JP7086249B1 - 電力変換装置及びそれを用いた回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒューズ部の溶断に起因した煙の流出、電力変換装置の焼損、外部接続用電極と周囲の部材との短絡、及び他の電気部品の損傷を抑制した電力変換装置を得ること。【解決手段】筐体部と、筐体部の内側に配置された電力用半導体素子と、筐体部の内側で電力用半導体素子の電極に接続され、筐体部から外側に突出したバスバー突出部を有するバスバーと、バスバー突出部を取り囲むケース部とを備え、バスバー突出部の突出端部に電力供給源に接続される接続端子が設けられ、バスバー突出部における接続端子よりも電力用半導体素子の側の部分に、断面積が前後の部分よりも小さくなったヒューズ部が設けられ、ケース部は、ヒューズ部が配置された部分に貫通孔を有し、貫通孔にヒューズ樹脂部材が充填されている。【選択図】図6

Description

本願は、電力変換装置及びそれを用いた回転電機に関するものである。
環境に優しい自動車として、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、またはHEV(Hybrid Electric Vehicle)及びPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等のハイブリッド自動車が開発されている。電気自動車またはハイブリッド自動車には、駆動力源にモータが用いられている。モータを駆動するインバータ装置は、バッテリを電源として、モータに高電圧の駆動電力を供給する。また、インバータ装置には電力用半導体素子が用いられる。インバータ装置などの電力変換装置が、上述した車両に搭載されている。パワーエレクトロニクスの分野において、電力変換装置はキーデバイスとしての重要性がますます高まっている。
インバータ装置に用いられる電力用半導体素子は、他の構成部品とともに樹脂封止されている。電力変換装置において、バッテリから電力が供給された状態で、電力用半導体素子またはスナバ回路を構成する平滑コンデンサ等の電子部品が短絡故障すると、過大な短絡電流が流れる。例えば、インバータ制御回路におけるゲート駆動回路の誤動作により、インバータの上下アームが短絡すると、電力用半導体素子に過電流が流れ、短絡故障が発生する。
短絡状態でバッテリとモータ駆動回路とを繋ぐリレーを接続するか、または接続を継続すると、大電流により電力変換装置が焼損する。また、定格を超える過電流が流れることにより、モータ駆動用のインバータ装置に接続されているバッテリが損害を受けることも考えられる。こうした事態を回避するために、通常は過電流を検知するセンサを用いて、過電流が流れた場合に、電力用半導体素子のスイッチングを高速に制御して電流を遮断している。しかしながら、電力用半導体素子が短絡故障した場合でも、上述した焼損等の故障モードをより確実に防ぐことが望まれている。
具体的には、例えば、電力変換装置とバッテリとの間に過電流遮断用ヒューズを挿入すれば、モータ駆動用のインバータ装置とバッテリとの間に流れる過電流を阻止することができる。しかし、チップ型の過電流遮断用ヒューズは高価である。そのため、安価でありながら、電力用半導体素子が短絡故障した場合に、バッテリに流れ得る過電流を確実に遮断することができる過電流遮断手段が必要とされている。例えば、電力変換装置から外部に突出している外部接続用電極の一部を切除し、外部接続用電極に断面積を小さくした部分を設けてヒューズ部を形成する構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。
特開2005-175439号公報
上記特許文献1においては、外部接続用電極にヒューズ部を設けているため、安価に過電流を遮断することができる。しかしながら、外部接続用電極に設けられたヒューズ部は、電力変換装置の外部に露出している。そのため、ヒューズ部が過電流により溶断する際に、電力変換装置の外部に煙が流出するという課題があった。また、溶断する際に周囲に火花が飛び散り、外気を介した燃焼反応により電力変換装置が焼損するという課題があった。また、溶断したヒューズ部の部材が周囲に飛散し、外部接続用電極と周囲の部材とが短絡するという課題があった。また、気体は熱伝導率が低いため、ヒューズ部に発生した熱が外気に放出されず、電力変換装置の内部の半導体素子などの電気部品に伝達され、電気部品を損傷するという課題があった。
そこで、本願は、ヒューズ部の溶断に起因した煙の流出、電力変換装置の焼損、外部接続用電極と周囲の部材との短絡、及び他の電気部品の損傷を抑制した電力変換装置を得ることを目的としている。
本願に開示される電力変換装置は、筐体部と、筐体部の内側に配置された電力用半導体素子と、筐体部の内側で電力用半導体素子の電極に接続され、筐体部から外側に突出したバスバー突出部を有するバスバーと、バスバー突出部を取り囲むケース部とを備え、バスバー突出部の突出端部に電力供給源に接続される接続端子が設けられ、バスバー突出部における接続端子よりも電力用半導体素子の側の部分に、断面積が前後の部分よりも小さくなったヒューズ部が設けられ、ケース部は、ヒューズ部が配置された部分に貫通孔を有し、貫通孔にヒューズ樹脂部材が充填されているものである。
本願に開示される電力変換装置によれば、筐体部から外側に突出したバスバー突出部の突出端部に電力供給源に接続される接続端子が設けられ、バスバー突出部における接続端子よりも電力用半導体素子の側の部分に、断面積が前後の部分よりも小さくなったヒューズ部が設けられ、ケース部はヒューズ部が配置された部分に貫通孔を有し、貫通孔にヒューズ樹脂部材が充填されているため、電力変換装置の筐体部の外部に設けられたヒューズ部が溶断してもヒューズ樹脂部材に溶断物が吸収されると共に、ヒューズ部で生じた熱はヒューズ樹脂部材に伝達されるので、ヒューズ部の溶断に起因した煙の流出、電力変換装置の焼損、接続端子と周囲の部材との短絡、及び他の電気部品の損傷を抑制することができる。
実施の形態1に係る電力変換装置を備えた回転電機の回路を示す図である。 実施の形態1に係る電力変換装置の平面図である。 実施の形態1に係る電力変換装置の平面図である。 実施の形態1に係る電力変換装置の平面図である。 実施の形態1に係る回転電機の概略を示す断面図である。 実施の形態1に係る電力変換装置の要部を示す斜視図である。 実施の形態1に係る電力変換装置の正極側端子とヒューズ部を示す斜視図である。 図6のA-A断面位置で切断した電力変換装置の要部を示す断面図である。 図6のA-A断面位置で切断した別の電力変換装置の要部を示す断面図である。 図6のA-A断面位置で切断した別の電力変換装置の要部を示す断面図である。 図6のA-A断面位置で切断した別の電力変換装置の要部を示す断面図である。 実施の形態1に係る電力変換装置のヒューズ部を示す平面図である。 実施の形態1に係る別の電力変換装置の正極側端子とヒューズ部を示す斜視図である。 実施の形態2に係る電力変換装置の要部を示す断面図である。 実施の形態2に係る別の電力変換装置の要部を示す断面図である。 実施の形態3に係る電力変換装置の要部を示す断面図である。 実施の形態3に係る電力変換装置の要部を示す平面図である。 実施の形態3に係る電力変換装置の要部を説明する図である。 実施の形態4に係る電力変換装置の要部を示す断面図である。
以下、本願の実施の形態による電力変換装置及びそれを用いた回転電機を図に基づいて説明する。なお、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る電力変換装置300を備えた回転電機1000の回路を示す図、図2は電力変換装置300の平面図で、カバー130及び制御基板124を取り除いて示した図、図3は電力変換装置300の平面図で、カバー130を取り除いて示した図、図4は電力変換装置300の平面図、図5は実施の形態1に係る回転電機1000の概略を示す断面図、図6は電力変換装置300の要部を示す斜視図で、バスバー突出部125aの部分を拡大し、カバー130を取り除いて示した図、図7は電力変換装置300の正極側端子190とヒューズ部136を示す斜視図、図8は図6のA-A断面位置で切断した電力変換装置300の要部を示す断面図である。図2、図3、及び図4は、ケース部133を取り除いて示した図である。なお、以下の説明で、単に軸方向と記載した場合は、回転電機、または回転電機本体部の軸方向を示し、径方向と記載した場合は、回転電機、または回転電機本体部の径方向を示すものとする。
<回転電機1000>
回転電機1000は、図5に示すように、電力変換装置300と回転電機本体部200とを備える。電力変換装置300は、回転電機本体部200の軸方向の他方側に並置される。電力変換装置300と回転電機本体部200とは一体化されている。電力変換装置300は、回転電機本体部200に電力を供給する。回転電機本体部200は、内燃機関(図示せず)を駆動する電動機として動作し、或いは内燃機関により駆動されて発電する発電機として動作する。本実施の形態1による回転電機1000は、内燃機関の始動用回転電機として構成されている。回転電機1000は、筐体であるハウジング10に設けられた取付部(図示せず)を車両の車体、もしくは内燃機関にボルトで強固に固定される。
<回転電機本体部200>
回転電機本体部200は、回転子軸4と、界磁巻線5を有して回転子軸4固定され、回転子軸4と一体回転する回転子6と、回転子6の径方向外側に配置された固定子3と、回転子6及び固定子3の外側を覆うハウジング10とを備える。固定子3は、固定子鉄心32、及び固定子鉄心32に装着された固定子巻線31を備える。ハウジング10は、負荷側に設けられるブラケットであるフロントブラケット1、及び反負荷側に設けられるブラケットであるリヤブラケット2を備える。フロントブラケット1及びリヤブラケット2は、鉄などの金属材料を用いて椀状に形成される。フロントブラケット1から軸方向の一方側に突出した回転子軸4の端部に、プーリ9が装着される。回転電機本体部200は、プーリ9とプーリ9に巻き掛けられたベルト(図示せず)とを介して内燃機関のクランク軸(図示せず)に連結される。リヤブラケット2及び車体は、固定子鉄心32及びフロントブラケット1を介して電気的に接続される。回転電機1000の軸方向において、フロントブラケット1が設けられた軸方向一方側をフロント側、リヤブラケット2が設けられた軸方向他方側をリヤ側とする。
回転子軸4は、フロントブラケット1に設けられたフロント側ベアリング71と、リヤブラケット2に設けられたリヤ側ベアリング72により、ハウジング10に回転可能に支持される。固定子鉄心32は、フロントブラケット1のリヤ側の端部とリヤブラケット2のフロント側の端部によって軸方向の両側から挟持され、ハウジング10に固定される。固定子3の内周面と回転子6の外周面は、予め定めたエアギャップを介して回転電機本体部200の径方向に対向している。
回転子6は、第1の冷却ファン73及び第2の冷却ファン74を備える。第1の冷却ファン73は回転子6のフロント側の端面に固定され、第2の冷却ファン74は回転子6のリヤ側の端面に固定される。第1の冷却ファン73及び第2の冷却ファン74は、回転子6と共に回転する。フロントブラケット1のフロント側の壁を貫通して、冷却風を回転電機本体部200の内部に吸入する第1の吸気口11がフロントブラケット1に設けられる。リヤブラケット2のリヤ側の壁を貫通して、冷却風を回転電機本体部200の内部に吸入する第2の吸気口21がリヤブラケット2に設けられる。回転子軸4の周囲に、複数の第1の吸気口11と第2の吸気口21とがそれぞれ設けられる。フロントブラケット1の径方向の側面の壁を貫通して、回転電機本体部200の内部から冷却風を外部へ排出する第1の排気口12がフロントブラケット1に設けられる。リヤブラケット2の径方向の側面の壁を貫通して、回転電機本体部200の内部から冷却風を外部へ排出する第2の排気口22がリヤブラケット2に設けられる。
第1の吸気口11と第1の排気口12とを連通する第1の通風路R1は、フロントブラケット1のフロント側の壁のリヤ側の面と回転子6のフロント側の端面との間に形成される。第1の冷却ファン73は、第1の通風路R1の内部に配置される。回転電機1000の外部と第2の吸気口21とを連通する第2の通風路R2は、電力変換装置300とリヤブラケット2との間に形成される。第2の吸気口21と第2の排気口22とを連通する第3の通風路R3は、リヤブラケット2のリヤ側の壁のフロント側の面と回転子6のリヤ側の端面との間に形成される。第2の冷却ファン74は、第3の通風路R3の内部に配置される。
第1の冷却風W1は、回転した第1の冷却ファン73の遠心力により、フロントブラケット1の外部から第1の吸気口11に吸入され、第1の通風路R1から第1の排気口12を介して回転電機本体部200の外部に排出される。第2の冷却風W2は、回転した第2の冷却ファン74の遠心力により、回転電機1000の外部から第2の通風路R2に吸入され、第2の吸気口21を介して第3の通風路R3に至り、第2の排気口22を介して回転電機本体部200の外部に排出される。
<電力変換装置300>
電力変換装置300は、図2に示すように、固定子用電力半導体モジュール121、界磁用電力半導体モジュール120、平滑コンデンサ122、フィルタコンデンサ126、フィルタコイル127、及びこれらを内側に配置する筐体部140を備える。電力変換装置300は、図3に示すように、固定子用電力半導体モジュール121及び界磁用電力半導体モジュール120を制御する制御基板124を備える。電力変換装置300は、図4に示すように、筐体部140を覆う樹脂製のカバー130を備える。電力変換装置300は、図5に示すように、筐体部140の外側に、回転子6に電力を供給するブラシ100、及び回転子6の回転を検出する回転センサ110を備える。固定子用電力半導体モジュール121、界磁用電力半導体モジュール120、平滑コンデンサ122、フィルタコンデンサ126、及びフィルタコイル127は、パワー回路部を構成する。平滑コンデンサ122、フィルタコンデンサ126、フィルタコイル127、ブラシ100、及び回転センサ110は、それぞれが制御部品として構成され、固定子用電力半導体モジュール121及び界磁用電力半導体モジュール120と同様に回転電機本体部200に供給する電力を制御する。
固定子用電力半導体モジュール121は、図1に示すように、電力用半導体素子である上アーム電力半導体スイッチング素子171と下アーム電力半導体スイッチング素子172とを備える。上アーム電力半導体スイッチング素子171と下アーム電力半導体スイッチング素子172は、固定子巻線31への電力供給を制御する。界磁用電力半導体モジュール120は、電力用半導体素子である上アーム電力半導体スイッチング素子171と下アーム電力半導体スイッチング素子172とを備える。上アーム電力半導体スイッチング素子171と下アーム電力半導体スイッチング素子172は、界磁巻線5への電力供給を制御する。平滑コンデンサ122は、固定子巻線31に流れる電流を平滑化する。フィルタコンデンサ126及びフィルタコイル127は、ノイズを抑制する入力フィルタとして使用される。
筐体部140は、有底筒状に形成され、樹脂製の側壁131と、金属からなる放熱部材である底壁132とを備える。底壁132は、ヒートシンクとして機能する。カバー130は、筐体部140にねじ止めなどで固定される。カバー130は、筐体部140の内部に収容された電気部品を覆うと共に、ヒューズ部136を覆う。なお、電力変換装置300においてノイズの抑制を必要としない場合、フィルタコンデンサ126及びフィルタコイル127は不要となることもある。フィルタコイル127は、電力変換装置300に加わる電圧が48V以上の場合、ノイズが過大となるため必要となる場合が多い。また、界磁巻線5及び界磁用電力半導体モジュール120を備える構成は大きな出力を得る場合に有効であり、大きな出力を必要としない場合は界磁巻線の代わりに磁石などを用いることもある。その際、界磁用電力半導体モジュール120が不要となることもある。筐体部140の形状は有底筒状に限るものではなく、他の形状であっても構わない。
固定子用電力半導体モジュール121は1個が1相分として構成される。回転電機本体部200が3相の回転電機1000である場合、固定子用電力半導体モジュール121は3個設けられ、それぞれ並列に接続される。本実施の形態では、回転電機本体部200は3相の回転電機本体部として構成されているので、図1及び図2に示すように、固定子用電力半導体モジュール121は、U相電力半導体モジュール121U、V相電力半導体モジュール121V、及びW相電力半導体モジュール121Wから構成される。回転電機1000の相数が増える場合、例えば6相の場合は、固定子用電力半導体モジュール121が6個設けられる。なお、1つの固定子用電力半導体モジュール121が2相分の電力半導体スイッチング素子を含む場合、固定子用電力半導体モジュール121は3個であり、1つの固定子用電力半導体モジュール121が3相分の電力半導体スイッチング素子を含む場合、固定子用電力半導体モジュール121は2個で構成される。
U相電力半導体モジュール121U、V相電力半導体モジュール121V、及びW相電力半導体モジュール121Wは、それぞれ上アーム電力半導体スイッチング素子171と下アーム電力半導体スイッチング素子172とが直列に接続された構成である。U相電力半導体モジュール121UとV相電力半導体モジュール121VとW相電力半導体モジュール121Wとで、三相ブリッジ回路が構成される。上アーム電力半導体スイッチング素子171と下アーム電力半導体スイッチング素子172のそれぞれは、例えば、FET(Field Effect Transistor:電界効果型トランジスタ)とダイオードとが並列に接続された構成である。
U相電力半導体モジュール121U、V相電力半導体モジュール121V、及びW相電力半導体モジュール121Wのそれぞれにおいて、上アーム電力半導体スイッチング素子171と下アーム電力半導体スイッチング素子172とが直列に接続された部分を外部に露出させた端子は、交流端子175である。交流端子175は、接続バスバー211を介して回転電機本体部200の固定子巻線31の各相の巻線端子(図示せず)に接続される。接続バスバー211を内蔵した配線部材153は、図5に示すように、リヤブラケット2に固定される。図5では、交流端子175、接続バスバー211、及び固定子巻線31を接続する配線部分は省略している。なお、図1では図の複雑化を避けるため、交流端子の符号175及び接続バスバーの符号211は、U相電力半導体モジュール121Uの交流端子のみに付している。
また、上アーム電力半導体スイッチング素子171と下アーム電力半導体スイッチング素子172の信号端子176は、制御基板124に接続される。信号端子176は、制御基板124に設けられた制御回路部からの制御信号を受ける。なお、図1では、図の複雑化を避けるため、信号端子の符号176はU相電力半導体モジュール121Uにおける下アーム電力半導体スイッチング素子172の信号端子のみに付し、信号端子176と制御基板124との接続は省略している。
固定子用電力半導体モジュール121の構成について説明する。上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172のそれぞれは、異なる銅フレームにはんだにより接合される。銅フレーム間は、銅板及びアルミニウム線で接続され、これらは樹脂で封止される。固定子用電力半導体モジュール121の構成はこれに限るものではなく、上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172を、絶縁被覆されたアルミニウム、銅などの金属基板もしくはセラミック基板にはんだにより接合して構成しても構わない。
固定子用電力半導体モジュール121は、図5に示すように、上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172から発生する熱を放熱する放熱面177を有している。固定子用電力半導体モジュール121は、底壁132のリヤ側の面である搭載面に突出して形成された突部143に放熱面177を対向させて配置され、突部143と熱的に接続される。放熱面177に固定子用電力半導体モジュール121の導電性の部材が露出している場合、放熱面177と突部143との間に予め定めた距離を確保して、放熱面177と突部143の搭載面との間に絶縁性を有する伝熱材を介在させて、固定子用電力半導体モジュール121を底壁132の突部143に搭載する。伝熱材は、粘性及び流動性のあるグリス、ゲル、接着剤、もしくは流動性のないシート、テープなどである。放熱面177が、上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172と絶縁されている場合、絶縁性を有した伝熱材の他に導電性の伝熱材を使用することができ、放熱面177と底壁132の搭載面との間に距離を確保しなくてもよい。
底壁132は、第2の通風路R2内における、突部143に対応したフロント側の面に、冷却機構であるフィン141を有する。フィン141を設けることで、第2の冷却風W2により固定子用電力半導体モジュール121を効率よく冷却することできる。また、高出力化により固定子用電力半導体モジュール121の発熱量が多くなる場合、底壁132の内部に冷媒通路を設けて、冷媒により固定子用電力半導体モジュール121の冷却性を向上させることもできる。これにより、上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172から発生した熱を、底壁132に広範囲に効果的に伝熱させて上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172の温度上昇を抑制することができる。
U相電力半導体モジュール121U、V相電力半導体モジュール121V、及びW相電力半導体モジュール121Wの正極側端子173、界磁用電力半導体モジュール120の正極側端子183、フィルタコンデンサ126の正極側端子192、及び平滑コンデンサ122の正極側端子195は、図1に示すように、それぞれがバスバーである正極側導体125に接続される。電力変換装置300の接続端子である正極側端子190は、正極側ケーブル503を介して、車両に搭載された直流電源としてのバッテリ500の正極側端子501に接続される。なお、図1では図の複雑化を避けるため、正極側端子の符号173は、U相電力半導体モジュール121Uの正極側端子のみに付している。
U相電力半導体モジュール121U、V相電力半導体モジュール121V、及びW相電力半導体モジュール121Wの負極側端子174、界磁用電力半導体モジュール120の負極側端子184、フィルタコンデンサ126の負極側端子194、及び平滑コンデンサ122の負極側端子196は、それぞれが底壁132に接続される。電力変換装置300の負極側端子191は、負極側ケーブル504を介して、車両に搭載された直流電源としてのバッテリ500の負極側端子502に接続される。バッテリ500の負極側端子502は、車両の接地電位である車体に接続される。底壁132とバッテリ500の負極側端子502とを車体を介して電気的に接続することが可能な場合、負極側ケーブル504を省略することができる。図2に示すように、負極側端子174と底壁132とは、第1のねじ179で固定される。負極側端子184と底壁132とは、第2のねじ189で固定される。負極側端子196と底壁132とは、第3のねじ178で固定される。負極側端子194と底壁132とは、第4のねじ197で固定される。なお、図1では図の複雑化を避けるため、負極側端子の符号174は、U相電力半導体モジュール121Uの負極側端子のみに付している。
正極側導体125は、底壁132と並行に配置される。これにより、正極側導体125の平面部が底壁132と対向する配置となるため、正極と負極が並行してインダクタンスは低減し、ノイズあるいはスイッチング損失を抑制することができる。
界磁用電力半導体モジュール120は、例えばFETなどの電力半導体スイッチング素子を用いてフルブリッジ回路が構成される。外部に露出させた巻線側の正極端子185と負極端子186のそれぞれが、回転子6の巻線端子(図示せず)に接続される。
平滑コンデンサ122は、各相に個別に設けた方がスイッチングノイズの低減に有効である。構成を簡易にするために、図2に示すように、平滑コンデンサ122を1つのブロックに収納して設けても構わない。各相の固定子用電力半導体モジュール121と平滑コンデンサ122との配線距離は短い方が低インダクタンス化に効果的である。そのため、平滑コンデンサ122の正極側端子195は各相の固定子用電力半導体モジュール121の正極側端子173の近くに配置され、平滑コンデンサ122の負極側端子196は各相の固定子用電力半導体モジュール121の負極側端子174の近くに配置される。
平滑コンデンサ122は、電圧変動及び電流リップルを吸収する。電流リップルが平滑コンデンサ122に印加されることにより、平滑コンデンサ122は発熱して温度が上昇する。温度上昇により平滑コンデンサ122は劣化するため、平滑コンデンサ122の寿命は短くなる。平滑コンデンサ122の劣化を抑制するために、平滑コンデンサ122は底壁132と熱的に接続される。なお、平滑コンデンサ122は、電流リップルの量及び温度上昇などを勘案して、相毎に複数個を設ける場合がある。
フィルタコイル127は、例えば、フィルタコア123に正極側導体125の一部分193を貫通させて構成される。フィルタコア123は、2つのUの字型の部分で構成され、開口した側を突き合わせて設けられる。このように構成することで、正極側導体125を分断することなく、フィルタコア123を正極側導体125に組付けることができる。フィルタコア123の内側の正極側導体125の一部分193に生じる磁束をフィルタコア123が吸収することで、ノイズを抑制することができる。
フィルタコンデンサ126及びフィルタコイル127は、ノイズを抑制する。通電により、フィルタコンデンサ126及びフィルタコイル127は発熱して温度が上昇する。フィルタコンデンサ126は温度上昇により寿命が短くなり、フィルタコイル127は使用するフィルタコア123の温度上昇により減磁してインダクタンスが低下する。温度上昇に起因した劣化を抑制するために、フィルタコンデンサ126及びフィルタコイル127は、底壁132と熱的に接続される。なお、フィルタコンデンサ126及びフィルタコイル127は、電流、電圧、或いはノイズの抑制度合などを勘案して、複数個を設ける場合がある。
制御基板124には、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)などの電子部品(図示せず)が実装される。制御基板124は、パワー回路部の電力半導体スイッチング素子をオン/オフ制御する制御回路部を備える。制御回路部は、電力半導体スイッチング素子をオン/オフ制御して、バッテリ500の直流電力と固定子巻線31の交流電力との間で電力変換を行なうと共に、界磁巻線5への界磁電流の制御を行う。図3に示すように、制御基板124が備えた正極パターン(図示せず)と正極側導体125に設けられたピン187とが接続される。制御基板124が備えた負極パターン(図示せず)と底壁132が備えた支柱188とが第5のねじ198で接続される。これらの接続により、制御に必要な電力がバッテリ500から制御基板124に供給される。制御基板124をプリント基板で構成することで、信号端子176(図3において図示せず)及びピン187と制御基板124とを噴流はんだで一度に接続できるため、工数を少なくすることができる。
正極側端子190は、例えば、正極側導体125に圧入するか、底壁132と絶縁されたアルミ材に圧入して電力変換装置300の正極側導体125に接触させることで構成される。負極側端子191は、例えば、底壁132に圧入される。本実施の形態では、図6に示すように、正極側端子190の部分は、正極側導体125の端部の位置において貫通孔として設けられる。正極側端子190よりも筐体部140の側の正極側導体125の部分に、ヒューズ部136が設けられる。筐体部140の外部に設けられるヒューズ部136の詳細については後述する。
このように構成することで、電力変換装置300の主要な部品である、正極側端子190、フィルタコンデンサ126、固定子用電力半導体モジュール121、界磁用電力半導体モジュール120、平滑コンデンサ122、及び制御基板124のそれぞれとの接続と、フィルタコイル127及びヒューズ部136の構成を、単一の正極側導体125において構成することができる。また、負極側端子191、フィルタコンデンサ126、固定子用電力半導体モジュール121、界磁用電力半導体モジュール120、平滑コンデンサ122、及び制御基板124のそれぞれとの接続を、単一の底壁132において構成することができる。この構成により、配線を追加することなく、また、接続工数を増加させることが無いため、小型で低インダクタンスの電力変換装置300を容易に構成することができる。
また、正極側導体125と、フィルタコンデンサ126の正極側端子192、固定子用電力半導体モジュール121の正極側端子173、界磁用電力半導体モジュール120の正極側端子183、及び平滑コンデンサ122の正極側端子195との接続を、例えばTIGなどの溶接で統一して行うことで、同じ設備でこれらの接続を行うことができる。
本実施の形態では、電力変換装置300の負極側導体として底壁132を使用することで、部品を削減しているが、負極側導体を独立した配線材として構成することでも、同様の効果を得ることができる。その場合、各部品と負極側導体との接続はTIGなどの溶接が効果的である。また、フィルタコイル127を負極配線に取り付けることもできるため、フィルタ回路の構成パターンを増やすことができる。さらに、制御基板124との接続を噴流はんだで行えるため、ピン187などと同時に負極側導体を制御基板124に接続することができる。
電力変換装置300は、図5に示すように、筐体部140の内部を封止する封止樹脂部材であるポッティング材150を備える。ポッティング材150は、筐体部140の内部に設けられた電気部品が埋没するように充填される。電気部品がポッティング材150で封止されるので、電力変換装置300の防水性及び防塵性を向上させることができると共に、電力変換装置300の耐震性及び伝熱性を向上させることができる。なお、発熱の大きい電気部品の周囲にのみポッティング材150を充填するなどの構成でもよく、筐体部140の内部の全てにポッティング材150を充填しない構成でも構わない。
ブラシ100は、リヤブラケット2のリヤ側において、回転子軸4の周縁部の底壁132のフロント側に搭載される。界磁巻線5と電気的に接続された通電部(図示せず)が回転子軸4に取付けられており、ブラシ100の摺動部が通電部と接触することで、界磁用電力半導体モジュール120の出力が界磁巻線5に入力される。
<回転電機1000の動作>
最初に、図1を用いて回転電機1000における電流の流れを説明する。回転電機1000を電動機として動作させる場合と発電機として動作させる場合では、電流の流れは異なる。ここでは、回転電機1000を電動機として動作させる場合について説明する。
回転電機本体部200の固定子巻線31には、次に示す経路で電流は流れる。バッテリ500の正極側端子501から、正極側ケーブル503及び正極側端子190を介して電力変換装置300に電流は流れ込み、フィルタコンデンサ126、フィルタコイル127、所定相の固定子用電力半導体モジュール121の上アーム電力半導体スイッチング素子171を介して固定子巻線31に流れる。その後、別の相の固定子用電力半導体モジュール121の下アーム電力半導体スイッチング素子172を介して底壁132に流れ、負極側端子191及び負極側ケーブル504を介してバッテリ500の負極側端子502に流れる。
制御基板124に搭載されたCPUは、電流センサ(図示せず)により検出した電流値、回転センサ110からの回転子6の回転速度及び/又は回転子6の回転位置、及び上アーム電力半導体スイッチング素子171と下アーム電力半導体スイッチング素子172の温度などの情報から、上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172をオン/オフ制御する制御パターンを演算する。制御基板124が備えた制御回路部は、CPUの演算結果に基づいた制御信号を、上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172の信号端子176に出力する。
回転電機1000において、バッテリ500の直流電力が電力変換装置300で交流電力に変換され、固定子巻線31に供給される。これにより、固定子鉄心32に回転磁界が発生し、回転子6が回転する。回転子6の回転に連動して、第1の冷却ファン73及び第2の冷却ファン74が回転する。
第1の冷却ファン73の回転により第1の冷却風W1が生じて、固定子巻線31のフロント側のコイルエンドが冷却される。第2の冷却ファン74の回転により第2の冷却風W2が生じて、底壁132、リヤブラケット2、及び回転子6が冷却される。底壁132の冷却により、固定子用電力半導体モジュール121、界磁用電力半導体モジュール120、平滑コンデンサ122、フィルタコンデンサ126、フィルタコイル127で発生した熱が底壁132を介して放熱される。リヤブラケット2の冷却により、リヤ側ベアリング72の摩擦熱と固定子3で発生した熱がリヤブラケット2を介して放熱される。回転子6の冷却により、界磁巻線5で発生した熱が回転子6を介して放熱される。これらの放熱により、回転電機1000の各構成部材の温度上昇が抑制される。また、固定子巻線31のリヤ側のコイルエンドは、第3の通風路R3を流通する第2の冷却風W2により冷却される。
<ヒューズ部136の機能>
正極側導体125がヒューズ部136を備えることで、固定子用電力半導体モジュール121に短絡電流が通電した際の、固定子用電力半導体モジュール121の焼損を抑制することができる。以下、具体的に説明する。
図1において、例えば、U相電力半導体モジュール121Uの上アーム電力半導体スイッチング素子171が故障して短絡し、U相電力半導体モジュール121Uの下アーム電力半導体スイッチング素子172が駆動して通電状態になった場合、U相電力半導体モジュール121Uに短絡電流が通電する。ヒューズ部136がない場合、U相電力半導体モジュール121Uの電流を遮断する機能が失われるため、U相電力半導体モジュール121Uに短絡電流が通電し続けて、U相電力半導体モジュール121Uは焼損に至る。
ヒューズ部136は、正極側端子190と固定子用電力半導体モジュール121との間に設けられる。電力変換装置300に短絡電流が通電すると、ヒューズ部136は断面積が小さいため局所的に発熱するので、融点を超えた際に溶断する。溶断すると正極側端子190と固定子用電力半導体モジュール121との間において、正極側導体125が物理的に切断されることで通電経路が遮断され、U相電力半導体モジュール121Uに通電される短絡電流を遮断することができる。短絡電流が遮断されるので、U相電力半導体モジュール121Uの焼損を抑制することができる。
<正極側端子190とヒューズ部136>
正極側端子190とヒューズ部136について説明する。正極側導体125は、筐体部140の内側で電力用半導体スイッチング素子の電極に接続され、筐体部140から外側に突出したバスバー突出部125aを有する。図7において、破線で囲まれた部分がバスバー突出部125aである。電力変換装置300は、バスバー突出部125aを取り囲む樹脂製のケース部133を備える。側壁131とケース部133を同じ材料で一体的に形成しても構わない。
本実施の形態では、筐体部140は有底筒状に形成され、筐体部140の底壁132は金属からなる放熱部材であり、正極側導体125の部分であるバスバー突出部125aは筐体部140の側壁131を貫通して側壁131の外側に突出する。ケース部133は、図6に示すように、筐体部140の側壁131の外側に配置され、底壁132は側壁131よりも外側に突出した突出部132aを有する。ケース部133は、底壁132の突出部132aに当接している。このように構成することで、バスバー突出部125aが底壁132に接近するため、ヒューズ部136を含むバスバー突出部125aを効率よく冷却することができる。電力変換装置300が通常動作する際、断面積が小さいためヒューズ部136は特に発熱するので、バスバー突出部125aを効率よく冷却することは重要である。しかしながら、バスバー突出部125aは底壁132に近接しているので、底壁132が突出部132aを有さない構成でも構わない。
バスバー突出部125aの突出端部に電力供給源であるバッテリ500に接続される正極側端子190が設けられ、バスバー突出部125aにおける正極側端子190よりも電力用半導体スイッチング素子の側の部分に、断面積が前後の部分よりも小さくなったヒューズ部136が設けられる。ケース部133はヒューズ部136が配置された部分に貫通孔133aを有し、ヒューズ部136は貫通孔133aにおいてケース部133から露出している。貫通孔133aにはヒューズ樹脂部材137が充填され、本実施の形態では、ヒューズ部136はヒューズ樹脂部材137で覆われている。図6では、ヒューズ樹脂部材137のハッチングは省略している。ヒューズ部136に短絡電流が通電してヒューズ部136が溶断する際、ヒューズ部136の溶断物が飛散し、周辺部品を損傷させる場合がある。図6に示すように、ヒューズ部136は電力変換装置300の側壁131の外部に設けられるため、溶断物による電力変換装置300の内部の部品の損傷を防止することができる。また、ヒューズ部136で生じた熱は外気ではなくヒューズ樹脂部材137に効率よく伝達されるので、ヒューズ部136で生じた熱の筐体部140の内部の電気部品への伝達は抑制される。
本実施の形態では、図7に示すように、バスバー突出部125aは、筐体部140の側壁131を貫通して外側に延出した基部125a1と、基部125a1から側壁131に沿って延出したヒューズ部136と、ヒューズ部136の延出端に接続され、正極側端子190が設けられた接続端子部125a2とを備えている。このように構成することで、バスバー突出部125aの側壁131から垂直な方向の大きさを小さくすることができる。そのため、電力変換装置300を小型化することができる。また、ヒューズ部136の延出方向に見て、ヒューズ部136の両側に基部125a1と接続端子部125a2とが重複している。このように構成することで、バスバー突出部125aの側壁131から垂直な方向の大きさをさらに小さくすることができる。バスバー突出部125aの構成はこれに限るものではなく、図2に示すように、一つの方向にバスバー突出部125aを延出させた構成でも構わない。
ヒューズ樹脂部材137は、貫通孔133aにおける、ヒューズ部136よりも貫通孔133aの一方の開口側及び他方の開口側の一方または双方に充填されている。一方の開口側または他方の開口側にヒューズ樹脂部材137が充填された場合、充填された側において、ヒューズ部136が溶断した際にヒューズ樹脂部材137が溶断物を吸収することができる。ヒューズ樹脂部材137が溶断物を吸収することで、溶断物の外部への飛散を抑制することができる。溶断物の外部への飛散が抑制されるので、正極側端子190と周囲の部材との短絡を抑制することができる。一方の開口側及び他方の開口側にヒューズ樹脂部材137が充填された場合、双方の側において、溶断物の外部への飛散を抑制することができる。また、何れかの開口側に突出部132aが形成され、突出部132aが形成された側にヒューズ樹脂部材137が充填された場合、ヒューズ部136はヒューズ樹脂部材137を介して突出部132aと熱的に接続される。ヒューズ部136が突出部132aと熱的に接続され、ヒューズ部136の発熱が突出部132aに放熱されるため、回転電機1000が通常動作した際のヒューズ部136の温度上昇を抑制することができる。
カバー130は、筐体部140を覆う部分から延出したカバー延出部130aを有する。カバー延出部130aは、図4に示すように、正極側端子190を除き、貫通孔133aが設けられたケース部133の部分を覆っている。ヒューズ樹脂部材137が溶断物を吸収することで、溶断物の外部への飛散を抑制することができるものの、溶断物と共にヒューズ樹脂部材137が電力変換装置300の外部に飛散する場合もある。しかし、図8に示すように、飛散した先にカバー延出部130aがあるため、電力変換装置300の外部への飛散物の飛散を抑制することができる。そのため、電力変換装置300の外部へ飛散物を飛散させることなく、電力変換装置300は短絡電流を遮断することができる。
正極側導体125及びバスバー突出部125aは、例えば、銅から製造される。また、銅に限るものではなく、金、銀、アルミニウム、またはこれら及び銅などの合金から正極側導体125及びバスバー突出部125aを製造しても構わない。正極側導体125及びバスバー突出部125aは同一の材料から構成しても良いし、異なる材料から構成しても構わない。例えば、プレス加工、レーザ加工、またはフライス加工などの機械加工により、バスバー突出部125aの一部を削ることでヒューズ部136は形成される。
ヒューズ樹脂部材137は、絶縁性が高い、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂材料からなる接着剤、グリス、ゲル、または絶縁シートから構成される。さらに、セラミック基板または金属基板などの熱抵抗が低く、かつ絶縁性を有した他の材料と、上述した樹脂材料とを組み合わせて構成しても構わない。ここでの金属基板とは、アルミ基板など金属ベースの基板に樹脂材料などの絶縁材が塗布された基板である。セラミック基板または金属基板に金属パターンでヒューズ部136を形成して、ヒューズ部136をヒューズ樹脂部材137で覆う構成でも構わない。ヒューズ樹脂部材137は絶縁性が高い材料であれば、例えば、熱伝導率が1W/mK~数十W/mKの高熱伝導率を有する材料でも構わない。
本実施の形態では、ヒューズ樹脂部材137はポッティング材150、側壁131、及びケース部133のヤング率よりも低いヤング率を有した樹脂材である。例えば、ヒューズ樹脂部材137のヤング率は数十MPa(メガパスカル)のオーダー(例えば、10MPaから30MPaの間の値)とされ、例えば、ゴム材、シリコンゴム、シリコンゲルがヒューズ樹脂部材137に用いられる。この構成によれば、ヒューズ樹脂部材137の強度が低いため、ヒューズ部136が溶断する際に、溶断物がヒューズ樹脂部材137に吸収されるとともに、溶断物の一部がヒューズ樹脂部材137とともに貫通孔133aから外部に飛散する。飛散した先にカバー延出部130aがあるため、飛散物は電力変換装置300の外部へは飛散しない。溶断物を貫通孔133aから外部に飛散させることで、溶断物が貫通孔133aの内部に止まらないため、短絡電流の遮断を確実に維持することができる。
また、ヒューズ樹脂部材137は、ヒューズ部136が溶断した際に生じるアーク放電を消弧する作用を有した樹脂材からなる構成としても構わない。一般に、アークは電源電圧が20V以上の場合に発生する。電力変換装置300おいて、バッテリ500の電圧が20V以上の場合、ヒューズ部136の溶断後にアークが発生する場合がある。アーク放電を消弧する作用を有した樹脂材をヒューズ樹脂部材137に用いることで、アーク放電による短絡電流の通電の継続を抑制することができる。また、ヒューズ部136の溶断後、速やかに電流を遮断することができる。
ヒューズ部136は、筐体部140の内部に設けられた上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172から離れた位置に配置されている。電力変換装置300が動作する際、ヒューズ部136、上アーム電力半導体スイッチング素子171、及び下アーム電力半導体スイッチング素子172は、それぞれが発熱してそれぞれの温度は上昇する。これらが近くに配置されている場合、それぞれの発熱により互いに熱干渉し、温度上昇が大きくなる。本実施の形態では、ヒューズ部136が離れた位置に配置されているため、ヒューズ部136の発熱が上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172に伝熱し、上アーム電力半導体スイッチング素子171及び下アーム電力半導体スイッチング素子172の温度上昇が増大することを抑制することができる。
<ヒューズ部136の変形例>
ヒューズ部136及びその周囲の構成の変形例について説明する。図9は図6のA-A断面位置で切断した別の電力変換装置300の要部を示す断面図、図10は図6のA-A断面位置で切断した別の電力変換装置300の要部を示す断面図、図11は図6のA-A断面位置で切断した別の電力変換装置300の要部を示す断面図、図12は実施の形態1に係る電力変換装置300のヒューズ部136を示す平面図、図13は実施の形態1に係る別の電力変換装置300の正極側端子190とヒューズ部136を示す斜視図である。
図9に示した変形例では、貫通孔133aの内部において、ヒューズ部136がカバー延出部130aに近づいた位置に配置され、ヒューズ樹脂部材137がカバー延出部130aに近い側で薄くなっている。このように構成することで、ヒューズ部136の溶断時に、ヒューズ樹脂部材137が飛散しやすくなる。ヒューズ樹脂部材137が飛散しやすいため、溶断物が貫通孔133aの内部に止まらないので、短絡電流の遮断を確実に維持することができる。また図9とは異なり、ヒューズ部136がカバー延出部130aから離れる構成でも構わない。ヒューズ部136の貫通孔133aの内部における配置は自由に設定できるので、ヒューズ樹脂部材137の飛散量を容易にコントロールすることができる。
図10に示した変形例では、底壁132の突出部132aは、貫通孔133aの内側に向かって突出している貫通孔内突出部132a1を有している。貫通孔内突出部132a1は、ヒューズ部136と接触しない範囲でヒューズ部136に近接して設けられる。電力変換装置300の動作時にヒューズ部136は発熱するが、このように構成することで、貫通孔内突出部132a1を介してヒューズ部136の発熱を底壁132に放熱しやすくなる。そのため、回転電機1000が通常動作した際のヒューズ部136の温度上昇をさらに抑制することができる。
図11に示した変形例では、ヒューズ樹脂部材137が複数の異なる樹脂材からなる。貫通孔133aにおける、ヒューズ部136よりも貫通孔133aの一方の開口側に充填されたヒューズ樹脂部材137aと他方の開口側に充填されたヒューズ樹脂部材137bとは粘度が異なる樹脂材である。貫通孔133aの底壁132の突出部132aの側とは反対側の開口を確実に封止するためには、貫通孔133aのヒューズ部136と突出部132aとの間を隙間なくヒューズ樹脂部材137で埋める必要がある。ヒューズ部136と突出部132aとの間に設けるヒューズ樹脂部材137bの粘度がヒューズ部136と開口との間に設けるヒューズ樹脂部材137aよりも大きい場合、ヒューズ部136と突出部132aとの間を高粘度なヒューズ樹脂部材137bで先に埋めておき、その後低粘度のヒューズ樹脂部材137aで貫通孔133aを封止する。このように構成することで、貫通孔133aの突出部132aの側とは反対側の開口を確実に封止でき、短絡電流通電時のアーク放電による通電の継続が抑制されるので、短絡電流を確実に遮断することができる。
図12に示した4つの変形例では、ヒューズ部136の形状を異なる形状に設けている。ヒューズ部136の形状は、前後の部分よりも断面積が小さければよく、自由に設計することができる。ヒューズ部136の形状を変更することにより、過電流通電時のヒューズ部136の溶断時間を調整することができる。ヒューズ部136の断面積が小さいほど、また長さが長いほど、ヒューズ部136の抵抗値が大きくなるので、溶断時間は短くなる。なお、ヒューズ部136の形状は図12に示した4つの形状に限るものではなく、他の形状であっても構わない。
図13に示した変形例では、バスバー突出部125aの部分とバスバー突出部125aを除く正極側導体125の部分とが別の部材で形成されている。バスバー突出部125aの部分とバスバー突出部125aを除く正極側導体125の部分とは、接続部125bで電気的に接続されている。
バスバー突出部125aの部分とバスバー突出部125aを除く正極側導体125の部分とが1つの部材から構成されている場合、正極側導体125の全ての部分において材質と板厚は同一となる。そのため、ヒューズ部136の電流遮断性能を向上するために材質または板厚を変更する場合、正極側導体125の全ての材質と板厚も同時に変更することになる。本変形例のように、バスバー突出部125aの部分とバスバー突出部125aを除く正極側導体125の部分とを別の部材で形成した場合、ヒューズ部136とバスバー突出部125aを除く正極側導体125とを異なる材質または板厚で形成することができる。そのため、ヒューズ部136の電流遮断性能に合わせて、自由にヒューズ部136の材質または板厚を変更することができる。
接続部125bは、例えば、抵抗溶接、TIG溶接、MIG溶接、またはアーク溶接で溶接される。溶接に限らず、接続部125bは、例えば、はんだ、またはろう付けで接合されても構わない。バスバー突出部125aの部分とバスバー突出部125aを除く正極側導体125の部分とが電気的に接続されていれば、接続の手段は問わない。接続部125bは筐体部140の内側に配置されてもよく、筐体部140の外側に配置されても構わない。
以上のように、実施の形態1による電力変換装置300において、筐体部140から外側に突出したバスバー突出部125aの突出端部にバッテリ500に接続される正極側端子190が設けられ、バスバー突出部125aにおける正極側端子190よりも電力用半導体スイッチング素子の側の部分に、断面積が前後の部分よりも小さくなったヒューズ部136が設けられ、ケース部133はヒューズ部136が配置された部分に貫通孔133aを有し、貫通孔133aにヒューズ樹脂部材137が充填されているため、電力変換装置300の筐体部140の外部に設けられたヒューズ部136が溶断してもヒューズ樹脂部材137に溶断物が吸収されると共に、ヒューズ部136で生じた熱はヒューズ樹脂部材137に伝達されるので、ヒューズ部136の溶断に起因した煙の流出、電力変換装置300の焼損、正極側端子190と周囲の部材との短絡、及び他の電気部品の損傷を抑制することができる。
バスバー突出部125aが筐体部140の側壁131を貫通して外側に延出した基部125a1と、基部125a1から側壁131に沿って延出したヒューズ部136と、ヒューズ部136の延出端に接続され、正極側端子190が設けられた接続端子部125a2とを備えている場合、バスバー突出部125aの側壁131から垂直な方向の大きさを小さくすることができ、電力変換装置300を小型化することができる。また、ヒューズ部136の延出方向に見て、ヒューズ部136の両側に基部125a1と接続端子部125a2とが重複している場合、バスバー突出部125aの側壁131から垂直な方向の大きさをさらに小さくすることができる。
筐体部140が有底筒状に形成され、筐体部140の底壁132が金属からなる放熱部材であり、正極側導体125の部分であるバスバー突出部125aが筐体部140の側壁131を貫通して側壁131の外側に突出し、ケース部133が筐体部140の側壁131の外側に配置され、底壁132が側壁131よりも外側に突出した突出部132aを有し、ケース部133が底壁132の突出部132aに当接している場合、バスバー突出部125aが底壁132に接近するため、ヒューズ部136を含むバスバー突出部125aを効率よく冷却することができる。底壁132の突出部132aが貫通孔133aの内側に向かって突出している貫通孔内突出部132a1を有している場合、貫通孔内突出部132a1を介してヒューズ部136の発熱を底壁132に放熱しやすくなるため、回転電機1000が通常動作した際のヒューズ部136の温度上昇をさらに抑制することができる。
ヒューズ樹脂部材137が貫通孔133aにおける、ヒューズ部136よりも貫通孔133aの一方の開口側及び他方の開口側の一方または双方に充填されている場合、充填された側において、ヒューズ部136が溶断した際にヒューズ樹脂部材137が溶断物を吸収することができるので、溶断物の外部への飛散を抑制することができる。また、何れかの開口側に突出部132aが形成され、突出部132aが形成された側にヒューズ樹脂部材137が充填された場合、ヒューズ部136はヒューズ樹脂部材137を介して突出部132aと熱的に接続されるため、回転電機1000が通常動作した際のヒューズ部136の温度上昇を抑制することができる。
カバー130が筐体部140を覆う部分から延出したカバー延出部130aを有し、カバー延出部130aが正極側端子190を除き、貫通孔133aが設けられたケース部133の部分を覆っている場合、溶断物が飛散した先にカバー延出部130aがあるため、飛散物が電力変換装置300の外部へ飛散することを抑制することができる。また、バスバー突出部125aの部分とバスバー突出部125aを除く正極側導体125の部分とが別の部材で形成されている場合、ヒューズ部136とバスバー突出部125aを除く正極側導体125とを異なる材質または板厚で形成することができるため、ヒューズ部136の電流遮断性能に合わせて、自由にヒューズ部136の材質または板厚を変更することができる
ヒューズ樹脂部材137がヒューズ部136の溶断時に生じるアーク放電を消弧する作用を有した樹脂材からなる場合、アーク放電による短絡電流の通電の継続を抑制することができる。また、貫通孔133aにおける、ヒューズ部136よりも貫通孔133aの一方の開口側に充填されたヒューズ樹脂部材137aと他方の開口側に充填されたヒューズ樹脂部材137bとが粘度の異なる樹脂材である場合、ヒューズ部136と底壁132との間を高粘度なヒューズ樹脂部材137bで先に埋めておき、その後低粘度のヒューズ樹脂部材137aで貫通孔133aを封止できるため、貫通孔133aの底壁132の側とは反対側の開口を確実に封止でき、短絡電流の通電時のアーク放電による通電の継続が抑制されるので、短絡電流を確実に遮断することができる。
筐体部140の内部を封止するポッティング材150を備えた場合、筐体部140の内部の電気部品がポッティング材150で封止されるので、電力変換装置300の防水性及び防塵性を向上させることができると共に、電力変換装置300の耐震性及び伝熱性を向上させることができる。また、ヒューズ樹脂部材137がポッティング材150のヤング率よりも低いヤング率を有した場合、ヒューズ樹脂部材137の強度が低いため、ヒューズ部136が溶断する際に溶断物がヒューズ樹脂部材137に吸収されるとともに、溶断物の一部をヒューズ樹脂部材137とともに貫通孔133aから外部に飛散させることができる。溶断物を貫通孔133aから外部に飛散させることで、溶断物が貫通孔133aの内部に止まらないため、短絡電流の遮断を確実に維持することができる。
実施の形態1による回転電機1000において、電力変換装置300と、回転子軸4、回転子軸4と一体回転する回転子6、回転子6の径方向外側に配置された固定子3、及び回転子6及び固定子3の外側を覆うハウジング10を設けた回転電機本体部とを備えたため、電力変換装置300の筐体部140の外部に設けられたヒューズ部136が溶断してもヒューズ樹脂部材137に溶断物が吸収されると共に、ヒューズ部136で生じた熱はヒューズ樹脂部材137に伝達されるので、ヒューズ部の溶断に起因した煙の流出、電力変換装置の焼損、外部接続用電極と周囲の部材との短絡、及び他の電気部品の損傷を抑制することができる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る電力変換装置300について説明する。図14は実施の形態2に係る電力変換装置300の要部を示す断面図で、図6のA-A断面位置と同等の位置で切断した図、図15は実施の形態2に係る別の電力変換装置300の要部を示す断面図で、図6のA-A断面位置と同等の位置で切断した図である。実施の形態2に係る電力変換装置300は、ケース部133がケース側突出周壁133bを有した構成になっている。
ケース部133は、貫通孔133aの開口部の外側部分からカバー延出部130aに向かって突出し、貫通孔133aの開口部の外側を取り囲むケース側突出周壁133bを有している。ヒューズ部136に短絡電流が通電してヒューズ部136が溶断した際、溶断物がケース部133の貫通孔133aから飛散する。カバー延出部130aによって電力変換装置300の外部への溶断物の飛散は防止される。ケース側突出周壁133bを設けたことで、カバー延出部130aとケース部133との間の隙間の部分をさらに小さくすることができる。カバー延出部130aとケース部133との間の隙間の部分を小さくしたため、カバー延出部130aに衝突した飛散物の外部への飛散をさらに抑制することができる。
図14ではケース側突出周壁133bとカバー延出部130aとの間に隙間があるが、ケース側突出周壁133bとカバー延出部130aとを接触させても構わない。ケース側突出周壁133bとカバー延出部130aとが接触することで、カバー延出部130aに衝突した飛散物の外部への飛散をさらに抑制することができる。
カバー延出部130aに衝突した飛散物の外部への飛散を抑制する構成は、図14に示した構成に限るものではない。図15に示すように、カバー延出部130aが、カバー延出部130aから突出して貫通孔133aの開口部の外側を取り囲むカバー側突出周壁130a1を有している構成でも構わない。カバー延出部130aとケース部133との間の隙間の部分を小さくできる構成であれば、ケース側突出周壁133bとカバー側突出周壁130a1の何れも設けてもよく、双方を設ける構成でも構わない。
以上のように、実施の形態2による電力変換装置300において、ケース部133が貫通孔133aの開口部の外側部分からカバー延出部130aに向かって突出し、貫通孔133aの開口部の外側を取り囲むケース側突出周壁133bを有しているため、カバー延出部130aとケース部133との間の隙間の部分を小さくしたので、カバー延出部130aに衝突した飛散物の外部への飛散をさらに抑制することができる。また、カバー延出部130aがカバー延出部130aから突出して貫通孔133aの開口部の外側を取り囲むカバー側突出周壁130a1を有している場合、カバー延出部130aとケース部133との間の隙間の部分を小さくしたので、カバー延出部130aに衝突した飛散物の外部への飛散をさらに抑制することができる。
実施の形態3.
実施の形態3に係る電力変換装置300について説明する。図16は実施の形態3に係る電力変換装置300の要部を示す断面図で、図6のA-A断面位置と同等の位置で切断した図、図17は電力変換装置300の要部を示す平面図で、ヒューズ樹脂部材137のハッチングを省略して示した図、貫通孔133aの部分を示した図、図18は電力変換装置300の要部を説明する図で、短絡電流が通電してヒューズ部136が溶断した時のコンタ図である。実施の形態3に係る電力変換装置300は、貫通孔133aの内部が実施の形態1とは異なる構成になっている。
ヒューズ部136の前後の正極側導体125の部分が貫通孔133aの内部に配置されている。ヒューズ部136の断面積が小さくなっている部分だけではなく、断面積の大きい正極側導体125の部分も貫通孔133aの内部に配置されている。
図18に示すように、ヒューズ部136の溶断時はヒューズ部136の中央付近の温度が最も上昇する。この箇所の温度が融点に到達して溶融することで、通電経路は遮断される。この際、ヒューズ部136全体が融点に近い温度まで上昇しており、ヒューズ部136の前後の正極側導体125の部分の温度上昇は小さい。正極側導体125の断面積が変化する部分において、局所的に温度勾配が形成されている。
ヒューズ部136のみが貫通孔133aに配置されている場合、ヒューズ部136の溶断時にケース部133がヒューズ部136と接しているため、ヒューズ部136と接したケース部133の温度はヒューズ部136の融点近くまで上昇する。例えばヒューズ部136が銅からなる場合、銅の融点は1085℃である。例えばケース部133がPPSからなる場合、PPSの温度が300℃を超えるとPPSは可燃性ガスを発生する。よって、ケース部133がヒューズ部136の融点近くまで温度上昇した場合、ケース部133から可燃性ガスが発生することになる。ヒューズ部136が溶断する際には、溶断物及び火花が発生する。ケース部133から発生した可燃性ガスに溶断物及び火花が接触することで可燃性ガスが引火する可能性がある。
図17に示すように、ヒューズ部136の前後の正極側導体125の部分を貫通孔133aの内部に配置した場合、ケース部133はヒューズ部136の前後の正極側導体125の部分と接していて、ヒューズ部136とは接していない。そのため、ヒューズ部136の溶断時にケース部133の温度が上昇することを抑制することができる。ケース部133の温度上昇が抑制されるので、ケース部133からの可燃性ガスの発生を防止することができる。貫通孔133aの大きさは、ヒューズ部136の溶断時に、ケース部133から可燃性ガスが発生しない温度となる大きさで設けられる。
以上のように、実施の形態3による電力変換装置300において、ヒューズ部136の前後の正極側導体125の部分が貫通孔133aの内部に配置されているため、ヒューズ部136の溶断時にケース部133の温度上昇を抑制することができる。
実施の形態4.
実施の形態4に係る電力変換装置300について説明する。図19は実施の形態4に係る電力変換装置300の要部を示す断面図で、図6のA-A断面位置と同等の位置で切断した図である。実施の形態4に係る電力変換装置300は、突出部132aの構成が実施の形態1とは異なる構成になっている。
貫通孔133aに当接した突出部132aの部分は、ヒューズ部136の側とヒューズ部136とは反対側の外壁面の側との間を貫通する底壁貫通孔132a2を有している。底壁貫通孔132a2を設けたことで、ヒューズ部136に短絡電流が通電してヒューズ部136が溶断する際、溶断物をカバー延出部130aの側だけでなく、底壁貫通孔132a2からも外部へ飛散させることができる。このように構成することで、溶断物をヒューズ部136の周辺から外部へより確実に排出することができ、溶断後に溶断物によって通電経路が形成されることを防止できる。また、底壁貫通孔132a2の内部にヒューズ樹脂部材137を充填しても構わない。なお、底壁貫通孔132a2のフロント側にはカバーは設けられていないが、回転電機本体部200が設けられているため、飛散物が電力変換装置300の外部へ飛散することを抑制することができる。
以上のように、実施の形態4による電力変換装置300において、貫通孔133aに当接した突出部132aの部分がヒューズ部136の側とヒューズ部136とは反対側の外壁面の側との間を貫通する底壁貫通孔132a2を有しているため、溶断物を底壁貫通孔132a2から外部へ飛散させることができるので、溶断物をヒューズ部136の周辺から外部へより確実に排出することができ、ヒューズ部136の溶断後に溶断物によって通電経路が形成されることを防止することができる。
また本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 フロントブラケット、2 リヤブラケット、3 固定子、4 回転子軸、5 界磁巻線、6 回転子、9 プーリ、10 ハウジング、11 第1の吸気口、12 第1の排気口、21 第2の吸気口、22 第2の排気口、31 固定子巻線、32 固定子鉄心、71 フロント側ベアリング、72 リヤ側ベアリング、73 第1の冷却ファン、74 第2の冷却ファン、100 ブラシ、110 回転センサ、120 界磁用電力半導体モジュール、121 固定子用電力半導体モジュール、121U U相電力半導体モジュール、121V V相電力半導体モジュール、121W W相電力半導体モジュール、122 平滑コンデンサ、123 フィルタコア、124 制御基板、125 正極側導体、125a バスバー突出部、125a1 基部、125a2 接続端子部、125b 接続部、126 フィルタコンデンサ、127 フィルタコイル、130 カバー、130a カバー延出部、130a1 カバー側突出周壁、131 側壁、132 底壁、132a 突出部、132a1 貫通孔内突出部、132a2 底壁貫通孔、133 ケース部、133a 貫通孔、133b ケース側突出周壁、136 ヒューズ部、137 ヒューズ樹脂部材、140 筐体部、141 フィン、143 突部、150 ポッティング材、153 配線部材、171 上アーム電力半導体スイッチング素子、172 下アーム電力半導体スイッチング素子、173 正極側端子、174 負極側端子、175 交流端子、176 信号端子、177 放熱面、178 第3のねじ、179 第1のねじ、183 正極側端子、184 負極側端子、189 第2のねじ、190 正極側端子、191 負極側端子、192 正極側端子、193 一部分、194 負極側端子、195 正極側端子、196 負極側端子、197 第4のねじ、198 第5のねじ、200 回転電機本体部、211 接続バスバー、300 電力変換装置、500 バッテリ、501 正極側端子、502 負極側端子、503 正極側ケーブル、504 負極側ケーブル、1000 回転電機、R1 第1の通風路、R2 第2の通風路、R3 第3の通風路、W1 第1の冷却風、W2 第2の冷却風

Claims (17)

  1. 筐体部と、
    前記筐体部の内側に配置された電力用半導体素子と、
    前記筐体部の内側で前記電力用半導体素子の電極に接続され、前記筐体部から外側に突出したバスバー突出部を有するバスバーと、
    前記バスバー突出部を取り囲むケース部と、を備え、
    前記バスバー突出部の突出端部に電力供給源に接続される接続端子が設けられ、前記バスバー突出部における前記接続端子よりも前記電力用半導体素子の側の部分に、断面積が前後の部分よりも小さくなったヒューズ部が設けられ、
    前記ケース部は、前記ヒューズ部が配置された部分に貫通孔を有し、前記貫通孔にヒューズ樹脂部材が充填されている電力変換装置。
  2. 前記バスバー突出部は、前記筐体部の壁を貫通して外側に延出した基部と、前記基部から前記壁に沿って延出した前記ヒューズ部と、前記ヒューズ部の延出端に接続され、前記接続端子が設けられた接続端子部と、を備えている請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記ヒューズ部の延出方向に見て、前記ヒューズ部の両側に前記基部と前記接続端子部とが重複している請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記筐体部は、有底筒状に形成され、前記筐体部の底壁は、金属からなる放熱部材であり、
    前記バスバーは、前記筐体部の側壁を貫通し、前記側壁の外側に突出し、
    前記ケース部は、前記筐体部の前記側壁の外側に配置され、
    前記底壁は、前記側壁よりも外側に突出し、前記ケース部は、前記底壁の突出部に当接している請求項1から3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  5. 前記貫通孔に当接した前記突出部の部分は、前記ヒューズ部の側と前記ヒューズ部とは反対側の外壁面の側との間を貫通する底壁貫通孔を有している請求項4に記載の電力変換装置。
  6. 前記底壁の前記突出部は、前記貫通孔の内側に向かって突出している貫通孔内突出部を有している請求項4に記載の電力変換装置。
  7. 前記ヒューズ樹脂部材は、前記貫通孔における、前記ヒューズ部よりも前記貫通孔の一方の開口側及び他方の開口側の一方または双方に充填されている請求項1から6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  8. 前記筐体部を覆うカバーを備え、
    前記カバーは、前記筐体部を覆う部分から延出したカバー延出部を有し、
    前記カバー延出部は、前記接続端子を除き、前記貫通孔が設けられた前記ケース部の部分を覆っている請求項1から7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  9. 前記カバー延出部は、前記カバー延出部から突出し、前記貫通孔の開口部の外側を取り囲むカバー側突出周壁を有している請求項8に記載の電力変換装置。
  10. 前記ケース部は、前記貫通孔の開口部の外側部分から前記カバー延出部に向かって突出し、前記貫通孔の開口部の外側を取り囲むケース側突出周壁を有している請求項8記載の電力変換装置。
  11. 前記ヒューズ部の前後の前記バスバーの部分が前記貫通孔の内部に配置されている請求項1から10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  12. 前記バスバー突出部の部分と前記バスバー突出部を除く前記バスバーの部分とが別の部材で形成されている請求項1から11のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  13. 前記ヒューズ樹脂部材は、アーク放電を消弧する樹脂材からなる請求項1から12のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  14. 前記ヒューズ樹脂部材は、複数の異なる樹脂材からなる請求項1から13のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  15. 前記筐体部の内部を封止する封止樹脂部材を備えた請求項1から14のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  16. 前記ヒューズ樹脂部材は、前記封止樹脂部材のヤング率よりも低いヤング率を有した樹脂材からなる請求項15に記載の電力変換装置。
  17. 請求項1から16のいずれか1項に記載の電力変換装置と、
    回転子軸、前記回転子軸と一体回転する回転子、前記回転子の径方向外側に配置された固定子、及び前記回転子及び前記固定子の外側を覆うハウジングを設けた回転電機本体部と、を備えた回転電機。
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