JP7088733B2 - 多孔体及び該多孔体の製造方法 - Google Patents
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このとき、前記水/水溶性のアルコールの混合溶媒は、水:水性アルコールの体積比が80:20~20:80であるとよい。
このとき、前記水/水溶性のアルコールの混合溶媒は、水:水性アルコールの体積比が70:30~30:70であるとよい。
このとき、前記水/水溶性のアルコールの混合溶媒は、水:水性アルコールの体積比が60:40~40:60であるとよい。
このとき、前記焼成工程では、大気雰囲気化にて前記ふっ素樹脂の融点以上の温度で焼成するとよい。
このとき、前記焼成工程は、前記乾燥工程と同時に実施されるとよい。
このとき、前記ふっ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、並びにテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオライドの3種類のモノマーからなる熱可塑性フッ素樹脂(THV)、及びフロオロエラストマーを含む群から選択される少なくとも1種以上である。
ふっ素樹脂とは、高分子鎖の繰り返し単位を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1つが、ふっ素原子又はふっ素原子を有する有機基(以下「ふっ素原子含有基」ともいう)で置換されたものをいう。ふっ素原子含有基は、直鎖状又は分岐状の有機基中の水素原子の少なくとも1つがふっ素原子で置換されたものであり、例えばフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロポリエーテル基等が挙げられる。
本実施形態の多孔体は、気孔が円形又は楕円形の断面を示す。
ここで、円形とは、本発明においては、気孔の短軸の長さ(a)と長軸の長さ(b)の比(a/b)が、0.7以上1.5以下であることであると定義される。
ここで、楕円形とは、本発明においては、気孔の短軸の長さ(a)と長軸の長さ(b)の比(a/b)が、0.3以上0.7未満、又は、1.5より大きく3.8未満であることであると定義される。
本実施形態の多孔体は、気孔率が75体積%以上99体積%以下であり、例えば、76体積%以上、77体積%以上、78体積%以上、79体積%以上、80体積%以上とできる。上限は、99体積%以下である。
本実施形態の多孔体は、常温における圧縮率0~50%における各圧縮率で圧縮した際の圧縮応力が全て好ましくは2.0MPa以下である。例えば、1.5MPa以下、1.3MPa以下、1.0MPa以下、0.8MPa以下、0.6MPa以下、0.4MPa以下、0.2MPa以下、0.05MPa以下、又は0.02MPa以下とできる。下限は0MPaである。さらに好ましくは、本実施形態の多孔体では、高温下(250℃)における圧縮率0~50%の各圧縮率で圧縮した際の圧縮応力が全て好ましくは2.0MPa以下である。例えば、2.0MPa以下、1.7MPa以下、1.5MPa以下、1.3MPa以下、1.0MPa以下、0.8MPa以下、0.6MPa以下、0.4MPa以下、0.2MPa以下又は0.04MPa以下とできる。下限は0MPaである。
本実施形態の多孔体は、好ましくは、常温で、圧縮率50%で圧縮した際の復元率が75%以上である。例えば、85%以上、90%以上、又は95%以上とできる。上限は限定されないが、通常99%以下である。より好ましくは高温下(250℃)における圧縮率50%で圧縮した際の復元率が75%以上である。例えば、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上とできる。上限は限定されないが、通常99%以下である。
本実施形態の多孔体では、好ましくは常温での圧縮率25%における見かけヤング率が2.0MPa以下である。例えば、1.0MPa以下、0.3MPa以下、0.1MPa以下、0.05MPa以下、又は0.01MPa以下とできる。下限は限定されないが、通常0.0001MPa以上である。より好ましくは、本実施形態の多孔体では、好ましくは高温下(250℃)における圧縮率25%における見かけヤング率が2.0MPa以下である。例えば、1.0MPa以下、0.1MPa以下、0.08MPa以下、又は0.05MPa以下とできる。下限は限定されないが、通常0.0001MPa以上である。さらに好ましくは、本実施形態の多孔体では、常温及び高温下(250℃)における圧縮率0~90%の各圧縮率で圧縮した際の見かけヤング率が上記の低い値である。このように本実施形態の多孔体では、見かけヤング率が低いため、柔軟性を高くでき変形特性を向上できる。
本実施形態の多孔体では、好ましくは250℃における熱収縮が発生しない。ここで、熱収縮が発生しないとは、多孔体を常温から250℃の高温にした際の熱収縮率(%)が0またはマイナスとなることを意味する。熱収縮率は、例えば、多孔体の常温及び250℃における厚みを測定し、熱収縮率(%)=(常温の厚さ-250℃における厚さ)÷常温の厚さ×100で算出すればよい。250℃における厚さよりも、常温の厚さの方が小さい場合、熱収縮率は0であるとする。
次に、本実施形態の多孔体の製造方法について説明する。本実施形態の多孔体の製造方法は、ふっ素樹脂粉末を、水/水溶性のアルコールの混合溶媒に分散させてふっ素樹脂粉末の分散液を調製する分散液調製工程と、調製したふっ素樹脂粉末分散液を発泡させる発泡工程と、発泡させて得られた発泡体を乾燥する乾燥工程(分散媒の除去工程)と、乾燥させた発泡体を焼成する焼成工程と、を行うことを特徴とする。
分散液調製工程では、ふっ素樹脂粉末を、水/水溶性のアルコールの混合溶媒に分散させてふっ素樹脂粉末の分散液を調製する。
ここで、水溶性のアルコールとしては、水溶性アルコールとしては、例えば、エチルアルコール(エタノール)、メタノール(メチルアルコール)、n-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。水溶性アルコールは、1種類のみを用いても良く、任意の2種または3種以上を混合して用いてもよい。
水と水溶性アルコールの混合率は、用いる水溶性アルコールの種類に応じて適宜設定すればよく、水:水性アルコールの体積比が80:20~20:80、好ましくは70:30~30:70、より好ましくは60:40~40:60である。
発泡工程では、ふっ素樹脂粉末が混合溶媒に分散した分散液を発泡させる。なお、発泡方法は、気泡供給装置を用いたり、攪拌によって発泡させたりして行うことができるが、これらの方法に限定されない。このような気泡供給装置や攪拌などの条件によって、気泡倍率、気泡量、気泡径を調整できる。
前記脱水工程では、発泡体を所定時間(例えば4時間)、常温又は常温外の所定温度下で分散液に含まれていた分散媒を乾燥(自然乾燥を含む)することによって脱水する。
前記焼成工程では、発泡体を大気雰囲気化にてふっ素樹脂の融点以上の高温度(例えばPTFEであれば、340~370℃)で所定時間(例えば1時間)焼成する。なお、焼成工程は、前記脱水工程と同時に実施することが可能である。
PTFE粉末(旭硝子株式会社製G-163)を、水とエチルアルコールを体積比60:40の混合溶媒に分散させてPTFE粉末の濃度が2.5体積%のPTFE粉末の分散液を調製した。調製した分散液を、気体供給装置を用いて発泡させた。発泡させて得られた発泡体を回収して、100℃で4時間乾燥させた後に、360℃で1時間、大気雰囲気下にて焼成した。
作成した多孔体からサンプルを切断し、寸法計測装置(例えばノギス)を用いて、前記サンプルの縦、横、高さの寸法を計測した。次に、前記サンプルの重量を計測し、以下の式によりかさ密度を測定した。
かさ密度(g/cm3)=重量÷縦寸法÷横寸法÷高さ
得られたかさ密度とPTFEの真比重(2.25g/cm3)から以下の式により気孔率を算出した。
気孔率(%)=(1-かさ密度)÷真比重×100
作成した多孔体からサンプルを切断し、断面をマイクロスコープ(ハイロックス社製MODEL RH-2000)を用いて35倍にて撮影した。細孔と認められる部分が円形状または楕円形状となっていることから、細孔の長径と短径を計測した。
以下の式に示すように、試験時のサンプル圧縮時の荷重値を上記サンプル寸法計測により求めた面積(縦寸法と横寸法)で除算して算出した。圧縮時の荷重は、上記のかさ密度と同じようにサンプルの寸法を計測し、このサンプルの厚さを100%として圧縮率を設定(0~50%)して、材料試験機(オートグラフ、島津製作所)を用いて所定厚さまで圧縮(5mm/min)した際の加重値とした。
圧縮応力(MPa)=測定荷重(N)÷サンプル面積(mm2)
上記のかさ密度と同じようにサンプルの寸法を計測した。このサンプルの厚さを100%として、材料試験機(オートグラフ、島津製作所)を用いて60秒間50%圧縮(5mm/min)し、圧縮を解放して60秒後の厚さを計測し、以下の式から復元率を算出した。
復元率(%)=圧縮試験後の厚さ÷試験前の厚さ×100
前記圧縮応力と、サンプルの寸法計測によって計測した歪量とに基づき見かけヤング率を算出した。
上記のかさ密度と同じようにサンプルの寸法を計測した。このサンプルの厚さを100%として、熱機械分析装置(TAInstruments製TMAQ400)を用いて260℃におけるサンプルの厚さを計測し、以下の式から熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=(常温の厚さ-260℃における厚さ)÷常温の厚さ×100
260℃における厚さよりも、常温の厚さの方が小さい場合、熱収縮率は0である。
実施例1とは異なり管状PTFEを315℃で長手方向に600%延伸し、355℃で焼成することにより多孔体を得た。
得られた多孔体の断面の写真を図2に示す。さらに比較例1の多孔体について実施例1と同様に評価をした。結果を表1に示す。
Claims (8)
- 気孔を有する多孔体の製造方法であって、
ふっ素樹脂粉末を、水/水溶性のアルコールの混合溶媒に分散させてふっ素樹脂粉末の分散液を調製する分散液調製工程と、
調製したふっ素樹脂粉末の分散液を発泡させる発泡工程と、
発泡させて得られた発泡体を乾燥する乾燥工程と、
乾燥させた発泡体を焼成する焼成工程と、を行うことを特徴とする多孔体の製造方法(ただし、界面活性剤を用いる方法を除く)。 - 前記水溶性のアルコールは、エタノール、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノールを含む群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔体の製造方法。
- 前記水/水溶性のアルコールの混合溶媒は、水:水性アルコールの体積比が80:20~20:80であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔体の製造方法。
- 前記水/水溶性のアルコールの混合溶媒は、水:水性アルコールの体積比が70:30~30:70であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔体の製造方法。
- 前記水/水溶性のアルコールの混合溶媒は、水:水性アルコールの体積比が60:40~40:60であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔体の製造方法。
- 前記焼成工程では、大気雰囲気化にて前記ふっ素樹脂の融点以上の温度で焼成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多孔体の製造方法。
- 前記焼成工程は、前記乾燥工程と同時に実施されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多孔体の製造方法。
- 前記ふっ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、並びにテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオライドの3種類のモノマーからなる熱可塑性フッ素樹脂(THV)、及びフロオロエラストマーを含む群から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多孔体の製造方法。
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