JP7085870B2 - 刃物取付装置、およびこの刃物取付装置を備える電動工具 - Google Patents

刃物取付装置、およびこの刃物取付装置を備える電動工具 Download PDF

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Description

本発明は、刃物取付装置、およびこの刃物取付装置を備える電動工具に関するものである。
従来から、電動工具が備える駆動源からの駆動力によって往復動自在とされるブレードアーバーに設置されるとともに、このブレードアーバー設置側とは逆側に刃物部である刃物ブレードを着脱可能な刃物取付装置が知られている。例えば、下記特許文献1に記載の発明では、操作ボタンあるいは操作スリーブのワンタッチ操作によって、刃物ブレードのロックおよびロック解除を容易に行うことのできる刃物取付装置が提案されている。
特開2000-84729号公報
しかしながら、上掲した特許文献1に係る発明では、係合ピンが設けられたロックピストンは、スライダに固定されたクランプ本体の案内面に案内されて移動可能に設置されている。ブレードによる切断作業時は、切断抵抗の大部分が係合ピン部に負荷されるため、案内面が損傷する可能性があった。
また、特許文献1に記載の別の実施形態では、上述の問題点を解消するものとして、スライダの平坦面に係合ピン部を形成した構成が開示されている。しかしながら、この実施形態の場合、ブレードの取り外し時に、係合ピン部にブレードの孔が引っ掛かり、作業性が低下してしまうという課題が存在している。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、刃物部を簡易に着脱可能であり、さらに、安定した取付状態を維持するために刃物部の取付剛性が向上した刃物取付装置と、この刃物取付装置を備える電動工具を提供する。
第1の特徴に係る刃物取付装置は、電動工具が備える駆動源からの駆動力によって往復動自在とされ、そして、刃物部を着脱可能な刃物着脱部を備える刃物取付装置であって、前記刃物着脱部は、前記刃物部を挿抜するための開口空間部と、前記開口空間部の内部に向けて突出し、そして、前記刃物部に形成された開口孔に嵌め込み可能なピン部と、前記開口空間部に挿入された前記刃物部に押圧力を及ぼす押圧部と、を含み、前記開口空間部は、前記ピン部が立設され、そして、前記刃物部が押し付けられる平面壁面と、前記平面壁面に対して所定の角度を持つ斜面壁面と、を少なくとも有し、前記押圧部は、前記平面壁面と前記斜面壁面とで形成される楔形空間に沿った楔形形状を有し、そして、前記開口空間部に設置される第1弾性部によって、前記刃物部に及ぼす押圧力が付与され、前記斜面壁面は、前記平面壁面が形成された面方向と略平行に形成される第1面を少なくとも含み、前記押圧部は、当該押圧部が有する楔形形状の少なくとも一部に前記第1面の少なくとも一部と対向する第1接触面を含み、前記刃物部に対して横方向の外力が加わることにより、前記押圧部が前記刃物部から離れる方向に移動したとき、前記第1面と前記第1接触面とが当接状態となる
また、本発明によれば、上述した刃物取付装置を備える電動工具を提供することができる。
本発明の一態様によれば、刃物部を簡易に着脱可能であり、そして、安定した取付状態を維持するために刃物部の取付剛性が向上した刃物取付装置と、この刃物取付装置を備える電動工具を提供することができる。
本実施形態に係る電動工具としてのレシプロソーの全体構成を示す外観右側面図である。 刃物部である刃物ブレードが取り付けられた状態の本実施形態に係る刃物取付装置の右側面を示す図である。 図2中のA-A断面を示した図である。 図2中のB-B断面を示した図である。 図4中のC-C断面を示した図である。 図4中のD-D断面を示した図である。 刃物部である刃物ブレードを含む本実施形態に係る刃物取付装置の分解斜視図である。 ブレードホルダーカバー部の形状を示す外観斜視図である。分図(a)は、外方側から見た図である。図(b)は、内方側から見た図である。 押圧部としてのウェッジ部の形状を示す外観斜視図である。分図(a)は、前方側から見た図である。図(b)は、後方側から見た図である。 本実施形態に係る刃物取付装置に刃物ブレードが装着された状態を示す断面図である。分図(a)は、厚さの薄い刃物ブレードが装着された状態を示している。図(b)は、厚さの厚い刃物ブレードが装着された状態を示している。 本実施形態に係る刃物取付装置の操作方法を説明するための図である。 本実施形態に係る刃物取付装置に装着された刃物ブレードに外力が加わった場合の状態を説明する断面図である。分図(a)は、厚さの薄い刃物ブレードが装着された状態を示している。図(b)は、厚さの厚い刃物ブレードが装着された状態を示している。
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1に示されるように、本実施形態に係る電動工具としてのレシプロソー10は、ハウジング11と、ハウジング11の内部に設置された駆動源からの駆動力によって往復動自在とされるブレードアーバー12を含む。そして、ブレードアーバー設置側とは逆側に刃物部としての刃物ブレード13を着脱可能な刃物取付装置20と、刃物取付装置20に装着されることで切断等の加工を行う刃物ブレード13と、をさらに含む。
レシプロソー10は、電源コード14を経由して供給される電力を基に稼働する。ただし、レシプロソー10は、電源コード14の代わりに、例えば、電池パックを備えてもよい。また、刃物部としての刃物ブレード13は、樹木の剪定や木材の荒切り等に用いられるレシプロソー刃を例示したものである。ただし、本発明に適用可能な刃物部については、往復運動によって被加工物の加工を行うものであればどの様な形式のものも含まれる。例えば、軟鋼材薄物の切断やコンパネ、ベニヤ等といった様々な材質の切断が可能なレシプロソー刃や、ジグソー刃、ワイヤブラシ、ヤスリ、接着剤や塗料等を剥離させるためのスクレーパーなど、様々な種類・形式の刃物部が、本発明の適用範囲に含まれる。
次に、本実施形態に係る刃物取付装置20の具体的な構成について、図2~図10を参照して説明する。
刃物取付装置20は、図2にて示すように、ブレードアーバー12と接続固定されるアーバー接続部20Aと、刃物ブレード13を着脱する刃物着脱部20Bを含む。
アーバー接続部20Aは、図5等の断面図で示されるように、軸状部材として構成されるブレードアーバー12を挿入するためのアーバー挿入穴31と、アーバー挿入穴31に挿入されたブレードアーバー12に対して固定のための押圧力を付与するネジを螺入するための固定用ネジ孔32とを有する。アーバー挿入穴31の穴形状は、ブレードアーバー12の外形形状に応じて任意の形状を採用することができる。
一方、刃物着脱部20Bは、図3~図6の断面図にて示されるように、刃物ブレード13を挿抜するための開口空間部41と、開口空間部41の内部に向けて突出し、そして、刃物ブレード13に形成された開口孔13aに嵌め込み可能なピン部42と、ピン部42の周囲を取り囲んで設置される弾性力を有する第2弾性部としての板状弾性部材43と、刃物ブレード13に押圧力を及ぼす押圧部としてのウェッジ部44と、を備えて構成されている。
開口空間部41は、刃物ブレード13が押し付けられる平面壁面41aと、平面壁面41aに対して角度を持って設けられる斜面壁面41aとを有して構成される空間部41aと、刃物ブレード13を挿抜するために外方に向けて開口した開口部41bとを有する。平面壁面41aと斜面壁面41aとによって囲まれた空間として構成される空間部41aは、楔形をした楔形空間で構成される。楔形空間内には、楔形空間に沿った楔形形状のウェッジ部44が設置される。
また、開口空間部41内には、第1弾性部としてのコイルばね状弾性部材45が設置されている。コイルばね状弾性部材45は、ウェッジ部44を押圧する。すなわち、ウェッジ部44は、平面壁面41aと斜面壁面41aとによって形成される楔形空間に沿った楔形形状である。コイルばね状弾性部材45は、楔形形状の鋭角側(例えば、図4における紙面右側)に向けた押圧力をウェッジ部44に及ぼす。したがって、ウェッジ部44は、コイルばね状弾性部材45からの弾性力に基づく開口部41bの方向に向けた押圧力を受ける。なお、コイルばね状弾性部材45は、斜面壁面41aと略平行方向に向けて弾性力を及ぼすので、コイルばね状弾性部材45からの押圧力を損失少なくウェッジ部44に対して及ぼすことが可能である。
さらに、ウェッジ部44は、開口空間部41の外部に設けられる操作レバー部46と一体となる。すなわち、図4にて詳細に示されるように、操作レバー部46は、開口空間部41に向かって突出する接続軸部46aを有している。接続軸部46aは、ウェッジ部44に対してボルト47とワッシャ47aによって分離不能な状態で一体化接続される。また、ウェッジ部44と操作レバー部46とは、開口空間部41における斜面壁面41aが形成された部位を挟み込む。接続軸部46aは、刃物着脱部20Bに形成された接続軸部46aを案内するための貫通孔48を貫通する。したがって、開口空間部41に対して設置されるウェッジ部44は、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力によって、開口部41bの方向に押圧される。そして、操作者が操作レバー部46を操作することで、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力に抗する力をウェッジ部44に加えたときには、ウェッジ部44は、開口部41bから離れる方向に斜面壁面41aに沿って移動できる。
ピン部42は、開口空間部41を構成する平面壁面41aに対して立設される軸状部材である。ピン部42は、軸径が刃物ブレード13に形成された開口孔13aの開口径寸法に対して僅かに小さい軸径寸法で形成されている。ピン部42は、刃物ブレード13に形成された開口孔13aに対して嵌め込まれたときに、刃物着脱部20Bに対して刃物ブレード13を固定する。
ピン部42の周囲には、弾性力を有する板状弾性部材43が設置される。この板状弾性部材43は、外部からの押圧力を受けない状態のときには、ピン部42を覆い隠す。一方、外部からの押圧力を受けたとき、すなわち、図4等で示すように、ウェッジ部44からの押圧力を受けた状態のときには、板状弾性部材43は、ピン部42の軸端部を突出させてピン部42と刃物ブレード13に形成された開口孔13aとが嵌合するように、平面壁面41a方向(図4における紙面下方向)に向けて押し潰された形状に変形する。なお、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力の方が、板状弾性部材43によって及ぼされる弾性力に比べて勝っている。したがって、本実施形態の場合、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力によって、ウェッジ部44は開口部41bの方向に押圧されており、板状弾性部材43を押圧して平面壁面41a方向に向けて押し潰すこととなる。そして、操作者が操作レバー部46をスライド操作することで、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力に抗する力をウェッジ部44に加えたときには、ウェッジ部44による板状弾性部材43への押圧力が解放される。この場合、板状弾性部材43はピン部42を覆い隠す形状に復帰することとなり、この板状弾性部材43の押圧力が作用することによって、ピン部42と刃物ブレード13に形成された開口孔13aとの嵌合状態が解除される。
例えば、ウェッジ部44が刃物ブレード13を押圧する面は、ピン部42の周囲の少なくとも一部を囲んで形成されてもよい。例えば、ウェッジ部44に対して略コ字形をした押圧面を形成してもよい。かかる形状をウェッジ部44が有することにより、ウェッジ部44によって行われる刃物ブレード13の押圧状態をより安定化することができる。
次に、図7~図10を参照して、本実施形態に係る刃物取付装置20の更に具体的な部品構成と組立方法についての説明を行う。
本実施形態に係る刃物取付装置20は、アーバー接続部20Aと刃物着脱部20Bの片面とを形成するハウジング本体部81と、刃物着脱部20Bのもう一方の片面を形成するブレードホルダーカバー部82とを有する。ブレードホルダーカバー部82には、図7における紙面上下方向に向けて突出したガイド突起部82aが形成されている。一方、ハウジング本体部81におけるガイド突起部82aに対応する位置には、ガイド溝部81aが形成されている。また、ハウジング本体部81とブレードホルダーカバー部82とには、それぞれにネジ孔81bとメネジ82bが形成されている(図7および図8参照)。本実施形態に係る刃物取付装置20では、ハウジング本体部81が有するガイド溝部81aに対してブレードホルダーカバー部82が有するガイド突起部82aをスライド移動させることで嵌め込み、この状態で各1つのネジ孔81bとメネジ82bを用いて1本のネジ83にてハウジング本体部81とブレードホルダーカバー部82との確実な結合が行われる。すなわち、本実施形態では、ガイド溝部81aに対してガイド突起部82aをスライド移動させて嵌め込む構成を採用しているので、締結手段としてのネジ83を1本用いるだけで確実な固定状態を実現できる。その結果として、刃物取付装置20のコンパクト化が実現される。
上述した構成のうち、刃物ブレード13に形成された開口孔13aと嵌合するピン部42は、ハウジング本体部81の平面壁面41aが形成された側に立設して設置される。そして、このピン部42を覆うようにして、板状弾性部材43がハウジング本体部81に対して嵌め込み設置される。さらに、ブレードホルダーカバー部82に形成された斜面壁面41aを挟み込むようにしてウェッジ部44と操作レバー部46とがボルト47とワッシャ47aによって接続される。接続されたウェッジ部44と操作レバー部46は、ブレードホルダーカバー部82に形成された斜面壁面41aに沿って移動できるように取り付けられる。さらに、コイルばね状弾性部材45は、ハウジング本体部81とブレードホルダーカバー部82との結合によって内部に形成される開口空間部41内に対して、ウェッジ部44を押圧する。
ここで、図8に示すように、ブレードホルダーカバー部82に形成された斜面壁面41aには、階段形状92が形成される。この階段形状92は、斜面壁面41aが持つ所定の角度と異なる第1の角度によって形成される第1面92aと、斜面壁面41aが持つ所定の角度、および、第1面92aが持つ第1の角度と異なる第2の角度によって形成される第2面92bとの組み合わせによって構成される。第1面92aを構成する第1の角度は、平面壁面41aが形成された面方向と略平行の角度である。第2面92bを構成する第2の角度は、平面壁面41aが形成された面方向に対して約45°程度の角度である。1つの第1面92aと1つの第2面92bとの組み合わせによって1つの段形状が形成される。また、第1面92aおよび第2面92bからなる段形状が、斜面壁面41aに対して連続して複数設けられることで階段形状92が形成される。
一方、ウェッジ部44には、図9に示すように、ブレードホルダーカバー部82に形成された階段形状92と対向する位置に、階段形状94が形成されている。ウェッジ部44の階段形状94は、上述した第1面92aと接触可能に対向した第1接触面94aを含む形状として形成される。また、第1接触面94aは、ウェッジ部44に対して連続して複数設けられている。第1接触面94aを構成する面の角度は、平面壁面41aが形成された面方向と略平行の角度である。つまり、図3にて示されるように、ブレードホルダーカバー部82に形成された階段形状92と、ウェッジ部44に形成された階段形状94は、それぞれの第1面92aと第1接触面94aとが僅かの隙間を介して対向配置される。
したがって、ブレードホルダーカバー部82に形成された階段形状92と、ウェッジ部44に形成された階段形状94は、一体化されたウェッジ部44と操作レバー部46がブレードホルダーカバー部82に形成された斜面壁面41aに沿って移動する際に、この移動を阻害することがない。たとえ、刃物ブレード13に対してピン部42と開口孔13aとの嵌合状態が解除される方向に外力が加わった場合、つまり、刃物ブレード13の面方向に対して横方向の力が加わった場合であっても、僅かの隙間を介して対向配置された第1面92aと第1接触面94aとが当接状態となるので、ウェッジ部44が不要にスライド移動することを防止できる。つまり、本実施形態に係る刃物取付装置20は、たとえ刃物ブレード13に対して脱落させる方向の外力が加わったとしても、2つの階段形状92,94が有する第1面92aと第1接触面94aとが接触して刃物ブレード13の脱落を防止するので、安定した使用状態が実現される。
なお、上述した2つの階段形状92,94が有する第1面92aと第1接触面94aとに基づく構成は、様々な厚みを持つ刃物ブレード13に対しても有効である。すなわち、図10に示すように、分図(a)では、厚さの薄い刃物ブレード13が装着された状態が示されている。この形態例では、例えば、刃物ブレード13の厚みが0.6mmとなっている。一方、図(b)は、厚さの厚い刃物ブレード13が装着された状態が示されている。この形態例では、例えば、刃物ブレード13の厚みが1.25mmとなっている。このとき、ブレードホルダーカバー部82に形成された一の第1面92aと、この一の第1面92aに隣接する別の第1面92aとの距離を、例えば、薄い刃物ブレード13の厚みと同程度の約0.7mm程度とすることで、様々な厚みの刃物ブレード13に対応した階段形状92,94が実現する。つまり、前記の寸法条件を満たす形態例を採用することで、操作レバー部46の操作性を維持しつつ、様々な使用条件下で刃物ブレード13の脱落を防止できる。
次に、図11および図12を参照図面に加えて、本実施形態に係る刃物取付装置20の動作についての説明を行う。
図11中の図(a)は、刃物取付装置20に対して刃物ブレード13が装着されていない初期状態を示している。このとき、ウェッジ部44は、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力によって、開口部41bの方向に押圧されている。また、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力の方が、板状弾性部材43によって及ぼされる弾性力に比べて勝っている。したがって、ウェッジ部44は、開口部41bの方向に押圧されることで板状弾性部材43を押圧し、板状弾性部材43は平面壁面41a方向に向けて押し潰された状態となっている。
図11中の図(a)で示される初期状態から、図(b)で示すように、操作者が操作レバー部46を符号αの方向に向けて操作すると、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力に抗する力がウェッジ部44に対して加わり、ウェッジ部44は、開口部41bから離れる方向に斜面壁面41aに沿って移動する。すると、ウェッジ部44によって塞がれていた開口空間部41の特に開口部41bが開放され、刃物ブレード13を挿入し易い状態が実現する。また、ウェッジ部44の移動によって、平面壁面41a方向に向けて押し潰された状態となっていた板状弾性部材43への押圧力が解放されるので、板状弾性部材43はピン部42を覆う形状に変形する。板状弾性部材43がピン部42を覆う形状に変形することで、開口空間部41に挿入される刃物ブレード13は、挿入の際に板状弾性部材43によって挿入を案内される。したがって、刃物ブレード13がピン部42に引っ掛かる虞が少なくなり、スムーズな刃物ブレード13の挿入作業が可能となる。このようにして開口空間部41の内部に刃物ブレード13を挿入した状態が、図(c)に示されている。
図11中の図(c)で示される状態から、図(d)で示すように、操作者が操作レバー部46への操作を解除すると、ウェッジ部44はコイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力の作用によって開口部41bの方向に向けて移動し、ウェッジ部44が刃物ブレード13と板状弾性部材43を平面壁面41a方向に向けて押圧する。すると、ピン部42が刃物ブレード13に形成された開口孔13aに対して嵌め込まれるので、刃物着脱部20Bに対して刃物ブレード13が固定される。なお、本実施形態に係るウェッジ部44は、楔形形状を有して構成されているので、ウェッジ部44は刃物ブレード13と板状弾性部材43を安定して押圧できる。
以上、刃物取付装置20に対する刃物ブレード13の装着の際の動作を説明した。刃物取付装置20から刃物ブレード13を取り外す際には、図11中の分図(d)→(c)→(b)→(a)の順に刃物取付装置20を動作させればよい。
すなわち、図11中の図(d)は、刃物取付装置20に対して刃物ブレード13が装着された状態を示している。このとき、ウェッジ部44は、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力によって開口部41bの方向に押圧される。また、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力の方が、板状弾性部材43によって及ぼされる弾性力に比べて勝っているので、ウェッジ部44は、開口部41bの方向に押圧されることで刃物ブレード13と板状弾性部材43を押圧する。そして、板状弾性部材43は、平面壁面41a方向に向けて押し潰された状態となって、刃物ブレード13に形成された開口孔13aとピン部42との嵌め込み状態が維持される。
図11中の図(d)で示される状態から、図(c)で示すように、操作者が操作レバー部46を符号βの方向に向けて操作すると、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力に抗する力がウェッジ部44に対して加わる。そして、ウェッジ部44は、開口部41bから離れる方向に斜面壁面41aに沿って移動する。すると、ウェッジ部44の移動によって平面壁面41a方向に向けて押し潰された状態となっていた板状弾性部材43への押圧力が解放されるので、板状弾性部材43はピン部42を覆う形状に変形する。板状弾性部材43がピン部42を覆う形状に変形することにより、刃物ブレード13に形成された開口孔13aとピン部42との嵌め込み状態が解除される。開口空間部41から抜かれる刃物ブレード13は、抜き出しの際に板状弾性部材43によって抜き出し動作を案内されるので、刃物ブレード13がピン部42に引っ掛かる虞が少なくなり、スムーズな刃物ブレード13の抜き出し作業が可能となる。このようにして開口空間部41の内部から刃物ブレード13を抜き出した状態が、図11中の図(b)に示されている。
図11中の図(b)で示される状態から、図(a)で示すように、操作者が操作レバー部46への操作を解除すると、ウェッジ部44は、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力の作用によって開口部41bの方向に向けて移動する。そして、ウェッジ部44が板状弾性部材43を平面壁面41a方向に向けて押圧する。すると、ウェッジ部44は、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力によって、開口部41bの方向に押圧されており、さらに、コイルばね状弾性部材45によって及ぼされる弾性力の方が、板状弾性部材43によって及ぼされる弾性力に比べて勝っているので、ウェッジ部44は開口部41bの方向に押圧されることで板状弾性部材43を押圧し、板状弾性部材43は平面壁面41a方向に向けて押し潰された状態となる。かかる状態の実現によって、開口部41bはウェッジ部44によって塞がれた状態となり、本実施形態に係る刃物取付装置20は初期状態に復帰する。
またさらに、図12に示すように、刃物取付装置20に対して刃物ブレード13が装着された状態において、刃物ブレード13の先端側に対して符号γで示すような横方向の外力が加わると、てこの原理によって刃物ブレード13の根元側に符号γ’で示す方向の力が生じる。この符号γ’で示す方向の力は、刃物ブレード13に形成された開口孔13aがピン部42から抜ける方向に作用する力である。このとき、ブレードホルダーカバー部82に形成された階段形状92と、ウェッジ部44に形成された階段形状94が存在しないと、符号γ’で示す方向の力の分力がウェッジ部44に働き、ウェッジ部44が刃物ブレード13から離れる方向にスライド移動してしまうので、刃物ブレード13が脱落してしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態に係る刃物取付装置20では、たとえウェッジ部44に対して符号γ’で示す方向の力の分力が加わったとしても、2つの階段形状92,94が有する第1面92aと第1接触面94aとが当接状態となって刃物ブレード13の脱落を防止するので、安定した使用状態が実現される。第1面92aと第1接触面94aは、それぞれが階段形状92,94として複数設けられているので、図12中の分図(a)で示すような厚さの薄い刃物ブレード13や、図(b)で示すような厚さの厚い刃物ブレード13の場合など、様々な厚みを持つ刃物ブレード13が取り付けられても同様の効果を奏する。さらに、ブレードホルダーカバー部82に形成された階段形状92と、ウェッジ部44に形成された階段形状94は、それぞれの第1面92aと第1接触面94aとが僅かの隙間を介して対向配置されるので、符号γ’で示す方向の力の分力が加わっていない場合には、ウェッジ部44がスライド移動することを阻害しない。つまり、第1面92aと第1接触面94aを備える本形態例の刃物取付装置20は、刃物部である刃物ブレード13の安定した取付状態を維持することができ、また、刃物ブレード13を簡易に着脱することが可能である。
以上、本発明が取り得る一形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、ピン部42の軸先端形状を僅かな面取りが施された略円柱部材として形成した場合を例示したが、例えば、開口部41b側の軸端部の一部を斜めに切断した形状を採用することで、刃物ブレード13に形成された開口孔13aとピン部42との嵌め込み動作をスムーズにでき、かつ、嵌め込み状態を安定して維持することができる。
また例えば、上述した実施形態では、ウェッジ部44と操作レバー部46とが、2つの部材で形成されていた。この様な形態を採用したのは、レシプロソー10の製造を容易にするためであるが、本発明に係る押圧部と操作レバー部とは、1つの部材として構成することも可能である。さらに、上述した実施形態では、2つの部材で形成されたウェッジ部44と操作レバー部46とを、ボルト47とワッシャ47aによって一体化接続したが、この接続手段については、ボルト47とワッシャ47aに限定されるものではなく、例えば、圧入や溶接接合、カシメ接合、リベット接合など、様々な接続手段を採用することができる。
また例えば、上述した実施形態では、略コ字形をした押圧面がウェッジ部44に対して形成されていた。かかる形状をウェッジ部44が有することにより、ウェッジ部44によって行われる刃物ブレード13の押圧状態をより安定したものとすることが可能となる。ただし、本発明に係る押圧部の押圧面は、略コ字形をしたものには限られない。本発明に係る押圧部の刃物ブレード13を押圧する面は、ピン部42の周囲の少なくとも一部を囲んで形成されていればよい。例えば、ピン部42の周囲全周を取り囲む略ロ字形をした押圧面を本発明の押圧部に形成してもよい。また、ピン部42を対角線上で取り囲むような形状をした押圧面を本発明の押圧部に形成してもよい。
また例えば、上述した実施形態では、板状弾性部材43がピン部42の周囲全周に亘って取り囲んで設置されていることを前提として説明を行った。しかしながら、本発明に係る第2弾性部は、ピン部42の周囲の少なくとも一部を取り囲んで設置されていればよい。例えば、本発明に係る第2弾性部は、平面視略コ字形をした外観形状を有するものも含む。すなわち、本発明に係る第2弾性部には、上述した本実施形態と同様の作用効果を発揮することを条件に、様々な形態を採用することが可能である。
さらに、本発明に係る第2弾性部である板状弾性部材43は、設置を省略することができる。板状弾性部材43の設置を省略した場合、開口空間部41に刃物ブレード13を挿入するときには、ピン部42に刃物ブレード13が当たらないように、刃物ブレード13の挿入位置をピン部43から離れる方向に調整することになる。また、開口空間部41から刃物ブレード13を抜くときは、刃物ブレード13の開口孔13aがピン部42から離脱するように刃物ブレード13を移動させて抜くことになる。
また例えば、上述した実施形態では、第1面92aを構成する第1の角度は、平面壁面41aが形成された面方向と略平行の角度であった。第2面92bを構成する第2の角度は、平面壁面41aが形成された面方向に対して約45°程度の角度であった。さらに、第1接触面94aを構成する面の角度は、平面壁面41aが形成された面方向と略平行の角度であった。しかしながら、本発明に係る第1面を構成する第1の角度は、平面壁面41aが形成された面方向と平行な角度に対して±5°程度の傾きを持った角度とすることができる。また、第1面に対応して形成される第1接触面についても、平面壁面41aが形成された面方向と平行な角度に対して±5°程度の傾きを持った角度とすることができる。さらに、本発明に係る第2面を構成する第2の角度は、平面壁面41aが形成された面方向に対して約90°程度の角度としてもよい。すなわち、ブレードホルダーカバー部82に形成された階段形状92を構成する第1面92aや第2面92b、および/または、押圧部であるウェッジ部44に形成された階段形状94を構成する第1接触面94aは、上述した本実施形態と同様の作用効果を発揮することを条件に、様々な角度で構成可能である。
また例えば、上述した実施形態では、刃物取付装置20のアーバー接続部20Aとブレードアーバー12とは別部材として構成し接続固定されていたが、アーバー接続部20Aとブレードアーバー12とを一体部材として構成してもよい。
さらに、上述した実施形態で例示した刃物取付装置20は、レシプロソー10に用いられた場合を例示したが、本発明に係る刃物取付装置は、往復動作を行う刃物部を用いる様々な電動工具に対して適用することができる。したがって、本発明が適用される電動工具の種類や仕様等に応じて、本発明の構成部材は、上述した実施形態と同様の作用効果を発揮することを条件に、任意に形状変更することができる。
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 レシプロソー(電動工具)、11 ハウジング、12 ブレードアーバー、13 刃物ブレード(刃物部)、13a 開口孔、14 電源コード、20 刃物取付装置、20A アーバー接続部、20B 刃物着脱部、31 アーバー挿入穴、32 固定用ネジ孔、41 開口空間部、41a 空間部、41a 平面壁面、41a 斜面壁面、41b 開口部、42 ピン部、43 板状弾性部材(第2弾性部)、44 ウェッジ部(押圧部)、45 コイルばね状弾性部材(第1弾性部)、46 操作レバー部、46a 接続軸部、47 ボルト、47a ワッシャ、48 貫通孔、81 ハウジング本体部、81a ガイド溝部、81b ネジ孔、82b メネジ、82 ブレードホルダーカバー部、82a ガイド突起部、83 ネジ、92 階段形状、92a 第1面、92b 第2面、94 階段形状、94a 第1接触面。

Claims (6)

  1. 電動工具が備える駆動源からの駆動力によって往復動自在とされ、そして、刃物部を着脱可能な刃物着脱部を備える刃物取付装置であって、
    前記刃物着脱部は、
    前記刃物部を挿抜するための開口空間部と、
    前記開口空間部の内部に向けて突出し、そして、前記刃物部に形成された開口孔に嵌め込み可能なピン部と、
    前記開口空間部に挿入された前記刃物部に押圧力を及ぼす押圧部と、
    を含み、
    前記開口空間部は、
    前記ピン部が立設され、そして、前記刃物部が押し付けられる平面壁面と、
    前記平面壁面に対して所定の角度を持つ斜面壁面と、
    を少なくとも有し、
    前記押圧部は、前記平面壁面と前記斜面壁面とで形成される楔形空間に沿った楔形形状を有し、そして、前記開口空間部に設置される第1弾性部によって、前記刃物部に及ぼす押圧力が付与され、
    前記斜面壁面は、前記平面壁面が形成された面方向と略平行に形成される第1面を少なくとも含み、
    前記押圧部は、当該押圧部が有する楔形形状の少なくとも一部に前記第1面の少なくとも一部と対向する第1接触面を含み、
    前記刃物部に対して横方向の外力が加わることにより、前記押圧部が前記刃物部から離れる方向に移動したとき、前記第1面と前記第1接触面とが当接状態となる、刃物取付装置。
  2. 前記平面壁面が形成された面方向と略平行の角度を第1の角度としたときに、
    前記第1面には、前記斜面壁面が持つ所定の角度、および、前記第1の角度と異なる第2の角度によって形成される第2面が隣接して設けられ、
    前記斜面壁面は、前記第1面および前記第2面からなる段形状を有する、請求項1に記載の刃物取付装置。
  3. 前記第1面および前記第2面からなる前記段形状が、前記斜面壁面に対して連続して複数設けられることで階段形状をなす、請求項に記載の刃物取付装置。
  4. 前記第1接触面は、前記押圧部に対して連続して複数設けられる、請求項1~のいずれか1項に記載の刃物取付装置。
  5. 前記ピン部の周囲の少なくとも一部を取り囲んで設置される弾性力を有する第2弾性部を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の刃物取付装置。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の刃物取付装置を備える電動工具。
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