JP7084687B2 - ケラタン硫酸産生促進剤 - Google Patents
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Description
近年、ケラタン硫酸の持つ様々な生理作用が注目されており、ケラタン硫酸を皮膚外用剤に含有させて、バリア機能改善効果や発毛促進効果等が得られることが報告されている(特許文献1~2)。
かかる状況を鑑み、本発明は、ケラタン硫酸産生促進剤を提供することを課題とする。
本態様において、前記ショウブ科ショウブ属に属する植物は、ショウブ(Acorus
calamus)であることが好ましい。
本態様において、前記ケラタン硫酸産生促進剤は、ショウブ科ショウブ属に属する植物の抽出物であることが好ましく、ショウブの抽出物であることがより好ましい。
また、本態様の好ましい形態は皮膚外用組成物又は経口用組成物である。
ショウブ科ショウブ属に属する植物としては、ショウブ(Acorus calamus)、セキショウ(Acorus gramineus)、又はこれらの近縁種や変種等が挙げられるが、これらのうちショウブが好ましい。
抽出は、前記植物の植物体、地上部、根茎部、及び/又は種子の乾燥物1質量部に対して溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、溶媒の沸点付近の温度であれば数時間浸漬することにより行うことができる。浸漬後は、室温まで冷却し、所望により不要物を除去した後、溶媒を減圧濃縮等により除去すればよい。しかる後、シリカゲルやイオン交換樹脂を充填したカラムクロマトグラフィーなどで分画生成して、所望の抽出物を得ることができる。
抽出に用いる溶媒としては、極性溶媒が好ましく、例えば、水;エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;及びジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類から選択される1種又は2種以上が好ましく挙げられる。
本発明のケラタン硫酸産生促進剤の適用量は、特に限定されないが、例えば、前記植物の抽出物の固形分として、1日当たり1~200mgを1回又は数回に分けて摂取されることが好ましい。
前記ケラタン硫酸産生促進剤は、特に限定されないが、ショウブ科ショウブ属に属する植物の抽出物であることが好ましく、ショウブの抽出物であることがより好ましい。なお、本態様におけるショウブ科ショウブ属に属する植物の抽出物については、前述の説明に準ずる。
すなわち、本発明の肌色改善用の組成物は、肌色を適用前よりも健康的に見えるようにする効果を発揮する。
ケラタン硫酸の蛍光作用は、広範な波長の励起光により蛍光を発し、また、励起波長により最大蛍光波長が変化するという特徴を有する。また、本発明者らの実験によると、ケラタン硫酸の蛍光作用は、励起波長が300nm以上500nm以下の場合に確認され、励起波長が350nm以上450nm以下の場合に強く蛍光を発し、励起波長が350nm以上400nm以下の場合に特に強く蛍光を発する。
ここで、健康的で生き生きとした肌色に見えるRGB値増加の程度は、特に限定されないが、例えば、R値、G値、B値の1つ以上が増大し、かついずれも減少しないことが好ましい。また、R値、G値、B値の全てが256階調(8bit)で表した場合に2階調以上増大し、かついずれかの値の増大を1としたときに他の値の増大が0.5~2の範囲にあることがより好ましい。
ケラタン硫酸(KS)(PGリサーチ社製)を、生理食塩水に1質量%溶解させた試料を調製した。また、陽性対照として蛍光物質カルボキシフルオレセイン(CF)(Kodak社製)を用い、蛍光強度が検出閾値内に収まるよう生理食塩水で希釈した。溶媒対照としては、生理食塩水(NaClを蒸留水で0.9質量%に溶解したもの)を用いた。
調製した各試料を分光蛍光光度計 FP-8600(日本分光社製)に入れ、以下の条件で蛍光強度を測定した。
PMT電圧:1100V
励起波長:300~600nm
蛍光波長:310~650nm
溶媒対照では蛍光作用は見られず、陽性対照では蛍光作用が確認された。ケラタン硫酸は蛍光作用を示し、またその蛍光波長の範囲が広いことが確認された。また、ケラタン硫酸は陽性対照と異なり、励起波長の変化に伴い、最大蛍光波長が変化する蛍光作用を有することも確認された。
参考例1と同様の試料を調製し、分光測色計CM-700d(コニカミノルタ社製)を用いて、D65標準光源下における、各試料の分光スペクトル及びXYZ色空間におけるX値、Y値、Z値を取得した。取得されたX値、Y値、Z値を、一般的な変換式(A Standard Default Color Space for the Internet - sRGB Version 1.10 November 5,1996参照)を用いて、sRGB色空間(8bit)におけるR値、G値、B値に変換した。各試料のR値、G値、B値から、溶媒対照のR値、G値、B値をそれぞれ減じ、R値、G値、B値の各差分(ΔR、ΔG、ΔB)を算出した。結果を図3に示す。
図3に示される通り、ケラタン硫酸はR値、G値、B値の全てを増大させる作用を有することが分かる。
ショウブ根抽出物によるケラタン硫酸産生促進作用を、以下の手順で評価した。
DMEM培地(SIGMA社製)を用い、正常ヒト真皮線維芽細胞を4ウェルチャンバープレートに5000 cells/ウェルで播種し37℃、5%CO2環境下で培養した。翌日、培地を除去し、PBSにて細胞を洗浄後、ショウブ根抽出物(丸善製薬社製)又は溶媒対照(40%エタノール水溶液)を0.1質量%含むDMEM培地を加え、37℃、5%CO2環境下にて16日間培養した。この間、2~3日間に1回培地交換を行った。以下、ショウブ根抽出物を添加した細胞をショウブ根抽出群、溶媒対照を添加した細胞を溶媒対照群と記す。
培養後の各群の細胞に対して、抗ケラタン硫酸抗体(メルクミリポア社製)又は抗ルミカン抗体(アブカム社製)を一次抗体として用いて、定法に従い免疫蛍光染色を実施した。染色後の各群の正常ヒト真皮線維芽細胞に対して、共焦点レーザースキャン顕微鏡を用いて視野の異なる複数の蛍光画像を取得した。画像編集ソフトにて各画像に二値化処理を施し、判別されたケラタン硫酸又はルミカンを発現しているエリアについて、各細胞あたりの発現ピクセル数を算出した。各群の全画像について、細胞あたりの発現ピクセル数の平均値を算出し、それを細胞あたりのケラタン硫酸またはルミカンの発現エリアとした。結果を図4に示す。
図4に示される通り、ショウブ根抽出物により、ケラタン硫酸及びルミカンの産生が有意に促進されたことが分かる。
ショウブ根抽出物の連用による塗布部位の肌色のR値、G値、B値の変化を、以下の手順で評価した。
男女計10名の被験者の前腕内側に1.5cm×1.5cmの試験部位を2箇所設けた。該試験部位の肌色を、分光測色計 CM-700d(コニカミノルタ社製)を用いて測定し、XYZ空間におけるX値、Y値、Z値を取得した。ショウブ根抽出物(丸善製薬社製)を40%エタノール水溶液で1%に希釈し、被験試料とした。各被験者は、該被験試料及び溶媒対照(40%エタノール水溶液)を1ヶ月間、1日2回(朝・夜)、各試験部位に塗布した。1ヶ月後に各試験部位の肌色を、連用前と同じ分光測色計を用いて測定し、XYZ空間におけるX値、Y値、Z値を取得した。連用前後のX値、Y値、Z値をそれぞれ、一般的な変換式(A Standard Default Color Space for the Internet - sRGB Version 1.10 November 5,1996参照)を用いて、sRGB色空間(8bit)におけるR値、G値、B値に変換した。連用後の肌色のR値、G値、B値から、連用前の肌色のR値、G値、B値をそれぞれ減じ、R値、G値、B値変化量(ΔR、ΔG、ΔB)を算出した。ΔR、ΔG、ΔBについて、被験者10名の各平均値を算出したものを表1に示す。
表1に示されるとおり、ショウブ根抽出物を連用した場合は、ΔR、ΔG、ΔBのいずれも2以上であり、R値、G値、B値が、塗布前の皮膚に対して何れも減少することなく、かつ塗布前の皮膚に対して何れか1種以上を増大させ、肌色をより健康的に見せる作用(肌色改善作用)を有することが分かる。
ショウブ根抽出物の連用による塗布部位の肌色の変化を、以下の手順で評価した。
表2に記載の処方に従って、本発明の組成物である化粧料を作製した。すなわち、全成分を80℃に加熱し、撹拌し、溶解させた後、撹拌冷却してローションを得た。
男女各3名を被験者とし、それぞれの顔全体を、デジタルカメラD100(ニコン社製)を用いてマニュアルモードで撮影した。各被験者は、前記ローションを1ヶ月間、1日2回(朝・夜)、顔全体に塗布した。1ヶ月後に連用前と同条件で顔全体を撮影した。連用前後の顔画像をパソコンディスプレイに並列表示させ、連用前後のいずれの画像が、肌色がより健康的に見えるかを3名の評価者が判定した。評価者全員が、連用後の方がより健康的に見えると判定した場合に○、評価者のうち1名以上が連用前の方がより健康的に見えると判定した場合に×とした結果を、表3に示す。
表3に示されるとおり、ショウブ根抽出物を連用した場合は、6名全ての顔面の画像について、連用後により健康的に見えるという評価結果になった。したがって、本試験からもショウブ根抽出物は、肌色をより健康的に見せる作用(肌色改善作用)を有することが分かる。
Claims (1)
- ショウブ(Acorus calamus)根茎の極性溶媒抽出液からなる、ケラタン硫酸産生促進剤。
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