以下に添付図面を参照して、画像処理装置およびプログラムを詳細に説明する。以下では、画像形成装置として電子写真方式の画像形成装置を例に挙げて説明するが、これに限られず、インクジェット方式の画像形成装置でもよい。
(第1の実施の形態)
[画像処理システムの構成の説明]
図1は、第1の実施の形態にかかる画像処理システム100の一例を示す図である。図1に示すように、画像処理システム100は、コンピュータ200と、DFE(Digital Front End)300と、画像形成装置400と、分光測色計500とを備えている。
コンピュータ200は、ユーザが画像形成装置400で実行する画像データを含む印刷ジョブを作成する装置であり、作成された印刷ジョブをDFE300へ送信する。
DFE300は、本発明における画像処理装置の一例であり、コンピュータ200から受信した印刷ジョブに基づいて、画像形成装置400が画像形成を行う際に使用する描画データ(ラスターデータ)を生成するRIP(Raster Image Processer)エンジンを備えている。DFE300は、生成した描画データを画像形成装置400へ送信する。
画像形成装置400は、DFE300から受信した描画データに基づいて、記録媒体上に画像形成を行う。また、画像形成装置400は、C(シアン)色、M(マゼンタ)色、Y(イエロー)色、K(ブラック)色であるCMYKのプロセスカラーに相当する色材に加え、蛍光ピンク、ホワイト、クリア、メタリックなどの特色の色材を搭載し、記録媒体上に画像形成を行う。加えて、画像形成装置400は、CMYKのプロセスカラーや特色の色材の積層順を変更することができる。
分光測色計500は、画像形成装置400が記録媒体上に形成した画像を読み取り、分光反射率を示す分光反射率情報を取得し、DFE300へ送信する。なお、本実施の形態では、分光測色計500がDFE300に接続されているが、これに限られず、コンピュータ200に接続されていてもよいし、画像形成装置400に接続されていてもよい。
概略的には、画像形成装置400がキャリブレーションシート600(図6参照)を印刷し、DFE300が印刷されたキャリブレーションシート600(図6参照)を測定して得られた分光反射率情報を分光測色計500から受け取る。
なお、本実施の形態では、DFE300と画像形成装置400が異なる装置として示されているが、これに限られず、画像形成装置400がDFE300の機能を備えていてもよいし、コンピュータ200がDFE300の機能を備えていてもよい。例えばコンピュータ200がDFE300の機能を備えている場合、DFE300の機能に相当する構成を画像処理装置として解することができる。また、コンピュータ200と画像形成装置400でDFE300の機能を分担して備えていてもよい。
次に、DFE300のハードウェア構成について説明する。
図2は、DFE300のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、DFE300は、制御主体となるCPU(Central Processing Unit)301を備えている。DFE300は、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、エンジンインターフェース304、パネルインターフェース305、パネル装置306、ホストインターフェース307、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である記憶部308を備えており、各部がCPU301にバス309を介して接続されている。
CPU301は、RAM303を作業領域として使用し、ROM302や記憶部308に格納されているプログラムを実行することで、画像形成装置400の制御や画像処理を実現する。
エンジンインターフェース304は、CPU301や記憶部308などと画像形成装置400を通信可能に接続している。
パネルインターフェース305は、DFE300が備える操作部の一例であるパネル装置306をCPU301や記憶部308と通信可能に接続している。
ホストインターフェース307は、コンピュータ200をCPU301や記憶部308などと通信可能に接続している。
記憶部308は、コンピュータ200から送られてくる印刷ジョブやカラープロファイルなどの情報を記憶している。また、CPU301が実行するプログラムを記憶していてもよい。
[DFEの機能構成の説明]
次に、DFE300のCPU301が、ROM302や記憶部308に格納されているプログラムを実行することにより実現する機能について説明する。
図3は、DFE300のCPU301の機能を示すブロック図である。DFE300は、色変換部401、総量規制部402、濃度補正部403、中間調処理部404の機能を備えている。
色変換部401は、入力された画像データ(第1の画像データ)のRGB値(あるいはCMYK値やL*a*b*値)に対して所定の色変換処理を行い、新たなCMYK値の画像データ(第2の画像データ)を生成する。色変換部401は、色変換処理後の第2の画像データを総量規制部402に送信する。なお、色変換部401は、総量規制部402を介さずに濃度補正部403へ第2の画像データを送信してもよい。その場合、カラープロファイルでトナーの総量を規制していてもよい。
次に、図4を用いて色変換部401が実行する色変換処理に使用するカラープロファイルについて説明する。
図4は、カラープロファイルを管理するテーブルT1の一例を示す図である。このテーブルT1は、記憶部308に予め記憶されており、RGBなどのデバイス非依存のデータからCMYKなどのデバイス依存のデータへ変換するカラープロファイルのファイル名、表示名、プロファイル作成時のトナー積層順、プロファイルIDが対応付けられている。
ファイル名は、カラープロファイルのファイルの名前を示している。
表示名は、パネル装置306やコンピュータ200のディスプレイ上に表示する項目である。
プロファイル作成時のトナー積層順は、カラープロファイル作成時に用いたトナーの積層順である。ここで、図5(a)はプロファイル作成時のトナー積層順と記録媒体上に積層される順番との関係を説明する図である。図5(b)は、プロファイル作成時のトナー積層順と、記録媒体上に積層される順番とを示す図である。図5(a)に示すように、プロファイル作成時のトナー積層順“1”が記録媒体側に最も近くなり、プロファイル作成時のトナー積層順“2”、“3”、“4”の順に記録媒体から遠ざかる。ユーザがカラープロファイルを作成する場合、ユーザがプロファイル作成時のトナー積層順の設定を行う。
プロファイルIDは、カラープロファイルに割り振られるインデックスデータであり、あらかじめ内蔵されているものから順に番号が振られる。なお、ユーザがカラープロファイルを追加で読み込んだ場合は、順次番号が割り当てられる。
総量規制部402は、画像形成プロセス実行時に定着不良が起きないよう、記録媒体上に積載されるトナーの総量を上限値以下に抑える機能を持つ。総量規制部402は、色変換部401から受け取った第2の画像データから、トナーの総量を規制した第2の画像データを生成する。総量規制部402は、トナーの総量の規制後の第2の画像データを、濃度補正部403へ送信する。
濃度補正部403は、第2の画像データに対して画像形成装置400の状態に応じて画像の階調の補正(キャリブレーション)を行い、キャリブレーション後の第3の画像データを生成する。濃度補正部403は、濃度ターゲット決定部601、濃度ターゲット補正部602、濃度補正テーブル生成部603、測色値取得部604の機能を備えている。濃度補正部403の各機能については後述する。
濃度補正部403は、予め設定されたCMYKそれぞれ単色の階調のパッチが複数並べられたキャリブレーションシート600(図6参照)を画像形成装置400で印刷し、当該キャリブレーションシートを分光測色計500で測定した結果である分光反射率情報を取得する。濃度補正部403は、上述のようにして取得した分光反射率情報に基づいてキャリブレーションを行うための情報を生成しておき、キャリブレーションを行う際に生成した情報を使用する。
図6を用いて、キャリブレーションシート600の説明をする。
図6は、キャリブレーションシート600の一例を示す図である。図6(a)は、CMYKそれぞれの複数のパッチが並べられたキャリブレーションシート600aを示し、図6(b)は、特色の色材を下地にしたCMYKそれぞれの複数のパッチが並べられたキャリブレーションシート600bを示す。また、図6(c)は、各パッチに割り当てられているパッチ番号と階調値が対応付けられているテーブルT2の一例を示す。
ユーザは、キャリブレーションを実行する際に使用する情報を生成するために、図6(a)に示したキャリブレーションシート600aまたは図6(b)に示したキャリブレーションシート600bを印刷し、分光測色計500によりキャリブレーションシート600aまたは600bを測定する。
濃度補正部403は、ユーザが測定したキャリブレーションシート600の測定結果である分光反射率情報を用いて後述のキャリブレーションを実行する。
ここで、図7はキャリブレーションの実施時のUI画面UI1の一例を示す図である。本実施の形態では、ユーザがキャリブレーションの実行を望む場合、濃度補正部403は、DFE300のパネル装置306またはコンピュータ200のディスプレイ上にUI画面UI1を表示させる。ユーザは、UI画面UI1から各種設定を行い、キャリブレーション実行のボタンB1を押下する。これにより、濃度補正部403が後述のキャリブレーション処理を実行する。
以降、説明のため、UI画面UI1において、濃度ターゲットは「普通紙」、白先刷りは「OFF」、用紙の選択は「普通紙F005」、カラープロファイルの選択は「Plain_F」がユーザによって選択されているものとする。
次に、濃度補正部403が備える濃度ターゲット決定部601、濃度ターゲット補正部602、濃度補正テーブル生成部603、測色値取得部604の各機能の詳細を説明する。
濃度ターゲット決定部601は、階調値ごとに目標とする濃度の特性である濃度ターゲットのテーブルT3(図8参照)を記憶部308から読み出す。ここで、図8は濃度ターゲットを説明するための図である。図8(a)は、記憶媒体ごとの濃度ターゲットのテーブルT3の一例を示すものである。図8(a)に示すように、記憶媒体(普通紙、グロス紙、マット紙など)ごとについて、CMYKそれぞれの階調値と濃度ターゲット値との組で示される。なお、記憶媒体(普通紙、グロス紙、マット紙など)は、後述するキャリブレーションIDでインデックスされている。図8(b)は、図8(a)の濃度ターゲットのテーブルT3のK(ブラック)色について、単位面積当たりのトナー積載量である面積率と、濃度ターゲット値との関係を示したグラフである。
濃度ターゲット決定部601は、濃度ターゲットのテーブルT3(図8(a))に基づいて、濃度ターゲットを決定する。
また、図8(c)は、濃度ターゲットに紐付く情報を示すテーブルT4の一例を示すものである。図8(c)に示す濃度ターゲットに紐付く情報は、UI画面UI1に表示される。図8(c)に示す例では、ユーザが選択する濃度ターゲット名と、ホワイトのトナー積層順が“1”(白先刷り)かどうかと、キャリブレーションIDと、が濃度ターゲットに紐付いている。白先刷りが“0”の場合は、ホワイトの積層順が“1”ではなく、白先刷りが“1”の場合は、ホワイトの積層順が“1”であることを示す。また、キャリブレーションIDは、各濃度ターゲットに順次割り当てられるインデックスデータであって、後述する濃度補正テーブルT6(図13参照)と濃度ターゲットとを紐付けるためのデータである。新たな濃度ターゲットが作成されると、キャリブレーションIDが順次割り当てられる。
例えば、UI画面UI1においてユーザが濃度ターゲット名「普通紙」を選択すると、濃度ターゲット決定部601は、記憶部308からキャリブレーションID「1」に対応付けられた濃度ターゲット(図8(a))を読み出す。そして、濃度ターゲット決定部601は、読み出した濃度ターゲットとキャリブレーションIDを濃度ターゲット補正部602へ送信する。
濃度ターゲット補正部602は、濃度ターゲット決定部601から受け取ったキャリブレーションID及び濃度ターゲットと、画像形成装置400が画像形成を行う際のトナー積層順である画像形成時のトナー積層順と、プロファイル作成時のトナー積層順と、に基づいて濃度ターゲットを補正した濃度補正テーブルを生成する。
図9は、濃度ターゲット補正部602の機能ブロックの一例を示す図である。
濃度補正判断部901は、判断部の一例であり、濃度ターゲット決定部601からキャリブレーションIDを取得し、補正対象としてユーザに選択されている濃度ターゲットが濃度補正を行うことが可能な濃度ターゲットか否かを判断する。特定のトナー積層順で、特定の用紙とプロファイルを使用する場合のために意図的に調整が実施されている濃度ターゲットがある場合、トナーの積層順を考慮した補正を行うと、意図しない補正がされる可能性がある。そのため、そのような濃度ターゲットのキャリブレーションIDをあらかじめ記憶部308に保持しておき、濃度補正判断部901は、補正対象の濃度ターゲットのキャリブレーションIDと比較することで選択された濃度ターゲットの補正が可能かどうかを判断する。濃度補正判断部901は、判断結果を色材積層順取得部902へ送信する。
色材積層順取得部902は、取得部の一例であり、濃度補正判断部901から受け取った判断結果が、濃度補正が可能である場合、画像形成装置400から画像形成時のトナー積層順の情報(第1の情報)を取得する。また、色材積層順取得部902は、ユーザに設定されたカラープロファイルのプロファイルIDを取得し、プロファイルIDに対応するプロファイル作成時のトナー積層順の情報(第2の情報)を取得する。色材積層順取得部902は、取得した画像形成時のトナー積層順情報とプロファイル作成時のトナー積層順情報を色材積層順比較部903へ送信する。なお、画像形成装置400の画像形成における画像形成時のトナー積層順が変わる度に、記憶部308に画像形成時のトナー積層順情報を記憶させ、色材積層順取得部902が記憶部308から画像形成時のトナー積層情報を読み出してもよい。
色材積層順比較部903は、比較部の一例であり、色材積層順取得部902から受け取った色材の積層順に関する情報(プロファイル作成時のトナー積層順および画像形成時のトナー積層順)を比較し、積層順が一致するか否かを判定する。本実施の形態では、色材積層順比較部903は、プロファイル作成時のトナー積層順から画像形成時のトナー積層順を減算し、差分が各色で0となった場合に、積層順が一致していると判断する。
図10は、色材積層順比較部903が算出する色材の積層順の差分の情報の一例を示す図である。図10に示すように、△Oc、△Om、△Oy、△Okは、それぞれCMYKのトナー積層順(プロファイル作成時のトナー積層順および画像形成時のトナー積層順)の差分を示す。色材積層順比較部903は、算出した各色のトナー積層順の差分を、補正係数算出部904へ送信する。
補正係数算出部904は、算出部の一例であり、色材積層順比較部903が算出した各色のトナー積層順(プロファイル作成時のトナー積層順および画像形成時のトナー積層順)の差分に対応付けられた補正係数のテーブルT5(図11参照)を記憶部308から読み出す。補正係数算出部904は、読み出した補正係数のテーブルT5から補正係数を取得し、ターゲット補正部905へ送信する。
図11は、色材のトナー積層順の差分と濃度ターゲットを補正する補正係数とを対応付けたテーブルT5の一例を示す図である。図11に示した補正係数a,b,c,dは、トナー積層順の差分が負の場合、濃度を下げるような働きをする値であり、トナー積層順の差分が正の場合には、濃度を上げるような働きをする値である。差分がゼロの色は補正の必要がないため、補正係数は1である。なお、補正係数に限られず、補正係数算出部904は、各色についてトナー積層順の差分と階調値に対応した補正量を算出してもよいし、各色についてトナー積層順の差分と階調値に対応した補正量が対応付けられたテーブルを記憶部308から読み出し補正量を決定してもよい。
ターゲット補正部905は、補正係数算出部904から受け取った補正係数と、濃度ターゲットとに基づいて、濃度ターゲットの各値を補正する。
次に、図12を用いて、濃度ターゲット補正部602が実行する処理の流れについて説明する。
図12は、濃度ターゲット補正部602が行う処理の流れを示すフローチャートである。図12に示すように、S1201で、濃度補正判断部901は、濃度補正を行う濃度ターゲットか否かを判断する。濃度補正判断部901は、補正対象の濃度ターゲットのキャリブレーションIDが補正を行わないキャリブレーションIDである場合(S1201のYes)、S1206へ進む。一方、濃度補正判断部901は、補正対象の濃度ターゲットのキャリブレーションIDが補正を行うキャリブレーションIDである場合(S1201のNo)、S1202へ進む。
S1202で、色材積層順取得部902は、画像形成装置400から画像形成時積層順情報を、プロファイルIDからプロファイル作成時のトナー積層順の情報を取得する。色材積層順取得部902は、取得したプロファイル作成時のトナー積層順の情報を色材積層順比較部903へ送信する。
S1203で、色材積層順比較部903は、S1202で色材積層順取得部902が取得したプロファイル作成時のトナー積層順と画像形成時のトナー積層順とを比較する。色材積層順比較部903は、積層順が一致している場合(S1203のYes)、S1206へ進む。一方、色材積層順比較部903は、積層順が一致していない場合(S1203のNo)、S1204へ進む。
S1204で、補正係数算出部904は、各色の積層順の差に対応する補正係数を算出する。
S1205で、ターゲット補正部905は、濃度ターゲットの各値にS1204で補正係数算出部904が算出した補正係数を乗算することで濃度ターゲットの補正を行う。
S1206で、ターゲット補正部905は、S1205で補正した濃度ターゲットを記憶部308に記憶させ、処理を終了する。
次に、測色値取得部604について説明する。
測色値取得部604は、キャリブレーションシート600の測定結果である分光反射率情報を分光測色計500から取得する。測色値取得部604は、取得した分光反射率情報を濃度補正テーブル生成部603へ送信する。
次に、濃度補正テーブル生成部603について説明する。
濃度補正テーブル生成部603は、テーブル生成部の一例であり、測色値取得部604が分光測色計500から取得し濃度補正テーブル生成部603へ送信したキャリブレーションシートの測定結果である分光反射率情報と、濃度ターゲット補正部602が補正した濃度ターゲットとに基づいて、濃度補正テーブルT6(図13参照)を生成する。濃度補正テーブル生成部603は、生成した濃度補正テーブルT6を、濃度ターゲット情報に対応するキャリブレーションIDと対応付けて記憶部308に記憶させる。
図13は、濃度補正テーブル生成部603が生成する濃度補正テーブルT6の一例を示す図である。図13(a)は、入力された階調値(入力階調値)に対する分光反射率情報から求めた現在の濃度値(測色値)と、濃度ターゲット補正部602が補正した濃度ターゲットとを示している。図13(b)に示す濃度補正テーブルT6は、入力された階調値(入力階調値)に対する分光反射率情報から求めた現在の濃度値(測色値)を元に、濃度ターゲットを実現するような階調値に入力階調値を変換する、ルックアップテーブルである。
具体的には、濃度補正テーブル生成部603は、階調値「10」における濃度ターゲット「0.076」を出すため、現在の分光反射率情報から算出した濃度値をもとに、入力階調値をどの階調値に変換するかを線形補間で算出する。測色値における濃度ターゲット「0.076」は階調値「10」と「15」の間の値にあたるので、線形補間で算出すると階調値「14」が得られる。つまり、現在の画像形成装置400の状態では、階調値「10」が入力された場合、階調値「14」に変換すると、狙いの濃度値を実現できることになる。濃度補正テーブル生成部603は、それぞれの濃度ターゲット値を実現する出力階調値を算出し、図13(b)に示すような階調を変換する濃度補正テーブルT6を作成する。
次に、中間調処理部404について説明する。
中間調処理部404は、濃度補正部403が生成した第3の画像データに対してスクリーン処理を実行して描画データを生成する。中間調処理部404は、生成した描画データを画像形成装置400へ送信する。
次に、本実施の形態にかかる画像処理装置であるDFE300が行う処理のうち特徴的な処理の流れについて説明する。
図14は、濃度補正テーブル生成処理の流れを示すフローチャートである。図14に示す濃度補正テーブル生成処理は、ユーザがパネル装置306またはコンピュータ200のディスプレイに表示されたUI画面UI1(図7参照)から、濃度ターゲットの選択、白先刷りの有無、記録媒体である用紙の種類、カラープロファイルをそれぞれ選択し、キャリブレーション実行ボタンB1を押下することで実行される。
図14に示すように、S1401で、濃度ターゲット決定部601は、ユーザが設定した特色である白色の先刷りの有無を示す特色先刷り情報を取得する。本実施の形態では、図7のUI画面の例に示したように特色先刷り情報は「OFF」である。
S1402で、濃度ターゲット決定部601は、ユーザが設定した用紙の種類を示す記録媒体情報を取得する。本実施の形態では、図7のUI画面UI1に示したように記録媒体情報は「普通紙F005」である。
S1403で、濃度ターゲット決定部601は、ユーザが設定した濃度ターゲットを示す濃度ターゲット情報を取得する。本実施の形態では、図7のUI画面UI1に示したように濃度ターゲット情報は「普通紙」である。濃度ターゲット決定部601は、この濃度ターゲット情報に対応するキャリブレーションIDから濃度ターゲットを取得する。
S1404で、濃度ターゲット決定部601は、ユーザが設定したカラープロファイルを示すカラープロファイル情報を取得する。本実施の形態では、図7のUI画面UI1に示したようにカラープロファイル情報は「Plain_F」である。濃度ターゲット決定部601は、濃度ターゲット情報に対応するプロファイルIDからプロファイル作成時のトナー積層順情報を取得し、濃度ターゲット補正部602へ送信する。
S1405で、濃度補正部403は、記憶部308からキャリブレーションシート600の画像データを読み出し、中間調処理部404に中間調処理を実行させ画像形成装置400に中間調処理後の画像データを送信させる。そして、画像形成装置400は、キャリブレーションシート600を印刷する。本実施の形態の場合、特色先刷り情報が「OFF」であるため、特色をCMYKの各パッチの下地に印刷せず、CMYKのパッチが記録媒体に形成されたキャリブレーションシート600aが印刷される。
S1406で、測色値取得部604が、印刷されたキャリブレーションシート600aを分光測色計500で測定した結果である分光反射率情報を取得し、濃度補正テーブル生成部603へ送信する。
S1407で、濃度ターゲット補正部602は、画像形成装置400から画像形成時のトナー積層順情報を取得する。そして、S1403で濃度ターゲット決定部601が取得した濃度ターゲットと、画像形成時のトナー積層順情報、プロファイル作成時のトナー積層順情報とに基づいて、濃度ターゲットを補正する。
S1408で、濃度補正テーブル生成部603は、S1406で取得した分光反射率情報と、S1407で補正した濃度ターゲットに基づいて、濃度補正テーブルT6(図13参照)を生成する。濃度補正テーブル生成部603は、生成した濃度補正テーブルT6を、S1403で取得したキャリブレーションIDと対応付けて記憶部308に記憶させ、処理を終了する。
このように本実施の形態によれば、画像形成装置400が画像形成を行う際の色材の画像形成時のトナー積層順と、カラープロファイル作成時に想定していた色材のトナー積層順が異なる場合に、積層順の違いを考慮したキャリブレーションを実行するための情報を生成することができるため、新たなカラープロファイルを作成することなく、適切な濃度補正を行うことができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態のDFE300は、CMYKの各パッチに画像形成に使用する色を加えた混色キャリブレーションシートを用いて明度に関する情報を取得して、濃度のキャリブレーションを行う際に使用する情報を算出する点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図15は、第2の実施の形態にかかるキャリブレーションシート600の一例を示す図である。図15(a)は、CMYKそれぞれの複数のパッチに画像形成に使用する色を加えた複数のパッチが並べられた混色キャリブレーションシート600cを示し、図15(b)は、特色の色材を下地にしたCMYKそれぞれの複数のパッチに画像形成に使用する色を加えた複数のパッチが並べられた混色キャリブレーションシート600dを示す。また、図15(c)は、各パッチに割り当てられているパッチ番号と加えられた色を除いたCMYKの階調値が対応付けられているテーブルT7の一例を示す。
ユーザは、キャリブレーションを実行する際に使用する情報を生成するために、図15(a)に示したキャリブレーションシート600cまたは図15(b)に示したキャリブレーションシート600dを印刷し、分光測色計500によりキャリブレーションシート600cまたは600dを測定する。
図15(a)に示す混色キャリブレーションシート600cの例では、C、M、Yのパッチそれぞれに階調値が40のKを加え、Kのパッチそれぞれに階調値「40」のYを加えている。この明度のターゲット値は、濃度ターゲットのキャリブレーションIDに対応付けられて記憶部308に格納されている。
DFE300の記憶部308には、トナーの積層順が変更されていない画像形成装置400が、普通紙に混色キャリブレーションシートを印刷した際の目標明度(明度ターゲット)を示すテーブルT8(図16参照)が格納されている。
濃度ターゲット決定部601は、階調値ごとに目標とする明度ターゲットのテーブルT8(図16参照)を記憶部308から読み出す。ここで、図16は明度ターゲットを説明するための図である。図16(a)は、記憶媒体ごとのKにYを加えた各パッチの明度ターゲットのテーブルT8の一例を示すものである。図16(a)に示すように、記憶媒体(普通紙、グロス紙、マット紙など)ごとについて、KYそれぞれの階調値と明度ターゲット値との組で示される。なお、記憶媒体(普通紙、グロス紙、マット紙など)は、キャリブレーションIDでインデックスされている。図16(b)は、図16(a)の明度ターゲットのテーブルT8のKY混色について、単位面積当たりのトナー積載量である面積率と、明度ターゲット値との関係を示したグラフである。
次に、濃度ターゲット補正部602が濃度ターゲットの補正を行う際に使用する補正係数の算出方法について説明する。以降、説明のため、ユーザによって、UI画面UI2(図19参照)において、濃度ターゲットは「普通紙」、白刷りは「OFF」、用紙の選択は「普通紙F005」、カラープロファイルの選択は「Plain_F」が選択されているものとする。
なお、色材積層順比較部903により、画像形成時のトナー積層順と、プロファイル作成時のトナー積層順との差分が図10に示す値であることが特定されているとする。
補正係数算出部904は、CMYK各色の明度ターゲットLc、Lm、Ly、Lkと、測色値取得部604から取得した分光反射率情報から算出したCMYK各色の明度(明度測色値)Lc′、Lm′、Ly′、Lk′を用いて、CMYKそれぞれの濃度ターゲットを補正する補正係数であるXc、Xm、Xy、Xkを算出する。以降では、K色の濃度ターゲットを補正する補正係数Xkを算出する場合についてのみ説明するが、他の色についても同様に補正係数を算出する。
Xkは、図16に示したK色の各パッチにおける明度のターゲット値Lkと、明度測色値Lk′を用いて、以下の式(3)により算出される。
なお、図17は補正係数算出部904が算出した明度測色値の情報の一例を示す図である。図17に、K色のパッチについて、各パッチ番号に対応する明度ターゲットLkと、各パッチ番号に対応する明度ターゲットの明度測色値Lk´、明度ターゲットLkと明度測色値Lk´の比を算出した情報の一例を示す。
上述したように、本実施の形態では、混色キャリブレーションシートを用いることで、濃度キャリブレーションに使用する補正係数を算出する。なお、本実施の形態の場合、Xkは0.78となる。
ターゲット補正部905は、補正係数算出部904が算出した補正係数Xc、Xm、Xy、Xkを対応する色の濃度ターゲットの各値に乗算し、濃度ターゲットを補正する。
図18は、明度測色値の情報を用いて補正した濃度ターゲットのテーブルT9の一例を示す図である。図18(a)は、K色について、算出したXkを用いて濃度ターゲット値を補正したテーブルT9を示すものである。
図18(a)のテーブルT9は、K色に画像形成に使用する色を加えた混色のパッチおいて、K色の階調値とターゲットの濃度値、補正後の濃度値を対応付けたテーブルである。なお、図18(b)は、横軸に階調値に対応した単位面積当たりのトナーの積載量を示す面積率、縦軸に濃度ターゲットおよび補正後の濃度ターゲットをプロットしたグラフである。
次に、本実施の形態における濃度ターゲット補正部602が行う処理の詳細について説明する。
ここで、図19はキャリブレーションの実施時のUI画面UI2の一例を示す図である。本実施の形態では、ユーザがキャリブレーションの実行を望む場合、濃度補正部403は、DFE300のパネル装置306またはコンピュータ200のディスプレイ上に表示されるUI画面UI2を表示させる。ユーザは、UI画面UI2から、各種設定を行い、キャリブレーション実行のボタンB2を押下することで、濃度補正部403が後述のキャリブレーション処理を実行する。
以降、説明のため、UI画面UI2において、濃度ターゲットは「普通紙」、白刷りは「OFF」、用紙の選択は「普通紙F005」、カラープロファイルの選択は「Plain_F」、キャリブレーションシートの選択は「混色キャリブレーションシート」がそれぞれ選択されているものとする。
図20は、濃度補正テーブル生成処理の流れを示すフローチャートである。図20に示す濃度補正テーブル生成処理は、ユーザがパネル装置306またはコンピュータ200のディスプレイに表示されたUI画面UI2(図19参照)から、濃度ターゲットの選択、白先刷りの有無、記録媒体である用紙の種類、カラープロファイル、キャリブレーションシートの種類をそれぞれ選択し、キャリブレーション実行ボタンB2を押下することで実行される。なお、第1の実施の形態と共通の処理については、説明を省略する。
図20に示すように、S2004で、濃度ターゲット補正部602は、ユーザが設定した濃度ターゲット「普通紙」のキャリブレーションIDを取得し、記憶部308から取得したキャリブレーションIDに対応する濃度ターゲット及び明度ターゲットを読み出す。
S2005で、濃度補正部403は、記憶部308から混色キャリブレーションシート600の画像データを読み出し、中間調処理部404に中間調処理を実行させ画像形成装置400に中間調処理後の画像データを送信させる。そして、画像形成装置400は、キャリブレーションシート600を印刷する。本実施の形態の場合、特色先刷り情報が「OFF」であるため、特色を各パッチの下地に印刷せず、各パッチが記録媒体に形成された混色キャリブレーションシート600cが印刷される。
S2006で、測色値取得部604が、印刷された混色キャリブレーションシート600cを分光測色計500で測定した結果である分光反射率情報を取得し、補正係数算出部904へ送信する。
S2007で、補正係数算出部904は、明度ターゲットと、分光反射率情報と、画像形成時のトナー積層順情報と、プロファイル作成時のトナー積層順情報と、に基づいて、濃度ターゲットを補正する補正係数を算出する。
S2008で、ターゲット補正部905は、S2007で補正係数算出部904が算出した各色の補正係数Xc、Xm、Xy、Xkを濃度ターゲット値にそれぞれ乗算し、明度ターゲット値を補正する。
S2009で、ターゲット補正部905は、S2008で補正した濃度ターゲットをキャリブレーションIDに対応付けて記憶部308に格納し、処理を終了する。
このように本実施の形態によれば、CMYK単色のパッチで構成されるキャリブレーションシートではなく、CMYKそれぞれのパッチにある色を加えた混色のパッチで構成されるキャリブレーションシートを用いることで、明度に関する情報も使用してキャリブレーションを行うことができ、ユーザはより効果的なキャリブレーションを実施することができる。
なお、各実施の形態の説明では、キャリブレーションシートおよび混色キャリブレーションシートを用いて分光反射率情報を取得しているが、これに限られず、分光反射率情報に相当する情報を、ユーザがコンピュータ200またはDFE300のパネル装置306から入力してもよい。
なお、本発明の各実施の形態の機能は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、各実施の形態の機能を実行するためのプログラムは、電気通信回線を通じて頒布することができる。
また、本発明の各実施の形態の機能を実行するためのプログラムは、ROM、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、CD-RW(Re-Writable)、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-RW、ブルーレイディスク、SDカード、MO(Magneto-Optical disc)等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することもできる。
さらに、本発明の各実施の形態の機能の一部または全部は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブル・デバイス(PD)上に実装することができ、またはASICとして実装することができ、各実施の形態の機能をPD上に実現するためにPDにダウンロードする回路構成データ(ビットストリームデータ)、回路構成データを生成するためのHDL(Hardware Description Language)、VHDL(Very High Speed Integrated Circuits Hardware Description Language)、Verilog-HDL等により記述されたデータとして記録媒体により配布することができる。
以上、発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。たとえば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。