以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態では、車載用製品である空調ユニット10を説明する。空調ユニット10は、車室内の空気調和を行う車両用空調装置の一部を構成する。空調ユニット10は、車室内のうち前席よりも車両前方側に搭載される。
図1、2に示すように、空調ユニット10は、ケース12と、送風機14とを備える。
ケース12は、車載用部品である。ケース12は、車室内に向かう空気が流れる空気流路が内部に形成されている。ケース12は、合成樹脂で構成されている。ケース12は、複数に分割された分割ケースが組み合わされている。
送風機14は、ケース12の内部に収容されている。送風機14は、車室内に向かう空気流れを形成する。送風機14は、ファン16と送風用モータ18とを有する。送風用モータ18は、ファン16を回転させる駆動部である。送風用モータ18は、ケース12に固定されている。したがって、ケース12は、送風機14に接続されている。
図示しないが、空調ユニット10は、蒸発器と、ヒータコアと、エアミックスドアと、吹出モードドアとを備える。蒸発器、ヒータコア、エアミックスドアおよび吹出モードドアは、ケース12の内部に収容されている。
蒸発器は、空気と冷凍サイクルの冷媒との熱交換によって、冷媒を蒸発させるとともに、空気を冷却する冷却用熱交換器である。ヒータコアは、空気とエンジン冷却水との熱交換によって、空気を加熱する加熱用熱交換器である。エアミックスドアは、蒸発器からの冷風と、ヒータコアからの温風との混合割合を調整して空調風の温度を調整する温調用ドアである。吹出モードドアは、ケース12に形成されている複数の吹出開口部を選択的に開閉する。複数の吹出開口部のそれぞれは、車室内に設けられた複数の吹出口のそれぞれに連なっている。吹出モードドアが複数の吹出開口部を選択的に開閉することで、フェイスモード、フットモードなどの各吹出モードが実現される。
また、図1に示すように、空調ユニット10は、各種ドアを駆動させるアクチュエータ20を備える。また、図示しないが、空調ユニット10は、ケース12内部の空気温度を検出する温度センサと、ドアの作動ポジションを検出する位置センサとを備える。
空調ユニット10における可動部品としては、送風機14とアクチュエータ20が存在する。現状の空調ユニット10では、送風機14の作動音(送風用モータ18の作動音やファン16の風切り音)が最も大きな騒音要因となっている。特に、送風用モータ18やファン16から発生するアンバランス振動や送風用モータ18の磁気変動が起因となる磁気振動は振動エネルギが大きい。このため、送風機14が振動源となり、送風機14からの振動が、ケース12のうち送風用モータ18との接続部からケース12を伝搬する。そして、ケース12をはじめとする空調ユニット10の構成部品が振動および共振することで、車室内での騒音の悪化を引き起こしている。したがって、本実施形態では、送風機14が振動源を構成している。ケース12が振動源からの振動が伝搬する振動伝搬部品を構成している。
そこで、本実施形態では、ケース12を伝搬する振動を低減させるために、ケース12に粗密構造を形成している。なお、図1に示すように、ケース12は送風機14を収容する部分12aと蒸発器等の熱交換器を収容する部分12bとを有する。本実施形態では、ケース12の送風機14を収容する部分12aと熱交換器を収容する部分12bの両方に、粗密構造が形成されている。
図2に示すように、ケース12は、低密度部22と、高密度部24とを有する。低密度部22は、高密度部24よりも密度が低い部分である。高密度部24は、低密度部22よりも密度が高い部分である。
より具体的には、図3、4に示すように、ケース12は、ケース外面26を有する。図4に示すように、ケース12は、ケース外面26の反対側のケース内面28を有する。ケース12のうちケース外面26側には、複数のリブ30が形成されている。複数のリブ30は、ケース外面26の一般面32よりも突出し、一般面32に沿う面方向で線状に配置された突出部である。一般面32が、ケース12の主表面を構成している。
図3に示すように、複数のリブ30は、格子状に配置されている。格子状とは、複数の第1の線34のそれぞれと複数の第2の線36のそれぞれとが交差した状態である。複数の第1の線34において、第1の線34同士は、交差していない。複数の第2の線36において、第2の線36同士は、交差していない。ケース外面26の全体を占める複数のリブ30の割合は、ケース外面26の全体を占める一般面32の割合よりも小さい。
図4に示すように、リブ30の一部38およびケース12のうちリブ30の下側の部分40は、内部に複数の独立した気泡42を有している。これらの部分38、40が低密度部22を構成している。
リブ30の一部38は、リブ30のうちリブ表層44を除く内側の部分である。リブ表層44は、リブ30の表面側に形成された層である。ケース12のうちリブ30の下側の部分40は、換言すると、ケース12のうちリブ30よりもケース内面28側の部分であり、さらに換言すると、ケース12のうちリブ30の形成位置となっている部分であってリブ30を除く部分である。本実施形態では、一般面32を含むケース外面26が第1面を構成している。ケース内面28が第1面の反対側の第2面を構成している。
ケース12のうち一般面部46は、複数の気泡43を有している。一般面部46は、一般面32を有する部分である。一般面部46が高密度部24を構成している。
低密度部22の複数の気泡42の方が、高密度部24の複数の気泡43よりも、大きく、かつ、数が多い。このため、低密度部22の方が高密度部24よりも空隙率が大きい。これにより、低密度部22の密度が高密度部24の密度よりも低くなっている。なお、低密度部22の複数の気泡42の方が、高密度部24の複数の気泡43よりも、大きいことと、数が多いこととの少なくとも一方によって、低密度部22の方が高密度部24よりも空隙率が大きくなっていればよい。
また、本実施形態では、図3に示すように、ケース12において、一般面32に沿う面方向で、低密度部22は、格子状に配置されている。すなわち、低密度部22は、複数の第1の線48のそれぞれと複数の第2の線50のそれぞれとが交差した状態に配置されている。複数の第1の線48において、第1の線48同士は交差していない。複数の第2の線50において、第2の線50同士は交差していない。
このため、本実施形態では、図4に示すように、一般面32に沿う一方向で、低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とがそれぞれ複数配置されている。
また、リブ表層44は、スキン層と呼ばれる、内部に気泡42を有していない緻密な固体の層である。このため、リブ表層44は、低密度部22よりも密度が高くなっている。なお、一般面部46の表面側に形成された表層47は、リブ表層44と同様に、内部に気泡43を有していない緻密な固体の層となっている。
次に、本実施形態のケース12の製造方法について説明する。
本実施形態では、ケース12の樹脂成形工程の途中で、ケース12の一部を発泡させる。これにより、ケース12の一部を低密度部22とし、ケース12の他の一部を高密度部24とする。ケース12の樹脂成形工程では、熱可塑性樹脂を用いて射出成形する。ケース12の一部の発泡では、超臨界発泡成形法(例えば、特開2009-90557号公報参照)を用いる。
具体的には、図5に示すように、樹脂成形工程において、金型52を準備する。金型52は、第1金型54と第2金型56と第3金型58とを含む。第1金型54と第2金型56は、両者の間に樹脂が注入されるキャビティ55を形成する。第2金型56には、低密度部形成用の開口部56aが形成されている。第3金型58は、開口部56aに対応する形状の突出部58aを有する。第3金型58は、突出部58aが開口部56aに挿入された状態で、第2金型56に組み付けられる。開口部56aは、金型52の内部のうちリブ30の形成予定部位に配置されている。
続いて、図6に示すように、図5に示す状態の金型52の内部のキャビティ55に向けて樹脂51が射出される。
続いて、図7に示すように、射出された樹脂が固化する前に、第3金型58が第1金型54から離れる側に移動される。すなわち、いわゆるコアバックが行われる。これにより、キャビティ55のうち低密度部22の形成予定部57aが広げられる。第3金型58の移動によって広げられた低密度部22の形成予定部57aは、金型52の内部圧力が周囲より低下するこることで、高密度部24の形成予定部59aよりも発泡が促される。これにより、低密度部22の形成予定部57aの樹脂の内部に複数の独立した気泡42が形成され、低密度部22の形成予定部57aの樹脂を低密度化させることができる。図示していないが、高密度部24の形成予定部59aでは、発泡がされても、低密度部22の形成予定部57aよりも発泡は少ない。このようにして、リブ30の形成と同時に、低密度部22と高密度部24とを形成することができる。
また、コアバックが行われたときに、図示しないが、樹脂が金型52の表面に接して冷却されて、樹脂の内部よりも先に固化することで、ち密なリブ表層44が形成される。
続いて、図8に示すように、金型52の内部の樹脂全部が固化した後、金型52の内部から成形体が取り出される。このようにして、低密度部22と高密度部24とを有するケース12が製造される。
ここで、本実施形態が解決する課題について説明する。
近年、電気自動車やハイブリッド車などの省燃費車ニーズの増加から車両の軽量化が重要視されている。また、省燃費車の増加は車室内の静粛化ニーズを掘り起こしている。このため、車載製品において、低騒音化のニーズに答える技術開発が必要となっている。そして、車室内で聞こえる音の多くは、車外からの音の流入を除けば、車載製品の駆動部品が起因して発生している。静粛性を上げるためには、車載製品の振れ(振動)を抑えることが有効である。振動系の騒音には稼働部品から直接発生する音と、稼働部品と構造的に接続された部品が共振することで発生する音とがある。そのため、騒音には「音(振動)の発生源での振動を抑制すること」と「稼働部品からの振動伝達を遮断ないし減衰させること」とが有効である。
従来の空調ユニットでは、加振源(振動源)となる送風用モータ18をゴムなどの弾性材でフロートさせたり、吸音材をケース12に貼り付けたり、ケース12の振動部の重量を増やしたりして、対策を行っているが、これらの対策は、基本的には対処療法となっている。
しかし、近年の省燃費車増加に伴う車両の軽量化動向から製品重量が減ることで相対的に車載製品に加わる振動加速度(振動エネルギ)が大きくなり、振動や音は悪化する傾向にあることを考えると、車載製品の多くの部位で、上記のような処置が必要になると考えられる。この場合、コストや製品設計の課題が益々増加することが懸念される。
本実施形態は、騒音の原因の一つである振動源からの振動伝搬による騒音に対し、対処療法ではなく、製品素性として改善を行い、空調ユニットの軽量化と振動対策コストの抑制との両立を実現させるという課題を解決するものである。
一般的に、空調ユニットのケースは、熱可塑性樹脂を射出成形することで製造される。また、一般的に、ケースとしては、ケースの全体が気泡を有していない緻密体で構成されたものや、ケースの全体が気泡を有しているものや、ケースの全体に中空素材が混合されたものがある。
しかし、これらの一般的なケースは、どれも、ケースの平面方向では、一様な状態となっている。すなわち、ケースの主表面に沿った方向において、密度は均一である。このため、振動源から伝達する振動エネルギは、自然な減衰を除けばケースの内部を一様に伝わってしまう。
従来では、ケースを伝搬する振動を低減するために、ケースの表面にリブを形成したり、ケースの全体においてケースの板厚を大きくしたりして、ケースの面剛性を上げていた。しかし、これらの場合、ケースの一部または全部の厚さが厚くなる。このため、リブの形成前や板厚の増大前と比較して、ケースの重量が増大してしまう。
これに対して、本実施形態では、上述の通り、ケース12の一部を発泡させることで、ケース12に低密度部22を部分的に形成する。このため、ケース12が低密度部22を有しておらず、ケース12の全体が高密度部24のみで構成されている場合と比較して、ケース12の重量を減少させることができる。すなわち、ケース12の重量の増大を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、リブ30の一部38およびケース12のうちリブ30の下側の部分40を低密度部22としている。ここで、ケース外面26にリブ30を設けないで、ケース12に低密度部22と高密度部24とを設けると、ケース12の全体が高密度部24で構成されている場合と比較して、低密度部22の強度が低下し、ケース12全体の強度が低下する。そこで、リブ30の一部38およびケース12のうちリブ30の下側の部分40を低密度部22とすることで、リブ30が無い場合と比較して、ケース12の全体の面剛性を向上させて、ケース12の全体の強度を向上させることができる。また、上述の通り、ケース12の全体が緻密体で構成されている場合に、リブ30を設けると、ケース12の全体の重量が増大する。これに対して、本実施形態によれば、リブ30の一部38を低密度部22としているので、ケース12の全体が緻密体で構成され、かつ、リブ30が無い場合と比較して、ケース12の全体の重量が増大することを抑制できる。
次に、本実施形態の空調ユニット10において、ケース12を伝搬する振動が抑制される原理について説明する。
図9に示すように、従来の空調ユニットJ10では、送風機14から伝搬した振動エネルギは、ケース12を伝搬経路として自然減衰しつつ、ケース12の内部を伝搬していく。その際、空調ユニットJ10を構成する部品(例えば、ケース12)のうち伝搬した振動と振動周期が一致する部分で共振が起こり、音となって車室内へ洩れる。発生する音は、共振部位へ伝わる振動エネルギの大きさと、共振部位の振れ易さに影響するため、振動エネルギを小さくするか、振れ難くすることが有効である。
本実施形態では、共振部位へ伝わる振動エネルギが「波」であることに着目した。固体の振動伝搬媒体中を波が伝搬するとき、媒体の密度境界において伝搬する波の一部が反射する現象が発生する。
そこで、図2に示すように、本実施形態では、ケース12に低密度部22と高密度部24とを設けている。このように、振動発生源から共振し易い部品までの間で、振動伝搬媒体に粗密状態を設けている。これにより、密度変化の境界部、すなわち、低密度部22と高密度部24との境界部23で、入射波の一部を反射させて反射波を発生させることができる。入射波の他の一部は、透過波(すなわち、伝達波)となって、入射波の伝搬方向に伝搬する。
このため、入射波と反射波との合成によって、ケース12を伝搬する振動の低減が可能となる。
具体的には、入射波と反射波との合成において、反射波の位相が入射波の逆位相である場合、弱め合う干渉によって、振動エネルギを低減させることができる。また、入射波と反射波との合成において、反射波の周期が入射波の周期と異なる場合、振動の周期性を乱すことができる。振動の周期性が乱されると、振動エネルギの変化が小さな状態となり、振動が低減される。このように、入射波と反射波との合成によって、振動エネルギの低減と分散とが可能となる。
よって、本実施形態によれば、ケース12の重量の増大を抑制しつつ、ケース12を伝搬する振動を低減させることができる。この結果、振動共振で発生する騒音を低減することが可能となる。なお、境界部23を設定すべき部位は、伝達経路の形状や素材により異なるため、設定場所は製品に合わせて設定することが有効である。
本実施形態では、図4に示すように、一般面32に沿う方向で、低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とがそれぞれ複数配置されている。これによれば、低密度部22と高密度部24の境界部23を複数形成できる。このため、振動の低減効果を増大させることができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、低密度部22が格子状に配置されている。これによれば、低密度部22と高密度部24との境界部23を様々な場所に多く設けることができる。このため、送風機14から放射状にケース12を伝搬する振動を乱反射させることができる。すなわち、入射波の周期に対して周期が異なる、複数種の周期の反射波を発生させることができる。これにより、ケース12を伝搬する振動の周期性を乱すことができる。このため、ケース12を伝搬する振動を低減することができる。
なお、図3では、格子状に配置された低密度部22において、複数の第1の線48のそれぞれと複数の第2の線50のそれぞれとが交差する角度は、直角であるが、直角でなくてもよい。
また、本実施形態では、図3に示すように、低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶ方向において、それぞれの低密度部22の幅が均一ではなく、不均一である。また、本実施形態では、複数の低密度部22において、隣り合う低密度部22の間隔は均一ではなく、不均一である。
これらによれば、ケース12を伝搬する振動を乱反射させることができ、振動の周期性を乱すことができる。振動の周期性を乱すことで、振動エネルギの変化を小さくすることができる。この結果、ケース12を伝搬する振動を低減することができる。
なお、低密度部22の幅が均一であってもよく、隣り合う低密度部22の間隔が均一であってもよい。この場合であっても、入射波と反射波との合成によって、ケース12を伝搬する振動の低減が可能となる。
また、本実施形態では、リブ表層44は、低密度部22よりも密度が高くなっている。このため、低密度部22よりも高密度なリブ表層44を有していない場合と比較して、ケース12の面剛性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ケース12は、低密度部22よりも密度が高いリブ表層44を有している。このため、図10に示すように、高密度部24を伝搬する振動の一部は、リブ表層44を伝搬する。このとき、リブ表層44の厚さT1は、ケース12の厚さT2よりも小さい。よって、振動の伝搬方向に垂直な断面で比較したとき、リブ表層44の断面積は、高密度部24の断面積よりも小さい。したがって、振動が高密度部24からリブ表層44を伝搬するとき、振動の波が伝搬する伝搬部の断面積が変化する。このため、振動の一部が反射する。また、振動の他の一部の振動エネルギが熱エネルギに変わる。これにより、振動エネルギを低減させることができる。
また、リブ表層44は、リブ30の表面に形成されている。リブ30は、一般面32から突出している。このため、振動が高密度部24からリブ表層44を伝搬するとき、振動の伝搬方向が変わる。伝搬方向は、一般面32に沿う方向から一般面32に対して交差する方向に変わる。伝搬方向が変わることで、振動の一部が反射する。また、振動の他の一部の振動エネルギが熱エネルギに変わる。これにより、更に大きな振動低減効果を引き出すことが可能となっている。
なお、リブ表層44の厚みは、均一でも不均一でもよい。また、本実施形態では、複数のリブ30のそれぞれの高さは均一であったが、不均一であってもよい。
また、本実施形態では、高密度部24は、複数の気泡43を有していたが、複数の気泡43を有していなくてもよい。
また、本実施形態では、ケース12が熱可塑性樹脂で構成されていたが、発泡成形法によってケース12を成形できれば、他の合成樹脂材料や合成ゴム材料で構成されていてもよい。
(第2実施形態)
図11、12に示すように、本実施形態は、ケース12にリブ30が設けられていない点で、第1実施形態と異なる。
本実施形態においても、図11に示すように、ケース外面26に沿う面方向で、低密度部22は、格子状に配置されている。すなわち、低密度部22は、複数の第1の線48のそれぞれと複数の第2の線50のそれぞれとが交差した状態に配置されている。したがって、図12に示すように、ケース外面26に沿う一方向で、低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とがそれぞれ複数配置されている。本実施形態では、ケース外面26がケース12の一般面を構成している。
このように、ケース12は、リブ30が設けられていない点を除き、第1実施形態と同じ構造を有している。このため、本実施形態によっても、第1実施形態と同じ構造が奏する効果が得られる。
また、本実施形態では、ケース12は、低密度部22の表面側、具体的にはケース外面26側とケース内面28側の両側に、低密度部22よりも密度が高い表層45を有する。この表層45は、リブ表層44に対応する。このため、第1実施形態と同様に、高密度部24よりも断面積が小さな表層45を振動が伝搬することによる振動エネルギの低減効果が得られる。
(第3実施形態)
本実施形態では、低密度部と高密度部の配置が第1実施形態と異なる。
図13に示すように、第1実施形態と同様に、複数のリブ30が格子状に配置されている。そして、図14に示すように、第1実施形態と異なり、リブ30の一部38およびケース12のうちリブ30の下側の部分40が、高密度部62を構成している。一般面部46が低密度部64を構成している。
したがって、図13に示すように、ケース12において、高密度部62は、一般面32に沿う面方向で、格子状に配置されている。すなわち、高密度部62は、複数の第1の線66のそれぞれと複数の第2の線68のそれぞれとが交差した状態に配置されている。低密度部64は、ケース12のうち第1の線66と第2の線68とによって囲まれた部位に配置されている。
図14に示すように、高密度部62は、複数の気泡63を有している。低密度部64は、複数の気泡65を有している。低密度部64の複数の気泡65の方が、高密度部62の複数の気泡63よりも、大きく、かつ、数が多い。このため、低密度部64の方が高密度部62よりも空隙率が大きい。これにより、低密度部64の密度が高密度部62の密度よりも低くなっている。なお、低密度部64の複数の気泡65の方が、高密度部62の複数の気泡63よりも、大きいことと、数が多いこととの少なくとも一方によって、低密度部64の方が高密度部62よりも空隙率が大きくなっていればよい。
本実施形態のケース12は、第1実施形態のケース12の製造方法に対して、用いる金型52の形状を変更することで製造可能である。
図15に示すように、本実施形態で用いる金型52の第2金型56には、低密度部形成用の開口部56bが複数形成されている。金型52の第3金型58は、複数の開口部56bのそれぞれに対応する形状の突出部58bを有する。第3金型58は、複数の突出部58bのそれぞれが、複数の開口部56bのそれぞれに挿入された状態で、第2金型56に組み付けられる。複数の開口部56bは、金型52の内部のうち一般面部46の形成予定部に配置されている。
続いて、図16に示すように、図15に示す状態の金型52の内部のキャビティ55に向けて樹脂51が射出される。
続いて、図17に示すように、第3金型58が第1金型54から離れる側に移動される。これにより、キャビティ55のうち低密度部64の形成予定部57bが広げられる。低密度部64の形成予定部59bの圧力が高密度部62の形成予定部59bよりも低下する。このため、高密度部62の形成予定部59bよりも、低密度部64の形成予定部57bの方が、発泡が促される。図示していないが、高密度部62の形成予定部59bでは、発泡がされても、低密度部64の形成予定部59bよりも発泡は少ない。これにより、リブ30の形成と同時に、低密度部64と高密度部62とを形成することができる。
続いて、図18に示すように、金型52の内部の樹脂全部が固化した後、金型52の内部から成形体が取り出される。このようにして、低密度部64と高密度部62とを有するケース12が製造される。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ケース12は低密度部64と高密度部62とを有する。したがって、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態においても、一般面32に沿う方向で、低密度部64と高密度部62とが交互に並ぶように、低密度部64と高密度部62とがそれぞれ複数配置されている。これによれば、低密度部64と高密度部62の境界部67を複数形成できる。このため、振動の低減効果を増大させることができる。
ところで、第1実施形態では、ケース12のうちリブ30の一部38およびケース12のうちリブ30の下側の部分40が低密度部22を構成していた。このため、ケース12の全体に対して低密度部22が占める割合は、ケース12の全体に対して高密度部24が占める割合よりも小さくなっていた。
これに対して、本実施形態では、ケース12のうち一般面部46が低密度部64を構成している。このため、ケース12の全体に対して低密度部64が占める割合は、ケース12の全体に対して高密度部62が占める割合よりも大きくなっている。
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と比較して、ケース12を軽くすることができる。
なお、本実施形態では、高密度部62は、複数の気泡63を有していたが、複数の気泡63を有していなくてもよい。
(第4実施形態)
第1実施形態では、低密度部22は、格子状に配置されており、規則的な構造を有していた。
これに対して、図19に示すように、本実施形態では、ケース12において、低密度部22の一部が格子状に配置されていることに加えて、低密度部22の他の一部が格子状に対して斜めの線状に配置されている。すなわち、低密度部22は、複数の第1の線48のそれぞれと複数の第2の線50のそれぞれとが交差するとともに、複数の第1の線48のそれぞれと複数の第3の線49のそれぞれとが、第1の線48と第2の線50とが交差する角度とは異なる角度で、交差した状態に配置されている。
本実施形態によれば、ケース12が第1実施形態と同じ構造を有することで、第1実施形態と同じ効果を奏する。さらに、本実施形態によれば、低密度部22の一部を規則的な構造とするとともに、低密度部22の他の一部を不規則な構造としている。これにより、ケース12の内部で振動の乱反射が期待でき、規則的な構造時に発生し易い共振を抑制することができる。
なお、第2、第3実施形態においても、本実施形態を適用することができる。
(第5実施形態)
本実施形態の空調ユニット10では、第1実施形態に対して、ケースの構造が異なる。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
図20に示すように、ケース70は、ケース外面72と、ケース内面74とを有する。ケース70は、図1、2に示す第1実施形態のケース12に対応する。ケース外面72は、平坦な部分を有する。ケース外面72のうち平坦な部分が主表面を構成している。ケース70は、高弾性部76と、低弾性部78とを有する。高弾性部76は、低弾性部78よりも弾性率が高い部分である。低弾性部78は、高弾性部76よりも弾性率が低い部分である。高弾性部76は、低弾性部78を構成する材料とは異なる種類の材料で構成されている。ケース12を熱可塑性樹脂で構成する場合、例えば、低弾性部78はポリエチレン(PE)で構成され、高弾性部76はポリプロピレン(PP)で構成される。なお、低弾性部78と高弾性部76とが、他の樹脂材料、合成ゴム材料で構成されてもよい。
図示しないが、低弾性部78は、第1実施形態の低密度部22と同様に、一般面32に沿う面方向で、格子状に配置される。このため、一般面32に沿う一方向で、低弾性部78と高弾性部76とが交互に並ぶように、低弾性部78と高弾性部76とがそれぞれ複数配置されている。
第1実施形態のケース12の粗密構造と同様に、固体中を伝搬する振動波(特に、縦波)は、低弾性部78と高弾性部76との境界部77でも反射する。これは、音響インピーダンスの差により発生する物理現象である。一般的に、音響インピーダンスは下記の式(1)で表される。また、音圧反射率は、下記の式(2)で表される。式中のZは音響インピーダンスであり、ρは密度であり、cは音速であり、kは体積弾性率である。また、Z1、Z2は、それぞれ、媒質1、媒質2の音響インピーダンスである。Z1は、媒質1の密度ρ1、音速c1を用いて算出される。Z2は、媒質2の密度ρ2、音速c2を用いて算出される。図20では、低弾性部78が媒質1に相当し、高弾性部76が媒質2に相当する。
式1、式2によると、振動波の進行方向に対し、Z1とZ2の関係が、Z2>Z1となると、入射波の一部が境界部77で反射されて反射波となる。なお、入射波の他の一部は、透過波となって、入射波の伝搬方向に伝搬する。
この反射波によって、第1実施形態での説明の通り、入射波の振動エネルギの低減が可能となる。このため、本実施形態によれば、振動低減のためにケース12を増大させる必要がない。よって、本実施形態によっても、ケース12の重量の増大を抑制しつつ、ケース12を伝搬する振動を低減することができる。
なお、図20では、低弾性部78から高弾性部76へ入射波が入射する場合に、反射波が生じているが、この場合に限られない。高弾性部76から低弾性部78へ入射波が入射する場合であっても、上記のZ1とZ2の関係を満たしていれば、反射波が生じる。
(第6実施形態)
図21に示すように、本実施形態の空調ユニット10は、振動発生部82、振動センサ84および振動発生制御部86を備える点で、第1実施形態と異なる。また、本実施形態の空調ユニット10は、ケース80が粗密構造を有していない点で、第1実施形態と異なる。その他の空調ユニット10の構成は、第1実施形態と同じである。
本実施形態のケース80は、図1、2に示す第1実施形態のケース12に対応する。
振動発生部82は、第1振動源としての送風機14とは別の振動源である第2振動源である。振動発生部82は、送風機14からケース80を伝搬する第1振動に対して逆位相の第2振動を発生させて、この第2振動をケース80に与える。本実施形態では、ケース80が第1振動源からの第1振動が伝搬する振動伝搬部品を構成している。
振動発生部82は、ケース80の外面に複数設けられている。振動発生部82は、ケース80のうち送風機14を収容する部分80aに配置されている。すなわち、振動発生部82は、ケース80のうち送風用モータ18の保持部およびその周辺部に配置されている。
振動センサ84は、送風機14からケース80を伝搬する振動を検出する。振動センサ84は、振動発生部82に対応して、ケース80の外面に複数設けられている。振動センサ84は、送風機14からの振動がケース80に伝搬する際に、振動の伝搬方向における送風機14と振動発生部82との間に配置されている。
振動発生制御部86は、振動センサ84のセンサ出力、すなわち、振動センサ84の検出結果が入力される。振動発生制御部86は、センサ出力に基づいて、振動発生部82の動作を制御する。具体的には、振動発生制御部86は、振動発生部82が振動を発生する前と比較して、振動発生部82からの振動の発生後におけるセンサ出力が小さくなるように、振動発生部82の動作タイミングを制御する。
本実施形態によれば、送風機14からの第1振動がケース80を伝搬する際に、振動発生部82が第2振動をケース80に与える。これにより、第1振動の振動波と第2振動の振動波とが干渉して弱め合う。このため、送風機14からケース80を伝搬する第1振動を低減させることができる。
なお、本実施形態では、振動発生部82が複数設けられていたが、振動発生部82は少なくとも1つ設けられていればよい。また、本実施形態では、振動発生部82は、ケース80のうち送風機14を収容する部分12aに配置されていたが、ケース80の他の部分に配置されていてもよい。
(第7実施形態)
図22-26に示すように、本実施形態は、ケース12のうちモータ保持部90のみに粗密構造を形成した点で、第1実施形態と異なる。空調ユニット10の他の構成は、第1実施形態と同じである。
モータ保持部90は、図1に示すケース12の一部である。モータ保持部90は、ケース12の送風機14を収容する部分12aのうちモータ保持部以外の他の部分に対して取り付けおよび取り外しが可能な部分である。モータ保持部以外の部分とは、主に、ファン16を通過する空気の通路を形成する部分である。
図22、23に示すように、モータ保持部90は、ファン16を回転させる送風用モータ18を保持する。モータ保持部90は、送風用モータ18に接触する。本実施形態では、送風用モータ18は特許請求の範囲に記載のモータに相当する。また、送風用モータ18は振動源に相当する。モータ保持部90は振動伝搬部品に相当する。車両用空調装置は振動伝搬部品を備える製品に相当する。
モータ保持部90は、筒状部92とフランジ部94とを有する。筒状部92は、その内部に送風用モータ18が配置される筒状の部分である。筒状部92は、図23に示すように、送風用モータ18と接触する接触部92aを有する。筒状部92は、接触部92aが送風用モータ18と接触した状態で、送風用モータ18を保持する。フランジ部94は、筒状部92から筒状部92の外側に張り出した部分である。フランジ部94は、送風用モータ18の回転軸18aに対して交差する方向に板状に延びている。筒状部92、接触部92aおよびフランジ部94は、樹脂の一体成形品で構成されている。接触部92aは、筒状部92に対して別体であってもよい。
図24-26に示すように、モータ保持部90は、主表面90a、90bと、主表面90a、90bに沿った方向に並ぶ低密度部22および高密度部24とを有する。筒状部92の外周面90aと、回転軸18aに対して交差する方向に延びているフランジ部94の表面90bとが、モータ保持部90の主表面を構成している。
具体的には、図25に示すように、筒状部92は、送風用モータ18の回転方向(以下では、モータの回転方向と言う)で、低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、成形されている。換言すると、筒状部92に、モータの回転方向で、低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とがそれぞれ複数配置されている。なお、図25は、筒状部92の横断面図である。筒状部92の横断面図は、回転軸18aに対して直交する面で切断した筒状部92の断面図である。
さらに、図26に示すように、フランジ部94も、モータの回転方向で低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、成形されている。換言すると、フランジ部94に、モータの回転方向で、低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とが複数配置されている。
モータ保持部90の低密度部22と高密度部24とは、第1実施形態のケース12の低密度部22と高密度部24と同じものである。低密度部22と高密度部24とを有するモータ保持部90は、第1実施形態で説明したケース12の製造方法と同様の方法によって製造可能である。
低密度部22は、複数の気泡42を有している。高密度部24は、複数の気泡43を有している。なお、第1実施形態と同様に、高密度部24は複数の気泡43を有していなくてもよい。また、モータ保持部90が熱可塑性樹脂で構成されている場合に限られない。モータ保持部90が他の合成樹脂材料や合成ゴム材料で構成されていてもよい。
次に、本実施形態の効果について説明する。
図示しないが、通常、送風用モータ18では、ステータに巻き付いたコイルが通電されることで電磁石となり、コイルとマグネットとの間に吸引/反発方向の磁力が発生する。上記吸引/反発をもたらす磁力により、回転軸18aを含むロータは軸中心で回転力を得ることができる。コイルの通電をタイミング良くON/OFFすることで、ロータが回転する。すなわち、送風用モータ18が回転する。そのため、ステータに対して、モータの回転方向に、磁力が断続的かつ周期的に加わる。これによって、送風用モータ18では、送風用モータ18の回転数に応じた周期的な振動が発生し、特に、モータの回転方向に伝搬する振動が多く発生する。この振動がモータ保持部90の筒状部92、フランジ部94の順に伝搬し、さらに、ケース12のうちモータ保持部以外の部分に伝搬していく。その過程で伝搬する振動と周波数の一致した部位で振動が増幅されることが、騒音発生の原因である。
本実施形態では、モータ保持部90の筒状部92とフランジ部94の両方において、モータの回転方向で低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とがそれぞれ複数配置されている。このため、振動が、モータの回転方向に、筒状部92およびフランジ部94を伝搬する際に、低密度部22と高密度部24との境界部23で、振動エネルギの入射波の一部が反射されたり、熱が発生したりする。これらが、振動が伝搬する際の抵抗となり、振動エネルギを低減させることができる。よって、モータ起因の振動の伝搬を抑制することができる。
このように、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、低密度部22と高密度部24との境界部23で、入射波の一部を反射させて反射波を発生させることができる。このため、入射波と反射波との合成によって、モータ保持部90を伝搬する振動の低減が可能となる。よって、本実施形態によれば、モータ保持部90の重量の増大を抑制しつつ、モータ保持部90を伝搬する振動を低減させることができる。この結果、振動共振で発生する騒音を低減することが可能となる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶ方向において、それぞれの低密度部22の幅が不均一であることが好ましい。また、複数の低密度部22において、隣り合う低密度部22の間隔が不均一であることが好ましい。
これらによれば、モータ保持部90を伝搬する振動を乱反射させることができ、振動の周期性を乱すことができる。振動の周期性を乱すことで、振動エネルギの変化を小さくすることができる。この結果、モータ保持部90を伝搬する振動を低減することができる。
また、本実施形態では、空調ユニット10のケース12のうちモータ保持部90のみが、モータ保持部90の表面に沿った方向に並ぶ低密度部22と高密度部24とを有する。車両用空調装置における振動源である送風用モータ18を保持するモータ保持部90に、上記の粗密構造を設けることで、振動源に最も近い部位で、振動源からの振動の伝搬に対して対策することができる。このため、空調ユニット10のケース12の全体に粗密構造を形成しなくても、騒音を低減する効果を得ることができる。この結果、ケース12の全体に粗密構造を形成する場合と比較して、空調ユニット10の製造コストを下げることができる。なお、騒音を低減する効果を得ることを目的とする場合では、ケース12のうちモータ保持部90以外の部分に粗密構造を設けてもよい。
また、本実施形態において、隣り合う低密度部22の間隔については、低減したい振動の周波数に応じて設定するとよい。低減したい振動の周波数とは、モータ保持部90が本実施形態の粗密構造を有していない場合に、送風用モータ18からの振動の周波数と騒音の大きさとの関係を示すグラフにおいて現れるピークの周波数である。ピークの周波数とは、他の周波数よりも騒音が突出して大きな周波数である。
(第8実施形態)
図27は、図26に対応するフランジ部94の断面図である。図27に示すように、本実施形態では、フランジ部94に設けられた粗密構造の並び方が第7実施形態と異なる。空調ユニット10の他の構成は、第7実施形態と同じである。以下では、送風用モータ18の回転中心をモータの回転中心という。
本実施形態では、フランジ部94に、低密度部22と高密度部24とが放射状に並んでいる。換言すると、フランジ部94に、モータの回転方向で低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶとともに、モータの回転中心から離れる方向で低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とがそれぞれ複数配置されている。
本実施形態によれば、送風用モータ18で発生した振動が、モータの回転方向およびモータの回転中心から離れる方向のそれぞれに、フランジ部94を伝搬する際に、低密度部22と高密度部24との境界部23で、反射波を形成することができる。このため、モータの回転方向およびモータの回転中心から離れる方向にモータ保持部90を伝搬する振動を低減させることができる。このように、本実施形態によれば、モータの回転方向にフランジ部94を伝搬する振動に加えて、回転軸18aの垂直方向で送風用モータ18から外側へ広がるようにフランジ部94を伝搬する振動に対しても、伝搬抑制の効果を発揮することができる。
(第9実施形態)
図28は、図26に対応するフランジ部94の断面図である。図28に示すように、本実施形態では、フランジ部94に設けられた粗密構造の並び方が第7実施形態と異なる。空調ユニット10の他の構成は、第7実施形態と同じである。
本実施形態では、フランジ部94に、低密度部22と高密度部24とが同心円状に並んでいる。すなわち、互いに半径が異なるリング状の低密度部22とリング状の高密度部24とが、同じ中心を囲んでいる。
このように、本実施形態においても、フランジ部94に、モータの回転中心から離れる方向で低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とがそれぞれ複数配置されている。このため、本実施形態によれば、送風用モータ18で発生した振動が、モータの回転中心から離れる方向に、フランジ部94を伝搬する際に、低密度部22と高密度部24との境界部23で、反射波を形成することができる。このため、モータの回転中心から離れる方向に、モータ保持部90を伝搬する振動を低減させることができる。
(第10実施形態)
本実施形態では、第7実施形態と同様に、筒状部29に、モータの回転方向で低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とがそれぞれ複数配置されている。さらに、第8実施形態と同様に、フランジ部94に、モータの回転方向で低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶとともに、モータの回転中心から離れる方向で低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とがそれぞれ複数配置されている。
さらに、図29に示すように、本実施形態では、筒状部92に、回転軸18aの軸線方向で低密度部22と高密度部24とが交互に並ぶように、低密度部22と高密度部24とがそれぞれ複数配置されている。図29は、筒状部92の縦断面図である。筒状部92の縦断面図は、回転軸18aに対して平行な面で切断した筒状部92の断面図である。これによれば、回転軸18aの軸線方向に筒状部29を伝搬する振動がある場合、この振動を低減させることができる。
(他の実施形態)
(1)第1-第4実施形態および第7-第10実施形態では、粗密構造のケース12を発泡成形法によって製造したが、粗密構造のケース12を他の製造方法によって製造してもよい。他の製造方法として、異種材料の多色成形法等が挙げられる。異種材料の多色成形法では、材料自体の密度が異なる2種類の材料を用いて成形することで、低密度部と高密度部とを有するケース12を製造する。異種材料の多色成形法を用いて、第1、第2実施形態のケース12を製造した場合、リブ表層44および表層45が無い状態にすることができる。
また、例えば、ケース12の一部に中空素材を混合することで、低密度部と高密度部とを有するケース12を製造することができる。
(2)第7実施形態および第10実施形態では、モータ保持部90は、フランジ部94を有していたが、フランジ部94が無くてもよい。この場合、筒状部92に、第7実施形態および第10実施形態のように、低密度部22と高密度部24とが交互に形成されていればよい。
(3)第7-第10実施形態では、モータ保持部90が低密度部22と高密度部24とを有していた。第5実施形態のように、モータ保持部90が高弾性部76と低弾性部78とを有していてもよい。この場合、高弾性部76と低弾性部78との配置は、第7-第10実施形態と同様である。
(4)上記各実施形態では、車両用の空調ユニット10に本発明を適用したが、他の車載用製品に本発明を適用することができる。また、車載用製品に限らず、振動源からの振動が伝搬する振動伝搬部品を備える製品に本発明を適用することができる。このような製品としては、建物に設置される空調装置や扇風機などが挙げられる。空調装置や扇風機のどちらにおいても、ファンおよびモータが振動源または第1振動源であり、ファンおよびモータを収容するケースまたはカバーが振動を伝搬する振動伝搬部品である。
(5)本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。