JP7080592B2 - 塗料組成物 - Google Patents
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本実施形態に係る塗料組成物は、塗装体を塗装するのに用いられる。塗料組成物は、例えば、建築物の内装面を塗装するのに用いられることが好ましい。塗装体に塗装された塗料組成物は、太陽光等の紫外光を含む強い光だけではなく、可視光条件下でも効果を発現することができる塗膜を形成する。
内装面としては、例えば、モルタル、コンクリート、石膏ボード、サイディングボード、押出成形板、スレート板、石綿セメント板、繊維混入セメント板、ケイ酸カルシウム板、ALC板、金属、木材、ガラス、陶磁器、焼成タイル、磁器タイル、プラスチック板、壁紙、合成樹脂等の基材、クロス、壁紙、あるいはこれらの基材上に形成された塗膜等が挙げられる。なお、塗料組成物は、建築物の内装面だけでなく、建築物の外装面や建築物以外の構造物にも適用することが可能である。
本実施形態に係る樹脂エマルション組成物(a)は、塗料組成物の結合剤として働く成分である。樹脂エマルション組成物(a)としては、例えば、酢酸ビニル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、あるいはこれらの複合系等の樹脂成分からなる合成樹脂エマルションが挙げられる。樹脂エマルション組成物(a)は、アクリル樹脂エマルションであることが好ましい。
なお、これらのモノマーには、適宣、ヒドロキシル基、カルボニル基、エポキシ基、アミド基、アミノ基、メチロール基、イソシアネート基等の反応基を付与したものも、用いることができる。
本実施形態に係る光触媒型酸化チタン(b)は、金属担持アナターゼ型酸化チタン(b-1)及び金属担持ルチル型酸化チタン(b-2)である。なお、本明細書において、結晶構造がアナターゼ型の酸化チタンをアナターゼ型酸化チタンといい、結晶構造がルチル型の酸化チタンをルチル型酸化チタンという。金属担持アナターゼ型酸化チタン(b-1)に含まれる金属成分の存在形態としては、アナターゼ型酸化チタンに接触している状態であることを前提とし、金属成分の一部が単独で分散して存在している状態が挙げられる。また、金属担持ルチル型酸化チタン(b-2)に含まれる金属成分の存在形態としては、ルチル型酸化チタンに金属成分が接触している状態が挙げられる。光触媒型酸化チタン(b)の結晶構造は、例えば、粉末X線回折により同定することができる。
本実施形態に係る顔料(c)は、着色顔料(c-1)と、体質顔料(c-2)と、艶消し材(c-3)と、を含むことが好ましい。
本実施形態に係る着色顔料(c-1)は、塗膜の色味となる顔料である。なお、本明細書において、色味には白色が含まれる。つまり、白色の顔料も着色顔料(c-1)に含まれる。
本実施形態に係る塗料組成物は、必要に応じて、その他の成分(d)を含んでいてもよい。その他の成分(d)としては、骨材、繊維、可塑剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、粘性調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、抗菌剤、吸着剤等が挙げられる。これらの成分を、単独で、又は併用して本実施形態に係る塗料組成物に配合することができる。
塗料組成物中に含まれる樹脂エマルション組成物(a)、光触媒型酸化チタン(b)及び顔料(c)の各比率が適切な範囲となることにより、屋内でも光触媒の機能が十分に発揮され、変色が少ない塗膜を得ることができる。
また、本実施形態においては、塗料組成物の全固形分100質量部に対する光触媒型酸化チタン(b)の含有量は、2.78質量部以下であり、且つ、金属担持ルチル型酸化チタン(b-2)の含有量は、2.76質量部以下である。光触媒型酸化チタン(b)の含有量が2.78質量部を超える場合、又は、金属担持ルチル型酸化チタン(b-2)の含有量が2.76質量部を超える場合には、光触媒が担持した金属により、塗膜が黒く変色する。また、着色顔料(c-1)が有彩色又は黒色である場合には、光触媒が着色顔料(c-1)と反応することにより、塗膜が退色する。
更に、塗料組成物の全固形分100質量部に対する光触媒型酸化チタン(b)の含有量は、0.1~1質量部であることが好ましい。
塗料組成物の製造方法としては、当業者において通常用いられる方法を適用することができる。例えば、樹脂エマルション組成物(a)、光触媒型酸化チタン(b)、顔料(c)及び必要に応じてその他の成分(d)を、それぞれ、ディスパー、ボールミル、S.G.ミル、ロールミル、プラネタリーミキサー等で混合する。所定量の樹脂エマルション組成物(a)、光触媒型酸化チタン(b)、顔料(c)及び必要に応じてその他の成分(d)を混合することで、塗料組成物を調製できる。
本実施形態に係る塗料組成物により塗膜を形成する方法としては、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等の一般に用いられている塗装方法が挙げられる。これらの塗装方法は、塗装対象や用途に応じて適宜に選択される。
参考例1~7、16~18、20、22、26、27、実施例19、21、23~25、比較例1~6の樹脂エマルション組成物(a)として、従来公知の重合反応を利用して、pH:8.5、酸価AV:15、塗料固形分(NV):50質量%、粘度:2000mPa・sのアクリル樹脂エマルションを得た。
また、参考例8~11の樹脂エマルション組成物(a)として、ユーコートUX-485(三洋化成工業株式会社製)を用いた。
また、参考例12~15の樹脂エマルション組成物(a)として、VINYBLAN A68J1(日信化学工業株式会社製)を用いた。
各実施例、参考例、比較例の金属担持アナターゼ型酸化チタン(b-1)、 金属担持ルチル型酸化チタン(b-2)として、以下のものを用いた。
・金属担持アナターゼ型酸化チタン:酸化銀、酸化銅を担持したアナターゼ型酸化チタン
・金属担持ルチル型酸化チタン:溶解度積が1.5×10-10よりも小さい2価銅化合物を担持した酸化チタン
各実施例、参考例、比較例の顔料として、以下の市販品を用いた。
・酸化チタン:タイペークCR-97 (石原産業株式会社製)
・炭酸カルシウム:スペシャルライス SSS (丸尾カルシウム株式会社製)
・珪藻土:ラヂオライト#100 (株式会社丸東社製)
・シリカ:ニップシールE-200A(東ソー・シリカ株式会社製)
・ゼオライト:X型ゼオライト(F-9)(東ソー株式会社製)
予め洗浄したソーダガラス板(50mm×50mm×2mmT)の表面に、各実施例、参考例、比較例の塗料組成物を、塗着量が200g/m2となるように、エアースプレーで塗装した。塗装後、23℃(室温)で7日間養生したガラス板を抗菌性評価、抗ウイルス性評価用の試験板とした。
そして、各実施例、参考例、比較例の試験板に対し、以下の評価を行った。なお、比較例6においては、塗膜を形成できなかったことから、以下の評価を行わなかった。
「JIS R1752」に準拠して、黄色ブドウ球菌を用いて抗菌試験を実施した。20Wの白色蛍光灯(東芝ライテック株式会社製、「ネオライン」FL20S・W)を光源として用い、紫外線カットフィルター(日東樹脂工業株式会社製、N-169)を通して、380nm以上の可視光を、照度500ルクスで照射した。なお、照度は照度計:株式会社トプコン製、IM-5を用いて測定した。
TB:光照射後の試験板あたりの生菌数(cfu)
UB:光照射後のコントロールあたりの生菌数(cfu)
なお、コントロールは抗菌加工が成されていないソーダガラス板とした。
(評価)
5: 4≦R
4: 3≦R<4
3: 2≦R<3
2: 1≦R<2
1: R<1
「JIS R 1756(2013)」に従って、バクテリオファージQβを用いて、抗ウイルス試験を実施した。20Wの白色蛍光灯(東芝ライテック株式会社製、「ネオライン」FL20S・W)を光源として用い、紫外線カットフィルター(日東樹脂工業株式会社製、N-169)を通して、380nm以上の可視光を、照度500ルクスで照射した。なお、照度は照度計:株式会社トプコン製、IM-5を用いて測定した。可視光の照射時間を4時間として、明所の抗ウイルス活性値Vを下式により算出した。
TV:光照射後の試験板あたりのバクテリオファージ感染価(pfu)
UV:光照射後のコントロールあたりのバクテリオファージ感染価(pfu)
なお、コントロールは抗ウイルス加工が成されていないソーダガラス板とした。
(評価基準)
5: V≧5
4: 4>V≧3
3: 3>V≧2
2: 2>V≧1
1: 1>V
「JIS K 5600-7-7」に記載のキセノンランプ法に従って、スーパーキセノンウェザーメーターSX2-75(スガ試験機社製)で促進耐候性試験を実施した。試験時間は250時間とし、試験時間経過後の塗膜外観をL*a*b*表色系にて数値化した。色差計は、色彩色差計(コニカミノルタ社製、CR―400)を用いた。
(評価基準)
5: 1>ΔL*
4: 2>ΔL*≧1
3: 3>ΔL*≧2
2: 5>ΔL*≧3
1: ΔL*≧5
「JIS K 5600-7-7」に記載のキセノンランプ法に従って、スーパーキセノンウェザーメーターSX2-75(スガ試験機社製)で促進耐候性試験を実施した。試験時間は250時間とし、試験時間経過後の塗膜外観をL*a*b*表色系にて数値化した。色差計は、色彩色差計(コニカミノルタ社製、CR―400)を用いた。
L*値、a*値、b*値を測色し、試験前の基準板との明度の差(ΔE)以下の評価基準で評価した。結果を表1~表3に示した。
(評価基準)
5: 2>ΔE
4: 4>ΔE≧2
3: 6>ΔE≧4
2: 8>ΔE≧6
1: ΔE≧8
Claims (3)
- 樹脂エマルション組成物(a)と、光触媒型酸化チタン(b)と、顔料(c)と、を含む塗料組成物であって、
前記光触媒型酸化チタン(b)は、金属担持アナターゼ型酸化チタン(b-1)及び金属担持ルチル型酸化チタン(b-2)であり、
前記塗料組成物の全固形分100質量部に対する光触媒型酸化チタン(b)の含有量は、0.03~2.78質量部であり、かつ、金属担持ルチル型酸化チタン(b-2)の含有量は、0.01~2.76質量部であり、
前記光触媒型酸化チタン(b)及び前記顔料(c)の合計顔料体積濃度(PVC)は、11~74であり、
前記顔料(c)は着色顔料(c-1)と、体質顔料(c-2)と、平均粒子径が0.1~100μmの艶消し材(c-3)を含み、
前記体質顔料(c-2)は、炭酸カルシウムであり、
前記艶消し材(c-3)は、シリカ、珪藻土、及びゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記塗料組成物の全固形分100質量部に対する艶消し材(c-3)の含有量は、2.1~6.0質量部である、塗料組成物。 - 前記合計顔料体積濃度(PVC)は、33~74である請求項1に記載の塗料組成物。
- 前記塗料組成物の全固形分100質量部に対する光触媒型酸化チタン(b)の含有量は、0.1~1質量部である請求項1又は2に記載の塗料組成物。
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