実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例、および表示装置の作製方法例について説明する。
本発明の一態様の表示装置は、複数の液晶素子を含む。液晶素子は、一対の電極と、液晶層を含む。一対の電極のうち、一方は画素電極として機能し、他方は共通電極として機能する。液晶層は、一対の基板の間に設けることができる。
液晶素子は反射型の液晶素子、または透過型の液晶素子とすることができる。反射型の液晶素子とする場合、画素電極として可視光を反射する導電層を用いることができる。また、透過型の液晶素子とする場合、画素電極として可視光を透過する導電層を用いることができる。
また、表示装置は、画素電極と重なる位置に着色層を有する。着色層は、液晶素子の光路上に位置するように配置することができる。
液晶層は、画素電極及び着色層と重なる第1の部分と、着色層と重ならない第2の部分を有する。第2の部分は、隣接する2つの画素電極の間の領域と重なる部分とも言うことができる。
第1の部分は、モノマー及び液晶を含み、第2の部分は、当該モノマーが重合したポリマー(高分子材料)を含む。第2の部分において、ポリマーは一対の基板を接着する柱状の隔壁の骨子を構成する。また第2の部分には、液晶が含まれていてもよいし、柱状の隔壁がポリマーと液晶を含んでいてもよい。
液晶層の第2の部分に設けられた、ポリマーを含む柱状の隔壁は、隣り合う2つの液晶素子の間に配置され、隣接する2つの液晶素子間における液晶を分離する機能を有する。そのため、当該ポリマーを含む柱状の隔壁はポリマーウォールとも呼ぶこともできる。1つの液晶素子は第1の部分において、当該隔壁と、一対の基板とに取り囲まれた液晶を有する構成とすることができる。隔壁により、隣の液晶素子が有する液晶の配向状態の影響を受けにくくなるため、コントラストなどが向上し、より鮮やかな表示が可能な表示装置を実現できる。なお、1つの液晶素子の液晶は、隣接する液晶素子の液晶と完全に分離されている必要はなく、隣接する2つの液晶素子間に少なくとも一つ以上の島状の隔壁が存在する領域を有する構成とすればよい。
本発明の一態様の表示装置を作製する際、一対の基板の一方に着色層を形成し、他方に画素電極を形成する。また、液晶層には、液晶と、モノマーと、重合開始剤を含む材料を用いる。続いて、液晶層を挟むように、着色層が形成された基板と画素電極が形成された基板とを貼り合せた後、着色層側から光を照射する。このとき、着色層を遮光マスクとして用いることができるため、液晶層の一部に対して光を照射することにより、着色層と重ならない領域において、モノマーが重合してポリマーに変化する。これにより、着色層と重ならない位置に、ポリマーを含む隔壁を形成することができる。
ここで、液晶層の一部に照射する光としては、着色層が吸収しうる波長の光であって、且つ、表示の際に用いる可視光の波長領域よりも外側の波長の光を好適に用いることができる。例えば、紫外線や赤外線を用いることができる。特に、波長100nm~400nmの紫外線を用いることが好ましい。
上記方法によれば、光の照射の際に、遮光層として機能する着色層と液晶層との間の距離が極めて近い状態で光を照射することが可能となる。例えば、一対の基板の間に液晶層を挟んだ状態で、遮光マスクを用いて基板越しに光を照射した場合、光の散乱や回折等により意図しない領域にまで光が照射されてしまい、ポリマーが形成される領域が広がってしまう場合がある。一方、上記方法によれば、着色層と液晶層との距離が極めて近いため、上述した光の散乱などの影響が極めて小さく、所望の位置に高い精度でポリマーを形成することができる。
さらに、カラー表示のための着色層が、ポリマーの形成時の遮光層を兼ねるため、工程を増やすことなく、低コストで表示装置を作製することができる。また、着色層は任意の位置に形成することができるため、画素電極や、そのほかの配線の位置などに制限されることなく、隔壁を形成する領域を自由に決定することが可能となる。
本発明の一態様の表示装置は、一対の基板を接着するポリマーを含む隔壁を、隣接画素間に配置することが可能となるため、基板間の接着強度が極めて高い。また隔壁は一対の基板間の距離を保持するためのギャップスペーサとして機能させることもできる。そのため、表示面を押す、または表示装置を曲げるなどの外力が加わった際や、表示装置を振動させたときなどに、液晶素子のセルギャップが変化しにくいため、セルギャップが変化することによる干渉や色の変化などが生じにくい。
また上述した方法を用いることで、任意の位置に高い精度でポリマーを形成することができる。また遮光マスクなどを用いてポリマーを形成する場合に比べて、径の小さなポリマーを高密度に配置することが可能となる。そのため、極めて高精細な表示装置を作製することが可能となる。本発明の一態様の方法を用いることで、例えば、表示部の精細度が300ppi以上、または500ppi以上、または800ppi以上、または1000ppi以上であって、3000ppi以下、または4000ppi以下、または5000ppi以下の極めて高精細な表示装置を実現することも可能となる。
また、本発明の一態様は、反射型の表示素子と、透過型の表示素子の両方を有し、透過モード、反射モード、およびハイブリッドモードの表示を行うことのできる、表示装置(表示パネル)であることが好ましい。このような表示パネルを、TR-Hybrid Display(Transmission and Reflection Hybrid Display、または、Transmission/Reflection Hybrid Display)とも呼ぶことができる。
本明細書等において、ハイブリッド表示(ハイブリッドモード)とは、1つのパネルにおいて、反射光と、透過光とを併用して、色調または光強度を互いに補完して、文字または画像を表示する方法である。または、ハイブリッド表示とは、同一画素または同一副画素において複数の表示素子から、それぞれの光を用いて、文字、画像、またはその両方を表示する方法である。ただし、ハイブリッド表示を行っているハイブリッドディスプレイを局所的にみると、複数の表示素子のいずれか一を用いて表示される画素または副画素と、複数の表示素子の二以上を用いて表示される画素または副画素と、を有する場合がある。
なお、本明細書等において、上記構成のいずれか1つまたは複数の表現を満たすものを、ハイブリッド表示という。
また、ハイブリッドディスプレイは、ひとつの画素またはひとつの副画素に複数の表示素子を有する。なお、複数の表示素子としては、例えば、光を反射する反射型素子と、光を透過する透過型素子とが挙げられる。なお、反射型素子と、透過型素子とは、それぞれ独立に制御することができる。ハイブリッドディスプレイは、表示部において、反射光、及び透過光のいずれか一方または双方を用いて、文字、画像、またはその両方を表示する機能を有する。
このような表示装置の一例として、一対の基板の間に、反射型の液晶素子を構成する第1の液晶層と、透過型の液晶素子を構成する第2の液晶層とが積層された構成とすることができる。このとき、第1の液晶層または第2の液晶層のいずれか一方に、上記ポリマーウォールを形成することができる。先に形成する液晶層に着色層を遮光層として用いてポリマーウォールを形成し、その後、他方の液晶層を形成することで、歩留り良く表示装置を作製することができる。
以下では、本発明の一態様の表示装置の構成例、及び作製方法の例について、図面を参照して説明する。
なお、以下では「上」、「下」などの向きを示す表現は、基本的には図面の向きと合わせて用いるものとする。しかしながら、説明を容易にするためなどの目的で、明細書中の「上」または「下」が意味する向きが、図面とは一致しない場合がある。一例としては、積層体等の構成を積層順(または形成順)に説明する場合に、図面において当該積層体が設けられる側の面(被形成面、支持面、接着面、平坦面など)が当該積層体よりも上側に位置していても、その向きを下、これとは反対の向きを上、などと表現する場合がある。
[構成例1]
図1(A)は、本発明の一態様の表示装置10の斜視概略図である。表示装置10は、基板21と基板31とが貼り合わされた構成を有する。図1(A)では、基板31を破線で明示している。
表示装置10は、表示部32、回路34、配線35等を有する。基板21には、例えば回路34、配線35、及び表示部32に含まれ、画素電極として機能する導電層23が設けられる。また、図1(A)では基板21にIC37とFPC36が実装されている例を示している。そのため、図1(A)に示す構成は、表示モジュールとも呼ぶことができる。
回路34は、例えば走査線駆動回路として機能する回路を用いることができる。
配線35は、表示部32や回路34に信号や電力を供給する機能を有する。当該信号や電力は、FPC36を介して外部から配線35に入力されるか、またはIC37から配線35に入力される。
また、図1(A)では、COG(Chip On Glass)方式等により、基板21にIC37が設けられている例を示している。IC37は、例えば信号線駆動回路などとしての機能を有するICを適用できる。なお表示装置10が信号線駆動回路として機能する回路を備える場合や、信号線駆動回路として機能する回路を外部に設け、FPC36を介して表示装置10を駆動するための信号を入力する場合などでは、IC37を設けない構成としてもよい。また、IC37を、COF(Chip On Film)方式等により、FPC36に実装してもよい。
図1(A)には、表示部32の一部の拡大図を示している。表示部32には、複数の表示素子が有する導電層23がマトリクス状に配置されている。導電層23は、例えば画素電極として機能する。
〔断面構成例1-1〕
図1(B)に、図1(A)中の切断線A1-A2に対応する断面の一例を示す。図1(B)には、隣接する2つの画素(副画素)を含む領域の断面を示している。またここでは、表示素子として、反射型の液晶素子40を適用した場合の例を示している。図1(B)において、基板31側が表示面側となる。
表示装置10は、基板21と基板31の間に液晶層24が挟持された構成を有している。また液晶素子40は、基板21側に設けられた導電層23と、基板31側に設けられた導電層25と、これらに挟持された液晶層24と、を有する。
ここで、導電層23は画素電極として機能する。ここでは導電層23が可視光を反射する機能を有する。また導電層25は、共通電極などとして機能する。ここでは導電層25が可視光を透過する機能を有する。そのため液晶素子40は、反射型の液晶素子である。
なお、ここでは図示しないが、基板31よりも外側に円偏光板を設けることができる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。これにより、反射光を利用した表示を行うことができるとともに、表示面側の外光反射を抑制することができる。またこれとは別に、表示面側に光拡散板を配置すると、視認性を向上させられるため好ましい。
基板21上には、導電層23と電気的に接続するトランジスタ70が設けられている。一方、基板31の基板21側には、着色層51a、着色層51b、着色層51c、絶縁層61、導電層25等が設けられている。また導電層23と液晶層24の間に配向膜53aが設けられ、導電層25と液晶層24の間に配向膜53bが設けられている。なお、配向膜53a及び配向膜53bは、不要であれば設けなくてもよい。
トランジスタ70は、ゲートとして機能する導電層71、半導体層72、ゲート絶縁層として機能する絶縁層73、ソース又はドレインの一方として機能する導電層74a、ソース又はドレインの他方として機能する導電層74b等を有する。
トランジスタ70を覆って絶縁層81が設けられている。また絶縁層81上に導電層23が設けられている。導電層23と導電層74bとは、絶縁層81に設けられた開口を介して電気的に接続している。トランジスタ70及び導電層23は、画素(副画素)ごとに配置されている。
着色層51a、着色層51b、着色層51cは、それぞれ異なる導電層23と重ねて配置されている。
液晶層24は、着色層51a、着色層51b、または着色層51cと重なる領域であって、且つ導電層23と重なる領域において、液晶12と、モノマー13を有する。また液晶層24は、いずれの着色層とも重ならない領域において、隔壁11を有する。隔壁11は、隣り合う2つの導電層23の間と重なる領域に位置する。
モノマー13は、重合することによりポリマーとなる材料である。また、隔壁11は、モノマー13が重合することにより得られるポリマーを含んで構成される。隔壁11の内部には、液晶12と同じ材料が含まれていてもよい。
モノマー13としては、重合性モノマーを用いることができる。例えば光により重合が進行する光重合性(光硬化性)や、熱により重合が進行する熱重合性(熱硬化性)を有する重合性モノマーを用いることができる。特に、光重合性を有する材料を用いることが好ましい。また、液晶層24は、モノマー13に加えて、例えば重合数が2以上100以下のオリゴマーも含んでいてもよい。このとき、当該オリゴマーは、光重合性または熱重合性を有することが好ましい。
モノマー13としては、例えば、アクリレート、メタクリレートなどの単官能モノマー、ジアクリレート、トリアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレートなどの多官能モノマーなどを用いることができる。また、単官能モノマーや多官能モノマーを、2種類以上混合させたものでもよい。また、モノマー13としては液晶性の材料、非液晶性の材料、またはこれらが混合された材料を用いることができる。
液晶層24の、各着色層及び導電層23と重なる領域において、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤は、例えば光や熱などの外的刺激によりモノマーの重合のきっかけとなる物質に変化する材料である。重合開始剤としては、例えば紫外線などの光または熱によってラジカルが生成するラジカル重合開始剤等を用いることができる。なお、重合開始剤は液晶やモノマーに比べて極微量であればよく、例えば重合開始剤は、液晶、モノマー及び重合開始剤等が混合された組成物の総重量に対する重量比が、1wt%以下の比率で混合されていればよい。また、重合開始剤はモノマー13の材料に応じて適宜選択することができる。モノマー13の材料によっては、ラジカル重合開始剤に代えて、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤などを用いてもよい。
モノマー13は、使用する重合開始剤により重合が開始される材料を選択すればよい。特に、モノマー13及び重合開始剤の組み合わせとして、紫外線により重合が開始され、且つ重合が進行する材料をそれぞれ用いることが好ましい。
また液晶層24には、液晶12、モノマー13、重合開始剤等の他に、カイラル剤を含んでいてもよい。
隔壁11は、モノマー13が重合することにより得られるポリマーを含む。例えば、モノマー13としてアクリレートを用いた場合には、隔壁11がポリアクリレートを含む。
また、ポリマーの重合度は、その形成条件やモノマー13の材料に応じて変化する。また隔壁11の体積密度も同様に、ポリマーの形成条件や、モノマー13の材料等によって変わるが、例えば70%以上100%以下、好ましくは80%以上100%以下、より好ましくは90%以上100%以下とすることができる。
隔壁11は、基板21と基板31を接着することが好ましい。より具体的には、隔壁11は、基板21側に設けられ、液晶層24と接する層と、基板31側に設けられ、液晶層24と接する層を接着する機能を有する。図1(B)においては、基板21側に設けられ液晶層24と接する配向膜53aの一部と、基板31側に設けられ、液晶層24と接する配向膜53bの一部とを、隔壁11が接着している。なお、配向膜53aや配向膜53bを設けない場合では、基板21側に設けられ、液晶層24と接する絶縁層81の一部と、基板31側に設けられ、液晶層24と接する導電層25の一部とを隔壁11が接着する構成となる。
着色層51a、着色層51b、及び着色層51cは、それぞれ異なる色の可視光を透過する。これにより、表示装置10によりカラーの画像を表示することができる。
また着色層51a、着色層51b、及び着色層51cは、それぞれ隔壁11の形成時に用いる光を遮光(吸収)することが好ましい。より具体的には、重合開始剤が吸収する波長の光を遮光(吸収)することが好ましい。例えば、各着色層は、波長100nm以上400nm以下の範囲において、透過率が40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下であって、0%以上である範囲を有することが好ましい。
なお、各着色層のうちの一以上が、上記光を透過しやすい場合には、当該着色層のみ、または全ての着色層に重ねて、可視光を透過し、且つ紫外線を吸収するフィルタ層を設けてもよい。例えば、無機絶縁膜、導電性酸化物膜、透光性を有する程度に薄い金属膜、または顔料や染料を含む樹脂などを、着色層に重ねて配置することができる。
基板21と基板31としては、例えばガラス基板を用いることができる。または、基板21と基板31とに、薄く軽量な材料を用いてもよい。例えば、厚さ0.5mmのガラスよりも単位面積当たりの重量が小さい材料を好適に用いることが好ましい。好適には、樹脂を含む材料や、可撓性を有する程度に薄いガラスを用いることができる。
例えば、基板21または基板31として、厚さが1μm以上300μm以下、好ましくは3μm以上200μm以下、より好ましくは5μm以上150μm以下、さらに好ましくは10μm以上100μm以下の薄いシート状の材料を用いることができる。基板21と31の両方に、このような材料を用いることで、曲げることのできる表示装置を実現できる。
本発明の一態様の表示装置10は、表示面側からみて画素電極として機能する2つの導電層23の間に位置する隔壁11により、基板21と基板31との接着強度が高められており、破損しにくく、信頼性の高い表示装置である。また隔壁11によって外力に対する物理的強度が高められたことに加え、外力によるセルギャップの変化が抑制された表示装置である。
以上が断面構成例1-1についての説明である。
〔作製方法例1-1〕
続いて、図1(B)に示した表示装置10の作製方法の一例について説明する。図2~図6に示す各図は、表示装置10の作製方法に係る、工程の各段階における断面概略図である。
なお、表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulse Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法や、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法を使ってもよい。
また、表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法により形成することができる。
また、表示装置を構成する薄膜を加工する際には、フォトリソグラフィ法等を用いて加工することができる。または、遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を形成してもよい。または、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。フォトリソグラフィ法としては、例えば以下の2つの方法がある。1つは、加工したい薄膜上に感光性のレジスト材料を塗布し、フォトマスクを介して露光した後、現像することによりレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう1つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra-violet)やX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
〈トランジスタ70の形成〉
まず、基板21上に導電層71を形成する。導電層71は、導電膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。
続いて、基板21及び導電層71を覆って絶縁層73を形成する。
続いて、半導体層72を形成する。半導体層72は、半導体膜を成膜した後、レジストマスクを形成し、当該半導体膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することにより形成できる。
続いて、導電層74a及び導電層74bを形成する。導電層74a及び導電層74bは、導電層71と同様の方法により形成できる。
以上の工程により、トランジスタ70を形成することができる(図2(A))。
〈絶縁層81の形成〉
続いて、絶縁層81を形成する。絶縁層81に感光性の材料を用いることで、フォトリソグラフィ法等により開口を形成することができる。なお絶縁層81として、絶縁膜を成膜した後に、レジストマスクを用いて絶縁膜の一部をエッチングして開口を形成してもよい。絶縁層81は、有機絶縁材料を用いると、その上面の平坦性を高めることができるため好ましい。
また、絶縁層81として、無機絶縁膜を用いてもよい。絶縁層81として、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、または窒化酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料の層を、単層で、または積層して用いることができる。これにより、絶縁層81はトランジスタ70の保護層として機能する。
また、絶縁層81を、無機絶縁膜と有機絶縁膜の積層構造としてもよい。
〈導電層23、配向膜53aの形成〉
続いて、絶縁層81上に導電層23を形成する。導電層23は、導電層71と同様の方法により形成できる。
続いて、配向膜53aを形成する(図2(B))。配向膜53aとなる薄膜を成膜した後に、ラビング処理を行うことにより、配向膜53aを形成することができる。
〈着色層の形成〉
続いて、基板31上に着色層51a、着色層51b、及び着色層51cを形成する(図3(A))。
着色層51a、着色層51b、及び着色層51cには、例えば感光性の樹脂材料を用いることが好ましい。各着色層は、それぞれ基板31に材料を塗布した後、フォトマスクを介して当該材料を露光し、現像処理の後に加熱処理を行うことで、形成することができる。
着色層51a、着色層51b、及び着色層51cは、それぞれカラーフィルタとしての機能の他に、後の隔壁11の形成のための光20の照射時において、光20を遮光する機能を有する。例えば、光20に用いる光に対する吸収率が60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上であって、100%以下となるように、着色層51a、着色層51b、及び着色層51cの材料、厚さ、密度等をそれぞれ決定することが好ましい。また、着色層51a、着色層51b、及び着色層51cに用いる材料、厚さ、密度等は、後の光20の照射の条件(強度、照射時間等)に応じて決定することができる。
〈絶縁層61の形成〉
続いて、着色層51a、着色層51b、及び着色層51cを覆って絶縁層61を形成する(図3(B))。絶縁層61は、絶縁層81と同様の方法により形成することができる。絶縁層61は、各着色層に含まれる材料が後の液晶層24に拡散することを抑制するオーバーコートとしての機能を有する。
〈導電層25、配向膜53bの形成〉
続いて、絶縁層61上に、導電層25を形成する。導電層25は、導電層71等と同様の方法により形成することができる。または、遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の導電層25を形成してもよい。
続いて、導電層25上に配向膜53bを形成する(図3(C))。配向膜53bは、配向膜53aと同様の方法により形成することができる。
なお、上述した基板21側の工程と、基板31側の工程は、それぞれ独立に進めることができる。
〈基板21と基板31の貼り合せ〉
続いて、基板21と基板31のいずれか一方、または両方に、これらを接着する接着層(図示しない)を形成する。接着層は、画素が配置されている領域を囲むように形成する。接着層は、例えばスクリーン印刷法や、ディスペンス法等により形成することができる。接着層としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂等を用いることができる。また、紫外線により仮硬化した後に、熱を加えることにより硬化する樹脂などを用いてもよい。または、接着層として、紫外線硬化性と熱硬化性の両方を有する樹脂などを用いてもよい。
続いて、液晶層24となる組成物をディスペンス法等により接着層に囲まれた領域に滴下する。具体的には、液晶12、モノマー13、及び重合開始剤を含む組成物を滴下する。また、当該組成物にカイラル剤等が含まれていてもよい。
続いて、液晶層24となる組成物を挟むように基板21と基板31とを貼り合せ、接着層を硬化する。貼り合せは、減圧雰囲気下で行うと基板21と基板31の間に気泡等が混入することを防ぐことができるため好ましい。
なお、液晶層24となる組成物は、基板21と基板31を貼り合せた後に、減圧雰囲気下において、接着層に設けた隙間から注入する方法を用いてもよい。また、液晶層24となる組成物の滴下後に粒状のギャップスペーサを画素が配置されている領域や、当該領域の外側に散布してもよいし、当該ギャップスペーサを含む組成物を滴下してもよい。
この時点で、導電層23、導電層25及び液晶12を含む液晶素子40が形成される(図4(A))。なおこの時点では、隔壁11が形成されておらず、また液晶層24に含まれるモノマー13の濃度が高い状態である。
〈隔壁11の形成〉
続いて、基板31側から光20を照射する(図4(B))。
光20は、重合開始剤が反応する波長、及び強度の光を用いることができる。例えば、光20は、波長100nm~400nmの紫外線を用いることができる。波長200nm~400nmの波長を用いると、大気による吸収が抑制できるため好ましい。代表的には、波長254nmの光や、波長365nmの光、波長385nmの光などがある。光20は、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等の光源を用いて生成することができる。また、ランプやLEDの他に、エキシマレーザ等のレーザを、光源として用いてもよい。
光20は、基板31の表面に対して垂直に入射されるように、できるだけ平行光に近い光を用いることが好ましい。特に基板31が大きい場合などで、複数の光源を用いる場合には、光が斜め方向から入射されてしまう恐れがある。その場合、光源と基板31との間に、光源からの光を平行光に近づけるためのスリット等を設けることが好ましい。
ここで、光20のスペクトルが、可視光領域にまで亘っている場合には、例えば光20の一部が青色の着色層を透過してしまう場合がある。そのため、光20のスペクトルのピーク幅はできるだけ狭いほうが好ましい。例えば、特定の波長領域の光のみを透過し、それ以外の波長の光を遮蔽(吸収)するフィルタ(BPF:Band Pass Filter)を用いて、光20のスペクトルを狭線化することもできる。このとき、例えば、重合開始剤が吸収する波長の光(代表的には350nm近傍の光)のみを透過するBPFを用いることが好ましい。
図4(B)に示すように、着色層51a、着色層51b、及び着色層51cが設けられていない領域において、光20は液晶層24に照射される。一方、着色層51a、着色層51b、及び着色層51cが設けられている領域では、光20のほとんどは着色層51a、着色層51b、及び着色層51cにより遮光(吸収)され、液晶層24に到達しない。
また、照射装置の出力、及び照射時間を調整し、液晶層24に到達する光のエネルギーが0.1J/cm2以上100J/cm2以下、好ましくは1J/cm2以上50J/cm2以下となるような条件で、光20を照射することが好ましい。
また、ここではトランジスタ70が、ゲートとして機能する導電層71が絶縁層81側に位置するボトムゲート構造のトランジスタである例を示している。そのため、図4(B)に示すように、トランジスタ70の半導体層72が導電層23で覆われた構成とすることで、光20の一部が散乱する場合であっても、散乱光が半導体層72に到達することを抑制し、トランジスタ70の電気特性の変動が生じてしまうことを防ぐことができる。なお、液晶素子40に透過型の液晶素子を適用する場合には、導電層23が透光性を有するため、半導体層72と導電層23との間に、可視光を遮光する層を設けることが好ましい。例えば、半導体層72と導電層23との間に、トランジスタの第2のゲートとして機能する導電層を設けることが好ましい。
図5には、図4(B)中に一点鎖線で示す領域の拡大図を示す。図5は、光20の照射が開始され、モノマー13の重合が進んでいく過程における概念図である。
着色層51a及び着色層51b等に遮光されず、光20が照射される領域を照射領域30とする。照射領域30では、光20により、液晶層24中の重合開始剤がラジカルを生成し、これによりモノマー13が重合を開始する。重合が進行することにより、図5に示すようにポリマーを含む隔壁11が成長する。
ここで、モノマー13の重合に伴い、照射領域30近傍の液晶層24に含まれるモノマー13の濃度が低下し、照射領域30から離れるほどモノマー13の濃度が高くなるような濃度分布が生じる場合がある。モノマー13は、当該濃度分布を均一にするように、濃度の高いほうから濃度の低い方に拡散する性質を有する場合がある。このとき、モノマー13の一部は、図5中の矢印で示すように照射領域30に向かって拡散する。これにより、導電層23と重なる領域の、液晶層24中のモノマー13の濃度は、光20の照射前に比べて、照射後では低い状態となる。また、液晶層24中に含まれるモノマー13の濃度が十分に低い場合や、モノマー13が液晶層24中を拡散しやすい場合などでは、光20を照射した後におけるモノマー13の濃度が検出されない程度に低い状態となる場合もある。
光20を照射する前における、液晶層24中のモノマー13の最適な濃度は、光20の照射領域30の面積に応じて決定することができる。例えば、画素が配列している領域(表示領域ともいう)に対する、照射領域30の面積比率をα%(α>0)としたとき、液晶層24中のモノマー13の重量濃度を(α-x)wt%以上、(α+x)wt%以下の範囲内に設定することが好ましい。または、液晶層24中のモノマー13の体積濃度を(α-x)%以上、(α+x)%以下の範囲内に設定することが好ましい。ここで、x=0.5α、好ましくはx=0.3α、より好ましくはx=0.2αを満たす。これにより、光20を照射した後における、液晶素子40として機能する部分の液晶層24中のモノマー13の濃度を十分に低減することができる。
モノマー13の重合が進行することで、照射領域30内において、配向膜53aと配向膜53bの両方と接する隔壁11が形成される。隔壁11は、配向膜53a及び配向膜53bを接着する機能を有する。
なお、図5では隔壁11が配向膜53b側から成長する場合の例を示しているが、あくまでも概念図であり、隔壁11の成長過程は様々な形態を取りうる。例えば、液晶層24中に形成された無数の小さなポリマーが連結しながら成長する場合もある。または、光20の強度が強く、光20が配向膜53aまで十分な強度で到達する場合や、基板21側に位置する導電層(例えば導電層71、導電層74a、または導電層74b等)によって光20が反射され、液晶層24に再度照射される場合などでは、配向膜53a側からもポリマーが成長し、配向膜53b側から成長したポリマーと繋がって一体となることで隔壁11が形成される場合もある。どのような成長過程を経て隔壁11が形成されたかは、隔壁11の断面形状等から推定することができる。
以上の工程により、隔壁11を形成することができる(図4(C))。
なお、上述した作製方法において、光20の照射条件や、光20が散乱することなどにより、液晶層24中の、導電層23、着色層51a、着色層51b、及び着色層51cと重なる領域にも、隔壁11が形成される場合もある。
ここで、導電層23と重なる領域において、モノマー13は、隔壁11に近いほど濃度が低く、隔壁11から遠いほど濃度が高い濃度分布を有している場合がある。
また、導電層23と重なる領域において、未反応の重合開始剤が残存している場合もある。このとき、液晶層24中にモノマー13と重合開始剤の両方が残存している場合には、外光に含まれる紫外線などにより、モノマー13の重合反応が生じてしまう恐れがある。しかしながら、表示装置10では、液晶層24よりも表示面側には着色層51a等が設けられており、これにより外光に含まれる紫外線が液晶層24に到達することを防ぐことができる。したがって、モノマー13や重合開始剤が残存していたとしても、使用環境下で重合反応が生じてしまうようなことはなく、信頼性の高い表示装置を実現することができる。
〔断面構成例1-2〕
図6(A)に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。図6(A)に示す構成は主に、構造体14を有する点で、図1(B)に示す構成と相違している。
構造体14は、導電層25と配向膜53bの間に設けられている。配向膜53bは、構造体14を覆って設けられている。また構造体14は、隣接する2つの導電層23の間に位置する。また構造体14は、隣接する2つの着色層の間に位置する。また、隔壁11は、構造体14を取り囲むように設けられている。
構造体14は、基板21と基板31を貼り合せる際に、これらが必要以上に近づくことを抑制し、液晶素子40のセルギャップを調整するための、スペーサとして機能する。
また、隔壁11が、構造体14を取り囲むように設けられることで、隔壁11の接着面の面積が増大するためアンカー効果が生じ、図1(B)に示す例に比べて接着強度がより高められている。
構造体14は、以下のように形成することができる。まず導電層25上に構造体14となる絶縁膜を成膜する。当該絶縁膜は、感光性の樹脂を用いることが好ましい。絶縁膜は、例えばスピンコート法等により形成することができる。続いてフォトマスクを介して絶縁膜を露光し、現像処理の後にベークすることで構造体14を形成することができる。ここで、絶縁膜として光が照射されない部分が現像後に残る、ポジ型の感光性材料を用いることが好ましい。
以上が、断面構成例1-2についての説明である。
〔断面構成例1-3〕
図6(B)に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。図6(B)に示す構成は主に、構造体14を有する点、及び絶縁層81に凹部が設けられている点で、図1(B)に示す構成と相違している。
絶縁層81は、凹部50を有する。凹部50は、導電層23と重ならない部分に設けられている。言い換えると、絶縁層81は、導電層23と重ならず、且つ導電層23と重なる部分よりも厚さが薄い部分を有する。配向膜53aは、絶縁層81の凹部50を覆って設けられている。配向膜53aの上面は、凹部50の形状に沿った凹形状を有する。
ここで、図6(B)では配向膜53aが凹部50の側面及び上面を覆って設けられている例を示している。なお、配向膜53aの被覆性が低い場合には、配向膜53aの凹部50の側面に接する部分が他の部分(例えば導電層23と重なる部分)よりも薄い場合や、凹部50の側面を被覆しきれずに分断されている場合もある。
また、隔壁11は、絶縁層81の凹部50と重ねて設けられている。より具体的には、隔壁11が凹部50の上面を覆う配向膜53aの一部と、凹部50の側面を覆う配向膜53aの一部と、に接して設けられている。これにより、隔壁11と配向膜53aとの接触面積が増大することに伴いアンカー効果が生じ、これらの密着強度を高めることができる。隔壁11が凹部50を埋めるように設けられていると、より効果的に密着強度を高めることができるため好ましい。
なお、配向膜53aが絶縁層81の凹部50の側面を被覆しきれずに分断されている場合や、配向膜53aを設けない場合などでは、隔壁11と絶縁層81とが接している部分があってもよい。
また、凸状の構造体14は、凹部50に嵌合するように重ねて設けられている。絶縁層81の凹部50と、凸状の構造体14の両方が設けられた部分に隔壁11が設けられることで、よりアンカー効果が強まり、基板間の接着強度を相乗的に高めることができる。
凹部50は、例えば導電層23の形成時に用いるレジストマスクを用いて、絶縁層81の一部をエッチングすること、または導電層23をハードマスクとして用い、絶縁層81の一部をエッチングすることにより形成できる。
以上が、断面構成例1-3についての説明である。
〔断面構成例1-4〕
図7に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。図7に示す表示装置は、透過型の液晶素子が適用された表示装置である。
液晶素子40aは、導電層23aと、液晶層24と、導電層25とを有する。ここで、導電層23aは、導電層25と同様に、可視光を透過する機能を有する。これにより、図7中の矢印で示すように、基板21側から入射した光が液晶素子40aを透過し、基板31側に射出される。
なお、ここでは図示しないが、基板21と、基板31とを挟むように、一対の直線偏光板を設けることができる。また、基板21側の直線偏光板よりも外側にバックライト(バックライトユニット)を設けることができる。また、直線偏光板に代えて、円偏光板を用いると、表示面側の外光反射を抑制することができる。
また、図7に示すように、表示に寄与しない領域に位置する隔壁11は、基板21上に設けられる導電層と重ねて配置されることが好ましい。言い換えると、基板21側に設けられる配線、電極等と重なる位置に、隔壁11を配置することが好ましい。これにより、隔壁11近傍において、液晶12の配向不良が生じた場合であっても、この部分における光漏れが生じにくくなるため、コントラストの低下を抑制できる。
以上が、断面構成例1-4についての説明である。
[構成例2]
以下では、本発明の一態様の表示装置の例として、本発明の一態様の表示装置の例として、反射型の液晶素子と、透過型の液晶素子の両方を有し、透過モード、反射モード、及びこれらを同時に行うハイブリッドモードの表示を行うことのできる、表示装置(表示パネル)の例を説明する。このような表示パネルを、TR-Hybrid Display(Transmission and Reflection Hybrid Display、または、Transmission/Reflection Hybrid Display)とも呼ぶことができる。
このような表示パネルの一例としては、可視光を反射する電極を備える反射型の液晶素子と、可視光を透過する電極を備える透過型の液晶素子とを積層して配置した構成が挙げられる。このとき、可視光を反射する電極が開口を有し、当該開口と透過型の素子とが重ねて配置されていることが好ましい。これにより、透過モードでは当該開口を介して透過型の液晶素子からの光が射出されるように駆動することができる。また、平面視において、反射型の液晶素子と透過型の液晶素子を並べて配置した場合と比べて、これらを積層して配置することで、透過型の液晶素子と反射型の液晶素子の両方を有する画素の大きさを小さくすることができるため、より高精細な表示装置を実現できる。
さらに、透過型の液晶素子を駆動するトランジスタと、反射型の液晶素子を構成するトランジスタとをそれぞれ個別に有することが好ましい。これにより、透過型の液晶素子と反射型の液晶素子とを、それぞれ独立して駆動することができる。
ここで、液晶素子を駆動する画素回路に、酸化物半導体が適用され、オフ電流が極めて低いトランジスタを適用することが好ましい。または、当該画素回路に記憶素子を適用してもよい。これにより、液晶素子を用いて静止画を表示する際に画素への書き込み動作を停止しても、階調を維持させることが可能となる。すなわち、フレームレートを極めて小さくしても表示を保つことができる。これにより、極めて低消費電力な表示を行うことができる。
本発明の一態様は、第1の表示素子で画像を表示する第1のモード、第2の表示素子で画像を表示する第2のモード、及び第1の表示素子及び第2の表示素子の両方により画像を表示する第3のモードを切り替えることができる。
第1のモードは、第1の表示素子による反射光を用いて画像を表示するモードである。第1のモードは光源が不要であるため、極めて低消費電力な駆動モードである。例えば、外光の照度が十分高く、且つ外光が白色光またはその近傍の光である場合に有効である。第1のモードは、例えば本や書類などの文字情報を表示することに適した表示モードである。また、反射光を用いるため、目に優しい表示を行うことができ、目が疲れにくいという効果を奏する。なお、第1のモードを、反射した光を用いて表示を行うため、反射型の表示モード(Reflection mode)と呼称してもよい。
第2のモードでは、第2の表示素子による透過光を利用して画像を表示するモードである。そのため、外光の照度や色度によらず、極めて鮮やかな(コントラストが高く、且つ色再現性の高い)表示を行うことができる。例えば、夜間や暗い室内など、外光の照度が極めて小さい場合などに有効である。また外光が暗い場合、明るい表示を行うと使用者が眩しく感じてしまう場合がある。これを防ぐために、第2のモードでは輝度を抑えた表示を行うことが好ましい。またこれにより、眩しさを抑えることに加え、消費電力も低減することができる。第2のモードは、鮮やかな画像や滑らかな動画などを表示することに適したモードである。なお、第2のモードを、透過した光を用いて表示を行うため、透過型の表示モード(Transmission mode)と呼称してもよい。
第3のモードでは、第1の表示素子による反射光と、第2の表示素子による透過光の両方を利用して表示を行うモードである。具体的には、第1の画素が呈する光と、第1の画素と隣接する第2の画素が呈する光を混色させることにより、1つの色を表現するように駆動する。第1のモードよりも鮮やかな表示をしつつ、第2のモードよりも消費電力を抑えることができる。例えば、室内照明下や、朝方や夕方の時間帯など、外光の照度が比較的低い場合や、外光の色度が白色ではない場合などに有効である。
なお、本明細書等において、第1の表示素子と、第2の表示素子とを組み合わせた表示、すなわち、第3のモードをハイブリッド表示モード(HB表示モード)と呼称することができる。または、第3のモードを、透過型の表示モードと、反射型の表示モードとを組み合わせた表示モード(TR-Hybrid mode)と呼称してもよい。
ここで、表示装置の構成として、第1の表示素子を含む第1の画素及び第2の表示素子を含む第2の画素を有する表示パネルと、制御部と、を有する構成とすることができる。制御部は、外部から入力される画像情報に基づき、第1の画素に出力する第1の階調値、及び第2の画素に出力する第2の階調値を生成し、出力する。ここで画像情報は、各画素に対応する階調値を含む情報であり、例えばビデオ信号などの映像信号が挙げられる。
なお、制御部は、外光の照度等に基づいて、上述した表示モードを選択する機能を有していてもよい。
また、表示装置は、第1の画素は、第1の表示素子と電気的に接続される第1のトランジスタを有し、第2の画素は、第2の表示素子と電気的に接続される第2のトランジスタを有することが好ましい。
このとき、第1のトランジスタと第2のトランジスタとは、それぞれ同一面上に形成されることが好ましい。このとき、第1の表示素子及び第2の表示素子のいずれか一方は、絶縁層に設けられた開口を介して、第1のトランジスタまたは第2のトランジスタと電気的に接続されることが好ましい。これにより、第1のトランジスタと第2のトランジスタとを、同一の工程により作製することができるため、工程を簡略化できる。
また、一対の基板間に第1の表示素子と、第2の表示素子と、各トランジスタとを挟持した構成とすることで、厚さが薄く、軽量な表示装置を実現できる。
〔断面構成例2-1〕
図8に、以下で例示する表示装置(表示モジュール)の断面概略図を示す。図8に示す構成は、液晶素子40と液晶素子90とが、絶縁層83を介して重ねて配置されている。図8に示す構成では、基板31側が表示面側に相当する。
また、図8では、基板31よりも外側に偏光板39aが設けられ、基板21よりも外側に、偏光板39bと、バックライトユニット65が設けられている例を示している。例えば、基板21と基板31を有する構成を、表示装置または表示パネルと呼ぶことができる。また、これに偏光板39a、偏光板39b、およびバックライトユニット65を有する構成を、表示モジュールと呼ぶことができる。
表示装置は、絶縁層83の一方の面上にそれぞれ形成された、トランジスタ70aとトランジスタ70bを有する。トランジスタ70aは、液晶素子40と電気的に接続し、トランジスタ70bは、液晶素子90と電気的に接続する。
トランジスタ70aとトランジスタ70bを覆う絶縁層81の基板21側には、導電層91が設けられ、導電層91を覆って配向膜56aが設けられている。導電層91とトランジスタ70bのソース又はドレインの一方とは、絶縁層81に設けられた開口を介して電気的に接続されている。絶縁層81は、保護層及び平坦化層として機能する。また基板21上には、着色層54、絶縁層63、導電層93、配向膜56b、及び構造体14b等が設けられている。配向膜56aと配向膜56bの間には、液晶層24bが位置している。液晶層24bには、隔壁11、液晶92、及びモノマー13等が含まれている。導電層91、液晶層24b、及び導電層93により、液晶素子90が構成されている。
導電層91及び導電層93は、それぞれ可視光を透過する機能を有する。したがって、液晶素子90は透過型の液晶素子である。
また、絶縁層83の基板31側には、導電層23aと導電層23bが積層して設けられている。また導電層23aと液晶層24aの間に、配向膜53aが設けられている。
基板31の基板21側には、着色層51a、着色層51b、遮光層52等が設けられている。また、これらを覆って絶縁層61が設けられ、絶縁層61の基板21側に、導電層25、配向膜53b、構造体14a等が設けられている。配向膜53aと配向膜53bの間には、液晶22を含む液晶層24aが挟持されている。導電層23a、導電層23b、導電層25、及び液晶22により、液晶素子40が構成されている。
また表示装置は、絶縁層83の両面に設けられる導電層同士を電気的に接続する接続部80を有する。図8では、接続部80が絶縁層83に設けられた開口と、当該開口に位置し、トランジスタ70a等のゲートと同一の導電膜を加工して得られた導電層と、を有する構成を示している。トランジスタ70aのソース又はドレインの一方と導電層23bとは、接続部80を介して電気的に接続されている。
導電層23a及び導電層25は、可視光を透過する機能を有する。また導電層23bは、可視光を反射する機能を有する。したがって液晶素子40は、反射型の液晶素子として機能する。
また、可視光を反射する導電層23bには、液晶素子90と重なる領域において、開口が設けられている。バックライトユニット65から射出され、液晶素子90を透過した光は、当該開口を介して、基板31側に射出される。
また、液晶層24aにおいて、導電層23bの開口と重なる位置に透光性を有する構造体14aが設けられている。構造体14aは、液晶素子90を透過する光の光路上に位置し、バックライトユニット65から射出され、偏光板39bにより偏光され、液晶素子90を透過した光は、構造体14aを透過し、偏光板39aに達する。これにより、液晶素子90を透過した光が、液晶22によって偏光状態が変化してしまうことを防ぐことができる。すなわち、液晶素子40に印加される電圧によって、液晶22の配向状態が変わっても、液晶素子90による表示への影響は生じない。
このような構成により、液晶素子40と、液晶素子90とをそれぞれ独立して駆動させることが可能となり、液晶素子40のみで画像を表示すること、液晶素子90のみで画像を表示すること、及び液晶素子40と液晶素子90の両方を同時に駆動させることにより画像を表示することを、それぞれ実現できる。
また、透過モードにおいて、液晶素子40の状態は表示に影響しないため、液晶素子40の駆動を停止することが可能で、低い消費電力で駆動することが可能となる。このとき、液晶素子40を駆動する駆動回路が出力する信号を停止するだけでなく、当該駆動回路への電源の供給を停止すると、さらに消費電力を抑えることができるため好ましい。
図8に示す表示装置は、液晶素子40と電気的に接続するトランジスタ70aと、液晶素子90と電気的に接続するトランジスタ70bを有するため、液晶素子40と液晶素子90をそれぞれ独立に制御することが可能である。また、トランジスタ70aとトランジスタ70bは、同一面上に同一工程を経て形成することが可能であるため、工程が簡略化され、高い歩留りで作製することができる。
以上が断面構成例2-1についての説明である。
〔断面構成例2-2〕
図9に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。図9に示す構成は、遮光層52、着色層51a、着色層51b、及び絶縁層61等を有さない点で、図8で例示した構成と主に相違している。
図9では、液晶素子40による表示は無彩色のグレースケール表示(白黒表示ともいう)となる。着色層を有さないため、液晶素子40の反射率の最大値を高めることが可能となり、明るい表示を行うことができる。
一方、液晶素子90による表示は、カラー表示とすることができる。これにより、鮮やかな画像表示を行うことができる。
以上が断面構成例2-2についての説明である。
〔作製方法例2〕
以下では、図8に示した表示装置の作製方法の例について説明する。図10~図12は、以下で例示する作製方法例における、各段階における断面概略図である。
まず、支持基板44aを準備し、支持基板44a上に、剥離層43aと、絶縁層45を積層して形成する(図10(A))。
支持基板44aとしては、装置内または装置間における搬送が容易な程度に剛性を有する基板を用いることができる。また、作製工程にかかる熱に対して耐熱性を有する基板を用いる。例えば、厚さ0.3mm以上1mm以下のガラス基板を用いることができる。
剥離層43a及び絶縁層45に用いる材料としては、剥離層43aと絶縁層45の界面、または剥離層43a中で剥離が生じるような材料を選択することができる。
例えば、剥離層43aとしてタングステンなどの高融点金属材料を含む層と、当該金属材料の酸化物を含む層を積層して用い、絶縁層45として、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどの無機絶縁材料の層を積層して用いることができる。剥離層43aに高融点金属材料を用いると、その後の工程において、高い温度での処理が可能となるため、材料や形成方法の選択の自由度が高まり、好ましい。
剥離層43aとして、タングステンと酸化タングステンの積層構造を用いた場合では、タングステンと酸化タングステンの界面、酸化タングステン中、または酸化タングステンと絶縁層45の界面で剥離することができる。
または剥離層43aとして、有機樹脂を用い、支持基板44aと剥離層43aとの界面、または剥離層43a中、または剥離層43aと絶縁層45の界面で剥離する構成としてもよい。
剥離層43aとしては、代表的にはポリイミド樹脂を用いることができる。ポリイミド樹脂は、耐熱性に優れるため好ましい。なお、剥離層43aとしては、このほかにアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。
有機樹脂を含む剥離層43aは、まずスピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法により、樹脂前駆体と溶媒の混合材料を支持基板44a上に形成する。その後、加熱処理を行うことにより、溶媒等が除去しつつ、材料を硬化させ、有機樹脂を含む剥離層43aを形成することができる。
例えば、剥離層43aにポリイミドを用いる場合には、脱水によりイミド結合が生じる樹脂前駆体を用いることができる。または、可溶性のポリイミド樹脂を含む材料を用いてもよい。
剥離層43aに有機樹脂を用いる場合、感光性、または非感光性のいずれの樹脂を用いてもよい。感光性のポリイミドは、表示パネルの平坦化膜等に好適に用いられる材料であるため、形成装置や材料を共有することができる。そのため本発明の一態様の構成を実現するために新たな装置や材料を必要としない。また、感光性の樹脂材料を用いることにより、露光及び現像処理を施すことで、剥離層43aを加工することが可能となる。例えば、開口部を形成することや、不要な部分を除去することができる。さらに露光方法や露光条件を最適化することで、表面に凹凸形状を形成することも可能となる。例えば多重露光技術や、ハーフトーンマスクやグレートーンマスクを用いた露光技術などを用いればよい。
剥離層43aに有機樹脂を用いた場合、剥離層43aを局所的に加熱することにより、剥離性を向上させることができる場合がある。例えば、加熱方法としてレーザ光を照射することが挙げられる。このとき、レーザ光に線状のレーザを用い、これを走査することにより、レーザ光を照射することが好ましい。これにより、支持基板の面積を大きくした際の工程時間を短縮することができる。レーザ光としては、波長308nmのエキシマレーザを好適に用いることができる。
レーザ光などの光を照射することにより剥離性を向上させる場合、剥離層43aと重ねて発熱層を設けてもよい。当該発熱層は、光を吸収して発熱する機能を有する層である。発熱層は、支持基板44aと剥離層43aとの間に設けることが好ましいが、剥離層43a上に配置してもよい。発熱層としては、レーザ光等に用いる光の一部を吸収しうる材料を用いることができる。例えば、レーザ光として308nmのエキシマレーザを用いる場合、発熱層としては、金属膜、半導体膜、または酸化物膜等を用いることができる。例えば、チタンやタングステンなどの金属材料、アモルファスシリコンなどの半導体材料、酸化チタン、酸化タングステン、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物などの酸化物導電体材料、または、インジウムを含む酸化物半導体材料などを用いることができる。
また、剥離層43aに接して、酸素、水素、または水などを含む層を設け、加熱処理により剥離層43a中、または剥離層43aと当該層との界面に酸素、水素、または水などを供給することにより、剥離性を向上させてもよい。または、支持基板44aに酸素、水素または水などを供給してもよい。または、剥離層43aに酸素、水素、または水などを供給してもよい。酸素、水素または水などを含む雰囲気下で加熱処理やプラズマ処理を行うことで、これらを支持基板44aや剥離層43aに供給することができる。これにより、レーザ装置等を用いる必要が無いため、より低コストで表示装置を作製することができる。
また、剥離後に、液晶素子90や液晶素子40の光の経路上に剥離層43aが残存する場合がある。剥離層43aが可視光の一部を吸収する場合には、剥離層43aを透過した光が着色してしまう場合があるため、剥離を行った後に、これをエッチングにより除去することが好ましい。例えば、剥離層43aに有機樹脂を用いた場合には、酸素を含む雰囲気下におけるプラズマ処理(アッシング処理ともいう)等で、残存した剥離層43aを除去することができる。
続いて、絶縁層45上に導電層23aを形成する。導電層23aとしては、酸化物導電性材料を用いることが好ましい。導電層23aとして酸化物導電性材料を用いることで、液晶素子90の光路上に導電層23aが位置していても、光を透過させることができる。導電層23aとしては、例えば金属酸化物や、低抵抗化された酸化物半導体材料を用いることができる。
導電層23aに酸化物半導体材料を用いる場合には、プラズマ処理や熱処理等により、酸化物半導体材料中に酸素欠損を生じさせることによりキャリア密度を高めてもよい。また酸化物半導体材料中に、水素や窒素の他、アルゴンなどの希ガス等の不純物を導入することによりキャリア密度を高めてもよい。また導電層23a上に形成する導電層23bとして、酸素が拡散しやすい材料を用いることで、酸化物半導体中の酸素を低減させてもよい。なお、上述した方法を二以上適用してもよい。
続いて、導電層23a上に開口部を有する導電層23bを形成する。導電層23bとしては、金属、または合金材料含む単層構造、または積層構造を用いることができる。導電層23bとして積層構造を用いる場合には、導電層23aと接する層に、それ以外の層よりも反射率の高い材料を用いることが好ましい。
続いて、絶縁層45、導電層23a及び導電層23bを覆って絶縁層83を形成する。このとき、絶縁層83の一部に、導電層23bに達する開口を形成する。
この段階における断面概略図が、図10(B)に相当する。
続いて、絶縁層83上にトランジスタ70a及びトランジスタ70bを形成する。これらは、構成例1と同様の方法により、形成することができる。
このとき、トランジスタ70a及びトランジスタ70bのゲートを形成する工程において、導電膜を成膜した後に加工するときに、絶縁層83に設けられた開口を介して導電層23bと電気的に接続する導電層を同時に形成する。これにより、接続部80を形成することができる。
また、トランジスタ70aのソース又はドレインの一方が、接続部80と電気的に接続するように、トランジスタ70a等のゲート絶縁層として機能する絶縁層の一部に、開口を形成する。
続いて、トランジスタ70a及びトランジスタ70bを覆う絶縁層81を形成する。このとき、絶縁層81には、トランジスタ70bのソース又はドレインの一方に達する開口を形成する。その後、絶縁層81上に導電層91を形成する。
続いて、絶縁層81及び導電層91上に配向膜56aを形成する。
この段階における断面概略図が、図10(C)に相当する。
次に、基板21を準備し、基板21上に着色層54を形成する。続いて、着色層54を覆って絶縁層63を形成する。
続いて、絶縁層63上に導電層93、構造体14b、及び配向膜56bを順に形成する。
この段階における断面概略図が、図10(D)に相当する。
続いて、基板21と、支持基板44aとを、液晶層24bとなる組成物を挟んで貼り合せる(図11(A))。
続いて、基板21側から光20を照射し、着色層54と重ならない領域に隔壁11を形成する(図11(B))。
続いて、剥離層43aと絶縁層45との間で剥離し、支持基板44a及び剥離層43aを除去する(図11(C))。
このように、剥離を行うよりも前に、隔壁11を形成することが好ましい。ここで、隔壁11は、隣接画素間に複数配置することが可能なため、液晶層24bを挟む一対の層(ここでは、配向膜56aと配向膜56b)の接着強度が高められている。したがって、剥離を行う工程において、液晶層24bの内部で剥離されてしまうことが抑制され、より高い歩留りで支持基板44aを剥離することができる。
絶縁層45と支持基板44aとを剥離する方法としては、機械的な力を加えることや、剥離層をエッチングすること、または支持基板44aの端部に液体を滴下する、または支持基板44aを液体に含浸させるなどし、剥離界面に液体を浸透させることなどが、一例として挙げられる。または、剥離界面を形成する2層の熱膨張率の違いを利用し、支持基板44aを加熱または冷却することにより剥離を行ってもよい。
また、剥離を行う前に、剥離界面の一部を露出させる処理を行ってもよい。例えばレーザや鋭利な部材などにより、剥離層43a上の絶縁層45の一部を除去する。これにより、絶縁層45が除去された部分を出発点(起点)として、剥離を進行させることができる。
また、上述したように、剥離層43a等にレーザ光を照射することで、剥離性を高めてもよい。または、剥離層43aの形成後から、剥離工程まで間の工程で、加熱処理を行うことで、剥離性を向上させてもよい。
剥離を終えた後、絶縁層45の表面に剥離層43aの一部が残存している場合がある。その場合、残存した剥離層43aを洗浄、エッチング、プラズマ処理、または拭き取りなどを行うことにより除去してもよい。また、残存した剥離層43aが表示装置の動作や、表示品位に影響のない場合には、除去しなくてもよい。その場合には、絶縁層45の表面に接して剥離層43aに含まれる元素を含む層が残存する。
続いて、絶縁層45を除去する。絶縁層45は、例えばドライエッチング法またはウェットエッチング法により、除去することができる。絶縁層45を除去することで、導電層23b及び絶縁層83の表面が露出する。
なお、絶縁層45が透光性を有する場合には、これを除去しなくてもよい。その場合、絶縁層45が厚すぎると、液晶素子40の駆動電圧が上昇してしまう恐れがあるため、上記エッチング法により薄膜化してもよい。
続いて、導電層23a上に配向膜53aを形成する(図12(A))。配向膜26aは、薄膜を成膜した後に、ラビング処理を行うことにより形成することができる。
なお、絶縁層45として有機樹脂を用いた場合には、これを除去せずにラビング処理することで、配向膜26aとしてもよい。または、剥離層43aに有機樹脂を用い、剥離層43aと支持基板44aとの間で剥離した場合には、剥離層43aを除去せずにラビング処理することで、配向膜26aとしてもよい。このとき、絶縁層45はあらかじめ薄く形成しておくか、絶縁層45を設けないことが好ましい。
次に、基板31を準備し、基板31上に遮光層52、着色層51a、着色層51b等を形成する。その後、これらを覆う絶縁層61を形成する。
遮光層52としては、金属材料、または樹脂材料を用いることができる。
続いて、絶縁層61上に、導電層25、構造体14a、及び配向膜53bを順に形成する(図12(B))。
最後に、基板31と基板21とを、液晶22を挟むように貼り合せる(図12(C))。
以上の工程により、図8に示す表示装置を作製することができる。
以上が、作製方法例2についての説明である。
[各構成要素について]
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
表示装置が有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。表示素子からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セラミック、サファイヤ、有機樹脂などの材料を用いることができる。
厚さの薄い基板を用いることで、表示装置の軽量化、薄型化を図ることができる。さらに、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示装置を実現できる。
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙げた基板の他に、金属基板等を用いることもできる。金属基板は熱伝導性が高く、基板全体に熱を容易に伝導できるため、表示装置の局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。可撓性や曲げ性を得るためには、金属基板の厚さは、10μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属、もしくはアルミニウム合金またはステンレス等の合金などを好適に用いることができる。
また、金属基板の表面を酸化する、又は表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処理が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、電着法、蒸着法、又はスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰囲気で放置する又は加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形成してもよい。
可撓性及び可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、可撓性を有する程度の厚さのガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げられる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30×10-6/K以下であるポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。このような材料を用いた基板は、重量が軽いため、該基板を用いた表示装置も軽量にすることができる。
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のことを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を、可撓性を有する基板として用いてもよい。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からなる構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好ましい。
または、可撓性を有する程度に薄いガラス、金属などを基板に用いることもできる。または、ガラスと樹脂材料とが接着層により貼り合わされた複合材料を用いてもよい。
可撓性を有する基板に、表示装置の表面を傷などから保護するハードコート層(例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウムなど)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂など)等が積層されていてもよい。また、水分等による表示素子の寿命の低下等を抑制するために、可撓性を有する基板に透水性の低い絶縁膜が積層されていてもよい。例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無機絶縁材料を用いることができる。
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とすると、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示装置とすることができる。
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。上記では、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合を示している。
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、第14族の元素(シリコン、ゲルマニウム等)、化合物半導体又は酸化物半導体を半導体層に用いることができる。代表的には、シリコンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む酸化物半導体などを適用できる。
特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好ましい。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面、または半導体層の上面に対し概略垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界が確認できない酸化物半導体を用いることが好ましい。
このような酸化物半導体は、結晶粒界を有さないために表示パネルを湾曲させたときの応力によって酸化物半導体膜にクラックが生じてしまうことが抑制される。したがって、可撓性を有し、湾曲させて用いる表示装置などに、このような酸化物半導体を好適に用いることができる。
また半導体層としてこのような結晶性を有する酸化物半導体を用いることで、電気特性の変動が抑制され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
また、シリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を用いたトランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各画素の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極めて消費電力の低減された表示装置を実現できる。
半導体層は、例えば少なくともインジウム、亜鉛及びM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
スタビライザーとしては、上記Mで記載の金属を含め、例えば、ガリウム、スズ、ハフニウム、アルミニウム、またはジルコニウム等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等がある。
半導体層を構成する酸化物半導体として、例えば、In-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用いることができる。
なお、ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、半導体層と導電層は、上記酸化物のうち同一の金属元素を有していてもよい。半導体層と導電層を同一の金属元素とすることで、製造コストを低減させることができる。例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで、製造コストを低減させることができる。また半導体層と導電層を加工する際のエッチングガスまたはエッチング液を共通して用いることができる。ただし、半導体層と導電層は、同一の金属元素を有していても、組成が異なる場合がある。例えば、トランジスタ及び容量素子の作製工程中に、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
半導体層を構成する酸化物半導体は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上であることが好ましい。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
半導体層を構成する酸化物半導体がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、4:2:4.1等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下、さらに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以下、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。これにより不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、CAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor、または、C-Axis Aligned and A-B-plane Anchored Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
<CAC-OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
一方、CAC-OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC-OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひとつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域のa-b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
またCAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC-OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano-crystal)構造を有することがわかる。
また例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
従って、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、シリコンを用いることが好ましい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。このような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることができる。また極めて高精細な表示部とする場合であっても、ゲート駆動回路とソース駆動回路を画素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減することができる。
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため好ましい。またこのときアモルファスシリコンを用いることで、多結晶シリコンよりも低温で形成できるため、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。一方、トップゲート型のトランジスタは、自己整合的に不純物領域を形成しやすいため、特性のばらつきなどを低減することができるため好ましい。このとき特に、多結晶シリコンや単結晶シリコンなどを用いる場合に適している。
〔導電層〕
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
また、透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層や、表示素子が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
〔絶縁層〕
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
また発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。これにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑制できる。
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m2・day)]以下、好ましくは1×10-6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×10-7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m2・day)]以下とする。
〔液晶素子〕
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)モードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(Multi-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えばVAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、ゲストホストモード等が適用された液晶素子を用いることができる。
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
また、液晶素子として、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、または半透過型の液晶素子などを用いることができる。
本発明の一態様では、特に反射型の液晶素子と透過型の液晶素子とを組み合わせて用いることができる。
透過型または半透過型の液晶素子を用いる場合、一対の基板を挟むように、2つの偏光板を設ける。また偏光板よりも外側に、バックライト(バックライトユニット)を設ける。バックライトとしては、直下型のバックライトであってもよいし、エッジライト型のバックライトであってもよい。LED(Light Emitting Diode)を備える直下型のバックライトを用いると、ローカルディミングが容易となり、コントラストを高めることができるため好ましい。また、エッジライト型のバックライトを用いると、バックライトを含めたモジュールの厚さを低減できるため好ましい。
反射型の液晶素子を用いる場合には、表示面側に偏光板を設ける。またこれとは別に、表示面側に光拡散板を配置すると、視認性を向上させられるため好ましい。
〔接着層〕
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジルコニウム等を用いることができる。
〔接続層〕
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
〔着色層〕
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
〔遮光層〕
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、金属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層は、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。また、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
以上が各構成要素についての説明である。
[構成例3]
以下では、本発明の一態様の表示装置のより具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
〔断面構成例3-1〕
図13は、以下で例示する表示装置の断面概略図である。図1(A)におけるFPC36を含む領域、回路34を含む領域、表示部32を含む領域などの断面の一例を示している。
基板21と基板31とは、接着層141によって貼り合わされている。また基板21、基板31、及び接着層141に囲まれた領域に、液晶112が封止されている。また、基板31の外側の面には、偏光板130を有する。
図13では、液晶素子40が導電層111と、導電層113の一部と、これらの間に挟持された液晶112により構成されている。また液晶112と導電層111の間に配向膜133aが設けられ、液晶112と導電層113の間に配向膜133bが設けられている。
また、基板21と基板31の間には、液晶112中にモノマー13が分散されている。また基板21と基板31の間には、隔壁11が設けられている。
また、図示しないが、偏光板130よりも外側に、フロントライトを設けることができる。フロントライトとしては、エッジライト型のフロントライトを用いることが好ましい。LED(Light Emitting Diode)を備えるフロントライトを用いると、消費電力を低減できるため好ましい。
基板31には、着色層131、絶縁層121、及び液晶素子40の共通電極として機能する導電層113、配向膜133b等が設けられている。
基板21には、液晶素子40の画素電極として機能する導電層111、配向膜133a、トランジスタ201、トランジスタ202、容量素子203、接続部204、配線35等が設けられている。トランジスタ201は、例えば上述したトランジスタ70と対応する。
基板21上には、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214等の絶縁層が設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能し、また他の一部は、容量素子203の誘電体として機能する。絶縁層212、絶縁層213、及び絶縁層214は、各トランジスタや容量素子203を覆って設けられている。絶縁層214は、平坦化層としての機能を有する。なお、ここではトランジスタ等を覆う絶縁層として、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214の3層を有する場合について示しているが、これに限られず4層以上であってもよいし、単層、または2層であってもよい。また平坦化層として機能する絶縁層214は、不要であれば設けなくてもよい。
また、トランジスタ201及びトランジスタ202は、一部がゲートとして機能する導電層221、一部がソース又はドレインとして機能する導電層222、半導体層231を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。
ここで、トランジスタ202の一対の導電層222のうち、導電層111と電気的に接続されていない方の導電層222は、信号線の一部として機能してもよい。また、トランジスタ202のゲートとして機能する導電層222は、走査線の一部として機能してもよい。
図13では、表示部32の例として、2つの画素(副画素)の断面を示している。例えば1つの副画素は、トランジスタ202と、容量素子203と、液晶素子40と、着色層131と、を有する。例えば着色層131を選択的に形成して赤色を呈する副画素、緑色を呈する副画素、青色を呈する副画素を配列することで、フルカラーの表示を行うことができる。
図13では、回路34の例としてトランジスタ201が設けられている例を示している。
図13では、トランジスタ201及びトランジスタ202の例として、1つのゲートを設ける構成を示したが、チャネルが形成される半導体層231を2つのゲートで挟持する構成を適用してもよい。このような構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。このとき、2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。このようなトランジスタは他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることができる。その結果、高速駆動が可能な回路を作製することができる。さらには、回路部の占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表示装置を大型化、または高精細化したときに配線数が増大したとしても、各配線における信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することができる。
なお、回路34が有するトランジスタと、表示部32が有するトランジスタは、同じ構造であってもよい。また回路34が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。また、表示部32が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。
各トランジスタを覆う絶縁層212、絶縁層213のうち少なくとも一方は、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。すなわち、絶縁層212または絶縁層213はバリア膜として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに対して外部から不純物が拡散することを効果的に抑制することが可能となり、信頼性の高い表示装置を実現できる。
絶縁層214上には、導電層111が設けられている。導電層111は、絶縁層214、絶縁層213、絶縁層212等に形成された開口を介して、トランジスタ202のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。また導電層111は、容量素子203の一方の電極と電気的に接続されている。
基板31側において、着色層131を覆って絶縁層121が設けられている。絶縁層121は、平坦化層としての機能を有していてもよい。絶縁層121により、導電層113の表面を概略平坦にできるため、液晶112の配向状態を均一にできる。
また、図13において、隔壁11は2つの隣接する導電層111の間と重なる領域に位置する。また隔壁11は、配向膜133a、配向膜133b、導電層113等と重ねて配置されている。
液晶素子40において、導電層111は可視光を反射する機能を有し、導電層113は可視光を透過する機能を有する。基板31側から入射した光は、偏光板130により偏光され、導電層113及び液晶112を透過し、導電層111で反射する。そして液晶112及び導電層113を再度透過して、偏光板130に達する。このとき、導電層111と導電層113の間に与える電圧によって液晶の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏光板130を介して射出される光の強度を制御することができる。また光は着色層131によって特定の波長領域以外の光が吸収されることにより、取り出される光は、例えば赤色を呈する光となる。
ここで、偏光板130として直線偏光板を用いてもよいが、円偏光板を用いることもできる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。これにより、外光反射を抑制することができる。また、偏光板130の種類に応じて、液晶素子40に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整することで、所望のコントラストが実現されるようにすればよい。
導電層113は、基板31の端部に近い部分において、基板21側に設けられた導電層と接続体243により電気的に接続されている。これにより、基板21側に配置されるFPCやIC等から導電層113に電位や信号を供給することができる。
接続体243としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子としては、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることができる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。またニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を用いることが好ましい。また接続体243として、弾性変形、または塑性変形する材料を用いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体243は、図13に示すように上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体243と、これと電気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良などの不具合の発生を抑制することができる。
接続体243は、接着層141に覆われるように配置することが好ましい。例えば、硬化前の接着層141に接続体243を分散させておけばよい。
基板21の端部に近い領域には、接続部204が設けられている。接続部204は、接続層242を介してFPC36と電気的に接続されている。図13に示す構成では、配線35の一部と、導電層111と同一の導電膜を加工して得られた導電層を積層することで接続部204を構成している例を示している。
以上が断面構成例3-1についての説明である。
〔断面構成例3-2〕
以下では、本発明の一態様の表示装置の例として、タッチセンサを備えるタッチパネルの構成例について説明する。
図14は、以下で例示する表示装置の断面概略図である。
図14では、タッチセンサを構成する導電層151、導電層152等を、基板31の基板21側とは反対側に形成した例を示している。このような構成を、オンセル型のタッチパネルと呼ぶことができる。
基板31上には、導電層151、導電層152等が形成され、これらを覆って絶縁層163が設けられている。また、絶縁層163上に導電層153が設けられている。
導電層151と導電層152はそれぞれ静電容量方式のタッチセンサを構成する配線として機能する。
図14では、導電層151と導電層152の交差部を明示している。導電層153は、絶縁層163に設けられた開口を介して、導電層152を挟む2つの導電層151と電気的に接続されている。
基板170は、タッチ面として機能する基板であり、例えば表示装置を電子機器に組み込んだ際の筐体の一部、または保護ガラスなどとして機能する。図14では、基板170と偏光板130とが積層され、偏光板130と基板31とは、接着層165によって貼り合わされている。
ここで、図14では、導電層151が液晶素子40、着色層131等と重なる領域に配置されている例を示している。このとき、導電層151には、可視光を透過する材料を用いることができる。例えば金属酸化物を含む膜や、グラフェンを含む膜、または金属や合金を含み、可視光を透過する程度に薄い膜などを、導電層151に用いることができる。なお、導電層152についても同様である。また、導電層153も同様の可視光を透過する材料を用いてもよいが、導電層153の面積が極めて小さい場合には、金属や合金など、可視光を遮光する材料を用いてもよい。
なお、導電層151と導電層152は、表示部において、液晶素子40と重ならないように配置されていてもよい。言い換えると、導電層151は液晶素子40と重なる開口を有するメッシュ形状を有する構成とすることができる。このような構成により、外部から入射し、液晶素子40により反射されて再度外部に射出される光の経路上に、導電層151が配置されないため、導電層151を配置することによる輝度の低下は実質的に生じず、視認性が高く、且つ消費電力が低減された表示装置を実現できる。なお、導電層152や導電層153も同様の構成とすることができる。また、導電層151、導電層152、導電層153が液晶素子40と重ならないため、これらに比較的低抵抗な金属材料を用いることができる。そのためこれらに透光性の導電性材料を用いた場合に比べて、タッチセンサの感度を向上させることができる。
以上が断面構成例3-2についての説明である。
[構成例4]
以下では、構成例2で例示した、反射型の液晶素子と、透過型の液晶素子の両方を有し、透過モードと反射モードの両方の表示を行うことのできる、表示装置のより具体的な断面構成例について説明する。
〔断面構成例4〕
図15に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。図15に示す表示装置は、図8で例示した表示装置に対応する。
表示装置は、基板21と基板31の間に、絶縁層220を有する。また基板21と絶縁層220の間に、液晶素子90、トランジスタ205、トランジスタ206、着色層134、隔壁11等を有する。また絶縁層220と基板31の間に、液晶素子40、着色層131等を有する。
また、基板31の外側には偏光板130aが設けられ、基板21の外側には、偏光板130b及びバックライトユニット65が設けられている。
基板21の基板31側の面には、着色層134が設けられ、着色層134を覆って絶縁層218が設けられている。
液晶素子40は反射型の液晶素子である。液晶素子40は、導電層111a、液晶112、導電層113が積層された積層構造を有する。また導電層111aの基板21側に接して、可視光を反射する導電層111bが設けられている。導電層111bは開口251を有する。また導電層111a及び導電層113は可視光を透過する材料を含む。
液晶素子90は、透過型の液晶素子である。液晶素子90は、絶縁層220側から導電層191、液晶192、及び導電層193の順に積層された積層構造を有する。また液晶192はモノマー13が分散されている。導電層191及び導電層193は、それぞれ可視光を透過する材料を含む。バックライトユニット65から射出された光は、偏光板130bにより偏光され、着色層134を介して着色され、液晶素子90、絶縁層220、開口251、構造体270等を介して、偏光板130aに到達する。
トランジスタ205のソース又はドレインの一方は、導電層191と電気的に接続されている。
トランジスタ206のソース又はドレインの一方は、接続部207を介して導電層111bと電気的に接続されている。導電層111bと導電層111aは接して設けられ、これらは電気的に接続されている。ここで、接続部207は、絶縁層220に設けられた開口を介して、絶縁層220の両面に設けられる導電層同士を接続する部分である。
基板31と重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204は接続部207と同様の構成を有している。接続部204の上面は、導電層111aと同一の導電膜を加工して得られた導電層が露出している。これにより、接続部204とFPC36とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
接着層141が設けられる一部の領域には、接続部252が設けられている。接続部252において、導電層111aと同一の導電膜を加工して得られた導電層と、導電層113の一部が、接続体243により電気的に接続されている。したがって、基板31側に形成された導電層113に、基板21側に接続されたFPC36から入力される信号または電位を、接続部252を介して供給することができる。
また、接着層142が設けられる一部の領域には、接続部253が設けられている。接続部253において、導電層191と同一の導電膜を加工して得られた導電層と、導電層193の一部が、接続体244により電気的に接続されている。
以上が断面構成例4についての説明である。
[トランジスタについて]
以下では、上記表示装置に適用可能なトランジスタの構成例について説明する。
図16(A)で例示したトランジスタ310は、ボトムゲート構造のトランジスタの例である。
トランジスタ310は、ゲート電極として機能する導電層311と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層332の一部と、半導体層312と、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能する導電層313aと、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能する導電層313bと、を有する。
図16(A)では、絶縁層331上にトランジスタ310が設けられている。またトランジスタ310を覆って絶縁層334が設けられ、絶縁層334上に導電層321が設けられている。導電層321は絶縁層334に設けられた開口を介して導電層313bと電気的に接続され、画素電極として機能する。また図16(A)では、導電層321の端部を覆う絶縁層335を有する例を示している。
トランジスタ310は、ゲート電極として機能する導電層311が、半導体層312よりも被形成面側(絶縁層331側)に位置する。また、絶縁層332が導電層311を覆って設けられている。また半導体層312は、導電層311を覆って設けられている。半導体層312の導電層311と重なる領域が、チャネル形成領域に相当する。また、導電層313a及び導電層313bは、それぞれ半導体層312の上面及び側端部に接して設けられている。
なお、トランジスタ310は、導電層311よりも半導体層312の幅が大きい場合の例を示している。このような構成により、導電層311と導電層313aまたは導電層313bの間に半導体層312が配置されるため、導電層311と導電層313aまたは導電層313bとの間の寄生容量を小さくすることができる。
トランジスタ310は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、トランジスタの占有面積を縮小することが比較的容易であるため、高精細な表示装置に好適に用いることができる。
図16(B)に示したトランジスタ310aは、トランジスタ310と比較して、導電層314及び絶縁層336を有する点で相違している。導電層314は、絶縁層333上に設けられ、半導体層312と重なる領域を有する。また絶縁層336は、導電層314及び絶縁層333を覆って設けられている。
導電層314は、半導体層312を挟んで導電層311とは反対側に位置している。導電層311を第1のゲート電極とした場合、導電層314は、第2のゲート電極として機能することができる。導電層311と導電層314に同じ電位を与えることで、トランジスタ310aのオン電流を高めることができる。また導電層311及び導電層314の一方にしきい値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタ310aのしきい値電圧を制御することができる。
ここで、導電層314として、酸化物を含む導電性材料を用いることが好ましい。これにより、導電層314を構成する導電膜の成膜時に、酸素を含む雰囲気下で成膜することで、絶縁層333に酸素を供給することができる。好適には、成膜ガス中の酸素ガスの割合を90%以上100%以下の範囲とすることが好ましい。絶縁層333に供給された酸素は、後の熱処理により半導体層312に供給され、半導体層312中の酸素欠損の低減を図ることができる。
特に、導電層314には低抵抗化された酸化物半導体を用いることが好ましい。このとき、絶縁層336に水素を放出する絶縁膜、例えば窒化シリコン膜等を用いることが好ましい。絶縁層336の成膜中、またはその後の熱処理によって導電層314中に水素が供給され、導電層314の電気抵抗を効果的に低減することができる。
図16(C)に示すトランジスタ310bは、トップゲート構造のトランジスタである。
トランジスタ310bは、ゲート電極として機能する導電層311が、半導体層312よりも上側(被形成面側とは反対側)に設けられている。また、絶縁層331上に半導体層312が形成されている。また半導体層312上には、絶縁層332及び導電層311が積層して形成されている。また、絶縁層333は、半導体層312の上面及び側端部、絶縁層333の側面、及び導電層311を覆って設けられている。導電層313a及び導電層313bは、絶縁層333上に設けられている。導電層313a及び導電層313bは、絶縁層333に設けられた開口を介して、半導体層312の上面と電気的に接続されている。
なお、ここでは絶縁層332が、導電層311と重ならない部分に存在しない場合の例を示しているが、絶縁層332が半導体層312の上面及び側端部を覆って設けられていてもよい。
トランジスタ310bは、導電層311と導電層313aまたは導電層313bとの物理的な距離を離すことが容易なため、これらの間の寄生容量を低減することが可能である。
図16(D)に示すトランジスタ310cは、トランジスタ310bと比較して、導電層315及び絶縁層337を有している点で相違している。導電層315は絶縁層331上に設けられ、半導体層312と重なる領域を有する。また絶縁層337は、導電層315及び絶縁層331を覆って設けられている。
導電層315は、上記導電層314と同様に第2のゲート電極として機能する。そのため、オン電流を高めることや、しきい値電圧を制御することなどが可能である。
以上がトランジスタについての説明である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の例として、反射型の液晶素子と、透過型の液晶素子の両方を有し、透過モード、反射モード、及びこれらを同時に行うハイブリッドモードの表示を行うことのできる、表示装置(表示パネル)の例を説明する。このような表示パネルを、TR-Hybrid Display(Transmission and Reflection Hybrid Display、または、Transmission/Reflection Hybrid Display)とも呼ぶことができる。
このような表示装置の一例としては、可視光を反射する電極を備える反射型の液晶素子と、可視光を透過する電極を備える透過型の液晶素子とを積層して配置した構成が挙げられる。このとき、可視光を反射する電極が開口を有し、当該開口と透過型の素子とが重ねて配置されていることが好ましい。これにより、透過モードでは当該開口を介して透過型の液晶素子からの光が射出されるように駆動することができる。また、平面視において、反射型の液晶素子と透過型の液晶素子を並べて配置した場合と比べて、これらを積層して配置することで、透過型の液晶素子と反射型の液晶素子の両方を有する画素の大きさを小さくすることができるため、より高精細な表示装置を実現できる。
さらに、透過型の液晶素子を駆動するトランジスタと、反射型の液晶素子を構成するトランジスタとをそれぞれ個別に有することが好ましい。これにより、透過型の液晶素子と反射型の液晶素子とを、それぞれ独立して駆動することができる。
ここで、液晶素子を駆動する画素回路に、酸化物半導体が適用され、オフ電流が極めて低いトランジスタを適用することが好ましい。または、当該画素回路に記憶素子を適用してもよい。これにより、液晶素子を用いて静止画を表示する際に画素への書き込み動作を停止しても、階調を維持させることが可能となる。すなわち、フレームレートを極めて小さくしても表示を保つことができる。これにより、極めて低消費電力な表示を行うことができる。
本発明の一態様は、反射型の素子で画像を表示する第1のモード、透過型の素子で画像を表示する第2のモード、及び反射型の素子及び透過型の素子で画像を表示する第3のモードを切り替えることができる。特に第3のモードは、ハイブリッドモードとも呼ぶことができる。
[第1乃至第3のモードの具体例]
ここで、上述した第1乃至第3のモードを用いる場合の具体例について、図17及び図18を用いて説明する。
なお、以下では、第1乃至第3のモードが照度に応じて自動に切り替わる場合について説明する。なお、照度に応じて自動で切り替わる場合、例えば、表示装置に照度センサ等を設け、当該照度センサからの情報をもとに表示モードを切り替えることができる。
図17(A)(B)(C)は、本実施の形態の表示装置が取り得る表示モードを説明するための画素の模式図である。
図17(A)(B)(C)では、第1の表示素子601、第2の表示素子602、開口部603、第1の表示素子601から反射される反射光604、及び第2の表示素子602から開口部603を通って射出される透過光605が明示されている。なお、図17(A)が第1のモード(mode1)を説明する図であり、図17(B)が第2のモード(mode2)を説明する図であり、図17(C)が第3のモード(mode3)を説明する図である。
なお、図17(A)(B)(C)では、第1の表示素子601として、反射型の液晶素子を用い、第2の表示素子602として、透過型の液晶素子を用いる場合とする。
図17(A)に示す第1のモードでは、第1の表示素子601である、反射型の液晶素子を駆動して反射光の強度を調節して階調表示を行うことができる。例えば、図17(A)に示すように、第1の表示素子601である、反射型の液晶素子が有する反射電極で、反射光604の強度を液晶層で調節することで階調表示を行うことができる。
図17(B)に示す第2のモードでは、第2の表示素子602である、透過型の液晶素子を駆動して透過光の強度を調節して階調表示を行うことができる。なお、第2の表示素子602を透過する光は、開口部603を通過し、透過光605として外部に取り出される。
図17(C)に示す第3のモードは、上述した第1のモードと、第2のモードとを組み合わせた表示モードである。例えば、第1の表示素子601である、反射型の液晶素子が有する反射電極で、反射光604の強度を液晶層で調節し階調表示を行う。また、第1の表示素子601の駆動する期間と、同じ期間内に、第2の表示素子602である、透過型の液晶素子の透過光の強度、ここでは透過光605の強度を調整し階調表示を行う。
[第1乃至第3のモードの状態遷移]
次に、第1乃至第3のモードの状態遷移について、図17(D)を用いて説明を行う。図17(D)は、第1のモード、第2のモード、及び第3のモードの状態遷移図である。図17(D)に示す、状態C1は第1のモードに相当し、状態C2は第2のモードに相当し、状態C3は第3のモードに相当する。
図17(D)に図示するように、状態C1から状態C3までは照度に応じていずれかの状態の表示モードを取り得る。例えば、屋外のように照度が大きい場合には、状態C1を取り得る。また、屋外から屋内に移動するような照度が小さくなる場合には、状態C1から状態C2に遷移する。また、屋外であっても照度が低く、反射光による階調表示が十分でない場合には、状態C2から状態C3に遷移する。もちろん、状態C3から状態C1への遷移、状態C1から状態C3への遷移、状態C3から状態C2への遷移、または状態C2から状態C1への遷移も生じる。
なお、図17(D)では、第1のモードのイメージとして太陽のシンボルを、第2のモードのイメージとして、月のシンボルを、第3のモードのイメージとして、雲のシンボルを、それぞれ図示してある。
なお、図17(D)に図示するように、状態C1乃至状態C3において、照度の変化がない、または照度の変化が少ない場合には、他の状態に遷移せずに、続けて元の状態を維持すればよい。
以上のように照度に応じて表示モードを切り替える構成とすることで、消費電力が比較的大きいバックライト等の光源を必要とする透過型の液晶素子の階調表示の頻度を減らすことができる。そのため、表示装置の消費電力を低減することができる。また、表示装置は、バッテリの残容量、表示するコンテンツ、または周辺環境の照度に応じて、さらに動作モードを切り替えることができる。なお、上記の説明においては、照度に応じて表示モードが自動で切り替わる場合について例示したがこれに限定されず、使用者が手動で表示モードを切り替えてもよい。
[動作モード]
次に、第1の表示素子で行うことができる動作モードについて、図18を用いて説明を行う。
なお、以下では、通常のフレーム周波数(代表的には30Hz以上240Hz以下、または60Hz以上240Hz以下)で動作する通常動作モード(Normal mode)と、低速のフレーム周波数で動作するアイドリング・ストップ(IDS)駆動モードと、を例示して説明する。
なお、アイドリング・ストップ(IDS)駆動モードとは、画像データの書き込み処理を実行した後、画像データの書き換えを停止する駆動方法のことをいう。一旦画像データの書き込みをして、その後、次の画像データの書き込みまでの間隔を延ばすことで、その間の画像データの書き込みに要する分の消費電力を削減することができる。アイドリング・ストップ(IDS)駆動モードは、例えば、通常動作モードの1/100乃至1/10程度のフレーム周波数とすることができる。
図18(A)(B)(C)は、通常駆動モードとアイドリング・ストップ(IDS)駆動モードを説明する回路図及びタイミングチャートである。なお、図18(A)では、第1の表示素子601(ここでは反射型の液晶素子)と、第1の表示素子601に電気的に接続される画素回路606と、を明示している。また、図18(A)に示す画素回路606では、信号線SLと、ゲート線GLと、信号線SL及びゲート線GLに接続されたトランジスタM1と、トランジスタM1に接続される容量素子CsLCとを図示している。
トランジスタM1としては、半導体層に金属酸化物を有するトランジスタを用いることが好ましい。半導体特性を有する金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)または酸化物半導体(oxide semiconductor)、略して「OS」と呼ぶことができる。以下、トランジスタの代表例として、酸化物半導体を有するトランジスタ(OSトランジスタ)を用いて説明する。OSトランジスタは、非導通状態時のリーク電流(オフ電流)が極めて低いため、OSトランジスタを非導通状態とすることで液晶素子の画素電極に電荷の保持をすることができる。
なお、図18(A)に示す回路図において、液晶素子LCはデータD1のリークパスとなる。したがって、適切にアイドリング・ストップ駆動を行うには、液晶素子LCの抵抗率を1.0×1014Ω・cm以上とすることが好ましい。
なお、上記OSトランジスタのチャネル領域には、例えば、In-Ga-Zn酸化物、In-Zn酸化物などを好適に用いることができる。また、上記In-Ga-Zn酸化物としては、代表的には、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]近傍、またはIn:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍の組成を用いることができる。
また、図18(B)は、通常駆動モードでの信号線SLおよびゲート線GLにそれぞれ与える信号の波形を示すタイミングチャートである。通常駆動モードでは通常のフレーム周波数(例えば60Hz)で動作する。1フレーム期間を期間T1からT3までで表すと、各フレーム期間でゲート線GLに走査信号を与え、信号線SLからデータD1を書き込む動作を行う。この動作は、期間T1からT3までで同じデータD1を書き込む場合、または異なるデータを書き込む場合でも同じである。
一方、図18(C)は、アイドリング・ストップ(IDS)駆動モードでの信号線SLおよびゲート線GLに、それぞれ与える信号の波形を示すタイミングチャートである。アイドリング・ストップ(IDS)駆動では低速のフレーム周波数(例えば1Hz)で動作する。1フレーム期間を期間T1で表し、その中でデータの書き込み期間を期間TW、データの保持期間を期間TRETで表す。アイドリング・ストップ(IDS)駆動モードは、期間TWでゲート線GLに走査信号を与え、信号線SLのデータD1を書き込み、期間TRETでゲート線GLをローレベルの電圧に固定し、トランジスタM1を非導通状態として一旦書き込んだデータD1を保持させる動作を行う。なお、低速のフレーム周波数としては、例えば、0.1Hz以上60Hz未満、または0.1Hz以上30Hz未満とすればよい。
アイドリング・ストップ(IDS)駆動モードは、上述した第1のモード、または第3のモードと組み合わせることで、さらなる低消費電力化を図ることができるため有効である。
以上のように、本実施の形態の表示装置は、第1のモード乃至第3のモードを切り替えて表示を行うことができる。したがって、周囲の明るさによらず、視認性が高く利便性の高い表示装置または全天候型の表示装置を実現できる。
また、本実施の形態の表示装置は、第1の表示素子を有する第1の画素と、第2の表示素子を有する第2の画素とをそれぞれ複数有すると好ましい。また、第1の画素と第2の画素とは、それぞれ、マトリクス状に配置されることが好ましい。
第1の画素及び第2の画素は、それぞれ、1つ以上の副画素を有する構成とすることができる。例えば、第1の画素には、副画素を1つ有する構成(白色(W)など)、副画素を3つ有する構成(シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色など)、あるいは、副画素を4つ有する構成(シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、白色(W)の4色、または、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、緑色(G)の4色など)を適用できる。また、第2の画素には、副画素を1つ有する構成(白色(W)など)、副画素を3つ有する構成(赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の3色など)、あるいは、副画素を4つ有する構成(赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、白色(W)の4色、または、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、黄色(Y)の4色など)を適用できる。なお、第1の画素及び第2の画素が有する色要素は、上記に限定されず、必要に応じて他の色を組み合わせてもよい。
本実施の形態の表示装置は、第1の画素及び第2の画素は、双方とも、フルカラー表示を行う構成とすることができる。
<表示装置の斜視概略図>
次に、本実施の形態の表示装置について、図19を用いて説明を行う。図19は、表示装置610の斜視概略図である。
表示装置610は、基板611と基板612とが貼り合わされた構成を有する。図19では、基板612を破線で明示している。
表示装置610は、表示部614、回路616、配線618等を有する。図19では表示装置610にIC620及びFPC622が実装されている例を示している。そのため、図19に示す構成は、表示装置610、IC620、及びFPC622を有する表示モジュールということもできる。
回路616としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
配線618は、表示部614及び回路616に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC622を介して外部から配線618に入力されるか、またはIC620から配線618に入力される。
図19では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip on Film)方式等により、基板611にIC620が設けられている例を示す。IC620は、例えば走査線駆動回路または信号線駆動回路などを有するICを適用できる。なお、表示装置610には、IC620を設けない構成としてもよい。また、IC620を、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
図19には、表示部614の一部の拡大図を示している。表示部614には、複数の表示素子が有する電極624がマトリクス状に配置されている。電極624は、可視光を反射する機能を有し、液晶素子650の反射電極として機能する。
また、図19に示すように、電極624は開口部626を有する。さらに表示部614は、電極624よりも基板611側に、透過型の液晶素子670を有する。液晶素子670からの光は、電極624の開口部626を介して基板612側に射出される。液晶素子670の透過領域の面積と開口部626の面積とは等しくてもよい。液晶素子670の透過領域の面積と開口部626の面積のうち一方が他方よりも大きいと、位置ずれに対するマージンが大きくなるため好ましい。
[構成例]
図20(A)は、表示装置700の構成の一例を示すブロック図である。表示装置700は、表示部701にマトリクス状に配列した複数の画素710を有する。また表示装置700は、回路GDと、回路SDを有する。また方向Rに配列した複数の画素710、及び回路GDと電気的に接続する複数の配線G1、複数の配線G2、複数の配線ANO、及び複数の配線CSCOMを有する。また方向Cに配列した複数の画素710、及び回路SDと電気的に接続する複数の配線S1及び複数の配線S2を有する。
なお、ここでは簡単のために回路GDと回路SDを1つずつ有する構成を示したが、反射型の液晶素子を駆動する回路GD及び回路SDと、透過型の液晶素子を駆動する回路GD及び回路SDとを、別々に設けてもよい。
画素710は、反射型の液晶素子と、透過型の液晶素子を有する。
図20(B1)は、画素710が有する電極761の構成例を示す。電極761は、画素710における反射型の液晶素子の反射電極として機能する。また電極761には、開口751が設けられている。
図20(B1)には、電極761と重なる領域に位置する透過型の液晶素子760を破線で示している。透過型の液晶素子760は、電極761が有する開口751と重ねて配置されている。これにより、透過型の液晶素子760が透過する光は、開口751を介して表示面側に射出される。
図20(B1)では、方向Rに隣接する画素710が異なる色に対応する副画素である。
また、図20(B2)に示すような配列としてもよい。
非開口部の総面積に対する開口751の総面積の比の値が大きすぎると、反射型の液晶素子を用いた表示が暗くなってしまう。また、非開口部の総面積に対する開口751の総面積の比の値が小さすぎると、透過型の液晶素子760を用いた表示が暗くなってしまう。
また、反射電極として機能する電極761に設ける開口751の面積が小さすぎると、透過型の液晶素子760が射出する光から取り出せる光の効率が低下してしまう。
開口751の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状とすることができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、開口751を隣接する画素に寄せて配置してもよい。
[回路構成例]
図21は、画素710の構成例を示す回路図である。図21では、隣接する2つの画素710を示している。
画素710は、スイッチSW1、容量素子C1、液晶素子740、スイッチSW2、容量素子C2、及び液晶素子760等を有する。また、画素710には、配線G1、配線G2、配線CSCOM、配線S1、及び配線S2が電気的に接続されている。また、図21では、液晶素子740と電気的に接続する配線VCOM1、及び液晶素子760と電気的に接続する配線VCOM2を示している。
図21では、スイッチSW1及びスイッチSW2に、トランジスタを用いた場合の例を示している。
スイッチSW1は、ゲートが配線G1と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S1と接続され、ソース又はドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、及び液晶素子740の一方の電極と接続されている。容量素子C1は、他方の電極が配線CSCOMと接続されている。液晶素子740は、他方の電極が配線VCOM1と接続されている。
スイッチSW2は、ゲートが配線G2と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S2と接続され、ソース又はドレインの他方が容量素子C2の一方の電極、及び液晶素子760の一方の電極と接続されている。容量素子C2は、他方の電極が配線CSCOMと接続されている。液晶素子760は、他方の電極が配線VCOM2と接続されている。
配線G1には、スイッチSW1を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM1には、所定の電位を与えることができる。配線S1には、液晶素子740が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。配線CSCOMには、所定の電位を与えることができる。
配線G2には、スイッチSW2を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM2には、所定の電位を与えることができる。配線S2には、液晶素子760が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。
図21に示す画素710は、例えば反射モードの表示を行う場合には、配線G1及び配線S1に与える信号により駆動し、液晶素子740による光学変調を利用して表示することができる。また、透過モードで表示を行う場合には、配線G2及び配線S2に与える信号により駆動し、液晶素子760による光学変調を利用して表示することができる。また両方のモードで駆動する場合には、配線G1、配線G2、配線S1及び配線S2のそれぞれに与える信号により駆動することができる。
なお、図21では一つの画素710に、一つの液晶素子740と一つの液晶素子760とを有する例を示している。このとき、画素710は1つの副画素として機能する。または、液晶素子760を時間階調法により駆動することで、透過モードまたは両方のモードで表示する際に、1つの画素710でフルカラーの表示が可能である。
図22は、1つの画素710に1つの反射型の液晶素子740と3つの透過型の液晶素子(液晶素子760r、液晶素子760g、及び液晶素子760b)を有する例を示している。液晶素子760r、液晶素子760g、及び液晶素子760bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光を透過する、透過型の液晶素子である。図22に示す画素710は、透過モードまたは両方のモードで表示する際に、3つの透過型の液晶素子によりフルカラーの表示が可能である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製することができる表示モジュールについて説明する。
図23(A)に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との間に、FPC6005に接続された表示パネル6006、フレーム6009、プリント基板6010、及びバッテリ6011を有する。
例えば、本発明の一態様を用いて作製された表示装置を、表示パネル6006に用いることができる。これにより、外光の強さによらず、高い視認性を有する表示モジュールを実現することができる。
上部カバー6001及び下部カバー6002は、表示パネル6006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
また、表示パネル6006に重ねてタッチパネルを設けてもよい。タッチパネルとしては、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル6006に重畳して用いることができる。また、タッチパネルを設けず、表示パネル6006に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。
フレーム6009は、表示パネル6006の保護機能の他、プリント基板6010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム6009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であってもよいし、別途設けたバッテリ6011による電源であってもよい。バッテリ6011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール6000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
図23(B)は、光学式のタッチセンサを備える表示モジュール6000の断面概略図である。
表示モジュール6000は、プリント基板6010に設けられた発光部6015及び受光部6016を有する。また、上部カバー6001と下部カバー6002により囲まれた領域に一対の導光部(導光部6017a、導光部6017b)を有する。
上部カバー6001と下部カバー6002は、例えばプラスチック等を用いることができる。また、上部カバー6001と下部カバー6002とは、それぞれ薄く(例えば0.5mm以上5mm以下)することが可能である。そのため、表示モジュール6000を極めて軽量にすることが可能となる。また少ない材料で上部カバー6001と下部カバー6002を作製できるため、作製コストを低減できる。
表示パネル6006は、フレーム6009を間に介してプリント基板6010やバッテリ6011と重ねて設けられている。表示パネル6006とフレーム6009は、導光部6017a、導光部6017bに固定されている。
発光部6015から発せられた光6018は、導光部6017aにより表示パネル6006の上部を経由し、導光部6017bを通って受光部6016に達する。例えば指やスタイラスなどの被検知体により、光6018が遮られることにより、タッチ操作を検出することができる。
発光部6015は、例えば表示パネル6006の隣接する2辺に沿って複数設けられる。受光部6016は、発光部6015と対向する位置に複数設けられる。これにより、タッチ操作がなされた位置の情報を取得することができる。
発光部6015は、例えばLED素子などの光源を用いることができる。特に、発光部6015として、使用者に視認されず、且つ使用者にとって無害である赤外線を発する光源を用いることが好ましい。
受光部6016は、発光部6015が発する光を受光し、電気信号に変換する光電素子を用いることができる。好適には、赤外線を受光可能なフォトダイオードを用いることができる。
導光部6017a、導光部6017bとしては、少なくとも光6018を透過する部材を用いることができる。導光部6017a及び導光部6017bを用いることで、発光部6015と受光部6016とを表示パネル6006の下側に配置することができ、外光が受光部6016に到達してタッチセンサが誤動作することを抑制できる。特に、可視光を吸収し、赤外線を透過する樹脂を用いることが好ましい。これにより、タッチセンサの誤動作をより効果的に抑制できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用可能な電子機器について説明する。
本発明の一態様の表示装置は、外光の強さによらず、高い視認性を実現することができる。そのため、携帯型の電子機器、装着型の電子機器(ウェアラブル機器)、及び電子書籍端末、テレビジョン装置、デジタルサイネージ、などに好適に用いることができる。
図24(A)、(B)に、携帯情報端末800の一例を示す。携帯情報端末800は、筐体801、筐体802、表示部803、表示部804、及びヒンジ部805等を有する。
筐体801と筐体802は、ヒンジ部805で連結されている。携帯情報端末800は、図24(A)に示すように折り畳んだ状態から、図24(B)に示すように筐体801と筐体802を開くことができる。
例えば表示部803及び表示部804に、文書情報を表示することが可能であり、電子書籍端末としても用いることができる。また、表示部803及び表示部804に静止画像や動画像を表示することもできる。
このように、携帯情報端末800は、持ち運ぶ際には折り畳んだ状態にできるため、汎用性に優れる。
なお、筐体801及び筐体802には、電源ボタン、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク等を有していてもよい。
図24(C)に携帯情報端末の一例を示す。図24(C)に示す携帯情報端末810は、筐体811、表示部812、操作ボタン813、外部接続ポート814、スピーカ815、マイク816、カメラ817等を有する。
表示部812に、本発明の一態様の表示装置を備える。
携帯情報端末810は、表示部812にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部812に触れることで行うことができる。
また、操作ボタン813の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部812に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
また、携帯情報端末810の内部に、ジャイロセンサまたは加速度センサ等の検出装置を設けることで、携帯情報端末810の向き(縦か横か)を判断して、表示部812の画面表示の向きを自動的に切り替えるようにすることができる。また、画面表示の向きの切り替えは、表示部812を触れること、操作ボタン813の操作、またはマイク816を用いた音声入力等により行うこともできる。
携帯情報端末810は、例えば、電話機、手帳または情報閲覧装置等から選ばれた一つまたは複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。携帯情報端末810は、例えば、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、動画再生、インターネット通信、ゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
図24(D)に、カメラの一例を示す。カメラ820は、筐体821、表示部822、操作ボタン823、シャッターボタン824等を有する。またカメラ820には、着脱可能なレンズ826が取り付けられている。
表示部822に、本発明の一態様の表示装置を備える。
ここではカメラ820として、レンズ826を筐体821から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ826と筐体が一体となっていてもよい。
カメラ820は、シャッターボタン824を押すことにより、静止画、または動画を撮像することができる。また、表示部822はタッチパネルとしての機能を有し、表示部822をタッチすることにより撮像することも可能である。
なお、カメラ820は、ストロボ装置や、ビューファインダーなどを別途装着することができる。または、これらが筐体821に組み込まれていてもよい。
図25(A)に、テレビジョン装置830を示す。テレビジョン装置830は、表示部831、筐体832、スピーカ833等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
またテレビジョン装置830は、リモコン操作機834により、操作することができる。
テレビジョン装置830が受信できる放送電波としては、地上波、または衛星から送信される電波などが挙げられる。また放送電波として、アナログ放送、デジタル放送などがあり、また映像及び音声、または音声のみの放送などがある。例えばUHF帯(約300MHz~3GHz)またはVHF帯(30MHz~300MHz)のうちの特定の周波数帯域で送信される放送電波を受信することができる。また例えば、複数の周波数帯域で受信した複数のデータを用いることで、転送レートを高くすることができ、より多くの情報を得ることができる。これによりフルハイビジョンを超える解像度を有する映像を、表示部831に表示させることができる。例えば、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
また、インターネットやLAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)などのコンピュータネットワークを介したデータ伝送技術により送信された放送のデータを用いて、表示部831に表示する画像を生成する構成としてもよい。このとき、テレビジョン装置830にチューナを有さなくてもよい。
図25(B)は円柱状の柱842に取り付けられたデジタルサイネージ840を示している。デジタルサイネージ840は、表示部841を有する。
表示部841が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部841が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
表示部841にタッチパネルを適用することで、表示部841に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
図25(C)はノート型のパーソナルコンピュータ850を示している。パーソナルコンピュータ850は、表示部851、筐体852、タッチパッド853、接続ポート854等を有する。
タッチパッド853は、ポインティングデバイスや、ペンタブレット等の入力手段として機能し、指やスタイラス等で操作することができる。
また、タッチパッド853には表示素子が組み込まれている。図25(C)に示すように、タッチパッド853の表面に入力キー855を表示することで、タッチパッド853をキーボードとして使用することができる。このとき、入力キー855に触れた際に、振動により触感を実現するため、振動モジュールがタッチパッド853に組み込まれていてもよい。
図26(A)、(B)、(C)は、それぞれ折り畳みが可能な電子機器を示している。
図26(A)に示す電子機器900は、筐体901a、筐体901b、ヒンジ903、表示部902等を有する。表示部902は、筐体901a及び筐体901bに組み込まれている。
筐体901aと筐体901bとは、ヒンジ903で回転可能に連結されている。電子機器900は、筐体901aと筐体901bとが閉じた状態と、図26(A)に示すように開いた状態と、に変形することができる。これにより、持ち運ぶ際には可搬性に優れ、使用するときには大きな表示領域により、視認性に優れる。
また、ヒンジ903は、筐体901aと筐体901bとを開いたときに、これらの角度が所定の角度よりも大きい角度にならないように、ロック機構を有することが好ましい。例えば、ロックがかかる(それ以上に開かない)角度は、90度以上180度未満であることが好ましく、代表的には、90度、120度、135度、または150度、175度などとすることができる。これにより、利便性、安全性、及び信頼性を高めることができる。
表示部902は、タッチパネルとして機能し、指やスタイラスなどにより操作することができる。
筐体901aまたは筐体901bのいずれか一には、無線通信モジュールが設けられ、インターネットやLAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)などのコンピュータネットワークを介して、データを送受信することが可能である。
表示部902には、一つのフレキシブルディスプレイで構成されていることが好ましい。これにより、筐体901aと筐体901bの間で途切れることのない連続した表示を行うことができる。このとき、筐体901aと筐体901bとが開いた状態において、表示部902を構成するフレキシブルディスプレイは一部が湾曲した状態で保持されることが好ましい。なお、筐体901aと筐体901bのそれぞれに、ディスプレイが設けられる構成としてもよい。
図26(B)には、携帯型のゲーム機として機能する電子機器910を示している。電子機器910は、筐体911a、筐体911b、表示部912、ヒンジ913、操作ボタン914a、操作ボタン914b等を有する。
また、筐体911bには、カートリッジ915を挿入することができる。カートリッジ915は、例えばゲームなどのアプリケーションソフトが記憶されており、カートリッジ915を交換することにより、電子機器910で様々なアプリケーションを実行することができる。
また、図26(B)では、表示部912の筐体911aと重なる部分のサイズと、筐体911bと重なる部分のサイズが、それぞれ異なる例を示している。具体的には、操作ボタン914a及び操作ボタン914bの設けられる筐体911bと重なる表示部912の一部よりも、筐体911aに設けられる表示部912の一部が大きい。例えば、表示部912の筐体911a側に主画面となる表示を行い、筐体911b側には操作画面となる表示を行うなど、それぞれの表示部を使い分けることができる。
図26(C)に示す電子機器920は、ヒンジ923により連結された筐体921aと筐体921bに亘って、フレキシブルな表示部922が設けられている。
図26(C)では、筐体921aと筐体921bとを開いたときに、表示部922が大きく湾曲した形態で保持されている。例えば、曲率半径を1mm以上50mm以下、好ましくは5mm以上30mm以下の状態で、表示部922が保持された状態とすることができる。表示部922の一部は、筐体921aから筐体921bにかけて、連続的に画素が配置され、曲面状の表示を行うことができる。
ヒンジ923は、上述したロック機構を有しているため、表示部922に無理な力がかかることなく、表示部922が破損することを防ぐことができる。そのため、信頼性の高い電子機器を実現できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。