JP7083131B2 - 発毛および育毛促進剤 - Google Patents

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本発明は、発毛および育毛促進剤に関する。詳細には、本発明は、表面キトサン化キチンナノファイバーを含む発毛および育毛促進剤に関する。
これまで多くの種類の発毛および育毛促進剤が開発され、用いられてきた(非特許文献1等参照)。しかし、効果が十分でない、あるいは副作用がある等の理由で、満足のいく発毛および育毛促進剤が提供されてきたとはいえない。
永島,ファルマシア 25(10), 1024-1026 (1989)
効果が十分であり、しかも副作用の心配のない発毛および/または育毛促進剤を提供することが必要であった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、驚くべきことに表面キトサン化キチンナノファイバーが十分な発毛および育毛効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
したがって、本発明は以下のものを提供する。
(1)表面キトサン化キチンナノファイバーを含む発毛および/または育毛促進剤。
(2)表面キトサン化キチンナノファイバーの幅が2nm~20nmである(1)記載の剤。
(3)表面キトサン化キチンナノファイバーのアスペクト比が100以上である(1)または(2)のいずれか記載の剤。
(4)表面キトサン化キチンナノファイバーの結晶状態が伸びきり鎖微結晶である(1)~(3)のいずれか記載の剤。
(5)表面キトサン化キチンナノファイバーの脱アセチル化度が10%以上である(1)~(4)のいずれか記載の剤。
(6)医薬組成物である(1)~(5)のいずれか記載の剤。
(7)医薬部外品である(1)~(5)のいずれか記載の剤。
(8)化粧品である(1)~(5)のいずれか記載の剤。
(9)ミノキシジルをさらに含む(1)~(8)のいずれか記載の剤。
(10)ミノキシジルと併用される(1)~(8)のいずれか記載の剤。
本発明によれば、効果が十分であり、しかも副作用の心配のない安全な発毛および/または育毛促進剤が提供される。本発明の剤は、適用後比較的早期に効果を発揮しうる。
図1は、コントロール、キチン、キチンナノファイバー(CNF)、表面キトサン化キチンナノファイバー(SDACNF)、キトサンおよびミノキシジルを塗布した動物の12日目の剃毛部分における、被毛の長さを示す。バーは平均値±標準偏差を示す。**はコントロールと比較して統計学的に優位(p<0.01)であることを示す。 図2は、コントロール、キチン、キチンナノファイバー(CNF)、表面キトサン化キチンナノファイバー(SDACNF)、キトサンおよびミノキシジルを塗布した動物の12日目の剃毛部分の1視野当たりの成長期の毛根数を示す。バーは平均値±標準偏差を示す。**はコントロールと比較して統計学的に優位(p<0.01)であることを示す。*はコントロールと比較して統計学的に優位(p<0.05)であることを示す。 図3は、コントロール、キチン、キチンナノファイバー(CNF)、表面キトサン化キチンナノファイバー(SDACNF)、キトサンおよびミノキシジルを塗布した動物の12日目の剃毛部分の1視野当たりの休止期の毛根数を示す。バーは平均値±標準偏差を示す。**はコントロールと比較して統計学的に優位(p<0.01)であることを示す。*はコントロールと比較して統計学的に優位(p<0.05)であることを示す。
本発明において使用される表面キトサン化キチンナノファイバーは、キチンナノファイバーの製造工程のいずれかにおいてキチン材料を脱アセチル化することにより、あるいはキチンナノファイバーを脱アセチル化することにより得ることができる。脱アセチル化方法はいくつかの方法が公知であるが、例えばアルカリ処理法が挙げられる。本明細書において、表面キトサン化キチンナノファイバーをSDACNFまたは表面脱アセチル化キチンナノファイバーということがある。
表面キトサン化キチンナノファイバーの原料となるキチンナノファイバーは、天然界から、例えばキチン含有生物由来の材料から得ることができる。キチン含有生物としては、エビ、カニなどの甲殻類、昆虫類またはオキアミなどが例示されるが、これらに限定されない。好ましくは、キチン含量の多い生物、例えばエビ、カニなどの甲殻類の殻および外皮からキチンナノファイバーを得てもよい。ただし、生体中のキチンナノファイバーは、その周囲および間隙に存在する蛋白および炭酸カルシウムを含むマトリクスを有しているので、脱マトリクス処理を行わなければ得ることができない。ナノファイバー化されるキチンは、カニ殻やエビ殻由来のキチンなどのα型の結晶構造を有するキチンであってもよく、イカの甲由来のキチンなどのβ型の結晶構造を有するキチンであってもよい。
キチンナノファイバーはいずれの方法・手段にて製造されたものであってもよい。本発明において使用されるキチンナノファイバーの好ましい製造方法としては、例えば国際公開WO2010/073758の明細書(参照により本明細書にその内容を一体化させる)に記載された方法、あるいは高圧湿式粉砕機、湿式超高圧微粒化装置、ブレンダー、コロイドミル、ビーズミル、ボールミルなどを用いる方法などがある。
本発明において使用される表面キトサン化キチンナノファイバーは修飾または誘導体化されていてもよい。例えば、糖の3位の水酸基、6位の水酸基、または糖鎖の末端の水酸基の水素が、アルキル基などの他の基に置換されていてもよい。あるいはキトサンの糖の2位のアミノ基の水素はアルキル基などの他の基で置換されていてもよい。アミノ基とハロゲン化物イオンなどの陰イオンとの間で塩を形成してもよい。これらの修飾体、誘導体および塩はあくまでも例示であり、限定的なものではない。本明細書では、これらの修飾体、誘導体および塩もキチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーに包含されるものとする。このような誘導体および修飾体は関連の業界において一般に知られており、それらの製造方法も公知である。
本発明において使用される表面キトサン化キチンナノファイバーは、幅(または径)が約2nm~約200nm、好ましくは約2nm~約100nm、より好ましくは約2nm~約50nm、例えば、約5nm~約20nm、約2nm~約20nm等である。このような幅(または径)の表面キトサン化キチンナノファイバーは、水性媒体への分散性に優れている。
本発明において使用される表面キトサン化キチンナノファイバーのアスペクト比(繊維の長さ/繊維の幅)は、通常約50以上、好ましくは約100以上である。
本発明において用いられる表面キトサン化キチンナノファイバーの平均脱アセチル化度は通常約10%以上、好ましくは約20%以上、より好ましくは約25%以上、さらに好ましくは約30%以上である。キチンナノファイバーの平均脱アセチル化度は元素分析、電気伝導度滴定、FT-IRなどによって測定することができる。平均脱アセチル化度の計算式の例としては以下の式が挙げられる。
平均脱アセチル化度(%)=[(キチンナノファイバーに含まれるアミノ基数)/(キチ
ンナノファイバーに含まれるアミノ基数+アセトアミド基数)]x100
本発明において使用されるキチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーの結晶状態はα型の伸びきり鎖微結晶であることが好ましい。「伸び切り鎖微結晶」とは無数のキチン分子が伸び切った状態で規則的に配列して結晶化した状態のことをいう。
本明細書において、例えば、「キチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーの幅(または径)が約2nm~約20nm」とは、幅(または径)が約2nm~約20nmであるキチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーが全体の約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上を占める状態をいう。また例えば、「キチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーのアスペクト比が約100以上」とは、アスペクト比が約100以上であるキチンナノファイバーまたは表面キトサン化キチンナノファイバーが全体の約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上を占める状態をいう。
本明細書において、発毛の促進とは、頭皮などの皮膚において毛髪の発生を促す(例えば成長期毛根数を増加させる)、あるいは毛髪の数を増やすことをいう。本明細書において、育毛の促進とは、頭皮などの皮膚において毛髪の成長を促す、あるいは毛髪を維持することをいう。本発明の剤は、発毛または育毛のいずれかを促進するものであってもよく、発毛および育毛の両方を促進するものであってもよい。本明細書中のその他の用語は、当該分野において通常に理解されている意味に解される。
本発明の剤は医薬組成物または医薬部外品であってもよい。本発明の医薬組成物または医薬部外品は、皮膚や頭皮あるいは毛髪に有害でない水性担体(例えば、水、エタノール、グリセロール、これらの混合物などが挙げられるが、特に限定されない)またはエマルジョンなどの公知の担体に表面キトサン化キチンナノファイバーを配合し、分散させたものであってもよい。あるいは本発明の医薬組成物または医薬部外品は、マイクロカプセル、リポソームなどに表面キトサン化キチンナノファイバーを封入したものであってもよい。
本発明の医薬組成物または医薬部外品の剤形は特に限定されず、表面キトサン化キチンナノファイバーの適用量、適用部位、適用回数、適用方法、所望の効果、含まれる他の成分などの要因に応じて選択できる。例えば、化粧水、乳液、ヘアートニック、クリーム、ゲル、軟膏、シャンプー、リンス、パスタ、パッチ、膏薬、粉末、スプレーなどであってもよい。これらの剤形の製造は、当該分野において公知の方法にて行うことができる。なお、本発明の医薬組成物または医薬部外品はヒトのみならず、他の動物にも適用することができ、イヌ、ネコなどのペット用、あるいは獣医向けとすることもできる。
本発明の医薬組成物または医薬部外品による表面キトサン化キチンナノファイバーの適用量は、医薬組成物または医薬部外品の形状、適用部位、期待される効果、その他の要因に応じて適宜決定されうる。本発明の医薬組成物は、通常、1日1回~数回、皮膚患部に適用される。例えば、約0.01~約10%、好ましくは約0.1~約5%の表面キトサン化キチンナノファイバーを含む本発明の医薬組成物または医薬部外品の適量を、1日に数回、皮膚患部に適用してもよい。
本発明の医薬組成物または医薬部外品には、他の公知の成分、例えば、他の発毛および/または育毛剤、抗酸化剤、抗炎症剤、保湿剤、紫外線吸収剤、ビタミン類、皮膚活性化剤、防腐剤、香料、着色料、ミネラル、抗生剤、消毒剤など、あるいはワセリン、抗真菌剤などの皮膚科分野で使用される薬剤などを適宜配合してもよい。
本発明の剤は化粧品であってもよい。本発明の化粧品は、頭皮その他の皮膚に適用される。本発明の化粧品は、皮膚に有害でない水性担体(例えば、水、エタノール、グリセロール、これらの混合物などが挙げられるが、特に限定されない)またはエマルジョンなどの公知の担体に表面キトサン化キチンナノファイバーを配合し、分散させたものであってもよい。あるいは本発明の化粧品は、マイクロカプセル、リポソームなどに封入された表面キトサン化キチンナノファイバーを含むものであってもよい。
本発明の化粧品の形態は特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、ヘアートニック、クリーム、ゲル、軟膏、シャンプー、リンス、パスタ、スプレーなどであってもよい。これらの形態の製造は、当該分野において公知の方法にて行うことができる。なお、本発明の化粧品はヒトのみならず、他の動物にも適用することができ、イヌ、ネコなどのペット用とすることもできる。
本発明の化粧品は、通常、1日1回~数回適用される。用量は適宜選択、変更することができる。本発明の化粧品は、例えば、約0.01~約10%、好ましくは約0.1~約5%の表面キトサン化キチンナノファイバーを含んでいてもよい。本発明の化粧品の適量を、頭皮その他の皮膚に、1日に数回適用してもよい。
本発明の化粧品には、他の公知の成分、例えば、他の発毛および/または育毛促進剤、抗酸化剤、抗炎症剤、保湿剤、紫外線吸収剤、ビタミン類、皮膚活性化剤、防腐剤、香料、着色料、ミネラル、抗生剤、消毒剤など、あるいはワセリン、抗真菌剤などを適宜配合してもよい。
表面キトサン化キチンナノファイバーは、pH約3~7未満、例えばpH約4~約6、約5~7未満、約4~約5、約5~約6、約6~7未満などの弱酸性の媒体によく分散するという性質を有するので、弱酸性の媒体を用いることの多い化粧品への使用に適している。本発明の医薬組成物および医薬部外品にも、このような弱酸性の媒体を用いることができる。
本発明に用いられる表面キトサン化キチンナノファイバーは、天然由来素材であるため、ヒトを含む動物に対して害がない。したがって、本発明の医薬組成物、医薬部外品あるいは化粧品は、副作用の心配がなく安全なものである。
本発明は、さらなる態様において、発毛および/または育毛を必要とする対象に、表面キトサン化キチンナノファイバーを与えることを含む、対象における発毛および/または育毛促進方法を提供する。
本発明は、さらなる態様において、発毛および/または育毛のための医薬組成物、医薬部外品または化粧品の製造ための、表面キトサン化キチンナノファイバーの使用を提供する。
本発明は、さらなる態様において、発毛および/または育毛を必要とする対象における発毛および/または育毛促進のための、表面キトサン化キチンナノファイバーの使用を提供する。
本発明の剤、方法および使用において、他の発毛および/または育毛成分を併用してもよい。他の発毛および/または育毛成分は公知であり、ミノキシジル、塩化カルプロニウム、アセチルデカペプチド-3、イチョウ葉エキス、エビネエキス、L-アルギニン、オランダカラシエキス、ショウブ根エキス、センキュウエキス、センブリエキス、トウガラシエキス、t-フラバノン、ニコチン酸アミド、ペンタデカン酸グリセリド、6-ベンジルアミノプリン、グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸DL-α-トコフェロール、リデンシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の発毛および/または育毛成分の一例としてミノキシジルが挙げられる。例えば、本発明の剤はミノキシジルを含むものであってもよい。本発明の剤中のミノキシジルの含有量は適宜定めうるものであり、一般に使用されているミノキシジル製剤中の含有量であってもよい。例えば、本発明の剤中のミノキシジル含有量は約0.5wt%~約5wt%であってもよい。また、本発明の剤とミノキシジルを併用してもよい。併用の態様は特に限定されず、例えば、本発明の剤とミノキシジルを同時に使用してもよく、交互に使用してもよい。
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、実施例は説明のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:表面キトサン化キチンナノファイバーの発毛および/または育毛効果
試験方法
1.動物試験
C57BL/6マウス(メス、7週齢)を用いた。各群3-4匹を使用した。背部皮膚を剃毛後、濃度1%の各試験物質(キチン、キトサン、キチンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバー、ミノキシジル)200μLを剃毛直後、剃毛から3、4、6、7および11日目に塗布した。剃毛から12日目に安楽死処分を行い、被毛を抜き被毛の長さを測定した。また、皮膚は10%ホルマリン溶液に浸漬し、固定した後、常法に従いヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を実施した。被毛の長さは各個体につき20本の長さを測定し平均値を算出した。HE染色標本は光学顕微鏡にて観察し、1視野あたりの成長期および休止期の毛根数を計数した。
なお、試験群は以下の6群とした(キチン、キチンナノファイバー、キトサン、表面キトサン化キチンナノファイバーの濃度は1%)。
・コントロール(0.5%酢酸塗布)群
・キチン懸濁液塗布群
・キチンナノファイバー(CNF)塗布群
・表面キトサン化キチンナノファイバー(SDACNF)塗布群
・キトサン塗布群
・1%ミノキシジル(Mi)塗布群
2.細胞試験
ヒト正常毛乳頭細胞を1.2×10 cells/0.3ml/ウェルでType Iコラーゲンコート48ウェルプレートに播種した。COインキュベーター内(5%CO、37℃)で、1日間培養後、被験物質(表面キトサン化キチンナノファイバー、キトサン、各1% w/v:オートクレーブして使用)、無添加培地、参考物質として終濃度終濃度30μMミノキシジル(Mi)を含む培地に置換した。その後、1日間および3日間培養し、それぞれの細胞の増殖性を生細胞数測定試薬SF(ナカライテクス株式会社、Cat. No. 07553-15)で比較検討した。n=5にて行った。また、培養3日目の培養上清を回収し、培養上清中のケラチノサイト増殖因子(FGF-7)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)産生量をELISA kit(FGF-7: Abcam、Cat. No. ab100519、VEGF:R & D Systems, Cat.No. DVE00)にて測定した。n=5にて実施した。上清は測定時まで-80℃で保管した。タンパク質産生量に対し、相対生細胞数で割ることで、単位細胞数あたりのタンパク質産生量を算出した。
結果
1.動物試験
CNF、SDACNF、キトサンおよびMi塗布群において、コントロール群と比較して有意に被毛の長さが長かった(図1)。また、成長期毛根数はSDACNF、キトサンおよびMi群にて有意に増加した(図2)。休止期毛根数はCNF、SDACNF、キトサンおよびMi群にて有意に減少した(図3)。以上の結果よりSDACNFは成長期毛根数を増加させ、被毛の長さを長くさせることが明らかとなった。また、その効果はキトサン、Miと比較し優れることが明らかとなった。しかも、SDACNFの効果は短期間で現れることも明らかとなった。
2.細胞試験
SDACNF群では培養1および3日目に生細胞数はコントロール群と比較して有意に増加していた(p<0.05およびp<0.01)(表1)。また、キトサン群では培養3日目において生細胞数はコントロール群と比較して有意に増加していた(p<0.01)(表1)。さらに、SDACNFおよびキトサンはMiと比較して毛乳頭細胞の成長因子(VEGF、FGF-7)産生を促進させることが明らかとなった(表2)。なお、VEGFの産生は、毛母細胞活性化作用、発毛促進作用等に寄与すると考えられる。また、FGF-7が毛乳頭細胞から産生され、毛母細胞に作用し、毛母細胞の増殖、分裂を促すことで毛髪成長をさせると解釈されている。SDACNFの発毛および/または育毛効果の作用機序の一つはこの成長因子の産生促進であると推察される。

Figure 0007083131000001

単位は%で、コントロール群を100(%)としたときの相対値で示している。なお数値は平均値±標準偏差で示している。*はコントロール群と比較してp<0.05であることを、**はコントロール群と比較してp<0.01であることを示している。

Figure 0007083131000002

単位はpg/mlである。数値は平均値±標準偏差で示している。*はコントロール群と比較してp<0.05であることを、**はコントロール群と比較してp<0.01であることを、***はコントロール群と比較してp<0.001であることを示している。
実施例2:表面キトサン化キチンナノファイバーとミノキシジルの併用効果
試験方法
1.表面キトサン化キチンナノファイバーの調製
市販のカニ殻由来乾燥キチン粉末45gを30wt%水酸化ナトリウム水溶液1500gの入った2L三つ口平底ステンレス反応容器に加えた。450rpmで撹拌しながら、6時間還流し、冷めるまで静置した。上澄みを捨て沈殿した固形物を回収した。回収した固形物をpHが中性になるまで減圧ろ過にて純水で洗浄した。洗浄した固形物に、0.5wt%酢酸1000gを加え、500rpmで1時間撹拌し、高速冷却遠心機で10分間脱水を行った。この操作を3回行い、酸可溶分(キトサン、ナトリウム塩)を除去した。次いで、表面キトサン化キチンの濃度が1.2wt%、酢酸の濃度が0.5wt%の懸濁液を調製した。この懸濁液を石臼式摩砕機(MKCA6-2、増幸産業株式会社)に2度通すことにより解繊し、表面キトサン化キチンナノファイバー水分散液を得た。
2.表面キトサン化キチンナノファイバーエマルションの調製
1wt%の表面キトサン化キチンナノファイバーを含む水分散液にミノキシジルを0、0.5、1.0wt%となるよう混合した59.5gの分散液について、ホモジナイザー(T25 basic、IKAジャパン株式会社)で撹拌しながら、脂肪酸トリグリセライド(花王製、MT-N 25.5g)を滴下した。表面キトサン化キチンナノファイバー水分散液と脂肪酸トリグリセライドの混合比は7:3(w/w)とした。脂肪酸トリグリセライドを添加後、13500rpmで5分間、激しく撹拌した後、超音波ホモジナイザー(SONIFIER 250、 BRANSON)を用いて5分間処理した。更にホモジナイザーを用いて13500rpmで3分間、激しく撹拌してエマルションを得た。ミノキシジルを0、0.5、1.0wt%含むエマルジョンを、それぞれエマルジョン1、エマルジョン2、エマルジョン3と称する。
3.動物実験
実験動物は6週齢の雌のマウス(日本エスエルシー(株)、Hos:HR-1)を用いた(各群5匹)。飼育条件は、室温:22-25℃、湿度:50-70%、明暗サイクル:12/12時間(AM7:00/PM7:00))とした。飼料として、実験動物用粉末飼料CE-2(日本クレア(株))、飲用水として水道水を与えた。購入後、1週間気候順応期間を与えたマウスに対して背部を動物用バリカンを使用して、縦3cm x 横2cm剃毛した。剃毛したマウスの背部について、0、3、4、6、7、11日目に上記2で作成したエマルション1~3ならびに対照群として1wt%濃度のミノキシジルを150μL塗布した。6日目および採材日(12日目)にマウス背部の皮膚から毛髪を約20本程度ピンセットを用いて抜き、長さを測定した。
実験結果
ミノキシジルを配合した表面キトサン化キチンナノファイバーエマルション1~3およびミノキシジル水溶液を塗布した6日後と12日後の毛の長さ、ならびに6日目と12日目の毛の長さを比較した時の伸び率(%)を表3に示す。ミノキシジルを1%配合した表面キトサン化キチンナノファイバーエマルション3は伸び率が148%であり、最も高かった。以上のことから、発毛および/または育毛効果の知られている既存の有効成分と表面キトサン化キチンナノファイバーを組み合わせることにより、より優れた発毛および/または育毛効果が得られることが明らかとなった。
Figure 0007083131000003
本発明は、医薬品、医薬部外品および化粧品等の分野において利用可能である。

Claims (6)

  1. 表面キトサン化キチンナノファイバーを含む発毛および/または育毛促進剤であって、表面キトサン化キチンナノファイバーの幅が2nm~20nmであり、表面キトサン化キチンナノファイバーのアスペクト比が100以上であり、表面キトサン化キチンナノファイバーの結晶状態が伸びきり鎖微結晶であり、表面キトサン化キチンナノファイバーの脱アセチル化度が30%以上である、発毛および/または育毛促進剤
  2. 医薬組成物である請求項記載の剤。
  3. 医薬部外品である請求項記載の剤。
  4. 化粧品である請求項記載の剤。
  5. ミノキシジルをさらに含む請求項1~のいずれか1項記載の剤。
  6. ミノキシジルと併用される請求項1~のいずれか1項記載の剤。
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