帯状体の対向する嵌合部どうしの嵌合が不安定化するのを防ぐことを目的とする。
前記帯状体における製管済の螺旋管部分の延伸方向の先端部に配置した製管装置によって、前記帯状体における前記螺旋管部分に連なる未製管の帯部分と前記螺旋管部分との互いに一周ずれて対向する縁部の嵌合部どうしを嵌合させることによって、前記更生管の製管を進める工程と、
前記製管に伴って前記製管装置が螺旋方向へ推進される工程と、
前記推進に伴って、前記製管装置に設けた切断工具によって、前記螺旋管部分を構成する帯状体に前記螺旋方向へ延びる切れ目を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする。
また、未製管の帯部分を切断するのではなく、製管済の螺旋管部分を構成する帯状体を切断することによって、帯状体の対向する嵌合部どうしの嵌合が不安定化するのを防ぐことができる。
好ましくは、帯状体の帯幅方向の切断箇所は、嵌合部を避けて設定する。
前記帯状体における切れ目が形成された部分は、帯幅方向へ簡単に拡げたり縮めたりすることができる。螺旋状に巻回された帯状体の帯幅方向は、既設管の管軸方向へほぼ沿う。そこで、既設管のカーブ部分の外まわり側において製管するとき、前記切れ目形成を行い、帯状体の帯幅寸法を相対的に拡げる。又は既設管のカーブ部分の内まわり側において製管するとき、前記切れ目形成を行い、帯状体の帯幅寸法を相対的に縮める。これによって、更生管の外まわり側の管路長が相対的に長くなる。または、更生管の内まわり側の管路長が相対的に短くなる。この結果、更生管を既設管の湾曲に合わせて確実かつ容易に曲げることができる。
これによって、既設管のカーブ部分においては、帯状体を切断して帯幅方向へ拡縮させることによって、更生管を既設管の湾曲に合わせて確実に湾曲させることができる。既設管のストレート部分においては、帯状体の幅寸法を一定に維持できる。
外まわり側部において切れ目を形成した場合、帯状体を外まわり側部において拡幅することで、更生管の外まわり側の管路長を増大させ、既設管の曲がりに対応できる。
内まわり側部において切れ目を形成した場合、帯状体を内まわり側部において縮幅することで、更生管の内まわり側の管路長を短くして、既設管の曲がりに対応できる。
更生管(製管済の螺旋管部分)の径方向における製管装置の位置は通常、一定であるから、該製管装置に対して切断工具を一定の位置に取り付けることによって、帯状体の切断深さを一定にできる。
前記帯状体の外周側部を切断することなく内周側部を切断するように、前記切断工具の製管装置への取り付け位置を設定することが好ましい。
ここで、帯状体の内周側部は、更生管における内周面を画成する側部を言う。帯状体の外周側部は、更生管における外周面を画成する側部、ないしは既設管の内壁と対面する側部をいう。
前記伸縮帯部を切断することなく前記主帯部を切断するように、前記切断工具の製管装置への取り付け位置を設定することが好ましい。
更生管(製管済の螺旋管部分)の径方向における製管装置の位置は通常、一定であるから、該製管装置に対して切断工具を一定の位置に取り付けることによって、帯状体の内周側の主帯部を切断し、外周側の伸縮帯部は切断しないようにできる。
切断されずに残った伸縮帯部を伸縮させることで、更生管を既設管の湾曲に合わせて容易に湾曲させることができる。
前記帯状体における製管済の螺旋管部分の延伸方向の先端部に配置され、前記帯状体における前記螺旋管部分に連なる未製管の帯部分と前記螺旋管部分との互いに一周ずれて対向する縁部の嵌合部どうしを嵌合させるとともに螺旋方向へ推進される製管部と、
前記製管部に設けられ、前記推進に伴って前記螺旋管部分を構成する帯状体に前記螺旋方向へ延びる切れ目を形成する切断工具と、
を備えたことを特徴とする。
当該製管装置によれば、製管部によって螺旋管部分ひいては更生管を製管しながら、切断工具によって螺旋管部分における帯状体の帯幅方向の一定の箇所を一定の切断深さで安定的に切断して、螺旋状の切れ目を形成できる。これによって、既設管のカーブ部分に合わせて更生管を確実かつ容易に曲げることができる。未製管の帯部分ではなく、製管済の螺旋管部分を切断することによって、帯状体の対向する嵌合部どうしの嵌合が不安定化するのを防ぐことができる。
切断工具の位置調節によって、帯状体の切断深さを調節でき、例えば、帯状体の外周側部を切断することなく内周側部だけを切断したり、伸縮帯部を切断することなく主帯部だけを切断したりできる。また、既設管のストレート部分では帯状体を切断することなくカーブ部分においてだけ帯状体の切断を行ったり、カーブ部分の外まわり側部でだけ、又は内まわり側部でだけ帯状体の切断を行ったりできる。
<第1実施形態>
図1~図8は、本発明の第1実施形態を示したものである。図1(b)に示すように、既設管1の内壁1bに沿って更生管9がライニングされることで、既設管1が更生されている。更生対象の既設管1は、例えば地中の老朽化した下水道管である。なお、既設管は、下水道管に限られず、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管などであってもよい。
図1(b)に示すように、カーブ部分9cの外まわり側部9hにおいては、帯状体90に切れ目97が形成されている。切れ目97は、帯状体90の帯幅方向の中間部に配置され、かつ帯状体90の帯長方向(更生管9の巻回方向)へ延びている。切れ目97は、外まわり側部9hを中心にして更生管9の周方向に好ましくは120°~240°の範囲にわたっている。
カーブ部分9cの内まわり側部9g及びストレート部分9aには、切れ目97が形成されていない。
なお、主帯部92の内周側面ひいては帯状体90の内周側面は、更生管9の内周面を画成する。ちなみに、帯状体90の外周側面は、既設管1の内壁1b(図1(b))と対面される。
図6に示すように、更生管9において、螺旋状に巻かれた帯状体90における互いに一周違いに対向する嵌合部93,94どうしが凹凸嵌合されている。
なお、帯状体90における未製管の帯部分90eは、螺旋管部分9dの内部を通り、連続部分90fにおいて延伸方向先端部9eに連続している。
アウターローラ11は更生管9の外周側に配置されている。インナーローラ12は更生管9の内周側に配置されている。ローラ11,12の軸線は、更生管9の管軸方向(図2の紙面と直交する方向)に略沿うように向けられている。図3に示すように、これらローラ11,12が、螺旋管部分9dにおける前記連続部分90fに対して一周先行する部分9fと、前記連続部分90fとに跨って、帯状体90を挟み付けている。
内周規制体20の外周に螺旋管部分9dの延伸方向先端部9eが巻き付けられる。これによって、延伸方向先端部9eの内周が規制され、更生管9が一定の内径の円形断面となる。
かつ切断工具31は、延伸方向先端部9eを構成する帯状体90の好ましくは帯幅方向の中間部と対向するように配置され、より好ましくは凹溝92cと対向するように配置されている(図7)。
図4は、位置調節手段33の一例を示したものである。位置調節手段33は、軸受けスライドベース34と、連結ボルト35を含む。軸受けスライドベース34は、支持アーム32の先端部に設けられるとともに、箱体15の高さ方向ひいては環状製管部3aの径方向(図4において上下)へスライド可能になっている。軸受けスライドベース34に切断工具31の中心軸31cが回転可能に支持されている。
連結ボルト35を回すことによって、軸受けスライドベース34が環状製管部3aの径方向へスライドされる。これによって、切断工具31が、環状製管部3aに対して、該環状製管部3aの径方向(更生管9の径方向)に位置調節可能になっている。
一対のローラ11,12によって、帯状体90の連続部分90fと一周先行部分9f(図3)とが挟み付けられるとともに、油圧モータ13によってローラ11,12が回転駆動される。これによって、未製管部分90eと螺旋管部分9dとの互いに一周違いに対向する縁部の嵌合部93,94どうしが嵌合される。具体的には、連続部分90fの第2嵌合部94と一周先行部分9fの第1嵌合部93とが嵌合される(図3、図6)。
これによって、更生管9の製管が進む。かつ、製管に伴って、環状製管部3aが、螺旋方向(図2(a)において左回りかつ紙面手前側)へ推進される。
詳しくは、既設管1のストレート部分1aにおいて製管するときは、切断工具31を環状製管部3aの内周側へ退避させておく。したがって、帯状体90が切断されることはない。言い換えると、帯状体90が切断されないように、切断工具31の製管装置3への取り付け位置を設定する。
カーブ部分1cの内まわり側部1gにおいて製管するときは、切断工具31を環状製管部3aの内周側へ退避させる。つまり、ストレート部分1aと同様に、帯状体90が切断されないように、切断工具31の製管装置3への取り付け位置を設定する。
より好ましくは、図7に示すように、伸縮帯部95を切断することなく主帯部92を切断するように、環状製管部3aの径方向における切断工具31の取り付け位置を設定する。これによって、主帯部92が凹溝92cにおいて切断される。伸縮帯部95は切断されずに残る。
さらに、製管によって製管部3aが螺旋方向へ推進されるのに伴って、切断工具31が、製管部3aと共に、更生管9の螺旋ピッチと同じピッチで前記螺旋方向(図2(a)において反時計回りかつ紙面手前側)へ推進される。これによって、主帯部92の凹溝92cに沿って切れ目97が形成される。
既設管1が供用下の下水道管であっても、水面下において確実に切断を行うことができる。
未製管の帯部分90eではなく、製管済の螺旋管部分9dを切断することによって、帯状体90の対向する嵌合部93,94どうしの嵌合が不安定化するのを防ぐことができる。
切れ目97は、外まわり側部9hを中心にして更生管9の周方向に好ましくは120°~240°の範囲(切断範囲)にわたって形成する。
前記切断範囲の終点に達したときは、切断工具31を環状製管部3aの内周側に退避させる。これによって、内まわり側部9gにまで切れ目97が及ばないようにできる。
その後、次の切断範囲の始点に達したときは、再び切断工具31を環状製管部3aの外周側にスライドさせ、切断を再開する。
カーブ部分1cにおける製管中、以上の操作を繰り返す。これによって、図1(b)に示すように、更生管9の外まわり側部9hにおいては、帯状体90の拡幅によって更生管9の管路長が増大され、更生管9を、既設管1の曲がりに合わせて湾曲させることができる。切れ目97の形成によって、カーブ部分1c内における更生管9を確実かつ容易に曲げることができる。
封止材98としてエポキシ系樹脂やモルタルなどの高粘性の封止材を用いる場合は、該高粘性封止材を切れ目97の内部に塗りつけたり、すり付けたりすることによって切れ目97を埋める。好ましくは、切れ目97内の高粘性封止材と、その周辺の更生管9の内周面とが面一になるように平滑化させる。
封止材98として光硬化性樹脂シートを用いる場合は、該光硬化性樹脂シートによって切れ目97を更生管9の内周側から覆う。
これによって、切れ目97を液密に封止できる。
<第2実施形態>
図9は、本発明の第2実施形態を示したものである。第2実施形態においては、製管装置として、基本構造が前掲特許文献4と同様の製管装置4が用いられている。製管装置4は、内周規制体20(図2参照)を有していない。螺旋管部分9dの延伸方向先端部9eの周方向の一箇所に製管装置4の製管部40が配置されている。延伸方向先端部9eは、前記一箇所を除いて内周側へ解放されている。
製管部40には複数のガイド43,44が、延伸方向先端部9eに対して前記螺旋方向(推進方向)へスライド可能に係合されている。
カーブ部分1cの外まわり側部1hにおける製管時には、切断工具31によって延伸方向先端部9eに切れ目37が形成される。
例えば、カーブ部分1cの内まわり側部1gで切れ目37の形成を行い、外まわり側部1hでは切れ目形成を行わないことにしてもよい。そして、更生管9の内まわり側部9gにおける帯状体90の帯幅を小さくすることによって、内まわり側部9gの管路長を短くしてもよい。
カーブ部分1cの曲がりがきついときは、外まわり側部1hでも内まわり側部1gでも切れ目37の形成を行ない、360°ないしはそれ以上にわたる切れ目37を形成してもよい。切れ目97の両端部において帯状体90を帯幅方向に切断することで、帯部分を切り出して撤去してもよい。
帯状体90を、厚さ方向の全体にわたって切断してもよい。すなわち、帯状体90の内周側部だけでなく、外周側部をも切断してもよい。帯状体90の主帯部92だけでなく伸縮帯部95をも切断してもよく、更に補強帯材96をも切断してもよい。嵌合部93,94を切断してもよい。
切断工具として、サンダーを用いてもよい。水面下で切れ目形成工程を実施する場合は、エア圧駆動式のエアサンダーを用いることが好ましい。
切断手段30が、切断工具を収容するカバーを有していてもよい。帯状体90の切れ目形成工程を実施しないときは、前記カバーを切断工具に被せておく。切れ目形成工程を実施するとき、前記カバーを外して、切断工具を使用する。カバーは、ヒンジを中心にして切断工具に被さる角度と、切断工具から外れた角度との間で回転可能であってもよい。
帯状体90の断面形状は、任意に改変できる。帯状体90が、補強帯材96を有していなくてもよい。
1a ストレート部分
1b 内壁
1c カーブ部分
1g 内まわり側部
1h 外まわり側部
3 製管装置
3a 製管部
10 装置本体
30 切断手段
31 切断工具
31c 中心軸
32 支持アーム
33 位置調節手段
34 軸受けスライドベース
35 連結ボルト
4 製管装置
40 製管部
9 更生管
9a ストレート部分
9c カーブ部分
9d 製管済の螺旋管部分
9e 延伸方向先端部
9f 一周先行部分
9g 内まわり側部
9h 外まわり側部
90 帯状体
90e 未製管帯部分
90f 連続部分
91 帯本体
92 主帯部
92c 凹溝
93 第1嵌合部(嵌合部)
94 第2嵌合部(嵌合部)
95 伸縮帯部
96 補強帯材
97 切れ目
98 封止材
Claims (7)
- 既設管の内壁に沿って帯状体からなる螺旋管状の更生管を製管することによって前記既設管を更生する方法であって、
前記帯状体における製管済の螺旋管部分の延伸方向の先端部に配置した製管装置によって、前記帯状体における前記螺旋管部分に連なる未製管の帯部分と前記螺旋管部分との互いに一周ずれて対向する縁部の嵌合部どうしを嵌合させることによって、前記更生管の製管を進める工程と、
前記製管に伴って前記製管装置が螺旋方向へ推進される工程と、
前記製管装置に設けた切断工具によって、前記螺旋管部分を径方向の切断深さまで切り込むとともに、前記製管装置の推進に伴う前記切断工具の移動によって、前記螺旋管部分を構成する帯状体の帯幅方向の一定の箇所に前記螺旋方向に沿って螺旋状に延びる切れ目を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする既設管更生方法。 - 前記既設管のカーブ部分において前記切れ目形成工程を行い、前記既設管のストレート部分においては前記切れ目形成工程を省略することを特徴とする請求項1に記載の既設管更生方法。
- 前記既設管のカーブ部分の外まわり側部及び内まわり側部の何れか一方において前記切れ目形成工程を行い、前記外まわり側部及び内まわり側部の他方においては前記切れ目形成工程を省略することを特徴とする請求項1または2に記載の既設管更生方法。
- 前記帯状体の厚さ方向の一部だけを切断するように、前記切断工具の製管装置への前記径方向における取り付け位置を設定することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の既設管更生方法。
- 前記帯状体が、主帯部と、前記主帯部の外周側に配置されるとともに前記主帯部より前記帯幅方向への伸縮性に富む伸縮帯部とを含んでおり、
前記伸縮帯部を切断することなく前記主帯部を切断するように、前記切断工具の製管装置への前記径方向における取り付け位置を設定することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の既設管更生方法。 - 既設管の内壁に沿って帯状体からなる螺旋管状の更生管を製管する製管装置であって、
前記帯状体における製管済の螺旋管部分の延伸方向の先端部に配置され、前記帯状体における前記螺旋管部分に連なる未製管の帯部分と前記螺旋管部分との互いに一周ずれて対向する縁部の嵌合部どうしを嵌合させるとともに螺旋方向へ推進される製管部と、
前記螺旋管部分を径方向の切断深さまで切り込むように前記製管部に設けられ、前記製管装置の推進に伴ない前記製管装置と共に移動されることによって、前記螺旋管部分を構成する帯状体の帯幅方向の一定の箇所に前記螺旋方向に沿って螺旋状に延びる切れ目を形成する切断工具と、
を備えたことを特徴とする製管装置。 - 前記切断工具を、前記製管部に対して、前記径方向に位置調節する位置調節手段を更に備えたことを特徴とする請求項6に記載の製管装置。
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