JP7084156B2 - サワークリーム様食品 - Google Patents
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Description
本発明において、サワークリーム様食品の水分活性は0.850aw以下であり、0.600aw以下であることがより好ましい。水分活性を0.850aw以下にすることで、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌等のグラム陰性菌の繁殖を抑え、食中毒のリスクを低減することができる。さらに、水分活性を0.600aw以下にすることで、ほぼ全ての微生物の繁殖を抑えることができ食品の腐敗を防止することができる。
(2-1)乳酸
本発明のサワークリーム様食品は、乳酸を含有する。サワークリームの酸味は主に乳酸に由来しており、本発明においても乳酸が必須である。乳酸以外にクエン酸やリンゴ酸等のその他の酸を含んでいても良いが、酸味の観点から酸の主成分(酸全量中、50重量%以上)は乳酸であることが好ましい。
サワークリームには水分が多量に含まれているため流動性が高く、ハンドリングが良好である。したがって、食用油脂の性状に留意する必要はなかった。一方、本発明のサワークリーム様食品は、水分をほとんど含んでいないため、食用油脂の性状が流動性に大きく影響している。
本発明のサワークリーム様食品は、糖質を含むことが好ましい。サワークリームには乳糖が含まれているため、糖質を加えることでよりサワークリームの甘味に近づけることができる。
本発明のサワークリーム様食品は、乳タンパクを含有することが好ましい。サワークリームには生クリーム由来の乳タンパクが含まれており、乳製品らしい風味を実現するのに寄与している。このため、乳タンパクを加えることで、よりサワークリームに近い風味を再現することができる。
本発明では、乳タンパク、乳酸、食用油脂、糖質以外の材料を適宜添加してもよい。具体的には、食塩、にがり等の塩味成分、グルタミン酸やイノシン酸等の旨味成分、及び香辛料などを風味や保存性が低下しない範囲で適宜加えることができる。中でも、乳を乳酸菌で発酵した際に生成される香気成分を濃縮した香料(乳酸フレーバー)は、よりサワークリームに近い風味を再現する観点から、好適に使用できる。
本発明におけるサワークリーム様食品は、粉体原料と、食用油脂とを混合してペースト状のサワークリームペーストを調整し(混合工程)、次いで、ロールミルを用いてサワークリームペーストを微粒化(微粒化工程)することにより製造できる。
混合工程とは、粉体原料を食用油脂で濡らす工程である。粉体原料を食用油脂で充分に濡らすことで、サワークリームペーストがロールを通過しやすくなり、微粒化が進みやすくなる。一方、混合工程を設けない場合には、粉体原料が食物油脂で充分に濡れていないためロールを通過しにくく、微粒化が進みにくい。仮にロールを通過できたとしても、ペーストとロール間の粘着力が充分でないため、ロールの遠心力で飛散してしまう。
微粒化工程とは、サワークリームペーストに含まれる粉体原料を、ロールミルを用いて微粒化する工程である。上述のペーストをロールミルに通すことで、乳糖などの粒状物が微細化し、且つ油脂中と混練されるため口当たりの良いサワークリーム様食品が得ることができる。
本発明では、サワークリーム様食品に含まれる粒状物の粒子径を40μm以下にすることが好ましい。なお、本発明で単に粒子径という場合には、メジアン径を指すものとする。粒状物の粒子径を40μm以下とすることで、滑らかな食感を実現することができる。さらに、粒状物の粒子径が30μm以下の場合には、舌が粒状物を認識しなくなるため、より滑らかで好ましい食感となる。なお、本発明の粒子径はレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置により測定したものを基準とする。
市販されている食用油脂を適宜配合し、SFCの異なる油脂1~3を得た。その他、乳脂(油脂4)、豚脂(油脂5)、カカオバター(油脂6)、キャノラー油(油脂7)を用意した。20℃、30℃、35℃における油脂1~7のSFCは表1の通りである(小数点以下四捨五入)。
本実施例で使用した粉乳の組成は表2の通りである(小数点以下四捨五入)。
使用機器:油圧式三本ロール「HH-121×280」(井上製作所社製)
チラー温度:28℃
ロール締圧(前後同圧):1.5MPa
回転速度:仕込みロール(13rpm)、中間ロール(40rpm)、仕上げロール(120rpm)
装置:LA-950(HORIBA社製レーザー回折・散乱式粒子分布測定装置)
測定モード:湿式
分散媒:イソプロパノール
測定条件:循環5、撹拌10、超音波1分
その他事項:上記条件で10回測定を行い、その平均値を小数点以下四捨五入した値を採用した
サワークリーム様食品の喫食直後の酸味を、パネラー10名が以下の通り評価した。
○:実施例2と比較して、同程度の酸味と評価したパネラーが9名以上
×:酸味を感じないと評価したパネラーが9名以上
△:上記“○”、“×”以外の評価となったサワークリーム様食品
※酸味を感じないわけでは無ないが、実施例2と比較して同程度の酸味ではないと判断されたもの
本発明における“堅さ”とは、喫食直後に感じる食感を指し、チョコレートのように喫食直後の流動性が全く感じられないサンプルを“堅い”と表現し、サワークリームのように喫食直後から流動性を感じられるサンプルを”軟らかい”と表現する。具体的には、パネラー10名が、実施例2をポジティブ(軟らかい)基準、比較例1をネガティブ(堅い)基準として以下の通り評価した。
○:実施例2と比較して、同程度又は軟らいと評価したパネラーが9名以上
×:比較例1と比較して、同程度又は堅い評価したパネラーが9名以上
△:上記“○”、“×”以外の評価となったもの
本発明における“後味”とは、喫食後に残留している乳酸や糖質に由来する酸味や甘味を指す。具体的には、実施例2を“後味良好なポジティブ標準”、比較例1を“後味が強いネガティブ基準1”、比較例4を“後味が弱いネガティブ基準2”として、以下の通り評価した。
1;比較例4と比較して、同程度又はそれ以上に後味が弱いと評価したパネラーが9名以上
2:“1”と“3”の中間評価
3:実施例2と比較して、同程度の後味と評価したパネラーが9名以上
4:“3”と“5”の中間評価
5:比較例1と比較して、同程度又はそれ以上に後味が強いと評価したパネラーが9名以上
実施例2を基準に、SFC(20℃)を変更した場合について検討すると、SFC(20℃)が30%を超えた辺りから流動性の低下が顕著になり、SFC(20℃)が50%を超えると流動性が全く感じられなくなった(実施例2、3、4、比較例1,2)。一方、SFC(20℃)を下げた場合については、流動性の低下は起こらないが、SFC(20℃)を下げ過ぎると、油脂と乳タンパク等が分離し、サワークリーム様食品を製造することができなくなってしまった(実施例1、2、比較例3)
Claims (4)
- 乳酸と、食用油脂とを含んでなるサワークリーム様食品であって、
前記サワークリーム様食品全量中、乳酸を2.5~3.0重量%、乳タンパクを2.0~4.0重量%含有し、
20℃における食用油脂の固体脂肪含有量が13~20%、
35℃における食用油脂の固体脂肪含有量が5%以下であり、
且つ水分活性が0.850aw以下であり、乳化剤を含まないことを特徴とするサワークリーム様食品。 - サワークリーム様食品全量中、食用油脂を45~85重量%含有することを特徴とする請求項1記載のサワークリーム様食品。
- 更に、糖質を含むことを特徴とする請求項1記載のサワークリーム様食品。
- サワークリーム様食品全量中、糖質を10~40重量%含有することを特徴とする請求項1記載のサワークリーム様食品。
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Title |
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ニッケル触媒による食用油脂の水素添加(第4報),油化学, 1982, vol.31, no.1, p.16-22 |
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