JP7082810B2 - 紫外線硬化性樹脂組成物、紫外線硬化樹脂成形品、及び紫外線硬化樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
特に、自動車内装部品等に好適な耐薬品性(耐日焼け止めクリーム剤)等に優れ、良好な触感が得られるとともに、成形加工性等が良好な紫外線硬化性樹脂組成物、紫外線硬化樹脂成形品、及び紫外線硬化樹脂成形品の製造方法に関する。
特に人間の手や肌が接触するような、自動車内装部品等に使用されるプラスチック成形品については、前述した機能性の中でも、耐ハンドクリーム剤、及び耐日焼け止めクリーム剤等の耐薬品性に優れることが求められている。
その結果、以前はUV-Aの防御指数がPA+++(スリープラス)であっても効果があると言われていたが、近年ではより防御指数の高いPA++++(フォープラス)の日焼け止めクリーム剤が使用されるようになってきた。
一方、UV-Bに対する防御指数を示すSPAは、SPF30が一般的に使用されてきたものの、近年ではより防御指数の高いSPF50以上のものが使用されるようになってきた。
又、日焼け止め効果を持続させるために、汗や水等への接触でも落ちにくい日焼け止めクリーム剤も多く販売されるようになり、日焼け止めクリーム剤に対する効果がより高い紫外線硬化性樹脂組成物が求められている。
更に、紫外線硬化性樹脂組成物には、前述した耐日焼け止めクリーム剤等の耐薬品性を維持しながら、人間の手や肌で触れた場合の好触感、及び目で見た場合の美観が求められている。
より具体的には、数平均分子量5,000~10,000、水酸基価が80~120mgKOH/gのアクリル変性ポリカーボネート樹脂と、末端にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物と、平均粒子径が6~10μmの球状ウレタン樹脂微粉末からなる塗料組成物である。
より具体的には、アクリル系共重合体等からなるバインダー樹脂と、アクリル系架橋樹脂粒子と、を含有する塗料組成物であって、アクリル系架橋樹脂粒子のガラス転移温度が50~130℃であり、平均粒子径が10~500nmであり、更には、含有量が10~400質量部である塗料組成物より形成されてなる塗膜である。
より具体的には、所定の(a)アクリルポリオール樹脂、(b)多官能光硬化性化合物、(c)光重合開始剤、及び(d)ポリイソシアネート化合物と、を含有してなる光硬化性の塗料組成物である。
そればかりか、自動車内装部品等に適用した場合に、所定形状に成形するための成形性や光透過性が不十分であったり、耐久性が低くなったりするという問題も見られた。
その上、耐日焼け止め剤性試験後の外観が良好で、耐摩耗性にもそれなりに優れることが開示されているものの、良好な塗膜の触感については、何ら考慮されていないという問題も見られた。
その上、所定微粒子の配合について何ら言及しておらず、塗料組成物に由来した塗膜の触感については到底満足できるものではなかった。
なお、本発明において光透過性とは、360nm~830nmの範囲のいずれかの波長の光を透過させる性質のことであり、そして、紫外線硬化性樹脂組成物の硬化後に得られる、例えば、15μm(あるいは、15μm±5μm)の皮膜の全光線透過率(Tt)が80%以上、かつ拡散透過率(Td)が70%以上であることを意味しているものとする。
工程(a):基材上に、紫外線硬化性樹脂組成物を積層し、積層物とする工程
工程(b):積層物を成形加工する工程
工程(c):成形加工した積層物に対して、紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、紫外線硬化樹脂成形品とする工程
又、所定の紫外線硬化性樹脂組成物に由来した硬化膜によれば、上述した耐薬品性(特に耐日焼け止めクリーム剤)等のほかに、各種基材等に対する密着性が良好であって、かつ、触感や美観に優れた紫外線硬化樹脂成形品を効果的に提供することができる。
更に又、所定の紫外線硬化性樹脂組成物を用いてなる紫外線硬化樹脂成形品の製造方法によれば、各種基材等に対する密着性が良好であって、かつ、触感や美観に優れた紫外線硬化樹脂成形品を迅速かつ経済的に提供することができる。
第1の実施形態は、(A)成分としての6官能ウレタン(メタ)アクリレートと、(B)成分としての微粒子と、を含む紫外線硬化性樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分の含有割合(重量比)を70:30~30:70の範囲内の値とし、紫外線硬化膜の全光線透過率(Tt)を80%以上の値とするとともに、拡散透過率(Td)を70%以上の値とし、かつ、表面粗さ(Ra)を0.1~3.0μmの範囲内の値とすることを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物である。
以下、第1の実施形態の紫外線硬化性樹脂組成物の構成要件等について、具体的に説明する。
紫外線硬化性樹脂組成物は、(A)成分として、6官能ウレタン(メタ)アクリレートを使用することを特徴とする。
この理由は、このような6官能ウレタン(メタ)アクリレートを使用することにより、紫外線硬化反応を迅速に制御して、基材に対する密着性を保持しつつ、得られる硬化膜において、表面硬度と柔軟性の良好なバランスが得られるためである。
但し、3~5官能ウレタン(メタ)アクリレートや、6官能を超えた多官能ウレタン(メタ)アクリレートであっても、6官能ウレタン(メタ)アクリレートの使用量を100重量%としたときに、20重量%以下であれば含むことができ、10重量%以下であればより好ましく、5重量%以下であれば、更に好ましいと言える。
6官能ウレタン(メタ)アクリレートの種類は、紫外線重合性の官能基数が6であれば特に制限されるものではないが、ポリカーボネート骨格を有することが好ましい。
この理由は、このようにポリカーボネート骨格を有することによって、基材に対する密着性や、硬化膜の表面硬度と柔軟性のバランスを保持しながらも耐擦傷性、及び耐薬品性等の機能性を付与することができるためである。
6官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量を500~10,000の範囲内とすることが好ましい。
この理由は、重量平均分子量が500未満の値になると、基材との密着不良を起こしやすくなるとともに硬化膜の表面硬度が低下するためである。
一方、重量平均分子量が10,000を超えると、硬化膜の表面強度が過度に硬くなり柔軟性が低下するためである。
したがって、6官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量を1,000~8,000の範囲内とすることよりが好ましく、2,000~6,000の範囲内とすることが更に好ましい。
なお、6官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量分子量である。
6官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量を、紫外線硬化性樹脂組成物の全体量(以下、単に、全体量と称する場合がある。)に対して、15~55重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有量が15重量%未満では基材との密着不良を起こしやすくなるとともに硬化膜の柔軟性が低下する場合があるためである。
一方、かかる含有量が55重量%を超えると、硬化膜の耐擦傷性が低下するとともに、さらさらとした乾いた肌触り感が得られなくなる場合があるためである。
したがって、6官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量を、全体量に対して、20~50重量%の範囲内の値とすることが好ましく、25~45重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
更に、6官能ウレタン(メタ)アクリレートは、塗布後、60℃環境下で溶剤揮発後させた場合に、皮膜表面がタックフリーとなることが好ましい。
この理由は、所定の6官能ウレタン(メタ)アクリレートを用いることによって、紫外線硬化性樹脂組成物に由来した硬化膜はもちろんのこと、硬化前の皮膜についても、タックフリー性を発揮しやすいためである。
したがって、ゴミや粉塵が付着しにくくなるとともに、硬化性に優れる皮膜が得られることで耐薬品性などの性能が向上しやすくなるためである。
又、このようなタックフリー性を有することによって、硬化前の皮膜をシート状物等に加工した際にも、ロール状に巻き取ったり、複数枚を重ねたりした場合に、シート状物同士が互いに付着することを容易に防止することができる。
なお、「タックフリー」とは、紫外線硬化性樹脂組成物を積層したのち、塗膜表面に指を軽く接触させた際に、べたつきが感じられず、指紋が視覚できない程度の表面粘着状態であることを意味する。
第1の実施形態の紫外線硬化性樹脂組成物は、(B)成分として微粒子を含有することを特徴とする。
この理由は、微粒子を含有することによって、硬化膜の表面に、図1(平面方向)や図2(立体斜め方向)に示すように、適当な凹凸を形成し、良好な触感(さらさらとした乾いた肌触り感)を与えることができるためである。
微粒子の種類は、樹脂粒子であり、(A)成分との均一混合性が優れていることから、架橋アクリル系微粒子である。
この理由は、(A)成分と混合した場合に、基材に対する密着性、及び硬化膜の耐擦傷性、及び耐薬品性を、それぞれ維持しやすくなるためである。
したがって、微粒子は、真球状微粒子であることが好ましいが、通常、その短径と長径の比が95%~99.9%の範囲内の値であることがより好ましく、その短径と長径の比が98%~99%の範囲内の値であることが更に好ましい。
又、微粒子の平均粒子径を2~15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、耐擦傷性、及び耐薬品性を維持しながらも、硬化膜にさらさらとした乾いた肌触り感を与えることができるためである。
したがって、微粒子の平均粒子径を4~13μmの範囲内とすることが好ましく、6~10μmの範囲内とすることが更に好ましい。
なお、微粒子の平均粒子径は、JIS Z 8827-1(2008)に準拠し、画像解析装置を用いて測定することができる。
又、微粒子の屈折率を1.39~1.59の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率を所定範囲内の値とすることにより、紫外線硬化性樹脂組成物を塗工した場合に、硬化膜による過度な光の反射を抑制することができ、更には、硬化膜に透過性を与えることができるためである。
したがって、微粒子の屈折率を1.44~1.54の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、微粒子の屈折率は、JIS K 7142(2008)に準拠して、測定することができる。
又、微粒子の含有量を、全体量に対して、15~55重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)微粒子の含有量を15~55重量%の範囲内とすることによって、硬化膜に適当な透過性を維持しながら、さらさらとした乾いた肌触り感といった好触感が得られやすくなるためである。
したがって、(B)微粒子の含有量を、全体量に対して20~50重量%の範囲内の値とすることが好ましく、25~45重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
すなわち、(A)成分である6官能ウレタン(メタ)アクリレートと、(B)成分である微粒子の配合比率(重量比)を70:30~30:70の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような配合比率で含有することによって、硬化膜の透過性と、さらさらとした乾いた肌触り感を両立させやすくできる場合があるためである。
したがって、(A)成分と、(B)成分との配合比率(重量比)を65:35~35:65の範囲内の値とすることがより好ましく、60:40~40:60の範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、紫外線硬化性樹脂組成物には、(C)成分として光重合開始剤を含有することが好ましい。
すなわち、かかる光重合開始剤の種類は、紫外線によりラジカルを発生し、そのラジカルが紫外線硬化性樹脂組成物を重合反応させるものであれば特に限定されるものではない。
光重合開始剤の含有量を0.1~5.0重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有量が少なすぎると、基材に対して良好な密着性を得ることが難しくなる場合があるためである。
一方、光重合開始剤の添加量が多すぎると、硬化速度が増大し、硬化膜が固くなりすぎ、成形加工した場合に硬化膜の割れを起こしやすくなる場合があるためである。
したがって、光重合開始剤の含有量を、全体量に対して、0.5~4.5重量%の範囲内の値とすることが好ましく、1.0~4.0重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
光重合開始剤の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル〕-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-4’-ヒドロキシエトキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}等のα-ヒドロキシケトン系光重合開始剤、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤等の1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
そして、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤の中でも、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び/又は2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、を用いることがより好適である。更に、紫外線硬化性樹脂組成物の取扱い性が向上し、得られる硬化膜の、基材との間の密着性や柔軟性を得ることができるためである。
なお、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの市販品としては、例えば、BASF社のIRGACURE184、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンの市販品としては、BASF社のDAROCUR1173が挙げられる。
紫外線硬化性樹脂組成物は、(D)成分として有機溶剤を含有することが好ましい。
この理由は、有機溶剤を含有することにより、紫外線硬化性樹脂組成物の粘度を塗工方法などに応じて適切に調整し、取扱い性を向上させるためである。
したがって、例えば、スクリーン印刷にて塗工した場合においては、紫外線硬化性樹脂組成物の粘度が適当範囲(例えば、2000~6000mPa・s(25℃測定))であれば、いわゆる版抜けを良好にするとともに、基材に対する密着性を付与することができる。
有機溶剤の含有量を、全体量に対して1~40重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有量が1重量%未満では紫外線硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、取扱い性が低下する場合があるためである。
一方、かかる含有量が40重量%を超えると、逆に、粘度が過度に低下して取扱い性が低下するとともに、硬化膜の密着性、耐擦傷性についても低下する場合があるためである。
したがって、有機溶剤の含有量を、全体量に対して3~30重量%の範囲内とすることが好ましく、6~20重量%の範囲内とすることが更に好ましい。
又、有機溶剤の種類としては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソホロン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、コールタールナフサ等の炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチセロアセ)、3-メトキシー3-メチルブチルアセテート(ソルフィットAC)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)等のエーテル系溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、上述した種類の有機溶剤の中でも、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、及びケトン系溶剤の中から選ばれる有機溶剤であれば、(A)成分等の良溶媒であって、常温常圧であっても飛散しやすいことから、より好ましいと言える。
又、有機溶剤の沸点(大気圧下)を150℃~220℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、所定沸点を有する有機溶剤を使用することによって、(A)6官能ウレタン(メタ)アクリレート、及び(B)微粒子を適当に混合させる効果があるとともに、印刷時には適当な乾燥条件、例えば、80℃、10~30分の範囲を採用できるためである。
したがって、有機溶剤の沸点を160℃~210℃の範囲内の値とすることがより好ましく、170℃~200℃の範囲内の値とすることが更に好ましい。
より具体的には、エステル系溶剤の沸点192℃のエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチセロアセ)、エーテル溶剤の沸点が171℃のエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(ブチルセロソルブ)を使用することが好適である。
又、紫外線硬化性樹脂組成物は、(E)成分として紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
この理由は、紫外線吸収剤を含有することにより、紫外線からの劣化を抑制して硬化膜の黄変を防ぐとともに、硬化膜を透過した紫外線による紫外線硬化樹脂成形品の劣化をも防ぐことができるためである。
紫外線吸収剤の含有量を、全体量に対して0.1~5.0重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有量が0.1重量%未満では硬化膜に対する紫外線からの劣化抑制効果が発揮されない場合があるためである。
一方、かかる含有量が5.0重量%を超えると、硬化膜の接着性や耐擦傷性が低下する場合があるためである。
したがって、紫外線吸収剤の含有量を、全体量に対して0.2~4.0重量%の範囲内とすることが好ましく、0.3~3.0重量%の範囲内とすることが更に好ましい。
紫外線吸収剤の種類としては特に制限されるものではないが、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチル酸誘導体系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の少なくとも一種を使用することができる。
又、これらの中でも良好な熱安定性を有することから、トリアジン系紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
このようなトリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等の1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
紫外線硬化性樹脂組成物は、(F)成分として、(A)成分である6官能ウレタン(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。
この理由は、所定の(メタ)アクリレートモノマーを含有することにより、紫外線硬化性樹脂組成物の取扱い性を保持するとともに、硬化膜とする場合の硬化性を更に良好にできる場合があるためである。
(F)成分としての(メタ)アクリレートモノマーの含有量を、全体量に対して、1~40重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有量が1重量%未満の値となると、硬化性が低下して基材との密着不良をおこしやすくなる場合があるためである。
一方、かかる含有量が40重量%を超えた値となると、密着不良をおこしやすくなるとともに耐擦傷性、耐薬品性が低下する場合があるためである。
したがって、(メタ)アクリレートモノマーの含有量を、全体量に対して3~30重量%の範囲内で含有することがより好ましく、6~20重量%の範囲内で含有することが更に好ましい。
又、(F)成分としての(メタ)アクリレートモノマーの種類としては、単官能、又は多官能の公知のものを使用することができる。
したがって、例えば、単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等、2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2′-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2′-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等、3官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート等、4官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等、5官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等、6官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1種単独、又は2種以上の組み合わせを用いることができる。
このような2官能(メタ)アクリレートモノマーの市販品としては、日立化成(株)製のFA-222A、FA-125M、FA-P240A、ダイセル・オルネクス社のHDDA、EBECRYL130、共栄社化学(株)製のライトアクリレート1.9ND-A、大阪有機化学工業(株)製のビスコート♯310HP等が挙げられる。
そして、特に、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートであるHDDA、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートであるEBECRYL130を使用することが好適である。
(1)他の微粒子
又、他の微粒子として(B)成分以外の微粒子として、有機微粒子、及び/又は無機微粒子を含有することも好ましい。
(B)成分以外の有機微粒子としては、例えば平均粒径1~15μmのポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ナイロン、アクリル、ポリスチレン、ポリエチレン及びポリプロピレン等を用いることができる。
又、無機微粒子としては、酸化ケイ素微粒子、酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子などの金属酸化物微粒子、ケイ酸アルミニウム微粒子、ケイ酸マグネシウム微粒子などのケイ酸化合物微粒子、炭酸カルシウム微粒子、炭酸バリウム微粒子などの炭酸金属塩微粒子、窒化チタン微粒子、窒化ケイ素微粒子などの窒化物微粒子、石膏微粒子、クレー微粒子、タルク微粒子、天然雲母微粒子の少なくとも一つが挙げられる。
そして、他の微粒子としての無機微粒子として、酸化ケイ素微粒子である含水のシリカ微粒子、又は無水のシリカ微粒子を、より好適に用いることができる。
又、(B)成分以外の有機微粒子や、無機微粒子を配合する場合、その配合量を、全体量に対して、0.1~5.0重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
又、本紫外線硬化性樹脂組成物には粘度、及び印刷適正を調整する目的に、その他成分として、着色剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、硬化促進剤、分散剤、光安定剤、流動調整剤、重合禁止剤、酸化重合防止剤等の少なくとも一種の添加剤を配合することもできる。
これら添加剤の配合量は、添加剤の種類等によって適宜調整されるが、例えば全体量に対して0.1~10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
紫外線硬化性樹脂組成物に由来した、硬化膜(厚さ15μm)の全光線透過率(Tt)が80%以上であるとともに、拡散透過率(Td)が70%以上の値であることが好ましい。
この理由は、かかる全光線透過率(Tt)及び拡散透過率(Td)の値を所定範囲内とすることにより、硬化膜において、適当な光透過性からなる美観(外観)が得られるやすいためである。
したがって、硬化膜(例えば、厚さ15μm)の全光線透過率(Tt)を82~99%の範囲内の値とすることがより好ましく、85~98%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
したがって、硬化膜(例えば、厚さ15μm)の拡散透過率(Td)を75~90%の範囲内の値とすることがより好ましく、78~88%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
その上、JIS-B0601-2001に準拠して、光学顕微鏡(画像処理装置付き)によって測定される硬化膜の表面粗さ(Ra)の値を0.1~3.0μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる表面粗さ(Ra)を所定範囲内の値とすることで、硬化膜に適当な透過性からなる美観と、良好な触感、すなわち、さらさらとした乾いた肌触り感が得られるやすいためである。
したがって、表面粗さ(Ra)の値を0.3~2.5μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1~1.5μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
第2の実施形態は、第1の実施形態の紫外線硬化性樹脂組成物に由来した硬化膜を、表面に備えてなる紫外線硬化樹脂成形品及びその製造方法である。
すなわち、図3に示すように、所定の紫外線硬化性樹脂組成物に由来した硬化膜を、表面に備えてなる紫外線硬化樹脂成形品及びその製造方法であって、下記工程(a)~(c)を含むことを特徴とする。
工程(a):基材上に、紫外線硬化性樹脂組成物を積層し、積層物とする工程
工程(b):積層物を成形加工する工程
工程(c):成形加工した積層物に対して、紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、紫外線硬化樹脂成形品とする工程
以下、本発明の第2の実施形態について、図3に適宜言及しつつ、具体的に述べる。
(1)紫外線硬化性樹脂組成物の準備工程
図3の記号S1で示される紫外線硬化性樹脂組成物の準備工程(製造方法)は、工程(a)の一部に含めることができ、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線硬化性樹脂組成物の成分を配合した後、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ディゾルバーなどの撹拌機を用いて、撹拌、混合することにより、製造することができる。
又、ビーズミル、3本ロールミルなどの分散機を用いて、更に均一に分散することによって、均一な特性を有する紫外線硬化性樹脂組成物を製造することができる。
次いで、図3の記号S2で示される紫外線硬化性樹脂組成物を基材上に積層する方法についても、工程(a)の一部に含めることができる。
より具体的には、公知な印刷方法、例えば、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法等を適用することが可能である。
特に、耐擦傷性、耐薬品性が良好であって、かつ、厚膜印刷が可能であることから、スクリーン印刷法を採用することが好ましい。
又、これら基材上に塗布した本発明の紫外線硬化性樹脂組成物に、必要に応じて加飾層、及びバインダー層を設けることができる。
かかる加飾層には、例えば十条ケミカル(株)製3200シリーズSIM、3700シリーズPIM、及びUIM6200シリーズ等のインキを好適に用いることができる。
又、バインダー層には、同社のJELCON IMBバインダー等を好適に用いることができる。
すなわち、乾燥時の加熱温度は、紫外線硬化樹脂成形品の耐熱性に応じて適宜設定されるが、例えば90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
また、乾燥時の加熱時間は、加熱温度等にもよるが、通常、1~60分の範囲であって、5~40分であることがより好ましく、10~30分であることが更に好ましい。
そして、かかる乾燥工程の後であって、かつ、硬化前の積層厚さを、通常、5~30μmの範囲内の値とすることが好ましい。
次いで、図3の記号S4で示される工程は、工程(b)に対応した工程である。
そして、かかる工程(b)の積層物を成形加工する工程としては、従来公知の各種方法が採用できる。
したがって、かかる成形加工の方法としては、例えば、得られた積層物、すなわち、硬化前の紫外線硬化性樹脂組成物が積層された状態の基材を金型内に配置しておき、射出成形にて樹脂を充填するフィルムインモールド成形、ラミネートインジェクションプレス成形や、フイルムを予備成形した後に金型内に配置し、射出成形にて樹脂を充填するフイルムインサート成形、真空圧空成形などで成形加工することが挙げられる。
又、熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、又2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、特に自動車の内装材、携帯電話、家電製品、OA機器などのプラスチック成形品に用いられることの多いポリプロピレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂には特に好適に使用することができる。
最後に、図3の記号S5で示される工程は、工程(c)に対応した紫外線の照射工程であって、紫外線照射(UV)による紫外線硬化性樹脂組成物の硬化工程である。
すなわち、かかる硬化工程においては、熱風乾燥炉、電気乾燥炉、IR乾燥炉(赤外線乾燥炉)等の加熱乾燥、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV-LED等の紫外線硬化装置が使用される。
ここで、硬化膜の形成においては、加熱乾燥と、紫外線硬化とを同時に行っても良く、又、それぞれの工程を別々に行う方法でもよいが、硬化膜の良好な硬化性と、皮膜外観を実現できることから、加熱乾燥を行った後に、紫外線を照射して硬化させることが好ましい。
又、これらの硬化工程は通常は空気中で行うが、必要に応じて窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気で実施することもできる。
この理由は、硬化膜の厚さが5μm未満になると、機械的強度が低下したり、成形加工を施し、深絞り形状に成形した場合に、塗膜が途切れることなく追従することが困難となる場合があるためである。
一方、硬化膜の厚さが30μmを超えると、光透過性が著しく低下したり、均一な厚さに紫外線硬化させることが困難となる場合があるためである。
したがって、紫外線硬化性樹脂組成物に由来した硬化膜の厚さを8~25μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10~23μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、硬化膜の厚さを、通常、10~20μmの範囲内の値にすると、さらさらとした乾いた肌触り感を得るうえで、より好ましいと言える。
上述した工程(a)~(c)の間、あるいは、工程(a)~(c)の前後において、各種検査工程や評価工程等の他の工程を適宜設けることが好ましい。
すなわち、紫外線硬化性樹脂組成物の粘度、色、濃度等を基材に積層前に測定したり、あるいは、積層後に、紫外線硬化性樹脂組成物の光吸収波長や厚さを測定したり、更には、硬化膜の状態で、実施例1と同様の全光線透過率(Tt)や拡散透過率(Td)、及び、表面粗さ(Ra)の測定を行って、所定範囲内の値に制御されていることを確認することが好ましい。
1.硬化膜の形成
下記(A)成分~(H)成分を含む配合組成(更に、表1参照)の紫外線硬化性樹脂組成物を、プロペラ攪拌装置を用いて20分間の混合撹拌を行い、更に3本ロールミルを用いて混錬を行って、実施例1の紫外線硬化性樹脂組成物とした。
(A)6官能ウレタン(メタ)アクリレート 34.7重量%
(B)微粒子 35.4重量%
(C)光重合開始剤 2.6重量%
(D)有機溶剤 12.2重量%
(E)紫外線吸収剤 0.9重量%
(F)(メタ)アクリレートモノマー 13.0重量%
(G)酸化ケイ素微粉末 0.8重量%
(H)シリコーン系消泡剤 0.4重量%
次いで、得られた塗布物に対して、紫外線照射装置を用いて、積算光量500mJ/cm2の紫外線を照射して、厚さ15μmの硬化膜を作成した。
(1)全光線透過率(Tt)、拡散透過率(Td)の測定
JIS K 7361-1(1997)に準拠し、ヘイズメーターを用いて、硬化膜の全光線透過率(Tt)及び拡散透過率(Td)を、測定した。
得られた硬化膜の表面粗さ(Ra)を、算術平均粗さ(Ra)として、JIS-B0601-2001に準拠して測定した。より具体的には、カラー3Dレーザー顕微鏡(レーザーテック(株)製)を用いて測定した。
JIS-K5600-5-6に準拠して、付着性クロスカット法に準じ、得られた硬化膜の密着性の評価を行った。
すなわち、得られた硬化膜に、1mm幅で10×10(合計100個)の碁盤目をカッターで形成した。
次いで、碁盤目部分にセロハンテープ(登録商標)を貼着し、更に引き剥がした後、碁盤目の剥離具合から、以下の基準で密着性を評価した。
◎:碁盤目の剥離が0/100個であった。
○:碁盤目の剥離が1~10/100個であった。
△:碁盤目の剥離が11~71/100個であった。
×:碁盤目の剥離が70/100以上であった。
得られた硬化膜に、日焼け止め剤、商品名:ウルトラシアーサンスクリーン SPF100(helioplex製)を2.0g/100cm2の割合で塗布し、電気乾燥炉に60℃の温度にて5時間放置した。その後、水洗して日焼け止め剤を除去し、目視で硬化膜表面を観察した後、JIS-K5600-5-6の付着性クロスカット法に準じ評価した。
◎:特に外観変化が観察されず、碁盤目の剥離も0/100個であった。
○:顕著な外観変化は観察されず、碁盤目の剥離も1~10/100個であった。
△:顕著な外観変化が観察されず、碁盤目の剥離が11~71/100個であった。
×:顕著な外観変化が観察され、碁盤目の剥離が70/100個以上であった。
得られた硬化膜に、日焼け止め剤(商品名:アネッサ パーフェクトUVスキンケアミルク SPF50/PA++++、資生堂製)を2.0g/100cm2の割合で塗布し、電気乾燥炉に60℃の温度にて5時間放置した。
次いで、水洗して日焼け止め剤を除去した後、目視で硬化膜表面を観察した。更に、JIS-K5600-5-6の付着性クロスカット法に準じ、密着性を評価した。
◎:特に外観変化が観察されず、碁盤目の剥離数が0/100個であった。
○:顕著な外観変化は観察されず、碁盤目の剥離が1~10/100個であった。
△:顕著な外観変化が観察されず、碁盤目の剥離が11~71/100個であった。
×:顕著な外観変化が観察され、碁盤目の剥離が70/100個以上であった。
得られた用硬化膜に対して、真鍮ブラシを用いて、500gの荷重を掛けて20往復擦った。その後、硬化膜表面を目視で評価した。
◎:0本/cmの傷の発生であった。
○:1~2本/cmの傷の発生であった。
△:3~20本/cmの傷が認められた。
×:21本/cm以上の傷が認められた。
得られた硬化膜につき、目隠しをした10人の被験者にて、さらさらとした乾いた肌触りが感じられるかを指触にて評価してもらった。
◎:得られた硬化膜につき、さらさらとした乾いた肌触りを感じた人が10人である。
○:得られた硬化膜につき、さらさらとした乾いた肌触りを感じた人が8~9人である。
△:得られた硬化膜につき、さらさらとした乾いた肌触りを感じた人が4~7人である。×:得られた硬化膜につき、さらさらとした乾いた肌触りを感じた人が3人以下である。
紫外線硬化前の塗布物を、幅15mm、長さ30mmの大きさにカッターナイフで切り出した。
次いで、JIS-K6251に準拠し、ダンベル状3号試験片を用いて、150℃でオートグラフによる引張試験を行ない、硬化膜の切断時の伸び(%)を測定し、以下の評価基準で評価した。
◎:切断時の伸びが300%以上である。
〇:切断時の伸びが200%以上である。
△:切断時の伸びが100%以上である。
×:切断時の伸びが100%未満である。
実施例2~10、比較例1~7において、表1~3に示すように、紫外線硬化性樹脂組成物を調整した後、実施例1と同様に硬化膜を形成し、評価した。
(A成分:6官能ウレタンアクリレート)
A-1:6官能ウレタンアクリレート 分子量4,200
A-2:6官能ウレタンアクリレート 分子量1,500
A-3:15官能ウレタンアクリレート 分子量5,500
A-4:2官能ポリエーテル骨格ウレタンアクリレート 分子量3,000
B-1:架橋ポリアクリル酸エステル 平均粒経8μm
B-2:架橋ポリアクリル酸エステル 平均粒経12μm
B-3:架橋ポリアクリル酸エステル 平均粒径20μm
B-4:架橋ポリウレタン 平均粒径6μm
C-1:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン
D-1:ブチセロアセ(エステル系溶剤、沸点191℃)
D-2:ブチルセロソルブ(エーテル系溶剤、沸点171℃)
E-1:トリアジン系紫外線吸収剤
F-1:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
F-2:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
G:酸化ケイ素微粉末(含水非晶質二酸化ケイ素微粉末、平均粒径3μm)
H:シリコーン系消泡剤
それに対して、表3に示すように、比較例1~7においては、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物の構成からはずれることから、各種評価において満足な結果が得られなかった。
より具体的には、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物によれば、UV-Aの防御指数につき、PA+++(スリープラス)はもちろんのこと、PA++++(フォープラス)の日焼け止めクリーム剤耐性等に優れている。一方、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物によれば、UV-Bに対する防御指数を示すSPAにつき、SPF30はもちろんのこと、SPF50あるいは、それ以上の日焼け止めクリーム剤耐性等に優れている。
又、所定の光透過性があると同時に、さらさらとした乾いた肌触り感といった良好な触感の硬化膜を得られるようになった。
更には、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を用いて成形加工した場合であっても、密着性が良好な紫外線硬化樹脂成形品の製造が可能になったことで、前述した機能性を保持したままでより人の目を引くようなデザインに対応できるとともに、美観に優れた製品の製造に寄与することが可能となった。
よって、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を用いて自動車内装部品等に適用した場合であって、運転手が接触等した場合に、日焼け止めクリーム剤等が付着しても、良好な耐性、触感、さらには、装飾性等を示すことが期待される。
Claims (5)
- 以下の(A)成分~(D)成分、(F)成分を、紫外線硬化性樹脂組成物の全体量に対して以下の配合量で含む紫外線硬化性樹脂組成物であって、
前記(A)成分と(B)成分の含有割合(重量比)を70:30~30:70の範囲内の値とし、
前記紫外線硬化性樹脂組成物に由来した、厚さ15μmの硬化膜の全光線透過率(Tt)を80%以上の値とするとともに、拡散透過率(Td)を70%以上の値とし、
かつ、表面粗さ(Ra)を0.1~3.0μmの範囲内の値とすることを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物。
(A)成分: 6官能ウレタン(メタ)アクリレート 15~55重量%
(B)成分: 平均粒径が2~15μmの範囲内の値である架橋アクリル系微粒子 15~55重量%
(C)成分: 光重合開始剤 0.1~5.0重量%
(D)成分: 有機溶剤 1~40重量%
(F)成分: (A)成分以外の(メタ)アクリレートモノマー 1~40重量% - 前記(A)6官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量を500~10,000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
- (E)成分として、紫外線吸収剤を含有するとともに、当該(E)成分の含有量を、全体量に対して、0.1~5.0重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載された紫外線硬化性樹脂組成物に由来した硬化膜を、表面に備えてなる紫外線硬化樹脂成形品。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載された紫外線硬化性樹脂組成物を用いてなる紫外線硬化樹脂成形品の製造方法であって、
下記工程(a)~(c)を含むことを特徴とする紫外線硬化樹脂成形品の製造方法。
工程(a):基材上に、前記紫外線硬化性樹脂組成物を積層し、積層物とする工程
工程(b):前記積層物を成形加工する工程
工程(c):成形加工した積層物に対して、紫外線を照射して、前記紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、紫外線硬化樹脂成形品とする工程
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