JP7081863B1 - 間仕切り壁構成体及び間仕切り壁の設置工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリート床面に耐衝撃性及び耐久性に優れて衛生的な居室空間を形成可能であり、施工が簡易で、既設の構成部材を再利用して居室空間の移設が可能な間仕切り壁を構成する。【解決手段】コンクリート床面CFにFRP製の間仕切り基礎材2を固定し、この間仕切り基礎材2の上面に間仕切り材3を取り付ける。間仕切り基礎材2の下縁部とコンクリート床面CFの取り合い部分には微弾性・可撓性を備えた合成樹脂製のパテ材料によりR面材部4を形成する。間仕切り基礎材2は台車の周辺部の高さよりも若干高い大きさに設け、台車が衝突したときの衝撃を間仕切り基礎材2で緩衝して間仕切り材3の破損を防ぐ。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用 株式会社エービーシー商会が、2021年6月1日から4日に、愛知スカイエキスポ(愛知県国際展示場)(愛知県常滑市セントレア5丁目10番1号)で開催された、「FOOMA JAPAN 2021」(国際食品工業展)において公開。
本発明は、コンクリート床面に間仕切り壁を設置する構造に関する。
倉庫や工場などでは、間仕切りパネルなどのパーティションを構成する適宜な部材、軽量鉄骨下地とボードで構成される造作壁、その他化粧ボードなどの適宜な壁材(以下、これらを総称して「間仕切り材」ともいう。)から構成される間仕切り壁をコンクリート床面に設置して、その内部空間を仕切ることが行われている。
この場合、図7に示されるように、コンクリート床面CF上を走行する荷物運搬用の手押し台車Gが間仕切り壁PWに衝突することが頻繁に起こること、さらには実験室やクリーンルームなどの衛生的な居室環境が求められる空間を間仕切り壁で仕切るときには、塵埃を発生しにくくするなどの衛生的な状態が維持されるようにすることを考慮する必要があるが、従来の間仕切り壁の設置工法にあっては以下のような問題があった。
先ず、コンクリート床面に、最低100mm以上の幅でRC基礎を作製しその上に間仕切り材を取り付けて間仕切り壁を設置する場合、RC基礎の施工が高難度であり、また、間仕切り壁のレイアウトの変更が容易にできないという問題がある。また、コンクリートの収縮クラックが発生しやすく、台車がぶつかったときの衝撃でもRC基礎表面が欠損して粉塵が生じてしまう。セメント系のため耐酸性に劣るという問題もある。
コンクリート床面にRC基礎を作製することに代えて、コンクリート製の幅木用部材を工場で作製し、これをコンクリート床面に固定し、その上に間仕切り材として間仕切りパネルを設置する工法が知られている(例えば特許文献1参照)。
この工法では、幅木用部材が間仕切りパネル(汎用品は幅42mm)と同等の厚さであると耐衝撃性に劣り、台車の衝突で幅木用部材の表面が欠損して粉塵が生じやすく、また、乾燥収縮によるクラックの発生やセメント系のため耐酸性に劣るという前記と同様の問題がある。幅木用部材の欠損部が粉塵や害虫の発生源となりやすいという衛生上の問題もある。また、コンクリート製の幅木用部材は重く、施工場所への運搬や床面への取り付けに人手を要し、破損した場合は間仕切りのレイアウト変更の際に再利用ができない。
軽量鉄骨下地とボード、或いは化粧ボードなどからなる間仕切り壁をコンクリート床面に直に設置する場合は、中空な壁内部構造となるため剛性が低く、台車がぶつかったときの衝撃で前記ボードや化粧ボードが変形したり破損したりしやすいという問題がある。
コンクリート床面に直に設置した間仕切り壁の根元部分に、補強のためのコンクリート根巻を設置する工法も知られているが、前記と同様に、コンクリート根巻が乾燥収縮することによるクラックの発生や耐酸性に劣るという問題がある。間仕切り壁のレイアウト変更の際に再利用はできず、コンクリート根巻とともに間仕切り壁まで破壊し、廃棄処理する必要がある。
また、コンクリート床面と間仕切り壁の取り合い部分にゴミが挟まったり溜まったりすることを防ぐため、間仕切り壁の下部にR曲面部を有する幅木を取り付けたり、取り合い部分をシーリング材料でR曲面形状に埋めたりすることが行われている。
間仕切り壁に取り付けられる幅木のうち、金属製や樹脂製の中空幅木や中空部にフォーム材を充填してなる幅木は、台車がぶつかったときの衝撃を受けて変形しやすく、間仕切り壁にも破損が及んでパネルやボードの再利用ができなくなることが多く、また、幅木が中空のため、変形した場合にそこに残渣がたまって害虫の発生源となりやすいという問題がある(例えば特許文献2参照)。
また、合成樹脂やセラミック、人工大理石などの硬い材料からなる幅木も耐衝撃性に劣り、施工の際に幅木の端部同士を接続する処理を要するとともに、加工性が悪く、幅木と床の不陸隙間処理が必要となって施工が煩雑であるという問題がある(例えば特許文献3参照)。
前記取り合い部分をR曲面形状に加工する場合に、セメント系モルタルやエマルション系レジンモルタルを用いたときは、セメント系特有の乾燥収縮によるクラックや浮き、及び衝撃による破損が発生しやすく、クラック発生により粉塵や残渣だまり、害虫の発生源となりやすいという問題がある。弾性コーキング材を用いたときは、防水性には優れるが、塗料を塗布すると、塗料が薄いため塗膜にひび割れが発生して汚れが付着しやすく、長期的な耐久性がないといった問題がある(例えば特許文献4参照)。
特開2012-36599号公報 特開2002-147009号公報 特開2000-320125号公報 特開2006-132177号公報
前記のとおり、コンクリート床面にRC基礎やコンクリート製の幅木用部材を設置し、その上に間仕切り壁を設置して台車の衝突による間仕切り壁の変形や破損を防いだとしても、衝突の衝撃でRC基礎や幅木用部材自体が破損しやすく、その際に粉塵を発生させ、また、施工に手間を要し、レイアウトの変更も容易ではないなどの問題がある。間仕切り壁の基礎部分を衝撃による損傷から保護するための従来の技術は、耐衝撃性及び耐久性に欠け、衛生的な状態を維持することが困難である。
コンクリート床面に設置した間仕切り壁に幅木を取り付けただけでは台車が衝突したときの衝撃を吸収できず、間仕切り壁の変形や破損を防ぐことができない。また、幅木が変形し破損した場合や、前記取り合い部分のR曲面形状に加工された部分に浮きやクラックが発生したり破損したりした場合、粉塵や残渣だまり、害虫の発生源となりやすく、衛生的な居室環境を維持できないという問題がある。
工場では製造ラインのレイアウトの変更に伴って、間仕切り壁で仕切った部屋を移動したり拡張したりすることが、しばしば行われる。この際、台車が衝突した衝撃で変形し破損した間仕切り壁や幅木、コンクリート製の幅木部材は再利用することができず、新たに部材を発注する必要がある。RC基礎で間仕切り壁を支持したいたときには、RC基礎の解体工事と新設工事が必要となる。
本発明は従来の技術が有するこのような問題点に鑑み、コンクリート床面に間仕切り壁を設置するにあたり、耐衝撃性及び耐久性に優れて衛生的な居室空間を形成することができ、施工が簡易で、既設の構成部材を再利用して居室空間の移設ができるようにすることを課題とする。
前記課題を解決するため本発明は、従来の施工方法で用いられていたコンクリート製の幅木用部材に代えて、これよりも耐衝撃性及び耐久性が良好で、且つ軽量に構成された間仕切り基礎材をコンクリート床面に設置し、この間仕切り基礎材の上面で間仕切り壁を構成する間仕切り材を支持させることで、台車の衝突による変形や破損、粉塵の発生が起きないようにした。
すなわち、本発明の間仕切り壁構成体は、少なくとも、間仕切り材と、コンクリート床面に固定されて前記間仕切り材を上面で支持するFRP製の間仕切り基礎材と、この間仕切り基礎材の下縁部と前記コンクリート床面の取り合い部分に形成されるR面材部とを備えることを特徴とする。
また、本発明の間仕切り壁の設置工法は、少なくとも、コンクリート床面にFRP製の間仕切り基礎材を固定する工程と、この間仕切り基礎材の上面に間仕切り材を取り付けて支持させる工程と、前記間仕切り基礎材の下縁部と前記コンクリート床面の取り合い部分に沿ってR曲面形に湾曲したR面材部を形成する工程と、前記間仕切り基礎材とR面材部の表面を塗装する工程と、を有することを特徴とする。
前述のとおり、前記「間仕切り材」には、間仕切りパネルなどのパーティションを構成する適宜な部材、軽量鉄骨下地とボードで構成される造作壁、その他化粧ボードなどの壁材を構成する適宜な部材が含まれる。
間仕切り材を支持するFRP製の間仕切り基礎材は、ガラス繊維を含有するため適度な弾性を有するとともに軽量で高い強度を備え、耐薬品性が良好で腐食しにくく高い耐久性を備える。
この間仕切り基礎材をコンクリート床面に固定し、その上に間仕切り材を取り付けて支持させて間仕切り壁を構成することで、台車が衝突したときの衝撃を間仕切り基礎材で緩衝或いは吸収して間仕切り壁を保護し、間仕切り壁及び間仕切り基礎材自体の変形や破損を効果的に防ぐことができる。間仕切り基礎材は、コンクリート床面上を走行する台車の周辺部が当接する高さ、具体的には150mm程度以上の高さ寸法に形成されてコンクリート床面に固定される。台車が間仕切り基礎材に衝突したときに粉塵が発生することはなく、間仕切り基礎材に収縮によるクラックが生じることもない。
また、コンクリート床面と間仕切り基礎材の取り合い部分に、微弾性・可撓性を有する素材を用いてR曲面形に湾曲したR面材部を形成することにより、取り合い部分に塵埃が溜まることを防ぐとともに付着した塵埃を取り除く清掃性を向上させ、取り合い部への浸水を防いで耐水性確保する。また、R面材部に亀裂が発生することを抑止し、間仕切り壁で仕切った空間を衛生的な居室環境に長期に亘って維持することが可能である。R面材部は、0~50R以下の湾曲面形状に形成することができる。
前記台車の衝突による間仕切り壁及び間仕切り基礎材の変形や破損を防止可能なので、間仕切り壁で仕切った居室空間の移設の際に、既設の間仕切り壁及び間仕切り基礎材をコンクリート床面から取り外し、そのまま移設先に設置して再利用することが可能である。
前記構成の間仕切り壁構成体において、間仕切り基礎材は、ガラス長繊維束に熱硬化性樹脂を含浸させた成形材料を用いて適宜な方法により成形することができ、前記成形材料を引抜装置により引き抜いて、略角材形に成形することが好ましい。
このように形成された間仕切り基礎材は、間仕切り基礎材の長手方向に沿ってガラス長繊維束が配列されているので、間仕切り基礎材の長手方向と交差する方向からの外力に対して弓形に撓んで衝撃を緩衝するように機能し、応力の発生が抑制されるため、台車がぶつかることによる変形や破損の発生を有効に防止することが可能である。前記熱硬化性樹脂としてポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを用いることで、間仕切り基礎材の耐衝撃性、耐薬品特性を良好にすることができる。
前記間仕切り基礎材は、その比重が0.3~2.0、曲げ強度が100~200MPa、圧縮強度が25~60MPaであることが好ましい。
間仕切り基礎材の比重が2.0以下であれば、これよりも大きな比重のコンクリート製のものよりも軽量に形成することができ、運搬や施工に人手を要さず簡便に扱うことができる。また、比重が0.3以上であれば、その曲げ強度を100~200MPa、圧縮強度を25~60MPaに成形可能であり、曲げ強度と圧縮強度が前記範囲内であれば、台車の衝突による衝撃を受けても変形したり破損したりすることはない。また、上記に加え、衝撃強さが25~45MPaに成形されていることが好ましい。衝撃強さが上記範囲内であれば、間仕切り基礎材に台車がぶつかることによる衝撃的な荷重が加わったとしても破壊する虞はない。
また、前記間仕切り基礎材は、その線膨張係数が1×10―5~5.0×10―51/℃、熱伝導率が0.077~0.3W/mKであることが好ましく、かかる成形条件により温度による収縮変形を極力抑えることができる。
この場合、間仕切り基礎材の熱伝導率は0.3W/mK以下であることがより好ましく、0.1W/mK以下であることがさらに好ましい。
間仕切り基礎材の線膨張係数或いは熱伝導率が前記範囲内であれば、熱による変形が生じにくく、コンクリート床面上の当初の取り付け位置に固定することができる。熱による変形が生じないので、間仕切り基礎材同士をそれぞれの端部を隙間なく接合してシームレスに継ぎ合わせて固定することができ、クラックが生じる虞もない。間仕切り基礎材のジョイント部の防水性を高める場合は、間仕切り基礎材が接する断面に防水性のシーリング材を施工し、硬化前に端部同士を合わせることが可能である。
前記のとおり、間仕切り基礎材は、コンクリート床面上を走行する台車の周辺部が当接する、150mm程度の高さ寸法で長尺な略角材形に形成される。間仕切り基礎材の幅(厚さ)は、広く利用されている間仕切り材がその厚みが42mm程度であり、これを上面で安定的に支持することができるように40mmから45mm程度の幅に形成される。間仕切り基礎材は、その断面が縦長矩形状に形成されていても、間仕切り材が載る上面の幅がコンクリート床面に接合する下面の幅よりも狭くなる形状に形成されていてもよい。
前記構成の間仕切り壁構成体において、間仕切り基礎材の下縁部とコンクリート床面の取り合い部分に形成されるR面材部は、ショア硬度30~80Dの合成樹脂製のパテ材料からなることが好ましい。
R面材部が硬いと、前記間仕切り基礎材に台車がぶつかったときに伝わる衝撃によって割れたり剥がれたりすることがあるが、ショア硬度が30~80Dであれば、その弾性によって衝撃を吸収することが可能であり、割れなどが生じることはない。
詳しくは、前記R面材部は、ポリオールを主原料とした基剤とヘキサメチレンジイソシアネートである硬化剤からなる硬質ウレタン樹脂製のパテ材料を用いて形成されていることが好ましい。
前記取り合い部分に設けるR面材部をセメント系モルタルで形成すると乾燥により割れが生じ、弾性コーキング剤で形成すると洗浄したときに表面が剥がれて劣化し、塗料を塗るとひび割れができやすい。また、可撓性エポキシ樹脂で形成すると破損は少ないが経時変化により脆化しやすく、金属製のものでは中空なため変形したときに内部が粉塵や残渣だまりとなり、害虫の発生原因となりやすい。
前記パテ材料を用いてR面材部を形成すれば、前記衝撃を吸収し得る弾性を保持しつつ、割れや劣化が発生しにくく、また、施工後、寸法が収縮することが殆どなく、熱成形で成形した如きR曲面形状を長期に亘って維持することが可能である。また、速硬化性、低臭性、耐薬品性及び防水性に優れ、床仕上げ材である塗装材料の接着も良好である。
また、R面材部の物性は、前記のとおりショア硬度30~80Dであることに加え、引裂き強度が15~30N/mm、破断時の伸びが40~80%、経時収縮が0~1.5%であることが好ましい。上記の範囲内であれば、間仕切り基礎材から伝わる衝撃によりR面材部が破損したり剥がれたりすることを防ぐことができる。
R面材部は、前記ウレタン樹脂製のパテ材料に代えて、高強度と微弾性(可撓性)を有する他の合成樹脂材料、例えばエポキシ樹脂やポリエステル樹脂、MMA樹脂などからなり、好ましくはショア硬度が30~80Dのパテ材料で、R曲面の成形性に適したチクソ性、速硬化性、低臭気性、収縮安定性、耐水性、耐薬品性、密着性、塗料付着性などに優れた現場施工型の材料を用いることができる。
前述のとおり、本発明の間仕切り壁の設置工法は、コンクリート床面に間仕切り基礎材を固定する工程と、この間仕切り基礎材の上面に間仕切り材を取り付けて支持させる工程と、間仕切り基礎材の下縁部と前記コンクリート床面の取り合い部分に沿ってR面材部を形成する工程と、間仕切り基礎材とR面材部の表面を塗装する工程とを含む。
コンクリート床面に間仕切り基礎材を固定するには、例えばコンクリート床面にアンカーが挿入し得る大きさの孔を削孔し、この孔にウエッジアンカーを打ち込む。そして、コンクリート床面上に突出した前記ウエッジアンカーを間仕切り基礎材に形成された座グリに挿入し、ウエッジアンカーの軸部を座グリ内でナット締めして間仕切り基礎材に連結することで、コンクリート床面上に間仕切り基礎材が一体に固定されるようにすることができる。
また、間仕切り基礎材とコンクリート床面の取り合い部分にR面材部を形成した後、間仕切り基礎材とR面材部の表面に施工する表面仕上げ処理として、前記表面を塗装する床仕上げ材としては、一般的なコンクリート床面の仕上げに用いられている合成樹脂塗床材や無機系床仕上げ材を用いることができ、また、塗装に代えて塩ビ系シート材その他のシート材を貼るなど、多岐にわたる表面仕上げ処理のための部材を用いることが可能である。
本発明によれば、コンクリート床面に間仕切り壁を設置するにあたり、耐衝撃性及び耐久性に優れて衛生的な居室空間を形成することが可能である。間仕切り壁構成体は施工が簡易であり、既設の構成部材を再利用して居室空間の移設が可能である。
コンクリート床面に設置した本発明の一実施形態の間仕切り壁構成体の要部外観図である。同図中、表面仕上げ処理部は一部を断面で表してある。 図1の間仕切り壁構体の間仕切り基礎材の要部外観図(A)と部分横断面図(B)である。 図1の間仕切り壁構成体の部分横断面図である。 他の間仕切り基礎材の要部外観図である。 図4の間仕切り基礎材を用いて構成された間仕切り壁構成体の部分横断面図である。 間仕切り壁構成体の他の実施形態の部分横断面図である。 間仕切り壁に荷物運搬用の台車が衝突する態様を示した図である。
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の技術的思想は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1はコンクリート床面に設置された本発明の一実施形態の間仕切り壁構成体を示している。
同図の間仕切り壁構成体1は、コンクリート床面CF上にFRP製の間仕切り基礎材2を固定し、この間仕切り基礎材2の上面に間仕切りパネルからなる間仕切り材3を載せて一体に取り付け、間仕切り基礎材2の下縁部とコンクリート床面CFとの取り合い部分に合成樹脂製のパテ材料を肉盛り塗布してR曲面形に湾曲したR面材部4を形成し、さらに間仕切り基礎材2とR面材部4の表面に、コンクリート床面CFに施工した表面仕上げ処理部7である塗装を施して形成してある。
間仕切り基礎材2は、図2に示されるように、ガラス長繊維束に熱硬化性樹脂を含浸させた成形材料を引抜装置で引き抜いて断面縦長矩形状の角材形に形成してある。
詳しくは、間仕切り基礎材2は、その下面2bから上面2aまでの高さを150mm程度、両側面2c,2c間の幅を40mm程度、両端部間の長さを1800mmに設定して形成されており、その上面2aには当該上面2aから下面2bに通ずる座グリ21を適宜な間隔を開けて複数穿孔してある。
図3に示されるように、間仕切り基礎材2は、コンクリート床面CFに打ち込まれたウエッジアンカー6の軸部を座グリ21に通してコンクリート床面CF上に立てた状態で、ウエッジアンカー6の軸部を座グリ21内でナット締めして間仕切り基礎材2に連結することで、コンクリート床面CFに一体に固定してある。
間仕切り材3は、芯材に面材を貼り付けるなどして前記間仕切り基礎材2の幅と同幅に形成された方形のパネルであり、その下端部をコンクリート床面CF上に固定された間仕切り基礎材2の上面2aに沿って載せ、且つ留めネジなどの適宜な連結接続により当該上面2aに接続して、間仕切り基礎材2上に一体に取り付けてある。
R面材部4は、図3に示されるように、間仕切り基礎材2の下縁部とコンクリート床面CFの取り合い部分に沿って形成されており、ショア硬度30~80Dの微弾性・可撓性を有した合成樹脂製のパテ材料を前記取り合い部分に肉盛り塗布し、且つ最大50Rの大きさで湾曲した断面形状のR曲面形に成形してある。
これらの部材により構成される間仕切り壁構成体1は、以下の作業手順でコンクリート床面CFに設置される。
間仕切り壁構成体1を設置する施工場所に、工場で製作された必要数の間仕切り基礎材2と間仕切り材3を搬入する。
先ず、間仕切り基礎材2の取り付け位置に沿って、コンクリート床面CFにウエッジアンカー6が挿入し得る大きさの孔を削孔する。削孔した孔には、ウエッジアンカー6を打ち込んで当該床面CFに固定する。
次いで、コンクリート床面CF上に突出したウエッジアンカー6の軸部を、座グリ21に通しつつ間仕切り基礎材2の下面2bをコンクリート床面CF上に重ねて置く。
この状態で、間仕切り基礎材2の天端でレベルを合わせ、コンクリート床面CFと間仕切り基礎材2の下面2bの間に隙間があるときは、図3に示されるように、ポリプロピレンやナイロン、金属などからなるスペーサ5を隙間に挿入してレベルを調整する。
レベルを調整したならば、間仕切り基礎材2の上方から座グリ21内のウエッジアンカー6の軸部にナットを螺合し、これを座グリ21内でナット締めして間仕切り基礎材2に連結する。前記ウエッジアンカー6の軸部に座グリ21内でナット締めすることで、間仕切り基礎材2がコンクリート床面CF上に固定される。
次いで、コンクリート床面CFに固定された間仕切り基礎材2の上面2aに間仕切り材3を取り付けて支持させ、さらに間仕切り基礎材2の下縁部とコンクリート床面CFの取り合い部分に沿ってR面材部4を形成する。
その後、間仕切り基礎材2とR面材部4の表面に塗装などの表面処理を施してなる表面仕上げ処理部7を設けて施工が完了する。
図4と図5は本発明の他の実施形態の間仕切り壁構成体1を示しており、これは、FRP製の間仕切り基礎材2として、その上面2aと両側面2c,2cの角部を切り欠いた、断面五角形を呈する略角材に形成されたものを用い、これを前記と同様の手順でコンクリート床面CFに固定し、上面2aに間仕切り材3を取り付けて支持させるとともに、間仕切り基礎材2の下縁部とコンクリート床面CFの取り合い部分に沿ってR面材部4を形成し、その後、間仕切り基礎材2とR面材部4の表面に表面仕上げ処理部7を設けて施工したものである。
また、図6は本発明のさらに他の実施形態の間仕切り壁構成体1を示しており、これは、間仕切り材3として軽量鉄骨下地とボードで構成される造作壁を用い、これを間仕切り基礎材2の上面に載せて一体に取り付けて構成したものである。
本発明の間仕切り壁構成体1によれば、FRP製の間仕切り基礎材2をコンクリート床面CFに固定し、その上に間仕切り材3を取り付けて支持させることで、台車が衝突したときの衝撃を間仕切り基礎材2で緩衝或いは吸収して間仕切り材3を保護し、間仕切り材3と間仕切り基礎材2自体の変形や破損を効果的に防ぐことが可能である。
台車の衝突による間仕切り材3と間仕切り基礎材2の変形や破損を防止可能なので、間仕切り壁で仕切った居室空間の移設の際に、既設の間仕切り材3及び間仕切り基礎材2をコンクリート床面CFから取り外し、そのまま移設先に設置して再利用することが可能である。
図1から図3に示される間仕切り壁構成体1をコンクリート床面CFに設置して耐衝撃性の検証を行った。
ガラス長繊維に発泡ウレタン樹脂を含浸させた成形材料を引抜装置により引き抜いて、高さ150mm、幅40mm、長さ1800mmの角材形の間仕切り基礎材2を成形した。座グリ21は500mm間隔4個形成した。
この間仕切り基礎材2の物性は以下のとおりである。
比重:0.74 JIS Z 2102 準拠
曲げ強さ:146.1MPa JIS Z 2101 準拠
全圧縮強さ:57.85MPa JIS Z 2101 準拠
衝撃強さ:41.2MPa JIS Z 2101 準拠
膨張係数:1.0×10-5 JIS K 6911 準拠
熱伝導率:0.077W/mK JIS Z 2101 準拠
前記間仕切り基礎材2を、前記と同様の手順でコンクリート床面CFに固定し、その上面に間仕切り材3を設置し、間仕切り基礎材2の下縁部とコンクリート床面CFの取り合い部分に沿ってR面材部4を形成した。
R面材部は、ポリオールを主原料とした基剤とヘキサメチレンジイソシアネートである硬化剤からなる、ショア硬度が30~80Dの硬質ウレタン樹脂製のパテ材料を用い、これを前記取り合い部分に肉盛り塗布して50Rの湾曲面に成形した。
その後、間仕切り基礎材2とR面材部4の表面にエポキシ樹脂塗料を塗布し乾燥させて、コンクリート床面CFに間仕切り壁構成体1を設置した。
前記図7に示された形態の台車に100kgの錘を載せて固定し、台車の手押し部を押してコンクリート床面CF上を走行させ、そのまま台車の先端部を前記間仕切り壁構成体1に衝突させた。
最初に、台車をおよそ時速4km/hで走行させながら台車の正面を間仕切り壁構成体1にぶつけ、次いで同様に走行させながら間仕切り壁構成体1に対して台車を斜めにぶつけたが、ともに間仕切り基礎材2と間仕切り材3の変形や破損は起きなかった。
次いで、台車の勢いを、およそ時速8km/hに増して、前記と同様に、間仕切り壁構成体1にぶつけたが、間仕切り基礎材2と間仕切り材3の変形や破損は起きなかった。
台車を間仕切り壁構成体1の正面に1m程の間隔を開けて配置し、その位置から台車を押し引き操作して、間仕切り壁構成体1への衝突を60回繰り返したが、前記と同様に、間仕切り基礎材2と間仕切り材3の変形や破損は起きなかった。
また、上記の衝突試験後に、R面材部4の状態を目視確認したが、変形や剥がれは確認されなかった。
以上の検証から、本発明の間仕切り壁構成体が、台車の衝突に対して変形や破損が生じにくい、耐衝撃性に優れたものであることが確認された。
前記説明し図示した間仕切り壁構成体や間仕切り基礎材、間仕切り材、R面材部の構成や形態は一例であり、本発明は説明し図示した構成や形態のものに限定されず、他の適宜な構成や形態のものとすることが可能である。
1 間仕切り壁構成体、2 間仕切り基礎材、2a 間仕切り基礎材上面、2b 間仕切り基礎材下面、2c 間仕切り基礎材両側面、21 座グリ、3 間仕切り材、4 R面材部、5 スペーサ、6 ウエッジアンカー、7 表面仕上げ処理部、CF コンクリート床面、PW 間仕切り壁、G 台車

Claims (8)

  1. 間仕切り材と、コンクリート床面に固定されて前記間仕切り材を上面で支持する断面縦長矩形状の角材形に形成されたFRP製の間仕切り基礎材と、この間仕切り基礎材の下縁部と前記コンクリート床面の取り合い部分に形成されるR面材部とを備える間仕切り壁構成体。
  2. 間仕切り基礎材は、ガラス長繊維束に熱硬化性樹脂を含浸させた成形材料を用いて略角材形に成形されてなる請求項1に記載の間仕切り壁構成体。
  3. 間仕切り基礎材は、その比重が0.3~2.0、曲げ強度が100~200MPa、圧縮強度が25~60MPaである請求項1又は2に記載の間仕切り壁構成体。
  4. 間仕切り基礎材は、線膨張係数が1×10―5~5.0×10―51/℃である請求項1から3の何れかに記載の間仕切り壁構成体。
  5. R面材部は、ショア硬度30~80Dの合成樹脂製のパテ材料からなる請求項1から4の何れかに記載の間仕切り壁構成体。
  6. R面材部は、ポリオールを主原料とした基剤とヘキサメチレンジイソシアネートである硬化剤からなる硬質ウレタン樹脂製のパテ状の材料を用いて成形されてなる請求項1から5の何れかに記載の間仕切り壁構成体。
  7. コンクリート床面に、ガラス長繊維束に熱硬化性樹脂を含浸させた成形材料を引抜装置により引き抜いて角材形に成形されたFRP製の間仕切り基礎材を固定する工程と、
    この間仕切り基礎材の上面に間仕切り材を取り付けて支持させる工程と、
    前記間仕切り基礎材の下縁部と前記コンクリート床面の取り合い部分に沿って、ショア硬度40~50Dの合成樹脂製のパテ状の材料を肉盛り塗布して、R曲面形に湾曲したR面材部を形成する工程と、
    前記間仕切り基礎材とR面材部の表面を塗装する工程と、
    を有する間仕切り壁の設置工法。
  8. コンクリート床面に削孔された孔にウエッジアンカーを打ち込み、コンクリート床面上に突出した前記ウエッジアンカーを間仕切り基礎材に形成された座グリに挿入し、ウエッジアンカーの軸部を座グリ内でナット締めして間仕切り基礎材に連結して、コンクリート床面上に間仕切り基礎材を固定する請求項7に記載の間仕切り壁の設置工法。
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