JP2011194756A - 加飾用ハードコートフィルム、加飾フィルムおよび加飾成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材フィルムの片面にハードコート層が積層されてなり、前記ハードコート層がウレタンアクリレートと(メタ)アクリレートと酸化物粒子とを含有し、前記ウレタンアクリレートの伸び率が20〜85%であり、前記酸化物粒子がケイ素酸化物粒子またはアルミ酸化物粒子であることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
インモールド成形等が使用される対象物としては、携帯電話の外装部品、自動車関係部品、医療用機械器具、エレクトロニクス製品、家電製品、建材、洗剤や化粧品などの容器、玩具などが挙げられる。
しかしながら、当該材料からなるハードコート層は耐摩耗性を有するものの、柔軟性が低い問題を有していた。インモールド成形等において、当該ハードコート層を具備してなる加飾フィルムを金型の間に挟みこみ所定の形状にする際に、当該ハードコート層に割れが生ずる問題を有していた。この割れの問題は、成形の絞りが深くなるほど生じやすいものであり、また、ハードコート層を硬くして耐摩耗性を向上させるほど生じやすくなるものであった。
加えて、上記の割れの問題は、インモールド成形等を行う射出成形のみならず、射出成形前の予備成形(例えば、圧空成形や真空成形時)においても成形の絞りが深くなるほど生じやすいものであった。
また、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等からなる基材フィルムは、成型加工時に熱収縮する性質があり成型加工前に印刷されたデザイン等が著しく変形するため、成型加工時の寸法安定性を良くする目的で、印刷工程前に予めハードコート層が形成された基材フィルムを温度が60〜100℃及び時間が30〜120分で加熱するアニール処理工程が行われていた。前記従来のハードコート層が形成された基材フィルムからなる加飾フィルムに対して上記アニール処理工程をおこなうと基材フィルムがカールまたは波を打ったりしやすいためにその後の工程である印刷加工時において良好な印刷ができにくいという問題を有していた。
また、前記ウレタンアクリレートの鉛筆硬度が3B以上であることが好ましい。
また、前記酸化物粒子がケイ素酸化物粒子またはアルミ酸化物粒子であり、前記酸化物粒子がアクリレート基を含む化合物で表面処理されていることが好ましい。
また、前記ハードコート層が光重合開始剤を含有してなることが好ましい。
また、本発明の加飾フィルムは加飾用ハードコートフィルムのハードコート層が積層されていない面に印刷層が積層されてなることを特徴とする。
また、本発明の加飾成形品は、前記加飾フィルムを用いて成形したことを特徴とする。
図1に示すように、本発明のハードコートフィルム1は、基材フィルム10上にハードコート層20が積層されてなる構成を有する。基材フィルム10とハードコート層20間に粘着層または接着層を設けることもできる。これによって、基材フィルム10とハードコート層20間の接着力を向上させることができる。
<ハードコート層>
本発明を構成するハードコート層は、ウレタンアクリレートと(メタ)アクリレートと酸化物粒子とを含有することが必要である。
本発明を構成するハードコート層において、ウレタンアクリレート量と(メタ)アクリレート量とを合計した量は、ハードコート層の全固形分中、40〜99.99質量%の範囲にあることが好ましく、50〜95質量%であることが好ましい。40質量%未満であると塗膜の柔軟性や耐摩耗性、耐擦傷性、光学特性等が低下する問題がある。99.99質量%超であると、光重合の開始が遅くなるため、生産上好ましくない。
本発明におけるウレタンアクリレートは、オリゴマー、プレポリマーのいずれであってもよく、特に制限されるものではない。
本発明を構成するウレタンアクリレートは、伸び率が20〜85%であることが必要である。ウレタンアクリレートの伸び率は25〜85%であることが好ましく、25〜80%であることがさらに好ましい。ウレタンアクリレートの範囲を当該範囲にすることによって、耐摩耗性と成形時における割れの発生が少ないハードコートフィルムを提供することができる。ウレタンアクリレートの伸び率が20%未満であると成形時に割れが発生する問題がある。ウレタンアクリレートの伸び率が85%超であるとハードコート層が軟らかくなり耐摩耗性が低下する問題がある。
ウレタンアクリレートは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書に使用される用語「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタアクリレートを意味する。本発明において、(メタ)アクリレートは、モノマー、オリゴマー、プレポリマーのいずれであってもよく、特に制限されるものではない。(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレートでも2官能以上の多官能(メタ)アクリレートでもよく、極性基を有する分子構造でもよいし低極性分子構造でもよい。本発明においては、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、ハードコート層の耐摩耗性を向上させることができる。
これらの(メタ)アクリレートは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における酸化物粒子としては、ケイ素酸化物、アルミ酸化物、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの酸化物粒子の中でも好ましいものは、ケイ素酸化物粒子及びアルミ酸化物粒子であり、これらを使用した塗膜は、塗膜成形後の透明性に優れ、可視光透過率、Tt及びHz等の光学特性が良好な塗膜が得られ、ディスプレイ及びその周辺部材に使用可能となり汎用性に優れる。
これらの酸化物粒子の一次粒子径は5〜100nmであることが好ましく、10〜40nmであることがさらに好ましい。一次粒子径が100nmより大きい場合はハードコート層が光を通しにくくなり透明性が低下する。一次粒子径が5nmより小さい場合では寸法安定性が低下し好ましくない。
前記酸化物粒子が、アクリレート基を含む化合物で表面処理されていることが好ましい。
本発明のハードコート層には光重合開始剤を含有させることができる。光重合開始剤を含有させることによって、光(紫外線)照射によるハードコート層の重合硬化反応を短時間に行うことができる。
また、光硬化性を向上させるために公知の各種染料や増感剤を添加することも可能である。さらにハードコート層を加熱により硬化させることの出来る熱重合開始剤を光重合開始剤と共に併用することも出来る。この場合、光硬化の後に加熱することによりハードコート層の重合硬化を更に促進することが期待できる。
また、熱重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、パーブチルD、パーブチルH、パーブチルP、パーメンタH(いずれも日本油脂社製)等が好適に用いられる。
これらの熱重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
ハードコート層には状況に応じてレベリング剤、消泡剤、防汚剤等の界面活性剤や、表面改質剤等の添加剤や、有機フィラー、無機フィラー等のフィラーを添加することができる。
基材フィルムとしては例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢ビフィルム、アイオノマー基材フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等ならびに、これらの架橋フィルム等が用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。さらに必要に応じ、上記フィルムを着色したフィルム、フッ素基材フィルム等を用いることができる。
本発明における耐熱性は、基材フィルムを150℃のオーブン内に5秒間投入した後、変形が全く認められないか、実質的に変形が認められないものであればよい。
保護フィルムは、ハードコート層上および基材フィルム上に設けることができる。保護フィルムは樹脂フィルム上に粘着層を設けたものが好ましく使用される。保護フィルムを構成する樹脂フィルムとしては、上記の基材フィルムと同一のものを使用することができる。
上記以外に自己粘着ポリエチレンフィルムも使用できる。
本発明においては、アクリル樹脂を主成分とする粘着層を使用することが透明性の点から好ましい。
印刷層は金属またはインクを使用することにより形成することができる。
金属を使用する場合、蒸着またはスパッタリングにより形成させ、パターニングプロセスなどの方法により所定のパターンを形成させることができる。インクを使用する場合、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷または昇華熱転写などの印刷法によって基材フィルム上に形成させることができる。
<加飾用ハードコートフィルムの製造方法>
本発明を構成するハードコート層を基材フィルム上に塗布する際には、溶剤を添加することができる。溶剤としては例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン等が挙げられる。希釈剤の配合量は適宜選定すればよい。
次いで、溶剤を蒸発させ放射線(紫外線、可視光線、赤外線または電子線)を照射することにより硬化されて、ハードコート層が形成される。これらの放射線は、偏光であっても、無偏光であってもよい。特に、設備コスト、安全性、ランニングコスト等の観点から紫外線が好適である。紫外線照射による硬化を行う場合は、光重合開始剤の添加が必要である。紫外線のエネルギー線源としては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素などが好ましい。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、100〜5,000mJ/cm2の範囲が好ましく、300〜3,000mJ/cm2照射量が、100mJ/cm2未満の場合は、硬化が不十分となるため、ハードコート層の硬度が低下する場合がある。また5,000mJ/cm2を超えると、ハードコート層が着色して透明性が低下する。
放射線照射時における酸素濃度は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下が特に好ましい。酸素不含又は低濃度雰囲気には、酸素以外に含まれる気体は不活性ガスが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等が挙げられる。また、紫外線は偏光であっても無偏光であってもよい。
紫外線照射等の放射線照射により形成させたハードコートフィルムの片面または両面には、保護フィルムを積層することができる。
ハードコートフィルムを構成する基材フィルム上には印刷層を設けることができる。なお、ハードコートフィルムの片面または両面に保護フィルムが積層されている場合、該保護フィルムを剥離して基材フィルムを露出させた後に、印刷層を形成すればよい。
図4を用いて、本発明の加飾成形品の製造方法を説明する。
図4(a)は成形前の断面図であって、第1の金型50と第2の金型60の間に、加飾フィルム3が配置されている。第2の金型60には加飾フィルム3に樹脂材料を被覆するための樹脂注入口61が形成されている。
図4(a)の段階において、加飾フィルム3を構成するハードコート層は紫外線照射により固められていることが好ましい。これによって、所定の形状を有する加飾成形品を得た後に紫外線照射処理を行う必要がなくなるため、作業性が向上する。
・ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製 製品名:UV−6640B) 40部
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 7.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 2.5部
・ケイ素酸化物粒子(日産化学社製 製品名:MEK−ST) 33.3部
・メチルエチルケトン 50部
上記のハードコート層形成用塗料を、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上に塗布した。次いで、100℃で1分間乾燥させてメチルエチルケトンを揮発させた。続いて、ハードコート層形成用塗料側から高圧水銀灯(120mW/cm2)で照射距離10cm、積算光量800mJ/cm2で紫外線照射することにより、本発明のハードコートフィルムを作製した。なお、紫外線照射後のハードコート層の厚さは4μmであった。
・ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製 製品名:UV−6640B) 10部
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 37.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 2.5部
・ケイ素酸化物粒子(日産化学社製 製品名:MEK−ST) 33.3部
・メチルエチルケトン 50部
・ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製 製品名:UV−7510B) 40部
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 7.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 2.5部
・ケイ素酸化物粒子(日産化学社製 製品名:MEK−ST) 33.3部
・メチルエチルケトン 50部
・ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製 製品名:UV−7510B) 10部
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 37.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 2.5部
・アルミナ酸化物粒子(日産化学社製 製品名:アルミナゾル−100) 33.3部
・イソプロピルアルコール 50部
・ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製 製品名:UV−6640B) 40部
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 7.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 2.5部
・アルミナ酸化物粒子(日産化学社製 製品名:アルミナゾル−100) 33.3部
・イソプロピルアルコール 50部
・ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製 製品名:UV−6640B) 10部
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 37.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 2.5部
・アルミナ酸化物粒子(日産化学社製 製品名:アルミナゾル−100) 33.3部
・イソプロピルアルコール 50部
ウレタンアクリレートを用いない下記組成からなるハードコート層形成用材料以外は実施例1と同様にして、比較用のハードコートフィルムを作製した。
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 48.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 1.5部
・ケイ素酸化物粒子(日産化学社製 製品名:MEK−ST) 33.3部
・メチルエチルケトン 50部
[比較例2]
ケイ素酸化物粒子を除いた以外は実施例1と同様にして比較用のハードコートフィルムを作製した。
[比較例3]
アルミナ酸化物粒子を除いた以外は実施例7と同様にして比較用のハードコートフィルムを作製した。
ウレタンアクリレートの伸び率が本発明における範囲からはずれるウレタンアクリレートを用いた下記組成からなるハードコート層形成用材料以外は実施例1と同様にして、比較用のハードコートフィルムを作製した。
・ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:EBECRYL8807) 40部
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 7.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 2.5部
・ケイ素酸化物粒子(日産化学社製 製品名:MEK−ST) 33.3部
・メチルエチルケトン 50部
ウレタンアクリレートの伸び率が本発明における範囲からはずれるウレタンアクリレートを用いた下記組成からなるハードコート層形成用材料以外は実施例1と同様にして、比較用のハードコートフィルムを作製した。
・ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製 製品名:UV−3520TL) 40部
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 7.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 2.5部
・ケイ素酸化物粒子(日産化学社製 製品名:MEK−ST) 33.3部
・メチルエチルケトン 50部
ウレタンアクリレートの伸び率が本発明における範囲からはずれるウレタンアクリレートを用いた下記組成からなるハードコート層形成用材料以外は実施例1と同様にして、比較用のハードコートフィルムを作製した。
・ウレタンアクリレート(Miwon社製 製品名:Miramer PU340 ) 40部
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 7.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 2.5部
・ケイ素酸化物粒子(日産化学社製 製品名:MEK−ST) 33.3部
・メチルエチルケトン 50部
ウレタンアクリレートの伸び率が本発明における範囲からはずれるウレタンアクリレートを用いた下記組成からなるハードコート層形成用材料以外は実施例1と同様にして、比較用のハードコートフィルムを作製した。
・ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:EBECRYL8402) 40部
・アクリレート(ダイセル・サイテック社製 製品名:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)) 7.5部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン) 2.5部
・ケイ素酸化物粒子(日産化学社製 製品名:MEK−ST) 33.3部
・メチルエチルケトン 50部
上記のようにして得られた実施例および比較例のハードコートフィルムにおいて、下記の特性を評価した。得られた結果を表2に示した。
ハードコート層の鉛筆硬度をJISK5600−5−4:1999に準拠して測定した。
耐摩耗性を耐スチールウール試験により評価した。ハードコート層上に、#0000のスチールウールを載せ、加重250gをかけた状態で10往復させ、ハードコート層の状態を観察した。キズが全くないものを○、キズが若干あるものを△、キズが中程度あるものを×、キズが多数あるものを××とした。
ハードコートフィルムの全光線透過率をJISK7361−1:1997に準拠して測定した。
実施例および比較例のハードコートフィルムを30mm×270mmにカットし、ハードコート層が外側になるように各ハードコートフィルムを約90度折り曲げ、折り曲げた部位の基材フィルム側に1kgの重しを載せた。なお、90度折り曲げる部位は、ハードコートフィルムの端から50mmのところで行った。続いて、折り曲げたハードコートフィルムを180度2分間オーブンの中に放置した。加熱終了後に室温になるまで各ハードコートフィルムを放冷した後、ハードコート層の割れをルーペにて観察した。評価基準は、全く割れが認められなかったものを○、割れが若干あるものを△、割れが中程度あるものを×、割れが多数あるものを××とした。
実施例および比較例のハードコートフィルムをA4サイズにカットし、ハードコートフィルムの裏面にインクジェットプリンターにて絵柄を印刷した後、ハードコートフィルムを100℃30分間オーブンの中に放置しアニール処理を行った。加熱終了後に室温になるまでハードコートフィルムを放冷後、ハードコートフィルム裏面の絵柄の変形を目視にて観察した。評価基準は、絵柄の変形が認められなかったものを○、絵柄の変形が若干あるものを△、絵柄の変形が中程度あるものを×、絵柄の変形が著しいものを××とした。
実施例および比較例のハードコートフィルムをA4サイズにカットし縦20mm×横30mm×高さ5mm、曲面部R5の金型を使用し圧空成型機にてフィルム加熱温度180℃にて成型加工した。成型加工品のハードコート層の割れをルーペにて観察した。評価基準は、全く割れが認められなかったものを○、割れが若干あるものを△、割れが中程度あるものを×、割れが多数あるものを××とした。
一方、ウレタンアクリレートを含有せずアクリレートからなる比較例1のハードコートフィルムは、耐スチールウール性に優れているものの90度折り曲げ試験及び成型加工性試験において割れが多数生じていたことから、インモールド成形の用途には使用しにくいものであった。また、酸化微粒子を含有していない比較例2および3については、寸法安定性試験においてアニール処理後の寸法安定性が著しく悪かった。また、ウレタンアクリレートの伸び率が本発明の範囲よりも高いウレタンアクリレートを使用した比較例4および5、鉛筆硬度が低いウレタンアクリレートを使用した比較例7は、90度折り曲げ試験及び成型加工性試験において割れが認められなかったものの、耐スチールウール性試験においてキズが多数認められた。伸び率が低いウレタンアクリレートを使用した比較例6は、90度折り曲げ試験及び成型加工性試験において割れが発生した。すなわち、比較例1から7は、耐摩耗性と成形加工性を両立していないため、加飾用のハードコートフィルム(例えば、携帯電話の外装部品等)には使用しにくいものであった。
3 加飾フィルム
3’ 成形された加飾フィルム
10 基材フィルム
20 ハードコート層
30 保護フィルム
40 印刷層
50 第1の金型
60 第2の金型
61 樹脂注入口
62 成形用樹脂
70 加飾成形品
Claims (7)
- 基材フィルムの片面にハードコート層が積層されてなり、前記ハードコート層がウレタンアクリレートと(メタ)アクリレートと酸化物粒子とを含有し、前記ウレタンアクリレートの伸び率が20〜85%であることを特徴とする加飾用ハードコートフィルム。
- 前記ウレタンアクリレートの鉛筆硬度が、3B以上であることを特徴とする請求項1に記載の加飾用ハードコートフィルム。
- 前記酸化物粒子が、ケイ素酸化物粒子またはアルミ酸化物粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加飾用ハードコートフィルム。
- 前記酸化物粒子が、アクリレート基を含む化合物で表面処理されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の加飾用ハードコートフィルム。
- 前記ハードコート層が、光重合開始剤を含有してなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の加飾用ハードコートフィルム。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の加飾用ハードコートフィルムのハードコート層が積層されていない面に印刷層が積層されてなることを特徴とする加飾フィルム。
- 請求項6に記載の加飾フィルムを用いて成形したことを特徴とする加飾成形品。
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